説明

ピレン系高分子化合物及びそれを用いてなる発光素子

【課題】"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れた高分子化合物を提供する。
【解決手段】ピレン構造残基に芳香族アミンがC−N結合で3個結合した繰り返し構造を有し、該芳香族アミンの各芳香族基が他の結合単位構造と共重合結合した繰り返し単位とを含む高分子化合物、および該高分子を含有する有機層を有する発光素子。ピレン構造残基に芳香族アミンがC−N結合で複数個結合した構造を有する含窒素化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピレン系高分子化合物及びそれを用いてなる発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、低電圧駆動、高輝度等の特性に加えて、多数の色の発光が容易に得られるので、ディスプレイ等の用途に好適であり、近年、注目されている。そして、この発光素子の製造には、発光材料や正孔輸送材料が用いられる。
発光材料や電荷輸送材料としては、溶媒に溶解させて塗布法により有機層を形成できる高分子化合物が検討されている。そのような高分子化合物としては、ジフェニルアミノアントラセンジイル基を含む高分子化合物が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/49546号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記高分子化合物は、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが十分なものではないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れた高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は第一に、下記式(1)で表される構成単位を1種類以上と、
下記式(2)で表される繰り返し単位、下記式(3)で表される繰り返し単位及び下記式(4)で表される繰り返し単位からなる群からなる群から選ばれる1種類以上とを含む高分子化合物を提供する。

(式中、x3、y1、y2、z1、z2及びz3はそれぞれ独立に0又は1である。y3は0〜2の整数である。但し、y1+z1及びy2+z2は1であり、x3+y3+z3は2である。uは0〜8の整数である。uが2以上である場合、x3、y3及びz3の各々の数値は、同一であっても異なっていてもよい。Zは非置換若しくは置換の(2+u)価のピレン残基を表し、Ar1は非置換若しくは置換のアリーレン基又は非置換若しくは置換の2価の複素環基を表し、Ar2は非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。複数あるAr1は同一であっても異なっていてもよい。Ar2が複数ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar3及びAr7はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は金属錯体構造を有する非置換若しくは置換の2価の基を表す。Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は2つの芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。X1は−CR3=CR4−又は−C≡C−を表す。ここで、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。aは0又は1である。)
【0007】
本発明は第二に、
下記式(a)で表される化合物の1種類以上と、
下記式(b−1)で表される化合物、下記式(b−2)で表される化合物及び下記式(b−3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上とを縮合重合することを含む、
前記式(1)で表される構成単位を1種類以上と、
前記式(2)で表される繰り返し単位、前記式(3)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上とを含む高分子化合物の製造方法を提供する。

(式中、x3、y1、y2、y3、z1、z2、z3、u、Z、Ar1及びAr2は、前記と同じ意味を有する。Y1は、ハロゲン原子、下記式(a−1)で表されるスルホネート基、メトキシ基、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基、下記式(a−2)で表される基、下記式(a−3)で表される基、又は下記式(a−4)で表される基を表す。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。複数あるAr1は同一であっても異なっていてもよい。Ar2が複数ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar3及びY1は、前記と同じ意味を表す。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar4、Ar5、Ar6、R1、R2及びaは、前記と同じ意味を有する。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar7、X1及びY1は、前記と同じ意味を有する。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Raは、非置換又は置換のアルキル基又は非置換又は置換のアリール基を表す。)

(式中、XAは、ハロゲン原子を表す。)

(式中、XAは、前記と同じ意味を有する。)

(式中、Raは、前記と同じ意味を有する。複数あるRaは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0008】
本発明は第三に、下記式(11)で表される化合物を提供する。

(式中、R17はハロゲン原子を表す。hは1〜4の整数を表し、iは0〜4の整数を表す。Ar8は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。複数あるAr8は、同一であっても異なっていてもよい。R17が複数ある場合には、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0009】
本発明は第四に、下記式(15)で表される化合物を提供する。

(式中、R18は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、又はシアノ基を表す。jは0〜4の整数を表す。R8*は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。dは0〜5の整数である。R8*及びR18がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるd及びjは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0010】
本発明は第五に、下記式(19):

(式中、Ar8は、前記と同じ意味を有する。複数あるAr8は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物とブロモ化剤とを反応させることを含む、下記式(12):

(式中、Ar8は、前記と同じ意味を有する。複数あるAr8は、同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の製造方法を提供する。
【0011】
本発明は第六に、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と、前記高分子化合物とを含有する組成物を提供する。
【0012】
本発明は第七に、前記高分子化合物と溶媒とを含有する溶液を提供する。
【0013】
本発明は第八に、前記高分子化合物を含有する薄膜を提供する。
【0014】
本発明は第九に、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた前記高分子化合物を含有する有機層とを有する発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の高分子化合物は、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れたものであり、例えば、発光材料、電荷輸送材料等の電子部品材料として有用である。また、本発明の高分子化合物は、通常、耐熱性にも優れる。このような高分子化合物を用いて作製した本発明の発光素子は、素子寿命にも優れる。従って、本発明の高分子化合物及び発光素子は、例えば、液晶ディスプレイのバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「構成単位」とは高分子化合物中に1個以上存在する単位であり、「繰り返し単位」とは高分子化合物中に2個以上存在する単位である。また、「n価の複素環基」(nは1又は2である)とは、複素環式化合物(特には、芳香族性をもつ複素環式化合物)からn個の水素原子を除いてなる基を意味する。そして、「複素環式化合物」とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、硼素原子等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。
【0017】
<高分子化合物>
−式(1)で表される構成単位−
本発明の高分子化合物は、上記式(1)で表される構成単位を1種又は2種以上含む。また、前記式(1)で表される構成単位は、繰り返し単位であること(即ち、2個以上存在すること)が好ましい。
【0018】
上記式(1)中、Zは非置換若しくは置換の(2+u)価のピレン残基を表す。本明細書において、「(2+u)価のピレン残基」とは、ピレンから(2+u)個の水素原子を除いてなる基を意味する。
【0019】
Zが置換基を有する場合、該置換基は、通常、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、1価の複素環基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アシル基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基からなる群から選ばれるものであることがより好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アミノ基及び1価の複素環基からなる群から選ばれるものであることがさらに好ましく、アリール基又は置換アミノ基であることがとりわけ好ましく、アリール基であることが特に好ましい。
【0020】
前記アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0021】
前記アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは1〜15である。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、n−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0022】
前記アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは3〜20である。前記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、n−デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0023】
前記アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものを含む。前記アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20であり、さらに好ましくは6〜10である。該炭素数には置換基の炭素数は含まれない。前記アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−テトラセニル基、2−テトラセニル基、5−テトラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、1−ビフェニレニル基、2−ビフェニレニル基、2−フェナンスレニル基、9−フェナンスレニル基、6−クリセニル基、1−コロネニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、4−(アントラン−9−イル)フェニル基、[1,1’]ビナフタレン−4−イル基、10−フェニルアントラセン−9−イル基、[9,9’]ビアントラセン−10−イル基等が挙げられ、これらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、フッ素原子等で置換されていてもよい。
【0024】
前記アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。前記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数1〜12であることを示し、以下、同様である)、C1〜C12アルキルフェノキシ基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数1〜12であることを示し、以下、同様である)、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。前記C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、n−プロピルオキシフェノキシ基、i−プロピルオキシフェノキシ基、n−ブトキシフェノキシ基、i−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、n−ペンチルオキシフェノキシ基、n−ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、n−ヘプチルオキシフェノキシ基、n−オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、n−ノニルオキシフェノキシ基、n−デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が例示される。前記C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−ヘプチルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−ノニルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−ドデシルフェノキシ基等が例示される。
【0025】
前記アリールチオ基は、炭素数が通常3〜60程度である。前記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0026】
前記アリールアルキル基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは7〜48である。前記アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0027】
前記アリールアルコキシ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48である。前記アリールアルコキシ基としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基等のフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
【0028】
前記アリールアルキルチオ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48である。前記アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0029】
前記アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜60程度である。前記アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基(「C2〜C12アルケニル」は、アルケニル部分の炭素数2〜12であることを示し、以下、同様である)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0030】
前記アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜60程度である。前記アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素数2〜12であることを示し、以下、同様である)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、得られる高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランス等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0031】
前記置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1又は2個の基で置換されたアミノ基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例(なお、1価の複素環基については、後述する)と同様である。前記置換アミノ基の炭素数は、通常1〜200程度、好ましくは炭素数2〜150、より好ましくは2〜100、さらに好ましくは12〜72である。該炭素数には置換基の炭素数は含まれない。前記置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−i−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−2−エチルヘキシルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジ−3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ジピロリジルアミノ基、ジピペリジルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ−1−ナフチルアミノ基、ジ−2−ナフチルアミノ基、N−9−アントラセニル−9−アントラセンアミン基、ジ−1−ピレニルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジピリダジニルアミノ基、ジピリミジルアミノ基、ジピラジルアミノ基、ジ(トリアジル)アミノ基、N,N−ビス(4−フェニルフェニル)アミノ基等が挙げられ、これらはさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基等が挙げられる)、アルコキシ基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、フッ素原子等で置換されていてもよい。
【0032】
前記置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基が挙げられる。前記置換シリル基の炭素数は、通常1〜60程度、好ましくは炭素数3〜48である。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。前記置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピリシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、n−ペンチルジメチルシリル基、n−ヘキシルジメチルシリル基、n−ヘプチルジメチルシリル基、n−オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、n−ノニルジメチルシリル基、n−デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が例示される。
【0033】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0034】
前記アシル基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0035】
前記アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。前記アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
前記イミン残基は、炭素数が2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。前記イミン残基としては、以下の構造式で示される基等が挙げられる。

(式中、波線は、結合手を表し、イミン残基の種類によっては、シス体、トランス体等の幾何異性体を持つ場合があることを意味する。)
【0037】
前記アミド基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。前記アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、等が挙げられる。
【0038】
前記酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いてなる残基を意味し、炭素数が4〜20程度であり、以下に示す基等が例示される。

【0039】
前記1価の複素環基は、炭素数が通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお、1価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。前記1価の複素環基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基等が例示され、チエニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基が好ましく、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基がより好ましい。前記1価の複素環基はさらにアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0040】
前記置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられ、炭素数は通常2〜60程度、好ましくは炭素数2〜48である。前記置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、等が挙げられる。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0041】
上記式(1)中、Ar1は非置換若しくは置換のアリーレン基又は非置換若しくは置換の2価の複素環基を表すが、非置換若しくは置換のアリーレン基であることが好ましく、非置換若しくは置換のフェニレン基がより好ましい。また、複数あるAr1の少なくとも1つは、非置換若しくは置換のアリーレン基であることが好ましい。
【0042】
前記アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つものを含む。前記アリーレン基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは6〜18であり、とりわけ好ましくは6〜10であり、特に好ましくは6である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。前記アリーレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−アントランジイル基、1,5−アントランジイル基、2,6−アントランジイル基、9,10−アントランジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基等が挙げられ、好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−アントランジイル基、1,5−アントランジイル基、2,6−アントランジイル基、9,10−アントランジイル基であり、より好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1, 4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基であり、さらに好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1, 4−ナフタレンジイル基であり、特に好ましくは1,4−フェニレン基である。
【0043】
前記2価の複素環基は、炭素数が通常4〜60程度、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜5である。前記2価の複素環基としては、2,5−チオフェンジイル基、N−メチル−2,5−ピロールジイル基、2,5−フランジイル基、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,4−キノリンジイル基、2,6−キノリンジイル基、1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基等が挙げられ、2,5−チオフェンジイル基、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,4−キノリンジイル基、2,6−キノリンジイル基、1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基が好ましく、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基、1,4−イソキノリンジイル基がより好ましく、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基がさらに好ましい。
【0044】
Ar1が置換基を有する場合、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基及び置換カルボキシル基からなる群から選ばれるものであり、とりわけ好ましくは、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基からなる群から選ばれるものであり、特に好ましくは、アルキル基である。
【0045】
前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0046】
上記式(1)中、Ar2は非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表すが、非置換若しくは置換のアリール基であることが好ましい。また、複数あるAr2の少なくとも1つは非置換若しくは置換のアリール基であることが好ましい。
【0047】
前記アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つものを含む。前記アリール基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは6〜18であり、とりわけ好ましくは6〜10であり、特に好ましくは6である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。前記アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、5−ナフタセニル基、1−ピレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオレニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−フルオレニル基であり、より好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
【0048】
前記1価の複素環基は、炭素数が通常4〜60程度、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜5である。なお、1価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。前記1価の複素環基としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、N−メチル−2−ピロリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、6−イソキノリル基、5−キノキサリル基等が挙げられ、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、6−イソキノリル基が好ましく、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基がより好ましく、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基がさらに好ましい。
【0049】
Ar2が置換基を有する場合、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基及び置換カルボキシル基からなる群から選ばれるものであり、とりわけ好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基からなる群から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。
【0050】
前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0051】
前記式(1)中、x3、y1、y2、z1、z2及びz3はそれぞれ独立に0又は1である。y3は0〜2の整数である。但し、y1+z1及びy2+z2は1であり、x3+y3+z3は2である。前記式(1)において、好ましくは、x3、y1、y2及びy3が1であり、z1、z2及びz3が0である。x3、y3及びz3が複数ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
前記式(1)中、uは0〜8の整数であり、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0又は2であり、特に好ましくは0である。uが0である場合、Zが有する結合手は2本である。
【0053】
前記式(1)中、x3が0である場合には、添え字y3が付いたAr2及び/又は添え字z3が付いたAr1と直接結合する窒素原子の有する結合手は、該Ar2、該Ar1、及びZと結合する3本である。
前記式(1)中、z1が0である場合には、添え字y1が付いたAr2と直接結合する窒素原子の有する結合手は、該Ar2、Ar1、及びZと結合する3本である。
前記式(1)中、z2が0である場合には、添え字y2が付いたAr2と直接結合する窒素原子の有する結合手は、該Ar2、Ar1、及びZと結合する3本である。
前記式(1)中、z3が0である場合には、添え字y3が付いたAr2と直接結合する窒素原子の有する結合手は、該Ar2、Ar1、及びZと結合する3本である。
また、前記式(1)で表される構成単位の各々が、隣接する構成単位又は繰り返し単位と結合するために有する結合手の本数は、2〜(4+2u)本である。
【0054】
前記式(1)で表される構成単位としては、以下のもの(A−1)〜(A−15)、(B−1)〜(B−23)、(C−1)〜(C−24)、(D−1)〜(D−12)、(E−1)〜(E−18)、(F−1)〜(F−9)、(G−1)〜(G−9)、(H−1)〜(H−9)、(I−1)〜(I−9)、(J−1)〜(J−3)、(K−1)〜(K−3)、(L−1)〜(L−3)、(M−1)〜(M−21)、(N−1)〜(N−3)、(P−1)〜(P−3)、(Q−1)〜(Q−3)、(R−1)、(S−1);以下のものが、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等の置換基を有するもの等が挙げられる。なお、以下の(A−1)〜(A−15)、(B−1)〜(B−23)、(C−1)〜(C−24)、(D−1)〜(D−12)、(E−1)〜(E−18)、(F−1)〜(F−9)、(G−1)〜(G−9)、(H−1)〜(H−9)、(I−1)〜(I−9)、(J−1)〜(J−3)、(K−1)〜(K−3)、(L−1)〜(L−3)、(M−1)〜(M−21)、(N−1)〜(N−3)、(P−1)〜(P−3)、(Q−1)〜(Q−3)、(R−1)、(S−1)において、芳香環における結合手は、任意の位置をとり得ることを表す。
【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】
前記式(1)で表される構成単位は、高分子化合物の蛍光強度、発光素子の寿命又は発光素子の効率の観点から、好ましくは、(A−1)〜(A−15)、(C−1)〜(C−17)、(D−1)〜(D−12)、(E−1)〜(E−18)、(H−1)〜(H−6)、(I−1)〜(I−6)、(M−1)〜(M−3)、(M−8)〜(M−12)及び(A−1)〜(A−15)、(C−1)〜(C−17)、(D−1)〜(D−12)、(E−1)〜(E−18)、(H−1)〜(H−6)、(I−1)〜(I−6)、(M−1)〜(M−3)、(M−8)〜(M−12)のそれぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等の置換基を有するものであり、より好ましくは、(A−1)〜(A−15)、(D−1)〜(D−12)、(E−1)〜(E−18)、(M−1)〜(M−3)、(M−8)〜(M−12)、及び(A−1)〜(A−15)、(D−1)〜(D−12)、(E−1)〜(E−18)、(M−1)〜(M−3)、(M−8)〜(M−12)のそれぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等の置換基を有するものであり、さらに好ましくは、(A−1)〜(A−15)、(M−1)〜(M−3)、(M−8)〜(M−12)、及び(A−1)〜(A−15)、(M−1)〜(M−3)、(M−8)〜(M−12)のそれぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等の置換基を有するものであり、とりわけ好ましくは、(A−5)、(A−7)、(A−12)、(A−14)、(M−1)〜(M−3)、及び(A−5)、(A−7)、(A−12)、(A−14)、(M−1)〜(M−3)のそれぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等の置換基を有するものであり、特に好ましくは(A−5)及び(A−5)にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等の置換基を有するものである。
【0076】
前記式(1)で表される構成単位は、高分子化合物の蛍光強度、発光素子の寿命、発光素子の効率等の観点から、下記式(1A):

(式中、Xは非置換若しくは置換のピレンジイル基を表す。Ar1及びAr2は前記のとおりである。2つのAr1は同一であっても異なっていてもよい。2つのAr2は同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるもの(即ち、前記式(1)において、y1及びy2が1であり、z1及びz2が0であり、uが0であるもの)、又は下記式(1B):

(式中、X’は非置換若しくは置換の4価のピレン残基(即ち、ピレンから4個の水素原子を除いてなる基)を表す。Ar1及びAr2は前記のとおりである。4つのAr1は同一であっても異なっていてもよい。4つのAr2は同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるもの(即ち、前記式(1)において、x3、y1、y2及びy3が1であり、z1、z2及びz3が0であり、uが2であるもの)であることが好ましい。
【0077】
前記式(1A)で表される構成単位は、下記式(5):

(式中、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、又はシアノ基を表す。b及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、d及びeはそれぞれ独立に0〜5の整数である。R6、R7、R8及びR9がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるものであることがより好ましく、下記式(5A):

(式中、R6、R7、R8、R9、d及びeは、前記のとおりである。R8及びR9がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるものであることがさらに好ましい。
【0078】
前記式(1B)で表される構成単位は、下記式(5’):

(式中、R6、R7、R8、R9、d及びeは、前記のとおりである。b’及びc’はそれぞれ独立に0〜3の整数である。R6、R7、R8及びR9がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。2個ずつ存在するd及びeは、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるものであることがより好ましい。
【0079】
前記式(5)、(5A)、(5’)中のR6、R7、R8及びR9で表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0080】
得られる高分子化合物の溶解性の向上、高分子化合物の合成のしやすさ、青色発光を得る等の観点からは、前記式(5)、(5A)、(5’)中のR6及びR7は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
【0081】
緑色発光を得る等の観点からは、前記式(5)、(5A)、(5’)中のR6及びR7は、アリール基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基で置換されたアリール基が好ましく、アリール基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、アシル基、1価の複素環基がより好ましく、アリール基、置換アミノ基、アシル基、1価の複素環基がさらに好ましく、アリール基、置換アミノ基がとりわけ好ましく、アリール基が特に好ましい。
【0082】
前記式(5)中のb及びcはそれぞれ独立に、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは2である。前記式(5’)中のb’及びc’はそれぞれ独立に、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0083】
得られる高分子化合物の溶解性の向上、高分子化合物の合成のしやすさ等の観点からは、前記式(5)、(5A)、(5’)中のR8及びR9は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基又はアリールアルコキシ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルキル基又はアリールアルコキシ基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基がさらに好ましく、アルキル基が特に好ましい。
【0084】
前記式(5)、(5A)、(5’)中のd及びeはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、さらに好ましくは1である。
【0085】
前記式(5)、(5A)、(5’)中のR6及びR7は同一であっても異なってもよいが、同一であることが好ましい。
【0086】
前記式(5)、(5A)、(5’)中、R6及びR7がそれぞれ独立にアリール基であり、R8及びR9がそれぞれ独立にアルキル基であること;R6及びR7がそれぞれ独立に置換アミノ基であり、R8及びR9がそれぞれ独立にアルキル基であることが好ましい。
【0087】
前記式(5)(前記(5A)で表されるものを含む)で表される2価の基としては、例えば、以下の(6A−1)、(6B−1)〜(6B−6)、(6C−1)〜(6C−5)、(6D−1)〜(6D−5)、(6E−1)〜(6E−3)、(6F−1)〜(6F−3)、(6G−1)〜(6G−3)、(6H−1)〜(6H−5)、(6I−1)、(6J−1)〜(6J−3)、(6K−1)〜(6K−9)、(6L−1)〜(6L−9)、(6M−1)〜(6M−9)、(6N−1)〜(6N−9)、(6P−1)〜(6P−3)、(6Q−1)〜(6Q−33)、(6R−1)〜(6R−7)、(6S−1)〜(6S−9)、(6T−1)〜(6T−18)、(6U−1)〜(6U−3)、(6V−1)〜(6V−10)等が挙げられる。
【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】

【0097】

【0098】

【0099】

【0100】

【0101】

【0102】

【0103】

【0104】

【0105】

【0106】

【0107】

【0108】

【0109】

【0110】

【0111】

【0112】

【0113】
前記式(5')で表される2価の基としては、例えば、以下の(5'A−1)、(5'B−1)〜(5'B−5)、(5'C−1)〜(5'C−5)、(5'D−1)〜(5'D−6)、(5'E−1)〜(5'E−2)、(5'F−1)〜(5'F−5)、(5'G−1)〜(5'G−5)、(5'H−1)〜(5'H−5)、(5'J−1)〜(5'J−4)、(5'K−1)〜(5'K−6)、(5'L−1)〜(5'L−6)等が挙げられる。
【0114】

【0115】

【0116】

【0117】

【0118】

【0119】

【0120】

【0121】

【0122】

【0123】

【0124】
−式(2)で表される繰り返し単位−
前記式(2)で表される繰り返し単位について説明する。
【0125】
前記式(2)中、Ar3はそれぞれ独立に非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は金属錯体構造を有する非置換若しくは置換の2価の基を表す。
【0126】
前記アリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つものを含む。前記アリーレン基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは6〜18であり、とりわけ好ましくは10〜14であり、特に好ましくは7である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。
【0127】
前記アリーレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等の非置換若しくは置換のフェニレン基;1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基等の非置換若しくは置換のナフタレンジイル基;1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等の非置換若しくは置換のアントラセンジイル基;2,7−フェナントレンジイル基等の非置換若しくは置換のフェナントレンジイル基;1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等の非置換若しくは置換のナフタセンジイル基;2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基等の非置換若しくは置換のフルオレンジイル基;1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基等の非置換若しくは置換のピレンジイル基;3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基等の非置換若しくは置換のペリレンジイル基等が挙げられ、好ましくは、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基である。
【0128】
前記アリーレン基が置換基を有する場合、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基又は1価の複素環基であることが好ましく、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0129】
前記2価の複素環基は、炭素数が通常4〜60程度、好ましくは4〜48であり、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは6〜22であり、とりわけ好ましくは6〜12であり、特に好ましくは12である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。前記2価の複素環基としては、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等の非置換若しくは置換のピリジンジイル基;2,5−チオフェンジイル基等の非置換若しくは置換のチオフェンジイル基;2,5−フランジイル基等の非置換若しくは置換のフランジイル基;2,6−キノリンジイル基等の非置換若しくは置換のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等の非置換若しくは置換のイソキノリンジイル基;5,8−キノキサリンジイル基等の非置換若しくは置換のキノキサリンジイル基;4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基等の非置換若しくは置換のベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基;4,7−ベンゾチアゾールジイル基等の非置換若しくは置換のベンゾチアゾールジイル基;2,7−カルバゾールジイル基、3,6−カルバゾールジイル基等の非置換若しくは置換のカルバゾールジイル基;3,7−フェノキサジンジイル基等の非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基;3,7−フェノチアジンジイル基等の非置換若しくは置換のフェノチアジンジイル基;2,7−ジベンゾシロールジイル基等の非置換若しくは置換のジベンゾシロールジイル基等が挙げられ、好ましくは、非置換若しくは置換のベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基、非置換若しくは置換のフェノチアジンジイル基である。
【0130】
前記2価の複素環基が置換基を有する場合、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基又は1価の複素環基であることが好ましく、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0131】
前記金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子と中心金属とを有する金属錯体の該有機配位子から水素原子を2個除いてなる残りの原子団を意味する。該有機配位子の炭素数は、通常4〜60程度である。前記有機配位子としては、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾール及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾール及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体等が挙げられる。
【0132】
前記金属錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウム等が挙げられる。
【0133】
前記金属錯体としては、低分子の蛍光材料、燐光材料として公知の金属錯体、三重項発光錯体等が挙げられる。
【0134】
前記金属錯体構造を有する2価の基としては、以下の式126〜132が例示される。













【0135】
前記式126〜132において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。また、前記式126〜132で表される2価の基が有する炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
【0136】
前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0137】
前記式(2)中、Ar3は、好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の9,10−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フェナントリレン基、非置換若しくは置換の5,12−ナフタセニレン基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の3,6−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の1,6−ピレンジイル基、非置換若しくは置換の1,8−ピレンジイル基、非置換若しくは置換の3,9−ペリレンジイル基、非置換若しくは置換の3,10−ペリレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−キノリンジイル基、非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−イソキノリンジイル基、非置換若しくは置換の5,8−キノキサリンジイル基、非置換若しくは置換の4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基又は非置換若しくは置換の3,7−フェノチアジンジイル基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の9,10−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の1,6−ピレンジイル基、非置換若しくは置換の3,9−ペリレンジイル基、非置換若しくは置換の3,10−ペリレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−キノリンジイル基、非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基、非置換若しくは置換の5,8−キノキサリンジイル基、非置換若しくは置換の4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基又は非置換若しくは置換の3,7−フェノチアジンジイル基であり、さらに好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の9,10−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の5,8−キノキサリンジイル基、非置換若しくは置換の4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基又は非置換若しくは置換の3,7−フェノチアジンジイル基であり、とりわけ好ましくは非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基又は非置換若しくは置換の3,7−フェノチアジンジイル基であり、特に好ましくは下記式(6)〜(10)で表される2価の基である。
【0138】

(式中、R10はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。fは0〜4の整数を表す。R10が複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を表す。)

(式中、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。)

(式中、R15は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。)

(式中、R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。)
【0139】
前記式(6)中、R10は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、アシル基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アシル基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0140】
前記式(6)中、fは、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、さらに好ましくは1又は2であり、特に好ましくは2である。
【0141】
前記式(7)中、R11及びR12はそれぞれ独立に、好ましくは、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基又はアリール基である。アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0142】
前記式(8)中、R13及びR14はそれぞれ独立に、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基又は1価の複素環基であり、さらに好ましくは、水素原子、又はアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子である。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0143】
前記式(9)中、R15は、好ましくは、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、アリール基である。前記アルキル基、アリール基、1価の複素環基及びアリールアルキル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0144】
前記式(10)において、R16は、好ましくは、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、アリール基である。前記アルキル基、アリール基、1価の複素環基及びアリールアルキル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0145】
−式(3)で表される繰り返し単位−
前記式(3)で表される繰り返し単位について説明する。
【0146】
前記式(3)中、Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は非置換若しくは置換の2つの芳香環が単結合で連結した2価の基を表す。
【0147】
Ar4、Ar5及びAr6で表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つものを含む。但し、Ar5は、通常、"非置換又は置換のピレンジイル基"以外のものである。前記アリーレン基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは6〜18であり、とりわけ好ましくは6〜10であり、特に好ましくは6である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。前記アリーレン基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,8−ペリレンジイル基等が挙げられる。
【0148】
Ar4、Ar5及びAr6で表される2価の複素環基は、炭素数が通常4〜60程度、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜5である。前記2価の複素環基としては、2,5−チオフェンジイル基、N−メチル−2,5−ピロールジイル基、2,5−フランジイル基、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,4−キノリンジイル基、2,6−キノリンジイル基、1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基、3,6−カルバゾールジイル基等が挙げられる。
【0149】
Ar4、Ar5及びAr6で表される2つの芳香環が単結合で連結した2価の基としては、以下の式(3A−1)〜式(3A−8)で表されるものが挙げられる。

【0150】
Ar4、Ar5及びAr6が置換基を有する場合、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれるものであり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基及び置換カルボキシル基からなる群から選ばれるものであり、とりわけ好ましくはアルキル基、アルコキシ基及びアリール基からなる群から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0151】
Ar4及びAr6は、好ましくは、非置換若しくは置換のアリーレン基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,5−ピリジンジイル基、非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基又は非置換若しくは置換の式(3A−1)で表される基であり、さらに好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基又は非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基であり、特に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基である。
【0152】
Ar5は、好ましくは、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の2,5−ピリジンジイル基、非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基、非置換若しくは置換の4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基、非置換若しくは置換の式(3A−1)で表される基又は非置換若しくは置換の式(3A−4)で表される基であり、より好ましくは非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の2,5−ピリジンジイル基、非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基又は非置換若しくは置換の式(3A−1)で表される基であり、さらに好ましくは非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基又は非置換若しくは置換の式(3A−1)で表される基である。
【0153】
1及びR2はそれぞれ独立に、好ましくは、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくは、アリール基である。前記アルキル基、アリール基、1価の複素環基及びアリールアルキル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0154】
前記式(3)で表される繰り返し単位としては、下記式(3B−1)〜(3B−4)が好ましい。これらの式中、Raは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。複数存在するRaは、同一であっても異なっていてもよい。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。

【0155】
−式(4)で表される繰り返し単位−
前記式(4)で表される繰り返し単位について説明する。
【0156】
Ar7は、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は非置換若しくは置換の金属錯体構造を有する2価の基を表す。
【0157】
ここで、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は非置換若しくは置換の金属錯体構造を有する2価の基の定義、具体例は、前記Ar3の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0158】
1は−CR3=CR4−又は−C≡C−を表す。
【0159】
3及びR4はそれぞれ独立に、好ましくは、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、より好ましくは、水素原子又はアリール基である。R3及びR4で表される基は、置換基を有していてもよい。前記アルキル基、アリール基、1価の複素環基及び置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0160】
前記式(4)で表される繰り返し単位の好ましい具体例としては、下記式(4A−1)〜(4A−11)が挙げられる。

【0161】
−構成単位/繰り返し単位の関係−
本発明の高分子化合物においては、高分子化合物の耐熱性、素子特性(発光効率、寿命)等の観点から、全構成単位と全繰り返し単位との合計モル数に対する、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される繰り返し単位、前記式(3)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位の合計モル数が90〜100%であることが好ましく、95〜100%であることがより好ましく、98〜100%であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0162】
また、本発明の高分子化合物においては、高分子化合物の耐熱性、素子特性(発光効率、寿命)等の観点から、全構成単位と全繰り返し単位との合計モル数に対する、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位の合計モル数が90〜100%であることが好ましく、95〜100%であることがより好ましく、98〜100%であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0163】
本発明の高分子化合物は、素子特性(発光効率)等の観点から、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上とを含むものが好ましく、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(2)で表される繰り返し単位の1種類以上とを含むもの、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(2)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(3)で表される繰り返し単位の1種類以上とを含むものがより好ましく、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(7)で表される繰り返し単位及び前記式(9)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上とを含むもの、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(3)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(7)で表される繰り返し単位及び前記式(9)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上とを含むもの、がさらに好ましく、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(7)で表される繰り返し単位1種類以上と、前記式(9)で表される繰り返し単位1種類以上とを含むもの、前記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(7)で表される繰り返し単位の1種類以上と、前記式(3B−1)〜(3B−4)で表される繰り返し単位の1種類以上とを含むものが特に好ましい。
【0164】
本発明の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常1×103〜1×108程度であり、好ましくは1×104〜1×106である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は通常1×103〜1×108程度であり、成膜性の観点及び素子にした場合の効率の観点から、好ましくは1×104〜5×106、より好ましくは3×104〜1×106である。
【0165】
本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、該高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基であることが好ましい。主鎖と共役結合しているものが好ましく、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は複素環基と結合している構造が挙げられ、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等も挙げられる。
【0166】
本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)〜(4)で表される繰り返し単位は、それぞれ、一種のみ含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0167】
本発明の高分子化合物は、如何なる共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。
【0168】
本発明の高分子化合物は、発光材料、電荷輸送材料等として有用であり、使用する際には、その他の高分子量の化合物と併用してもよい(即ち、後述の組成物として用いてもよい)。
【0169】
<高分子化合物の製造方法>
次に、本発明の高分子化合物の好ましい製造方法を説明する。
【0170】
本発明の高分子化合物は、例えば、前記式(a)で表される化合物の1種類以上と、前記式(b−1)で表される化合物、前記式(b−2)で表される化合物及び前記式(b−3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上とを縮合重合することにより製造することができる。
【0171】
前記式(a)、(b−1)〜(b−3)、(a−2)及び(a−3)中、Y1及びXAで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0172】
前記式(a)、(b−1)〜(b−3)中、Y1で表されるホウ酸エステル残基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。

【0173】
前記式(a−1)中、Raで表されるアルキル基及びアリール基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。
【0174】
前記式(a−1)で表されるスルホネート基としては、例えば、メタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基、フェニルスルホネート基、4−メチルフェニルスルホネート基等が挙げられる。
【0175】
前記式(a−4)中、Raで表されるアルキル基及びアリール基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。前記式(a−4)で表される基としては、例えば、トリメチルスタナニル基、トリエチルスタナニル基、トリブチルスタナニル基等が挙げられる。
【0176】
前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物は、予め合成し単離したものを用いてもよいし、反応系中で調製してそのまま用いてもよい。
【0177】
前記式(a)、(b−1)〜(b−3)中、Y1は、前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物の合成の簡便さや取り扱いやすさ等から、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基であることが好ましい。
【0178】
前記縮合重合の方法としては、前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物を、必要に応じて、適切な触媒や適切な塩基を用いて、反応させる方法が挙げられる。
【0179】
前記触媒としては、例えば、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクダジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体と、必要に応じて、さらにトリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子とからなる触媒が挙げられる。前記触媒は、予め合成したものを用いてもよいし、反応系中で調製したものをそのまま用いてもよい。前記触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0180】
前記触媒を用いる場合には、前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物のモル数の合計に対する遷移金属化合物の量として、0.00001〜3モル当量が好ましく、0.00005〜0.5モル当量がより好ましく、0.0001〜0.2モル当量がさらに好ましい。
【0181】
前記塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
【0182】
前記塩基を用いる場合には、前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物のモル数の合計に対して、0.5〜20モル当量が好ましく、1〜10モル当量がより好ましい。
【0183】
前記縮合重合は、溶媒の非存在下で行っても、溶媒の存在下で行ってもよいが、通常、有機溶媒存在下で行われる。
【0184】
前記有機溶媒は、前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物の種類や反応によって異なるが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等である。一般的に、副反応を抑制するために、脱酸素処理を行うことが望ましい。これらの有機溶媒は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0185】
前記有機溶媒の使用量は、前記式(a)、(b−1)〜(b−3)で表される化合物の合計濃度が、通常、0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%となる量である。
【0186】
前記縮合重合の反応温度は、好ましくは−100℃〜200℃であり、より好ましくは−80℃〜150℃であり、さらに好ましくは0℃〜120℃である。
【0187】
前記反応時間は、反応温度等の条件によるが、通常、1時間以上であり、好ましくは2〜500時間である。
【0188】
前記縮合重合は、脱水条件下で行うことが望ましいことがある。例えば、前記式(a)(b−1)〜(b−3)中のY1が、前記式(a−2)で表される基である場合には、脱水条件下で行う。
【0189】
前記縮合重合としては、例えば、Suzuki反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432〜433頁)、山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog.Polym.Sci.),第17巻,1153〜1205頁,1992年)等が挙げられる。
【0190】
前記縮合重合の後処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、メタノール等の低級アルコールに前記縮合重合で得られた反応溶液を加えて析出させた沈殿を濾過、乾燥する方法が挙げられる。
【0191】
前記後処理により本発明の高分子化合物が得られるが、該高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製すればよい。
【0192】
<高分子化合物の製造に有用な化合物>
前記高分子化合物の製造に有用な化合物としては、例えば、前記式(11)で表される化合物が挙げられる。
【0193】
前記式(11)中、R17はハロゲン原子を表す。R17が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子又はヨウ素原子であり、より好ましくは臭素原子である。
【0194】
hは1〜4の整数を表し、好ましくは1である。
【0195】
iは0〜4の整数を表し、好ましくは1である。
【0196】
前記式(11)中、Ar8は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。Ar8は好ましくは非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表し、より好ましくは非置換若しくは置換のアリール基を表す。
【0197】
前記Ar8で表されるアルキル基、アリール基及び1価の複素環基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様であるが、非置換又は置換のアリール基が好ましく、非置換又は置換のフェニル基、非置換又は置換のビフェニル基がより好ましい。また、それらの基が置換されている場合には、前記Zが有していてもよい置換基と同じもので置換され得るが、ホウ酸残基、ホウ酸エステル残基で置換されていてもよい。
【0198】
前記式(11)で表される化合物は、好ましくは下記式(12)又は下記式(13)で表される化合物である。

(式中、Ar8は、前記と同じ意味を有する。複数あるAr8は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、R8*は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。dは0〜5の整数である。R17、h及びiは、前記と同じ意味を有する。R8*及びR17がそれぞれ複数ある場合には、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるdは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0199】
前記式(13)中、R8*で表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基は、前記R8*として説明し例示したものと同じである。
前記式(13)中、R8*で表されるホウ酸残基又はホウ酸エステル残基は、Y1として説明し例示したものと同じである。
【0200】
前記式(13)で表される化合物は、好ましくは下記式(14)で表される化合物である。

(式中、R8*及びdは、前記と同じ意味を有する。R8*が複数ある場合には、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0201】
前記式(14)で表される化合物としては、例えば、下記式(14−1)〜(14−4)で表される化合物が挙げられる。

【0202】
前記高分子化合物の製造に有用な化合物としては、前記式(15)で表される化合物も挙げられる。前記式(15)で表される化合物は、前記式(13)で表される化合物の製造に特に有用である。
【0203】
前記式(15)中、R18で表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記Zが置換基を有する場合の置換基の項で説明した定義、具体例と同様である。R18は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基であり、さらに好ましくはアルキル基である。
【0204】
jは0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、特に好ましくは1である。
【0205】
前記式(15)で表される化合物は、好ましくは下記式(16)で表される化合物である。

(式中、Ar8、R8*及びdは前記のとおりである。複数あるAr8及びdは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R8*が複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0206】
前記式(16)で表される化合物は、好ましくは下記式(17)で表される化合物である。

(式中、R8*及びdは前記のとおりである。R8*が複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるdは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0207】
前記式(17)で表される化合物は、好ましくは下記式(18)で表される化合物である。

(式中、R8*及びdは、前記のとおりである。R8*が複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるdは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0208】
前記式(18)で表される化合物としては、例えば、下記式(18−1)〜(18−4)で表される化合物が挙げられる。

【0209】
本発明の高分子化合物の製造に有用な化合物の製造方法について、前記式(12)で表される化合物の製造方法を一例として説明する。
【0210】
前記式(12)で表される化合物は、前記式(19)で表される化合物とブロモ化剤とを反応させることを含む製造方法により得られる。なお、前記反応において、前記式(19)で表される化合物、ブロモ化剤は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0211】
前記ブロモ化剤としては、臭素、N−ブロモスクシンイミド、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロマイドが好ましく、テトラブチルアンモニウムトリブロマイドがより好ましい。
【0212】
<組成物>
本発明の組成物は、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と、本発明の高分子化合物とを含有するものである。この組成物は、例えば、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。
【0213】
前記正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の高分子化合物との含有比率は、用途に応じて決めればよいが、発光材料の用途の場合は、組成物全体の重量100重量部に対して、本発明の高分子化合物の重量が通常、20〜99重量部であり、好ましくは40〜95重量部である。
【0214】
本発明の組成物は、後述のとおり、有機溶媒等の溶媒を含有させることにより、溶液(「インク組成物」とも呼ばれる)として調製することもできる。詳細は、後述する。
【0215】
本発明の組成物のポリスチレン換算の数平均分子量は、通常、1×103〜1×108程度であり、好ましくは1×104〜1×106である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1×103〜1×108程度であり、成膜性の観点及び得られる素子の発光効率の観点から、1×104〜5×106であることが好ましい。ここで、本発明の組成物の平均分子量とは、該組成物をGPCで分析して求めた値をいう。
【0216】
<溶液(インク組成物)>
本発明の溶液は、本発明の高分子化合物と溶媒とを含有するものである。別の実施態様では、本発明の溶液は、本発明の組成物が溶媒を含有してなるものである。この溶液は、印刷法等に有用である。また、本発明の溶媒は、前記高分子化合物及び溶媒以外に、正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、安定剤、増粘剤(粘度を高めるための高分子量の化合物や貧溶媒)、粘度を下げるための低分子量の化合物、界面活性剤(表面張力を下げるためのもの)、酸化防止剤等を含んでいてもよい。
【0217】
本発明の溶液における本発明の高分子化合物の割合は、該溶液100重量部に対して、通常、1〜99.9重量部であり、好ましくは60〜99.5重量部であり、より好ましくは80〜99.0重量部である。
【0218】
本発明の溶液の粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の該溶液が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、25℃において、1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0219】
前記増粘剤として用いられる高分子量の化合物は、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、例えば、高分子量のポリスチレン、高分子量のポリメチルメタクリレート等を用いることができる。これらの高分子量の化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が50万以上であることが好ましく、100万以上であることがより好ましい。
【0220】
前記増粘剤として貧溶媒を用いることもできる。前記溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すればよい。保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体の質量100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることが更に好ましい。
【0221】
前記酸化防止剤は、本発明の溶液の保存安定性を向上させるためのものである。前記酸化防止剤としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が例示される。
【0222】
本発明の溶液の溶媒は、該溶液中の固形成分を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の高分子化合物等の溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、テトラリン、アニソール、エトキシベンゼン、シクロヘキサン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロヘキサノン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンがより好ましい。
【0223】
前記溶媒は、成膜性、素子特性等の観点から、2種類以上を組み合わせて用いることが好ましく、2〜3種類を組み合わせて用いることがより好ましく、2種類を組み合わせて用いることが特に好ましい。
【0224】
本発明の溶液中に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態のものでもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であることが好ましく、200℃以上の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種類の溶媒のいずれにも60℃において1重量%以上の芳香族重合体が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1重量%以上の芳香族重合体が溶解することが好ましい。
【0225】
本発明の溶液中に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、沸点が最も高い溶媒が、該溶液中の全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることがさらに好ましい。
【0226】
本発明の溶液に含まれる本発明の高分子化合物は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で該高分子化合物以外の高分子量の化合物を含んでいてもよい。
【0227】
本発明の溶液には、水、金属及びその塩を重量基準で1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。前記金属としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等が挙げられる。また、本発明の溶液には、ケイ素、リン、フッ素、塩素、臭素等を重量基準で1〜1000ppmの範囲で含まれていてもよい。
【0228】
<薄膜>
本発明の薄膜は、本発明の高分子化合物を含有するものであり、例えば、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜等である。
【0229】
本発明の薄膜は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等により作製することができるが、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、より好ましくは、インクジェット法により作製することができる。
【0230】
本発明の溶液を用いて薄膜を作製する場合、該溶液に含まれる本発明の高分子化合物のガラス転移温度が高いため、100℃以上の温度でベークすることが可能であり、130℃の温度でベークしても素子特性の低下が小さい。また、該高分子化合物の種類によっては、160℃以上の温度でベークすることもできる。
【0231】
発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
【0232】
前記導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。該導電性薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。
【0233】
前記有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度のいずれか大きい方が、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましく、10-3cm2/V/秒以上であることがより好ましく、10-1cm2/V/秒以上であることがさらに好ましい。SiO2等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に該有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0234】
<発光素子>
次に、本発明の発光素子について説明する。
【0235】
本発明の発光素子は、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた前記高分子化合物を含有する有機層とを有するものである。
【0236】
前記有機層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層及びインターレイヤー層からなる群から選ばれる1つ以上の層であることが好ましいが、その中に発光層が含まれること、あるいは前記有機層が発光層であることがより好ましい。
【0237】
前記発光層は、発光する機能を有する層を意味する。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層を意味する。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層を意味する。インターレイヤー層は、発光層と陽極との間で発光層に隣接して存在し、発光層と陽極、又は発光層と、正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割をもつ層のことである。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層という。また、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層という。発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層及びインターレイヤー層は、各々、一層のみからなるものでも二層以上からなるものでもよい。
【0238】
前記有機層が発光層である場合には、該発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料又は発光材料を含んでいてもよい。ここで、発光材料とは、蛍光及び/又は燐光を示す材料(但し、本発明の高分子化合物を除く)を意味する。
【0239】
前記有機層が、本発明の高分子化合物と正孔輸送材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物と正孔輸送材料との合計100重量部に対する該正孔輸送材料の割合は、通常、1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。
前記有機層が、本発明の高分子化合物と電子輸送材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物と電子輸送材料との合計100重量部に対する該電子輸送材料の割合は、通常、1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。
前記有機層が、本発明の高分子化合物と発光材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物と発光材料との合計100重量部に対する該発光材料の割合は、通常、1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。
前記有機層が、本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる2種以上とを含有する場合には、それらの合計100重量部に対する発光材料の割合は、通常、1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部であり、それらの合計100重量部に対する正孔輸送材料及び電子輸送材料の合計割合は、通常、1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部である。
【0240】
前記正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料は、公知の低分子量の化合物、三重項発光錯体、又は高分子量の化合物が使用できるが、高分子量の化合物を用いることが好ましい。
【0241】
前記高分子量の化合物としては、例えば、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開平2001−181618、特開平2001−123156、特開平2001−3045、特開平2000−351967、特開平2000−303066、特開平2000−299189、特開平2000−252065、特開平2000−136379、特開平2000−104057、特開平2000−80167、特開平10−324870、特開平10−114891、特開平9−111233、特開平9−45478等に記載されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が挙げられる。
【0242】
前記低分子量の化合物としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等が挙げられ、特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等も挙げられる。
【0243】
前記三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、Btp2Ir(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen等が挙げられ、例えば、Nature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1), 103、Syn. Met., (1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852 、Jpn.J.Appl.Phys.,34, 1883 (1995)等に記載されている。

【0244】
前記発光層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0245】
前記発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が挙げられる。溶液からの成膜による方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができるが、パターン形成や多色の塗分けの容易性の観点から、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
【0246】
本発明の発光素子は、素子の輝度等の観点から、陽極と陰極との間に3.5V以上の電圧を印加したときの最大外部量子収率が1%以上であることが好ましく、1.5%以上がより好ましい。
【0247】
本発明の発光素子としては、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた発光素子、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子等が挙げられる。
【0248】
具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0249】
また、これら構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。即ち、a’)〜d’)の構造が例示される。
a’)陽極/インターレイヤー層/発光層/陰極
b’)陽極/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/陰極
c’)陽極/インターレイヤー層/発光層/電子輸送層/陰極
d’)陽極/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/電子輸送層/陰極
【0250】
本発明の発光素子が正孔輸送層を有する場合、該正孔輸送層には、通常、前記正孔輸送材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物)が含まれる。該正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等や、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0251】
これらの中でも、高分子量の化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が好ましく、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体がより好ましい。
【0252】
これらの中でも、低分子量の化合物としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が例示される。これらの低分子量の化合物は、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0253】
前記高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害せず、可視光に対する吸収が強くないものが好ましい。該高分子バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0254】
ポリビニルカルバゾール及びその誘導体は、例えば、ビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
【0255】
ポリシラン及びその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0256】
ポリシロキサン及びその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に前記低分子量の正孔輸送材料の構造を有するものが好ましく、正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものがより好ましい。
【0257】
正孔輸送層の成膜の方法は、低分子量の化合物を用いる場合には、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示され、高分子量の化合物を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0258】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0259】
溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0260】
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0261】
本発明の発光素子が電子輸送層を有する場合、該電子輸送層には、通常、前記電子輸送材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物)が含まれる。該電子輸送材料としては、公知のものが使用できるが、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等や、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。これらの中でも、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0262】
電子輸送層の成膜法は、低分子量の化合物を用いる場合には、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が例示され、高分子量の化合物を用いる場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が例示される。溶液又は溶融状態からの成膜による方法では、前記高分子バインダーを併用してもよい。
【0263】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0264】
溶液又は溶融状態からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0265】
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0266】
前記正孔注入層、電子注入層は、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものである。
【0267】
電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記電荷注入層又は絶縁層(通常、平均厚さで0.5〜4.0nmであり、以下、同じである)を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0268】
積層する層の順番や数及び各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0269】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子が挙げられる。その具体例としては、e)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。なお、この場合、インターレイヤー層が正孔注入層及び/又は正孔輸送層を兼ねてもよい。
【0270】
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
【0271】
前記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5〜103S/cmであることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5〜102S/cmがより好ましく、10-5〜101S/cmがさらに好ましい。
【0272】
前記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5〜103S/cmであることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5〜102S/cmがより好ましく、10-5〜101S/cmがさらに好ましい。通常、該導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0273】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が例示され、カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が例示される。
【0274】
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等が例示される。
【0275】
前記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。前記絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
【0276】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。なお、この場合、インターレイヤー層が正孔注入層及び/又は正孔輸送層を兼ねてもよい。
【0277】
上記の構造a)〜ab)にインターレイヤー層を適用する構造について、インターレイヤー層としては、陽極と発光層との間に設けられ、陽極又は正孔注入層若しくは正孔輸送層と、発光層を構成する高分子化合物との中間のイオン化ポテンシャルを有する材料で構成されることが好ましい。
【0278】
インターレイヤー層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の芳香族アミンを含むポリマーが例示される。
【0279】
インターレイヤー層の成膜方法は、高分子量の材料を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0280】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、インターレイヤー層に用いる材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0281】
溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0282】
インターレイヤー層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0283】
インターレイヤー層を発光層に隣接して設ける場合、特に両方の層を塗布法により形成する場合には、2つの層の材料が混合して素子の特性等に対して好ましくない影響を与えることがある。インターレイヤー層を塗布法で形成した後、発光層を塗布法で形成する場合、2つの層の材料の混合を少なくする方法としては、インターレイヤー層を塗布法で形成し、該インターレイヤー層を加熱して発光層作成に用いる有機溶媒に対して不溶化した後、発光層を形成する方法が挙げられる。前記加熱の温度は、通常、150〜300℃程度である。前記加熱の時間は、通常、1分〜1時間程度である。この場合、加熱により溶媒不溶化しなかった成分を除くため、加熱後、発光層を形成する前に、該インターレイヤー層を発光層形成に用いる溶媒でリンスすればよい。加熱による溶媒不溶化が十分に行われた場合は、該リンスが省略できる。加熱による溶媒不溶化が十分に行われるためには、インターレイヤー層に用いる高分子量の化合物として分子内に少なくとも一つの重合可能な基を含むものを用いることが好ましい。さらに、前記重合可能な基の数が、分子内の構成単位の数に対して5%以上であることが好ましい。
【0284】
本発明の発光素子を形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の材料からなるものが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0285】
本発明の発光素子が有する陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
【0286】
前記陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられ、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO;以下、「ITO」という)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESA等)、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。該陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。陽極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0287】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50〜500nmである。
【0288】
陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層;金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる絶縁層を設けてもよい。
【0289】
前記陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、又はそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、並びにグラファイト及びグラファイト層間化合物等が用いられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0290】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜調整すればよく、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50〜500nmである。
【0291】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、又は金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均厚さ2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該高分子発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0292】
該保護層としては、高分子量の化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。該保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、該保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子の損傷を防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分又は硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が素子に損傷を与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策を採ることが好ましい。
【0293】
本発明の発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
【0294】
本発明の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
【0295】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、或いは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0296】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(数平均分子量及び重量平均分子量)
実施例において、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。測定する高分子化合物は、約0.5重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相にはテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0297】
(蛍光スペクトル)
蛍光スペクトルの測定は以下の方法で行った。測定する高分子化合物の0.8重量%トルエン溶液を石英上にスピンコートして該高分子化合物の薄膜を作製した。この薄膜を350nmの波長で励起し、蛍光分光光度計(堀場製作所製、商品名:Fluorolog)を用いて、該高分子化合物の蛍光スペクトルを測定した。薄膜での相対的な蛍光強度を得るために、水のラマン線の強度を標準に、波数プロットした蛍光スペクトルをスペクトル測定範囲で積分して、分光光度計(Varian社製、商品名:Cary5E)を用いて測定した"励起波長での吸光度"で割り付けた値を求めた。
【0298】
<合成例1>(ジブロモピレンの合成)
ピレン10.0g(49.4mmol)をクロロホルム250mLに溶解し調製した溶液に、攪拌しながら、臭素16gとクロロホルム100mLからなる溶液を23℃にて7時間かけて滴下した。さらに1時間攪拌した後、得られた反応液(結晶を含む)をろ過し、結晶を得た。この結晶をクロロホルムで洗浄した後、減圧乾燥することにより、ジブロモピレン11.3gを得た(収率63%、1,6−ジブロモピレン:1,8−ジブロモピレン=59:41(以下、「合成例1で合成したジブロモピレン」という。))。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 358 [M]+
【0299】
<合成例2>(化合物1の合成)
合成例1で合成したジブロモピレン(2.0g、5.6mmol)に、4−t−ブチルフェニルホウ酸(2.2g、12.2mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336(以下、「Aliquat336」という)、アルドリッチ製、0.74g)、酢酸パラジウム(1.3mg)、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン(13.3mg)、トルエン(58mL)、及び炭酸ナトリウム水溶液(17.8mmol)を加え、100℃で4時間攪拌した。得られた反応液を室温に冷却した後、該反応液(結晶を含む)をろ過し、結晶を得た。この結晶をトルエン、水、メタノールの順番で洗浄した後、減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物1を1.2g得た(収率47%)。
1H−NMR:(299.4 MHz, CDCl3) : 1.45 (s,18H), 7.59(s,8H), 8.00(m, 4H), 8.22(m, 4H)
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 467 [M+H]+
【0300】
<合成例3>(化合物2の合成)
化合物1(1.15g、2.5mmol)とクロロホルム(240mL)とからなる溶液に、攪拌しながら、臭素(0.9g)とクロロホルム(12mL)からなる溶液を20℃で30分かけて滴下し、さらに6時間攪拌した。そこに、メタノール(250mL)を加え、得られた反応液(結晶を含む)をろ過し、結晶を得た。この結晶を濾過し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物2(1.6g、収率:100%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 622 [M]+
【0301】
<合成例4>(化合物3の合成)
化合物2(1.0g、1.6mmol)に、(4−t−ブチル−フェニル)フェニルアミン(0.8g、3.4mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(19.4g、201mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(0.78g)、トリ−t−ブチルホスフィン(0.78g、3.9mmol)及びトルエン(250mL)を加え、100℃で2.5時間攪拌した。室温に冷却した後、得られた溶液に水(200mL)を加えて攪拌し、油相を水相と分離し、油相を、シリカゲルカラムを通液させ、濃縮乾固した。次いで、テトラヒドロフランとメタノールを用いて再結晶することにより、下記式:

で表される化合物3を(1.3g、収率:84%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 913 [M+H]+
【0302】
<合成例5>(化合物4の合成)
化合物3(0.61g、0.7mmol)とクロロホルム(150g)とからなる溶液に、N−ブロモスクシンイミド(0.24g、1.3mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(2.7mL)からなる溶液を攪拌しながら25℃で5分かけて滴下した。得られた溶液を、さらに9時間攪拌した後、水(30mL)を加えて攪拌し、油相を水相と分離した。該油相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固した。次いで、クロロホルム(85mL)を加えて調製した溶液に、メタノール(73g)を滴下し、混合液(結晶を含む)を得た。この混合液(結晶を含む)を濾過し、得られた結晶を減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物4(0.7g、収率:100%)得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 1069 [M+H]+
【0303】
<合成例6>(1,3,6,8−テトラブロモピレンの合成)
ピレン(20.0g、98.9mmol)にニトロベンゼン(750mL)を加え、攪拌しながら臭素(70.7g、438mmol)を120℃で滴下し、さらに2時間攪拌した。室温まで冷却した後、得られた反応液(結晶を含む)を濾過し、結晶を得た。該結晶をエタノール、トルエンで順番に洗浄し、減圧乾燥して、1,3,6,8−テトラブロモピレン(49.6g、収率:97%)を得た。
【0304】
<合成例7>(化合物5の合成)
合成例6で合成した1,3,6,8−テトラブロモピレン(1.5g、2.9mmol)に、(4−オクチルフェニル)フェニルアミン(3.5g、12.5mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(1.4g、14.5mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(80mg)、トリ−t−ブチルホスフィン(70mg)及びo−キシレン(34mL)を加え、130℃で4時間攪拌した。得られた反応液を室温に冷却した後、トルエン(60mL)を加えて攪拌し、濾過して得られた濾液を濃縮乾固した。次いで、得られた固体に2−プロパノールを加えて攪拌した後、得られた反応液(固体を含む)を濾過して固体を得た。該固体を減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物5(0.82g、収率:28%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 1320 [M+H]+
【0305】
<合成例8>(化合物6の合成)
化合物5(0.50g、0.4mmol)とクロロホルム10gとからなる溶液に、N−ブロモスクシンイミド(0.28g、1.5mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(3.2mL)とからなる溶液を攪拌しながら、室温で5分間かけて滴下した。得られた混合液を、さらに室温で15時間攪拌した後、そこに水(10mL)を加えて攪拌し、有機相を水相と分離した。次いで、該有機相を2回水洗し、濃縮乾固し、固体を得た。該固体を酢酸エチルで再結晶することにより、下記式:

で表される化合物6(0.34g、収率:55%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 1630 [M+H]+
【0306】
<合成例9>(化合物11の合成)
不活性ガス雰囲気下、ジフェニルアミン(30.0g、0.177mol)をクロロホルム383mLに溶解し、0〜5℃の範囲でテトラブチルアンモニウムトリブロマイド(171.0g、0.355mol)とクロロホルム766mLからなる溶液を4時間かけて滴下し、さらに0〜5℃の範囲で1時間攪拌した。次いで、水(30mL)を加えて攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(540mL)を加えて攪拌し、有機層を水層から分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固した。次いで、得られた固体にヘキサン900mLを加え攪拌し、混合液(結晶を含む)を得た。この混合液(結晶を含む)を濾過し、得られた結晶を減圧乾燥することにより白色固体を162.4g得た。この白色固体135.6gをトルエン1650mLに溶解し、水2Lで5回洗浄し、油相を濃縮乾固、減圧乾燥することにより下記式:

で表される化合物11(39.6g、収率81.5%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 325 M+
【0307】
<合成例10>(化合物12の合成)
不活性ガス雰囲気下、化合物11(26.0g、79.5mmol)に、2−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(43.4g、167.0mmol)、Aliquat336(10.4g)、酢酸パラジウム(180.5mg)、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン(1936.5mg)及びトルエン436mLを加えた。次いで、100℃にて17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液を154mL滴下し、さらに100℃で2時間攪拌した。次いで、水層を除去し、有機層を濃縮乾固して固体を得た。該固体にトルエン2Lを加え1.5時間攪拌し、上層にシリカゲル、下層にラヂオライトを積層させた濾過器を使用して、濾過を行った。得られた濾液を400mLまで濃縮し、還流させるまで加熱して均一溶液とした後、室温で2時間静置させて析出してきた結晶を濾過、減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物12(18.1g、収率:62.6%)を得た。
LC−MS(APCI−MS(posi)) : 434 [M+H]+
【0308】
<合成例11>(化合物13の合成)
不活性ガス雰囲気下、化合物12(18.3g、42.2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.186g、0.2mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.237g、0.8mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(4.55g、47.3mmol)にトルエン110mL加え、80℃まで加熱攪拌し、溶解させた。得られた溶液に80℃でジブロモピレン(7.42g、20.6mmol)を10分かけて加え、100℃で1時間攪拌した。室温に冷却後、反応溶液にトルエン190mLを加えて攪拌し、シリカゲルを積層させた濾過器を通液させ、濾液を濃縮乾固した。得られた固体を酢酸エチルで再結晶を行い、下記式:

で表される化合物13を得た。(16.7g、収率75.9%)
LC−MS(APCI−MS(posi)) : 1065 [M+H] +
【0309】
<合成例12>(化合物14の合成)
不活性ガス雰囲気下、化合物13(15.0g、14.1mmol)をクロロホルム(270mL)に溶解させ、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド(13.6g、28.2mmol)とクロロホルム(70mL)からなる溶液を24〜28℃で1.5時間かけて滴下し、さらに同温度にて26時間攪拌した。次いで、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド(1.4g、2.8mmol)とクロロホルム(6.4mL)からなる溶液を24〜28℃で45分かけて滴下し、さらに同温度で19時間攪拌した。次いで、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド(1.7g、3.5mmol)とクロロホルム(8mL)からなる溶液を24〜28℃で1時間かけて滴下し、さらに同温度で3時間20分攪拌した。次いで、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド(3.4g)とクロロホルム(16mL)からなる溶液を24〜28℃で1時間かけて滴下し、さらに同温度で5時間攪拌した。次いで、5重量%亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を水層と分離し、該有機層を濃縮乾固し固体を得た。該固体にトルエン400mLを加え均一溶液とし、該有機層を5回水洗し、有機層をシリカゲルカラムを積層させた濾過器を通液させ、得られた濾液を濃縮乾固した。得られた固体をテトラヒドロフランにて再結晶することにより、下記式:

で表される化合物14(8.5g、収率49%)を得た。
LC−MS(APCI−MS(posi)) : 1221 [M+H]+
【0310】
<合成例13>(化合物15の合成)
不活性ガス雰囲気下、オクチルフェニルフェニルアミン(1.9g、6.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(29.9mg、0.03mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(37.9mg、0.13mmol)、及びナトリウムtert−ブトキシド(1.01g、10.5mmol)に、トルエン40mL加え、80℃まで加熱攪拌し、溶解させた。該溶液に80℃で化合物14(4.0g、3.3mmol)を加え、100℃で5時間攪拌した。室温に冷却後、トルエン40mLを加えて攪拌し、シリカゲルを積層させた濾過器を通液させ、濃縮乾固した。得られた固体を1−クロロブタンにて再結晶することにより、下記式:

で表される化合物15(5.0g、収率94%)を得た。
LC−MS(APCI−MS(posi)) : 1624 [M+H]+
【0311】
<合成例14>(化合物16の合成)
不活性ガス雰囲気下、化合物15(1.2g、0.74mmol)をクロロホルム(182mL)に溶解させ、N−ブロモスクシンイミド(0.26g、1.48mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)からなる溶液を室温で35分かけて滴下し、さらに同温度で3時間20分攪拌した。次いで、N−ブロモスクシンイミド(9.2mg、0.05mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)からなる溶液を室温で5分かけて滴下し、さらに同温度で2時間攪拌した。次いで、N−ブロモスクシンイミド(6.0mg、0.03mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)からなる溶液を室温で3分かけて滴下し、さらに同温度で2時間攪拌した。次いで、5重量%Na2SO3水溶液を加え、有機層を水相から分離し、該有機層を100mLの水で3回洗浄し、該有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固、減圧乾燥し、固体を得た。該固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶を2回実施し、下記式:

で表される化合物16(0.62g、収率49%)を得た。
LC−MS(APCI−MS(posi)) : 1780 [M+H]+
【0312】
<合成例15>(化合物17の合成)
合成例1で合成したジブロモピレン(3.0g、8.3mmol)に、4−シアノフェニルホウ酸(4.2g、18.3mmol)、Aliquat336(1.1g)、酢酸パラジウム(1.9mg)、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン(20.6mg)、トルエン(85mL)及び炭酸ナトリウム水溶液(26.7mmol)を加え、100℃で9時間攪拌した。室温に冷却した後、反応液(結晶を含む)を得た。この反応液(結晶を含む)を濾過し、得られた結晶をトルエン、メタノール、水で順番に洗浄し、減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物17(1.9g、収率:85%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 404 [M]+
【0313】
<合成例16>(化合物18の合成)
化合物17を1.6g(0.4mmol)と、N−ブロモスクシンイミド1.7g(9.5mmol)と、N,N−ジメチルホルムアミド380mLとからなる懸濁液を50℃で攪拌した。高速液体クロマトグラフィーで後述の化合物18の面積百分率が65%になるまでN−ブロモスクシンイミドを加えた。得られた混合液に水を加えて析出した結晶を濾過、減圧乾燥して固体を得た。次いで、該固体にN,N−ジメチルホルムアミドを加え120℃で攪拌した後、室温まで冷却して析出した結晶を濾過し、減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物18(1.45g、収率:70%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 560 [M]+
【0314】
<合成例17>(化合物19の合成)
化合物18(1.1g、2.4mmol)に、(4−オクチルフェニル)フェニルアミン(1.4g、5.0mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(28.2g、292mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム(1.1g)、トリ−t−ブチルホスフィン(1.1g)及びトルエン(340mL)を加え、100℃で6時間攪拌した。得られた反応液を、室温に冷却した後、該反応液を濾過し、得られた濾液を濃縮乾固し、固体を得た。該固体にメタノールを加えて攪拌した後、得られた結晶を濾過し、減圧乾燥することにより、下記式:

で表される化合物19(1.5g、収率80%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 963 [M+H]+
【0315】
<合成例18>(化合物20の合成)
化合物19(0.57g、0.6mmol)とクロロホルム(50g)とからなる溶液に、N−ブロモスクシンイミド(0.21g、1.1mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)とからなる溶液を、攪拌しながら、室温で5分間かけて滴下し、さらに室温で7時間攪拌した。次いで、得られた反応液に水25mLを加えて攪拌し、そこにクロロホルムと水を加えて攪拌した後、有機層を水層から分離し、有機層を水で2回洗浄し、濃縮乾固して固体を得た。該固体をトルエンと2−プロパノールとを用いて再結晶することにより、下記式:

で表される化合物20(0.44g、収率:67%)を得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 1119 [M+H]+
【0316】
<比較例1>(高分子化合物1の合成)
不活性雰囲気下、下記式:

で表される化合物7(1.34g、2.52mmol)、下記式:

で表される化合物8(1.30g、2.37mmol)、下記式:

で表される化合物9(0.11g、0.15mmol)、酢酸パラジウム(1.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(18.7mg)、Aliquat336(0.33g)及びトルエン(25ml)を混合し、105℃に加熱した。得られた反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6.9ml)を滴下し、30分還流させた。反応後、得られた反応溶液にフェニルホウ酸(30.8mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いで、そこにジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(33ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(33ml)で2回、水(33ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(390mL)に滴下し、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(78mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(390ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物1」という)の収量は1.5gであった。
高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は1.4×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.5×105であり、蛍光強度は4.6であった。
高分子化合物1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位とが、97:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0317】
<実施例1>(高分子化合物2の合成)
不活性雰囲気下、化合物7(1.14g、2.16mmol)、化合物8(1.11g、2.03mmol)、化合物4(0.14g、0.13mmol)、酢酸パラジウム(1.5mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(15.9mg)、Aliquat336(0.28g)及びトルエン(22ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(5.9ml)を滴下し、30分還流させた。反応後、フェニルホウ酸(26.3mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(28ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(28ml)で2回、水(28ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(330mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(70mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(330ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物2」という)の収量は1.4gであった。
高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量は1.0×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.4×105であり、蛍光強度は6.8であった。
高分子化合物2は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位とが、97:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0318】
<実施例2>(高分子化合物3の合成)
不活性雰囲気下、下記式:

で表される化合物10(1.79g、3.05mmol)、化合物6(0.15g、0.09mmol)、酢酸パラジウム(1.3mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(14.1mg)、Aliquat336(0.25g)及びトルエン(18ml)を混合し、105℃に加熱した。得られた反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(5.2ml)を滴下し、1時間還流させた。反応後、そこにフェニルホウ酸(23.2mg)を加え、得られた反応溶液をさらに3時間還流させた。次いで、そこにジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で3時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(25ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(25ml)で2回、水(25ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(300mL)に滴下し、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(60mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(300ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物3」という)の収量は0.8gであった。
高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量は2.3×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.0×104であり、蛍光強度は9.1であった。
高分子化合物3は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位とが、97:3のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0319】
<実施例3>(高分子化合物4の合成)
不活性雰囲気下、化合物7(1.33g、2.52mmol)、化合物8(1.30g、2.38mmol)、化合物16(0.28g、0.15mmol)、酢酸パラジウム(1.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(18.7mg)、Aliquat336(0.33g)及びトルエン(26ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6.9ml)を滴下し、2.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(30.8mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で3.5時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(33ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(33ml)で2回、水(33ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(390mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(79mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(390ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物4」という)の収量は1.5gであった。
高分子化合物4のポリスチレン換算の数平均分子量は9.1×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.2×105であり、蛍光強度は5.6であった。
高分子化合物4は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位とが、97:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0320】
<実施例4>(高分子化合物5の合成)
不活性雰囲気下、化合物7(1.03g、1.94mmol)、化合物8(1.00g、1.82mmol)、化合物20(0.14g、0.12mmol)、酢酸パラジウム(1.3mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(14.4mg)、Aliquat336(0.25g)及びトルエン(19ml)を混合し、105℃に加熱した。得られた反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(5.3ml)を滴下し、14時間還流させた。反応後、そこにフェニルホウ酸(23.7mg)を加え、得られた反応溶液をさらに2時間還流させた。次いで、そこにジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(25ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(25ml)で2回、水(25ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(300mL)に滴下し、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(60mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(300ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物5」という)の収量は1.1gであった。
高分子化合物5のポリスチレン換算の数平均分子量は1.3×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.7×104であり、蛍光強度は4.8であった。
高分子化合物5は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位とが、97:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0321】
<合成例19>(高分子化合物6の合成)
不活性雰囲気下、上記化合物7(5.20g)、下記式:

で表される化合物21(5.42g)、酢酸パラジウム(2.2mg)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(15.1mg)、Aliquat336(0.91g)及びトルエン(70ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(19ml)を滴下し、4時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(121mg)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(60ml)で3回、3重量%酢酸水溶液(60ml)で4回、水(60ml)で3回洗浄し、得られたトルエン溶液を、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(3L)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物6」という)の収量は5.25gであった。
高分子化合物6のポリスチレン換算の数平均分子量は1.2×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×105であった。
高分子化合物6は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位とが、50:50のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0322】
<実施例5>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、商品名:BaytronP;以下、「BaytronP」という)の懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥した。高分子化合物2をキシレン(関東化学ELグレード)に1.3重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約110nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Aを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物2(約110nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0323】
高分子発光素子Aに電圧を引加することにより、ピーク波長495nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Aは緑色発光を示し、6.0Vでの外部量子効率は2.3%であった。
【0324】
<実施例6>
実施例5において、高分子化合物2をキシレン(関東化学ELグレード)に1.3重量%の濃度で溶解させる代わりに、高分子化合物3をキシレン(関東化学ELグレード)に2.0重量%の濃度で溶解させた以外は、実施例5と同様にして、高分子発光素子Bを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物3(約110nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0325】
高分子発光素子Bに電圧を引加することにより、ピーク波長510nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Bは緑色発光を示し、6.0Vでの外部量子効率は0.9%であった。
【0326】
<比較例2>
実施例5において、高分子化合物2をキシレン(関東化学ELグレード)に1.3重量%の濃度で溶解させる代わりに、高分子化合物1をキシレン(関東化学ELグレード)に2.0重量%の濃度で溶解させた以外は、実施例5と同様にして、高分子発光素子Cを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物1(約110nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0327】
高分子発光素子Cに電圧を引加することにより、ピーク波長525nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Cは緑色発光を示し、6.0Vでの外部量子効率は0.6%であった。
【0328】
【表1】

【0329】
【表2】

【0330】
表1及び表2から、本発明の高分子化合物(実施例)は、その他の高分子化合物(比較例)に対して、外部量子収率が高く(即ち、発光効率が高く)、蛍光強度は同等以上であり、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れていると認められる。
【0331】
<実施例7>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥した。高分子化合物4をキシレン(関東化学ELグレード)に1.8重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約140nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Dを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物4(約140nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0332】
高分子発光素子Dに電圧を引加することにより、ピーク波長520nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Dは緑色発光を示し、6.0Vでの外部量子効率は1.3%であった。
【0333】
<比較例3>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥した。高分子化合物1をキシレン(関東化学ELグレード)に1.4重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約140nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Eを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物1(約140nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0334】
高分子発光素子Eに電圧を引加することにより、ピーク波長525nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Eは緑色発光を示し、6.0Vでの外部量子効率は0.5%であった。
【0335】
【表3】

【0336】
表1及び表3から、本発明の高分子化合物(実施例)は、その他の高分子化合物(比較例)に対して、外部量子収率が高く(即ち、発光効率が高く)、蛍光強度も高く、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れていると認められる。
【0337】
<実施例8>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥した。高分子化合物6をキシレン(関東化学ELグレード)に0.5重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約10nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、15分乾燥した。高分子化合物4をキシレン(関東化学ELグレード)に1.8重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約130nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Fを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物6(10nm)/高分子化合物4(約130nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0338】
高分子発光素子Fに電圧を引加することにより、ピーク波長520nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Fは緑色発光を示し、8.0Vでの外部量子効率は1.1%であった。
【0339】
<実施例9>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥した。高分子化合物6をキシレン(関東化学ELグレード)に0.5重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約10nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、15分乾燥した。高分子化合物5をキシレン(関東化学ELグレード)に2.5重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約130nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Gを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物6(10nm)/高分子化合物5(約130nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0340】
高分子発光素子Gに電圧を引加することにより、ピーク波長540nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Gは緑色発光を示し、8.0Vでの外部量子効率は1.4%であった。
【0341】
<比較例4>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥した。高分子化合物6をキシレン(関東化学ELグレード)に0.5重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約10nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、15分乾燥した。高分子化合物1をキシレン(関東化学ELグレード)に1.4重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約130nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Hを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物6(10nm)/高分子化合物1(約130nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0342】
高分子発光素子Hに電圧を引加することにより、ピーク波長530nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Hは緑色発光を示し、8.0Vでの外部量子効率は0.7%であった。
【0343】
【表4】

【0344】
表1及び表4から、本発明の高分子化合物(実施例)は、その他の高分子化合物(比較例)に対して、外部量子収率が高く(即ち、発光効率が高く)、蛍光強度は同等以上であり、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れていると認められる。
【0345】
<比較例5>(高分子化合物7の合成)
不活性雰囲気下、化合物7(1.32g、2.50mmol)、化合物8(1.15g、2.10mmol)、下記式:

で表される化合物22(0.12g、0.25mmol)、化合物9(0.10g、0.15mmol)、酢酸パラジウム(1.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(18.5mg)、Aliquat336(0.32g)及びトルエン(41ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(6.8ml)を滴下し、1.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(30.5mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(33ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(33ml)で2回、水(33ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(500mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(78mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(500ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物7」という)の収量は1.4gであった。
高分子化合物7のポリスチレン換算の数平均分子量は1.7×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.2×105であり、蛍光強度は4.1であった。
高分子化合物7は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位が、92:5:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0346】
<実施例10>(高分子化合物8の合成)
不活性雰囲気下、化合物7(0.66g、1.25mmol)、化合物8(0.58g、1.05mmol)、化合物22(0.06g、0.13mmol)、化合物16(0.14g、0.08mmol)、酢酸パラジウム(0.8mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(9.3mg)、Aliquat336(0.16g)、及びトルエン(22ml)を混合し、105℃に加熱した。得られた反応溶液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(3.4ml)を滴下し、1.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(15.3mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(16ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(16ml)で2回、水(16ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(200mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(39mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(200ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物8」という)の収量は0.7gであった。
高分子化合物8のポリスチレン換算の数平均分子量は1.3×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.0×105であり、蛍光強度は4.2であった。
高分子化合物8は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位が、92:5:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0347】
<実施例11>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。高分子化合物8をキシレン(関東化学ELグレード)に1.9重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約120nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いで、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Iを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物8(約120nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0348】
高分子発光素子Iに電圧を引加することにより、ピーク波長520nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Iは緑色発光を示し、10.0Vでの外部量子効率は0.7%であった。
【0349】
<比較例6>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。高分子化合物7をキシレン(関東化学ELグレード)に1.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約120nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いで、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Jを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物7(約120nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0350】
高分子発光素子Jに電圧を引加することにより、ピーク波長525nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Jは緑色発光を示し、10.0Vでの外部量子効率は0.3%であった。
【0351】
【表5】

【0352】
【表6】

【0353】
表5及び表6から、本発明の高分子化合物(実施例)は、その他の高分子化合物(比較例)に対して、外部量子収率が高く(即ち、発光効率が高く)、蛍光強度は同等以上であり、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れていると認められる。
【0354】
<比較例7>(高分子化合物9の合成)
不活性雰囲気下、化合物7(0.79g、1.50mmol)、化合物8(0.69g、1.26mmol)、下記式:

で表される化合物23(0.10g、0.15mmol)、化合物9(0.06g、0.09mmol)、酢酸パラジウム(1.0mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(11.1mg)、Aliquat336(0.19g)及びトルエン(26ml)を混合し、105℃に加熱した。得られた反応溶液に、2M炭酸ナトリウム水溶液(4.1ml)を滴下し、2.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(18.3mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(20ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(20ml)で2回、水(20ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(233mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(57mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(230ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物9」という)の収量は0.8gであった。
高分子化合物9のポリスチレン換算の数平均分子量は1.4×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.3×105であり、蛍光強度は4.5であった。
高分子化合物9は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位が、92:5:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0355】
<実施例12>(高分子化合物10の合成)
不活性雰囲気下、前記化合物7(0.66g、1.25mmol)、化合物8(0.58g、1.05mmol)、化合物23(0.09g、0.15mmol)、化合物16(0.14g、0.08mmol)、酢酸パラジウム(0.8mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(9.3mg)、Aliquat336(0.16g)、及びトルエン(22ml)を混合し、105℃に加熱した。得られた反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(3.4ml)を滴下し、1.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(15.3mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いで、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(16ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(16ml)で2回、水(16ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(200mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(39mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(200ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させた。この沈殿物(以下、「高分子化合物10」という)の収量は0.8gであった。
高分子化合物10のポリスチレン換算の数平均分子量は1.1×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.4×105であり、蛍光強度は4.7であった。
高分子化合物10は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位と、下記式:

で表される繰り返し単位が、92:5:3のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0356】
<実施例13>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。高分子化合物10をキシレン(関東化学ELグレード)に2.0重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約120nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いで、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Kを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物10(約120nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0357】
高分子発光素子Kに電圧を引加することにより、ピーク波長520nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Kは緑色発光を示し、10.0Vでの外部量子効率は1.3%であった。
【0358】
<比較例8>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、BaytronPの懸濁液をスピンコート法により、約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。高分子化合物9をキシレン(関東化学ELグレード)に1.8重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いてスピンコート法により約120nmに成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、1時間乾燥した。1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いで、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、高分子発光素子Lを作製した。素子構成は、
ITO/BaytronP(約65nm)/高分子化合物9(約120nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)
であった。
【0359】
高分子発光素子Lに電圧を引加することにより、ピーク波長525nmの緑色発光が得られた。高分子発光素子Lは緑色発光を示し、10.0Vでの外部量子効率は0.4%であった。
【0360】
【表7】

【0361】
【表8】

【0362】
表7及び表8から、本発明の高分子化合物(実施例)は、その他の高分子化合物(比較例)に対して、外部量子収率が高く(即ち、発光効率が高く)、蛍光強度は同等以上であり、"蛍光強度"と"発光素子の作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率"とのバランスが優れていると認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構成単位を1種類以上と、
下記式(2)で表される繰り返し単位、下記式(3)で表される繰り返し単位及び下記式(4)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上とを含む高分子化合物。

(式中、x3、y1、y2、z1、z2及びz3はそれぞれ独立に0又は1である。y3は0〜2の整数である。但し、y1+z1及びy2+z2は1であり、x3+y3+z3は2である。uは0〜8の整数である。uが2以上である場合、x3、y3及びz3の各々の数値は、同一であっても異なっていてもよい。Zは非置換若しくは置換の(2+u)価のピレン残基を表し、Ar1は非置換若しくは置換のアリーレン基又は非置換若しくは置換の2価の複素環基を表し、Ar2は非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。複数あるAr1は同一であっても異なっていてもよい。Ar2が複数ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar3及びAr7はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は金属錯体構造を有する非置換若しくは置換の2価の基を表す。Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は2つの芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。X1は−CR3=CR4−又は−C≡C−を表す。ここで、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。aは0又は1である。)
【請求項2】
前記式(1)で表される構成単位が、下記式(1A)又は(1B)で表される構成単位である請求項1に記載の高分子化合物。

(式中、Xは非置換若しくは置換のピレンジイル基を表す。Ar1及びAr2は前記のとおりである。2つのAr1は同一であっても異なっていてもよい。2つのAr2は同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、X’は非置換若しくは置換の4価のピレン残基を表す。Ar1及びAr2は前記のとおりである。4つのAr1は同一であっても異なっていてもよい。4つのAr2は同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項3】
Ar1の少なくとも1つが、非置換又は置換のアリーレン基である請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
Ar1で表される非置換又は置換のアリーレン基が、非置換又は置換のフェニレン基である請求項3に記載の高分子化合物。
【請求項5】
Ar2の少なくとも1つが、非置換又は置換のアリール基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項6】
Ar2で表される非置換又は置換のアリール基が、非置換又は置換のフェニル基である請求項5に記載の高分子化合物。
【請求項7】
前記式(1A)で表される構成単位が、下記式(5)で表される構成単位である請求項2〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物。

(式中、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、又はシアノ基を表す。b及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、d及びeはそれぞれ独立に0〜5の整数である。R6、R7、R8及びR9がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項8】
前記式(5)で表される構成単位が、下記式(5A)で表される構成単位である請求項7に記載の高分子化合物。

(式中、R6、R7、R8、R9、d及びeは、前記のとおりである。R8及びR9がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項9】
6及びR7がそれぞれ独立にアルキル基で置換されたアリール基であり、R8及びR9がそれぞれ独立にアルキル基である請求項7又は8に記載の高分子化合物。
【請求項10】
6及びR7がそれぞれ独立に置換アミノ基であり、R8及びR9がそれぞれ独立にアルキル基である請求項7又は8に記載の高分子化合物。
【請求項11】
前記式(1B)で表される構成単位が、下記式(5')で表される構成単位である請求項2〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物。

(式中、R6、R7、R8、R9、d及びeは、前記のとおりである。b’及びc’はそれぞれ独立に0〜3の整数である。R6、R7、R8及びR9がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。2個ずつ存在するd及びeは、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項12】
Ar3及びAr7がそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基、非置換若しくは置換のフェナントレンジイル基、非置換若しくは置換のナフタセンジイル基、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基、非置換若しくは置換のピレンジイル基、非置換若しくは置換のペリレンジイル基、非置換若しくは置換のピリジンジイル基、非置換若しくは置換のチオフェンジイル基、非置換若しくは置換のフランジイル基、非置換若しくは置換のキノリンジイル基、非置換若しくは置換のイソキノリンジイル基、非置換若しくは置換のキノキサリンジイル基、非置換若しくは置換のベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換のベンゾチアゾールジイル基、非置換若しくは置換のカルバゾールジイル基、非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基、非置換若しくは置換のフェノチアジンジイル基又は非置換若しくは置換のジベンゾシロールジイル基である請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項13】
Ar3及びAr7がそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基、非置換若しくは置換のベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基、又は非置換若しくは置換のフェノチアジンジイル基である請求項12に記載の高分子化合物。
【請求項14】
Ar3及びAr7がそれぞれ独立に、下記式(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)で表される2価の基である請求項13に記載の高分子化合物。

(式中、R10はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。fは0〜4の整数を表す。R10が複数存在する場合には、互いに同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、R11及びR12はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を表す。)

(式中、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表す。)

(式中、R15は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。)

(式中、R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。)
【請求項15】
Ar4及びAr6がそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基である請求項1〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項16】
Ar5が、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の2,5−ピリジンジイル基、非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基、非置換若しくは置換の4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基、非置換若しくは置換の下記式(3A−1):

で表される基、又は非置換若しくは置換の下記式(3A−4):

で表される基である請求項1〜15のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項17】
全構成単位と全繰り返し単位との合計モル数に対する、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される繰り返し単位、前記式(3)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位の合計モル数が90〜100%である請求項1〜16のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項18】
全構成単位と全繰り返し単位との合計モル数に対する、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位の合計モル数が90〜100%である請求項1〜16のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項19】
全構成単位と全繰り返し単位との合計モル数に対する、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位の合計モル数が95〜100%である請求項18に記載の高分子化合物。
【請求項20】
下記式(a)で表される化合物の1種類以上と、
下記式(b−1)で表される化合物、下記式(b−2)で表される化合物及び下記式(b−3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種類以上とを縮合重合することを含む、
下記式(1)で表される構成単位を1種類以上と、
下記式(2)で表される繰り返し単位、下記式(3)で表される繰り返し単位及び下記式(4)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上とを含む高分子化合物の製造方法。

(式中、x3、y1、y2、z1、z2及びz3はそれぞれ独立に0又は1である。y3は0〜2の整数である。但し、y1+z1及びy2+z2は1であり、x3+y3+z3は2である。uは0〜8の整数である。uが2以上である場合、x3、y3及びz3の各々の数値は、同一であっても異なっていてもよい。Zは非置換若しくは置換の(2+u)価のピレン残基を表し、Ar1は非置換若しくは置換のアリーレン基又は非置換若しくは置換の2価の複素環基を表し、Ar2は非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。Y1は、ハロゲン原子、下記式(a−1)で表されるスルホネート基、メトキシ基、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基、下記式(a−2)で表される基、下記式(a−3)で表される基、又は下記式(a−4)で表される基を表す。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。複数あるAr1は同一であっても異なっていてもよい。Ar2が複数ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar3は、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は金属錯体構造を有する非置換若しくは置換の2価の基を表す。Y1は、前記と同じ意味を表す。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は2つの芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。Y1は、前記と同じ意味を有する。aは0又は1である。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar7は、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基又は金属錯体構造を有する非置換若しくは置換の2価の基を表す。X1は−CR3=CR4−又は−C≡C−を表す。ここで、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。Y1は、前記と同じ意味を表す。複数存在するY1は、同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Raは、非置換又は置換のアルキル基又は非置換又は置換のアリール基を表す。)

(式中、XAは、ハロゲン原子を表す。)

(式中、XAは、前記と同じ意味を有する。)

(式中、Raは、前記と同じ意味を有する。複数あるRaは互いに同一でも異なっていてもよい。)

(式中、x3、y1、y2、y3、z1、z2、z3、u、Z、Ar1、Ar2は、前記と同じ意味を有する。複数あるAr1は同一であっても異なっていてもよい。Ar2が複数ある場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)

(式中、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、R1、R2、X1及びaは、前記と同じ意味を有する。)
【請求項21】
下記式(11)で表される化合物。

(式中、R17はハロゲン原子を表す。hは1〜4の整数を表し、iは0〜4の整数を表す。Ar8は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。複数あるAr8は、同一であっても異なっていてもよい。R17が複数ある場合には、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項22】
前記式(11)で表される化合物が、下記式(12)で表される化合物である請求項21に記載の化合物。

(式中、Ar8は、前記と同じ意味を有する。複数あるAr8は、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項23】
前記式(11)で表される化合物が、下記式(13)で表される化合物である請求項21に記載の化合物。

(式中、R8*は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。dは0〜5の整数である。R17、h及びiは、前記と同じ意味を有する。R8*及びR17がそれぞれ複数ある場合には、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるdは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項24】
前記式(13)で表される化合物が、下記式(14)で表される化合物である請求項23に記載の化合物。

(式中、R8*及びdは、前記と同じ意味を有する。R8*が複数ある場合には、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項25】
下記式(15)で表される化合物。

(式中、R18は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、又はシアノ基を表す。jは0〜4の整数を表す。R8*は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。dは0〜5の整数である。R8*及びR18がそれぞれ複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるd及びjは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項26】
前記式(15)で表される化合物が、下記式(16)で表される化合物である請求項25に記載の化合物。

(式中、Ar8、R8*及びdは前記のとおりである。複数あるAr8及びdは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R8*が複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項27】
前記式(16)で表される化合物が、下記式(17)で表される化合物である請求項26に記載の化合物。

(式中、R8*及びdは前記のとおりである。R8*が複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるdは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項28】
前記式(17)で表される化合物が、下記式(18)で表される化合物である請求項27に記載の化合物。

(式中、R8*及びdは、前記のとおりである。R8*が複数ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。複数あるdは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項29】
下記式(19):

(式中、Ar8は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。複数あるAr8は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物とブロモ化剤とを反応させることを含む、下記式(12):

(式中、Ar8は、前記のとおりである。複数あるAr8は、同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の製造方法。
【請求項30】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と、請求項1〜19のいずれか一項に記載の高分子化合物とを含有する組成物。
【請求項31】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の高分子化合物と溶媒とを含有する溶液。
【請求項32】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する薄膜。
【請求項33】
陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた請求項1〜19のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する有機層とを有する発光素子。

【公開番号】特開2009−96983(P2009−96983A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101349(P2008−101349)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(506061668)サメイション株式会社 (51)
【Fターム(参考)】