ピロール主体のポリマーへとタンパク質を取り付ける方法およびこれのセンサーを生産するための使用
本発明の狙いは、タンパク質を、導電性ポリマーへと取り付ける方法を提供することであり、これは特に、センサーまたはマルチセンサー、例えばバイオチップを生産するのに使用され得る。
この狙いおよび他の狙いも、本発明に従って、タンパク質をピロールポリマーへと取り付ける以下のステップ:
ピロールに取り付けられるべき該タンパク質をカップリングさせ、タンパク質−ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質を含有しない第2ピロール溶液を調製するステップ;
該第1溶液を該第2溶液と混合し、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用する、導電性支持体上における該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合ステップ
を含む方法により達成される。
この狙いおよび他の狙いも、本発明に従って、タンパク質をピロールポリマーへと取り付ける以下のステップ:
ピロールに取り付けられるべき該タンパク質をカップリングさせ、タンパク質−ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質を含有しない第2ピロール溶液を調製するステップ;
該第1溶液を該第2溶液と混合し、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用する、導電性支持体上における該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合ステップ
を含む方法により達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロール主体のポリマーへとタンパク質を取り付ける方法に関し、この方法の、センサー、特にマルチセンサー、例えばバイオチップを生産するための使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、特にセンサー生産に関して、特にバイオチップの分野において、タンパク質の活性を変えてしまうことなく導電性ポリマー上において該タンパク質を不動化させること、特に、2つの異なるタンパク質を別個に不動化させることを可能にするものではなく、大きな困難を抱えている状態に留まっている。
【0003】
事実、タンパク質、例えば、酵素、抗体、受容体、およびある種の抗原は、標的分子に対する認識部位、または、それらが他の分子により認識され得る部位を持っている。これらの部位は、それらの活性(単数または複数)に関して応答性である。例えば酵素は、それの基質に関して特異的な部位を持ち、抗体は、それに対応する抗原による認識を可能にする特異的エピトープを持ち、抗原は、それが標的とするエピトープに対して特異的な認識部位を持っている。これらの部位は一般的に、空間におけるタンパク質自体における該タンパク質の折り畳みによって形成され、この折り畳みは、ジスルフィド結合、イオン結合、水素結合、および疎水性結合により、安定化され得る。この折り畳みおよびこの結果として形成されるこれらの部位はこれゆえに、該タンパク質にかかる単純な歪み、立体障害、または、イオン強度、pH、もしくは溶媒温度の変化により、容易に不安定化され得る。加えてこれらの部位は、−NH2、−OH、−COOH、または−SH官能基のような、前記導電性ポリマーへの該タンパク質の取り付けの間に使用される試薬またはモノマーと反応し得る反応性官能基を持っており、これゆえにダメージを受け、妨害を受け、または障害を受けることが考えられる。
【0004】
このような部位を持つタンパク質を表面へと取り付けるのに使用される方法はこれゆえに、この部位を活かすためには、できるだけ遠くにこの部位を保たねばならず、これにより、生産されるバイオセンサーはその機能を果たし、できるだけ精確、敏感、および再現性あるサンプル分析結果を提供するのである。
【0005】
当業者にとって既知の技術では、導電性ポリマーへのタンパク質の不動化は、4つの異なる技術を使用し得る。これら4つの技術は、捕捉、後での官能基化、非共有結合によるタンパク質の不動化、および共有結合によるタンパク質の不動化である。これらの技術は添付の図面1〜4に、ダイヤグラムにより表される。これらの図面では、「P」および「Pa」はそれぞれタンパク質および活性化されたタンパク質を表し、「m」および「ma」はそれぞれポリマーのモノマーおよび活性化されたモノマーを表し、「P−m」はタンパク質−モノマーカップリング化合物を表し、「M」および「Ma」はそれぞれ該ポリマーおよび活性化された該ポリマーを表す。
【0006】
捕捉技術では、モノマーはタンパク質の存在下に、重合(化)に付される。形成時に、該ポリマーはその網目中に、このタンパク質を捕捉する。この技術は、例えば、FouldsおよびLoweによるJ.Chem.Soc.,Faraday Trans.1986,82,1259−1264に記載され、添付の図1に示される。タンパク質が不動化される前に該タンパク質を修飾せずに済むのでこの技術は有利であり、このため原理的に、該タンパク質活性をより良く保存することができる。この方法はより最近、O.A.SadikらによるTalanta 2001,55:929−941にも記載された。
【0007】
不運なことにこの方法は、捕捉による不動化のメカニズムが原因で、選択される電極上へ、電流を介してタンパク質だけを標的とすることを可能にするものではなく、付着毎に起きる(他の)付着物の混入なしには、異なるタンパク質を幾つか付着させることを可能にするものでもない。事実、この技術では、引き続いての付着物の重合の間に、タンパク質は部分的には捕捉され、部分的には放出されることがあり、これゆえに、後からのものを混入させてしまうことがある。加えて、不動化時間は非常に長く、混入はこれらの付着の間に可能であり、これはマルチセンサー生産を困難にし、結果として、モノ(単)センサー生産に使用される。
【0008】
更にそれは、ポリマー塊における不動化からなる技術であり、これは結果的に、以下の様々な欠点を与える:
タンパク質の活性部位への接近の減少、更には離脱。
タンパク質が、研究された溶媒のそれとは非常に異なる極性の溶媒中に封じ込められるという事実によるもの。例えば、分析されるべきサンプル。該タンパク質とその標的との間での認識が、上記の立体障害に加えて(更に)妨害される。
もし、該タンパク質とその標的との間での認識が、該タンパク質の構造の変化を要求または誘導する場合、この変化は、ポリマーの堅さにより障害されることがある。
該タンパク質のその標的との相互作用の検出は、その質量においてのみ可能であり、これは、最も汎用の光学的分析方法を可能でなくすものである。
一方それは、例えばバイオセンサー形態の電気化学的検出には、非常に適している。
【0009】
加えてこの技術は、タンパク質を封じ込めるために、極めて分厚いポリマーを必要とする。これは、以下の欠点を持っている:
使用されるタンパク質の量が、単一の付着の場合よりも多くなければならない。
電流へ晒す時間が、より長くなくてはならない。上記のSadikらの文献によれば、電荷密度は2nC/mm2のオーダー、つまり、約500nmのポリマー厚である。
【0010】
尚もう1つ別の欠点は、もしタンパク質の捕捉が完璧でなかった場合、これは結果的に、連続する重合の間、使用の間、または保管の間におけるタンパク質の量の損失に繋がり、センサー感度を低下させ、マルチセンサーの場合では混入を伴うという事実である。
【0011】
後での官能基化の技術は、添付の図2にダイヤグラム的に表される。それは主に、NH2もしくはSH基で官能基化されている支持体上への、活性エステルもしくはマレイン酸イミドにより活性化済みのタンパク質のグラフト化、あるいは逆に、活性エステルもしくはマレイン酸イミドによりそれぞれ活性化済みの支持体上への、タンパク質のリジン由来のNH2基もしくはシステイン由来のSH基を使用しての、官能基化されていてもよくもしくはされていなくてもよいこれらのタンパク質のグラフト化を含むものである。この方法は、例えば、W.SchuhmanによるMikrochim.Acta 121,1−29(1995)に記載されるものである。それは、表面検出を誘導する表面グラフト化を可能にするものである。
【0012】
このグラフト化は不運にも、含まれる官能基の弱い反応性のために、コントロールが容易でない。加えてそれは、モノセンサー生産に適するものであり、多大な困難を伴ってのみ、マルチセンサー生産を可能にする。事実、幾つかのスポットを含有するマルチセンサーを生産したい場合、この技術においては反応性が弱いので、第1スポットの全ての官能基が、例えば第2タンパク質が第2スポットへと取り付けられる時点において既に反応してしまっているわけではなく、これゆえに、該第1スポット上における該第2タンパク質の混入が見られる。これを避けるために、該タンパク質は、選択された付着物上へとのみ導入されねばならない。局在化される様式で微小滴を塗布することは効果的に可能ではあるが、それら(該微小滴)の蒸発速度は非常に速く、この反応はコントロールが難しいので、これをミニチュア化するのは困難であることが考えられる。この場合、標的化は、例えばインクジェットシステムを使用して機械的に実施されなくてはならないので、導電性タイプのポリマー支持体を使用することに対する利点はない。このような技術は、ガラス・スライド上においてタンパク質チップを生産するのに使用され、これは、G.MacBeath Science,2000年9月8日,289巻,1760−1763に記載される通りである。
【0013】
これらのタンパク質の化学修飾の先行技術を用いない、タンパク質の非共有結合による不動化技術が、添付の図3に表される。この技術においては、ビオチン−アビジン系が使用される。Farmakovskyらによる文献WO00/11473が、この技術を記載している。吸着により多かれ少なかれよく不動化されるタンパク質を有する導電性ポリマーが、形成される。
【0014】
該支持体への取り付けが非常に弱いという事実は、この電極の保管およびマルチセンサー生産に関して、ある意味においては好ましくない。
【0015】
第4の技術は、共有結合による捕捉である。これは、添付の図4にダイヤグラムにより表される。この技術は、Wolowacz,S.E,、Yon Hin B.F.Y.、およびLowe C.R.による先行技術Anal.Chem.1992,64,1541−1545に記載されている。この著者は、ピロールへと共役させ、ピロールとの共重合に付す方法で、酵素、グルコースオキシダーゼ(酸化酵素)を調製した。該酵素上へとグラフト化されたピロールは、1種のポリピロール・コーティングされた該酵素を、電気重合および不動化させる。
【0016】
該酵素は該ピロール中に捕捉され、不運にもこのことが、その外側にある溶媒および埋没したそれの活性部位へのそれのアクセスを制限してしまう。このアクセスは、ある場合においては観測され得るが、前記した刊行物中でのグルコースのような非常に小さな分子に関してのみであり、これは、該ポリピロールの網目のメッシュ中へと浸透することができるものである。事実、前記した捕捉技術の欠点はそのままで、安定性のみが向上する。
【0017】
これゆえに、先行技術の方法の欠点、限界、短所、および不利を持たない導電性ポリマーへとタンパク質を取り付ける方法に対する、真の必要性が存在している。
【0018】
加えてこの方法に関しては、それが先行技術の方法およびセンサーの欠点、限界、短所、および不利を持たないように、センサー生産、特にマルチセンサー生産に使用され得るようでなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の狙いは、精確には、導電性ポリマーへとタンパク質を取り付ける方法を提供することであり、これは特に、モノセンサーまたはマルチセンサー生産に使用され得、これは中でも、前記した必要性を満足するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この狙いおよび他の狙いも、本発明、ピロールポリマーにより導電性支持体へとタンパク質を取り付ける方法により達成され、これは以下のステップを含む:
取り付けられるべきタンパク質をピロールモノマーとカップリングさせ、タンパク質+ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質へとカップリングされていないピロールモノマーの第2溶液を調製するステップ;
該第1溶液を該第2溶液と混合して、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用する、前記導電性支持体の少なくとも1つの所定の領域上において、該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合ステップ(該電気重合は該領域上へ、1〜500μC/mm2の電流量を送ることにより実施)。
【0021】
本発明によれば、用語「ピロールモノマー」とは、ピロールのモノマーまたはピロールの重合可能な誘導体を意図するものである。本発明において使用され得る該ピロールモノマーは、バイオチップ生産方法において当業者に知られているものである。ピロール誘導体としては、例えば、メチルピロールまたは置換もしくは無置換ピロールダイマーが挙げられてよい。
【0022】
本発明によれば、1つ以上のタンパク質が、本発明の方法により、支持体へと取り付けられ得る。当業者は、本記載に照らせば、彼らの必要性に従って、その各々が選ばれた該ピロールモノマーへとカップリングされ、該支持体の1つ以上の領域上へと付着される1つ以上のタンパク質を有する電気重合溶液をどのように調製するかを理解するであろう。
【0023】
本発明によれば、「該支持体領域」との表現は、「ブロック」、例えばバイオチップ支持体ブロックを意味することをも意図するものである。本発明によれば、該電気重合は、例えば種々のタンパク質を用いて、幾つかの領域においてもしくは生産されたバイオチップのブロック上において同時に、または、幾つかの領域においてもしくは生産されたバイオチップのブロック上において連続して実施され得る。領域またはブロックの数の選択は、特にバイオセンサーの所望の解像度、および、所望の該バイオセンサーを用いて実施され得る同時解析の数に依存するであろう。領域またはブロックのこの数は、当業者に既知のバイオチップに関しては決めることができる。本発明の目的では、前記導電性支持体はこのため有利に、1つ以上のブロックを有するバイオチップ支持体であり得る。本発明の方法はこのため、所望されるモノセンサーまたはマルチセンサー生産を可能にする。
【0024】
本発明は驚くべきことに、ポリマーへと取り付けられたかもしくは該ポリマー上において不動化されたタンパク質の活性、例えば大きな分子に関するタンパク質の認識特性、例えば抗原のそれに対応する抗体に関する認識特性を、保存することを可能ならしめる。
【0025】
このことは、ピロールがタンパク質のアミノ基の大部分と反応するので、先行技術では不可能であった。今や本発明の方法により、全く予想外にも、本発明者らはポリピロール+タンパク質付着物を生成させており、ここで薄層ポリマー中においてもしくは薄層ポリマー上において不動化されたタンパク質の活性は、保存されている。加えて本発明は、更に該タンパク質の活性を保存する極薄フィルムを構築することを可能にする。
【0026】
事実、本発明者らは、彼らがタンパク質と反応させた種々のピロールを調製しており、これは以下の実施例に示される通りである。これらの共役タンパク質は引き続いて、ピロールとの電気重合により不動化される。それなりに、そして、問題となっている現象に関する知識の欠如にもかかわらず、彼らはこの方法により、導電性基板上へと抗原タンパク質を標的化することができ、それらを特異抗体により認識させることができた。
【0027】
本発明者らは、この認識を蛍光を用いて研究し、これは、タンパク質がその表面において本当に不動化されることを彼らが証明できるようにしたが、これは、該蛍光が、ポリピロール・マトリックス外でのみ検出され得るからである。これは、本発明による電気重合による不動化および抗体のように嵩高いことがあるもう1つ別の分子による認識をも確認できるようにした。
【0028】
本発明者らはまた、表面プラズモン共鳴(SPR)画像化研究をも行ったが、これは、それがリアルタイムでの分析法であるという事実によるものであり、分析の観点おいて更に進展することを可能にするものである。これらの速度論的研究は、本発明の方法の利点により、タンパク質活性の保存のより良い評価を得ることを可能にするものである。更にこの分析法は、P.GuedonらによるAnal.Chem.(2000),72,(24),6003−6009に記載のように、金層から非常に近い距離において起きる生物学的相互作用を検出することのみに関してよく知られている。この距離はしばしば、50nm未満である。
【0029】
これら2つの実験から、該相互作用が、ポリマー(蛍光)表面およびこの金に非常に近いところの両方において起きることが確かめられる。このことは、該ポリマーが非常に薄くなければならないことを意味するが、これは、本発明の方法による場合に該当する。
【0030】
このため本発明によれば、電気重合は、該電気重合の間に送られる電流量を限定することにより実施される。このため結果として、より良い結果が得られている。本発明による電流量は、ポリピロール鎖長を限定することが可能である。このことはこれゆえに、固定化される場合、タンパク質活性の損失を限定するであろう。もう1つ別の可能性は、該重合が電極の直近において起き、このことが、この電極から最も遠いタンパク質の一部上での該ピロール重合を最小化させる効果を持ち、このためそれの認識活性を保存する効果を持つということであり得るであろう。本発明者らは、電場に関して反応溶媒よりもより導電性の低いタンパク質によるスクリーニングが、恐らくより存在しているものと考えている。
【0031】
このため、該電気重合は、1〜500μC/mm2、好ましくは5〜100μC/mm2の電流量を前記領域上へと送ることにより、本発明の電気化学的電気重合方法により実施される(該電流量は、該領域の電気的分極により送られ得る)。この結果として、非常に有利なことに、10nm未満であってもよい厚さを持つポリマーの形成が見られる。例としてこの重合は、該領域に適用される500ミリ秒間で1V/ECSの電気パルスにより、本発明により実施され得る。
【0032】
本発明によれば、取り付けられるべきタンパク質のピロールとのカップリングが、該ピロールの活性化により実施され得、次に、活性化された該ピロールの、取り付けられるべき該タンパク質へのカップリングが続く。活性化された該ピロールは例えば、そのリジンのアミノ基上において活性なピロール活性エステル、または、そのシステインの−SH基上において活性なマレイン酸イミドピロールであってもよい。これらの例は限定的なものではなく、当業者は本発明の方法をどのように他のピロール活性化に適合させるか、理解するであろう。
【0033】
本発明によれば、該ピロール活性化は、例えばN−ヒドロキシスルホコハク酸イミドまたはマレイン酸イミドを用いて実施され得る。
【0034】
本発明によれば、このタンパク質−ピロールカップリング化合物は、有利には以下の化合物から選ばれ得る。
【0035】
【化1】
【0036】
本発明の特定の実施形態によれば、幾つかのタンパク質が、該ピロールポリマーへと取り付けられ得、引き続いて、前記導電性支持体の異なる(幾つかの)所定の領域上へと取り付けられ得る。例えば2つのタンパク質が、該ピロールポリマーへと取り付けられ得、引き続いて、前記導電性支持体の異なる2カ所の所定の領域上へと取り付けられ得る。
【0037】
換言すれば、本発明のこの特定の実施形態は、その少なくとも一部が該導電性ポリマー/反応溶媒界面に位置する少なくとも2つの異なるタンパク質を含有するマルチセンサーを生産する方法からなり、このマルチセンサーは、重合可能なモノマーとタンパク質との共重合により得られるものであり、この上へは、共重合可能な同一もしくは異種のモノマーをグラフト重合させることが可能である。
【0038】
このため、本発明の方法は有利なことに、センサーもしくはマルチセンサー、例えばバイオチップ生産に使用され得、これは、本発明の方法が、前記した先行技術の欠点を排除することを可能にするからである。生産されたセンサーは、精確、敏感、および再現性あるサンプル分析結果を提供する。
【0039】
本発明によれば、該タンパク質は例えば、酵素、抗体、抗原、ホルモン、受容体等からなる群から選ばれ得、これは本発明に、広範な応用分野を付与する。
【0040】
他の利点は、添付の図面を参照しながら、限定せずにその応用を示すために与えられる以下の実施例を読めば、当業者には更に明らかになるであろう。
【実施例】
【0041】
実施例1:ピロール活性エステルの調製
A)スルホ−N−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(スルホ−NHS)ピロールの合成
以下の順序にて、以下のものが25mL丸底フラスコ中へと入れられる。
11−(1−ピローリル)ウンデカン−1−オイック酸(2mmol;503mg) N−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(2mmol;434mg)
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(2.4mmol;495mg)
ジメチルホルムアミド(DMF)10mLが、引き続いて加えられる。濁った混合物が得られ、終夜、磁気攪拌される。
【0042】
この反応混合物が真空下に、引き続いて濾過される。該反応の間に形成されたジシクロヘキシルウレア(ジシクロヘキシル尿素、DCU)の沈澱が、取り除かれる。目的生成物を含有する濾液は、ロータリー・エバポレーター中でエバポレーション(留去)される。
【0043】
得られた該生成物は、水25mL中に取り込まれる。この溶液は、ジクロロメタン50mLを用いて3回洗浄され、残ったDCCを取り除く。この水は終夜、Speedvac(登録商標)中で引き続き取り除かれる。
【0044】
該反応の収率は、65%である。
【0045】
B)マレイン酸イミド(マレイミド)ピロールの合成
マレイン酸イミド活性エステルの調製
マレイミド酸(3.7g;17.5mmol)、NHS(2g;17.5mmol)、DCC(3.6g;17.5mmol)、およびDMF(90mL)が終夜、磁気攪拌される。該マレイン酸イミドの該ピロールとのカップリング化学反応を、以下に示す。
【0046】
得られた混合物が濾過され、DCUを取り除く。得られた濾液が引き続き、濃縮される。
【0047】
白色粉末が得られる。この生成物は更に精製せずに、そのまま使用された。
【0048】
【化2】
【0049】
Xは−CH2基であり、nは1≦n≦20であるような整数である。
【0050】
例えば、[X]nは以下の点i)、ii)、およびiii)において定義されるマレイン酸イミドピロールのようなものであってよい。
【0051】
i)マレイン酸イミド−[2]−ピロール:
【0052】
【化3】
【0053】
マレイン酸イミド活性エステル(924mg;3mmol)、N−アミノエチルピロール(330mg;3mmol)、およびDMF15mLの混合物が、終夜攪拌される。薄層クロマトグラフィー(TLC)により、この反応が完結していることを証明できる。
【0054】
該DMFのエバポレーションの後、生成物を、シリカ・カラム・クロマトグラフィーにより精製する。その溶出は、純粋なジクロロメタンを用いて開始され、メタノール(MeOH)の濃度勾配を増加させながら続けられた(該生成物の溶出:98%〜2%)。
【0055】
得られた量は、0.4gである。該反応の最終収率はこれゆえに、45%である。
【0056】
ii)マレイン酸イミド−[6]−ピロール:
【0057】
【化4】
【0058】
この反応は、DMF(15mL)中、マレイン酸イミド活性エステル(0.924g;3mmol)およびN−アミノヘキシルピロール(0.498g;3mmol)を混合した後、終夜磁気攪拌されて実施された。シリカ・カラム溶出は、CH2Cl2/MeOH(97%〜3%)混合液を用いて実施された。
【0059】
この反応に関しては46.4%の収率が得られ、0.5gであった。得られたこの生成物は、褐色の液体である。
【0060】
iii)マレイン酸イミド−[13]−ピロール:
【0061】
【化5】
【0062】
このプロトコールは上記のものと同一なので、マレイン酸イミド活性エステル(1.14g;3.70mmol)およびピロール−[13]−アミン(1g;3.70mmol)が、DMF20mL中混合される。シリカ・カラム溶出は、CH2Cl2/MeOH(97%〜3%)混合液を用いて実施される。得られた生成物(褐色液体)の量は1g、つまり最終収率58%である。
【0063】
実施例2:ストレプタビジンのカップリング
A)NHS−ピロールを使用したストレプタビジンのカップリング
上記実施例1においてのように生成された2タイプのNHS−ピロール:
NHSピローリルカプロエート
スルホ−NHSピローリルウンデカノエート
が、比較して使用される。
【0064】
初期モル比(IMR)=40、つまり1分子のタンパク質につき40分子のNHS−ピロールを用いた手順が実施され、このゆえに、カップリング用緩衝液300μL中5.55nmolのストレプタビジンがいずれにせよ、NHS−ピロール222nmol(1.5mMのNHS−ピロール溶液148μL)へと加えられる。該カップリング反応は、2時間放置される。
【0065】
3つの反応が、並行して実施される。
第1の反応は、前記NHSピローリルカプロエートを使用する。
第2の反応は、前記スルホ−NHSピローリルウンデカノエートを使用する。
第3(最後)の反応は、カップリング用緩衝液中にストレプタビジンのみを含有するコントロールである。
【0066】
反応後の精製は、製造元のプロトコールに従って、Nalgene30Kフィルター(ブランド名)を使用して、実施される。
【0067】
各サンプル375μLが各々、異なるフィルター上へと載せられ、8000rpmで15分間遠心分離される。各フィルターが次いで、「スポッティング(spotting)」緩衝液200μLを用いて3回濯がれるが、各洗浄の間において、15〜20分間の遠心分離が必要である。
【0068】
終わりに、50μLの3フラクション:
ストレプタビジン−NHSピローリルカプロエート
ストレプタビジン−スルホ−NHSピローリルウンデカノエート
ストレプタビジンのみ
が回収される。
【0069】
B)ストレプタビジンへのこれらのマレイン酸イミドピロールのカップリング
ストレプタビジンはSH官能基を全く持っていないので、2つの官能基を有する試薬N−コハク酸イミド−3−イル[2−ピリジルジチオ]プロピオネート(SPDP)によりSH官能基が作り出されるが、SPDPはこのタンパク質のアミン官能基と反応するものである。この試薬のSH官能基は引き続き、これらの試薬を使用することの利点により、ジチオトレイトールにより脱保護される。この技術は、例えば、Carlson,T.,Drevin,M.,およびAxen,R.(1978)Biochem.J.173,723−727に記載される。
【0070】
上記実施例1においてのように生成された3つのマレイン酸イミドはこれゆえに:
エチルマレイン酸イミド−ピロール
トリオキサトリデカノイルマレイン酸イミド
ヘキシルマレイン酸イミド−ピロール
である。
【0071】
a)脱保護された該SH官能基の生成
ストレプタビジン4.2nmolを、SPDP150nmolと反応させる。この反応は、40分間放置される。この混合物は次いで、Nalgene30Kフィルターを使用して濾過され、pH4.5の50mM酢酸ナトリウム緩衝液(バッファー)100μLを用いて、3回濯がれる。
【0072】
ジチオトレイトール62.5nmolが引き続いて、得られたストレプタビジン−SPDP(SA−SPDP)へと加えられる。この反応は、40分間放置される。濾過が前回と同様に再度実施され、濯ぎがPBS緩衝溶液を用いて実施され、反応可能な遊離のチオール官能基を有するストレプタビジン(SA−SH)を、150μLの容積で回収した。
【0073】
得られるサンプルは引き続き、50μLの3フラクションへと分離され、これらにマレイン酸イミド−ピロール85nmolが加えられる。
【0074】
b)エチルマレイン酸イミド−ピロールの場合(MW=303g/mol)
マレイン酸イミド−ピロール2mgをDMF200μL中に取り込むことにより調製された25nmol/μLマレイン酸イミド−ピロール溶液(3.4μL;85nmol)と、SA−SHが混合される。この反応は、30分間継続する。
【0075】
c)トリオキサトリデカノイルマレイン酸イミドの場合(MW=463g/mol)
この反応は上記のものと同様に実施され、マレイン酸イミド−ピロール1mgをDMF50μL中に取り込むことにより調製された39nmol/μLマレイン酸イミド−ピロール溶液(2.2μL;85nmol)へと、SA−SHを加えた。この反応は、30分間継続する。
【0076】
d)ヘキシルマレイン酸イミド−ピロールの場合(MW=359g/mol)
マレイン酸イミド−ピロール3mgをDMF200μL中に取り込むことにより調製された57.5nmol/μLマレイン酸イミド−ピロール溶液(1.5μL;85nmol)と、該SA−SHが混合される。この反応は、30分間実施される。
【0077】
該反応後、これらの種々の反応混合物および前記コントロール溶液(ストレプタビジンのみ、試薬添加せず)が、Nalgene30Kフィルターを通して遠心分離され、「スポッティング」緩衝液を用いて濯がれる。最後に「スポッティング」緩衝液(50nMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7)によりその容積を整えることにより、全サンプルを50μLの最終容積とする。
【0078】
実施例3:ポリピロールの電気化学的合成(「スポッティング」):電気重合
この反応は、添付の図6に表される「スポッティング」構築を使用して実施されるが、これは更に、前記したP.Guedonらによる文献に詳細に記載される。この図では、「A」および「B」がそれぞれ、前記NHSカプロエートおよび前記スルホ−NHSウンデカノエートを介してポリピロールへとカップリングされたストレプタビジンに対応し;「C」が、前記ヘキシルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたストレプタビジンに対応し;「D」が、ストレプタビジンのみに対応する。「L」はガラス・スライドを表し;「Au」はこのガラス・スライド上に付着された金層であり(この組み合わせを以降「金スライド」と呼ぶ);「s」は電気重合溶液であり;「W」は作動電極である。「1」はピペットを指し;「3」は該ピペットのチップを指し;「7」は該金層上へと付着されたポリピロールスポットを指す。
【0079】
この図に表されるように、該電気重合が実施される該金スライドは作動電極(W)として働き、この付着用ピペットチップ中に置かれる白金線は対向電極(Ce)として働く。この電気化学的システムは、ポテンシオスタット5へと接続される。
【0080】
この共重合は、前の実施例において生成されたものから選ばれるSA−マレイン酸イミド−ピロール溶液5μL、pH7の50mMリン酸緩衝液を含む前記「スポッティング」溶液15μL、および20mMピロールを含有する溶液20μLを用いて実施される。
【0081】
500ミリ秒継続し2.4Vまで上昇する(つまり、約0.9V/ECS)電気パルスに引き続き、該金層上において、フィルム(薄膜)が合成される。
【0082】
種々のスポットが全て同様に生成され、各重合間において、前記ピペットチップが水を用いて濯がれる。
【0083】
実施例4:該スポット上へとグラフトされるタンパク質の検出からなる相(段階)
実施例3の電気化学的合成の後、該スポットを含有する領域が、接着フェルトペンを使用して生成された疎水性障壁により区切られる。該スポットは引き続いて、濯ぎ用緩衝液1mLを用いて2回洗浄される。該スポットは次いで、ブロック用緩衝液100μLを用いてブロックされ、先に区切られた該疎水性領域内において付着されるタンパク質の非特異的な取り付けを防ぐ。前回と同じ第2回の濯ぎの後、PBS中10%のビオチン化R−フィコエリトリン溶液100μLが、付着される。
【0084】
この反応は10分間暗所に置かれ、次いで顕微鏡下での検出相(段階)の前に、第1回および第2回と同じ最終的な洗浄が実施される。
【0085】
実施例5:視覚化
前記金スライド上へと付着されたサンプルは、スライドとカバー・スリップとの間に置かれ、緑色光の下に1.2倍の拡大率において、CDDカメラを備えたエピ蛍光顕微鏡を用いて観察される。該スポットの写真が撮影され、ImageProPlusソフトウェアを使用して、その蛍光強度が測定される。
【0086】
A)実施例1において生成されたNHSピローリルカプロエートおよびスルホ−NHSピローリルウンデカノエートを使用したカップリング
これらのカップリングがここで、ビオチンおよびストレプタビジン(SA)からなる親和性カップリングを使用して、蛍光検出により実証される。これらのカップリングの有効性はこれゆえに、それらの蛍光強度(蛍光強度(IF)または灰色濃度)を通じて判断される。
【0087】
4タイプのスポットが、以下のスキームに従って生成された:
MR=反応溶媒:pH7の50mMリン酸緩衝液および20mMピロール:
IF=10;
A=前記NHSピローリルカプロエートを介してピロールへとカップリングされたSA;
IF=200;
BA=前記スルホNHSピローリルウンデカノエートを介してピロールへとカップリングされたSA;
IF=240;
T=コントロール:SAのみ+MR:
IF=80;
但し、IF=蛍光強度
ブラック(黒)=バックグラウンド(背景)ノイズ。
【0088】
それらはそれぞれ、添付の図7a)、b)、c)、およびd)に、この順序で示される。
【0089】
MRのスポットは、ポリピロールのフィルム表面における非特異的吸着をコントロールする。我々の予想によれば、それは僅かな蛍光しか呈しない。
【0090】
このコントロールのスポットは、ピロールへとカップリングされていないストレプタビジンに対応する。それはこれゆえに、該ポリピロール上へと吸着される。このスポットは、SA−ピロールサンプルAおよびBのものよりも明らかに小さな蛍光強度を示す。このことは、ピロールの存在が、前記金プレート表面へのストレプタビジンの取り付けを促進することを実証する。
【0091】
スポットAおよびBはそれぞれ、前記NHSピローリルカプロエートおよび前記スルホNHSピローリルウンデカノエートを介してポリピロールへとカップリングされたストレプタビジンに対応する。これら2つのスポットの蛍光強度を比較すると、該SAが該NHSピローリルカプロエートを介してカップリングされる場合よりも、該スルホNHSピローリルウンデカノエートを介してカップリングされる場合の方が、得られるシグナルが僅かに強いことに気がつく。この違いは、正に恐らくこのNHSを構成する鎖長によるものであり、該ビオチンの取り付け用部位への接近し易さの維持を可能にするであろう。
【0092】
全体としてこのカップリングは、ストレプタビジンに関して良好な結果を与えるが、他のタイプのタンパク質に関しても可能であると結論される。
【0093】
B)3つの異なるマレイン酸イミドを使用したカップリング
5つのタイプのスポットが、以下のスキームに従って生成された:
MR=反応溶媒:pH7の50mMリン酸緩衝液および20mMピロール;
T=コントロール:MR+SAのみ;
A=MR+前記トリオキサトリデカノイルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたSA;
B=MR+前記エチルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたSA;
C=MR+前記ヘキシルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたSA。
【0094】
図8(a)および(b)は、種々のストレプタビジン−ピロール共役体に関する蛍光強度の測定値を示す。これらのスポットは、図8(b)のスキームに従って付着される。この図の参照番号は、前記されたものに対応する。
【0095】
これらの写真に関して採られた蛍光強度の測定値は、以下の表2に要約される。
【0096】
MR1、MR2、およびMR3のスポットは、本発明者らの予想によれば、僅かな蛍光しか呈さず、このことは非特異的吸着が存在しないことを示す。
【0097】
コントロールT1およびT2は、ピロールへとカップリングされていないSAに対応し、これゆえに該ポリピロール上へと吸着され、前記SA−ピロールサンプルのものよりも遙かに小さい蛍光を示す。
【0098】
これゆえに、この分子上のピロールの存在がここでもまた、該ストレプタビジンの取り付けを促進する。
【0099】
これら3つのスペーサー・アームに関して蛍光強度を比較すると、エチル・アーム、そして最終的にヘキシル・アームよりも、トリオキサトリデカノイル・アームに関して、より良い蛍光が得られることに気がつく。
【0100】
【表1】
【0101】
本研究における現状として、本発明者らは。何故1つのアームがもう1つ別のアームよりもより良いシグナルを呈するのか、確実性を持って決定することはできない。この質問に対する答えは、更なる研究および特徴付けを必要としている。この線の考えでは、例えば、これらのアームの長さおよび/またはより親水性もしくはより親水性でない性質であり得るであろうが、このカップリングの効率等でもあり得るであろう。
【0102】
実施例6:抗体
A)抗体のNHS−ピロールとのカップリング
前記NHSピローリルカプロエートが、2つの異なるタイプの抗体:
i)ウサギイムノ(免疫)グロブリンG
ii)抗hCG(human Chorionic Gonadotropin、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン)イムノ(免疫)グロブリン
と共に、ここでは使用される。
【0103】
i)ウサギIgG
イムノグロブリンG(IgG)10mgが、PBS333μLに取り込まれる。この手順が、IMR40を用いて実施される。これゆえに、この溶液12.5μL(2.5nmol)が、15mMのNHSピローリルカプロエートDMSO溶液6.7μL(100nmol)と混合された。この反応は、2時間30分放置される。
【0104】
これらのサンプルは引き続き、20分間8000rpmにて、Nalgene30Kフィルターを使用して精製され、スポッティング緩衝液100μLを用いて3回濯がれ、各濯ぎの間には、20分の遠心分離が必要である。
【0105】
最後に、これらのIgG−ピロールは、スポッティング緩衝液50μL中に回収される。
【0106】
ii)抗hCGイムノグロブリン
2つの異なる抗hCG抗体(IgG)が利用でき、両者ともマウス由来であり、HT13およびFBT10である。以下のプロトコールは、それらの各々1つに関して同じである。
【0107】
抗体1nmolが、15mMのピローリルカプロエートDMSO溶液67μLへと加えられる。得られた混合物は2時間30分、作用するように放置される。
【0108】
これらのサンプルは、Nalgeneフィルターを使用して前記と同様に濾過され、スポッティング緩衝液100μLを用いて3回濯がれる。抗hCG IgG−ピロールの2サンプルが、スポッティング緩衝液50μL中に溶液状態で回収される。
【0109】
B)ポリピロールの電気化学的合成:スポッティング
この共重合は、考慮されるこれら2つのモデルに関して同じである。
【0110】
ここでそれは、いずれのIgG−ピロール溶液であっても20μLおよびスポッティング溶液(20mMリン酸緩衝液、20mMピロール)20μLを含有する溶液40μLを用いて実施される。
【0111】
C)該スポット上へとグラフトされた抗体の蛍光検出からなる相(段階)
以下の2つのモデルにおいて、該スポットは各ステップ間に、10mMのPBS緩衝液1mL、1%BSA、0.05%(w/w)Tweenを用いて2回濯がれ、全ての反応は常温において実施される。
【0112】
i)ウサギIgG
電気化学的合成の後、該スポットは30分間、濯ぎ用緩衝液(10mMのPBS、1%BSA、0.05%(w/w)Tween)100μLを用いて濯がれ、次いでブロックされる。2回目の濯ぎの後、ビオチン化抗ヒトまたは抗ウサギIgG抗体溶液100μLがそれぞれ1/10000および1/50000に稀釈され、加えられる。この反応は、30分間放置される。更なる濯ぎの後、濯ぎ用緩衝液中10%のストレプタビジンR−フィコエリトリン溶液100μLが、暗所において10分間で加えられる。その蛍光検出は、実施例4に前記した通りに実施される。
【0113】
ii)抗hCGイムノグロブリン
以下のプロトコールは、その濯ぎおよびブロックのステップに関して前記と同じであり、10mMのPBS緩衝液、1%BSA、0.05%(w/w)Tween中300nMのhCG溶液100μLが、スポット上へと付着される。この反応は、30分間放置される。更なる濯ぎが実施され、次いで、プレートへと取り付けられたものとは異なりウサギ由来である抗hCG抗体溶液100μLが、1/2000に稀釈され、加えられる。それは30分間、作用するように放置される。更なる濯ぎが実施され、次いで、ビオチン化抗ウサギIgG溶液100μLが、1/10000に稀釈され、加えられる。
【0114】
この反応は、30分間放置される。濯ぎの後、その視覚化が前記の通りに実施される。
【0115】
D)抗体を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)実験
そのブロックの機能性を解析することができるように、本発明者らは固定化された入射角条件を用い、時間の関数として、その反射率の変動速度を測定した。
【0116】
使用された機器の詳細は、前記したP.Guedonらの文献にある。
【0117】
図9は、緩衝液中において得られたプラズモンのグラフ表示である。
【0118】
本発明者らはこのため約34.1°の条件を使用し、反射率曲線の吸収ピークの右隣にあるようにした。
【0119】
該プロトコールは、以下の通りであった:
ブロッキング・ステップ。10mMのPBS、1%BSA、0.05%Tweenを含有する溶液は、引き続いての非特異的相互作用を制限するためのものであった。
緩衝液として働くブロッキング溶媒中での入射角の関数としての反射率の測定および記録。
1/100に稀釈されたビオチン化抗ウサギIgGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
1/100に稀釈されたLCGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
1/2000に稀釈されたウサギ由来抗hCGIgGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
1/100に稀釈されたビオチン化抗ウサギIgGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
0.1Mグリシンおよび塩酸を含有する再生緩衝溶液(pH=2.3)を用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、プラズモンの間のブロッキングにおける初期濃度と最終濃度とを比較する。
【0120】
このプレートは、第1にビオチン化抗ウサギIgGを用いて、次いでhCG、ウサギ由来抗hCG、そして最後にビオチン化抗ウサギIgGを用いて視覚化される。該実験は、5時間20分継続する。
【0121】
添付の図10は、プレート上での付着速度のグラフ表示であり、2つの付着物は、ウサギIgG(IgG1)およびHBT10(抗hCG抗体)からなる。
【0122】
この実験は、種々のタンパク質の積層体が望み通りに生じることを実証するものである。注入されるタンパク質の付着物への取り付けに対応する種々のプラトーもまた、特記される。ウサギIgGからなる付着物は抗ウサギIgGのみを取り込み、hCGを取り込まない。HBT10からなる付着物は明らかにhCGを付着させ、このことは、2つのタイプのウサギ抗体間では、つまりプレートに取り付けられたウサギIgGとウサギ由来の抗hCGとの間では、交差反応を与えない。
【0123】
実施例7:ポリマー上/中へとグラフトされたタンパク質の認識能力における、このポリマー付着物の厚さの影響
ウサギ由来抗IgG抗体は、実施例6に与えられた方法に従って、該ポリマー中へとグラフトされる。
【0124】
該付着物は、同じ反応溶媒(50mMリン酸ナトリム緩衝液、pH7、20mMピロールIgG)を使用して、生成される。該付着物は、A〜Fに関しては2つずつ、Gに関しては3つ生成されるが、これらは様々な時間、電気的スポッティングにより生成され、このため、変動可能な厚さのポリマーを生成させる。その合成負荷が測定され、該ポリマーの厚さがこれゆえに評価され(測定され)得る。
【0125】
生産されるバイオチップは引き続き、ビオチン化抗ウサギIgGにより処理され、その認識が次いで、ストレプタビジン−フィコエリトリンにより検出される(実施例6参照)。得られた画像が、添付の図11(a)および(b)に与えられ、その定量結果(蛍光強度)が、以下の表3に与えられる。図11(b)は、写真11(a)のダイヤグラム表示であり、付着の実証を可能にする。
【0126】
該結果は、該ポリマーが厚過ぎる場合、該抗ウサギIgG(巨大分子)を用いた認識が困難であることを示す。厚いポリマーの場合、WolowaczらによりAnal.Chem.1992,64,1541−1545に記載のもののような捕捉システムが得られる。蛍光の場合、最適厚さは10nmオーダーであり、これは多かれ少なかれ、不動化された分子の直径に対応する。それはこれゆえに、該ポリマー中に単に捕捉されるだけで済み、これは共有結合による取り付けを意味する。この同じポリマーの厚さ(10nm未満)は更に、プラズモン共鳴(P.Guedonら、Anal.Chem.2000,72,(24),6003−6009)による検出を最適化することを可能にする。
【0127】
【表2】
【0128】
結論
該ポリマーの厚さはこれゆえに、嵩高いタンパク質を取り付ける能力、特に、嵩高いタンパク質の認識能力において、鍵となる役割を演じる。文献に記載の電気重合用の厚さまたは電荷密度はこれゆえに、比較され得る。Wolowaczらは、グルコースオキシダーゼ(酸化酵素)を取り込むフィルムを提案し、その重合密度は1.4mC/mm2のオーダー(つまり、フィルム厚約280nm)である。この場合、該ポリマーの有孔性という利点により、それが小さな分析物であるグルコースの拡散を可能にするので、このセンサーは機能するのである。更に最近では、Sadikらが前記文献中において、ヒト血清アルブミン(HAS)モデルにおけるイムノセンサーを提案し、このタンパク質の捕捉に使用されるポリピロールフィルムの厚さは、最小350nm、つまり重合電荷密度1.5mC/mm2である。
【0129】
先行技術は、該ポリマーの厚さがバイオセンサーの生物学的応答に影響を持っているとは記載も示唆もしていない。本発明者らはこれゆえに、このパラメータ(ポリマーの厚さ)を考慮に入れる方法を最初に提供するものであり、予期せず、先行技術の前記問題を解決することを可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図2】図2は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図3】図3は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図4】図4は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図5】図5は、本発明の方法およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図6】図6は、本発明の方法を実施するのに使用される装置を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図7】図7a)、b)、c)、およびd)は、種々のストレプタビジン+ビオチン共役体の蛍光強度測定のマイクログラフを表したものである。
【図8】図8a)および8b)はそれぞれ、種々のストレプタビジン+ビオチン共役体の蛍光強度測定のマイクログラフ、ならびに、該マイクログラフ上において得られるスポットのダイヤグラムを表したものである。
【図9】図9は、抗体を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイの結果のグラフ表示である。
【図10】図10は、本発明の方法による導電性ポリマーに取り付けられたウサギイムノグロブリンG(IgG)と抗hCG抗体(HBT10)とからなるブロックの認識速度を表したものである。
【図11】図11は、実施例7に記載された操作条件下に得られたポリピロールフィルムの厚さの関数として測定された、蛍光強度のマイクログラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロール主体のポリマーへとタンパク質を取り付ける方法に関し、この方法の、センサー、特にマルチセンサー、例えばバイオチップを生産するための使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、特にセンサー生産に関して、特にバイオチップの分野において、タンパク質の活性を変えてしまうことなく導電性ポリマー上において該タンパク質を不動化させること、特に、2つの異なるタンパク質を別個に不動化させることを可能にするものではなく、大きな困難を抱えている状態に留まっている。
【0003】
事実、タンパク質、例えば、酵素、抗体、受容体、およびある種の抗原は、標的分子に対する認識部位、または、それらが他の分子により認識され得る部位を持っている。これらの部位は、それらの活性(単数または複数)に関して応答性である。例えば酵素は、それの基質に関して特異的な部位を持ち、抗体は、それに対応する抗原による認識を可能にする特異的エピトープを持ち、抗原は、それが標的とするエピトープに対して特異的な認識部位を持っている。これらの部位は一般的に、空間におけるタンパク質自体における該タンパク質の折り畳みによって形成され、この折り畳みは、ジスルフィド結合、イオン結合、水素結合、および疎水性結合により、安定化され得る。この折り畳みおよびこの結果として形成されるこれらの部位はこれゆえに、該タンパク質にかかる単純な歪み、立体障害、または、イオン強度、pH、もしくは溶媒温度の変化により、容易に不安定化され得る。加えてこれらの部位は、−NH2、−OH、−COOH、または−SH官能基のような、前記導電性ポリマーへの該タンパク質の取り付けの間に使用される試薬またはモノマーと反応し得る反応性官能基を持っており、これゆえにダメージを受け、妨害を受け、または障害を受けることが考えられる。
【0004】
このような部位を持つタンパク質を表面へと取り付けるのに使用される方法はこれゆえに、この部位を活かすためには、できるだけ遠くにこの部位を保たねばならず、これにより、生産されるバイオセンサーはその機能を果たし、できるだけ精確、敏感、および再現性あるサンプル分析結果を提供するのである。
【0005】
当業者にとって既知の技術では、導電性ポリマーへのタンパク質の不動化は、4つの異なる技術を使用し得る。これら4つの技術は、捕捉、後での官能基化、非共有結合によるタンパク質の不動化、および共有結合によるタンパク質の不動化である。これらの技術は添付の図面1〜4に、ダイヤグラムにより表される。これらの図面では、「P」および「Pa」はそれぞれタンパク質および活性化されたタンパク質を表し、「m」および「ma」はそれぞれポリマーのモノマーおよび活性化されたモノマーを表し、「P−m」はタンパク質−モノマーカップリング化合物を表し、「M」および「Ma」はそれぞれ該ポリマーおよび活性化された該ポリマーを表す。
【0006】
捕捉技術では、モノマーはタンパク質の存在下に、重合(化)に付される。形成時に、該ポリマーはその網目中に、このタンパク質を捕捉する。この技術は、例えば、FouldsおよびLoweによるJ.Chem.Soc.,Faraday Trans.1986,82,1259−1264に記載され、添付の図1に示される。タンパク質が不動化される前に該タンパク質を修飾せずに済むのでこの技術は有利であり、このため原理的に、該タンパク質活性をより良く保存することができる。この方法はより最近、O.A.SadikらによるTalanta 2001,55:929−941にも記載された。
【0007】
不運なことにこの方法は、捕捉による不動化のメカニズムが原因で、選択される電極上へ、電流を介してタンパク質だけを標的とすることを可能にするものではなく、付着毎に起きる(他の)付着物の混入なしには、異なるタンパク質を幾つか付着させることを可能にするものでもない。事実、この技術では、引き続いての付着物の重合の間に、タンパク質は部分的には捕捉され、部分的には放出されることがあり、これゆえに、後からのものを混入させてしまうことがある。加えて、不動化時間は非常に長く、混入はこれらの付着の間に可能であり、これはマルチセンサー生産を困難にし、結果として、モノ(単)センサー生産に使用される。
【0008】
更にそれは、ポリマー塊における不動化からなる技術であり、これは結果的に、以下の様々な欠点を与える:
タンパク質の活性部位への接近の減少、更には離脱。
タンパク質が、研究された溶媒のそれとは非常に異なる極性の溶媒中に封じ込められるという事実によるもの。例えば、分析されるべきサンプル。該タンパク質とその標的との間での認識が、上記の立体障害に加えて(更に)妨害される。
もし、該タンパク質とその標的との間での認識が、該タンパク質の構造の変化を要求または誘導する場合、この変化は、ポリマーの堅さにより障害されることがある。
該タンパク質のその標的との相互作用の検出は、その質量においてのみ可能であり、これは、最も汎用の光学的分析方法を可能でなくすものである。
一方それは、例えばバイオセンサー形態の電気化学的検出には、非常に適している。
【0009】
加えてこの技術は、タンパク質を封じ込めるために、極めて分厚いポリマーを必要とする。これは、以下の欠点を持っている:
使用されるタンパク質の量が、単一の付着の場合よりも多くなければならない。
電流へ晒す時間が、より長くなくてはならない。上記のSadikらの文献によれば、電荷密度は2nC/mm2のオーダー、つまり、約500nmのポリマー厚である。
【0010】
尚もう1つ別の欠点は、もしタンパク質の捕捉が完璧でなかった場合、これは結果的に、連続する重合の間、使用の間、または保管の間におけるタンパク質の量の損失に繋がり、センサー感度を低下させ、マルチセンサーの場合では混入を伴うという事実である。
【0011】
後での官能基化の技術は、添付の図2にダイヤグラム的に表される。それは主に、NH2もしくはSH基で官能基化されている支持体上への、活性エステルもしくはマレイン酸イミドにより活性化済みのタンパク質のグラフト化、あるいは逆に、活性エステルもしくはマレイン酸イミドによりそれぞれ活性化済みの支持体上への、タンパク質のリジン由来のNH2基もしくはシステイン由来のSH基を使用しての、官能基化されていてもよくもしくはされていなくてもよいこれらのタンパク質のグラフト化を含むものである。この方法は、例えば、W.SchuhmanによるMikrochim.Acta 121,1−29(1995)に記載されるものである。それは、表面検出を誘導する表面グラフト化を可能にするものである。
【0012】
このグラフト化は不運にも、含まれる官能基の弱い反応性のために、コントロールが容易でない。加えてそれは、モノセンサー生産に適するものであり、多大な困難を伴ってのみ、マルチセンサー生産を可能にする。事実、幾つかのスポットを含有するマルチセンサーを生産したい場合、この技術においては反応性が弱いので、第1スポットの全ての官能基が、例えば第2タンパク質が第2スポットへと取り付けられる時点において既に反応してしまっているわけではなく、これゆえに、該第1スポット上における該第2タンパク質の混入が見られる。これを避けるために、該タンパク質は、選択された付着物上へとのみ導入されねばならない。局在化される様式で微小滴を塗布することは効果的に可能ではあるが、それら(該微小滴)の蒸発速度は非常に速く、この反応はコントロールが難しいので、これをミニチュア化するのは困難であることが考えられる。この場合、標的化は、例えばインクジェットシステムを使用して機械的に実施されなくてはならないので、導電性タイプのポリマー支持体を使用することに対する利点はない。このような技術は、ガラス・スライド上においてタンパク質チップを生産するのに使用され、これは、G.MacBeath Science,2000年9月8日,289巻,1760−1763に記載される通りである。
【0013】
これらのタンパク質の化学修飾の先行技術を用いない、タンパク質の非共有結合による不動化技術が、添付の図3に表される。この技術においては、ビオチン−アビジン系が使用される。Farmakovskyらによる文献WO00/11473が、この技術を記載している。吸着により多かれ少なかれよく不動化されるタンパク質を有する導電性ポリマーが、形成される。
【0014】
該支持体への取り付けが非常に弱いという事実は、この電極の保管およびマルチセンサー生産に関して、ある意味においては好ましくない。
【0015】
第4の技術は、共有結合による捕捉である。これは、添付の図4にダイヤグラムにより表される。この技術は、Wolowacz,S.E,、Yon Hin B.F.Y.、およびLowe C.R.による先行技術Anal.Chem.1992,64,1541−1545に記載されている。この著者は、ピロールへと共役させ、ピロールとの共重合に付す方法で、酵素、グルコースオキシダーゼ(酸化酵素)を調製した。該酵素上へとグラフト化されたピロールは、1種のポリピロール・コーティングされた該酵素を、電気重合および不動化させる。
【0016】
該酵素は該ピロール中に捕捉され、不運にもこのことが、その外側にある溶媒および埋没したそれの活性部位へのそれのアクセスを制限してしまう。このアクセスは、ある場合においては観測され得るが、前記した刊行物中でのグルコースのような非常に小さな分子に関してのみであり、これは、該ポリピロールの網目のメッシュ中へと浸透することができるものである。事実、前記した捕捉技術の欠点はそのままで、安定性のみが向上する。
【0017】
これゆえに、先行技術の方法の欠点、限界、短所、および不利を持たない導電性ポリマーへとタンパク質を取り付ける方法に対する、真の必要性が存在している。
【0018】
加えてこの方法に関しては、それが先行技術の方法およびセンサーの欠点、限界、短所、および不利を持たないように、センサー生産、特にマルチセンサー生産に使用され得るようでなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の狙いは、精確には、導電性ポリマーへとタンパク質を取り付ける方法を提供することであり、これは特に、モノセンサーまたはマルチセンサー生産に使用され得、これは中でも、前記した必要性を満足するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この狙いおよび他の狙いも、本発明、ピロールポリマーにより導電性支持体へとタンパク質を取り付ける方法により達成され、これは以下のステップを含む:
取り付けられるべきタンパク質をピロールモノマーとカップリングさせ、タンパク質+ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質へとカップリングされていないピロールモノマーの第2溶液を調製するステップ;
該第1溶液を該第2溶液と混合して、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用する、前記導電性支持体の少なくとも1つの所定の領域上において、該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合ステップ(該電気重合は該領域上へ、1〜500μC/mm2の電流量を送ることにより実施)。
【0021】
本発明によれば、用語「ピロールモノマー」とは、ピロールのモノマーまたはピロールの重合可能な誘導体を意図するものである。本発明において使用され得る該ピロールモノマーは、バイオチップ生産方法において当業者に知られているものである。ピロール誘導体としては、例えば、メチルピロールまたは置換もしくは無置換ピロールダイマーが挙げられてよい。
【0022】
本発明によれば、1つ以上のタンパク質が、本発明の方法により、支持体へと取り付けられ得る。当業者は、本記載に照らせば、彼らの必要性に従って、その各々が選ばれた該ピロールモノマーへとカップリングされ、該支持体の1つ以上の領域上へと付着される1つ以上のタンパク質を有する電気重合溶液をどのように調製するかを理解するであろう。
【0023】
本発明によれば、「該支持体領域」との表現は、「ブロック」、例えばバイオチップ支持体ブロックを意味することをも意図するものである。本発明によれば、該電気重合は、例えば種々のタンパク質を用いて、幾つかの領域においてもしくは生産されたバイオチップのブロック上において同時に、または、幾つかの領域においてもしくは生産されたバイオチップのブロック上において連続して実施され得る。領域またはブロックの数の選択は、特にバイオセンサーの所望の解像度、および、所望の該バイオセンサーを用いて実施され得る同時解析の数に依存するであろう。領域またはブロックのこの数は、当業者に既知のバイオチップに関しては決めることができる。本発明の目的では、前記導電性支持体はこのため有利に、1つ以上のブロックを有するバイオチップ支持体であり得る。本発明の方法はこのため、所望されるモノセンサーまたはマルチセンサー生産を可能にする。
【0024】
本発明は驚くべきことに、ポリマーへと取り付けられたかもしくは該ポリマー上において不動化されたタンパク質の活性、例えば大きな分子に関するタンパク質の認識特性、例えば抗原のそれに対応する抗体に関する認識特性を、保存することを可能ならしめる。
【0025】
このことは、ピロールがタンパク質のアミノ基の大部分と反応するので、先行技術では不可能であった。今や本発明の方法により、全く予想外にも、本発明者らはポリピロール+タンパク質付着物を生成させており、ここで薄層ポリマー中においてもしくは薄層ポリマー上において不動化されたタンパク質の活性は、保存されている。加えて本発明は、更に該タンパク質の活性を保存する極薄フィルムを構築することを可能にする。
【0026】
事実、本発明者らは、彼らがタンパク質と反応させた種々のピロールを調製しており、これは以下の実施例に示される通りである。これらの共役タンパク質は引き続いて、ピロールとの電気重合により不動化される。それなりに、そして、問題となっている現象に関する知識の欠如にもかかわらず、彼らはこの方法により、導電性基板上へと抗原タンパク質を標的化することができ、それらを特異抗体により認識させることができた。
【0027】
本発明者らは、この認識を蛍光を用いて研究し、これは、タンパク質がその表面において本当に不動化されることを彼らが証明できるようにしたが、これは、該蛍光が、ポリピロール・マトリックス外でのみ検出され得るからである。これは、本発明による電気重合による不動化および抗体のように嵩高いことがあるもう1つ別の分子による認識をも確認できるようにした。
【0028】
本発明者らはまた、表面プラズモン共鳴(SPR)画像化研究をも行ったが、これは、それがリアルタイムでの分析法であるという事実によるものであり、分析の観点おいて更に進展することを可能にするものである。これらの速度論的研究は、本発明の方法の利点により、タンパク質活性の保存のより良い評価を得ることを可能にするものである。更にこの分析法は、P.GuedonらによるAnal.Chem.(2000),72,(24),6003−6009に記載のように、金層から非常に近い距離において起きる生物学的相互作用を検出することのみに関してよく知られている。この距離はしばしば、50nm未満である。
【0029】
これら2つの実験から、該相互作用が、ポリマー(蛍光)表面およびこの金に非常に近いところの両方において起きることが確かめられる。このことは、該ポリマーが非常に薄くなければならないことを意味するが、これは、本発明の方法による場合に該当する。
【0030】
このため本発明によれば、電気重合は、該電気重合の間に送られる電流量を限定することにより実施される。このため結果として、より良い結果が得られている。本発明による電流量は、ポリピロール鎖長を限定することが可能である。このことはこれゆえに、固定化される場合、タンパク質活性の損失を限定するであろう。もう1つ別の可能性は、該重合が電極の直近において起き、このことが、この電極から最も遠いタンパク質の一部上での該ピロール重合を最小化させる効果を持ち、このためそれの認識活性を保存する効果を持つということであり得るであろう。本発明者らは、電場に関して反応溶媒よりもより導電性の低いタンパク質によるスクリーニングが、恐らくより存在しているものと考えている。
【0031】
このため、該電気重合は、1〜500μC/mm2、好ましくは5〜100μC/mm2の電流量を前記領域上へと送ることにより、本発明の電気化学的電気重合方法により実施される(該電流量は、該領域の電気的分極により送られ得る)。この結果として、非常に有利なことに、10nm未満であってもよい厚さを持つポリマーの形成が見られる。例としてこの重合は、該領域に適用される500ミリ秒間で1V/ECSの電気パルスにより、本発明により実施され得る。
【0032】
本発明によれば、取り付けられるべきタンパク質のピロールとのカップリングが、該ピロールの活性化により実施され得、次に、活性化された該ピロールの、取り付けられるべき該タンパク質へのカップリングが続く。活性化された該ピロールは例えば、そのリジンのアミノ基上において活性なピロール活性エステル、または、そのシステインの−SH基上において活性なマレイン酸イミドピロールであってもよい。これらの例は限定的なものではなく、当業者は本発明の方法をどのように他のピロール活性化に適合させるか、理解するであろう。
【0033】
本発明によれば、該ピロール活性化は、例えばN−ヒドロキシスルホコハク酸イミドまたはマレイン酸イミドを用いて実施され得る。
【0034】
本発明によれば、このタンパク質−ピロールカップリング化合物は、有利には以下の化合物から選ばれ得る。
【0035】
【化1】
【0036】
本発明の特定の実施形態によれば、幾つかのタンパク質が、該ピロールポリマーへと取り付けられ得、引き続いて、前記導電性支持体の異なる(幾つかの)所定の領域上へと取り付けられ得る。例えば2つのタンパク質が、該ピロールポリマーへと取り付けられ得、引き続いて、前記導電性支持体の異なる2カ所の所定の領域上へと取り付けられ得る。
【0037】
換言すれば、本発明のこの特定の実施形態は、その少なくとも一部が該導電性ポリマー/反応溶媒界面に位置する少なくとも2つの異なるタンパク質を含有するマルチセンサーを生産する方法からなり、このマルチセンサーは、重合可能なモノマーとタンパク質との共重合により得られるものであり、この上へは、共重合可能な同一もしくは異種のモノマーをグラフト重合させることが可能である。
【0038】
このため、本発明の方法は有利なことに、センサーもしくはマルチセンサー、例えばバイオチップ生産に使用され得、これは、本発明の方法が、前記した先行技術の欠点を排除することを可能にするからである。生産されたセンサーは、精確、敏感、および再現性あるサンプル分析結果を提供する。
【0039】
本発明によれば、該タンパク質は例えば、酵素、抗体、抗原、ホルモン、受容体等からなる群から選ばれ得、これは本発明に、広範な応用分野を付与する。
【0040】
他の利点は、添付の図面を参照しながら、限定せずにその応用を示すために与えられる以下の実施例を読めば、当業者には更に明らかになるであろう。
【実施例】
【0041】
実施例1:ピロール活性エステルの調製
A)スルホ−N−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(スルホ−NHS)ピロールの合成
以下の順序にて、以下のものが25mL丸底フラスコ中へと入れられる。
11−(1−ピローリル)ウンデカン−1−オイック酸(2mmol;503mg) N−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(2mmol;434mg)
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(2.4mmol;495mg)
ジメチルホルムアミド(DMF)10mLが、引き続いて加えられる。濁った混合物が得られ、終夜、磁気攪拌される。
【0042】
この反応混合物が真空下に、引き続いて濾過される。該反応の間に形成されたジシクロヘキシルウレア(ジシクロヘキシル尿素、DCU)の沈澱が、取り除かれる。目的生成物を含有する濾液は、ロータリー・エバポレーター中でエバポレーション(留去)される。
【0043】
得られた該生成物は、水25mL中に取り込まれる。この溶液は、ジクロロメタン50mLを用いて3回洗浄され、残ったDCCを取り除く。この水は終夜、Speedvac(登録商標)中で引き続き取り除かれる。
【0044】
該反応の収率は、65%である。
【0045】
B)マレイン酸イミド(マレイミド)ピロールの合成
マレイン酸イミド活性エステルの調製
マレイミド酸(3.7g;17.5mmol)、NHS(2g;17.5mmol)、DCC(3.6g;17.5mmol)、およびDMF(90mL)が終夜、磁気攪拌される。該マレイン酸イミドの該ピロールとのカップリング化学反応を、以下に示す。
【0046】
得られた混合物が濾過され、DCUを取り除く。得られた濾液が引き続き、濃縮される。
【0047】
白色粉末が得られる。この生成物は更に精製せずに、そのまま使用された。
【0048】
【化2】
【0049】
Xは−CH2基であり、nは1≦n≦20であるような整数である。
【0050】
例えば、[X]nは以下の点i)、ii)、およびiii)において定義されるマレイン酸イミドピロールのようなものであってよい。
【0051】
i)マレイン酸イミド−[2]−ピロール:
【0052】
【化3】
【0053】
マレイン酸イミド活性エステル(924mg;3mmol)、N−アミノエチルピロール(330mg;3mmol)、およびDMF15mLの混合物が、終夜攪拌される。薄層クロマトグラフィー(TLC)により、この反応が完結していることを証明できる。
【0054】
該DMFのエバポレーションの後、生成物を、シリカ・カラム・クロマトグラフィーにより精製する。その溶出は、純粋なジクロロメタンを用いて開始され、メタノール(MeOH)の濃度勾配を増加させながら続けられた(該生成物の溶出:98%〜2%)。
【0055】
得られた量は、0.4gである。該反応の最終収率はこれゆえに、45%である。
【0056】
ii)マレイン酸イミド−[6]−ピロール:
【0057】
【化4】
【0058】
この反応は、DMF(15mL)中、マレイン酸イミド活性エステル(0.924g;3mmol)およびN−アミノヘキシルピロール(0.498g;3mmol)を混合した後、終夜磁気攪拌されて実施された。シリカ・カラム溶出は、CH2Cl2/MeOH(97%〜3%)混合液を用いて実施された。
【0059】
この反応に関しては46.4%の収率が得られ、0.5gであった。得られたこの生成物は、褐色の液体である。
【0060】
iii)マレイン酸イミド−[13]−ピロール:
【0061】
【化5】
【0062】
このプロトコールは上記のものと同一なので、マレイン酸イミド活性エステル(1.14g;3.70mmol)およびピロール−[13]−アミン(1g;3.70mmol)が、DMF20mL中混合される。シリカ・カラム溶出は、CH2Cl2/MeOH(97%〜3%)混合液を用いて実施される。得られた生成物(褐色液体)の量は1g、つまり最終収率58%である。
【0063】
実施例2:ストレプタビジンのカップリング
A)NHS−ピロールを使用したストレプタビジンのカップリング
上記実施例1においてのように生成された2タイプのNHS−ピロール:
NHSピローリルカプロエート
スルホ−NHSピローリルウンデカノエート
が、比較して使用される。
【0064】
初期モル比(IMR)=40、つまり1分子のタンパク質につき40分子のNHS−ピロールを用いた手順が実施され、このゆえに、カップリング用緩衝液300μL中5.55nmolのストレプタビジンがいずれにせよ、NHS−ピロール222nmol(1.5mMのNHS−ピロール溶液148μL)へと加えられる。該カップリング反応は、2時間放置される。
【0065】
3つの反応が、並行して実施される。
第1の反応は、前記NHSピローリルカプロエートを使用する。
第2の反応は、前記スルホ−NHSピローリルウンデカノエートを使用する。
第3(最後)の反応は、カップリング用緩衝液中にストレプタビジンのみを含有するコントロールである。
【0066】
反応後の精製は、製造元のプロトコールに従って、Nalgene30Kフィルター(ブランド名)を使用して、実施される。
【0067】
各サンプル375μLが各々、異なるフィルター上へと載せられ、8000rpmで15分間遠心分離される。各フィルターが次いで、「スポッティング(spotting)」緩衝液200μLを用いて3回濯がれるが、各洗浄の間において、15〜20分間の遠心分離が必要である。
【0068】
終わりに、50μLの3フラクション:
ストレプタビジン−NHSピローリルカプロエート
ストレプタビジン−スルホ−NHSピローリルウンデカノエート
ストレプタビジンのみ
が回収される。
【0069】
B)ストレプタビジンへのこれらのマレイン酸イミドピロールのカップリング
ストレプタビジンはSH官能基を全く持っていないので、2つの官能基を有する試薬N−コハク酸イミド−3−イル[2−ピリジルジチオ]プロピオネート(SPDP)によりSH官能基が作り出されるが、SPDPはこのタンパク質のアミン官能基と反応するものである。この試薬のSH官能基は引き続き、これらの試薬を使用することの利点により、ジチオトレイトールにより脱保護される。この技術は、例えば、Carlson,T.,Drevin,M.,およびAxen,R.(1978)Biochem.J.173,723−727に記載される。
【0070】
上記実施例1においてのように生成された3つのマレイン酸イミドはこれゆえに:
エチルマレイン酸イミド−ピロール
トリオキサトリデカノイルマレイン酸イミド
ヘキシルマレイン酸イミド−ピロール
である。
【0071】
a)脱保護された該SH官能基の生成
ストレプタビジン4.2nmolを、SPDP150nmolと反応させる。この反応は、40分間放置される。この混合物は次いで、Nalgene30Kフィルターを使用して濾過され、pH4.5の50mM酢酸ナトリウム緩衝液(バッファー)100μLを用いて、3回濯がれる。
【0072】
ジチオトレイトール62.5nmolが引き続いて、得られたストレプタビジン−SPDP(SA−SPDP)へと加えられる。この反応は、40分間放置される。濾過が前回と同様に再度実施され、濯ぎがPBS緩衝溶液を用いて実施され、反応可能な遊離のチオール官能基を有するストレプタビジン(SA−SH)を、150μLの容積で回収した。
【0073】
得られるサンプルは引き続き、50μLの3フラクションへと分離され、これらにマレイン酸イミド−ピロール85nmolが加えられる。
【0074】
b)エチルマレイン酸イミド−ピロールの場合(MW=303g/mol)
マレイン酸イミド−ピロール2mgをDMF200μL中に取り込むことにより調製された25nmol/μLマレイン酸イミド−ピロール溶液(3.4μL;85nmol)と、SA−SHが混合される。この反応は、30分間継続する。
【0075】
c)トリオキサトリデカノイルマレイン酸イミドの場合(MW=463g/mol)
この反応は上記のものと同様に実施され、マレイン酸イミド−ピロール1mgをDMF50μL中に取り込むことにより調製された39nmol/μLマレイン酸イミド−ピロール溶液(2.2μL;85nmol)へと、SA−SHを加えた。この反応は、30分間継続する。
【0076】
d)ヘキシルマレイン酸イミド−ピロールの場合(MW=359g/mol)
マレイン酸イミド−ピロール3mgをDMF200μL中に取り込むことにより調製された57.5nmol/μLマレイン酸イミド−ピロール溶液(1.5μL;85nmol)と、該SA−SHが混合される。この反応は、30分間実施される。
【0077】
該反応後、これらの種々の反応混合物および前記コントロール溶液(ストレプタビジンのみ、試薬添加せず)が、Nalgene30Kフィルターを通して遠心分離され、「スポッティング」緩衝液を用いて濯がれる。最後に「スポッティング」緩衝液(50nMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7)によりその容積を整えることにより、全サンプルを50μLの最終容積とする。
【0078】
実施例3:ポリピロールの電気化学的合成(「スポッティング」):電気重合
この反応は、添付の図6に表される「スポッティング」構築を使用して実施されるが、これは更に、前記したP.Guedonらによる文献に詳細に記載される。この図では、「A」および「B」がそれぞれ、前記NHSカプロエートおよび前記スルホ−NHSウンデカノエートを介してポリピロールへとカップリングされたストレプタビジンに対応し;「C」が、前記ヘキシルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたストレプタビジンに対応し;「D」が、ストレプタビジンのみに対応する。「L」はガラス・スライドを表し;「Au」はこのガラス・スライド上に付着された金層であり(この組み合わせを以降「金スライド」と呼ぶ);「s」は電気重合溶液であり;「W」は作動電極である。「1」はピペットを指し;「3」は該ピペットのチップを指し;「7」は該金層上へと付着されたポリピロールスポットを指す。
【0079】
この図に表されるように、該電気重合が実施される該金スライドは作動電極(W)として働き、この付着用ピペットチップ中に置かれる白金線は対向電極(Ce)として働く。この電気化学的システムは、ポテンシオスタット5へと接続される。
【0080】
この共重合は、前の実施例において生成されたものから選ばれるSA−マレイン酸イミド−ピロール溶液5μL、pH7の50mMリン酸緩衝液を含む前記「スポッティング」溶液15μL、および20mMピロールを含有する溶液20μLを用いて実施される。
【0081】
500ミリ秒継続し2.4Vまで上昇する(つまり、約0.9V/ECS)電気パルスに引き続き、該金層上において、フィルム(薄膜)が合成される。
【0082】
種々のスポットが全て同様に生成され、各重合間において、前記ピペットチップが水を用いて濯がれる。
【0083】
実施例4:該スポット上へとグラフトされるタンパク質の検出からなる相(段階)
実施例3の電気化学的合成の後、該スポットを含有する領域が、接着フェルトペンを使用して生成された疎水性障壁により区切られる。該スポットは引き続いて、濯ぎ用緩衝液1mLを用いて2回洗浄される。該スポットは次いで、ブロック用緩衝液100μLを用いてブロックされ、先に区切られた該疎水性領域内において付着されるタンパク質の非特異的な取り付けを防ぐ。前回と同じ第2回の濯ぎの後、PBS中10%のビオチン化R−フィコエリトリン溶液100μLが、付着される。
【0084】
この反応は10分間暗所に置かれ、次いで顕微鏡下での検出相(段階)の前に、第1回および第2回と同じ最終的な洗浄が実施される。
【0085】
実施例5:視覚化
前記金スライド上へと付着されたサンプルは、スライドとカバー・スリップとの間に置かれ、緑色光の下に1.2倍の拡大率において、CDDカメラを備えたエピ蛍光顕微鏡を用いて観察される。該スポットの写真が撮影され、ImageProPlusソフトウェアを使用して、その蛍光強度が測定される。
【0086】
A)実施例1において生成されたNHSピローリルカプロエートおよびスルホ−NHSピローリルウンデカノエートを使用したカップリング
これらのカップリングがここで、ビオチンおよびストレプタビジン(SA)からなる親和性カップリングを使用して、蛍光検出により実証される。これらのカップリングの有効性はこれゆえに、それらの蛍光強度(蛍光強度(IF)または灰色濃度)を通じて判断される。
【0087】
4タイプのスポットが、以下のスキームに従って生成された:
MR=反応溶媒:pH7の50mMリン酸緩衝液および20mMピロール:
IF=10;
A=前記NHSピローリルカプロエートを介してピロールへとカップリングされたSA;
IF=200;
BA=前記スルホNHSピローリルウンデカノエートを介してピロールへとカップリングされたSA;
IF=240;
T=コントロール:SAのみ+MR:
IF=80;
但し、IF=蛍光強度
ブラック(黒)=バックグラウンド(背景)ノイズ。
【0088】
それらはそれぞれ、添付の図7a)、b)、c)、およびd)に、この順序で示される。
【0089】
MRのスポットは、ポリピロールのフィルム表面における非特異的吸着をコントロールする。我々の予想によれば、それは僅かな蛍光しか呈しない。
【0090】
このコントロールのスポットは、ピロールへとカップリングされていないストレプタビジンに対応する。それはこれゆえに、該ポリピロール上へと吸着される。このスポットは、SA−ピロールサンプルAおよびBのものよりも明らかに小さな蛍光強度を示す。このことは、ピロールの存在が、前記金プレート表面へのストレプタビジンの取り付けを促進することを実証する。
【0091】
スポットAおよびBはそれぞれ、前記NHSピローリルカプロエートおよび前記スルホNHSピローリルウンデカノエートを介してポリピロールへとカップリングされたストレプタビジンに対応する。これら2つのスポットの蛍光強度を比較すると、該SAが該NHSピローリルカプロエートを介してカップリングされる場合よりも、該スルホNHSピローリルウンデカノエートを介してカップリングされる場合の方が、得られるシグナルが僅かに強いことに気がつく。この違いは、正に恐らくこのNHSを構成する鎖長によるものであり、該ビオチンの取り付け用部位への接近し易さの維持を可能にするであろう。
【0092】
全体としてこのカップリングは、ストレプタビジンに関して良好な結果を与えるが、他のタイプのタンパク質に関しても可能であると結論される。
【0093】
B)3つの異なるマレイン酸イミドを使用したカップリング
5つのタイプのスポットが、以下のスキームに従って生成された:
MR=反応溶媒:pH7の50mMリン酸緩衝液および20mMピロール;
T=コントロール:MR+SAのみ;
A=MR+前記トリオキサトリデカノイルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたSA;
B=MR+前記エチルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたSA;
C=MR+前記ヘキシルマレイン酸イミドを介してピロールへとカップリングされたSA。
【0094】
図8(a)および(b)は、種々のストレプタビジン−ピロール共役体に関する蛍光強度の測定値を示す。これらのスポットは、図8(b)のスキームに従って付着される。この図の参照番号は、前記されたものに対応する。
【0095】
これらの写真に関して採られた蛍光強度の測定値は、以下の表2に要約される。
【0096】
MR1、MR2、およびMR3のスポットは、本発明者らの予想によれば、僅かな蛍光しか呈さず、このことは非特異的吸着が存在しないことを示す。
【0097】
コントロールT1およびT2は、ピロールへとカップリングされていないSAに対応し、これゆえに該ポリピロール上へと吸着され、前記SA−ピロールサンプルのものよりも遙かに小さい蛍光を示す。
【0098】
これゆえに、この分子上のピロールの存在がここでもまた、該ストレプタビジンの取り付けを促進する。
【0099】
これら3つのスペーサー・アームに関して蛍光強度を比較すると、エチル・アーム、そして最終的にヘキシル・アームよりも、トリオキサトリデカノイル・アームに関して、より良い蛍光が得られることに気がつく。
【0100】
【表1】
【0101】
本研究における現状として、本発明者らは。何故1つのアームがもう1つ別のアームよりもより良いシグナルを呈するのか、確実性を持って決定することはできない。この質問に対する答えは、更なる研究および特徴付けを必要としている。この線の考えでは、例えば、これらのアームの長さおよび/またはより親水性もしくはより親水性でない性質であり得るであろうが、このカップリングの効率等でもあり得るであろう。
【0102】
実施例6:抗体
A)抗体のNHS−ピロールとのカップリング
前記NHSピローリルカプロエートが、2つの異なるタイプの抗体:
i)ウサギイムノ(免疫)グロブリンG
ii)抗hCG(human Chorionic Gonadotropin、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン)イムノ(免疫)グロブリン
と共に、ここでは使用される。
【0103】
i)ウサギIgG
イムノグロブリンG(IgG)10mgが、PBS333μLに取り込まれる。この手順が、IMR40を用いて実施される。これゆえに、この溶液12.5μL(2.5nmol)が、15mMのNHSピローリルカプロエートDMSO溶液6.7μL(100nmol)と混合された。この反応は、2時間30分放置される。
【0104】
これらのサンプルは引き続き、20分間8000rpmにて、Nalgene30Kフィルターを使用して精製され、スポッティング緩衝液100μLを用いて3回濯がれ、各濯ぎの間には、20分の遠心分離が必要である。
【0105】
最後に、これらのIgG−ピロールは、スポッティング緩衝液50μL中に回収される。
【0106】
ii)抗hCGイムノグロブリン
2つの異なる抗hCG抗体(IgG)が利用でき、両者ともマウス由来であり、HT13およびFBT10である。以下のプロトコールは、それらの各々1つに関して同じである。
【0107】
抗体1nmolが、15mMのピローリルカプロエートDMSO溶液67μLへと加えられる。得られた混合物は2時間30分、作用するように放置される。
【0108】
これらのサンプルは、Nalgeneフィルターを使用して前記と同様に濾過され、スポッティング緩衝液100μLを用いて3回濯がれる。抗hCG IgG−ピロールの2サンプルが、スポッティング緩衝液50μL中に溶液状態で回収される。
【0109】
B)ポリピロールの電気化学的合成:スポッティング
この共重合は、考慮されるこれら2つのモデルに関して同じである。
【0110】
ここでそれは、いずれのIgG−ピロール溶液であっても20μLおよびスポッティング溶液(20mMリン酸緩衝液、20mMピロール)20μLを含有する溶液40μLを用いて実施される。
【0111】
C)該スポット上へとグラフトされた抗体の蛍光検出からなる相(段階)
以下の2つのモデルにおいて、該スポットは各ステップ間に、10mMのPBS緩衝液1mL、1%BSA、0.05%(w/w)Tweenを用いて2回濯がれ、全ての反応は常温において実施される。
【0112】
i)ウサギIgG
電気化学的合成の後、該スポットは30分間、濯ぎ用緩衝液(10mMのPBS、1%BSA、0.05%(w/w)Tween)100μLを用いて濯がれ、次いでブロックされる。2回目の濯ぎの後、ビオチン化抗ヒトまたは抗ウサギIgG抗体溶液100μLがそれぞれ1/10000および1/50000に稀釈され、加えられる。この反応は、30分間放置される。更なる濯ぎの後、濯ぎ用緩衝液中10%のストレプタビジンR−フィコエリトリン溶液100μLが、暗所において10分間で加えられる。その蛍光検出は、実施例4に前記した通りに実施される。
【0113】
ii)抗hCGイムノグロブリン
以下のプロトコールは、その濯ぎおよびブロックのステップに関して前記と同じであり、10mMのPBS緩衝液、1%BSA、0.05%(w/w)Tween中300nMのhCG溶液100μLが、スポット上へと付着される。この反応は、30分間放置される。更なる濯ぎが実施され、次いで、プレートへと取り付けられたものとは異なりウサギ由来である抗hCG抗体溶液100μLが、1/2000に稀釈され、加えられる。それは30分間、作用するように放置される。更なる濯ぎが実施され、次いで、ビオチン化抗ウサギIgG溶液100μLが、1/10000に稀釈され、加えられる。
【0114】
この反応は、30分間放置される。濯ぎの後、その視覚化が前記の通りに実施される。
【0115】
D)抗体を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)実験
そのブロックの機能性を解析することができるように、本発明者らは固定化された入射角条件を用い、時間の関数として、その反射率の変動速度を測定した。
【0116】
使用された機器の詳細は、前記したP.Guedonらの文献にある。
【0117】
図9は、緩衝液中において得られたプラズモンのグラフ表示である。
【0118】
本発明者らはこのため約34.1°の条件を使用し、反射率曲線の吸収ピークの右隣にあるようにした。
【0119】
該プロトコールは、以下の通りであった:
ブロッキング・ステップ。10mMのPBS、1%BSA、0.05%Tweenを含有する溶液は、引き続いての非特異的相互作用を制限するためのものであった。
緩衝液として働くブロッキング溶媒中での入射角の関数としての反射率の測定および記録。
1/100に稀釈されたビオチン化抗ウサギIgGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
1/100に稀釈されたLCGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
1/2000に稀釈されたウサギ由来抗hCGIgGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
1/100に稀釈されたビオチン化抗ウサギIgGを用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、抗体の取り込みの前後での、同一溶媒中での濃度差を測定する。
0.1Mグリシンおよび塩酸を含有する再生緩衝溶液(pH=2.3)を用いるステップ。
ブロッキングへと戻り、プラズモンの間のブロッキングにおける初期濃度と最終濃度とを比較する。
【0120】
このプレートは、第1にビオチン化抗ウサギIgGを用いて、次いでhCG、ウサギ由来抗hCG、そして最後にビオチン化抗ウサギIgGを用いて視覚化される。該実験は、5時間20分継続する。
【0121】
添付の図10は、プレート上での付着速度のグラフ表示であり、2つの付着物は、ウサギIgG(IgG1)およびHBT10(抗hCG抗体)からなる。
【0122】
この実験は、種々のタンパク質の積層体が望み通りに生じることを実証するものである。注入されるタンパク質の付着物への取り付けに対応する種々のプラトーもまた、特記される。ウサギIgGからなる付着物は抗ウサギIgGのみを取り込み、hCGを取り込まない。HBT10からなる付着物は明らかにhCGを付着させ、このことは、2つのタイプのウサギ抗体間では、つまりプレートに取り付けられたウサギIgGとウサギ由来の抗hCGとの間では、交差反応を与えない。
【0123】
実施例7:ポリマー上/中へとグラフトされたタンパク質の認識能力における、このポリマー付着物の厚さの影響
ウサギ由来抗IgG抗体は、実施例6に与えられた方法に従って、該ポリマー中へとグラフトされる。
【0124】
該付着物は、同じ反応溶媒(50mMリン酸ナトリム緩衝液、pH7、20mMピロールIgG)を使用して、生成される。該付着物は、A〜Fに関しては2つずつ、Gに関しては3つ生成されるが、これらは様々な時間、電気的スポッティングにより生成され、このため、変動可能な厚さのポリマーを生成させる。その合成負荷が測定され、該ポリマーの厚さがこれゆえに評価され(測定され)得る。
【0125】
生産されるバイオチップは引き続き、ビオチン化抗ウサギIgGにより処理され、その認識が次いで、ストレプタビジン−フィコエリトリンにより検出される(実施例6参照)。得られた画像が、添付の図11(a)および(b)に与えられ、その定量結果(蛍光強度)が、以下の表3に与えられる。図11(b)は、写真11(a)のダイヤグラム表示であり、付着の実証を可能にする。
【0126】
該結果は、該ポリマーが厚過ぎる場合、該抗ウサギIgG(巨大分子)を用いた認識が困難であることを示す。厚いポリマーの場合、WolowaczらによりAnal.Chem.1992,64,1541−1545に記載のもののような捕捉システムが得られる。蛍光の場合、最適厚さは10nmオーダーであり、これは多かれ少なかれ、不動化された分子の直径に対応する。それはこれゆえに、該ポリマー中に単に捕捉されるだけで済み、これは共有結合による取り付けを意味する。この同じポリマーの厚さ(10nm未満)は更に、プラズモン共鳴(P.Guedonら、Anal.Chem.2000,72,(24),6003−6009)による検出を最適化することを可能にする。
【0127】
【表2】
【0128】
結論
該ポリマーの厚さはこれゆえに、嵩高いタンパク質を取り付ける能力、特に、嵩高いタンパク質の認識能力において、鍵となる役割を演じる。文献に記載の電気重合用の厚さまたは電荷密度はこれゆえに、比較され得る。Wolowaczらは、グルコースオキシダーゼ(酸化酵素)を取り込むフィルムを提案し、その重合密度は1.4mC/mm2のオーダー(つまり、フィルム厚約280nm)である。この場合、該ポリマーの有孔性という利点により、それが小さな分析物であるグルコースの拡散を可能にするので、このセンサーは機能するのである。更に最近では、Sadikらが前記文献中において、ヒト血清アルブミン(HAS)モデルにおけるイムノセンサーを提案し、このタンパク質の捕捉に使用されるポリピロールフィルムの厚さは、最小350nm、つまり重合電荷密度1.5mC/mm2である。
【0129】
先行技術は、該ポリマーの厚さがバイオセンサーの生物学的応答に影響を持っているとは記載も示唆もしていない。本発明者らはこれゆえに、このパラメータ(ポリマーの厚さ)を考慮に入れる方法を最初に提供するものであり、予期せず、先行技術の前記問題を解決することを可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図2】図2は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図3】図3は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図4】図4は、先行技術およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図5】図5は、本発明の方法およびその結果(右側)を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図6】図6は、本発明の方法を実施するのに使用される装置を、ダイヤグラムにより表したものである。
【図7】図7a)、b)、c)、およびd)は、種々のストレプタビジン+ビオチン共役体の蛍光強度測定のマイクログラフを表したものである。
【図8】図8a)および8b)はそれぞれ、種々のストレプタビジン+ビオチン共役体の蛍光強度測定のマイクログラフ、ならびに、該マイクログラフ上において得られるスポットのダイヤグラムを表したものである。
【図9】図9は、抗体を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイの結果のグラフ表示である。
【図10】図10は、本発明の方法による導電性ポリマーに取り付けられたウサギイムノグロブリンG(IgG)と抗hCG抗体(HBT10)とからなるブロックの認識速度を表したものである。
【図11】図11は、実施例7に記載された操作条件下に得られたポリピロールフィルムの厚さの関数として測定された、蛍光強度のマイクログラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロールポリマーにより、タンパク質を、導電性支持体へと取り付ける方法であって、以下のステップ:
ピロールモノマーへと取り付けられる該タンパク質をカップリングさせ、タンパク質−ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質にカップリングされていないピロールモノマーの第2溶液を調製し;
該第1溶液を該第2溶液と混合し、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用して、該導電性支持体の少なくとも1つの与えられた領域上において、該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合を実施し、ここで該電気重合が、該領域上へと1〜500μC/mm2の電流量を送ることにより実施されるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記電気重合が、前記領域上へと5〜100μC/mm2の電流量を送ることにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気重合が実施される少なくとも1つの前記導電性領域が、少なくとも1ブロックのバイオセンサー支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ピロールへと取り付けられる前記タンパク質のカップリングが、該ピロールの活性化、およびその後の、取り付けられる該タンパク質への活性化された該ピロールのカップリングにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ピロールの活性化が、N−ヒドロキシスルホコハク酸イミドまたはマレイン酸イミドにより実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質−ピロールカップリング化合物が以下の化合物から選ばれる、請求項4に記載の方法。
【化1】
【請求項7】
2つのタンパク質が前記ピロールポリマーへと取り付けられ、引き続いて、前記導電性支持体の2つの異なる与えられた領域上において取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記タンパク質が、酵素、抗体、抗原、ホルモン、および受容体からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
モノセンサーまたはマルチセンサーを生産するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項10】
バイオチップを生産するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロールポリマーにより、タンパク質を、導電性支持体へと取り付ける方法であって、以下のステップ:
取り付けられるべき該タンパク質をピロールモノマーとカップリングさせ、タンパク質−ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質にカップリングされていないピロールモノマーの第2溶液を調製するステップ;
該第1溶液を該第2溶液と混合し、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用して、該導電性支持体の少なくとも1つの与えられた領域上において、該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合を実施し、ここで該電気重合が、1000ミリ秒未満の合成時間、50μC/mm2未満の電荷を用いて実施され、10nm以下の厚さを持つコポリマーフィルムを得るステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記電気重合が実施される少なくとも1つの前記導電性領域が、少なくとも1ブロックのバイオセンサー支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ピロールへと取り付けられる前記タンパク質のカップリングが、該ピロールの活性化、およびその後の、取り付けられる該タンパク質への活性化された該ピロールのカップリングにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ピロールの活性化が、N−ヒドロキシスルホコハク酸イミドまたはマレイン酸イミドにより実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質−ピロールカップリング化合物が以下の化合物から選ばれる、請求項3に記載の方法。
【化1】
【請求項6】
2つのタンパク質が前記ピロールポリマーへと取り付けられ、引き続いて、前記導電性支持体の2つの異なる与えられた領域上において取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質が、酵素、抗体、抗原、ホルモン、および受容体からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
モノセンサーまたはマルチセンサーを生産するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項9】
バイオチップを生産するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項1】
ピロールポリマーにより、タンパク質を、導電性支持体へと取り付ける方法であって、以下のステップ:
ピロールモノマーへと取り付けられる該タンパク質をカップリングさせ、タンパク質−ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質にカップリングされていないピロールモノマーの第2溶液を調製し;
該第1溶液を該第2溶液と混合し、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用して、該導電性支持体の少なくとも1つの与えられた領域上において、該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合を実施し、ここで該電気重合が、該領域上へと1〜500μC/mm2の電流量を送ることにより実施されるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記電気重合が、前記領域上へと5〜100μC/mm2の電流量を送ることにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気重合が実施される少なくとも1つの前記導電性領域が、少なくとも1ブロックのバイオセンサー支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ピロールへと取り付けられる前記タンパク質のカップリングが、該ピロールの活性化、およびその後の、取り付けられる該タンパク質への活性化された該ピロールのカップリングにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ピロールの活性化が、N−ヒドロキシスルホコハク酸イミドまたはマレイン酸イミドにより実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質−ピロールカップリング化合物が以下の化合物から選ばれる、請求項4に記載の方法。
【化1】
【請求項7】
2つのタンパク質が前記ピロールポリマーへと取り付けられ、引き続いて、前記導電性支持体の2つの異なる与えられた領域上において取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記タンパク質が、酵素、抗体、抗原、ホルモン、および受容体からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
モノセンサーまたはマルチセンサーを生産するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項10】
バイオチップを生産するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロールポリマーにより、タンパク質を、導電性支持体へと取り付ける方法であって、以下のステップ:
取り付けられるべき該タンパク質をピロールモノマーとカップリングさせ、タンパク質−ピロールカップリング化合物の第1溶液を得るステップ;
該タンパク質にカップリングされていないピロールモノマーの第2溶液を調製するステップ;
該第1溶液を該第2溶液と混合し、電気重合溶液を得るステップ;
該電気重合溶液を使用して、該導電性支持体の少なくとも1つの与えられた領域上において、該ピロールとピロールへとカップリングされた該タンパク質との電気重合を実施し、ここで該電気重合が、1000ミリ秒未満の合成時間、50μC/mm2未満の電荷を用いて実施され、10nm以下の厚さを持つコポリマーフィルムを得るステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記電気重合が実施される少なくとも1つの前記導電性領域が、少なくとも1ブロックのバイオセンサー支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ピロールへと取り付けられる前記タンパク質のカップリングが、該ピロールの活性化、およびその後の、取り付けられる該タンパク質への活性化された該ピロールのカップリングにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ピロールの活性化が、N−ヒドロキシスルホコハク酸イミドまたはマレイン酸イミドにより実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質−ピロールカップリング化合物が以下の化合物から選ばれる、請求項3に記載の方法。
【化1】
【請求項6】
2つのタンパク質が前記ピロールポリマーへと取り付けられ、引き続いて、前記導電性支持体の2つの異なる与えられた領域上において取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質が、酵素、抗体、抗原、ホルモン、および受容体からなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
モノセンサーまたはマルチセンサーを生産するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項9】
バイオチップを生産するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−507497(P2006−507497A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554623(P2004−554623)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/FR2003/050127
【国際公開番号】WO2004/048972
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(500348697)コミッサリア ア レネルジー アトミーク (21)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L´ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/FR2003/050127
【国際公開番号】WO2004/048972
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(500348697)コミッサリア ア レネルジー アトミーク (21)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L´ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]