説明

ピーク負荷を保護するための装置

本発明は、公共配電ネットワーク(ENT)の交流ターミナルに接続されている電気消費物(VB)のピーク負荷を保護するための装置であって、直流蓄電池(BAT)から給電され且つその出力において並列に消費物(VB)の電力供給源(EB)に接続されているパワーインバータ(WR)と、消費物の接続回路(EN)内に接続された計測装置(Z1,Z2)と、制御装置(STE)とを備えている。計測装置(Z1,Z2)の助けを借りて、制御装置は、消費物(VB)のエネルギ消費を監視し、それから電気エネルギの消費量(E*(T))を与えられた時間間隔の最後(T)まで、例えば線形外挿を介して、統計的に予測し、そしてこの方法において得られた予測値が、与えられたしきい値(Emax)を超える場合には、消費物の電源を維持するためにパワーインバータ(WR)を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共配電ネットワークの交流ターミナルに接続され得る電気消費物のピーク負荷を保護するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気会社は、しばしば、特に商用部門において、全体的な消費だけにではなく、また消費ピークにも向けられている、すなわち、(積分された)一時的な消費の最大値に従った(短い時間区間に関するものであるからkWhで測定されたような)、料金モデルを有している。ここで、電流消費は、与えられた時間単位、例えば15分、にわたって積分され、そのときの最高値が記憶される。この処置の基礎をなす目的は、エネルギ供給者にとって、たとえ供給量が完全に使い尽くされていない場合でさえも、エネルギの供給率も考慮しなければならないことである。
【0003】
消費ピークの間における与えられた最大値を超えることを回避するための既知の解決策は、例えば、ピーク負荷ウォッチドッグを採用する。これらは、最新の消費を継続的に測定し且つもしも最大値が超えられようとしたら、警報をトリガする消費メータである。そのような場合において、例えば、絶対的に必要なことではないが、装置を止めることによって、消費を低減することは、消費物システムのオペレータに任されている。さらに発展した解決策は、ピーク負荷ウォッチドッグは、それらが消費物システム、例えば、温水ヒータのような、非タイムクリティカルな消費物、の一部分の一時的な停止を直接的にトリガする程度まで自動化されている。
【0004】
それに加えて、ピーク負荷を回避しまたは補償することが重要である他のシナリオも存在する。しばしば、ビジネスにおいては、さもなければ概して有意的に一層低いレベルのエネルギ消費しか存在しないのに、システムが、短い時間(例えば、一日に数分間)についてのみ、高レベルの電力を必要とすることが、起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、それゆえ、消費ピークを保護し且つそれによって供給ネットワークに対してそれらを「隠す」電力供給源を提供することにある。もちろん、これは、(オペレータの側における介入なしに)自動的に且つ消費物または個々の消費物装置に対する電力の供給を中断することなく起こるように作られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的は、最初に述べられたタイプのピーク負荷を保護するための装置であって、直流蓄電池から給電されるとともに、その出力において並列に消費物の電力の供給源に接続され得るパワーインバータと、消費物の接続回路内に接続され得る計測装置と、計測装置の助けを借りて、消費物のエネルギ消費を監視し、そしてこの方法において得られたエネルギ消費値が、与えられたしきい値を超える場合には、消費物の供給源を維持するためにパワーインバータの動作を開始させるように仕向けられている制御装置と、を具備する装置によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
この解決策は、消費物の消費ピークの信頼性のある乗り越え〜または、それ以上の補償〜を達成する。このようにして、より低いワット量および/またはより有利な電力料金のためのシステム接続を設計することが可能となる。
【0008】
本発明の望ましい実施の形態においては、パワーインバータを介して接続回路に給電されるエネルギ又は電力は安定化され得る。パワーインバータを通して給電される電力は、制御装置を介して無限に調整され得る。この目的のために、もしも制御装置が、パワーインバータを通して給電されるエネルギを、結果としてエネルギ消費または消費量が与えられたしきい値を下回る値に設定すべく装備されていれば、役に立つ。
【0009】
電流消費の特定の監視は、特に、測定区間にわたって積分されたエネルギ消費が、電力料金の計算のために用いられる場合に好都合である。この場合において、もしも、制御装置が、計測装置の助けを借りて、消費物のエネルギ消費を監視するように仕向けられ、それから電気エネルギの消費量を与えられた時間間隔の最後まで予測し、そしてこの方法にて得られた予測値が、与えられたしきい値を超える場合には、消費物の供給源を維持するためにパワーインバータの動作を開始させるように仕向けられているならば好都合である。このさらなる展開の望ましいバージョンにおいては、線形外挿が、消費量を統計的に予測するために使用される。それから、パワーインバータは、従前の消費量と時間区間の最後までの瞬時エネルギ消費から線形外挿を介して得られる消費された電気的エネルギの量が与えられたしきい値を超えることとなる場合には、動作が開始される。
【0010】
そのうえ、消費物の接続回路からエネルギが供給され得る充電器が、都合良く、直流蓄電池を充電するために設けられていても良い。ここで、もしも充電器が、制御装置によってオン/オフにスイッチされ得るとともに、さらに、パワーインバータが動作中でないときの間にのみ、制御装置が、充電器をオンにスイッチするようにすれば、有益である。
【0011】
そのうえに、もしも、しきい値が装置それ自体によって決定されるならば、都合が良い。この目的のために、制御装置は、消費期間にわたって消費物のエネルギ消費をログ記録すべく設定され得るとともに、この方法にてログ記録された消費曲線から、与えられた基準に従って次の消費期間のために、しきい値を計算し得る。例えば、ログ記録された消費期間における消費の最大値が、決定され得て、そしてその最大値が新たなしきい値として選択され、それのために、ログ記録された消費期間の時間依存消費から始まり、この最大値よりも下の配電ネットワークから引き出される消費の低減が、直流蓄電池の格納容量を超えられることなく、(特に、もしも消費がこの最大値を超えるならば、)ピーク消費の時間に合わせてパワーインバータをオンにスイッチすることによって可能である。
【0012】
本発明は、包含された図面において説明されている、例示的な実施の形態に関連して、以下において詳細に説明される。概略的な形態において図面に示されたものは、以下の通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の望ましい実施の形態は、ホットドッグスタンドのような、ファーストフード店の電気装置についての電力の供給源に関連している。もちろん、本発明は、この実施の形態に制限されることなく;むしろ、それおよびその詳細は、本発明の異なる応用可能性のただ一つの非限定的な例を説明している。
【0014】
図1は、本発明に従ったファーストフード店のための電力の供給源のブロック図を示している。種々の加温および冷却装置に加えて各々1.5から2kWの最大電力消費を有する複数のホットプレートのような、ファーストフード店の電気装置は、集合的に消費物VBとして表されている。電力の供給源は、ファーストフード店に接続EA、ここで考えられているケースにおいては、例えば10kWに設計された商業運転のための接続を提供する、公共配電ネットワークENTから給電されている。接続EAを通して引き込まれる電力の量は、ネットワークENTのオペレータによって支配されておりそして接続EAの加入者(=ファーストフード店のオペレータ)によって取り扱うことが許可されていない、積算電力計ESZを用いる通例の方法で測定される。
【0015】
ここで考えられている例における接続EAは、交流単相接続(相および直接接地された導体)であり;同様にして、他の接続タイプ、特にいわゆる三相接続(いわゆる多相電流)も可能である。図1における肉太線は、適切な数の導体を有する交流ラインを表している。
【0016】
本発明は、例えば、バッテリのような蓄電装置から、エネルギの付加的な供給を介してしきい値すなわち最大値を超えることに導くであろう消費物VBの消費ピークを制限すべく設計されている。〜典型的な料金モデルに依存して〜そのようなしきい値として従前の最大値(または、もしも、例えば、料金が段階化されているならば、次の料金段階のためのしきい値を表す値)を設定することは、好都合である。たとえ何のタイプの消費物が含まれていても、可能な限り低い料金における消費物の電力の供給源が、提供され且つ保証されるべきである。
【0017】
本発明によれば、それの主たる仕事が消費物の負荷ピークの補償である、システムASV(「Ausgleichende Stromversorgung」=補償電力供給システム)は、消費物VBと主要な接続EAとの間に接続されるべきである。システムASVの基本的な機能は、交流のための無停電電源に対応するが、正確に既存の幹線電力供給源が存在するときに、そして幹線電力供給源の故障が存在するとき(またはまさにそのとき)にではなく、それが電力を供給するという相違を有している。
【0018】
本発明に従ったシステムASVにおいては、制御ユニットSTEは、入力において引き込まれたエネルギを測定する、積算電力計Z1の助けを借りてシステムの消費を継続的に検出する。電流消費は、配電ネットワークENTの消費メータESZに生ずるのと同様に、等しい時間区間にわたる時間について積分される。加えて、バッテリBAT(またはエネルギの可逆的蓄積のための他の適切な装置)およびパワーインバータWRが設けられている。
【0019】
バッテリBATは、少なくとも一つの積分期間についてシステムのピーク負荷の一部分を供給するために少なくとも充分に大きいエネルギ内容物についての可逆的直流蓄電池として設計されており;認めざるを得ないことであるが、そのバッテリサイズは、特別な与えられた応用シナリオに妥当で且つ論理的に依存している。ここで考えている例においては、バッテリBATは、ほぼ36Vのバッテリ電圧においてほぼ150Ahの全体の電荷を有する鉛蓄電池のアレイであり;この選択においては、一つから二つのホットプレート(ほぼ2kW)が一時間にわたって電力を供給され得る。ここで選択された電圧については、自動車バッテリまたはそのようなバッテリの組み合わせが、有益な使用に役立ち得る。
【0020】
バッテリには、商業的に入手可能なバッテリ充電器BLGを介して必要とされる直流が供給され、充電器BLGの電力消費は、消費物VBに比べて小さい。例えば、36V/150Ah(例えば、36Vで7.5Aについて)でバッテリを一晩中充電するように設計されており、ほぼ550Wの公称電力が生起される。
【0021】
パワーインバータWRは、バッテリ電圧に対応する接続電圧のために設計されており、且つバッテリによって供給される直流を幹線接続のパラメータに対応する交流に変換するために使用される。このタイプのパワーインバータ装置は、良く知られている。
【0022】
一方でのバッテリBATの充電(=充電器BLGの付勢およびパワーインバータWRのオフへのスイッチ)および他方での放電(=パワーインバータWRの付勢)は、下に述べるように、スイッチS1およびS2を介して制御装置STEによって制御される。もしも必要ならば、スイッチS1および/またはS2は、特に問題の装置が電子的制御を可能とするならば、充電器BLGまたはパワーインバータWR内に一体化されていても良い。
【0023】
制御装置STEは、例えば、ネットワークに対して固有の電力計の態様で電力消費の積分を実行し且つこのような方法で取得された値を、関連する時刻と一緒に、例えば不揮発性メモリPSP、ハードディスクまたは交換可能なディスケットに格納するマイクロプロセッサを用いて、実現される。そのうえ、最新のエネルギ消費に基づいて、現在実行中の積分期間の最後における合計値についての予測を生成する(図2の下部を参照されたい)。このような方法で、制御装置は、特により早く測定された最大値からなる、しきい値を超えることが現在実行中の積分期間において、今まさに起ころうとしているかどうかの統計的な予測(予報)、を取得する。もしも、この場合には、すなわち、しきい値を超えることが懸念されるならば、パワーインバータは、オンにスイッチされ、その結果としてバッテリから消費物の(局部)接続回路ENへエネルギを放電する。都合の良い方法においては、充電器BLGが、関連する損失を伴う「エネルギ循環」を防止する目的で停止させられるべきであり;さらに、これは、消費される電力の低減にも寄与する。その結果として、接続EAに接続された消費物VBの一部分も、バッテリBATによって供給され、そしてネットワークENTから吸収される電力も低減される。このような方法において、初期の最大値を超えることおよびそれゆえ電力料金の増大が、回避される。
【0024】
不必要にデータメモリを満たさないようにするために、制御器STEは、そのような消費値には、(制御目的のための)後続の評価のためにさえも、さらなる重要性はないから、二つの最大状態の間の全ての値を削除する。
【0025】
都合の良いことに、バッテリBATおよび関連する充電器BLGは、消費物VBの位置における一般的な条件に対する全システムのより容易な適合を可能とする目的で、電力供給システムASVに対して外部に設計され得る。
【0026】
電力計Z1の代わりにまたはそれに加えて、第二の電力計Z2が、出力において消費物VBに供給されるエネルギの量を測定する消費物VB側の接続EAに設けられていても良く;原則として、複数の消費物が接続されても良く;最も単純には、これは、図1の消費物VBの代わりに表れる、「集合的消費物」に対する消費物の並列接続を介して達成される。
【0027】
本発明に従った解決策に対する代案として、UPSの幹線供給源を中断し且つバッテリを介して短時間について消費物に供給するために、最大負荷警告装置の応答があるときに、バッテリバックアップ供給源を有する無停電電力供給源(UPS)を介して特定の消費物を操作することももちろん可能であることに注意すべきである。この解決策は、UPSを介してどの消費物に供給すべきかを予め決定しておかなければならないという不都合を有しており;配電ネットワーク(動作状態における)への維持給電は、UPSでは可能ではない。本発明の解決策において、電力は、電力計の消費物側の接続回路EN内へ直接的に給電され、そして配電ネットワークにENTより給電される電力は、その結果としてバッテリ給電コンバータ、すなわちパワーインバータWRから給電される電力の全量だけ低減される。公共配電ネットワーク内へ光起電性システムから電気的エネルギを供給するために本来設計されているパワーインバータも、コンバータとして有利に使用され得る。これらのパワーインバータは、既に、特に、(例えば、保守作業のための)幹線の給電停止の場合に、(安全な保守作業を可能とするために)電力の送り込みを自動的に終了する、幹線電圧検出のような、ネットワークオペレータの要求に関しての、安全な送り込み操作のために必要な全ての安全装置を有している。
【0028】
もしもバッテリBATの直流およびコンバータ(パワーインバータWR)のための送り込み電圧が、相違するならば、〜例えば、バッテリ電圧が安全な低電圧レベルに保持されることとなるならば〜コンバータの動作に必要とされる入力電圧は、回路内にDC−DCコンバータを挿入することによって生起され得る。逆に、もしもパワーインバータWRの出力電圧が、ネットワークENT、ENの電圧に対応しないならば、50Hzの電力トランスが、パワーインバータに直列に接続されても良い。
【0029】
図2は、ケーススタディにおける制御ユニットSTEの線形予測を図解している。制御ユニットSTEにおいて、既に述べたように、現在の積分期間の初めにおいて開始した瞬時消費は、連続的に積分され且つこのようにして(現在の時間区間内で)それまでに消費されたエネルギE(1)が計算される。図2は、(例えば、kWhで測定された)時間tの関数として、消費量E(t)の表現を示しており、t=0で開始されt=Tで終了する、現在の積分期間のみが示されている。Tは、期間の持続時間、例えば15分である。現在適用可能な、もしも可能ならば超えられるべきでない、しきい値Emax(より早い消費最大値)も示されている。(例えば数10または1分の期間における)各試験時刻tにおいて、〜図における傾斜に対して電力として対応する〜瞬時消費は、積分期間の最後まで線形的に外挿される(上部の破線21)。このような関係において、消費は、パワーインバータを回路内に持ち込んでいないこと、すなわち、放電なしに、基づいている。このような方法で得られる値E*(T)は、しきい値Emaxと比較される。もしも、値E*(T)が〜図2の例におけるように〜、Emaxよりも大きければ、しきい値を超えようとしており、そしてパワーインバータが、回路内に持ち込まれる。このようにして、明確に低い消費は、結果としてそこではしきい値を超えることが起きるおそれはない(下側の破線22)。
【0030】
制御シーケンスは、図3の流れ図に図解されており、各試験時刻tにおいて通して実行される。第1のステップとして、ここまで累積された消費量E(t)は、積算計Z1を介して決定される。その結果、E*(T)についての線形予測が生成され;もしも、この時点で放電が既に有効となっていれば、放電がオフにスイッチされるべきならば、その状況について、E*(T)についての予測が、生起される。判断31において、この態様で取得された値E*(T)が、しきい値Emaxよりも大きいかどうかのチェックがなされ;試験結果に依存して、ブランチ31aまたは31nを経由して継続する。もしも、E*(T)がEmax、(ブランチ31a)、よりも大きいならば、パワーインバータが付勢され(あるいは、作動状態に維持し)且つその結果としてエネルギが放電され、そしてバッテリチャージャがオフにスイッチされる。しかしながら、ブランチ31nを経由して〜もしもE*(T)がEmaxよりも小さいならば〜パワーインバータは、オフにスイッチされる(または不動態のまま維持する)。その結果、判断32において、バッテリBATの充電状態がチェックされる。もしも、充電状態が充分であれば、そのときは、ブランチ32aを経由しての持続が存在し、そして充電器BLGが消勢され;さもなければ〜ブランチ32n〜充電器BLGが、バッテリBATを充電すべくオンにスイッチされる。
【0031】
本発明は、特に、単一桁のkWレンジにおける消費物システムに適しており、そこでは、既知のタイプのパワーインバータが、また本発明の特別な利点として使用され得るかもしれない。特に、適用物のSITOP装置のように、その動作の間に交流ネットワークに交流を給電すべく同様に設計された、ソーラ設備に使用すべく考えられたパワーインバータが、使用されても良い。
【0032】
ピーク負荷補償電力供給源システムASVは、さらなる最大電流消費状態を防止する;むしろ、それは〜上述の例示的実施の形態の拡張バージョンにおける〜だけでなく、低い積分値だけでさえも生成されるように概してエネルギ消費を補償するのにも適しており、そして幹線電流消費の平均化によって、より好ましい電力料金が達成され、そしてその結果として電気料金請求額が低くなる。類似の消費プロフィールは、日常ベースで生起するという仮定から始まって、(もちろん制限されている)バッテリ容量および給電電力が最も有効に使われるかもしれないときに、制御が決定可能となる。ここで考えられている例においては、比較されるべき消費期間は、日々であり、そしてそれは上述されたファーストフード店(または類似した商業運用)の場合には概して真であり;他の応用の場合においては、特定の状況に依存して、適切に適応された期間、例えば24時間、48時間または168時間が、日々に代えて消費期間として使用されるべきであることが仮定されている。しかしながら、消費期間は、決して、積分期間Tと混同されるべきでなく;むしろ、消費期間は、複数の積分期間にわたって広がっている。
【0033】
この拡張において、例えば、(負荷補償によって影響されることなく)全日にわたって積算電力計Z1を用いて継続的な積分期間Tについて測定された消費量の形態で、消費を測定し且つ記憶させる自己学習応用が、用意されている。バッテリ容量を考慮して、この態様においてログ記録される一日の消費曲線は、エネルギ消費の補償のための基礎として使用される。消費プロフィールから、最大消費値(より詳細には:消費量値)が決定される。第一に、最も高い消費値と二番目に高い消費値との間の違いが計算される。それから、もしも消費が、それを最大値に割り当てられた積分期間の間に送り込むことによって、二番目に高い消費値へ下げられると、結果として生ずるバッテリ放電が計算される。計算のこの最初の実行は、第一のバッテリ端部充電状態をもたらす。次の実行においては、もしも消費が二つの最も高い積分期間に三番目に高い消費値にて電力を給電することによって、下げられたら、結果として第二のバッテリ端部充電状態からなる計算がなされる。もしも、正の第二のバッテリ充電状態(0よりも大きい)が、結果的に生ずるならば、第四番目に高い消費値に下げるための、三個の最も高い積分期間における電力給電の後に到達する、そこでは第三のバッテリ端部の充電状態が計算される、第三の実行が行われても良い。これらの実行は、バッテリ容量が使い果たされるまで繰り返される。最後に首尾良く到達する消費値(すなわち、正に割り当てられたバッテリ端部の充電状態)は、それから、次の日の間しきい値Emaxとして使用される。
【0034】
なぜなら、関連性のある区間の時間が既知であるので、上述のプロセスに従った消費物接続ターミナルEN内に送り込まれる積分期間の間の時間フレーム内におけるバッテリBATの充電も、考慮され得る。さらにまた、これに関連して、充電損失に起因するエネルギバランスは、100%よりも小さな〜例えば、鉛−酸蓄電池においては、(化学的損失および充電器BLGにおける損失に起因して)ほぼ80から85%、の有効性を有することは避けられない。
【0035】
もちろん、評価も(消費期間)数日について計算されても良く、その消費曲線は、メモリに記憶される。(予備的な)しきい値は、その日毎に得られ、それより、例えば、(予備的な)しきい値の最も大きなものを選択すること、中央値を選択すること、あるいは平均処理によって、最終的なしきい値が導出される。
【0036】
また、消費の比較に基づく、能動的な操作においても、日々の消費のログ記録が付加的に行われ、それからそれはしきい値Emaxの最新の計算のために用いられ、目標は、季節の変動のような、消費における変化に適切に反応することが可能となる。
【0037】
さらにまた、ユーザが、〜例えば、もしも付加的な消費装置が加えられるならば〜制御ユニットの現在の消費における既知の変化に先立って入ることが可能であることが提供され得て;入力/出力EAEは、この目的のために制御ユニットに割り当てられる。ここで、期待される消費と期待されるスイッチオン時間と消費の期間とに関連するデータが入力され;それらは測定された消費曲線上に描画され、そしてこのようにして得られる消費曲線は、上述された計算プロセスのために基礎として使用された。
【0038】
他の都合の良い拡張は、バッテリBATの充電電流の制御に関連している。上述された例においては、バッテリBATは、もしも全バッテリ容量にまだ達していなければ、いつも充電され、そして消費しきい値Emaxを超えようとすることはない。一つの変形において、充電動作は、入力/出力EAEを介してユーザによって入力され得るある時間に、例えば、夜間(夜間電力料金)またはファーストフード店が忙しくないときの時間の間に、のみ制限されてもよい。他のバージョンにおいて(または従前のバージョンとの組み合わせにおいて)は、例えば、制御ユニットSTEは、バッテリの充電電流または充電器BLGのエネルギ吸収を充電器BLGの制御を介して、すなわち、もしもしきい値を超えようとしているならばそして特にしきい値Emaxがまた保持されている限り、必要に応じて限定することができる。この場合において、パワーインバータWRを介してバッテリBATからの給電は、充電電流の低減が、(充電電力を含む)消費をしきい値よりも下に充分に下げていない場合にのみ起こる。
【0039】
本発明は、料金モデルが時間依存の場合のためにも適していることに注意されるべきである。この目的のために、制御ユニットSTEは、例えば、エネルギ値と予測における電力価格(例えばEUR/kWh)を掛け合わせることによって、異なる時間における異なる料金体系を考慮に入れても良く;図2においては、使用されるエネルギの量に代えて、コスト消費が表れている。
【0040】
可逆的直流蓄電池として役立つ、バッテリBATの代わりに、異なる直流源も使用され得ることに注意されるべきである。例えば、制御ユニットによって必要とされ、そしてパワーインバータの入力に給電される直流を供給するときに、始動されるディーゼルまたはガソリン動力発電機が使用されても良い。発電機から接続回路への直接給電と対照的に、これは、本発明の意味において、無限に変動可能な付加的な電気エネルギの供給が達成される。
【0041】
本発明のさらに他の拡張は、受信ユニットを経由して、例えば制御ユニットSTEに接続されたリップル制御受信機RSEの形態で実現され、そしてそれを介してエネルギの放電が、消費物のエネルギ消費とは独立に、公共ネットワークENTのオペレータによってトリガされ得る。このようにして、電気エネルギは、特に、もしも消費ピークがそこで起こるならば、バッテリBATからネットワークENTへ戻し給電され;これは概してより高い料金に基づいてなされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】例示的な実施の形態の電力の供給のブロック図である。
【図2】エネルギ消費のサンプル外挿法である。
【図3】図1の電力の供給の制御の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共配電ネットワーク(ENT)の交流ターミナルに接続され得る電気消費物(VB)のピーク負荷を保護するための装置において、
直流蓄電池(BAT)から給電され得るとともに、その出力において並列に消費物(VB)の電力の供給源(EB)に接続されているパワーインバータ(WR)と、
消費物(Z1,Z2)の接続回路(EN)内に介挿され得る計測装置(Z1,Z2)と、該計測装置(Z1,Z2)の助けを借りて、消費物(VB)のエネルギ消費を監視し、そしてこの方法において得られたエネルギ消費値が、与えられたしきい値を超える場合には、消費物の供給源を維持するためにパワーインバータ(WR)の動作を開始させるように仕向けられている制御装置(STE)と、
を特徴とする装置。
【請求項2】
制御装置(STE)は、計測装置(Z1,Z2)の助けを借りて、消費物(VB)のエネルギ消費を監視するように仕向けられ、それから電気エネルギの消費量(E*(T))を与えられた時間間隔の最後(T)まで統計的に予測し、そしてこの方法にて得られた予測値が、与えられたしきい値(Emax)を超える場合には、消費物の供給源を維持するためにパワーインバータ(WR)の動作を開始させるように仕向けられている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
制御装置(STE)は、計測装置(Z1,Z2)の助けを借りて、消費物(VB)のエネルギ消費を監視するように仕向けられ、それから従前の消費量および時間間隔の最後(T)までの瞬時エネルギ消費から線形外挿を介して得られる電気エネルギの消費量(E*(T))が、与えられたしきい値(Emax)を超えることとなる場合には、消費物の供給源を維持するためにパワーインバータ(WR)を動作させるように仕向けられている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
制御装置は、パワーインバータを通して給電されるエネルギを、結果的にエネルギ消費または消費量が与えられたしきい値よりも下となる値に設定するように仕向けられる請求項1〜3のうちの1項に記載の装置。
【請求項5】
消費物(VB)の接続回路(EN)から給電され得る直流蓄電池(BAT)を充電するための充電器(BLG)を特徴とする請求項1〜4のうちの1項に記載の装置。
【請求項6】
充電器(BLG)は、制御装置(STE)によってオン/オフにスイッチされ得る請求項5に記載の装置。
【請求項7】
制御装置(STE)は、パワーインバータ(WR)が動作中でない時間の間にのみ充電器をオンにスイッチするように仕向けられている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
制御装置は、ある消費期間にわたる消費物(VB)のエネルギ消費を記録し、且つこのような方法で記録された消費曲線から次の消費期間のためのしきい値を、予め定められた基準に従って計算するように仕向けられている請求項1〜7のうちの1項に記載の装置。
【請求項9】
次の消費期間のためのしきい値の決定のために、記録された消費期間における消費の最大値群が決定されること、そして最大値が、そのために、記録された消費期間の時間依存消費から始まって、直流蓄電池(BAT)の蓄電容量が超えることなく、ピーク消費の時間においてパワーインバータ(WR)をオンにスイッチすることによって、配電ネットワーク(ENT)から引き出されたこの最大値よりも下の消費の減少が、可能である、新たなしきい値として選択されることが提供される請求項8に記載の装置。
【請求項10】
制御装置(STE)に接続され、且つ消費物(VB)のエネルギ消費とは独立にパワーインバータ(WR)を通してのエネルギの供給を介してトリガされ得る受信装置(RSE)を特徴とする請求項1〜9のうちの1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−523584(P2007−523584A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553387(P2006−553387)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000045
【国際公開番号】WO2005/081388
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505069339)シーメンス アーゲー エステルライヒ (3)
【Fターム(参考)】