説明

ファイバカップリング装置

【課題】集光レンズ29の焦点位置調整及び2つのレンズ23,29の芯出し調整が簡単にすること。
【解決手段】本体ケース7内の上部にY軸揺動レバー65がX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、Y軸揺動レバー65が一端側にY軸スピンドル61に当接可能なY軸主動ローラ67を有し、他端側にY軸スライド41のXZ平面に当接可能なY軸従動ローラ69を有し、本体ケース7内の上部にX軸揺動レバー79がY軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、X軸揺動レバー79が一端側にX軸スピンドル77に当接可能なX軸主動ローラ81を有し、他端側にX軸スライド45のYZ平面に当接可能なX軸従動ローラ83を有していること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーディングファイバとプロセスファイバを光学的に接続するファイバカップリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザ発振器にはファイバカップリング装置が用いられており、一般的なファイバカップリング装置の構成は、次のようになる。
【0003】
ファイバカップリング装置は、ファイバレーザ発振器の筐体に設置されてあって、本体ケースをベースとして具備している。また、本体ケースは、一側(Z軸方向の一側)に、フィーディングファイバの端部を接続可能な第1ファイバ接続部を有してあって、他側(Z軸方向の他側)に、プロセスファイバの端部を接続可能な第2ファイバ接続部を有している。
【0004】
本体ケース内における第1ファイバ接続部側には、第1鏡筒が設けられており、この第1鏡筒の内部には、フィーディングファイバからのレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズが設置されている。また、本体ケース内における第2ファイバ接続部側には、第2鏡筒が設けられており、この第2鏡筒の内部には、前記プロセスファイバに向かってレーザ光を集光する集光レンズが設置されている。
【0005】
本体ケース内における第1ファイバ接続部側には、Z軸方向(光軸方向であって、左右方向)へ変位可能なZ軸スライドが設けられており、このZ軸スライドには、前述の第1鏡筒が一体的に連結されている。また、本体ケース内における第2ファイバ接続部側には、Y軸方向(上下方向)へ変位可能なY軸スライドが設けられている。更に、Y軸スライドには、X軸方向(前後方向)へ変位可能なX軸スライドが設けられており、このX軸スライドには、前述の第2鏡筒が一体的に連結されている。
【0006】
本体ケースにおける第1ファイバ接続部の近傍には、Z軸スライドのZ軸方向の位置、換言すれば、第1鏡筒のZ軸方向の位置を調整するZ軸調整ねじが設けられており、このZ軸調整ねじは、本体ケースのZ軸方向の一方側から回転操作可能である。また、本体ケースにおける第2ファイバ接続部の近傍には、Y軸スライドのY軸方向の位置、換言すれば、第2鏡筒のY軸方向の位置を調整するY軸調整ねじが設けられており、このY軸調整ねじは、本体ケースのY軸方向の一方側から回転操作可能である。更に、本体ケースにおける第2ファイバ接続部の近傍には、X軸スライドのX軸方向の位置、換言すれば、第2鏡筒のX軸方向の位置を調整するX軸調整ねじが設けられており、このX軸調整ねじは、本体ケースのX軸方向の一方側から回転操作可能である。
【0007】
従って、プロセスファイバ等の交換等を行った後に、本体ケースのZ軸方向の一方側からZ軸調整ねじを回転操作して、第1鏡筒のZ軸方向の位置を調整することにより、コリメートレンズを集光レンズに対してZ軸方向へ変位させて、集光レンズの焦点位置調整を行う。続いて、本体ケースのY軸方向の一方側からY軸調整ねじを回転操作して、第2鏡筒のY軸方向の位置を調整すると共に、本体ケースのX軸方向の一方側からX軸調整ねじを回転操作して、第2鏡筒のX軸方向の位置を調整することにより、集光レンズをコリメートレンズに対してY軸方向及びX軸方向に変位させて、コリメートレンズと集光レンズの芯出し調整(2つのレンズの芯出し調整)を行う。
【0008】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−52023号公報
【特許文献2】特開2008−258523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前述のように、ファイバレーザ発振器の筐体内にファイバカップリングが設置された状態で、異なる3つの方向(本体ケースのZ軸方向の一方側、本体ケースのX軸方向の一方側、及び本体ケースのY軸方向の一方側)から調整ねじ(Z軸調整ねじ、X軸調整ねじ、及びY軸調整ねじ)を回転操作することにより集光レンズの焦点位置調整及び2つのレンズ(集光レンズとコリメートレンズ)の芯出し調整を行っているため、その調整作業が非常に厄介であり、調整作業に多くの時間を要するという問題がある。
【0011】
なお、X軸調整ねじ及びY軸調整ねじを本体ケースのZ軸方向の一方側から回転操作可能とし、クサビによってX軸調整ねじ及びY軸調整ねじの操作方向を調整方向としてのX軸方向及びY軸方向にそれぞれ変換する手法も採ることも考えられるが、X軸調整ねじ及びY軸調整ねじの操作方向を調整方向に変換する動作が安定せず、2つのレンズの芯出し調整の精度低下を招くおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のファイバカップリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の特徴は、フィーディングファイバとプロセスファイバを光学的に接続するファイバカップリング装置において、
一側(Z軸方向の一側)に前記フィーディングファイバの端部を接続可能な第1ファイバ接続部を有し、他側(Z軸方向の他側)に前記プロセスファイバの端部を接続可能な第2ファイバ接続部を有した本体ケースと、
前記本体ケース内における前記第1ファイバ接続部側に設けられ、内部に前記フィーディングファイバからのレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズが設置された第1鏡筒と、
前記本体ケース内における前記第2ファイバ接続部側に設けられ、内部に前記プロセスファイバに向かってレーザ光を集光する集光レンズが設置された第2鏡筒と、
前記本体ケース内にZ軸方向へ変位可能に設けられたZ軸スライド、前記Z軸スライドにY軸方向へ変位可能に設けられたY軸スライド、及び前記Y軸スライドにX軸方向へ変位可能に設けられかつ前記第1鏡筒と前記第2鏡筒のうちのいずれかの鏡筒が一体的に連結されたX軸スライドを備えたスライド機構と、
前記いずれかの鏡筒のZ軸方向、Y軸方向、及びX軸方向の位置を調整する調整機構と、を具備し、
前記調整機構は、
前記本体ケースの一方の側部(Z軸方向の一方の側部)に設けられ、先端側にZ軸方向へ変位可能かつ前記Z軸スライドに当接可能なZ軸スピンドルを有したZ軸マイクロメータヘッドと、
前記Z軸スライドを前記Z軸スピンドルに当接する方向へ付勢するZ軸付勢部材と、
前記本体ケースの一方の側部に設けられ、先端側にZ軸方向へ変位可能なY軸スピンドルを有したY軸マイクロメータヘッドと、
前記本体ケース内にX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側に前記Y軸スピンドルに当接可能なY軸主動当接子を有し、他端側に前記Y軸スライドのXZ平面(Y軸方向に直交する平面)に当接可能なY軸従動当接子を有したY軸揺動レバーと、
前記Y軸スライドを前記Y軸従動当接子に当接する方向へ付勢するY軸付勢部材と、
前記本体ケースの一方の側部に設けられ、先端側にZ軸方向へ変位可能なX軸スピンドルを有したX軸マイクロメータヘッドと、
前記本体ケース内にY軸方向に平行な軸心周りに回転可能に設けられ、一端側に前記X軸スピンドルに当接可能なX軸主動当接子を有し、他端側に前記X軸スライドのYZ平面(X軸方向に直交する平面)に当接可能なX軸従動当接子を有したX軸揺動レバーと、
前記X軸スライドを前記X軸従動当接子に当接する方向へ付勢するX軸付勢部材と、を備えたことを要旨とする。
【0014】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたこと、及び一体形成されたことを含む意である。また、「Z軸方向」とは、前記プロセスファイバのコアを通るレーザ光の光軸方向のことをいい、「Y軸方向」とは、Z軸方向(光軸方向)に対して垂直な方向のことをいい、「X軸方向」とは、Z軸方向及びY軸方向に対してに対して垂直な方向のことをいう。
【0015】
本発明の特徴によると、前記本体ケースのZ軸方向の一方側から前記Z軸マイクロメータヘッドを回転操作して、前記Z軸スピンドルをZ軸方向へ変位させることにより、前記Z軸スライドを前記Z軸付勢部材の付勢力に抗してZ軸方向へ変位させて、前記いずれかの鏡筒のZ軸方向の位置を調整する。これにより、前記コリメートレンズを前記集光レンズに対して相対的にZ軸方向へ変位させて、前記集光レンズの焦点位置調整を行うことができる。
【0016】
続いて、前記本体ケースのZ軸方向の一方側から前記Y軸マイクロメータヘッドを回転操作して、前記Y軸スピンドルをZ軸方向へ変位させることにより、前記Y軸揺動レバーをX軸方向に平行な軸心周りに揺動させつつ、前記Y軸スライドを前記Y軸付勢部材の付勢力に抗してY軸方向へ変位させて、前記いずれかの鏡筒のY軸方向の位置を調整する。また、前記本体ケースのZ軸方向の一方側から前記X軸マイクロメータヘッドを回転操作して、前記X軸スピンドルをZ軸方向へ変位させることにより、前記X軸揺動レバーをY軸方向に平行な軸心周りに揺動させつつ、前記X軸スライドを前記X軸付勢部材の付勢力に抗してX軸方向へ変位させて、前記いずれかの鏡筒のX軸方向の位置を調整する。これにより、前記集光レンズを前記コリメートレンズに対して相対的にX軸方向及びY軸方向に変位させて、前記コリメートレンズと前記集光レンズの芯出し調整(2つのレンズの芯出し調整)を行うことができる。
【0017】
要するに、前記本体ケース内に前記Y軸揺動レバーがX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、前記Y軸揺動レバーが一端側に前記Y軸スピンドルに当接可能な前記Y軸主動当接子を有し、他端側に前記Y軸スライドのXZ平面に当接可能な前記Y軸従動当接子を有しているため、前記Y軸マイクロメータヘッドを前記Z軸マイクロメータヘッドと同様に前記本体ケースのZ軸方向の一方側から回転操作することができ、前記Y軸マイクロメータヘッドの操作方向を調整方向であるY軸方向に安定的に変換することができる。
【0018】
前記本体ケース内に前記X軸揺動レバーがY軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、前記X軸揺動レバーが一端側に前記X軸スピンドルに当接可能な前記X軸主動当接子を有し、他端側に前記X軸スライドのYZ平面に当接可能な前記X軸従動当接子を有しているため、前記X軸マイクロメータヘッドを前記Z軸マイクロメータヘッドと同様に前記本体ケースのZ軸方向の一方側から回転操作することができ、前記X軸マイクロメータヘッドの操作方向を調整方向であるX軸方向に安定的に変換することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前記Z軸マイクロメータヘッド、前記Y軸マイクロメータヘッド、及び前記X軸マイクロメータヘッドを同じ方向(前記本体ケースのZ軸方向の一方側)から回転操作することができるため、前記集光レンズの焦点位置調整及び2つのレンズの芯出し調整が簡単になり、調整作業の時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
前記Y軸マイクロメータヘッド及び前記X軸マイクロメータヘッドの操作方向を調整方向であるY軸方向及びX軸方向に安定的に変換することができるため、2つのレンズの芯出し調整の精度を高精度に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、図3におけるII-II線に沿った図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るファイバカップリング装置の正断面図である。
【図3】図3は、図2におけるIII-III線に沿った図である。
【図4】図4は、図2におけるIV-IV線に沿った図である。
【図5】図5は、図1におけるV-V線に沿った図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係るファイバカップリング装置の左側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係るファイバカップリング装置における調整機構の別態様を示す図である。
【図8】図8は、図2における矢視部VIIIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について図1から図8を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれを指してある。
【0023】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係るファイバカップリング装置1は、ファイバ径の異なるフィーディングファイバ3とプロセスファイバ5を光学的に接続するものであって、ファイバレーザ発振器の筐体(図示省略)内に設置される。そして、ファイバカップリング装置1の構成の詳細は、以下のようになる。
【0024】
ファイバカップリング装置1は、本体ケース7をベースとして具備しており、この本体ケース7の内部には、密閉空間Sが区画形成されている。また、本体ケース7のZ軸方向(光軸方向であって、左右方向)の一側(右側)には、支持筒9が設けられており、この支持筒9には、フィーディングファイバ3の端部をコネクタ11を介して接続可能な第1ファイバ接続部としての第1レセプタ13が設けられており、換言すれば、本体ケース7は、右側に、第1レセプタ13を有している。更に、本体ケース7のZ軸方向の他側(左側)には、支持リング15が設けられており、この支持リング15には、プロセスファイバ5の端部をコネクタ17を介して接続可能な第2ファイバ接続部としての第2レセプタ19が設けられており、換言すれば、本体ケース7は、左側に、第2レセプタ19を有している。
【0025】
支持筒9には、第1鏡筒21が設けられており、換言すれば、本体ケース7内における第1レセプタ13側には、第1鏡筒21が設けられており、この第1鏡筒21の内部には、フィーディングファイバ3からのレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズ23が設置されている。また、第1鏡筒21は、先端側に、コリメートレンズ23を保持するレンズホルダ25を有している。
【0026】
本体ケース7内における第2レセプタ19側には、第2鏡筒27が設けられており、この第2鏡筒27の内部には、プロセスファイバ5に向かってレーザ光を集光する集光レンズ29が設置されている。また、第2鏡筒27は、先端側に、集光レンズ29を保持するレンズホルダ31を有している。
【0027】
図1、図2、図3、及び図5に示すように、本体ケース7内には、第2鏡筒27をZ軸方向、Y軸方向(上下方向)、及びX軸方向(前後方向)へ変位させるためのスライド機構33が設けられており、このスライド機構33の具体的な構成は、次のようになる。
【0028】
即ち、本体ケース7の底面には、正面視T字形状のZ軸スライド35がZ軸方向へ延びたZ軸LMガイド37を介してZ軸方向へ変位可能に設けられており、このZ軸スライド35は、左側に、当接ピン39を有してあって、Z軸スライド35には、第2鏡筒27の先端部を挿入可能な開口部35mが形成されている。また、Z軸スライド35には、Y軸スライド41がY軸方向へ延びた一対のY軸LMガイド43を介してY軸方向へ変位可能に設けられており、このY軸スライド41には、第2鏡筒27を挿通可能な開口部43mが形成されている。更に、Y軸スライド41には、X軸スライド45がX軸方向へ延びたX軸LMガイド47を介してX軸方向へ変位可能に設けられており、このX軸スライド45は、前側(X軸方向の一側)に、ブラケット(支持板)49を有してあって、X軸スライド45には、第2鏡筒27が一体的に連結されている。
【0029】
図1、図3から図6に示すように、ファイバカップリング装置1は、第2鏡筒27をZ軸方向、Y軸方向、及びX軸方向の位置を調整する調整機構51を具備しており、この調整機構51の具体的な構成は、次のようになる。
【0030】
即ち、本体ケース7の左側部(Z軸方向の一方の側部)には、Z軸マイクロメータヘッド53が設けられており、このZ軸マイクロメータヘッド53は、本体ケース7の左方側(Z軸方向の一方側)から回転操作可能であって、先端側に、Z軸方向へ変位可能かつZ軸スライド35の当接ピン39に当接可能なZ軸スピンドル55を有している。また、Z軸スライド35の下面に形成された収容溝(収容凹部35gには、Z軸スライド35の当接ピン39をZ軸スピンドル55に当接する方向(左方向)へ付勢するZ軸付勢部材としてのスプリング57が設けられおり、このスプリング57の付勢力は、適宜に調節可能になっている。
【0031】
本体ケース7の左側部には、Y軸マイクロメータヘッド59が設けられており、このY軸マイクロメータヘッド59は、本体ケース7の左方側から回転操作可能であって、先端側に、Z軸方向へ変位可能なY軸スピンドル61を有している。また、本体ケース7内の上部には、支持ブロック63が設けられており、この支持ブロック63には、Y軸揺動レバー65がX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられている。換言すれば、本体ケース7内の上部には、Y軸揺動レバー65が支持ブロック63を介してX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられている。そして、Y軸揺動レバー65は、一端側に、Y軸スピンドル61に当接可能なY軸主動当接子としてY軸主動ローラ67を有しており、他端側に、X軸スライド45のXZ平面(Y軸方向に直交する平面)に当接可能なY軸従動当接子としてY軸従動ローラ69を有しており、Y軸主動ローラ67及びY軸従動ローラ69は、X軸方向に平行な軸心周りにそれぞれ回転可能になっている。更に、Y軸スライド41の上面には、Y軸スライド41をY軸従動ローラ69に当接する方向(上方向)へ付勢するY軸付勢部材としてY軸スプリングプランジャ71が設けられており、このY軸スプリングプランジャ71は、先端側に、Z軸スライド35の上面に当接可能なY軸当接ピン73を有している。
【0032】
本体ケース7の左側部には、X軸マイクロメータヘッド75が設けられており、このX軸マイクロメータヘッド75は、本体ケース7の左方側から回転操作可能であって、先端側に、Z軸方向へ変位可能なX軸スピンドル77を有している。また、支持ブロック63には、X軸揺動レバー79がY軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられており、換言すれば、本体ケース7内の上部には、X軸揺動レバー79が支持ブロック63を介してY軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられている。そして、X軸揺動レバー79は、一端側に、X軸スピンドル77に当接可能なX軸主動当接子としてX軸主動ローラ81を有しており、他端側に、X軸スライド45のYZ平面(X軸方向に直交する平面)に当接可能なX軸従動当接子としてX軸従動ローラ83を有してあって、X軸主動ローラ81及びX軸従動ローラ83は、Y軸方向に平行な軸心周りにそれぞれ回転可能である。更に、X軸スライド45のブラケット49の前面には、X軸スライド45をX軸従動ローラ83に当接する方向(前方向)へ付勢するX軸付勢部材としてX軸スプリングプランジャ85が設けられており、このX軸スプリングプランジャ85は、先端側に、Y軸スライド41の前端面に当接可能なX軸当接ピン87を有している。
【0033】
なお、図7に示すように、Y軸揺動レバー65は、一端側に、Y軸主動ローラ67の代わりにY軸主動当接子としてY軸主動ボス89を有し、他端側に、Y軸従動ローラ69の代わりにY軸従動当接子としてY軸従動ボス91を有するようにしても構わない。同様に、X軸揺動レバー79は、一端側に、X軸主動ローラ81の代わりにX軸主動当接子としてX軸主動ボス93を有し、他端側に、X軸従動ローラ83の代わりにX軸従動当接子としてX軸従動ボス95を有するようにしても構わない。
【0034】
図1及び図6に示すように、ファイバカップリング装置1は、Z軸スライド35をZ軸方向から本体ケース7に対して固定するZ軸ロック機構97を具備しており、このZ軸ロック機構97の具体的な構成は、次のようになる。
【0035】
即ち、Z軸スライド35の左端面には、Z軸方向へ延びた連結ロッド99が一体的に設けられており、この連結ロッド99は、本体ケース7の左側部に挿通してある。また、本体ケース7の左側部には、連結ロッド99をZ軸方向に直交する方向から把持(保持)するクランプ部材101が設けられており、このクランプ部材101は、本体ケース7の左側方から回転操作可能なクランプねじ103を備えている。
【0036】
図2、図6、及び図8に示すように、ファイバカップリング装置1は、X軸スライド45をZ軸方向からZ軸スライド35に対して固定するXY軸ロック機構105を具備しており、このXY軸ロック機構105の具体的な構成は、次のようになる。
【0037】
即ち、X軸スライド45の下部(下側)には、ロック片107が一体形成されており、このロック片107は、Z軸スライド35のXY平面(Z軸方向に直交する平面)に対向してあって、第2鏡筒27の下側に位置している。また、ロック片107には、貫通穴107hが形成されており、ロック片107の基端側には、溝(横溝)107sがX軸方向に沿って形成されている。ここで、X軸スライド45をZ軸スライド35に対して固定する前において、ロック片107とZ軸スライド35との間には、Z軸方向のクリアランスCが区画形成されている。更に、Z軸スライド35のXY平面には、ロック片107を座金109を介してZ軸スライド35のXY平面側に押圧するロックねじ111が螺合して設けられており、このロックねじ111は、本体ケース7の左方側から回転操作可能であって、ロック片107の貫通穴107hにY軸方向及びX軸方向に相対的に変位可能に挿通してある。そして、XY軸ロック機構105は、ロックねじ111の回転操作によってロック片107をZ軸スライド35のXY平面側に押圧すると、Z軸方向のクリアランスC分だけロック片107が溝107s側を起点として弾性変形してZ軸スライド35のXY平面に圧接するように構成されている。ここで、ロック片107の圧接力は、X軸スライド45がZ軸スライド35に対してX軸方向及びY軸方向に変位しない程度に設定されている。なお、ロック片107の押圧状態が解除されると、ロック片107が弾性復帰して、X軸スライド45をZ軸スライド35に対して固定する前の状態に復帰するようになっている。
【0038】
次に、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0039】
本体ケース7の左方側からZ軸マイクロメータヘッド53を回転操作して、Z軸スピンドル55をZ軸方向へ変位させることにより、Z軸スライド35をスプリング57の付勢力に抗してZ軸方向へ変位させて、第2鏡筒27のZ軸方向の位置を調整する。これにより、集光レンズ29をコリメートレンズ23に対してZ軸方向へ変位させて、集光レンズ29の焦点位置調整を行うことができる。
【0040】
続いて、本体ケース7の左方側からクランプねじ101を回転操作して、クランプ部材101によって連結ロッド99をZ軸方向に直交する方向から把持することにより、Z軸スライド35をZ軸方向に直交する方向から本体ケース7に対してZ軸方向に移動不能に固定する。これにより、第2鏡筒27を本体ケース7に対してZ軸方向に移動不能に固定することができる。
【0041】
第2鏡筒27を本体ケース7に対してZ軸方向に移動不能に固定した後に、本体ケース7の左方側からY軸マイクロメータヘッド59を回転操作して、Y軸スピンドル61をZ軸方向へ変位させることにより、Y軸揺動レバー65をX軸方向に平行な軸心周りに揺動させつつ、Y軸スライド41をY軸スプリングプランジャ71の付勢力に抗してY軸方向へ変位させて、第2鏡筒27のY軸方向の位置を調整する。また、本体ケース7の左方側からX軸マイクロメータヘッド75を回転操作して、X軸スピンドル77をZ軸方向へ変位させることにより、X軸揺動レバー79をY軸方向に平行な軸心周りに揺動させつつ、X軸スライド45をX軸スプリングプランジャ85の付勢力に抗してX軸方向へ変位させて、第2鏡筒27のX軸方向の位置を調整する。これにより、集光レンズ29をコリメートレンズ23に対して相対的にX軸方向及びY軸方向に変位させて、コリメートレンズ23と集光レンズ29の芯出し調整(2つのレンズ23,29の芯出し調整)を行うことができる。
【0042】
続いて、本体ケース7の左方側からロックねじ111を回転操作して、ロック片107をZ軸方向からZ軸スライド35のXY平面側に押圧することにより、ロック片107がZ軸方向のクリアランスC分だけ弾性変形しながらZ軸スライド35のXY平面に圧接して、X軸スライド45をZ軸方向からZ軸スライド35に対してX軸方向及びY軸方向に移動不能に固定する。これにより、第2鏡筒27を本体ケース7に対してX軸方向及びY軸方向に移動不能に固定することができる。
【0043】
要するに、本体ケース7内の上部にY軸揺動レバー65がX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、Y軸揺動レバー65が一端側にY軸スピンドル61に当接可能なY軸主動ローラ67又はY軸主動ボス89を有し、他端側にY軸スライド41のXZ平面に当接可能なY軸従動ローラ69又はY軸従動ボス91を有しているため、Y軸マイクロメータヘッド59をZ軸マイクロメータヘッド53と同様に本体ケース7の左方側から回転操作することができ、Y軸マイクロメータヘッド59の操作方向を調整方向であるY軸方向に安定的に変換することができる。
【0044】
本体ケース7内の上部にX軸揺動レバー79がY軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、X軸揺動レバー79が一端側にX軸スピンドル77に当接可能なX軸主動ローラ81又はX軸主動ボス93を有し、他端側にX軸スライド45のYZ平面に当接可能なX軸従動ローラ83又はX軸従動ボス95を有しているため、X軸マイクロメータヘッド75をZ軸マイクロメータヘッド53と同様に本体ケース7の左方側から回転操作することができ、X軸マイクロメータヘッド75の操作方向を調整方向であるX軸方向に安定的に変換することができる。
【0045】
従って、本発明の実施形態によれば、Z軸マイクロメータヘッド53、Y軸マイクロメータヘッド59、及びX軸マイクロメータヘッド75を同じ方向(本体ケース7の左方側)から回転操作することができるため、集光レンズ29の焦点位置調整及び2つのレンズ23,29の芯出し調整が簡単になり、調整作業の時間を大幅に短縮することができる。
【0046】
Y軸マイクロメータヘッド59及びX軸マイクロメータヘッド75の操作方向を調整方向であるY軸方向及びX軸方向に安定的に変換することができるため、2つのレンズ23,29の芯出し調整の精度を高精度に保つことができる。
【0047】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、次のように、種々の態様で実施可能である。
【0048】
即ち、X軸スライド45に第2鏡筒27が一体的に連結される代わりに、X軸スライド45に第1鏡筒21が一体的に連結されるようにしても構わない。また、X軸スライド45をZ軸方向からZ軸スライド35に対して固定するXY軸ロック機構105を、Y軸スライド41をZ軸スライド35に対して固定するY軸ロック機構(図示省略)と、X軸スライド45をY軸スライド41に対して固定するX軸ロック機構(図示省略)とに分けても構わない。
【0049】
そして、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0050】
1 ファイバカップリング装置
3 フィーディングファイバ
5 プロセスファイバ
7 本体ケース
9 支持筒
13 第1レセプタ
15 支持リング
19 第2レセプタ
21 第1鏡筒
23 コリメートレンズ
27 第2鏡筒
29 集光レンズ
33 スライド機構
35 Z軸スライド
37 Z軸LMガイド
39 当接ピン
41 Y軸スライド
43 Y軸LMガイド
45 X軸スライド
47 X軸LMガイド
49 ブラケット
51 調整機構
53 Z軸マイクロメータヘッド
55 Z軸スピンドル
57 スプリング
59 Y軸マイクロメータヘッド
61 Y軸スピンドル
63 支持ブロック
65 Y軸揺動レバー
67 Y軸主動ローラ
69 Y軸従動ローラ
71 Y軸スプリングプランジャ
73 Y軸当接ピン
75 X軸マイクロメータヘッド
77 X軸スピンドル
79 X軸揺動レバー
81 X軸主動ローラ
83 X軸従動ローラ
85 X軸スプリングプランジャ
87 X軸当接ピン
89 Y軸主動ボス
91 Y軸従動ボス
93 X軸主動ボス
95 X軸従動ボス
97 Z軸ロック機構
99 連結ロッド
101 クランプ部材
103 クランプねじ
105 XY軸ロック機構
107 ロック片
107h 貫通穴
107s 溝
109 座金
111 ロックねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーディングファイバとプロセスファイバを光学的に接続するファイバカップリング装置において、
一側に前記フィーディングファイバの端部を接続可能な第1ファイバ接続部を有し、他側に前記プロセスファイバの端部を接続可能な第2ファイバ接続部を有した本体ケースと、
前記本体ケース内における前記第1ファイバ接続部側に設けられ、内部に前記フィーディングファイバからのレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズが設置された第1鏡筒と、
前記本体ケース内における前記第2ファイバ接続部側に設けられ、内部に前記プロセスファイバに向かってレーザ光を集光する集光レンズが設置された第2鏡筒と、
前記本体ケース内にZ軸方向へ変位可能に設けられたZ軸スライド、前記Z軸スライドにY軸方向へ変位可能に設けられたY軸スライド、及び前記Y軸スライドにX軸方向へ変位可能に設けられかつ前記第1鏡筒と前記第2鏡筒のうちのいずれかの鏡筒が一体的に連結されたX軸スライドを備えたスライド機構と、
前記いずれかの鏡筒のZ軸方向、Y軸方向、及びX軸方向の位置を調整する調整機構と、を具備し、
前記調整機構は、
前記本体ケースの一方の側部に設けられ、先端側にZ軸方向へ変位可能かつ前記Z軸スライドに当接可能なZ軸スピンドルを有したZ軸マイクロメータヘッドと、
前記Z軸スライドを前記Z軸スピンドルに当接する方向へ付勢するZ軸付勢部材と、
前記本体ケースの一方の側部に設けられ、先端側にZ軸方向へ変位可能なY軸スピンドルを有したY軸マイクロメータヘッドと、
前記本体ケース内にX軸方向に平行な軸心周りに揺動可能に設けられ、一端側に前記Y軸スピンドルに当接可能なY軸主動当接子を有し、他端側に前記Y軸スライドのXZ平面に当接可能なY軸従動当接子を有したY軸揺動レバーと、
前記Y軸スライドを前記Y軸従動当接子に当接する方向へ付勢するY軸付勢部材と、
前記本体ケースの一方の側部に設けられ、先端側にZ軸方向へ変位可能なX軸スピンドルを有したX軸マイクロメータヘッドと、
前記本体ケース内にY軸方向に平行な軸心周りに回転可能に設けられ、一端側に前記X軸スピンドルに当接可能なX軸主動当接子を有し、他端側に前記X軸スライドのYZ平面に当接可能なX軸従動当接子を有したX軸揺動レバーと、
前記X軸スライドを前記X軸従動当接子に当接する方向へ付勢するX軸付勢部材と、を備えたことを特徴とするファイバカップリング装置。
【請求項2】
前記Y軸主動当接子がX軸方向に平行な軸心周りに回転可能なY軸主動ローラであって、前記Y軸従動当接子がX軸方向に平行な軸心周りに回転可能なY軸従動ローラであって、前記X軸主動当接子がY軸方向に平行な軸心周りに回転可能なX軸主動ローラであって、前記X軸従動当接子がY軸方向に平行な軸心周りに回転可能なX軸従動ローラであることを特徴とする請求項1に記載のファイバカップリング装置。
【請求項3】
前記Z軸スライドを前記本体ケースに対して固定するZ軸ロック機構と、
前記X軸スライドを前記Z軸スライドに対して固定するXY軸ロック機構と、を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファイバカップリング装置。
【請求項4】
前記Z軸スライドを前記本体ケースに対して固定するZ軸ロック機構と、
前記Y軸スライドを前記Z軸スライドに対して固定するY軸ロック機構と、
前記X軸スライドを前記Y軸スライドに対して固定するX軸ロック機構と、を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファイバカップリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97245(P2013−97245A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241127(P2011−241127)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】