ファイル管理システム、ファイル管理プログラム、およびファイル管理端末
【課題】操作画像を指定するだけで、ファイルを所望の時点の状態に復元するでき、さらに復元する時点を容易に見定めることが可能なファイル管理システムを提供する。
【解決手段】端末におけるファイル操作を表す操作情報と、前記端末の操作画面から生成される操作画像を記録管理する情報管理部(11)と、操作画像を表示する操作画像表示部(41)を備えたファイル管理システムにおいて、ユーザにより操作画像が指示されると、指示情報取得部(42)により操作画像特定情報とウィンドウ特定情報が取得される。操作情報抽出部(12)により情報管理部(11)により管理されている操作情報から、前記取得された操作画像特定情報とウィンドウ特定情報に基づき操作情報が抽出される。ファイル復元部(43)は、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元する。
【解決手段】端末におけるファイル操作を表す操作情報と、前記端末の操作画面から生成される操作画像を記録管理する情報管理部(11)と、操作画像を表示する操作画像表示部(41)を備えたファイル管理システムにおいて、ユーザにより操作画像が指示されると、指示情報取得部(42)により操作画像特定情報とウィンドウ特定情報が取得される。操作情報抽出部(12)により情報管理部(11)により管理されている操作情報から、前記取得された操作画像特定情報とウィンドウ特定情報に基づき操作情報が抽出される。ファイル復元部(43)は、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルの管理技術に関し、特にファイルに対する操作を取り消し、任意の時点におけるファイル状態を復元する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファイルに対する操作を取り消し、ファイル状態を復元する方法に関して様々な検討が行われている。例えば、コンピュータOS(Operation System)に実装されているごみ箱と呼ばれる機能もその一つであり、ファイルに対する削除操作を取り消し、ファイルを削除前の状態に復元することができる。また、作業中断時に、ファイル名等の情報を含む操作情報を記録し、記録した操作情報を指定することにより記録した時点での操作を復元する技術(特許文献1)、データが変更される毎に変更前のデータとキーワードを記録しておき、キーワードを指定することによりキーワードに関連付けられた変更前のデータを復元する技術(特許文献2)、ファイルを削減する際に、当該ファイルをゴミ箱サーバに退避させる技術(特許文献3)、ファイルに対する操作を検知し、ファイルを時系列に記憶することによりファイルを復元可能にする技術(特許文献4)などがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−287999(段落番号0011−0020、図1)
【特許文献2】特開2003−058534(段落番号0005−0006、図1)
【特許文献3】特開2002−366410(段落番号0005、図2)
【特許文献4】特開2000−020367(段落番号0005、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ファイル管理に関する技術には様々なものがある。しかしながら、OSに実装されているゴミ箱や特許文献3の技術は、ファイルの削除にのみ対応可能であり、ファイルの編集や移動等には対応することができない。また、復元させる際にはごみ箱の中から所望のファイルを探さなければならず、ファイルが多い場合などには非常に労力がかかる。特許文献1の技術は、特定時点の作業環境を再現することは可能であるが、ファイルの状態を過去に遡って復元することはできない。特許文献2の技術は、復元時にキーワードを指定する必要があり、キーワードを覚えておく必要があり、ユーザに負担を強いるため、利便性が低下する。特許文献4の技術は、ファイル操作に対応してファイルを記憶しているのみであり、復元時の操作が考慮されていない。本発明の課題は、操作画像を指定するだけで、ファイルを所望の時点の状態に復元することができ、さらに復元する時点を容易に見定めることが可能なファイル管理システム、ファイル管理プログラム、およびファイル管理端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のファイル管理システムは、端末と、サーバから構成されるファイル管理システムであって、前記端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段を備えている。これにより、操作画像を特定するだけで、ファイルを如何なる時点の状態に復元するかを指定することができ、所望の状態のファイルを得ることができる。
【0006】
本発明のファイル管理システムは、前記情報管理手段は、さらに前記操作画面における表示物の情報および当該表示物に関連するファイルの情報を記録管理し、前記指示情報は、さらに前記表示された操作画像を指示することにより得られる表示物を特定可能な表示物特定情報を含んでいる。これにより、上述の作用効果のみならず、操作画像の指示動作のみで表示物を特定することができ、特定された表示物に関連する特定のファイルのみを復元することができる。
【0007】
本発明のファイル管理システムは、前記操作画像表示手段は、前記操作画像の全部若しくは一部を時系列で連続的に再生表示する。これにより、操作画像の視認性が高まり、所望の操作画像を効率的に探すことができる。
【0008】
本発明のファイル管理プログラムは、コンピュータを端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段として機能させるものである。当然ながら、このようなファイル管理プログラムは、上述したファイル管理システムで述べた全ての作用効果を得ることができる。
【0009】
本発明のファイル管理端末は、操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、ファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理部と、前記情報管理部に記録した操作画像を表示する操作画像表示部と、前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得部と、前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出部と、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元部を備えている。当然ながら、このようなファイル管理端末は、上述したファイル管理システムで述べた全ての作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明のファイル管理システムの実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明におけるファイル管理システムは、サーバS、クライアント端末(以下、クライアントと略称する)Cが、通信ネットワーク(以下、ネットワークと略称する)Nにより接続され、構成されている。前記ネットワークNは、企業や学校等の限られた施設内において情報を物理的に送るケーブルと、LANスイッチやハブ等でなる中継機器を備えたCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式のイーサネット(Ethernet)(商標)型のLANとして構成されたものであるが、このネットワークLとしてイーサネット型のLAN以外に、インターネットの技術を用いたイントラネットで構築されたものや、WAN(Wide Area Network)の技術によって構築されるものでも良い。
【0011】
前記サーバSは、少なくともコンピュータ本体1および各種情報を記録しておくハードディスクドライブ(以下、ハードディスクと略称する)HDを備えている。必要に応じて、ディスプレイ、キーボード、マウス等を備えた構成とすることもできる。前記クライアントCは、コンピュータ本体2、ディスプレイ3、入力機器4を備えている。入力機器4としては、キーボード4a、マウス4bを用いているが、これに限定されるものではなく、トラックボール等の他の入力機器を使用しても良いし、ディスプレイ3の表面にタッチパネルを形成し、ディスプレイ3を入力機器4として使用しても構わない。
【0012】
サーバSのハードディスクHDには、クライアントCの操作情報および操作画像が蓄積される。本実施形態においては、操作情報は、クライアントCにおいてユーザにより行われた種々のファイル操作に関する情報であり、当該操作の内容および当該ファイルの内容(以下、当該ファイルの内容を操作対象ファイルと称する)が含まれている。本実施形態においては、操作対象ファイルは操作情報に含まれて送信されるものとするが、個別に送信する構成としても構わない。一方、操作画像はクライアントCのディスプレイ3の表示画面をキャプチャすることにより取得される。本実施形態においては、操作情報と操作画像は非同期で生成および送信される。操作情報と操作画像は必要に応じて関連付けがなされるが、この構成に限定される訳ではなく、記録時に関連付けを行う、クライアント側で関連付けを行った後に送信する等の構成としても構わない。また、操作情報および操作画像が時間情報を含んでいる場合は、時系列でソート、記録されている必要はなく、必要に応じて時系列でソート可能であれば記録形態は如何なる形態でも構わない。
【0013】
次に、本発明に係るファイル管理システムの実施形態を図2の機能ブロック図に基づき説明する。サーバSは、クライアントCから送信される操作情報および操作画像を取得すると共に記録管理する情報管理部11およびクライアントCからの要求に応じ、所定の条件に対応する操作情報を抽出する操作情報抽出部12を備えている。通常、情報管理部11および操作情報抽出部12はソフトウェアで構成されるが、これらをソフトウェアおよびハードウェアとの組み合わせにより構成しても良いし、ロジック等を組み合わせたハードウェアのみで構成しても構わない。
【0014】
クライアントCは、操作情報を生成し、サーバSに送信する操作情報生成モジュール20、操作画像を生成し、サーバSに送信する操作画像生成モジュール30、操作画像をディスプレイ3に表示する操作画像表示部41、操作画像表示部41により表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な情報(以下、操作画像特定情報と称する)を取得する指示情報取得部42、操作情報抽出部12により抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元部43およびディスプレイ3への各種表示および入力機器4からの各種入力を取得するGUI部50を備えている。なお、本実施形態においては、ファイル復元部43はクライアントCが備えているが、サーバSが備え、復元後のファイルをクライアントCに送信する構成としても構わない。
【0015】
更に、操作情報生成モジュール20は、ユーザがクライアントCに対して行う種々のファイル操作に関する操作情報を生成する操作情報生成部21、操作情報生成部21により生成された操作情報をサーバSに送信する操作情報送信部22により構成されている。また、操作画像生成モジュール30は、ディスプレイ3上に表示されている操作画面をキャプチャし、操作画像を生成する操作画像生成部31、操作画像生成部31により生成された操作画像をサーバSに送信する操作画像送信部32により構成されている。操作画像は、好ましくはJPEGフォーマット(Joint Photographic Experts Groupが制定したフォーマット)、PNG(Portable Network Graphics)フォーマット等に圧縮される。また、複数枚の操作画像からMotionJPEGフォーマットやMPEG(Moving Picture Experts Groupが制定したフォーマット)フォーマット等の動画に変換しても構わない。
【0016】
通常、操作情報生成モジュール20、操作画像生成モジュール30、操作画像表示部41、指示情報取得部42、ファイル復元部43はソフトウェアで構成されるが、これらをソフトウェアおよびハードウェアとの組み合わせにより構成しても良いし、ロジック等を組み合わせたハードウェアのみで構成しても構わない。
【0017】
本実施形態においては、サーバSはクライアントCと異なるコンピュータで構成されているが、図3に示すように、クライアントCにサーバSの機能を持たせ、スタンドアロン方式で構成することもできる。また、図4に示すように、クライアントCの操作情報生成モジュール20および操作画像生成モジュール30以外の機能をサーバSに持たせる構成とすることもできる。図4の場合、管理者は図示していない入力機器により操作を行い、操作の内容は図示していないディスプレイに表示される。なお、図3および図4において、図2と同等の機能を持つ構成要素には同じ符号を用いている。図4のシステムの場合、サーバSからクライアントCのファイルを復元することができるため、不慮のファイル削除等の操作によりクライアントCが通常起動できなくなった場合などに、クライアントCを復旧させることができ、特に有用である。
【0018】
次に、図5のフローチャートを用いて本実施形態のファイル管理システムにおける操作情報の記録動作を説明する。クライアントCにおいて、ユーザがファイルに対する操作を行うと、操作情報生成部21により操作情報が生成される(#01)。本実施形態においては、操作情報には少なくとも当該操作を行ったクライアントCの識別情報(以下、クライアント識別情報と称する)、当該操作が行われた日時、当該操作の内容、当該操作がなされたファイル名および操作対象ファイルが含まれている。操作対象ファイルは、クライアントCの図示していないハードディスクドライブ等の記録媒体から取得される。また、クライアント識別情報は、ネットワークN上でクライアントCを特定可能な情報であれば良く、コンピュータ名、MACアドレス、IPアドレス等を使用することができる。生成された操作情報は、操作情報送信部22によりサーバSに送信される(#02)。本実施形態では、操作対象ファイルを操作情報に含めて送信しているが、操作対象ファイルを別途送信し、情報管理部により関連付けて管理する構成としても構わない。
【0019】
操作情報送信部22により送信された操作情報は、サーバSにおいて、情報管理部11により受信される(#03)。受信した操作情報に含まれる操作対象ファイルの過去におけるファイルの内容(以下、登録ファイルと称する)が既にハードディスクHDに存在するか否かがチェックされ、記録されていない場合には(#04のNo分岐)、操作対象ファイルを除いた操作情報が記録される(#06)。登録ファイルが存在する場合には(#04のYes分岐)、操作対象ファイルと登録ファイルの差分が求められ(#05)、操作対象ファイル以外の操作情報と共に過去差分ファイルとして、ハードディスクHDに記録される(#06)。このとき、求められた差分ファイルは、当該操作情報の直前の操作情報の未来差分ファイルとしても登録される。いずれの場合(#04)においても、当該操作対象ファイルは別途ハードディスクHDに記録され(#07)、以後登録ファイルとして扱われる。このフローによると、最新のファイルの内容は常に全体が記録されており、各操作でのファイルの変化は、各操作間のファイルの差分として操作情報と共に記録されている。
【0020】
具体的な動作を、図6および図7を用いて説明する。図6は、操作情報生成モジュール20で生成された同一ファイルFに対する操作情報を時系列に並べたものであり、操作情報O1、O2、O3が生成され、そのときの操作対象ファイルがそれぞれF1、F2、F3であることを表している。図7(a)から(c)はそれぞれ、操作情報がO1、O2、O3が情報管理部11により取得、記録された時点でのハードディスクHDの内容である。先ず、ファイルFに対する最初の操作情報O1に係る操作がなされると、操作対象ファイルF1を含む操作情報O1が情報管理部11により取得される(#03)。前述のように操作情報O1はファイルFに対する最初の操作なので登録ファイルは存在しない(#04のNo分岐)。したがって、操作対象ファイルF1を除く操作情報O1が記録され、(#06)、別途操作対象ファイルF1が登録ファイルとして記録される(#07)。このときのハードディスクHDの内容が図7(a)である。差分ファイルが生成されていないため、過去差分ファイルはNULL(=空の意味)となっている。当然ながら、この時点では未来差分ファイルもNULLである。さらに、操作情報O2の登録時には、登録ファイルとしてF1が存在するため(#04のYes分岐)、操作対象ファイルF2と登録ファイルF1の差分ファイルf1=F2−F1が求められ(#05)、操作情報O2の操作対象ファイルF2以外の情報と共に過去差分ファイルとしてハードディスクHDに記録される(#06)。同時に、差分ファイルf1は操作情報O2の直前の操作情報であるO1の未来差分ファイルとしても登録される。操作対象ファイルF2は別途登録ファイルとして記録され(#07)、図7(b)の状態となる。このようにして操作情報が登録されてゆき、操作情報O3が登録された時点では、ハードディスクHDに記録された操作情報は図7(c)のようになる。
【0021】
本実施形態においては、ファイルの内容を未来/過去の何れにも変更しやすいように、直後/直前のファイルの内容との差分情報を未来差分ファイル/過去差分ファイルとして記録しているが、これに限定されるものではなく、一方のみを記録し、必要に応じて他の操作情報の差分ファイルを抽出する、所定のファイルを基準とし、個々の時点におけるファイルと基準ファイルの差分により管理する等の構成としても構わない。
【0022】
上記操作情報の記録動作と同期的もしくは非同期的に、操作画像生成部31が操作画面をキャプチャして操作画像を生成し、操作画像送信部32から情報管理部11に操作画像が送信される。このとき、少なくとも当該操作画像が生成されたクライアントCのクライアント識別情報および操作画像の生成日時が共に送信される。操作画像を受信した情報管理部11は、受信した操作画像等をハードディスクHDに記録する。本実施形態では、操作画像生成部31により圧縮フォーマットに変換された操作画像が送信されるが、操作画像生成部31はRAWデータの操作画像を生成し、情報管理部11により操作画像を圧縮フォーマットに変換し、記録するよう構成しても構わない。
【0023】
図9は、本実施形態のファイル管理システムにおけるファイル復元の動作を表すフローチャートである。操作画像表示部41は、表示すべき操作画像列を情報管理部11から取得する(#11)。このとき、操作画像表示部41は、情報管理部11に対し、操作画像の抽出条件を設定し、当該条件に合致する操作情報のみを取得しても構わない。例えば、日時範囲、ファイル名などを抽出条件とし、指定した日時範囲に行われた操作に関連する操作画像、指定したファイルの操作に関連する操作画像を絞り込んで取得することができる。このように絞り込んで表示することにより、所望の操作画像を容易に特定することができる。なお、GUI部50により、これらの条件を設定するためのGUIを構成しても良いし、設定ファイル等により条件を設定しても構わない。
【0024】
操作画像列を取得した操作画像表示部41は、GUI部50を通じて、操作画像列をディスプレイ3に表示する(#12)。操作画像表示部41による表示は、ディスプレイ3全面の表示でも良いし、クライアントCのOS上で動作するウィンドウシステムの一つのウィンドウとして表示しても構わない。図10に表示画面の例を示す。この例では、操作画像が時系列で連続再生表示されており、操作画像を連続再生表示する操作画像表示領域61、連続再生表示を制御する再生制御ボタン62、表示されている操作画像の生成日時を表示する日時表示領域63、表示する操作画像を任意の日時に変更するスライダ64が含まれている。再生制御ボタン62は、再生/逆再生、コマ送り/逆コマ送り、一時停止ボタンから構成されている。再生ボタンが押された場合には、表示されている操作画像の生成日時から現在に向けて時系列順に操作画像が再生表示される。逆再生ボタンが押された場合には、表示されている操作画像の生成日時から過去に向けて時系列逆順に操作画像が再生表示される。コマ送り/逆コマ送りは、それぞれ未来、過去の操作画像を表示し、連続再生表示を停止する。一時停止ボタンは、一時停止ボタンが押下された時点で表示していた操作画像の状態で連続再生表示を停止する。日時表示領域63は、現在表示している操作画像が生成された日時を表示しており、ユーザが操作を特定する際に操作画像と共に手がかりとすることができる。また、スライダ64は、表示する操作画像の日時を変更するために用いられる。ユーザは、マウス4b等を用い、つまみ64aをドラッグ操作することにより任意の日時に移動することができる。表示形態は、これに限定されるものではなく、一覧表示等、他の表示形態を用いても構わない。
【0025】
再生制御部62およびスライダ64に対する操作は、GUI部50を通して操作画像表示部41に通知され、操作画像表示部41は必要に応じて情報管理部11から操作画像を取得し、表示する操作画像を更新する。
【0026】
ユーザは再生制御部62を操作し、再生/逆再生、コマ送り/逆コマ送りにより表示している操作画像を変更する(#13のYes分岐)。この動作がGUI部50を通じて指示情報取得部42に通知され、指示情報取得部42は操作画像表示部41から現在表示している操作画像を特定するための情報である操作画像特定情報として取得する(#14)。本実施形態においては、操作画像特定情報として操作画像の生成日時を用いるが、これに限定されるものではなく、操作画像を一意に識別可能であれば、情報管理部11において記録される際に割り当てられた数値等、他の情報を用いても構わない。さらに、指示情報取得部42は、取得した操作画像特定情報を操作情報抽出部12に送信し、操作情報抽出部12は受信した操作画像特定情報に基づき特定された操作画像に関連する操作情報を抽出する(#15)。本実施形態においては、具体的には以下の処理がなされる。まず、操作画像特定情報である操作画像の生成日時に生成された操作画像を特定する。次に、当該操作画像と同日時に生成された操作情報がある場合には、当該操作情報は当該操作画像に関連付けられ、抽出される。一方、同日時に生成された操作情報がない場合には、当該操作画像の生成日時以前に生成され、生成日時の差が所定の閾値以下である操作情報が関連付けられ、抽出される。操作情報と操作画像の関連付けは、これに限定されるものではなく、他の方法を用いても構わない。このようにして抽出された操作情報は、ファイル復元部43に渡され、ファイルが復元される(#16)。
【0027】
以下に、図6から図8を用いて具体的に復元の様子を説明する。図8は、操作画像生成モジュール30により生成された操作画像とその生成日時である。簡単のための、操作情報と同日時に生成されているとする。現在、情報管理部11には、図7(c)の操作情報および図8の操作画像が管理されており、操作画像表示領域61には操作画像I3が表示されているとする。このとき、ユーザが再生制御部62を操作して逆再生もしくは逆コマ送りを行うと、表示される操作画像が過去に戻り、日時t2における操作画像I2が表示される(#13のYes分岐)。この動作により、指示情報取得部42には操作画像特定情報として日時t2が渡され(#14)、操作情報抽出部12により日時t2により特定される操作画像に関連する操作情報として操作情報O2が抽出される(#15)。次に、操作情報O2(図7(c)の日時t2の行)がファイル復元部43に渡される。同時に、ファイルFの登録ファイルであるファイルF3もファイル復元部43に渡される。操作情報O2を取得したファイル復元部43は、ファイルF3に未来差分ファイルf2を適用することによりファイルF2が復元できる(F2=F3−f2)。さらに過去に戻り、日時t1における操作画像I1が表示されると、同様の処理によりファイルF1が復元される。この時点で、再生/コマ送り操作がなされると、日時t2における操作画像I2が表示される。この場合には、ファイルF1に対して、操作情報O2の過去差分ファイルf1が適用されファイルF2が復元される(F2=F1+f1)。
【0028】
このように本実施例では、表示される操作画像が変更されるのに伴い、表示された操作画像に関連する操作情報に基づきファイルを復元されるため、操作画像を再生/逆再生することによりファイルを任意の時点に復元することが可能となっている。
【0029】
〔第2の実施形態〕
本発明のファイル管理システムの第2の実施形態を図2の機能ブロック図を用いて説明する。本実施形態におけるファイル管理システムは、第1の実施形態の構成に加え、表示物情報生成部33を備えている。本実施形態においては、表示物とは操作画像に表示されているウィンドウとするが、これに限定されるものではなく操作画像に表示されるアイコン等他のものを用いても構わない。表示物情報生成部33は、操作画像生成部31が操作画像を生成するのに同期して、当該操作画像に含まれる種々のウィンドウの位置および大きさ、当該ウィンドウに係るアプリケーションが操作しているファイルの情報(以下、表示物情報と称する)を生成し、生成された表示物情報は操作画像送信部32により操作画像と共に情報管理部11に送信される。本実施形態においては、アプリケーションが操作しているファイルとは、通常のアプリケーションでは、当該アプリケーションが開き、編集等を行っているファイルをいい、ファイル管理アプリケーションなどでは、当該アプリケーションが表示しているファイルおよびディレクトリ以下のファイルをいう。また、表示物情報として、前述の情報を用いているが、これに限定されるものではなく、本実施形態の目的を達せられるものであれば、他の情報を用いても構わない。また、表示物情報と操作画像は個別ファイルとして送信しているが、これに限定されるものではなく、表示物情報を操作画像中にコメント等として記載して送信する等、単一のファイルとして送信する構成としても構わない。
【0030】
次に図11および図13のフローチャートにより本実施形態におけるファイル管理システムの動作を説明する。本実施形態においては、ユーザがマウス4b等を操作し、表示画像を指示することによりファイルの復元動作が行われるものである。本実施形態における復元動作は、第1の実施形態のように時系列に沿って、順次ファイルの内容を復元するものではなく、特定の日時におけるファイルの内容を復元するため、第1の実施形態のように累積的に差分ファイルを持つのではなく、特定の基準ファイルとの差分ファイルを用いる。そのような操作情報の記録処理は図11に示すフローにより行われる。#21から#23は、#01から#03の処理と同様なので説明は省略する。情報管理部11により取得された操作対象ファイルの基準となるファイル(以下、基準ファイルと称する)が記録されているか否かが判定される。基準ファイルが記録されていない場合には(#24のNo分岐)、当該操作対象ファイルが基準ファイルとして記録され(#26)、当該操作対象ファイル以外の操作情報が記録される(#27)。一方、基準ファイルが既に登録されている場合には、基準ファイルと当該操作対象ファイルとの差分ファイルが生成され(#25)、操作情報中の当該操作対象ファイルが当該差分ファイルで置換され、記録される(#27)。
【0031】
以下に図6および図12を用いて具体的に説明する。図6は、前述の通り操作情報生成モジュール20により生成された操作情報であり、図12(a)から図12(c)はそれぞれ操作情報O1からO3が登録された時点での操作情報である。先ず、情報管理部11により操作情報O1が得られた場合には、ファイルFの基準ファイルが存在しないため(#24のNo分岐)、ファイルF1が基準ファイルとして記録される(#26)と共に操作情報O1が記録され(#27)、操作情報は図12(a)となる。次に、O2が得られると、基準ファイルF1が存在するため(#24のYes分岐)、差分ファイルf2=F2−F1が生成され(#25)、操作情報と共に記録され(#27)、操作情報は図12(b)となる。同様に、操作情報O3が取得された場合には、差分ファイルf3が得られ、ハードディスクHDの操作情報は図12(c)のようになる。
【0032】
次に図13を用いてファイル復元動作を説明する。ユーザは再生制御部62もしくはスライダ64を操作し、表示される操作画像を変更する(#31、#32)。所望の操作画像が表示された時点で、マウス4b等により当該操作画像を指示する(#33のYes分岐)。この動作がGUI部50を通じて指示情報取得部42に通知され、指示情報取得部42は、操作画像表示部41から、第1の実施形態における操作画像特定情報に加え、表示物特定情報を指示情報として取得する(#34)。本実施形態では、表示物特定情報としてユーザが指示した位置の当該操作画像における座標値(以下、指示座標と称する)を用いる。表示物特定情報はこれに限定されるものではなく、表示物を特定可能な情報であれば他の情報を用いても構わない。指示情報を取得した指示情報取得部42は、取得した指示情報を操作情報抽出部12に送信する。指示情報を受信した操作情報抽出部12は、先ず指示情報に基づき、情報管理部11により管理されている表示物情報から指示されたウィンドウを特定する。本実施形態においては、操作画像特定情報は操作画像の生成日時であり、操作画像と表示物情報の生成は同期しているため、操作画像特定情報により表示物情報を特定することができる。さらに、特定された表示物情報には、同時に生成された操作画像に含まれる種々のウィンドウの位置および大きさが含まれているため、指示座標と全ての表示物情報のウィンドウの位置および大きさを検証することで、指示座標が何れのウィンドウを指示しているか(#35のYes分岐)もしくはウィンドウ以外の領域を指示しているのか(#35のNo分岐)を判定することができる。
【0033】
指示座標が特定のウィンドウを指示している場合には(#35のYes分岐)、当該ウィンドウの対象物情報に基づき、当該ウィンドウに係るアプリケーションが操作していたファイルが特定される(#36)。操作情報抽出部12は、取得した指示情報に含まれる操作画像特定情報と#36で特定されたファイルに基づき、情報管理部11により記録管理されている操作情報から、特定されたファイルに関する操作情報であり、かつ操作情報特定情報である生成日時以前に生成された操作情報のうち最新の操作情報が抽出される(#37)。
【0034】
一方、指示座標が特定のウィンドウを指示していない場合には(#35のNo分岐)、情報管理部11により記録管理されている操作情報から、取得した指示情報に含まれる操作画像特定情報と、当該操作情報特定情報である生成日時において実際に操作されているファイル(以下、被操作ファイルと称する)とに基づき操作情報が抽出される(#39)。任意の操作画像の生成日時における被操作ファイルは、表示物情報から取得することができるが、ファイルのオープン/クローズの情報を管理しておき、指示された操作画像の生成日時においてオープンされていないファイルを除外する等の方法も用いることができる。
【0035】
以上の動作を図14を用いて具体的に説明する。同図は、横軸を時間軸としたタイムチャートであり、黒丸は操作情報が生成された日時を表しており、同一直線上の操作情報は、同一ファイルに対するものである。例えば、A1、A2、A3は何れもファイルAに対してなされた操作である。また、点線の垂直線はユーザが指示した操作画像が生成された日時を表している。この図では、4つのファイルA、B、CおよびDに関する操作情報が生成されている。さらに、各操作画像にはウィンドウ1から3が含まれており、ウィンドウ1ではファイルA、ウィンドウ2ではファイルBおよびC、ウィンドウ3ではファイルDが操作されていることを表している。このとき、ユーザにより日時T2の操作画像中のウィンドウ1が指示されたとすると、日時T2が操作画像特定情報、指示座標が表示物特定情報として取得される(#34)。取得された指示座標と、ウィンドウ1から3の表示物情報に含まれる各ウィンドウの位置情報および大きさとの検証によりウィンドウの特定が行われる(#35)。この例では、ウィンドウ1が特定される(#35のYes分岐)。前述したように、ウィンドウ1ではファイルAが操作されているため、復元すべきファイルとしてファイルAが特定される(#36)。
【0036】
次に、取得されている操作画像特定情報である日時T2と#36で特定されたファイルであるファイルAに基づき、操作情報を抽出する。今、#36で復元すべきファイルはファイルAと特定されているため、抽出すべき操作情報はファイルAに関するものに限定され、さらに生成日時がT2以前の操作情報のうち最も新しい操作情報が抽出される(#37)。すなわち、ファイルAに関する操作情報のうち生成日時がT2以前のものはA1およびA2であり、そのうち最新のものとして操作情報A2が抽出される(#37)。#36で特定されたファイルが複数存在する場合には、#37の処理は個々のファイルに対して行われる。例えば、日時T4のウィンドウ2が指示された場合には、#36の処理でファイルBおよびCが特定され、それぞれのファイルに対し#37の処理が行われた結果、操作情報B3およびC3が抽出される。
【0037】
また、図14において、日時T1からT4における被操作ファイルが図の上段に示すものであるとする。例えば、日時T2において操作されているのはファイルAであり、他のファイルは操作されていないことを表している。このとき、ユーザにより生成日時T2の操作画像のウィンドウ以外の領域が指示されたとする。この場合、#35でウィンドウが特定されず(#35のNo分岐)、処理は#39へと移行する。#39では、被操作ファイルに関する操作情報であり、かつ操作画像特定情報である日時以前に生成され最新のものが抽出される。この例では、ファイルAに関する操作情報であり、かつ日時T2以前に生成され最新の操作情報であるA2が抽出される(#39)。このように、被操作ファイルに関する操作情報のみを抽出することにより、復元すべきファイルを的確に特定することができる。
【0038】
上述のようにして抽出された操作情報および当該操作情報に係る基準ファイルがファイル復元部43に渡され、ファイルが復元される。復元動作を図15のフローチャートに基づき説明すると、先ず取得した基準ファイルをクライアントCの図示していない記憶媒体に記録することにより基準ファイルを復元する(#51)。次に、操作情報に差分ファイルが含まれているか否かをチェックし、含まれていれば(#52のYes分岐)基準ファイルに差分ファイルを適用し、ファイルが復元される(#53)。差分ファイルが含まれていなければ(#52のNo分岐)、当該基準ファイルが復元ファイルとなる。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザは操作画像中の表示物を指示するだけで、当該表示物に係るファイルを当該操作画像の生成日時における状態に復元することが可能となっている。また、操作画像中の表示物以外の領域を指示した場合でも、当該操作画像の生成日時における被操作ファイルを特定することで、復元すべきファイルを特定し、復元することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるファイル管理方法を使用したシステム構成図
【図2】本発明によるファイル管理方法をサーバクライアント方式で実施したシステムの機能要素を表す機能ブロック図
【図3】本発明によるファイル管理方法をスタンドアロン方式で実施したシステムの機能要素を表す機能ブロック図
【図4】本発明によるファイル管理方法をサーバクライアント方式で実施したシステムの機能要素を表す機能ブロック図
【図5】本発明の第1の実施形態における操作情報記録の動作を表すフローチャート
【図6】本発明の実施形態における生成された操作情報を表す図
【図7】本発明の第1の実施形態における記録される操作情報を表す図
【図8】本発明の実施形態における生成された操作画像を表す図
【図9】本発明の第1の実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図10】本発明の実施形態における表示画面の例
【図11】本発明の第2の実施形態における操作情報記録の動作を表すフローチャート
【図12】本発明の第2の実施形態における記録される操作情報を表す図
【図13】本発明の第2の実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図14】本発明の第2の実施形態における操作情報と操作画像の関連を表す図
【図15】本発明の第2の実施形態におけるファイル復元の詳細動作を表すフローチャート
【符号の説明】
【0041】
S:サーバ
HD:ハードディスク
C:クライアント
3:ディスプレイ
4:入力機器
4a:キーボード
4b:マウス
11:情報管理部
12:操作情報抽出部
20:操作情報生成モジュール
21:操作情報生成部
22:操作情報送信部
30:操作画像生成モジュール
31:操作画像生成部
32:操作画像送信部
33:表示物情報生成部
41:操作画像表示部
42:指示情報取得部
43:ファイル復元部
50:GUI部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルの管理技術に関し、特にファイルに対する操作を取り消し、任意の時点におけるファイル状態を復元する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファイルに対する操作を取り消し、ファイル状態を復元する方法に関して様々な検討が行われている。例えば、コンピュータOS(Operation System)に実装されているごみ箱と呼ばれる機能もその一つであり、ファイルに対する削除操作を取り消し、ファイルを削除前の状態に復元することができる。また、作業中断時に、ファイル名等の情報を含む操作情報を記録し、記録した操作情報を指定することにより記録した時点での操作を復元する技術(特許文献1)、データが変更される毎に変更前のデータとキーワードを記録しておき、キーワードを指定することによりキーワードに関連付けられた変更前のデータを復元する技術(特許文献2)、ファイルを削減する際に、当該ファイルをゴミ箱サーバに退避させる技術(特許文献3)、ファイルに対する操作を検知し、ファイルを時系列に記憶することによりファイルを復元可能にする技術(特許文献4)などがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−287999(段落番号0011−0020、図1)
【特許文献2】特開2003−058534(段落番号0005−0006、図1)
【特許文献3】特開2002−366410(段落番号0005、図2)
【特許文献4】特開2000−020367(段落番号0005、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ファイル管理に関する技術には様々なものがある。しかしながら、OSに実装されているゴミ箱や特許文献3の技術は、ファイルの削除にのみ対応可能であり、ファイルの編集や移動等には対応することができない。また、復元させる際にはごみ箱の中から所望のファイルを探さなければならず、ファイルが多い場合などには非常に労力がかかる。特許文献1の技術は、特定時点の作業環境を再現することは可能であるが、ファイルの状態を過去に遡って復元することはできない。特許文献2の技術は、復元時にキーワードを指定する必要があり、キーワードを覚えておく必要があり、ユーザに負担を強いるため、利便性が低下する。特許文献4の技術は、ファイル操作に対応してファイルを記憶しているのみであり、復元時の操作が考慮されていない。本発明の課題は、操作画像を指定するだけで、ファイルを所望の時点の状態に復元することができ、さらに復元する時点を容易に見定めることが可能なファイル管理システム、ファイル管理プログラム、およびファイル管理端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のファイル管理システムは、端末と、サーバから構成されるファイル管理システムであって、前記端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段を備えている。これにより、操作画像を特定するだけで、ファイルを如何なる時点の状態に復元するかを指定することができ、所望の状態のファイルを得ることができる。
【0006】
本発明のファイル管理システムは、前記情報管理手段は、さらに前記操作画面における表示物の情報および当該表示物に関連するファイルの情報を記録管理し、前記指示情報は、さらに前記表示された操作画像を指示することにより得られる表示物を特定可能な表示物特定情報を含んでいる。これにより、上述の作用効果のみならず、操作画像の指示動作のみで表示物を特定することができ、特定された表示物に関連する特定のファイルのみを復元することができる。
【0007】
本発明のファイル管理システムは、前記操作画像表示手段は、前記操作画像の全部若しくは一部を時系列で連続的に再生表示する。これにより、操作画像の視認性が高まり、所望の操作画像を効率的に探すことができる。
【0008】
本発明のファイル管理プログラムは、コンピュータを端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段として機能させるものである。当然ながら、このようなファイル管理プログラムは、上述したファイル管理システムで述べた全ての作用効果を得ることができる。
【0009】
本発明のファイル管理端末は、操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、ファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理部と、前記情報管理部に記録した操作画像を表示する操作画像表示部と、前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得部と、前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出部と、前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元部を備えている。当然ながら、このようなファイル管理端末は、上述したファイル管理システムで述べた全ての作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明のファイル管理システムの実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明におけるファイル管理システムは、サーバS、クライアント端末(以下、クライアントと略称する)Cが、通信ネットワーク(以下、ネットワークと略称する)Nにより接続され、構成されている。前記ネットワークNは、企業や学校等の限られた施設内において情報を物理的に送るケーブルと、LANスイッチやハブ等でなる中継機器を備えたCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式のイーサネット(Ethernet)(商標)型のLANとして構成されたものであるが、このネットワークLとしてイーサネット型のLAN以外に、インターネットの技術を用いたイントラネットで構築されたものや、WAN(Wide Area Network)の技術によって構築されるものでも良い。
【0011】
前記サーバSは、少なくともコンピュータ本体1および各種情報を記録しておくハードディスクドライブ(以下、ハードディスクと略称する)HDを備えている。必要に応じて、ディスプレイ、キーボード、マウス等を備えた構成とすることもできる。前記クライアントCは、コンピュータ本体2、ディスプレイ3、入力機器4を備えている。入力機器4としては、キーボード4a、マウス4bを用いているが、これに限定されるものではなく、トラックボール等の他の入力機器を使用しても良いし、ディスプレイ3の表面にタッチパネルを形成し、ディスプレイ3を入力機器4として使用しても構わない。
【0012】
サーバSのハードディスクHDには、クライアントCの操作情報および操作画像が蓄積される。本実施形態においては、操作情報は、クライアントCにおいてユーザにより行われた種々のファイル操作に関する情報であり、当該操作の内容および当該ファイルの内容(以下、当該ファイルの内容を操作対象ファイルと称する)が含まれている。本実施形態においては、操作対象ファイルは操作情報に含まれて送信されるものとするが、個別に送信する構成としても構わない。一方、操作画像はクライアントCのディスプレイ3の表示画面をキャプチャすることにより取得される。本実施形態においては、操作情報と操作画像は非同期で生成および送信される。操作情報と操作画像は必要に応じて関連付けがなされるが、この構成に限定される訳ではなく、記録時に関連付けを行う、クライアント側で関連付けを行った後に送信する等の構成としても構わない。また、操作情報および操作画像が時間情報を含んでいる場合は、時系列でソート、記録されている必要はなく、必要に応じて時系列でソート可能であれば記録形態は如何なる形態でも構わない。
【0013】
次に、本発明に係るファイル管理システムの実施形態を図2の機能ブロック図に基づき説明する。サーバSは、クライアントCから送信される操作情報および操作画像を取得すると共に記録管理する情報管理部11およびクライアントCからの要求に応じ、所定の条件に対応する操作情報を抽出する操作情報抽出部12を備えている。通常、情報管理部11および操作情報抽出部12はソフトウェアで構成されるが、これらをソフトウェアおよびハードウェアとの組み合わせにより構成しても良いし、ロジック等を組み合わせたハードウェアのみで構成しても構わない。
【0014】
クライアントCは、操作情報を生成し、サーバSに送信する操作情報生成モジュール20、操作画像を生成し、サーバSに送信する操作画像生成モジュール30、操作画像をディスプレイ3に表示する操作画像表示部41、操作画像表示部41により表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な情報(以下、操作画像特定情報と称する)を取得する指示情報取得部42、操作情報抽出部12により抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元部43およびディスプレイ3への各種表示および入力機器4からの各種入力を取得するGUI部50を備えている。なお、本実施形態においては、ファイル復元部43はクライアントCが備えているが、サーバSが備え、復元後のファイルをクライアントCに送信する構成としても構わない。
【0015】
更に、操作情報生成モジュール20は、ユーザがクライアントCに対して行う種々のファイル操作に関する操作情報を生成する操作情報生成部21、操作情報生成部21により生成された操作情報をサーバSに送信する操作情報送信部22により構成されている。また、操作画像生成モジュール30は、ディスプレイ3上に表示されている操作画面をキャプチャし、操作画像を生成する操作画像生成部31、操作画像生成部31により生成された操作画像をサーバSに送信する操作画像送信部32により構成されている。操作画像は、好ましくはJPEGフォーマット(Joint Photographic Experts Groupが制定したフォーマット)、PNG(Portable Network Graphics)フォーマット等に圧縮される。また、複数枚の操作画像からMotionJPEGフォーマットやMPEG(Moving Picture Experts Groupが制定したフォーマット)フォーマット等の動画に変換しても構わない。
【0016】
通常、操作情報生成モジュール20、操作画像生成モジュール30、操作画像表示部41、指示情報取得部42、ファイル復元部43はソフトウェアで構成されるが、これらをソフトウェアおよびハードウェアとの組み合わせにより構成しても良いし、ロジック等を組み合わせたハードウェアのみで構成しても構わない。
【0017】
本実施形態においては、サーバSはクライアントCと異なるコンピュータで構成されているが、図3に示すように、クライアントCにサーバSの機能を持たせ、スタンドアロン方式で構成することもできる。また、図4に示すように、クライアントCの操作情報生成モジュール20および操作画像生成モジュール30以外の機能をサーバSに持たせる構成とすることもできる。図4の場合、管理者は図示していない入力機器により操作を行い、操作の内容は図示していないディスプレイに表示される。なお、図3および図4において、図2と同等の機能を持つ構成要素には同じ符号を用いている。図4のシステムの場合、サーバSからクライアントCのファイルを復元することができるため、不慮のファイル削除等の操作によりクライアントCが通常起動できなくなった場合などに、クライアントCを復旧させることができ、特に有用である。
【0018】
次に、図5のフローチャートを用いて本実施形態のファイル管理システムにおける操作情報の記録動作を説明する。クライアントCにおいて、ユーザがファイルに対する操作を行うと、操作情報生成部21により操作情報が生成される(#01)。本実施形態においては、操作情報には少なくとも当該操作を行ったクライアントCの識別情報(以下、クライアント識別情報と称する)、当該操作が行われた日時、当該操作の内容、当該操作がなされたファイル名および操作対象ファイルが含まれている。操作対象ファイルは、クライアントCの図示していないハードディスクドライブ等の記録媒体から取得される。また、クライアント識別情報は、ネットワークN上でクライアントCを特定可能な情報であれば良く、コンピュータ名、MACアドレス、IPアドレス等を使用することができる。生成された操作情報は、操作情報送信部22によりサーバSに送信される(#02)。本実施形態では、操作対象ファイルを操作情報に含めて送信しているが、操作対象ファイルを別途送信し、情報管理部により関連付けて管理する構成としても構わない。
【0019】
操作情報送信部22により送信された操作情報は、サーバSにおいて、情報管理部11により受信される(#03)。受信した操作情報に含まれる操作対象ファイルの過去におけるファイルの内容(以下、登録ファイルと称する)が既にハードディスクHDに存在するか否かがチェックされ、記録されていない場合には(#04のNo分岐)、操作対象ファイルを除いた操作情報が記録される(#06)。登録ファイルが存在する場合には(#04のYes分岐)、操作対象ファイルと登録ファイルの差分が求められ(#05)、操作対象ファイル以外の操作情報と共に過去差分ファイルとして、ハードディスクHDに記録される(#06)。このとき、求められた差分ファイルは、当該操作情報の直前の操作情報の未来差分ファイルとしても登録される。いずれの場合(#04)においても、当該操作対象ファイルは別途ハードディスクHDに記録され(#07)、以後登録ファイルとして扱われる。このフローによると、最新のファイルの内容は常に全体が記録されており、各操作でのファイルの変化は、各操作間のファイルの差分として操作情報と共に記録されている。
【0020】
具体的な動作を、図6および図7を用いて説明する。図6は、操作情報生成モジュール20で生成された同一ファイルFに対する操作情報を時系列に並べたものであり、操作情報O1、O2、O3が生成され、そのときの操作対象ファイルがそれぞれF1、F2、F3であることを表している。図7(a)から(c)はそれぞれ、操作情報がO1、O2、O3が情報管理部11により取得、記録された時点でのハードディスクHDの内容である。先ず、ファイルFに対する最初の操作情報O1に係る操作がなされると、操作対象ファイルF1を含む操作情報O1が情報管理部11により取得される(#03)。前述のように操作情報O1はファイルFに対する最初の操作なので登録ファイルは存在しない(#04のNo分岐)。したがって、操作対象ファイルF1を除く操作情報O1が記録され、(#06)、別途操作対象ファイルF1が登録ファイルとして記録される(#07)。このときのハードディスクHDの内容が図7(a)である。差分ファイルが生成されていないため、過去差分ファイルはNULL(=空の意味)となっている。当然ながら、この時点では未来差分ファイルもNULLである。さらに、操作情報O2の登録時には、登録ファイルとしてF1が存在するため(#04のYes分岐)、操作対象ファイルF2と登録ファイルF1の差分ファイルf1=F2−F1が求められ(#05)、操作情報O2の操作対象ファイルF2以外の情報と共に過去差分ファイルとしてハードディスクHDに記録される(#06)。同時に、差分ファイルf1は操作情報O2の直前の操作情報であるO1の未来差分ファイルとしても登録される。操作対象ファイルF2は別途登録ファイルとして記録され(#07)、図7(b)の状態となる。このようにして操作情報が登録されてゆき、操作情報O3が登録された時点では、ハードディスクHDに記録された操作情報は図7(c)のようになる。
【0021】
本実施形態においては、ファイルの内容を未来/過去の何れにも変更しやすいように、直後/直前のファイルの内容との差分情報を未来差分ファイル/過去差分ファイルとして記録しているが、これに限定されるものではなく、一方のみを記録し、必要に応じて他の操作情報の差分ファイルを抽出する、所定のファイルを基準とし、個々の時点におけるファイルと基準ファイルの差分により管理する等の構成としても構わない。
【0022】
上記操作情報の記録動作と同期的もしくは非同期的に、操作画像生成部31が操作画面をキャプチャして操作画像を生成し、操作画像送信部32から情報管理部11に操作画像が送信される。このとき、少なくとも当該操作画像が生成されたクライアントCのクライアント識別情報および操作画像の生成日時が共に送信される。操作画像を受信した情報管理部11は、受信した操作画像等をハードディスクHDに記録する。本実施形態では、操作画像生成部31により圧縮フォーマットに変換された操作画像が送信されるが、操作画像生成部31はRAWデータの操作画像を生成し、情報管理部11により操作画像を圧縮フォーマットに変換し、記録するよう構成しても構わない。
【0023】
図9は、本実施形態のファイル管理システムにおけるファイル復元の動作を表すフローチャートである。操作画像表示部41は、表示すべき操作画像列を情報管理部11から取得する(#11)。このとき、操作画像表示部41は、情報管理部11に対し、操作画像の抽出条件を設定し、当該条件に合致する操作情報のみを取得しても構わない。例えば、日時範囲、ファイル名などを抽出条件とし、指定した日時範囲に行われた操作に関連する操作画像、指定したファイルの操作に関連する操作画像を絞り込んで取得することができる。このように絞り込んで表示することにより、所望の操作画像を容易に特定することができる。なお、GUI部50により、これらの条件を設定するためのGUIを構成しても良いし、設定ファイル等により条件を設定しても構わない。
【0024】
操作画像列を取得した操作画像表示部41は、GUI部50を通じて、操作画像列をディスプレイ3に表示する(#12)。操作画像表示部41による表示は、ディスプレイ3全面の表示でも良いし、クライアントCのOS上で動作するウィンドウシステムの一つのウィンドウとして表示しても構わない。図10に表示画面の例を示す。この例では、操作画像が時系列で連続再生表示されており、操作画像を連続再生表示する操作画像表示領域61、連続再生表示を制御する再生制御ボタン62、表示されている操作画像の生成日時を表示する日時表示領域63、表示する操作画像を任意の日時に変更するスライダ64が含まれている。再生制御ボタン62は、再生/逆再生、コマ送り/逆コマ送り、一時停止ボタンから構成されている。再生ボタンが押された場合には、表示されている操作画像の生成日時から現在に向けて時系列順に操作画像が再生表示される。逆再生ボタンが押された場合には、表示されている操作画像の生成日時から過去に向けて時系列逆順に操作画像が再生表示される。コマ送り/逆コマ送りは、それぞれ未来、過去の操作画像を表示し、連続再生表示を停止する。一時停止ボタンは、一時停止ボタンが押下された時点で表示していた操作画像の状態で連続再生表示を停止する。日時表示領域63は、現在表示している操作画像が生成された日時を表示しており、ユーザが操作を特定する際に操作画像と共に手がかりとすることができる。また、スライダ64は、表示する操作画像の日時を変更するために用いられる。ユーザは、マウス4b等を用い、つまみ64aをドラッグ操作することにより任意の日時に移動することができる。表示形態は、これに限定されるものではなく、一覧表示等、他の表示形態を用いても構わない。
【0025】
再生制御部62およびスライダ64に対する操作は、GUI部50を通して操作画像表示部41に通知され、操作画像表示部41は必要に応じて情報管理部11から操作画像を取得し、表示する操作画像を更新する。
【0026】
ユーザは再生制御部62を操作し、再生/逆再生、コマ送り/逆コマ送りにより表示している操作画像を変更する(#13のYes分岐)。この動作がGUI部50を通じて指示情報取得部42に通知され、指示情報取得部42は操作画像表示部41から現在表示している操作画像を特定するための情報である操作画像特定情報として取得する(#14)。本実施形態においては、操作画像特定情報として操作画像の生成日時を用いるが、これに限定されるものではなく、操作画像を一意に識別可能であれば、情報管理部11において記録される際に割り当てられた数値等、他の情報を用いても構わない。さらに、指示情報取得部42は、取得した操作画像特定情報を操作情報抽出部12に送信し、操作情報抽出部12は受信した操作画像特定情報に基づき特定された操作画像に関連する操作情報を抽出する(#15)。本実施形態においては、具体的には以下の処理がなされる。まず、操作画像特定情報である操作画像の生成日時に生成された操作画像を特定する。次に、当該操作画像と同日時に生成された操作情報がある場合には、当該操作情報は当該操作画像に関連付けられ、抽出される。一方、同日時に生成された操作情報がない場合には、当該操作画像の生成日時以前に生成され、生成日時の差が所定の閾値以下である操作情報が関連付けられ、抽出される。操作情報と操作画像の関連付けは、これに限定されるものではなく、他の方法を用いても構わない。このようにして抽出された操作情報は、ファイル復元部43に渡され、ファイルが復元される(#16)。
【0027】
以下に、図6から図8を用いて具体的に復元の様子を説明する。図8は、操作画像生成モジュール30により生成された操作画像とその生成日時である。簡単のための、操作情報と同日時に生成されているとする。現在、情報管理部11には、図7(c)の操作情報および図8の操作画像が管理されており、操作画像表示領域61には操作画像I3が表示されているとする。このとき、ユーザが再生制御部62を操作して逆再生もしくは逆コマ送りを行うと、表示される操作画像が過去に戻り、日時t2における操作画像I2が表示される(#13のYes分岐)。この動作により、指示情報取得部42には操作画像特定情報として日時t2が渡され(#14)、操作情報抽出部12により日時t2により特定される操作画像に関連する操作情報として操作情報O2が抽出される(#15)。次に、操作情報O2(図7(c)の日時t2の行)がファイル復元部43に渡される。同時に、ファイルFの登録ファイルであるファイルF3もファイル復元部43に渡される。操作情報O2を取得したファイル復元部43は、ファイルF3に未来差分ファイルf2を適用することによりファイルF2が復元できる(F2=F3−f2)。さらに過去に戻り、日時t1における操作画像I1が表示されると、同様の処理によりファイルF1が復元される。この時点で、再生/コマ送り操作がなされると、日時t2における操作画像I2が表示される。この場合には、ファイルF1に対して、操作情報O2の過去差分ファイルf1が適用されファイルF2が復元される(F2=F1+f1)。
【0028】
このように本実施例では、表示される操作画像が変更されるのに伴い、表示された操作画像に関連する操作情報に基づきファイルを復元されるため、操作画像を再生/逆再生することによりファイルを任意の時点に復元することが可能となっている。
【0029】
〔第2の実施形態〕
本発明のファイル管理システムの第2の実施形態を図2の機能ブロック図を用いて説明する。本実施形態におけるファイル管理システムは、第1の実施形態の構成に加え、表示物情報生成部33を備えている。本実施形態においては、表示物とは操作画像に表示されているウィンドウとするが、これに限定されるものではなく操作画像に表示されるアイコン等他のものを用いても構わない。表示物情報生成部33は、操作画像生成部31が操作画像を生成するのに同期して、当該操作画像に含まれる種々のウィンドウの位置および大きさ、当該ウィンドウに係るアプリケーションが操作しているファイルの情報(以下、表示物情報と称する)を生成し、生成された表示物情報は操作画像送信部32により操作画像と共に情報管理部11に送信される。本実施形態においては、アプリケーションが操作しているファイルとは、通常のアプリケーションでは、当該アプリケーションが開き、編集等を行っているファイルをいい、ファイル管理アプリケーションなどでは、当該アプリケーションが表示しているファイルおよびディレクトリ以下のファイルをいう。また、表示物情報として、前述の情報を用いているが、これに限定されるものではなく、本実施形態の目的を達せられるものであれば、他の情報を用いても構わない。また、表示物情報と操作画像は個別ファイルとして送信しているが、これに限定されるものではなく、表示物情報を操作画像中にコメント等として記載して送信する等、単一のファイルとして送信する構成としても構わない。
【0030】
次に図11および図13のフローチャートにより本実施形態におけるファイル管理システムの動作を説明する。本実施形態においては、ユーザがマウス4b等を操作し、表示画像を指示することによりファイルの復元動作が行われるものである。本実施形態における復元動作は、第1の実施形態のように時系列に沿って、順次ファイルの内容を復元するものではなく、特定の日時におけるファイルの内容を復元するため、第1の実施形態のように累積的に差分ファイルを持つのではなく、特定の基準ファイルとの差分ファイルを用いる。そのような操作情報の記録処理は図11に示すフローにより行われる。#21から#23は、#01から#03の処理と同様なので説明は省略する。情報管理部11により取得された操作対象ファイルの基準となるファイル(以下、基準ファイルと称する)が記録されているか否かが判定される。基準ファイルが記録されていない場合には(#24のNo分岐)、当該操作対象ファイルが基準ファイルとして記録され(#26)、当該操作対象ファイル以外の操作情報が記録される(#27)。一方、基準ファイルが既に登録されている場合には、基準ファイルと当該操作対象ファイルとの差分ファイルが生成され(#25)、操作情報中の当該操作対象ファイルが当該差分ファイルで置換され、記録される(#27)。
【0031】
以下に図6および図12を用いて具体的に説明する。図6は、前述の通り操作情報生成モジュール20により生成された操作情報であり、図12(a)から図12(c)はそれぞれ操作情報O1からO3が登録された時点での操作情報である。先ず、情報管理部11により操作情報O1が得られた場合には、ファイルFの基準ファイルが存在しないため(#24のNo分岐)、ファイルF1が基準ファイルとして記録される(#26)と共に操作情報O1が記録され(#27)、操作情報は図12(a)となる。次に、O2が得られると、基準ファイルF1が存在するため(#24のYes分岐)、差分ファイルf2=F2−F1が生成され(#25)、操作情報と共に記録され(#27)、操作情報は図12(b)となる。同様に、操作情報O3が取得された場合には、差分ファイルf3が得られ、ハードディスクHDの操作情報は図12(c)のようになる。
【0032】
次に図13を用いてファイル復元動作を説明する。ユーザは再生制御部62もしくはスライダ64を操作し、表示される操作画像を変更する(#31、#32)。所望の操作画像が表示された時点で、マウス4b等により当該操作画像を指示する(#33のYes分岐)。この動作がGUI部50を通じて指示情報取得部42に通知され、指示情報取得部42は、操作画像表示部41から、第1の実施形態における操作画像特定情報に加え、表示物特定情報を指示情報として取得する(#34)。本実施形態では、表示物特定情報としてユーザが指示した位置の当該操作画像における座標値(以下、指示座標と称する)を用いる。表示物特定情報はこれに限定されるものではなく、表示物を特定可能な情報であれば他の情報を用いても構わない。指示情報を取得した指示情報取得部42は、取得した指示情報を操作情報抽出部12に送信する。指示情報を受信した操作情報抽出部12は、先ず指示情報に基づき、情報管理部11により管理されている表示物情報から指示されたウィンドウを特定する。本実施形態においては、操作画像特定情報は操作画像の生成日時であり、操作画像と表示物情報の生成は同期しているため、操作画像特定情報により表示物情報を特定することができる。さらに、特定された表示物情報には、同時に生成された操作画像に含まれる種々のウィンドウの位置および大きさが含まれているため、指示座標と全ての表示物情報のウィンドウの位置および大きさを検証することで、指示座標が何れのウィンドウを指示しているか(#35のYes分岐)もしくはウィンドウ以外の領域を指示しているのか(#35のNo分岐)を判定することができる。
【0033】
指示座標が特定のウィンドウを指示している場合には(#35のYes分岐)、当該ウィンドウの対象物情報に基づき、当該ウィンドウに係るアプリケーションが操作していたファイルが特定される(#36)。操作情報抽出部12は、取得した指示情報に含まれる操作画像特定情報と#36で特定されたファイルに基づき、情報管理部11により記録管理されている操作情報から、特定されたファイルに関する操作情報であり、かつ操作情報特定情報である生成日時以前に生成された操作情報のうち最新の操作情報が抽出される(#37)。
【0034】
一方、指示座標が特定のウィンドウを指示していない場合には(#35のNo分岐)、情報管理部11により記録管理されている操作情報から、取得した指示情報に含まれる操作画像特定情報と、当該操作情報特定情報である生成日時において実際に操作されているファイル(以下、被操作ファイルと称する)とに基づき操作情報が抽出される(#39)。任意の操作画像の生成日時における被操作ファイルは、表示物情報から取得することができるが、ファイルのオープン/クローズの情報を管理しておき、指示された操作画像の生成日時においてオープンされていないファイルを除外する等の方法も用いることができる。
【0035】
以上の動作を図14を用いて具体的に説明する。同図は、横軸を時間軸としたタイムチャートであり、黒丸は操作情報が生成された日時を表しており、同一直線上の操作情報は、同一ファイルに対するものである。例えば、A1、A2、A3は何れもファイルAに対してなされた操作である。また、点線の垂直線はユーザが指示した操作画像が生成された日時を表している。この図では、4つのファイルA、B、CおよびDに関する操作情報が生成されている。さらに、各操作画像にはウィンドウ1から3が含まれており、ウィンドウ1ではファイルA、ウィンドウ2ではファイルBおよびC、ウィンドウ3ではファイルDが操作されていることを表している。このとき、ユーザにより日時T2の操作画像中のウィンドウ1が指示されたとすると、日時T2が操作画像特定情報、指示座標が表示物特定情報として取得される(#34)。取得された指示座標と、ウィンドウ1から3の表示物情報に含まれる各ウィンドウの位置情報および大きさとの検証によりウィンドウの特定が行われる(#35)。この例では、ウィンドウ1が特定される(#35のYes分岐)。前述したように、ウィンドウ1ではファイルAが操作されているため、復元すべきファイルとしてファイルAが特定される(#36)。
【0036】
次に、取得されている操作画像特定情報である日時T2と#36で特定されたファイルであるファイルAに基づき、操作情報を抽出する。今、#36で復元すべきファイルはファイルAと特定されているため、抽出すべき操作情報はファイルAに関するものに限定され、さらに生成日時がT2以前の操作情報のうち最も新しい操作情報が抽出される(#37)。すなわち、ファイルAに関する操作情報のうち生成日時がT2以前のものはA1およびA2であり、そのうち最新のものとして操作情報A2が抽出される(#37)。#36で特定されたファイルが複数存在する場合には、#37の処理は個々のファイルに対して行われる。例えば、日時T4のウィンドウ2が指示された場合には、#36の処理でファイルBおよびCが特定され、それぞれのファイルに対し#37の処理が行われた結果、操作情報B3およびC3が抽出される。
【0037】
また、図14において、日時T1からT4における被操作ファイルが図の上段に示すものであるとする。例えば、日時T2において操作されているのはファイルAであり、他のファイルは操作されていないことを表している。このとき、ユーザにより生成日時T2の操作画像のウィンドウ以外の領域が指示されたとする。この場合、#35でウィンドウが特定されず(#35のNo分岐)、処理は#39へと移行する。#39では、被操作ファイルに関する操作情報であり、かつ操作画像特定情報である日時以前に生成され最新のものが抽出される。この例では、ファイルAに関する操作情報であり、かつ日時T2以前に生成され最新の操作情報であるA2が抽出される(#39)。このように、被操作ファイルに関する操作情報のみを抽出することにより、復元すべきファイルを的確に特定することができる。
【0038】
上述のようにして抽出された操作情報および当該操作情報に係る基準ファイルがファイル復元部43に渡され、ファイルが復元される。復元動作を図15のフローチャートに基づき説明すると、先ず取得した基準ファイルをクライアントCの図示していない記憶媒体に記録することにより基準ファイルを復元する(#51)。次に、操作情報に差分ファイルが含まれているか否かをチェックし、含まれていれば(#52のYes分岐)基準ファイルに差分ファイルを適用し、ファイルが復元される(#53)。差分ファイルが含まれていなければ(#52のNo分岐)、当該基準ファイルが復元ファイルとなる。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザは操作画像中の表示物を指示するだけで、当該表示物に係るファイルを当該操作画像の生成日時における状態に復元することが可能となっている。また、操作画像中の表示物以外の領域を指示した場合でも、当該操作画像の生成日時における被操作ファイルを特定することで、復元すべきファイルを特定し、復元することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるファイル管理方法を使用したシステム構成図
【図2】本発明によるファイル管理方法をサーバクライアント方式で実施したシステムの機能要素を表す機能ブロック図
【図3】本発明によるファイル管理方法をスタンドアロン方式で実施したシステムの機能要素を表す機能ブロック図
【図4】本発明によるファイル管理方法をサーバクライアント方式で実施したシステムの機能要素を表す機能ブロック図
【図5】本発明の第1の実施形態における操作情報記録の動作を表すフローチャート
【図6】本発明の実施形態における生成された操作情報を表す図
【図7】本発明の第1の実施形態における記録される操作情報を表す図
【図8】本発明の実施形態における生成された操作画像を表す図
【図9】本発明の第1の実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図10】本発明の実施形態における表示画面の例
【図11】本発明の第2の実施形態における操作情報記録の動作を表すフローチャート
【図12】本発明の第2の実施形態における記録される操作情報を表す図
【図13】本発明の第2の実施形態における処理の流れを表すフローチャート
【図14】本発明の第2の実施形態における操作情報と操作画像の関連を表す図
【図15】本発明の第2の実施形態におけるファイル復元の詳細動作を表すフローチャート
【符号の説明】
【0041】
S:サーバ
HD:ハードディスク
C:クライアント
3:ディスプレイ
4:入力機器
4a:キーボード
4b:マウス
11:情報管理部
12:操作情報抽出部
20:操作情報生成モジュール
21:操作情報生成部
22:操作情報送信部
30:操作画像生成モジュール
31:操作画像生成部
32:操作画像送信部
33:表示物情報生成部
41:操作画像表示部
42:指示情報取得部
43:ファイル復元部
50:GUI部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、サーバから構成されるファイル管理システムであって、
前記端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、
前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、
前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、
前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、
前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段を備えたことを特徴とするファイル管理システム。
【請求項2】
前記情報管理手段は、さらに前記操作画面における表示物の情報および当該表示物に関連するファイルの情報を記録管理し、
前記指示情報は、さらに前記表示された操作画像を指示することにより得られる表示物を特定可能な表示物特定情報を含むことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項3】
前記操作画像表示手段は、前記操作画像の全部若しくは一部を時系列で連続的に再生表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル管理システム。
【請求項4】
コンピュータを
端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、
前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、
前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、
前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、
前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段として機能させるためのファイル管理プログラム。
【請求項5】
操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、ファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理部と、
前記情報管理部に記録した操作画像を表示する操作画像表示部と、
前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得部と、
前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出部と、
前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元部を備えた端末。
【請求項1】
端末と、サーバから構成されるファイル管理システムであって、
前記端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、
前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、
前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、
前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、
前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段を備えたことを特徴とするファイル管理システム。
【請求項2】
前記情報管理手段は、さらに前記操作画面における表示物の情報および当該表示物に関連するファイルの情報を記録管理し、
前記指示情報は、さらに前記表示された操作画像を指示することにより得られる表示物を特定可能な表示物特定情報を含むことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項3】
前記操作画像表示手段は、前記操作画像の全部若しくは一部を時系列で連続的に再生表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル管理システム。
【請求項4】
コンピュータを
端末における操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、前記端末におけるファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理手段と、
前記操作画像を表示する操作画像表示手段と、
前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得手段と、
前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出手段と、
前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元手段として機能させるためのファイル管理プログラム。
【請求項5】
操作画面をキャプチャして得られる操作画像と、ファイル操作を表す情報と当該操作がなされたファイルの内容を含む操作情報を記録管理する情報管理部と、
前記情報管理部に記録した操作画像を表示する操作画像表示部と、
前記表示された操作画像に基づき、当該操作画像を特定可能な操作画像特定情報を含む指示情報を取得する指示情報取得部と、
前記管理されている操作情報の中から、前記指示情報に基づき操作情報を抽出する操作情報抽出部と、
前記抽出された操作情報に基づきファイルを復元するファイル復元部を備えた端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−64256(P2009−64256A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231767(P2007−231767)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】
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