説明

ファクシミリ装置

【課題】符号化画像データのファクシミリ送信に要する時間を短くすることができる、ファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ファクシミリ装置では、読取部で読み取られた原稿に対応する画像データを、逐次的符号化方式で符号化し、逐次的符号化方式の符号化画像データが記憶され、相手先装置に送信するための、符号化画像データの符号化方式が決定される(S204)。記憶された符号化画像データは、決定された符号化方式の符号化画像データに再符号化される(S212)。決定された符号化方式が、階層的符号化方式である第一の場合(S208:Yes)、記憶された符号化画像データは、決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化されず、逐次的符号化方式の符号化画像データが、相手先装置にファクシミリ送信される(S210)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファクシミリ通信に関する提案がされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1では、逐次的符号化処理部と、階層的符号化処理部とを有し、これらの何れかの処理部により符号化した画像データを送信する、ファクシミリ装置が開示されている。逐次的符号化処理部は、画像データを、MH,MR,MMR等の逐次符号化方式により符号化する。階層的符号化処理部は、画像データを、JBIG方式等の階層符号化方式により符号化する。
【0003】
特許文献2には、近年、ネットワークを介してリアルタイム性が高い通信形式で通信を行うITU−T.38のプロトコルを搭載した画像通信装置が開発されている、ことが開示されている。特許文献2によれば、この種の画像通信装置では、画情報の符号圧縮に、高圧縮が期待できるJBIG方式等の符号化方式を使用すると、送信すべき画像情報を作れない、いわゆる通信のアンダーランが発生することがある、とされている。なお、市外局番から始まる電話番号を利用した帯域確保型のデータ通信サービスが提供されている(例えば、非特許文献1参照)。このサービスにはNGNが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−70177号公報
【特許文献2】特開2010−187318号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】東日本電信電話株式会社、“News Release 「ひかり電話」を利用した帯域確保型データ通信サービス「データコネクト」の提供および大容量・多チャネルでの通信を実現する「ひかり電話ナンバーゲート」の提供について”、[online]、平成22年5月31日、[平成23年8月17日検索]、インターネット< http://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20100531_05.html >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1のような、NGNが利用されて提供される帯域確保型のデータ通信サービスは、ITU−T.38プロトコルを使用して、利用する通信帯域毎に課金する形態で提供されている。このデータ通信サービスでは、64kbps、512kbps、1Mbps(1024kbps)といった、高速な通信帯域を利用することができる。ファクシミリ通信の符号化方式として、逐次的符号化方式及び階層的符号化方式が、利用されている。逐次的符号化方式としては、MMR、MR、MHの各方式が例示される。階層的符号化方式としては、JBIGが例示される。階層的符号化方式は、逐次的符号化方式より圧縮率が高い。前述した符号化方式における圧縮率は、JBIGが最も高く、以下、MMR、MR、MHの順となる。ファクシミリ通信における送信形態の一つとして、メモリ送信がある。メモリ送信では、原稿の読み取りと、ファクシミリ装置が対応する符号化方式のうち、圧縮率が最も高い符号化方式による符号化と、符号化画像データの所定の記憶領域への記憶(蓄積)といった一連の処理が行われる。
【0007】
階層的符号化方式に対応したファクシミリ装置に、発信元情報が記憶されている場合のメモリ送信では、読み取られた原稿に対応する画像データは、圧縮率が最も高い階層的符号化方式ではなく、逐次的符号化方式の中で最も圧縮率が高いMMRで符号化される。その結果、ヘッダに発信元情報を含むMMR方式の符号化画像データが、所定の記憶領域に記憶される。発信元情報は、発信元のファクシミリ装置に対応した情報である。発信元情報が記憶されている場合、階層的符号化方式で符号化されない理由は、階層的符号化方式の符号化画像データを再符号化(符号−符号変換)すると、復号及び符号化のための処理に要する時間が、逐次的符号化方式の場合と比較し、長くなるためである。具体的に説明する。発信元情報が記憶されている場合、メモリ送信のために事前に記憶されたMMR方式の符号化画像データのヘッダに、例えば、送信日時情報(例えば、年月日及び現在時刻を示す情報)が追加される。この追加は、例えば、ヘッダに発信元情報を含むMMR方式の符号化画像データが生成等されるタイミング後のタイミングで行われる。追加のタイミングを例示すれば、符号化画像データの送信が開始される直前のタイミング(所謂、フェーズCのタイミング)である。符号化画像データのヘッダに送信時刻情報を追加するためには、再符号化が必要となる。
【0008】
メモリ送信では、符号化画像データを生成し、所定の記憶領域に記憶した後、送信先となるファクシミリ装置(相手先装置)の受信機能力により、再符号化が必要となるケースもある。例えば、相手先装置が、階層的符号化方式としてのJBIGに対応しているとする。この場合、MMR方式の符号化画像データは、復号され、復号された画像データは、JBIGで符号化され、JBIG方式の符号化画像データが生成、記憶される。上述したような帯域確保型のデータ通信サービスにおいて、通信帯域が高速、例えば1Mbpsとされた場合、再符号化が実行されると、再符号化の処理能力が十分ではないファクシミリ装置では、送信する符号化画像データがなくなってしまうといった状態(アンダーラン)となる場合もある。このような場合、高速な通信帯域を利用しているにも関わらず、送信に要する時間が長くなる。送信に要する時間が長くなると、課金額が増加し、ユーザにとっては余分にコストが必要となる。
【0009】
本発明は、符号化画像データのファクシミリ送信に要する時間を短くすることができる、ファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、通信ネットワークに接続された相手先装置と通信し、読み取られた原稿に対応する画像データを符号化した符号化画像データを、前記通信ネットワークを介して、前記相手先装置にファクシミリ送信するファクシミリ装置であって、前記ファクシミリ装置が対応する、逐次的符号化方式を示す第一符号化能力情報と、階層的符号化方式を示す第二符号化能力情報と、を記憶する第一記憶部と、原稿を読み取る読取部と、前記読取部で読み取られた原稿に対応する画像データを記憶する第二記憶部と、前記第二記憶部に記憶された画像データを、逐次的符号化方式で符号化し、逐次的符号化方式の符号化画像データを生成し、第三記憶部に記憶させる、符号化部と、前記通信ネットワークに接続された通信部を介した前記相手先装置との通信を制御する通信制御部と、前記通信制御部によって制御される前記通信部で受信された信号から、前記相手先装置が対応している符号化方式を特定するための受信機能力情報を取得し、第四記憶部に記憶させる、相手先能力取得部と、前記第一記憶部に記憶された、第一符号化能力情報及び第二符号化能力情報と、前記第四記憶部に記憶された受信機能力情報と、に従い、相手先装置に送信するための、符号化画像データの符号化方式を決定する決定部と、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された符号化方式の符号化画像データに再符号化する再符号化部と、を備え、前記再符号化部は、前記決定部で決定された符号化方式が、階層的符号化方式である第一の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化せず、前記通信制御部は、前記第一の場合、逐次的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるに制御する、ファクシミリ装置である。これによれば、前述した第一の場合、逐次的符号化方式から階層的符号化方式への再符号化に伴う処理を省略することができる。相手先装置へのファクシミリ送信が、階層的符号化方式への再符号化によって、遅延することを抑制することができる。
【0011】
このファクシミリ装置は、次のようにすることもできる。前記通信ネットワークは、帯域確保型のIPネットワークであって、前記ファクシミリ装置は、前記IPネットワークを介して実行されるファクシミリ送信に利用される通信帯域を取得する利用帯域取得部を備え、前記再符号化部は、前記第一の場合で、且つ、前記利用帯域取得部で取得された通信帯域より、逐次的符号化方式の符号化画像データを、階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化する場合の基準となる処理速度が低速となる第二の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化せず、前記第一の場合で、且つ、前記利用帯域取得部で取得された通信帯域より、前記処理速度が高速となる第三の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化し、前記通信制御部は、前記第一の場合で、且つ、前記第二の場合、逐次的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御し、前記第一の場合で、且つ、前記第三の場合、階層的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御する、ようにしてもよい。これによれば、再符号化の要否を好適に判断し、送信される符号化画像データの符号化方式を好適に選択することができる。
【0012】
また、前記通信ネットワークは、帯域確保型のIPネットワークであって、前記ファクシミリ装置は、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記通信制御部によって制御される前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信するのに要する第一通信時間を予測する第一予測部と、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化し、階層的符号化方式の符号化画像データを、前記通信制御部によって制御される前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信するのに要する第二通信時間を予測する第二予測部と、前記第一通信時間と、前記第二通信時間と、を比較する比較部と、を備え、前記再符号化部は、前記第一の場合で、且つ、前記第一通信時間が前記第二通信時間より短くなる第四の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化せず、前記第一の場合で、且つ、前記第二通信時間が前記第一通信時間より短くなる第五の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化し、前記通信制御部は、前記第一の場合で、且つ、前記第四の場合、逐次的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御し、前記第一の場合で、且つ、前記第五の場合、階層的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御する、ようにしてもよい。これによれば、再符号化の要否を好適に判断し、送信される符号化画像データの符号化方式を好適に選択することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、符号化画像データのファクシミリ送信に要する時間を短くすることができる、ファクシミリ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ファクシミリ装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】(A)は、帯域対応テーブルの一例を示す図である。(B)は、再符号化速度テーブルの一例を示す図である。(C)は、データ容量テーブルの一例を示す図である。
【図3】スキャン処理のフローチャートである。
【図4】第一形態のFAX送信処理のフローチャートである。
【図5】第二形態のFAX送信処理のフローチャートである。
【図6】第三形態のFAX送信処理のフローチャートである。
【図7】通信時間計算処理のフローチャート(その1)である。
【図8】通信時間計算処理のフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0016】
<ファクシミリ通信システム>
ファクシミリ装置(以下、「FAX装置」という)10を含むファクシミリ通信システム(以下、「FAX通信システム」という)1について、図1を参照して説明する。図1に示すFAX通信システム1は、次世代ネットワーク(Next Generation Network 以下、「NGN」という)網3によって構築される。具体的に、FAX通信システム1は、例えば上述した非特許文献1に示されるような、市外局番から始まる電話番号(以下、「ダイヤル番号」という)を利用した帯域確保型のデータ通信サービスによって構築される。即ち、FAX通信システム1は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社によって既に提供されている、帯域確保型のデータ通信サービスによって構築される。この帯域確保型のデータ通信サービスは、データコネクト(登録商標)と称されている。NGN網3を利用した帯域確保型のデータ通信サービスは、既に実用化された技術であるため、その説明は、省略する。
【0017】
FAX通信システム1は、送信元となるFAX装置10の他、図1に示すように、送信先(受信側)となるFAX装置(以下、「相手先装置」という)50と、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ80とを含む。FAX装置10と、相手先装置50と、SIPサーバ80とは、NGN網3に接続されている。SIPサーバ80は、FAX装置10のIPアドレス及びSIPURI(SIP Uniform Resource Identifier)を対応付けて記憶し、相手先装置50の、IPアドレス及びSIPURIを対応付けて記憶している。SIPサーバ80は、SIPを用いて、FAX装置10と相手先装置50との間の通信を制御する。FAX装置10と相手先装置50との間でSIPに従った手順に基づく各種の信号(指令)は、SIPサーバ80を経由して送受信される。FAX通信システム1は、交換機90を含む。FAX装置10と相手先装置50とは、交換機90によって構成された公衆電話交換回線網(Public Switched Telephone Networks 以下、「PSTN」という)5にも接続されている。交換機90は、既に実用化された構成であるため、その説明は、省略する。
【0018】
<FAX装置>
FAX装置10は、T.38ベースのIPFAX(Internet Protocol FAX 以下、「T.38FAX」という)通信と、一般FAX通信とを行うための機能を有する。T.38は、IPプロトコルを用いて、G3FAX通信を行うための伝送制御プロトコルである。T.38FAX通信は、SIPURIを用いて、NGN網3を介して、符号化された画像データ(以下、「符号化画像データ」という)を通信(送受信)するものである。一般FAX通信は、PSTN5を介して、符号化画像データを通信するものである。T.38FAX通信及び一般FAX通信では、相手先装置50に対応する相手先情報として、ダイヤル番号が用いられる。ダイヤル番号としては、例えば、0ABJやE.164形式が例示され、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社から割り当てられる。FAX装置10は、T.38FAX通信によって、符号化画像データを、相手先装置50に送信(以下、「T.38FAX送信」という)できる。FAX装置10は、一般FAX通信によって、符号化画像データを、相手先装置50に送信(以下、「一般FAX送信」という)できる。一般FAX通信とは、PSTN5を介したFAX通信であって、ITU−T T.30に従って行われる。FAX装置10は、モノクロ及びカラーの各送信に対応している。モノクロ送信では、符号化方式として、例えば、MMR、MR、MH、及び、JBIGが用いられる。FAX装置10は、JBIGに対応している。一般的に、JBIGに対応しているFAX装置は、それより低圧縮率であるMMR、MR、MHにも対応している。MMRに対応しているFAX装置は、それより低圧縮率であるMR、MHにも対応している。なお、一般的に、MMRに対応していない場合、MRにも対応していない場合が多い。カラー送信では、例えば、JPEGが用いられる。
【0019】
FAX装置10は、図1に示すように、表示部12と、操作部14と、読取部16と、印刷部18と、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)20と、PSTNインターフェース(PSTN I/F)22と、計時部24と、階層的符号化部26とを備える。FAX装置10は、CPU30と、プログラムROM32と、RAM34と、フラッシュROM36とを備える。これら各部12〜36は、バスライン38に接続されている。表示部12は、諸情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、複数のキーによって構成される。操作部14は、0〜9等のテンキー、スタートキー等で構成される。テンキーは、例えば、ダイヤル番号を入力する際に押下される。スタートキーは、T.38FAX送信又は一般FAX送信を行う際に、押下される。例えば、相手先装置50に、モノクロ送信を行う場合、モノクロ送信のためのスタートキーが押下される。ユーザは、操作部14を構成する各種の処理に対応付けられたキーを操作することで、各種の指示をFAX装置10に入力することができる。読取部16は、原稿を読み取る。印刷部18は、FAX装置10で受信された符号化画像データに対応する画像を、記録用紙に印刷する。ネットワークI/F20は、NGN網3に接続され、FAX装置10をNGN網3に接続する。PSTN I/F22は、PSTN5に接続され、FAX装置10をPSTN5に接続する。計時部24は、時間の経過を計測する。計時部24は、時計機能を有する。階層的符号化部26は、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データをJBIGで符号化し、JBIG方式の符号化画像データを生成する、ハードウェアである。
【0020】
CPU30は、演算処理を実行する。プログラムROM32は、後述するような各種の処理(図3〜図8参照)等のためのコンピュータプログラムを記憶する。MMR、MR、MHの何れにも対応するFAX装置10である場合、プログラムROM32には、MMR、MR、MHの各方式による符号化のためのコンピュータプログラムが、それぞれ記憶される。RAM34は、CPU30が各種のコンピュータプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。RAM34には、後述する処理で利用される情報(データ)のための領域が確保される。CPU30は、プログラムROM32に記憶された各種のコンピュータプログラムを実行して、FAX装置10を制御する。これによって、FAX装置10では、各種の処理が実行され、各種の機能が実現される。
【0021】
フラッシュROM36は、各種のデータを記憶する。各種のデータは、フラッシュROM36の所定の記憶領域毎に、それぞれ記憶される。例えば、フラッシュROM36には、SIPサーバ80のドメイン名が記憶される。ユーザは、操作部14等を介して、SIPサーバ80のドメイン名を記憶させる。フラッシュROM36には、FAX装置10が対応する符号化方式を示す符号化能力情報が記憶される。FAX装置10は、上述した通り、モノクロに関しては、JBIGに対応しているから、フラッシュROM36には、少なくとも、符号化能力情報として、JBIG、MMR、MR、MHに対応した各情報が記憶される。フラッシュROM36には、発信元情報が記憶される。発信元情報は、FAX装置10に対応した情報であって、例えば、FAX装置10のダイヤル番号若しくはユーザの名称、又は、FAX装置10が設置されている場所の名称である。ユーザは、操作部14等を介して、発信元情報を記憶させる。発信元情報がフラッシュROM36に記憶された場合、記憶された発信元情報は、相手先装置50に送信される符号化画像データのヘッダ部に含められる。フラッシュROM36には、T.38FAX通信における符号化画像データの送信に利用する通信帯域(以下、「利用帯域」という)が記憶される。
【0022】
フラッシュROM36には、図2(A)に示すような、帯域対応テーブルが記憶される。帯域対応テーブルは、NGN網3が利用された帯域確保型のデータ通信サービスにおける通信帯域(64kbps、512kbps、1Mbps)と、JBIG又はMMRとの対応を定めたテーブルである。帯域対応テーブルでは、通信帯域及び符号化方式が、例えば、図2(A)に示すような状態で、関連付けされている。この点に関する説明は、後述する。帯域対応テーブルは、図5に示す第二形態のFAX送信処理で用いられる(図5のS310参照)。従って、第二形態のFAX送信処理が採用されない場合、帯域対応テーブルは、フラッシュROM36に記憶されない。フラッシュROM36には、図2(B)に示すような、再符号化速度テーブルが記憶される。再符号化速度テーブルは、再符号化に伴う符号化方式の変更と、再符号化のための変換速度(以下、「再符号化速度」という)との対応を定めたテーブルである。FAX装置10では、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データは、先ず、MMRで符号化され、RAM34に記憶される。再符号化速度テーブルにおいて、MMR方式からMMR方式に再符号化する場合(符号化方式変更なしの場合)の再符号化速度は、NGN網3が利用された帯域確保型のデータ通信サービスにおいて、最も高速である通信帯域の値に合わせた設定とされる。従って、この場合の再符号化速度は、1Mbpsである。MMR方式からJBIG方式に再符号化する場合の再符号化速度は、符号化方式変更なしの場合(1Mbps)の、2/5の値として設定される。従って、MMR方式からJBIG方式に再符号化する場合の再符号化速度は、400kbpsである。以下では、符号化方式変更なしの場合の速度であって、1Mbpsに設定される再符号化速度を、第一再符号化速度という。MMR方式からJBIG方式に再符号化する場合の再符号化速度を、第二再符号化速度という。再符号化速度テーブルは、図6に示す第三形態のFAX送信処理で実行される通信時間計算処理で用いられる(図6のS410、詳細は図7のS502及び図8のS514参照)。従って、第三形態のFAX送信処理が採用されない場合、再符号化速度テーブルは、フラッシュROM36に記憶されない。
【0023】
フラッシュROM36には、図2(C)に示すような、データ容量テーブルが記憶される。データ容量テーブルは、MMR方式の符号化画像データをJBIG方式に再符号化した場合、MMR方式の符号化画像データのデータ容量と、JBIG方式の符号化画像データのデータ容量との対応を定めたテーブルである。MMR方式の符号化画像データのデータ容量を基準とする理由は、上述した通り、FAX装置10では、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データは、先ず、MMRで符号化され、RAM34に記憶されるためである。データ容量テーブルにおけるMMR方式の符号化画像データのデータ容量は、読取部16で読み取られた原稿の1頁分の値である。JBIG方式の符号化画像データのデータ容量は、MMR方式の符号化画像データのデータ容量(図2(C)では「MMRデータ容量」と記載)に対する比(図2(C)では「データ容量比」と記載)で示される。MMR方式の符号化画像データのデータ容量が50kbyte未満である場合、このデータ容量比は、MMR方式の符号化画像データの2/3である。MMR方式の符号化画像データのデータ容量が50kbyte以上〜100kbyte未満である場合、データ容量比は、MMR方式の符号化画像データの1/2である。MMR方式の符号化画像データのデータ容量が100kbyte以上である場合、データ容量比は、MMR方式の符号化画像データの1/3である。データ容量に関し、例えば、この比が「1/3」であって、MMR方式の符号化画像データのデータ容量が100kbyteであれば、再符号化によって生成されるJBIG方式の符号化画像データのデータ容量は、33kbyte(100kbyte×1/3)となる。データ容量テーブルは、図6に示す第三形態のFAX送信処理で実行される通信時間計算処理で用いられる(図6のS410、詳細は図7のS502及び図8のS514参照)。従って、第三形態のFAX送信処理が採用されない場合、データ容量テーブルは、フラッシュROM36に記憶されない。
【0024】
相手先装置50は、FAX装置10と同様又は従来から用いられているFAX装置である。相手先装置50は、例えば、図1に示すように、FAX装置10の各部12〜38に対応する、各部52〜78を備える。相手先装置50に関する説明は、省略する。
【0025】
<スキャン処理>
FAX装置10で実行されるスキャン処理について、図3を参照して説明する。以下では、メモリ送信によるモノクロ送信が対象とされる。逐次的符号化方式としては、MMR、MR、MHのうち、MRは省略し、MMR及びMHを例に説明する。スキャン処理の開始に際し、ユーザは、FAX装置10に、送信対象の原稿をセットし、操作部14を操作し、相手先装置50のダイヤル番号を入力する。入力されたダイヤル番号は、RAM34に確保されたダイヤル番号バッファ領域に記憶される。スキャン処理は、ユーザが相手先装置50のダイヤル番号を入力し、スタートキーを押下した場合に開始される。スキャン処理を開始したCPU30は、自装置(FAX装置10)がJBIGに対応しているかを判断する(S100)。CPU30は、フラッシュROM36にJBIGに対応した符号化能力情報が記憶されているか否かに従い、この判断を実行する。
【0026】
JBIGに対応した符号化能力情報がフラッシュROM36に記憶されておらず、JBIGに対応していない場合(S100:No)、CPU30は、自装置がMMRに対応しているかを判断する(S102)。S102は、S100と同様、フラッシュROM36にMMRに対応した符号化能力情報が記憶されているか否かに従い、実行される。MMRに対応した符号化能力情報がフラッシュROM36に記憶されておらず、MMRに対応していない場合(S102:No)、CPU30は、処理をS106に移行する。MMRに対応した符号化能力情報がフラッシュROM36に記憶され、MMRに対応している場合(S102:Yes)、CPU30は、処理をS108に移行する。JBIGに対応した符号化能力情報がフラッシュROM36に記憶され、JBIGに対応している場合(S100:Yes)、CPU30は、フラッシュROM36に、発信元情報が記憶されているかを判断する(S104)。発信元情報がフラッシュROM36に記憶されている場合(S104:Yes)、CPU30は、処理をS108に移行する。発信元情報がフラッシュROM36に記憶されていない場合(S104:No)、CPU30は、処理をS110に移行する。
【0027】
S106で、CPU30は、FAX装置10にセットされた原稿の読み取りが、読取部16で実行されるように制御する。読取部16は、FAX装置10にセットされた原稿を、読み取る。CPU30は、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データを、RAM34に確保された読取バッファ領域に記憶する。続けて、CPU30は、RAM34の読取バッファ領域に記憶された画像データをMHで符号化し、MH方式の符号化画像データを生成する。生成されたMH方式の符号化画像データは、RAM34、詳細には、RAM34に確保された送信用メモリ領域に記憶される。CPU30は、S106を、FAX装置10にセットされた全ての原稿に対して行う。従って、RAM34の送信用メモリ領域には、読み取られた全ての原稿に対応する、全頁分のMH方式の符号化画像データが記憶される。S108で、CPU30は、S106と同様、読取部16での原稿の読み取りを制御する。この点については、上述した通りであり、説明は、省略する。続けて、CPU30は、RAM34の読取バッファ領域に記憶された画像データをMMRで符号化し、MMR方式の符号化画像データを生成する。生成されたMMR方式の符号化画像データは、RAM34の送信用メモリ領域に記憶される。CPU30は、S106と同様、前述のような処理を、FAX装置10にセットされた全ての原稿に対して行う。従って、RAM34の送信用メモリ領域には、読み取られた全ての原稿に対応する、全頁分のMMR方式の符号化画像データが記憶される。
【0028】
S110で、CPU30は、S106と同様、読取部16での原稿の読み取りを制御する。この点については、上述した通りであり、説明は、省略する。続けて、CPU30は、RAM34の読取バッファ領域に記憶された画像データに対し、階層的符号化部26によるJBIGでの符号化を制御する。階層的符号化部26は、RAM34の読取バッファ領域に記憶された画像データを、JBIGで符号化し、JBIG方式の符号化画像データを生成する。生成されたJBIG方式の符号化画像データは、RAM34の送信用メモリ領域に記憶される。CPU30及び階層的符号化部26は、S106と同様、前述のような処理を、FAX装置10にセットされた全ての原稿に対して行う。従って、RAM34の送信用メモリ領域には、読み取られた全ての原稿に対応する、全頁分のJBIG方式の符号化画像データが記憶される。S106、S108又はS110を実行した後、CPU30は、スキャン処理を終了する。
【0029】
なお、JBIGによる符号化のための階層的符号化部26を備えるFAX装置10は、JBIGに対応している。そのため、S100の判断が否定され(S100:No)、S102が実行されることはない。このときFAX装置10では、S106も実行されない。ただし、スキャン処理のためのコンピュータプログラムは、汎用性を持たせた仕様としている。即ち、スキャン処理のためのコンピュータプログラムは、FAX装置10とは異なり、JBIGに非対応の機種、又は、JBIG及びMMRに非対応の機種にも適用することができる。FAX装置10が、JBIGによる符号化を禁止するモードを選択可能なように構成される場合、S100の判断は否定(S100:No)される。FAX装置10が、MMRによる符号化を禁止するモードを選択可能なように構成される場合、S102の判断は否定(S102:No)され、S106が実行される。
【0030】
<FAX送信処理>
FAX装置10で実行されるFAX送信処理について、3つの形態を説明する。FAX装置10でのFAX送信処理は、第一形態〜第三形態の何れであってもよい。FAX送信処理は、図3に示すスキャン処理の終了後に、自動的に開始される。上述したスキャン処理と同様、メモリ送信によるモノクロ送信を対象とし、逐次的符号化方式として、MMR及びMHを例に説明する。T.38FAX送信である場合を例とする。
【0031】
<第一形態>
第一形態のFAX送信処理について、図4等を参照して説明する。このFAX送信処理を開始したCPU30は、利用帯域を決定する(S200)。CPU30は、フラッシュROM36に記憶された利用帯域に従い、決定する。決定された利用帯域は、RAM34に確保された利用帯域バッファ領域に記憶される。その後、CPU30は、相手先装置50の受信機能力情報を取得する(S202)。S202を、具体的に説明する。CPU30は、フラッシュROM36からSIPサーバ80のドメイン名を読み出し、読み出したドメイン名と、相手先装置50のダイヤル番号とから、SIPURIを生成する。相手先装置50のダイヤル番号は、図3に示すスキャン処理の開始に際し、RAM34のダイヤル番号バッファ領域に記憶されている。CPU30は、生成されたSIPURIを宛先として、SIP及びT.38に従った手順が、ネットワークI/F20を介して行われるように制御する。このような制御は、既に実用化されているNGN網3を利用した帯域確保型のデータ通信サービスの場合と同様にして行われる。従って、この点に関する説明は、省略する。これによって、ネットワークI/F20では、DISが受信される。DISは、画像データの符号化方式に対応する復号化能力に関する受信機能力情報を含む指令(信号)である。DISに含まれる受信機能力情報によれば、ダイヤル番号の相手先装置50が受信できる符号化画像データの符号化方式、換言すれば、この相手先装置50が対応している符号化方式を、特定することができる。CPU30は、ネットワークI/F20で受信されたDISから、受信機能力情報を取得する。取得された受信機能力情報は、RAM34に確保された相手先能力バッファ領域に記憶される。
【0032】
S202を実行した後、CPU30は、仮符号化方式を決定する(S204)。仮符号化方式は、フラッシュROM36に記憶された符号化能力情報から特定される符号化方式と、S202で取得され、相手先能力バッファ領域に記憶された受信機能力情報から特定される符号化方式とで共通する符号化方式のうち、最も圧縮率が高いものとされる。受信機能力情報から特定される最も圧縮率の高い符号化方式が、JBIGであったとする。FAX装置10は、上述した通り、JBIGに対応している。この場合、仮符号化方式は、JBIGとされる。受信機能力情報から特定される最も圧縮率の高い符号化方式が、MMRであったとする。この場合、仮符号化方式は、MMRとされる。決定された仮符号化方式は、RAM34に確保された仮符号化方式バッファ領域に記憶される。
【0033】
次に、CPU30は、符号化方式の変更を伴う再符号化を、スキャン処理でRAM34の送信用メモリ領域に記憶された符号化画像データ(図3のS106、S108、S110参照)に実行する必要があるかを判断する(S206)。S206で、CPU30は、RAM34の送信用メモリ領域に記憶された符号化画像データの符号化方式と、RAM34の仮符号化方式バッファ領域に記憶された仮符号化方式とを比較する。両符号化方式が一致する場合、RAM34の送信用メモリ領域に記憶された符号化画像データの再符号化は必要ないとして、S206は否定される(S206:No)。この場合、CPU30は、処理をS210に移行する。一致しない場合、RAM34の送信用メモリ領域に記憶された符号化画像データの再符号化が必要であるとして、S206は肯定される(S206:Yes)。この場合、CPU30は、再符号化は、MMRからJBIGへの変換であるかを判断する(S208)。再符号化がJBIGへの変換である場合(S208:Yes)、CPU30は、処理をS210に移行する。再符号化がJBIGへの変換ではない場合(S208:No)、CPU30は、処理をS212に移行する。
【0034】
S210で、CPU30は、SIP及びT.38に従った手順によって、RAM34の送信用メモリ領域に記憶された符号化画像データが相手先装置50に送信されるように制御する。送信される符号化画像データは、スキャン処理でRAM34の送信用メモリ領域に記憶された符号化方式のデータである。これによって、MH、MMR又はJBIGの何れかの方式の符号化画像データが、ネットワークI/F20から、NGN網3を介して、相手先装置50に送信される。フラッシュROM36に発信元情報が記憶されている場合、送信される符号化画像データのヘッダには、送信日時情報が追加される。例えば、図3に示すスキャン処理のS104が肯定(S104:Yes)され、S108で、ヘッダに発信元情報を含むMMR方式の符号化画像データが生成、記憶されていた場合、送信日時情報が、この符号化画像データのヘッダに追加される。送信日時情報は、計時部24で計測される、例えば、年月日及び現在時刻を示す情報である。
【0035】
S212で、CPU30は、RAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データを、MH方式の符号化画像データに再符号化する。CPU30は、再符号化を実行しつつ、これと並行して、生成されたMH方式の符号化画像データが相手先装置50に送信されるように制御する。これによって、MH方式の符号化画像データは、ネットワークI/F20から、NGN網3を介して、相手先装置50に送信される。S212での再符号化が、MHとされるのは、本実施形態のスキャン処理及びFAX送信処理では、符号化方式として、JBIG、MMR、MHを例に説明することとしているためである。MHへの再符号化は、次のようにして実行される。即ち、CPU30は、RAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データを復号し、復号された画像データを、RAM34に確保された所定の領域に記憶する。この際、フラッシュROM36に発信元情報が記憶されていれば、上記同様、生成されるMH方式の符号化画像データのヘッダに、発信元情報の他、送信日時情報が追加される。続けて、CPU30は、復号された画像データを、MHで符号化し、MH方式の符号化画像データを、再度、RAM34の送信用メモリ領域に記憶する。S210又はS212を実行した後、CPU30は、FAX送信処理を終了する。
【0036】
<第一形態による効果>
第一形態のFAX送信処理では、再符号化が必要である場合(S206:Yes参照)であっても、再符号化がMMRからJBIGへの変換である場合(S208:Yes参照)、スキャン処理で送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)を、そのままの方式で、相手先装置50に送信する(S210参照)こととした。JBIGといった階層的符号化方式への符号化は、処理負担が大きく、再符号化に要する時間が長くなってしまう。NGN網3を利用した帯域確保型のデータ通信サービスでは、高速な通信帯域を利用し、符号化画像データを高速に送信することができる。そのため、処理に長い時間を要する再符号化が実行されると、再符号化が間に合わず、送信する符号化画像データがなくなるといった事態(アンダーラン)が発生する。再符号化が間に合わず、送信する符号化画像データがなくなると、相手先装置50へは、所謂、ダミーデータが送信される。前述した構成(S208:Yes、S210参照)によれば、JBIGへの再符号化が実行されない。従って、再符号化が間に合わず、送信する符号化画像データがなくなるといった事態の発生を防止し、高速な通信帯域を、有効に利用し、符号化画像データを相手先装置50に短時間で送信することができる。再符号化待ちの状態では、高速な通信帯域が利用できたとしても、送信する符号化画像データがなく、結果的に、通信時間が、低速な通信帯域の場合と同等となってしまう。通信帯域が高速になれば、課金額が高額になるような場合、課金額を抑制することが可能となる。
【0037】
<第一形態の変形例>
第一形態のFAX送信処理は、PSTN5を介した、一般FAX送信を対象として実行されてもよい。CPU30は、PSTN I/F22を制御し、RAM34のダイヤル番号バッファ領域に記憶された相手先装置50のダイヤル番号に従った発呼が実行されるようにする。その後、CPU30は、ITU−T T.30に従った手順がPSTN I/F22を介して行われるように制御する。これによって、PSTN I/F22では、DISが受信される。CPU30は、PSTN I/F22で受信されたDISから、受信機能力情報を取得する(S202参照)。符号化画像データが、PSTN I/F22から相手先装置50に送信される(S210、S212参照)。このような構成によっても、送信途中に、送信対象のMH方式の符号化画像データがなくなってしまうといった事態(アンダーラン)の発生を防止し、上記同様の効果を得ることができる。一般FAX送信による場合、S200は省略される。
【0038】
<第二形態>
第二形態のFAX送信処理について、図5等を参照して説明する。第一形態のFAX送信処理(図4参照)では、再符号化が必要であるとされ(図4のS206:Yes参照)、再符号化がMMRからJBIGへの変換であるとされた場合(図4S208:Yes参照)、無条件に、再符号化が実行されないこととした。第二形態のFAX送信処理では、同様の場合、さらに他の条件に基づいた判断を行い、これ以降の処理を分岐させることとしている。第二形態のFAX送信処理は、このような点で、第一形態のFAX送信処理と相違するが、他の点では、第一形態のFAX送信処理と共通する。従って、以下では、第一形態のFAX送信処理と相違する点を中心に説明する。共通する処理については、第一形態のFAX送信処理との対応関係を明示し、詳細な説明は省略する。
【0039】
このFAX送信処理を開始したCPU30は、S300〜S306を、順次実行する。ここで、S300〜S306の各処理は、図4のS200〜S206のそれぞれに対応する。従って、S300〜S306は、図4のS200〜S206と同様にして実行される。再符号化が必要なく、S306が否定された場合(S306:No)、CPU30は、処理をS312に移行する。再符号化が必要であり、S306が肯定された場合(S306:Yes)、CPU30は、S308を実行する。S308は、図4のS208に対応する処理である。再符号化がJBIGへの変換ではない場合(S308:No)、CPU30は、処理をS316に移行する。
【0040】
再符号化がJBIGへの変換である場合(S308:Yes)、CPU30は、MMRからJBIGに再符号化した場合、S300で決定された利用帯域を有効に利用できるか判断する(S310)。利用帯域を有効に利用できるとは、利用帯域(通信速度)より、再符号化の処理速度が高速となる場合である。換言すれば、利用帯域を有効に利用できないとは、利用帯域より、再符号化の処理速度が低速となる場合である。処理速度が低速である場合、再符号化が間に合わず、ダミーデータを送信しなければならなくなる。S310で、CPU30は、フラッシュROM36に記憶された帯域対応テーブル(図2(A)参照)を、RAM34に読み出し、記憶する。帯域対応テーブルでは、通信帯域と、MMR又はJBIGとが、図2(A)に示すような状態で、関連付けられている。MMRからJBIGへの再符号利用化の処理速度は、上述した通り、概ね400kbps程度である。利用帯域が、この処理速度より高速である場合、送信する符号化画像データがなくなるといった事態(アンダーラン)が発生する。従って、帯域対応テーブルでは、400kbpsを基準として、これより高速の通信帯域(1Mbps、512kbps)では、再符号化にて符号化方式が変更とならないように、MMRが関連付けられている。400kbpsより低速の通信帯域(64kbps)では、送信する符号化画像データがなくなるといった事態が発生しない。従って、帯域対応テーブルでは、400kbpsより低速の通信帯域(64kbps)には、JBIGが関連付けられている。CPU30は、帯域対応テーブルで、S300で決定された利用帯域に一致する値に関連付けられた符号化方式を特定する。例えば、S300で決定された利用帯域が、512kbps又は1Mbpsであったとする。帯域対応テーブルで、「512kbps」又は「1Mbps」に関連付けられた符号化方式は、何れも「MMR」であるから、CPU30は、送信される符号化画像データの符号化方式として、MMRを特定する。このような場合、CPU30は、S310の判断を否定し(S310:No)、処理をS312に移行する。S300で決定された利用帯域が、64kbpsであったとする。帯域対応テーブルで、「64kbps」に関連付けられた符号化方式は、「JBIG」であるから、CPU30は、送信される符号化画像データの符号化方式として、JBIGを特定する。このような場合、CPU30は、S310の判断を肯定し(S310:Yes)、処理をS314に移行する。
【0041】
S312は、図4のS210に対応する処理である。従って、S312は、図4のS210と同様にして実行される。S314で、CPU30は、RAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データを、JBIG方式の符号化画像データに再符号化する。CPU30は、再符号化を実行しつつ、これと並行して、生成されたJBIG方式の符号化画像データが相手先装置50に送信されるように制御する。これによって、JBIG方式の符号化画像データは、ネットワークI/F20から、NGN網3を介して、相手先装置50に送信される。JBIGへの再符号化は、次のようにして実行される。即ち、CPU30は、RAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データを復号し、復号された画像データを、RAM34に確保された所定の領域に記憶する。続けて、CPU30は、RAM34の所定の領域に記憶された画像データに対し、階層的符号化部26によるJBIGでの符号化を制御する。階層的符号化部26は、RAM34の所定の領域に記憶された画像データを、JBIGで符号化し、JBIG方式の符号化画像データを生成する。生成されたJBIG方式の符号化画像データは、再度、RAM34の送信用メモリ領域に記憶される。この際、フラッシュROM36に発信元情報が記憶されていれば、S312(図4のS210参照)と同様、生成されるJBIG方式の符号化画像データのヘッダに、発信元情報の他、送信日時情報を追加される。S316は、図4のS212に対応する処理である。従って、S316は、図4のS212と同様にして実行される。S312、S314又はS316を実行した後、CPU30は、FAX送信処理を終了する。
【0042】
<第二形態による効果>
第二形態のFAX送信処理では、再符号化が必要であって(S306:Yes参照)、再符号化がMMRからJBIGへの変換である場合(S308:Yes参照)、帯域対応テーブル(図2(A)参照)を用いて、決定された利用帯域を有効に利用することができるかを判断する(S310)こととした。判断の結果、有効に利用できない場合(S310:No)、スキャン処理で送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)を、そのままの方式で、相手先装置50に送信する(S312参照)。従って、再符号化が間に合わず、送信する符号化画像データがなくなるといった事態(アンダーラン)の発生を防止し、高速な通信帯域を、有効に利用し、符号化画像データを相手先装置50に短時間で送信することができる。再符号化待ちの状態では、高速な通信帯域が利用できたとしても、送信する符号化画像データがなく、結果的に、通信時間が、低速な通信帯域の場合と同等となってしまう。通信帯域が高速になれば、課金額が高額になるような場合、課金額を抑制することが可能となる。一方、利用帯域を有効に利用できる場合(S310:Yes)、JBIGへの再符号化を実行し、JBIG方式の符号化画像データを生成し、これを相手先装置50に送信する(S314参照)。従って、送信されるデータ容量を縮小させ、符号化画像データを相手先装置50に短時間で送信することができる。
【0043】
<第二形態の変形例>
S310は、例えば、データ容量に基づき判断してもよい。具体的に、RAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データのデータ容量が、50kbyte未満である場合、処理がS312に移行するようにし、50kbyte以上である場合、処理がS314に移動するようにしてもよい。これによれば、50kbyteを基準として、送信される符号化画像データのデータ容量が、これ以上である場合、データ容量を縮小させることができる。その結果、符号化画像データを相手先装置50に短時間で送信することができる。この他、FAX装置10にセットされた原稿を、読取部16で読み取る際の読取画質に応じて、判断するようにしてもよい。例えば、読取画質が、写真画質以外の画質である場合、処理がS312に移行するようにし、写真画質である場合、処理がS314に移行するようにしてもよい。
【0044】
<第三形態>
第三形態のFAX送信処理について、図6等を参照して説明する。第一形態のFAX送信処理(図4参照)では、再符号化が必要であるとされ(図4のS206:Yes参照)、再符号化がMMRからJBIGへの変換であるとされた場合(図4S208:Yes参照)、無条件に、再符号化が実行されないこととした。第三形態のFAX送信処理では、同様の場合、通信時間計算処理(図7、図8参照)を実行し、通信時間計算処理によって算出された、MMR通信時間及びJBIG通信時間の長短に基づいた判断を行い、これ以降の処理を分岐させることとしている。なお、分岐後の判断に係る処理については、第二形態のFAX送信処理と相違する。第三形態のFAX送信処理は、このような点で、第一形態及び第二形態のFAX送信処理と相違するが、他の点では、第一形態又は第二形態のFAX送信処理と共通する。従って、以下では、第一形態又は第二形態のFAX送信処理と相違する点を中心に説明する。共通する処理については、第一形態又は第二形態のFAX送信処理との対応関係を明示し、詳細な説明は省略する。
【0045】
このFAX送信処理を開始したCPU30は、S400〜S406を、順次実行する。ここで、S400〜S406の各処理は、図4のS200〜S206のそれぞれに対応する。従って、S400〜S406は、図4のS200〜S206と同様にして実行される。再符号化が必要なく、S406が否定された場合(S406:No)、CPU30は、処理をS414に移行する。再符号化が必要であり、S406が肯定された場合(S406:Yes)、CPU30は、S408を実行する。S408は、図4のS208に対応する処理である。再符号化がJBIGへの変換ではない場合(S408:No)、CPU30は、処理をS418に移行する。再符号化がJBIGへの変換である場合(S408:Yes)、CPU30は、通信時間計算処理を実行する。通信時間計算処理については、後述する。通信時間計算処理を実行した後、CPU30は、この処理で取得され、RAM34に確保されたMMR時間バッファ領域に記憶されたMMR通信時間と、RAM34に確保されたJBIG時間バッファ領域に記憶されたJBIG通信時間との長短を判断する。具体的に、「JBIG通信時間>MMR通信時間」といった関係が満足されるかを判断する。このような関係が満足されず、MMR通信時間の方が短くなる場合(S412:No)、CPU30は、処理をS414に移行する。このような関係が満足され、JBIG通信時間の方が短くなる場合(S412:Yes)、CPU30は、処理をS416に移行する。
【0046】
S414は、図4のS210に対応する処理である。S416は、図5のS314に対応する処理である。S418は、図4のS212に対応する処理である。従って、S414、S418は、図4のS210、S212と同様にして実行され、S416は、図5のS314、と同様にして実行される。S414、S416又はS418を実行した後、CPU30は、FAX送信処理を終了する。
【0047】
<通信時間計算処理>
通信時間計算処理について、図7及び図8等を参照して説明する。通信時間計算処理を開始したCPU30は、利用帯域を取得する(S500)。取得される利用帯域は、図6のS400で、RAM34の利用帯域バッファ領域に記憶されている。CPU30は、第一再符号化速度を取得する(S502)。この際、CPU30は、フラッシュROM36に記憶された再符号化速度テーブル(図2(B)参照)を、RAM34上に読み出し、これに記憶された第一再符号化速度を取得する。取得された第一再符号化速度は、RAM34に確保された第一速度バッファ領域に記憶される。図2(B)に示す再符号化速度テーブルに基づけば、取得(RAM34の速度バッファ領域に記憶)される第一再符号化速度は、1Mbpsである。続けて、CPU30は、S500及びS502でそれぞれ取得した、利用帯域及び第一再符号化速度を比較し、「第一再符号化速度>利用帯域」の関係が満足するかを判断する(S504)。この関係が満足されない場合(S504:No)、CPU30は、MMR通信速度として、第一再符号化速度(1Mbps)を設定する(S506)。例えば、利用帯域及び第一再符号化速度が共に1Mbpsである場合、S504の関係は、満足されない(S504:No)。
【0048】
S504の関係が満足される場合(S504:Yes)、CPU30は、MMR通信速度として、利用帯域を設定する(S508)。例えば、利用帯域が、512kbps又は64kbpsであって、第一再符号化速度が1Mbpsである場合、S504の関係は、満足される(S504:Yes)。S506又はS508で設定されたMMR通信速度は、RAM34のMMR時間バッファ領域に記憶される。S506又はS508を実行した後、CPU30は、スキャン処理でRAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)のデータ容量を取得する(S510)。続けて、CPU30は、S510で取得されたデータ容量を、S506又はS508で設定され、RAM34のMMR時間バッファ領域に記憶されたMMR通信速度で除して、MMR通信時間を算出する(S512)。MMR通信時間は、送信に要する時間の予測値である。算出されたMMR通信時間は、RAM34のMMR時間バッファ領域に記憶される。その後、CPU30は、処理を図8のS514に移行する。
【0049】
S514で、CPU30は、S502でRAM34上に読み出された再符号化速度テーブルから、第二再符号化速度を取得する(S514)。取得された第二再符号化速度は、RAM34に確保された第二速度バッファ領域に記憶される。図2(B)に示す再符号化速度テーブルに基づけば、取得(RAM34の速度バッファ領域に記憶)される第二再符号化速度は、400kbpsである。続けて、CPU30は、S500及びS514でそれぞれ取得した、利用帯域及び第二再符号化速度を比較し、「第二再符号化速度>利用帯域」の関係が満足するかを判断する(S516)。この関係が満足されない場合(S516:No)、CPU30は、JBIG通信速度として、第二再符号化速度(400kbps)を設定する(S518)。例えば、利用帯域が1Mbps又は512kbpsであって、第二再符号化速度が400kbpsである場合、S504の関係は、満足されない(S516:No)。
【0050】
S516の関係が満足される場合(S516:Yes)、CPU30は、JBIG通信速度として、利用帯域を設定する(S520)。例えば、利用帯域が、64kbpsであって、第二再符号化速度が400kbpsである場合、S504の関係は、満足される(S504:Yes)。S518又はS520で設定されたJBIG通信速度は、RAM34のJBIG時間バッファ領域に記憶される。S518又はS520を実行した後、CPU30は、スキャン処理でRAM34の送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)を、再符号化し、JBIG方式の符号化画像データを生成した場合のデータ容量を予測する(S522)。S522で、CPU30は、MMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)のデータ容量と、この符号化画像データを生成する際に読み取られた原稿の全頁数とを取得する。CPU30は、データ容量を全頁数で除して、1頁あたりのデータ容量(平均値)を算出する。CPU30は、フラッシュROM36に記憶されたデータ容量テーブル(図2(C)参照)を、RAM34に読み出す。CPU30は、RAM34に記憶されたデータ容量テーブルに従い、算出されたデータ容量(平均値)が属する範囲(MMRデータ容量)に関連付けられたデータ容量比を特定する。例えば、算出されたデータ容量(平均値)が、30kbyteであったとすると、データ容量比として、2/3が特定される。CPU30は、特定されたデータ容量比を、MMR方式の符号化画像データのデータ容量(全頁分)に掛け合わせ、JBIG方式の符号化画像データを生成した場合のデータ容量を算出し、これを予測値とする。S522を実行した後、CPU30は、S522で予測されたデータ容量を、S518又はS520で設定され、RAM34のJBIG時間バッファ領域に記憶されたJBIG通信速度で除して、JBIG通信時間を算出する(S524)。JBIG通信時間は、送信に要する時間の予測値である。算出されたJBIG通信時間は、RAM34のJBIG時間バッファ領域に記憶される。S524を実行した後、CPU30は、通信時間計算処理を終了し、処理を図6のS412に戻す。
【0051】
<第三形態による効果>
第三形態のFAX送信処理では、再符号化が必要であって(S406:Yes参照)、再符号化がMMRからJBIGへの変換である場合(S408:Yes参照)、通信時間計算処理(S410、詳細は図7及び図8参照)で、MMR通信時間及びJBIG通信時間を算出する(S512、S524参照)し、「MMR通信時間>JBIG通信時間」を判断する(S412参照)こととした。判断の結果、この条件を満足しない、即ち、MMR通信時間の方が短くなる場合(S412:No)、スキャン処理で送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)を、そのままの方式で、相手先装置50に送信する(S414参照)。一方、この条件を満足する、即ち、JBIG通信時間の方が短くなる場合(S412:Yes)、スキャン処理で送信用メモリ領域に記憶されたMMR方式の符号化画像データ(図3のS108参照)を再符号化し、JBIG方式の符号化画像データを生成し、これを相手先装置50に送信する(S416参照)。そのため、符号化画像データを相手先装置50に送信する場合、より通信時間を短くすることができる符号化方式を、好適に選択することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ファクシミリ通信システム(FAX通信システム)
3 次世代ネットワーク網(NGN網)、 5 公衆電話交換回線網(PSTN)
10 ファクシミリ装置、 12 表示部、 14 操作部、 16 読取部
18 印刷部、 20 ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)
22 PSTNインターフェース(PSTN I/F)、 24 計時部
26 階層的符号化部、 30 CPU、 32 プログラムROM
34 RAM、 36 フラッシュROM、 38 バスライン
50 ファクシミリ装置(相手先装置)、 80 SIPサーバ、 90 交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続された相手先装置と通信し、読み取られた原稿に対応する画像データを符号化した符号化画像データを、前記通信ネットワークを介して、前記相手先装置にファクシミリ送信するファクシミリ装置であって、
前記ファクシミリ装置が対応する、逐次的符号化方式を示す第一符号化能力情報と、階層的符号化方式を示す第二符号化能力情報と、を記憶する第一記憶部と、
原稿を読み取る読取部と、
前記読取部で読み取られた原稿に対応する画像データを記憶する第二記憶部と、
前記第二記憶部に記憶された画像データを、逐次的符号化方式で符号化し、逐次的符号化方式の符号化画像データを生成し、第三記憶部に記憶させる、符号化部と、
前記通信ネットワークに接続された通信部を介した前記相手先装置との通信を制御する通信制御部と、
前記通信制御部によって制御される前記通信部で受信された信号から、前記相手先装置が対応している符号化方式を特定するための受信機能力情報を取得し、第四記憶部に記憶させる、相手先能力取得部と、
前記第一記憶部に記憶された、第一符号化能力情報及び第二符号化能力情報と、前記第四記憶部に記憶された受信機能力情報と、に従い、相手先装置に送信するための、符号化画像データの符号化方式を決定する決定部と、
前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された符号化方式の符号化画像データに再符号化する再符号化部と、を備え、
前記再符号化部は、前記決定部で決定された符号化方式が、階層的符号化方式である第一の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化せず、
前記通信制御部は、前記第一の場合、逐次的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御する、ファクシミリ装置。
【請求項2】
前記通信ネットワークは、帯域確保型のIPネットワークであって、
前記ファクシミリ装置は、前記IPネットワークを介して実行されるファクシミリ送信に利用される通信帯域を取得する利用帯域取得部を備え、
前記再符号化部は、
前記第一の場合で、且つ、前記利用帯域取得部で取得された通信帯域より、逐次的符号化方式の符号化画像データを、階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化する場合の基準となる処理速度が低速となる第二の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化せず、
前記第一の場合で、且つ、前記利用帯域取得部で取得された通信帯域より、前記処理速度が高速となる第三の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化し、
前記通信制御部は、
前記第一の場合で、且つ、前記第二の場合、逐次的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御し、
前記第一の場合で、且つ、前記第三の場合、階層的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御する、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記通信ネットワークは、帯域確保型のIPネットワークであって、
前記ファクシミリ装置は、
前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記通信制御部によって制御される前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信するのに要する第一通信時間を予測する第一予測部と、
前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化し、階層的符号化方式の符号化画像データを、前記通信制御部によって制御される前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信するのに要する第二通信時間を予測する第二予測部と、
前記第一通信時間と、前記第二通信時間と、を比較する比較部と、を備え、
前記再符号化部は、
前記第一の場合で、且つ、前記第一通信時間が前記第二通信時間より短くなる第四の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化せず、
前記第一の場合で、且つ、前記第二通信時間が前記第一通信時間より短くなる第五の場合、前記第三記憶部に記憶された符号化画像データを、前記決定部で決定された階層的符号化方式の符号化画像データに再符号化し、
前記通信制御部は、
前記第一の場合で、且つ、前記第四の場合、逐次的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御し、
前記第一の場合で、且つ、前記第五の場合、階層的符号化方式の符号化画像データが、前記通信部から前記相手先装置に、ファクシミリ送信されるように制御する、請求項1に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−74347(P2013−74347A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210004(P2011−210004)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】