説明

ファクシミリ送信システム及びファクシミリ送信承認プログラム

【課題】承認者にかかる承認負荷の軽減を図る。
【解決手段】承認者端末30は、FAX装置20から送られてくる、承認済みの原稿5の印刷物6の読取画像を含む承認要求を受け付ける承認依頼受付部31と、印刷画像情報記憶部3に記憶された印刷画像を取得し、その取得した印刷画像と、承認要求に含まれている読取画像とを比較することで各画像の差異画像を生成する差異画像生成部35と、生成された差異画像を表示する表示部37と、差異画像を参照した承認者による承認結果を前ファクシミリ装置へ返信する結果通知部33と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ送信システム及びファクシミリ送信承認プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿をファクシミリ(FAX)送信する場合、宛先違い又は原稿違いという誤送信の回避のために、あるいは情報漏洩防止等のために承認者による承認を得てからFAX送信する場合が少なくない。従来では、宛先と送信原稿との組が承認者により承認されたことを証明するFAX表紙を使ってFAX送信をする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−325168号公報
【特許文献2】特開2005−142622号公報
【特許文献3】特開平11−136416号公報
【特許文献4】特開2007−134870号公報
【特許文献5】特開平09−055840号公報
【特許文献6】特開2007−235437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、承認者にかかる承認負荷の軽減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るファクシミリ送信システムは、原稿の印刷画像を含む印刷画像情報と前記原稿を識別する情報とを記憶する印刷画像情報記憶手段と、原稿の印刷物をファクシミリにより送信する送信処理を行うファクシミリ送信処理手段と、承認依頼に応じて印刷物のファクシミリによる送信に対する承認処理を行う承認処理手段と、を有し、前記ファクシミリ送信処理手段は、送信者による送信指示に応じて原稿の印刷物を読み取ることで読取画像を生成する手段と、生成された前記原稿の印刷物の読取画像と前記原稿の印刷物を識別する情報とを含む承認要求を前記承認処理手段へ送信することで承認を依頼する依頼手段と、発行された承認依頼に応じて前記承認処理手段が承認した場合に、前記印刷物をファクシミリにより送信する手段と、を有し、前記承認処理手段は、承認要求を受信する手段と、前記承認要求に含まれる前記印刷物を識別する情報に基づき前記印刷画像情報記憶手段に記憶された印刷画像を取得する取得手段と、受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する手段と、生成された差異画像を承認者に提示する提示手段と、提示された差異画像を参照した承認者による承認結果を受け付ける手段と、承認者による承認結果を前記ファクシミリ送信手段へ返信する返信手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、印刷者による印刷指示に応じて前記原稿に基づき前記印刷画像を生成して前記印刷画像情報記憶手段に登録すると共に、前記印刷画像を印刷することで前記印刷物を生成する印刷処理手段を有し、前記印刷処理手段は、前記原稿の識別情報を前記印刷物及び前記印刷画像に含めることを特徴とする。
【0007】
また、前記印刷処理手段は、印刷者のユーザ識別情報を受け付ける手段と、前記印刷者のユーザ識別情報を前記印刷画像に対応付けして印刷画像情報を生成し、前記印刷画像情報記憶手段に登録する手段と、を有し、前記取得手段は、印刷画像情報に含まれている印刷画像と共に印刷者のユーザ識別情報を取得し、前記提示手段は、差異画像と共に印刷者に関する情報を提示することを特徴とする。
【0008】
また、前記ファクシミリ送信処理手段は、送信者のユーザ識別情報を受け付ける手段を有し、前記依頼手段は、送信者のユーザ識別情報を承認要求に更に含めて送信し、前記提示手段は、差異画像と共に送信者に関する情報を提示することを特徴とする。
【0009】
また、送信ログ情報を記憶する送信ログ情報記憶手段と、前記送信手段により送信された前記印刷物の読取画像を含む送信ログ情報を前記送信ログ情報記憶手段に登録するログ登録手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記提示手段は、前記送信ログ情報記憶手段に登録されている送信ログ情報を取得し、その送信ログ情報に含まれている情報又はその一部を提示することを特徴とする。
【0011】
また、前記ファクシミリ送信処理手段は、送信者のユーザ識別情報を受け付ける手段を有し、前記ログ登録手段は、前記送信者のユーザ識別情報を送信ログ情報に更に含めて登録することを特徴とする。
【0012】
また、前記承認処理手段は、承認者のユーザ識別情報を受け付ける手段を有し、前記返信手段は、前記承認者のユーザ識別情報を承認結果に含めて返信し、前記ログ登録手段は、返信されてきた前記承認者のユーザ識別情報を送信ログ情報に更に含めて登録することを特徴とする。
【0013】
また、前記印刷処理手段は、印刷者のユーザ識別情報を受け付ける手段と、前記印刷者のユーザ識別情報を前記印刷画像に対応付けして生成した印刷画像情報を前記印刷画像情報記憶手段に登録する手段と、を有し、前記読出手段は、印刷画像と共に印刷者のユーザ識別情報を読み出し、前記返信手段は、読み出した印刷者のユーザ識別情報を承認結果に更に含めて返信し、前記ログ登録手段は、返信されてきた前記印刷者のユーザ識別情報を送信ログ情報に更に含めて登録することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るファクシミリ送信承認装置は、ファクシミリ装置から送られてくる、原稿の印刷物の読取画像を含む承認要求を受信する手段と、前記原稿の印刷画像を取得する取得手段と、受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する手段と、生成された差異画像を承認者に提示する提示手段と、提示された差異画像を参照した承認者による承認結果を受け付ける手段と、承認者による承認結果を前記ファクシミリ装置へ返信する返信手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るファクシミリ送信承認プログラムは、印刷画像を含む印刷画像情報を記憶する印刷画像情報記憶手段をアクセス可能なコンピュータを、ファクシミリ装置から送られてくる、原稿の印刷物の読取画像を含む承認要求を受信する手段、前記印刷画像情報記憶手段に記憶された印刷画像を取得する取得手段、受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する手段、生成された差異画像を承認者に提示する提示手段、提示された差異画像を参照した承認者による承認結果を受け付ける手段、承認者による承認結果を前記ファクシミリ装置へ返信する返信手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,10,11記載の発明によれば、承認者は原稿の印刷された情報とFAXで読み込まれた原稿の情報との差異部分のみを再度確認すればよいため承認に要する負荷を軽減することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、同一の原稿から生成された印刷物と印刷画像との対応付けをすることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、承認の是非を判断する際に承認者に対して、送信する原稿の印刷者に関する情報を提供することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、承認の是非を判断する際に承認者に対して、送信する原稿の送信者に関する情報を提供することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、送信した原稿の画像を履歴として残すことができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、承認の是非を判断する際に承認者に対して、送信実績に関する情報を提供することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、承認の是非を判断する際に承認者に対して、送信実績として過去の送信者に関する情報を提供することができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、承認の是非を判断する際に承認者に対して、送信実績として過去の承認者に関する情報を提供することができる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、承認の是非を判断する際に承認者に対して、送信実績として過去の印刷者に関する情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係るファクシミリ送信システムの一実施の形態を示した全体ブロック構成図である。本実施の形態におけるファクシミリ送信システムは、クライアント端末1、印刷装置10、FAX装置20、データベースサーバ2及び承認者端末30をネットワーク4で接続して構成される。クライアント端末1は、承認者により承認済みの原稿(電子データ)5を印刷装置10に送ることで印刷を指示する。印刷装置10は、クライアント端末1を利用するユーザ(印刷者)による印刷指示に応じて承認済みの原稿5から印刷画像を生成してデータベースサーバ2の印刷画像情報記憶部3に登録すると共に、印刷画像を印刷媒体に印刷することで紙原稿(印刷物)6を生成する印刷処理手段として設けられている。FAX装置20は、送信者による送信指示に応じて、承認済みの原稿の印刷物6をファクシミリにより送信する送信処理を行うファクシミリ送信処理手段として設けられている。データベースサーバ2は、承認済みの原稿5の印刷画像を含む印刷画像情報を記憶する印刷画像情報記憶部3を有している。承認者端末30は、承認者により用いられ、FAX装置20からの承認依頼に応じて印刷物6のFAX送信に対する承認処理を行う承認処理手段として設けられている。このうち、印刷装置10は、少なくとも印刷機能が搭載された複合機等の画像形成装置で実現することを想定している。また、FAX装置20は、少なくともFAX機能が搭載された複合機等の画像形成装置で実現することを想定している。従って、少なくとも印刷機能及びFAX機能が搭載された画像形成装置であれば、印刷装置10とFAX装置20とを1台の形成装置で実現してもよい。
【0027】
図2は、本実施の形態における印刷装置10又はFAX装置20を実現する画像形成装置50のハードウェア構成図である。画像形成装置50は、上記の通り印刷機能やFAX機能等各種機能を搭載した複合機であり、コンピュータを内蔵した装置である。図2において、CPU51は、ROM59に格納されたプログラムにしたがってスキャナ54やプリンタエンジン56、FAXエンジン61等本装置に搭載された各種機構の動作制御を行う。アドレスデータバス52は、CPU51の制御対象となる各種機構と接続してデータの通信を行う。操作パネル53は、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行う。スキャナ54は、ユーザがセットした原稿を読み取り、電子データとしてHDD(Hard Disk Drive)55等に蓄積する。HDD55は、スキャナ54を使用して読み取った電子文書などを格納する。本実施の形態で用いる送信ログ情報は、HDD55に記憶される。プリンタエンジン56は、CPU51で実行される制御プログラムからの指示に従い出力用紙上に画像を印字する。FAXエンジン61は、CPU51で実行される制御プログラムからの指示に従いスキャナ54を使用して読み取った原稿画像を指定された宛先へFAX送信する。また、送られてきたファクシミリ画像を受信する。ネットワークインタフェース(I/F)57は、ネットワーク4を接続し、本装置が生成した電子データの送信、本装置宛に送信されてきた電子メールの受信、またブラウザ経由による本装置へのアクセスなどに利用される。RAM58は、プログラム実行時のワークメモリや電子データ送受信時の通信バッファとして利用される。ROM59は、本装置の制御や電子データの送受信に関する各種プログラムが格納されている。各種プログラムが実行されることで後述する各構成要素が所定の処理機能を発揮する。ICカードリーダ60は、本装置の利用者が携帯するICカードに記録されているデータを読み取る。
【0028】
図3は、本実施の形態における承認者端末30を形成するクライアントコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において承認者端末30を形成するサーバコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図3に示したようにCPU41、ROM42、RAM43、HDD44を接続したHDDコントローラ45、入力手段として設けられたマウス46とキーボード47、及び表示装置として設けられたディスプレイ48、更に承認者が携帯するICカードに記録されているデータを読み取るICカードリーダ49をそれぞれ接続する入出力コントローラ50、通信手段として設けられたネットワークコントローラ39を内部バス40に接続して構成される。
【0029】
なお、性能的に差異はあるかもしれないが、クライアント端末1及びデータベースサーバ2も同じコンピュータであることから、そのハードウェア構成は、図3と同じように図示することができる。
【0030】
図1に戻り、印刷装置10は、ID抽出部11、印刷部12及び印刷画像情報登録部13を有している。ID抽出部11は、送られてきた印刷ジョブから印刷を指示した利用者(印刷者)の識別情報(印刷者ID)を抽出する。印刷部12は、印刷対象の原稿5の印刷画像を生成し、紙媒体に印刷することで印刷物6を生成する。このとき、原稿5を識別する情報(原稿ID)を生成し、印刷画像及び印刷物6に含める。印刷画像情報登録部13は、原稿5の印刷画像に、印刷者ID及び原稿IDを対応付けして印刷画像情報記憶部3に登録する。クライアント端末1における各構成要素11〜13は、クライアント端末1を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU41で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0031】
FAX装置20は、ID読取部21、原稿読取部22、承認依頼部23、FAX送信部24、非承認通知部25、ログ送信部26、送信ログ情報記憶部27及び宛先情報記憶部28を有している。ID読取部21は、FAX送信指示を行う利用者(送信者)が携帯するICカードから当該送信者の識別情報(送信者ID)を読み取る。原稿読取部22は、FAX送信対象の印刷物6を読み取ることで読取画像を生成する。承認依頼部23は、生成された印刷物6の読取画像を含む承認要求を承認者端末30へ送信することで承認を依頼する。FAX送信部24は、承認依頼に応じて承認者端末30が印刷物6の送信を承認した場合に、印刷物6をファクシミリにより送信する。また、FAX送信部24は、送信した印刷物6の読取画像を含む送信ログ情報を送信ログ情報記憶部27に登録するログ登録手段でもある。非承認通知部25は、承認依頼に応じて承認者端末30が印刷物6の送信を承認しなかった場合に、送信者にその旨を知らせるための所定のメッセージを送信することで通知する。ログ送信部26は、承認者端末30からの要求に応じて指定された送信ログ情報を送信ログ情報記憶部27から読み出して送信する。送信ログ情報記憶部27には、印刷物6がFAX送信されたときの履歴を残すためにFAX送信部24により生成される送信ログ情報が蓄積される。宛先情報記憶部28には、FAX番号やURLなどFAX送信先となる宛先を特定しうる情報が記憶される。
【0032】
FAX装置20における各構成要素21〜26は、FAX装置20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU41で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、送信ログ情報記憶部27及び宛先情報記憶部28は、FAX装置20に搭載されたHDD44にて実現される。なお、送信ログ情報記憶部27、あるいは送信ログ情報記憶部27及びログ送信部26は、FAX装置20とは別の装置に設けてもよい。また、複数のFAX装置20が存在する場合には、共有化してもよい。
【0033】
データベースサーバ2は、印刷画像情報記憶部3を有している。印刷画像情報記憶部3に記憶される印刷画像情報には、印刷指示に応じて生成された原稿5の印刷画像に、当該印刷指示をした利用者(印刷者)を識別する印刷者IDと、原稿5に割り当てられた原稿IDとが対応付されている。印刷画像情報記憶部3は、データベースサーバ2に搭載されたHDD44にて実現される。なお、厳密には、データベースサーバ2のCPU41にて実行されるソフトウェアが印刷装置10から送られてくる印刷画像情報を受信して印刷画像情報記憶部3に書き込むが、説明を簡略にするため省略している。
【0034】
承認者端末30は、承認依頼受付部31、承認部32及び結果通知部33を有している。承認依頼受付部31は、FAX装置20から送られてくる承認要求を受信することでFAX送信の承認依頼を受け付ける。承認部32は、承認依頼に応じて承認者に承認の是非を問い合わせ、またその結果を受け取る。結果通知部33は、承認結果を承認依頼元のFAX装置20へ通知する。
【0035】
また、承認部32は、ID読取部34、差異画像生成部35、ログ受信部36、表示部37及び結果受取部38を含んでいる。ID読取部34は、承認を行う利用者(承認者)が携帯するICカードから当該承認者の識別情報(承認者ID)を読み取る。さらに、受信した承認要求に含まれている読取画像から、元原稿の原稿IDを取り出し、印刷画像情報記憶部3からその原稿IDに対応づけられた印刷画像を取得する。差異画像生成部35は、受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する。通常、送信する画像は複数枚存在するため、原稿IDの取り出しや画像の比較は必要枚数分実行される。ログ受信部36は、FAX装置20から送信ログ情報を取得する。表示部37は、生成した差異画像等をディスプレイ48に表示する。結果受取部38は、承認者による承認結果(承認の是非)を受け取る。
【0036】
承認者端末30における各構成要素31〜33は、承認者端末30を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU1で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0037】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがインストールプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0038】
次に、本実施の形態における動作について説明する。まず、印刷装置10における原稿5の印刷処理について図4に示したフローチャートを用いて説明する。
【0039】
印刷者がクライアント端末1から承認済みの原稿5を印刷するための印刷ジョブを印刷装置10に送ることで印刷を指示すると、印刷装置10は、その送られてきた印刷ジョブを受け付ける(ステップ101)。そして、ID抽出部11は、その印刷ジョブの中から印刷者IDを抽出する(ステップ102)。印刷部12は、印刷対象の原稿5を識別する原稿IDを生成する(ステップ102)。なお、原稿IDは、原稿毎でもよいし、原稿5が複数ページに及ぶ場合にはページ毎に生成してもよい。続いて、印刷部12は、印刷ジョブを実行することで原稿5の印刷画像を生成するが、このとき、生成した原稿IDを印刷画像に含める。具体的には、透かし、バーコードやQRコードなどのコードデータなどを印刷画像に埋め込む。そして、印刷画像を紙媒体に印刷することで印刷物6を生成する(ステップ104)。一方、印刷画像情報登録部13は、生成された原稿5の印刷画像に、印刷者ID及び原稿IDを対応付けして印刷画像情報記憶部3に登録する(ステップ105)。
【0040】
以上のようにして、作成された印刷物6は、指定の宛先にFAX送信されることになるが、このFAX送信処理について図5に示したフローチャートを用いて説明する。なお、印刷物6が作成されてからFAX送信が行われる間には、何者かにより修正が加えられる機会が存在する。また、FAX送信を行う者(送信者)は、印刷者であるかもしれないし、印刷者から印刷物6のFAX送信を頼まれたものかもしれない。
【0041】
送信者は、自分が携帯するICカードをFAX装置20のICカードリーダ60に読み取らせることでFAX装置20の利用が可能になる。ID読取部21は、ICカードリーダ60と連動してICカードに記録されている利用者のユーザID(送信者ID)を読み取ることで送信者IDを取得する(ステップ201)。送信者は、続いて、印刷物6をスキャナ54にセットし、宛先を指定する。送信者は、操作パネル53を操作して電話番号等を手入力してもよいし、宛先情報記憶部28に登録されている宛先情報をリスト表示させて、その中から宛先を選択するようにしてもよい。FAX装置20は、このようにして送信者により指定された宛先を受け付ける(ステップ202)。送信者は、あて先を指定した後、操作パネル53に表示されている送信ボタンを選択することでFAX送信指示を出す。このボタン操作によるFAX送信指示を受け付けると(ステップ203)、原稿読取部22は、スキャナ54にセットされた印刷物6を読み取ることで読取画像を生成する(ステップ204)。そして、本実施の形態の場合、即座にFAX送信するのではなく、承認依頼部23が承認者端末30に承認を依頼する(ステップ205)。具体的には、承認対象となる印刷物6の読取画像、送信者ID及び指定された宛先を含む宛先情報を含む承認要求を生成して、承認者端末30へ送信する。
【0042】
続いて、承認者端末30における承認処理について図6に示したフローチャートを用いて説明する。承認者は、自分が携帯するICカードを承認者端末30のICカードリーダ60に読み取らせることで承認者端末30の利用が可能になる。ID読取部34は、ICカードリーダ60と連動してICカードに記録されている利用者のユーザID(承認者ID)を読み取ることで承認者IDを取得する(ステップ301)。なお、ICカードからではなくログイン情報から承認者IDを抽出するようにしてもよい。そして、承認依頼受付部31は、FAX装置20から送られてきた承認要求を受信することで承認依頼を受け付ける(ステップ302)。なお、承認依頼は、電子メール等によって事前に受け付けているかもしれないし、承認者が承認者端末30を利用している間に受け付けるかもしれないが、ここでは、便宜的に承認者IDの取得を先に記載した。
【0043】
承認が依頼されると、承認部32は、承認要求に含まれている読取画像を画像解析することで原稿IDを取り出し、この原稿IDに合致する印刷画像を含む印刷画像情報を印刷画像情報記憶部3から取得する(ステップ303)。そして、差異画像生成部35は、取得した印刷画像と、承認要求に含まれている読取画像とを比較することで各画像の差異画像を生成する(ステップ304)。なお、正規化や画像の位置合わせなどを行って画像比較を行うことになるが、この画像比較処理は、従前からある技術を利用してもよい。そして、表示部37は、生成された差異画像を含む承認画面をディスプレイ48に表示することで承認者に承認の是非を問うことになる。なお、承認部32は、ログ受信部36により過去のFAX送信の実績データである送信ログ情報を取得して承認画面に含め表示してもよいが(ステップ305)、この送信ログ情報の利用については追って説明する。読取画像から原稿IDを取得できない場合や印刷画像情報記憶部3に印刷原稿が存在しない等、印刷原稿を承認すべき注意を要すると判断された場合はその旨を表示し、承認者に送信内容の確認を促す。
【0044】
画面表示される差異画像は、例えば印刷物6の読取画像を画面表示し、その表示画像において原稿5の印刷画像と異なる部分が視認可能に表示する。例えば、印刷物6が黒色のみの場合、赤色で表示するなどである。あるいは、輝度を変えたり、点滅させたり、あるいはアノテーションを付加したりしてもよい。これにより、承認者は、原稿5と印刷物6との差異部分に注目しやすくなるので、その部分を重点的に確認すればよい。また、差異のない画像の表示はスキップしてもよい。そして、承認者は、承認の是非を、例えば承認画面上の承認ボタンあるいは非承認ボタンを選択することで決定する。なお、必要によりコメントを入力できるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、原稿5の印刷画像と印刷物6の読取画像との差異部分に加え、印刷者ID、送信者ID及び宛先を合わせて表示することにした。承認の是非に判断材料として各画像の差異の有無、また差異部分の内容の是非はもちろんのこと、宛先の指定や、印刷者と送信者の職務や役職等の関係を参照して承認の是非を判断したい場合がありうる。本実施の形態では、このような承認者を配慮してFAX送信に関連する情報を表示するようにした。なお、印刷者等のユーザに関する情報を図示しないユーザ管理サーバなどから取得して職務や役職等当該ユーザに関する情報を表示するようにしてもよい。
【0046】
承認部32における結果受取部38が承認者による承認結果を受け付けると(ステップ307)、結果通知部33は、その承認結果を承認要求元のFAX装置20へ返信する(ステップ308)。承認結果には、承認の是非を示す結果に加え、承認者IDと、印刷画像情報に含まれている印刷者IDが含まれている。例えば、承認結果を受けた承認要求元のFAX装置20では、承認結果が「是」である場合は、FAX送信を実行するとともに、受け付けた承認結果に含まれる情報を承認履歴としてFAX送信履歴と関連させて保存する。また、承認結果が「非」である場合は、FAX送信処理を中止するとともに、受け付けた承認結果に含まれる情報を承認履歴としてFAX送信履歴と関連させて保存する。さらに、結果通知部33は、承認結果を承認要求元のFAX装置のみならず、FAX送信者へ通知するようにしてもよい。
【0047】
続いて、図5に戻り、FAX装置20における処理について説明する。ステップ205において承認依頼をした後、返信を待機していた承認依頼部23は、承認者端末30から返信されてきた承認結果を受け付ける(ステップ206)、その承認結果が印刷物6のFAX送信が承認されていたことを確認すると(ステップ207でY)、FAX送信部24は、指定された宛先へ印刷物6をFAX送信する(ステップ208)。そして、送信した結果として送信ログ情報を生成して送信ログ情報記憶部27に登録する(ステップ209)。本実施の形態における送信ログ情報のデータ構成例を図7に示す。送信ログ情報には、送信した日時を特定する「送信日時」、「宛先」、印刷物6の読取画像である「送信画像」、「送信者ID」、そして承認者端末30から取得した「印刷者ID」及び「承認者ID」が含まれる。正常に送信できなかった場合も送信ログ情報記憶部27に記録してもよいし、そうするのであれば、送信ログ情報には、更に送信の成功/失敗、失敗したときにはその理由(エラーコード等)を合わせて記録するようにする。
【0048】
一方、FAX送信が承認されなかった場合(ステップ207でN)、非承認通知部25は、操作パネル53に表示することで承認されなかった旨、更には承認者からのコメントがあればそのコメントを送信者に通知する(ステップ210)。
【0049】
ここで、本実施の形態における送信ログ情報の利用について説明する。
【0050】
前述したように、本実施の形態では、原稿5の印刷画像と印刷物6の読取画像との差異を視認可能に表示するため、承認者は、画像全体ではなく差異部分を重点的に確認すればよい。また、画像のみならず印刷者や送信者に関する情報等FAX送信に関連する情報を表示するようにした。本実施の形態では、更に送信ログ情報を取得して差異画像と合わせて表示するようにした。すなわち、図6のステップ305において、承認部32は、ログ受信部36に取得要求をFAX装置20へ送信させる。FAX装置20におけるログ送信部26は、この要求に応じて送信ログ情報記憶部27に蓄積されている送信ログ情報を読み出して返信する。
【0051】
ここで、承認者端末30が取得する送信ログ情報は、宛先や承認者IDをキーにして自動的に取得するようにしてもよいし、参照したい送信ログ情報をログ送信部26に検索させるためのキーを承認者に指定させるようにしてもよい。承認者は、このようにして取得した過去の送信履歴を承認是非の判断材料として利用してもよい。
【0052】
本実施の形態では、以上のように承認者にかかる負荷の軽減を図るようにした一方、承認作業を的確にするための工夫も行ってもよい。例えば、複数ページにわたる印刷物6の読取画像を参照する際に、修正があったページが表示されてから次のページに移ることを容認する時間を設定可能にしている。つまり、設定された時間を経過しないと次のページに移れないようにして確認せずにページを単にめくるという操作を禁止できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るファクシミリ送信システムの一実施の形態を示した全体ブロック構成図である。
【図2】本実施の形態における印刷装置又はFAX装置を実現する画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態における承認者端末を形成するクライアントコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】本実施の形態における原稿の印刷処理を示したフローチャートである。
【図5】本実施の形態におけるFAX送信処理を示したフローチャートである。
【図6】本実施の形態における承認処理を示したフローチャートである。
【図7】本実施の形態における送信ログ情報のデータ構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0054】
1 クライアント端末、2 データベースサーバ、3 印刷画像情報記憶部、4 ネットワーク、10 印刷装置、11 ID抽出部、12 印刷部、13 印刷画像情報登録部、20 FAX装置、21,34 ID読取部、22 原稿読取部、23 承認依頼部、24 FAX送信部、25 非承認通知部、26 ログ送信部、27 送信ログ情報記憶部、28 宛先情報記憶部、30 承認者端末、31 承認依頼受付部、32 承認部、33 結果通知部、35 差異画像生成部、36 ログ受信部、37 表示部、38 結果受取部、39 ネットワークコントローラ、40 内部バス、41,51 CPU、42,59 ROM、43,58 RAM、44,55 ハードディスクドライブ(HDD)、45 HDDコントローラ、46 マウス、47 キーボード、48 ディスプレイ、49,60 ICカードリーダ、50 画像形成装置、52 アドレスデータバス、53 操作パネル、54 スキャナ、56 プリンタエンジン、57 ネットワークインタフェース(I/F)、61 FAXエンジン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の印刷画像を含む印刷画像情報と前記原稿を識別する情報とを記憶する印刷画像情報記憶手段と、
原稿の印刷物をファクシミリにより送信する送信処理を行うファクシミリ送信処理手段と、
承認依頼に応じて印刷物のファクシミリによる送信に対する承認処理を行う承認処理手段と、
を有し、
前記ファクシミリ送信処理手段は、
送信者による送信指示に応じて原稿の印刷物を読み取ることで読取画像を生成する手段と、
生成された前記原稿の印刷物の読取画像と前記原稿の印刷物を識別する情報とを含む承認要求を前記承認処理手段へ送信することで承認を依頼する依頼手段と、
発行された承認依頼に応じて前記承認処理手段が承認した場合に、前記印刷物をファクシミリにより送信する手段と、
を有し、
前記承認処理手段は、
承認要求を受信する手段と、
前記承認要求に含まれる前記印刷物を識別する情報に基づき前記印刷画像情報記憶手段に記憶された印刷画像を取得する取得手段と、
受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する手段と、
生成された差異画像を承認者に提示する提示手段と、
提示された差異画像を参照した承認者による承認結果を受け付ける手段と、
承認者による承認結果を前記ファクシミリ送信手段へ返信する返信手段と、
を有することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項2】
請求項1記載のファクシミリ送信システムにおいて、
印刷者による印刷指示に応じて前記原稿に基づき前記印刷画像を生成して前記印刷画像情報記憶手段に登録すると共に、前記印刷画像を印刷することで前記印刷物を生成する印刷処理手段を有し、
前記印刷処理手段は、前記原稿の識別情報を前記印刷物及び前記印刷画像に含めることを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項3】
請求項1記載のファクシミリ送信システムにおいて、
前記印刷処理手段は、
印刷者のユーザ識別情報を受け付ける手段と、
前記印刷者のユーザ識別情報を前記印刷画像に対応付けして印刷画像情報を生成し、前記印刷画像情報記憶手段に登録する手段と、
を有し、
前記取得手段は、印刷画像情報に含まれている印刷画像と共に印刷者のユーザ識別情報を取得し、
前記提示手段は、差異画像と共に印刷者に関する情報を提示することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項4】
請求項1記載のファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ送信処理手段は、送信者のユーザ識別情報を受け付ける手段を有し、 前記依頼手段は、送信者のユーザ識別情報を承認要求に更に含めて送信し、
前記提示手段は、差異画像と共に送信者に関する情報を提示することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項5】
請求項1記載のファクシミリ送信システムにおいて、
送信ログ情報を記憶する送信ログ情報記憶手段と、
前記送信手段により送信された前記印刷物の読取画像を含む送信ログ情報を前記送信ログ情報記憶手段に登録するログ登録手段と、
を有することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項6】
請求項5記載のファクシミリ送信システムにおいて、
前記提示手段は、前記送信ログ情報記憶手段に登録されている送信ログ情報を取得し、その送信ログ情報に含まれている情報又はその一部を提示することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項7】
請求項5又は6記載のファクシミリ送信システムにおいて、
前記ファクシミリ送信処理手段は、送信者のユーザ識別情報を受け付ける手段を有し、
前記ログ登録手段は、前記送信者のユーザ識別情報を送信ログ情報に更に含めて登録することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項8】
請求項5又は6記載のファクシミリ送信システムにおいて、
前記承認処理手段は、承認者のユーザ識別情報を受け付ける手段を有し、
前記返信手段は、前記承認者のユーザ識別情報を承認結果に含めて返信し、
前記ログ登録手段は、返信されてきた前記承認者のユーザ識別情報を送信ログ情報に更に含めて登録することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項9】
請求項5又は6記載のファクシミリ送信システムにおいて、
前記印刷処理手段は、
印刷者のユーザ識別情報を受け付ける手段と、
前記印刷者のユーザ識別情報を前記印刷画像に対応付けして生成した印刷画像情報を前記印刷画像情報記憶手段に登録する手段と、
を有し、
前記読出手段は、印刷画像と共に印刷者のユーザ識別情報を読み出し、
前記返信手段は、読み出した印刷者のユーザ識別情報を承認結果に更に含めて返信し、
前記ログ登録手段は、返信されてきた前記印刷者のユーザ識別情報を送信ログ情報に更に含めて登録することを特徴とするファクシミリ送信システム。
【請求項10】
ファクシミリ装置から送られてくる、原稿の印刷物の読取画像を含む承認要求を受信する手段と、
前記原稿の印刷画像を取得する取得手段と、
受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する手段と、
生成された差異画像を承認者に提示する提示手段と、
提示された差異画像を参照した承認者による承認結果を受け付ける手段と、
承認者による承認結果を前記ファクシミリ装置へ返信する返信手段と、
を有することを特徴とするファクシミリ送信承認装置。
【請求項11】
印刷画像を含む印刷画像情報を記憶する印刷画像情報記憶手段をアクセス可能なコンピュータを、
ファクシミリ装置から送られてくる、原稿の印刷物の読取画像を含む承認要求を受信する手段、
前記印刷画像情報記憶手段に記憶された印刷画像を取得する取得手段、
受信した承認要求に含まれている読取画像を、取得した印刷画像と比較することで各画像の差異画像を生成する手段、
生成された差異画像を承認者に提示する提示手段、
提示された差異画像を参照した承認者による承認結果を受け付ける手段、
承認者による承認結果を前記ファクシミリ装置へ返信する返信手段、
として機能させるファクシミリ送信承認プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−226222(P2010−226222A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68653(P2009−68653)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】