説明

ファクシミリ送受信システム、およびこれに利用するファクシミリ送受信装置、ファクシミリ送受信方法

【課題】 回線(網)の種類に対応してFAX送信信号音量を適正に調整することが可能なファクシミリ送受信システム、およびこれに利用するファクシミリ送受信装置、ファクシミリ送受信方法を提供する。
【解決手段】 複数の通信ネットワークごとのFAX信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶装置13と、FAX信号の送信対象のFAX端末宛てに発信された接続要求信号に応答して当該FAX端末から送信された接続応答信号に付加された、当該FAX信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、音量情報記憶装置13に記憶された情報とから、当該FAX信号の送信に利用するFAX信号送受信音量情報を取得する音量情報取得部10bと、取得された信号送信音量情報に基づいて、当該FAX信号の送信のためのFAX信号送信音量を設定する音量設定部10cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ送受信システム、およびこれに利用するファクシミリ送受信装置、ファクシミリ送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ(以下、「FAX」と称する。)の送受信にはアナログ電話回線やIP電話網が用いられている。
【0003】
これらの回線を用いてFAX送受信処理を行う際、回線の2w−4w変換部に起因したエコーが生じ、正常なFAX送受信処理が妨げられる場合がある。
【0004】
この問題への対策としては、FAX端末に入力される音量を調整し、エコーの音量を十分小さくする方法が採られており、IP電話においては端末(VoIP−TA)にて音量を調整することが一般的である。
【0005】
また、IP電話において端末側で音量を調整する方法の例として、特許文献1には、電話番号単位で受話音量を予め設定してWebサーバに登録しておき、FAX端末において着信を受けた際に、着信対象番号に応じた受話音量をWebサーバから取得して音量を調整することにより、着信者に対応した受話音量で通話を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4336263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したようなアナログ回線やIPネットワーク網を経由して送信される遠端エコーの音量は送受信するFAX端末が収容されている回線(網)の種類によって違いがあり、例えばPSTN等のアナログ電話回線とIPネットワーク網とでは信号減衰量が大きく異なるためエコー音量にも違いがある。
【0008】
上記特許文献1に記載の技術では着信者に応じた受話(受信)音量の調節のみ対象となっているが、エコー音量の調整のために必要な、回線(網)種類の判定ならびに送話(送信)音量の調節が考慮されず、受信するFAX端末に入力されるFAX信号(ならびにエコー)音量を適正に調整ができない場合があるといった問題があった。
【0009】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、回線(網)の種類に対応してFAX送信信号音量を適正に調整することが可能なファクシミリ送受信システム、およびこれに利用するファクシミリ送受信装置、ファクシミリ送受信方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明のファクシミリ送受信システムは、接続された複数の通信ネットワークのいずれかを介して、複数のファクシミリ端末に接続されたファクシミリ送受信システムにおいて、前記通信ネットワークの、ファクシミリ信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶部と、前記複数のファクシミリ端末との信号の送受信を行う送受信部と、ファクシミリ信号の送信対象のファクシミリ端末宛てに前記送受信部から発信された接続要求信号に応答して当該ファクシミリ端末から送信され前記送受信部で受信された接続応答信号に付加された、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、前記音量情報記憶部に記憶された情報とから、当該ファクシミリ信号の送信に利用するファクシミリ信号送受信音量情報を取得する音量情報取得部と、
音量情報取得部で取得された信号送信音量情報に基づいて、当該ファクシミリ信号の送信のためのファクシミリ信号送信音量を設定する音量設定部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明のファクシミリ送受信システムの前記音量情報取得部において、通信ネットワークを識別する情報は、前記接続応答信号に付加された前記送信対象のファクシミリ端末の識別情報から判別されるようにしてもよい。
【0012】
また本発明のファクシミリ送受信システムは、前記複数の通信ネットワークのいずれかに接続され、前記送受信部から発信された接続要求に応答して当該ファクシミリ端末から送信された接続応答信号に、当該接続された通信ネットワークを識別する識別情報を付加して前記送受信部に送出する中継装置をさらに有し、前記音量情報取得部は、前記中継装置から取得した接続応答信号に付加された識別情報に基づいて、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報を特定することを特徴とするようにしてもよい。
【0013】
また本発明のファクシミリ送受信装置は、接続された複数の通信ネットワークのいずれかを介して、複数のファクシミリ端末に接続されるとともに、前記通信ネットワークごとのファクシミリ信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶装置とに接続されたファクシミリ送受信装置であって、前記複数のファクシミリ端末との信号の送受信を行う送受信部と、ファクシミリ信号の送信対象のファクシミリ端末宛てに前記送受信部から発信された接続要求信号に応答して当該ファクシミリ端末から送信され前記送受信部で受信された接続応答信号に付加された、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、前記音量情報記憶装置に記憶された情報とから、当該ファクシミリ信号の送信に利用するファクシミリ信号送受信音量情報を取得する音量情報取得部と、音量情報取得部で取得された信号送信音量情報に基づいて、当該ファクシミリ信号の送信のためのファクシミリ信号送信音量を設定する音量設定部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また本発明のファクシミリ送受信方法は、接続された複数の通信ネットワークのいずれかを介して、複数のファクシミリ端末に接続されるとともに、前記通信ネットワークごとのファクシミリ信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶装置とに接続されたファクシミリ送受信装置が、いずれかの前記ファクシミリ端末宛てに接続要求信号を発信するステップと、ファクシミリ信号の送信対象のファクシミリ端末宛てに発信された前記接続要求信号に応答して当該ファクシミリ端末から送信された接続応答信号を受信するステップと、受信した前記接続応答信号に付加された、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、前記音量情報記憶装置に記憶された情報とから、当該ファクシミリ信号の送信に利用するファクシミリ信号送受信音量情報を取得するステップと、取得された信号送信音量情報に基づいて、ファクシミリ信号送信音量を設定するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のファクシミリ送受信システム、およびこれに利用するファクシミリ送受信装置、ファクシミリ送受信方法によれば、回線(網)の種類に対応してFAX送信信号音量を適正に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態によるFAX送受信システムの構成を示す全体図である。
【図2】本発明の一実施形態によるFAX送受信システムにおいて、同一網内のFAX端末からFAX信号が受信されるときの動作を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の一実施形態によるFAX送受信システムにおいて、他網のFAX端末からFAX信号が受信されるときの動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の一実施形態によるFAX送受信システムにおいて、同一網内のFAX端末にFAX信号が送信されるときの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態によるFAX送受信システムにおいて、他網のFAX端末にFAX信号が送信されるときの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〈一実施形態によるFAX送受信システムの構成〉
本発明の一実施形態として、複数のFAX端末が、電話回線を含む複数の通信ネットワークを介してFAX送受信装置に接続されたFAX送受信システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0018】
本実施形態によるFAX送受信システム1は、FAX送受信装置10と、中継装置としてのSIPサーバ11およびゲートウェイ12と、音量情報記憶装置13と、これらのFAX送受信装置10、SIPサーバ11、ゲートウェイ12、および音量情報記憶装置13にIP電話網20、VoIPルータ21を介してアナログ接続されたFAX端末22と、ゲートウェイ12に相互接続点30および事業者AのPSTN網31を介して接続されたFAX端末32と、ゲートウェイ12に相互接続点40、事業者BのIP電話網41、およびVoIPルータ42を介してアナログ接続されたFAX端末43とを備える。このVoIPルータ21はFAX端末22内に組み込まれていてもよく、またVoIPルータ42はFAX端末43内に組み込まれていてもよい。また、IP電話網20に対してはゲートウェイを介して複数の相互接続点の存在が可能である。また、相互接続点30には事業者AのPSTN網以外の網が接続されてもよく、また相互接続点40には事業者BのIP電話網以外の網が接続されてもよい。
【0019】
FAX送受信システム1はIP電話網20に接続され、送受信部10aと、音量情報取得部10bと、音量設定部10cとを有する。
【0020】
送受信部10aは、IP電話網20に接続されたFAX端末22、PSTN網31に接続されたFAX端末32、事業者BのIP電話網41に接続されたFAX端末43と、SIPサーバ11を介して信号の送受信を行う。
【0021】
音量情報取得部10bは、送受信部10aにおいてFAX端末22、32、43のいずれかから接続要求信号が受信されたときには、後述する処理によりこの接続要求信号を解析して特定した、当該FAX信号の受信に利用するネットワークまたは電話回線識別する情報と、音量情報記憶装置13に記憶される情報とから、当該FAX信号の受信に利用するFAX信号送受信音量設定値を取得する。
【0022】
また音量情報取得部10bは、送受信部10aからFAX端末22、32、43のいずれかに接続要求信号を発信したことによりこの接続要求信号に応答して送信された接続応答信号を受信したときには、後述する処理によりこの接続応答信号を解析して特定した、当該FAX信号の送信に利用するネットワーク(網)または電話回線を識別する情報と、音量情報記憶装置13に記憶される情報とから、当該FAX信号の送信に利用するFAX信号送受信音量設定値を取得する。
【0023】
音量設定部10cは、音量情報取得部10bで取得されたFAX信号送受信音量設定値を、当該FAX送受信のために設定する。
【0024】
SIPサーバ11はIP電話網20に接続され、FAX端末22からFAX送受信装置10宛てに発信された接続要求信号を受信したときには、当該接続要求信号に基づいて、発信元のFAX端末22が接続されているIP電話網20を識別する網IDを当該接続要求信号に付加してFAX送受信装置10に転送する。
【0025】
またSIPサーバ11は、FAX送受信装置10からFAX端末22宛てに接続要求信号が発信されたことによりFAX端末22から送信された接続応答信号を受信したときには、当該接続応答信号に基づいて、発信先のFAX端末22が接続されているIP電話網20を識別する網IDを当該接続応答信号に付加してFAX送受信装置10に転送する。
【0026】
ゲートウェイ12は、FAX端末32またはFAX端末43からFAX送受信装置10宛てに送信された接続要求信号を受信したときには、当該接続要求信号に基づいて、発信元のFAX端末32またはFAX端末43が接続されているPSTN網31または事業者BのIP電話網41を識別する網IDを当該接続要求信号に付加してFAX送受信装置10に転送する。
【0027】
またゲートウェイ12は、FAX送受信装置10からFAX端末32またはFAX端末43宛てに接続要求信号が発信されたことによりFAX端末32またはFAX端末43から送信された接続応答信号を受信したときには、当該接続応答信号に基づいて、発信先のFAX端末32またはFAX端末43が接続されているPSTN網31または事業者BのIP電話網41を識別する網IDを当該接続応答信号に付加してFAX送受信装置10に転送する。
【0028】
音量情報記憶装置13は、ネットワーク(網)や電話回線20、31、41ごとのFAX信号送信音量情報設定値を記憶する。
【0029】
〈第1実施形態によるFAX送受信システムの動作〉
次に、本実施形態によるFAX送受信システムにおいて、(1)FAX端末22からFAX送受信装置10にFAX信号が送信されるときの動作、(2)FAX端末32または43からFAX送受信装置10にFAX信号が送信されるときの動作、(3)FAX送受信装置10からFAX端末22にFAX信号が送信されるときの動作、(4)FAX送受信装置10からFAX端末32または43にFAX信号が送信されるときの動作について、それぞれ図2〜5のシーケンス図を参照して説明する。
【0030】
(1)FAX端末22からFAX送受信装置10にFAX信号が送信されるときの動作(図2参照)
FAX端末22からFAX送受信装置10にFAX信号が送信されるときは、まず、FAX端末22からFAX送受信装置10宛てに接続要求信号が発信される(S1、S2)。
【0031】
この接続要求信号はSIPサーバ11で受信され、当該接続要求信号に基づいて、発信元のFAX端末22が収容されているIP電話網20を識別する網IDが当該接続要求信号に付加される(S3)。この網IDとしては、例えば独自のSIP拡張ヘッダ等が用いられる。
【0032】
網IDが付加された接続要求信号は、SIPサーバ11からFAX送受信装置10に送信される(S4)。
【0033】
FAX送受信装置10では、当該接続要求信号が送受信部10aで受信され、さらに音量情報取得部10bによりこの接続要求信号が解析され、当該FAX信号の受信に利用される網ID情報および/または発信元のFAX端末を識別する端末ID情報が特定される(S5)。この端末ID情報としては、例えば発信端末の電話番号が用いられる。
【0034】
この接続要求信号の解析処理においては、(a)網ID情報のみが特定される場合、(b)端末ID情報のみが特定される場合、および(c)網ID情報および端末ID情報の両方が特定される場合、がある。
【0035】
そして音量情報取得部10bにおいて、この特定した網ID情報および/または端末ID情報と、音量情報記憶装置13に記憶された情報とから、当該FAX信号の受信に利用するFAX信号送受信音量設定値が取得される(S6)。
【0036】
このFAX送受信音量設定値は、上記(a)により網ID情報のみが特定されている場合には、この特定された網ID情報と、音量情報記憶装置13に記憶されたネットワーク(網)ごとのFAX信号送信音量情報設定値とから、当該FAX信号の受信に利用するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0037】
また上記(b)により端末ID情報のみが特定されている場合には、この端末ID情報から判別される電話回線(発信端末が接続されている電話回線)の情報と、音量情報記憶装置13に記憶された電話回線ごとのFAX信号送信音量情報設定値とから、当該FAX信号の受信に利用するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0038】
また上記(c)により網ID情報および端末ID情報の両方が特定されている場合には、例えば、まず特定されたネットワーク(網)と特定された端末ID情報から判別される電話回線の情報との組み合わせ情報に基づいて音量情報記憶装置13内の情報が検索されて該当するFAX信号送受信音量設定値が存在する場合にはこのFAX信号送受信音量設定値が取得され、存在しない場合には特定された端末ID情報から判別される電話回線の情報のみに基づいて音量情報記憶装置13内の情報が検索されてFAX信号送受信音量設定値が取得され、ここでも該当するFAX信号送受信音量設定値が存在しない場合には特定されたネットワーク(網)のみに基づいて音量情報記憶装置13内の情報が検索されて該当するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0039】
ここでは、網ID情報および/または端末ID情報から特定された「IP電話網20」に対応するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0040】
このようにして取得されたFAX信号送受信音量設定値は、当該FAX受信の受信音量として、音量設定部10cにより自FAX送受信装置10に設定される(S7)。
【0041】
FAX送受信装置10でFAX信号送受信音量設定値が設定されると、FAX送受信装置10からSIPサーバ11を介して接続要求信号の発信元のFAX端末22に接続応答信号が送信される(S8、S9)。
【0042】
FAX端末22では、接続応答信号が受信されると、FAX信号がみなし音声として送信される(S10)。そして、FAX送受信装置10では設定されたFAX信号送受信音量設定値により、適切な音量で受信処理が実行される。
【0043】
(2)FAX端末32または43からFAX送受信装置10にFAX信号が送信されるときの動作(図3参照)
FAX端末32または43からFAX送受信装置10にFAX信号が送信されるときは、まず、FAX端末32または43からFAX送受信装置10宛てに接続要求信号が発信される(S11、S12)。
【0044】
この接続要求信号はゲートウェイ12で受信され、当該接続要求信号に基づいて、発信元のFAX端末22が収容されているネットワーク(PSTN網31または事業者BのIP電話網41)を識別する網IDが当該接続要求信号に付加される(S13)。
【0045】
網IDが付加された接続要求信号は、SIPサーバ11を介してFAX送受信装置10に送信される(S14、S15)。
【0046】
FAX送受信装置10では、当該接続要求信号が送受信部10aで受信され、さらに音量情報取得部10bによりこの接続要求信号が解析され、上記(a)と同様の方法により、当該FAX信号の受信に利用される網ID情報および/または発信元のFAX端末を識別する端末ID情報が特定される(S16)。
【0047】
そして音量情報取得部10bにおいて、この特定した網ID情報および/または端末ID情報と、音量情報記憶装置13に記憶された情報とから、当該FAX信号の受信に利用するFAX信号送受信音量設定値が取得される(S17)。
【0048】
ここでは、網ID情報および/または端末ID情報から特定された「PSTN網32」または「事業者BのIP電話網41」に対応するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0049】
取得されたFAX信号送受信音量設定値は、当該FAX受信の受信音量として、音量設定部10cにより自FAX送受信装置10に設定される(S18)。
【0050】
FAX送受信装置10でFAX信号送受信音量設定値が設定されると、FAX送受信装置10からSIPサーバ11、ゲートウェイ12を介して接続要求信号の発信元のFAX端末32または43に接続応答信号が送信される(S19、S20、S21)。
【0051】
FAX端末32または43では、接続応答信号が受信されると、FAX信号がみなし音声として送信される(S22)。そして、FAX送受信装置10では設定されたFAX信号送受信音量設定値により、適切な音量で受信処理が実行される。
【0052】
(3)FAX送受信装置10からFAX端末22にFAX信号が送信されるときの動作(図4参照)
FAX送受信装置10からFAX端末22にFAX信号が送信されるときは、まず、FAX送受信装置10からFAX端末22宛てに接続要求信号が発信される(S31)。
【0053】
この接続要求信号はSIPサーバ11を介してFAX端末22に送信される(S32、S33)。
【0054】
FAX端末22では、受信した接続要求信号に対応して接続応答要求がFAX送受信装置10宛てに送信される。
【0055】
FAX端末22から送信された接続応答要求はSIPサーバ11で受信され(S34)、当該接続応答信号に基づいて、発信先のFAX端末22が収容されているIP電話網20を識別する網IDが当該接続要求信号に付加される(S35)。
【0056】
網IDが付加された接続応答信号は、SIPサーバ11からFAX送受信装置10に送信される(S36)。
【0057】
FAX送受信装置10では、当該接続応答信号が送受信部10aで受信され、さらに音量情報取得部10bによりこの接続応答信号が解析され、上記(a)と同様の方法により、当該FAX信号の受信に利用される網ID情報および/または発信先のFAX端末を識別する端末ID情報が特定される(S37)。
【0058】
そして音量情報取得部10bにおいて、この特定した網ID情報および/または端末ID情報と、音量情報記憶装置13に記憶された情報とから、当該FAX信号の送信に利用するFAX信号送受信音量設定値が取得される(S38)。
【0059】
ここでは、網ID情報および/または端末ID情報から特定された「IP電話網20」に対応するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0060】
取得されたFAX信号送受信音量設定値は、当該FAX送信の送信音量として、音量設定部10cにより自FAX送受信装置10に設定される(S39)。
【0061】
FAX送受信装置10でFAX信号送受信音量設定値が設定されると、FAX送受信装置10から接続応答信号の発信元のFAX端末22に、設定された適切な音量で、FAX信号がみなし音声として送信される(S40)。
【0062】
(4)FAX送受信装置10からFAX端末32または43にFAX信号が送信されるときの動作(図5参照)
FAX送受信装置10からFAX端末32または43にFAX信号が送信されるときは、まず、FAX送受信装置10からFAX端末32または43宛てに接続要求信号が発信される(S41)。
【0063】
この接続要求信号はSIPサーバ11、ゲートウェイ12を介してFAX端末32または43に送信される(S42、S43、S44)。
【0064】
FAX端末32または43では、受信した接続要求信号に対応して接続応答要求がFAX送受信装置10宛てに送信される。
【0065】
FAX端末32または43から送信された接続応答要求はゲートウェイ12で受信され(S45)、当該接続応答信号に基づいて、発信先のFAX端末32または43が収容されているネットワーク(PSTN網31または事業者BのIP電話網41)を識別する網IDが当該接続要求信号に付加される(S46)。
【0066】
網IDが付加された接続応答信号は、ゲートウェイ12からSIPサーバ11を介してFAX送受信装置10に送信される(S47、S48)。
【0067】
FAX送受信装置10では、当該接続応答信号が送受信部10aで受信され、さらに音量情報取得部10bによりこの接続応答信号が解析され、上記(a)と同様の方法により、当該FAX信号の受信に利用される網ID情報および/または発信先のFAX端末を識別する端末ID情報が特定される(S49)。
【0068】
そして音量情報取得部10bにおいて、この特定した網ID情報および/または端末ID情報と、音量情報記憶装置13に記憶された情報とから、当該FAX信号の送信に利用するFAX信号送受信音量設定値が取得される(S50)。
【0069】
ここでは、網ID情報および/または端末ID情報から特定された「PSTN網32」または「事業者BのIP電話網41」に対応するFAX信号送受信音量設定値が取得される。
【0070】
取得されたFAX信号送受信音量設定値は、当該FAX送信の送信音量として、音量設定部10cにより自FAX送受信装置10に設定される(S51)。
【0071】
FAX送受信装置10でFAX信号送受信音量設定値が設定されると、FAX送受信装置10から接続応答信号の発信元のFAX端末32または43に、設定された適切な音量で、FAX信号がみなし音声として送信される(S52)。
【0072】
以上の本実施形態によれば、ネットワーク(網)の種類に対応して予め設定された網IDおよび/または端末IDを用いるため、FAX送受信装置で送受信されるFAX送受信信号音量を適正な値に調整することができる。
【0073】
上述したFAX送受信システムにおいては、音量情報記憶装置がFAX送受信装置と別に設置された場合について説明したが、音量情報記憶装置がFAX送受信装置の中に組み込まれるように構築してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…FAX送受信システム
10…FAX送受信装置
10a…送受信部
10b…音量情報取得部
10c…音量設定部
11…SIPサーバ
12…ゲートウェイ
13…音量情報記憶装置
20…IP電話網
21,42…VoIPルータ
22…FAX端末
30,40…相互接続点
31…PSTN網
32,43…FAX端末
41…事業者BのIP電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された複数の通信ネットワークのいずれかを介して、複数のファクシミリ端末に接続されたファクシミリ送受信システムにおいて、
前記通信ネットワークの、ファクシミリ信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶部と、
前記複数のファクシミリ端末との信号の送受信を行う送受信部と、
ファクシミリ信号の送信対象のファクシミリ端末宛てに前記送受信部から発信された接続要求信号に応答して当該ファクシミリ端末から送信され前記送受信部で受信された接続応答信号に付加された、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、前記音量情報記憶部に記憶された情報とから、当該ファクシミリ信号の送信に利用するファクシミリ信号送受信音量情報を取得する音量情報取得部と、
音量情報取得部で取得された信号送信音量情報に基づいて、当該ファクシミリ信号の送信のためのファクシミリ信号送信音量を設定する音量設定部と、
を備えることを特徴とするファクシミリ送受信システム。
【請求項2】
前記音量情報取得部において、前記通信ネットワークを識別する情報は、前記接続応答信号に付加された前記送信対象のファクシミリ端末の識別情報から判別される
ことを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ送受信システム。
【請求項3】
前記複数の通信ネットワークのいずれかに接続され、前記送受信部から発信された接続要求に応答して当該ファクシミリ端末から送信された接続応答信号に、当該接続された通信ネットワークを識別する識別情報を付加して前記送受信部に送出する中継装置をさらに有し、
前記音量情報取得部は、前記中継装置から取得した接続応答信号に付加された識別情報に基づいて、当該ファクシミリ信号の送信に利用するネットワークを識別する情報を特定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のファクシミリ送受信システム。
【請求項4】
接続された複数の通信ネットワークのいずれかを介して、複数のファクシミリ端末に接続されるとともに、前記通信ネットワークごとのファクシミリ信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶装置とに接続されたファクシミリ送受信装置において、
前記複数のファクシミリ端末との信号の送受信を行う送受信部と、
ファクシミリ信号の送信対象のファクシミリ端末宛てに前記送受信部から発信された接続要求信号に応答して当該ファクシミリ端末から送信され前記送受信部で受信された接続応答信号に付加された、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、前記音量情報記憶装置に記憶された情報とから、当該ファクシミリ信号の送信に利用するファクシミリ信号送受信音量情報を取得する音量情報取得部と、
音量情報取得部で取得された信号送信音量情報に基づいて、当該ファクシミリ信号の送信のためのファクシミリ信号送信音量を設定する音量設定部と、
を備えることを特徴とするファクシミリ送受信装置。
【請求項5】
接続された複数の通信ネットワークのいずれかを介して、複数のファクシミリ端末に接続されるとともに、前記通信ネットワークごとのファクシミリ信号送信音量情報を記憶する音量情報記憶装置とに接続されたファクシミリ送受信装置が、
いずれかの前記ファクシミリ端末宛てに接続要求信号を発信するステップと、
ファクシミリ信号の送信対象のファクシミリ端末宛てに発信された前記接続要求信号に応答して当該ファクシミリ端末から送信された接続応答信号を受信するステップと、
受信した前記接続応答信号に付加された、当該ファクシミリ信号の送信に利用する通信ネットワークを識別する情報と、前記音量情報記憶装置に記憶された情報とから、当該ファクシミリ信号の送信に利用するファクシミリ信号送受信音量情報を取得するステップと、
取得された信号送信音量情報に基づいて、ファクシミリ信号送信音量を設定するステップと、
を有することを特徴とするファクシミリ送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−257177(P2012−257177A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130337(P2011−130337)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】