説明

ファックス装置、装置保守システム、装置保守方法、装置保守プログラム

【課題】各ファックス装置の設置状態に応じた保守処理を簡易に実施する。
【解決手段】ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部24と、通信網を介して送り込まれた画像データ内に含まれるコード情報を抽出するコード情報抽出部4と、このコード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するプログラムデコード部6と、実行用プログラムを実行することによりメモリデータを読出す処理を行うプログラム実行部7と、メモリデータを通信網に送信するモデム部2を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファックス装置の保守管理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
公衆回線電話網は、設置時期や通信環境の変動により、端末における通信の不具合が発生している。また、近年における光回線の普及に伴い、VoIP(Voice over Internet Protocol)アダプタなどのモデムが設置されるケースが増え、このVoIPアダプタとファックス装置との相性によっては、ファックス装置に不具合が生じる場合がある。
これらの不具合を解消するためには、ファックス装置の設置場所それぞれにおいて、ファックス装置の設置環境に応じた設定変更や設定内容の確認などの作業が必要となる。このため、各ファックス装置における設定には、膨大な手間や人員が必要となり、設定作業にかかるコストが膨大なものとなってしまうといった不都合がある。
【0003】
これに対する関連技術として、公衆交換電話網を介して画像データの送受信を行うインターネットファクシミリ装置が開示されている(特許文献1)。
また、この関連技術として、2次元コードであるプログラムコードの画像データからプログラムのデータを復元し、これを実行することにより、制御プログラムの設定およびパラメータを更新する技術が開示されている(特許文献2)。
さらに、公衆回線を介してQRサーバと接続して設置されたファックス装置を有するシステムが開示されている(特許文献3)。
また、読み込んだ画像データを、電話回線を介して相手方に送信するファクシミリ送信部を備えた複合機が開示されている(特許文献4)。
更に、電話回線に接続され、ファクシミリ機能などを備えた多機能周辺装置が開示されている(特許文献5)。
また、ニュースサーバに対してネットニュースを公衆電話網を介して転送するニュース処理ソフトウェアを有するファクシミリ装置が開示されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−088569号公報
【特許文献2】特開2004−171461号公報
【特許文献3】特開2006−126928号公報
【特許文献4】特開2008−099142号公報
【特許文献5】特開2008−113370号公報
【特許文献6】特開平10−173806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜6を組み合わせた関連技術においても、ファックス装置の保守管理を行う側で各ファックス装置の設置環境や設定状況にかかるデータを取得することができないため、保守用のプログラムを、ファックス装置それぞれの設定状況に応じて送信することができないという不都合がある。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、ファックス装置の動作状態に係る保守用情報を送出すると共に、設定状況に応じた自己保守を行うファックス装置、装置保守システム、装置保守方法、および装置保守プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るファックス装置は、ネットワークを介して送り込まれたファックスデータに基づき画像データを生成するファックス装置であって、
前記ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部と、前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出すると共に当該コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するコード情報変換部と、前記実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成するプログラム実行部と、前記生成された画像データを予め設定された送信先に対してファックスデータとして送信するメモリデータ送信部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明にかかる装置保守システムは、ネットワークを介して送り込まれたファックスデータに基づき画像データを生成するファックス装置と、前記ネットワークを介して前記ファックス装置の動作状態を監視する動作状態監視装置とを備えた装置保守システムであって、前記ファックス装置が、当該ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部と、前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出するコード画像抽出部と、前記コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するコード情報変換部と、前記実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成するプログラム実行部と、前記生成された画像データを前記動作状態監視装置に対してファックスデータとして送信するメモリデータ送信部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかる装置保守方法は、ネットワークを介して送り込まれたファックスデータを受信するファックスデータに基づき画像データを生成する画像情報生成部と、前記ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部とを有するファックス装置にあって、前記メモリデータを前記ネットワークを介して送信するファックス装置保守方法であって、前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出し、前記コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換すると共に、当該実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成し、当該生成された画像データを予め設定された送信先に対してファックスデータとして送信することを特徴としている。
【0010】
また、本発明にかかる装置保守プログラムは、ネットワークを介して送り込まれたファックスデータを受信するファックスデータに基づき画像データを生成する画像情報生成部と、前記ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部とを有するファックス装置にあって、前記メモリデータを前記ネットワークを介して送信するためのファックス装置保守プログラムであって、前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出するコード画像抽出機能と、前記コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するコード情報変換機能と、前記実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成するプログラム実行機能と、前記生成された画像データを予め設定された送信先に対してファックスデータとして送信するメモリデータ送信機能とをコンピュータ実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、画像データ内に含まれる実行用プログラム実行することにより、ファックス装置の動作状態にかかる情報である保守用情報を読出すプログラム実行部と、読み出された保守用情報を画像データとして送信する画像データ送受信部を備えたことにより、自己の動作内容に係る情報を保守用情報として送出すると共に自己の設定状況に応じた保守処理を実行することを可能とするファックス装置、ファックス装置保守システム、ファックス装置保守方法、ファックス装置保守プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明における装置保守システムにおける全体の構成内容を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に開示した装置保守システムにおけるファックス装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。
【図3】図1に開示した装置保守システムにおけるファックス装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。
【図4】図1に開示した装置保守システムにおけるファックス文書に含まれるQR(Quick Response)コードの内容の一例を示す説明図である。
【図5】図1に開示した装置保守システムにおけるファックス装置の内部処理の動作処理ステップを示すフローチャートである。
【図6】図1に開示した装置保守システムにおけるファックス装置で通常のファックスデータを受信した場合の動作内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
次に、本発明を実施するための実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
本発明の実施形態としての装置保守システムは、図1に示すように、公衆回線電話網に接続して設けられ、ファックスデータの送受信を行う保守サービス部門ファックス装置12と、設置場所15に設置され、公衆回線電話網を介して送り込まれたファックスデータを受信するファックス装置(ユーザファックス)1とを備えている。
ここで、保守サービス部門ファックス装置12は、予め設定された実行用プログラム(例えば、アップデートプログラム101)がコード化されたQRコード9を含むファックス文書8をファックスデータとしてユーザファックス1に対して送信するファックスデータ送信機能を有する。
【0015】
ファックス装置(以下「ユーザファックス」)1は、図2(または図3)に示すように、公衆回線電話網を介して送り込まれたファックスデータ(ファックス受信データ)を受信するモデム部2と、受信したファックスデータを画像データに変換する画像処理部3と、画像データ中に含まれる、予め設定されたプログラム入り画像情報(QRコードなど)を探索する画像データ抽出部4と、画像データ抽出部4で抽出されたプログラム入り画像情報を特定すると共にデコード処理することにより、プログラム入り画像情報に組み込まれたプログラムを抽出するプログラムデコード部6と、プログラムデコード部6でデコードされたプログラムを実行するプログラム実行部7を備えた構成を有する。
【0016】
また、ユーザファックス1は、図2に示すように、装置内メモリデータを記憶するメモリデータ記憶部24と、ファックス装置のファームウェア記憶部23と、プログラム実行部7により抽出された情報を画像データに変換する画像データエンコード部25を備えている。
【0017】
更に、上記画像データ抽出部4で画像処理部3から受け取った画像データ内にプログラム入り画像情報(例えば、QRコード)が含まれていないと判定された場合に、この画像データをプリントアウトするプリンタ5を備えた構成であってもよい(図3)。
【0018】
モデム部2は、公衆回線電話網を介して送り込まれたファックスデータ(ファックス受信データ)を受信するファックスデータ受信機能と、画像処理部から渡された送信用のファックスデータ(ファックス送信データ)を公衆回線電話網を介して送信するファックスデータ送信機能を備えている。
【0019】
画像処理部3は、モデム部2が受信したファックスデータを画像データに変換する受信画像データ変換機能と、画像データエンコード部25から渡された画像データをファックス送信用にファックス送信データに変換する送信画像データ変換機能を備えている。
尚、画像処理部3は、保守サービス部門ファックス装置12以外の、予め設定されたファックスデータ送信先からのファックスデータについては、図6に示すように、通常のファックスデータ(画像データ)として判断して、プリンタ5に送信してプリントアウトする設定であってもよい。この場合は、モデム部2がファックスデータの送信元を電話番号(ファックス番号)に基づき特定するものとする。
【0020】
画像データ抽出部4は、画像処理部3で変換された画像データ中に含まれる、例えば、QRコードなどのプログラム入り画像情報を検出するQRコード検出機能を備えている。
また、画像データ抽出部4は、このQRコード検出機能を実行することにより画像データ中にQRコードが含まれるか否かの判定を行う。
ここで、QRコードが含まれると判定した場合に、画像データ抽出部4は、画像データをプログラムデコード部6に渡す。このとき、画像データ抽出部4は、検出したQRコードの画像データ中における位置をプログラムデコード部に通知する設定であってもよい。
【0021】
これにより、プログラムデコード部6は、デコード処理の対象であるプログラム入り画像情報(QRコード)を迅速に抽出することができる。
また、画像データ中にQRコードが含まれないと判定した場合、画像データ抽出部4は、この画像データをプリンタ5に渡すものとする(図3)。
【0022】
プログラムデコード部6は、画像データ中から画像データ抽出部4が検出したQRコードを抽出する(データ抽出機能)し、このQRコードをデコードすることにより、QRコード中にコード化された実行用プログラムである文字列データを抽出するデコード機能(データ抽出機能)を備えている。
また、プログラムデコード部6は、抽出した実行用プログラムがユーザファックス1の動作内容に係るプログラムであるか否かを判定するデータ判別機能を備えている。
ここで、抽出された実行用プログラムがユーザファックス1の動作に係るプログラムではないと判定された場合、プログラムデコード部6は、この実行用プログラムを破棄する設定であってもよい。
【0023】
プログラム実行部7は、プログラムデコード部6から渡された実行用プログラムの実行を行うプログラム実行処理機能を有する。
これにより、プログラム実行部7は、実行用プログラムの実行を行うことにより、実行用プログラムの内容に基づく動作機能を実現する。
【0024】
プログラム実行部7は、例えば、ファームウェアのアップデート用に設定された実行用プログラムであるアップデータプログラム101(図1)を実行することにより、ユーザファックス1内に予め設定されたファームウェアの更新を行う(図2:ファームウェア更新機能)。このとき、実行用プログラム内には、ファームウェアの更新内容が含まれているものとする。
【0025】
また、例えば、プログラム実行部7は、実行用プログラムとしてのメモリデータ読出しプログラムを実行することにより、ユーザファックス1の装置内メモリデータ記憶部24に記憶された、特定のメモリデータを読み出し、このメモリデータを返信用にリスト化するメモリデータ読出し機能を実現する。
尚、読み出しプログラム102には、読み出しを行う対象のメモリデータを特定するためのメモリデータ特定情報が含まれているものとする。
【0026】
ここで、装置内メモリデータ記憶部24に記憶されたメモリデータは、ユーザファックス1で発生した不具合の内容や動作エラー履歴などであるものとする。
尚、上記メモリデータの内容としては、ユーザファックス1の設定内容を示すパラメータや、ユーザファックス1のユーザの属性を示す個人情報などであってもよい。
【0027】
画像データエンコード部25は、プログラム実行部7のメモリデータ読出し機能により読み出されたメモリデータを、画像データに変換する画像データ生成機能を有する。また、画像データエンコード部25は、変換(生成)した画像データを画像処理部3に渡す。
また、画像データエンコード部25は、画像データ生成機能を実行するのに先立ち、上記メモリデータをコード化(暗号化)する設定であってもよい。
これにより、例えば、メモリデータ内に個人情報などが含まれている場合に、メモリデータの漏洩が生じるのを抑制することができる。
【0028】
尚、この画像データエンコード部25は、上記メモリデータ読出し機能と同様に、プログラム実行部7がメモリデータ読出しプログラムを実行することにより、生成される機能動作であってもよい。
この場合、プログラム実行部7は、実行用プログラムとしてのメモリデータ読出しプログラム102を実行することにより、上記メモリデータ読出し機能と共に、画像データエンコード部25に対応する画像データエンコード機能を実現する。
【0029】
更に、上記画像処理部3は、画像データエンコード部25で作成された画像データを送信用ファックスデータ(ファックス送信データ)に変換するファックスデータ変換機能を備え、これにより生成されたファックス送信データをモデム部2に渡す。
また、モデム部2は、画像処理部3から渡されたファックス送信データを、公衆回線電話網を介して12に送信するファックスデータ送信機能を有する。
【0030】
これにより、メモリデータ読出しプログラム102が実行されることにより、ファックス装置1は、保守サービス部門ファックス装置12に対して特定のメモリデータを送信することができる。また、保守サービス部門ファックス装置12は、ファックス装置(ユーザファックス)1内に記憶された特定のメモリデータを取得することができる。
このため、保守サービス部門ファックス装置12は、例えば、取得したメモリデータに基づき各ユーザファックスの保守用解析(一次解析)を行うことができる。
また、保守サービス部門ファックス装置12は、上記解析の結果に応じて各ユーザファックスに対応した保守用のプログラムを設定することができ、各ファックス装置の動作状況に応じた保守・管理を行うことができる。例えば、保守サービス部門ファックス装置12は、アップデートプログラムをファックスデータとして設定し、ユーザファックスに対して送信することが可能となる。
【0031】
以上のように、本実施形態のファックス装置(ユーザファックス)1では、QRコードなどの認識率の高い画像データが入力されたファックス文書をファックス受信した場合に、QRコードを自動で認識し、そのQRコード内に含まれるコード化されたプログラムをデコードして実行する。
これにより、本実施形態では、公衆交換電話網以外のIP網や無線などに通信手段を持たないファックス装置に対して、内部プログラムのアップデート、不具合時のテストプログラムの実行処理、ファックス装置内部の情報の回収(収集)などを、ファックスデータを送信することにより遠隔実行することができる。
【0032】
[実施形態の動作説明]
次に、本実施形態の全体的な動作について、その概略を説明する。
まず、画像処理部(画像情報生成部)3が、ネットワークを介して送り込まれたファックスデータに基づき画像データを生成し、次いで、画像データ抽出部4が、この画像データ内に含まれるコード情報を抽出し(コード画像抽出工程)、このコード情報をプログラムデコード部6がデコードすることにより実行用プログラムに変換する(コード情報変換工程)。
次いで、プログラム実行部7が、実行用プログラムを実行することにより、ファックス装置1内に予め設定された特定のメモリデータを読出し、この読み出されたメモリデータからなる画像データを生成し(プログラム実行工程)、モデム部2が、このメモリデータを予め設定された送信先(保守サービス部門ファックス装置12)に対しファックスデータとして送信する処理を行う(メモリデータ送信工程)。
【0033】
ここで、上記コード画像抽出工程、コード情報変換工程、プログラム実行工程、およびメモリデータ送信工程については、その実行内容をプログラム化し、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0034】
本実施形態では、図1に示すように、保守サービス部門ファックス12が、実行プログラム(例えば、アップデートプログラム101)がコード化されたQRコード9を含むファックス文書8を、設置場所15のユーザファックス1に対して、ファックスデータとして送信する。次いで、ユーザファックス1がファクス文書8内に含まれる実行プログラムを実行する。
ここで、ファックス送信される文書(ファックス文書)の一例を図4に示す。このファックス文書8では、プログラム入りの画像としてQRコード9が記載されているものとする。QRコード9は、ファックス装置1内で実行されるプログラム10や、ファックス電話番号11などがQRコード化されているものとする。
【0035】
次に、保守サービス部門ファックス12からのファックスデータを受信したユーザファックス1における動作について、図5のフローチャートに基づき説明する。
ここでは、ユーザファックス1がアップデートプログラム101を実行することにより、ユーザファックス1内の特定のソフトウェア(ファームウェア)のアップデートを行うものとする。
【0036】
まず、モデム部2が、アップデートプログラムをコード化したQRコードが含まれるファックス文書8を、ファックス受信データとして受信すると共に、画像処理部3がファックス受信データを画像データに変換する(ファックス受信:ステップS51)。
【0037】
次いで、画像データ抽出部4が、画像データ中に含まれるQRコードを探索し、QRコードが含まれているか否か判定する(QRコード検出機能:ステップS52)。
ここで、QRコードが含まれると判定された場合(有り:ステップS52)、画像データ抽出部4は、プログラムデコード部6に対して、画像データ中にQRコードが含まれていることを通知する。
このとき、画像データ抽出部4は、プログラムデコード部6に対して画像データ中におけるQRコードの領域を通知してもよい。
【0038】
次に、プログラムデコード部6は、画像データ抽出部4に通知された内容に基づき、画像データ中のQRコード領域を特定し、このQRコードをデコードすることにより、QRコード中に含まれるプログラムを抽出する(データ抽出機能:ステップS53)。
【0039】
次いで、プログラムデコード部6は、デコードされたプログラムがファックス装置1内における動作処理に関係のある実行用プログラムであるか否かを判別する(データ判別機能:ステップS54)、
【0040】
デコードされたプログラム(以下「実行用プログラム」という)がファックス装置1内における動作処理に関係のあるプログラムであると判定された場合、プログラム実行部7が、この実行用プログラムを実行する(プログラム実行:ステップS55)。
【0041】
ここでは、上記実行用プログラムの実行内容は、上述のように、ファックス装置1内に設定されたソフトウェア(ファームウェア23)のアップデート用プログラムであるものとする。
【0042】
このとき、プログラム実行部7は、実行用プログラムを実行することにより、実行用プログラム内に予め設定されたリビジョン情報とファックス装置1内のファームウェア記憶部23に記憶されたファームウェアのリビジョン情報とを比較する処理を行う。
次いで、実行用プログラムに含まれるリビジョンのバージョンがファームウェアのリビジョン情報より新しい場合に、ファームウェアのアップデートを行う。
【0043】
これにより、公衆交換電話網以外のIP網や無線などに通信手段を持たないファックス装置(ユーザファックス)に対して、保守サービス部門ファックス装置12がファックスデータを送信することにより、アップデートプログラムの遠隔実行が行われ、ユーザファックスの内部プログラムのアップデートを行うことができる
【0044】
また、QRコード検索機能、または、データ判別機能で該当なしと判断された場合(無し:ステップS54)、通常のファックスデータと認識され、図3に示すように、プリントアウト部5が、ファックス文書のプリントアウトを行う(プリントアウト:ステップS56)。
【0045】
次に、プログラム実行部7で実行される上記実行用プログラムが、ファックス装置1内に記憶された特定のメモリデータを読み出すためのメモリデータ読出しプログラム102である場合の、ユーザファックス1の内部処理動作について説明する。
【0046】
まず、モデム部2が、アップデートプログラムをコード化したQRコードが含まれるファックス文書8を、ファックス受信データとして受信すると共に、画像処理部3がファックス受信データを画像データに変換する(ファックス受信:ステップS51)。
【0047】
次いで、画像データ抽出部4が、画像データ中に含まれるQRコードを探索し、QRコードが含まれているか否か判定する(QRコード検索機能:ステップS52)。
ここで、QRコードが含まれると判定された場合(有り:ステップS52)、画像データ抽出部4は、プログラムデコード部6に対して、画像データ中にQRコードが含まれていることを通知する。
このとき、画像データ抽出部4は、プログラムデコード部6に対して画像データ中におけるQRコードの領域を通知してもよい。
【0048】
次に、プログラムデコード部6は、画像データ抽出部4に通知された内容に基づき、画像データ中のQRコード領域を特定し、このQRコードをデコードすることにより、QRコード中に含まれるプログラムを抽出する(デコード機能:ステップS53)。
【0049】
次いで、プログラムデコード部6は、デコードされたプログラムがファックス装置1内における動作処理に関係のある実行用プログラムであるか否かを判別する(データ判別機能:ステップS54)、
【0050】
デコードされたプログラム(以下「実行用プログラム」という)がファックス装置1内における動作処理に関係のあるプログラムであると判定された場合、プログラム実行部7が、この実行用プログラム(メモリデータ読出しプログラム102)を実行する(ステップS55)。
ここで、プログラム実行部7は、メモリデータ読出しプログラム102を実行する(ステップS55)ことにより、メモリデータ読出しプログラム102内に設定された特定の装置内メモリデータを、メモリデータ記憶部24から抽出する(メモリデータ抽出機能:ステップS61)。
また、プログラム実行部7は、抽出されたメモリデータをリスト化し画像データエンコード部25に渡す(ステップS62)。
【0051】
尚、上記メモリデータ抽出機能では、抽出された装置内メモリデータ自体を画像データエンコード部25に通知する設定であってもよい。
【0052】
次に、画像データエンコード部25は、プログラム実行部7から渡された装置内メモリデータを画像データに変換する(ステップS63)。
次いで、画像処理部3が、画像データエンコード部25から渡された画像データをファックスデータ(ファックス送信データ)に変換しモデム部2に渡し、モデム部2が、このファックスデータ(ファックス送信データ)を、公衆回線電話網を介して保守サービス部門ファックス装置12に対して送信する(ステップS64)。
【0053】
以上のように、本実施形態では、保守サービス部門ファックス装置12は、ファックス装置1に対してファックス文書を送信することにより、ファックス装置1の通信履歴情報や動作不具合などにかかる情報(動作履歴情報)などのメモリデータを取得することができ、このメモリデータの内容に基づき、ファックス装置1の動作解析(一次解析)を行うことができる。
【0054】
このため、保守サービス部門ファックス装置12では、ファックス装置(ユーザファックス)1のメモリデータの内容に基づき、保守用の実行用プログラムやアップデート用のプログラムを設定することができる。
更には、保守サービス部門ファックス装置12がファックス装置1に対して、新たに設定された実行用プログラムを含むファックス文書を送信することにより、ファックス装置1で実行用プログラムが実行される。これにより、ファックス装置1における設定パラメータやファームウェアを保守サービス部門ファックス装置12側からアップデートすることができ、つまりは、各ファックス装置における動作履歴に応じた保守処理を、公衆回線電話網を介して行うことが可能となる
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、コンピュータ装置の保守作業を公衆回線電話網介して遠隔操作により実行する遠隔保守管理システムに対して有用に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ファックス装置(ユーザファックス)
2 モデム部
3 画像処理部
4 画像データ抽出部
5 プリンタ
6 プログラムデコード部
7 プログラム実行部
8 ファックス文書
9 ORコード
10 プログラム
11 ファックス電話番号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して送り込まれたファックスデータに基づき画像データを生成するファックス装置であって、
前記ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部と、
前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出すると共に当該コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するコード情報変換部と、
前記実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成するプログラム実行部と、
前記生成された画像データを予め設定された送信先に対してファックスデータとして送信するメモリデータ送信部とを備えたことを特徴とするファックス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファックス装置において、
前記プログラム実行部は、前記実行用プログラムの内容に基づき読み出しを行うメモリデータを特定する読出しデータ特定機能を備えたことを特徴とするファックス装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のファックス装置において、
前記プログラム実行部は、前記実行用プログラムを実行することにより、前記ファックス装置内に予め設定されたファームウェアの更新を行うファームウェア更新機能を有することを特徴としたファックス装置。
【請求項4】
請求項1に記載のファックス装置において、
前記コード情報は、前記画像データ内に含まれる1次元コードであることを特徴とするファックス装置。
【請求項5】
請求項1に記載のファックス装置において、
前記コード情報は、前記画像データ内に含まれる2次元コードであることを特徴とするファックス装置。
【請求項6】
ネットワークを介して送り込まれたファックスデータに基づき画像データを生成するファックス装置と、前記ネットワークを介して前記ファックス装置の動作状態を監視する動作状態監視装置とを備えた装置保守システムであって、
前記ファックス装置は、
当該ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部と、
前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出するコード画像抽出部と、
前記コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するコード情報変換部と、
前記実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成するプログラム実行部と、
前記生成された画像データを前記動作状態監視装置に対してファックスデータとして送信するメモリデータ送信部とを備えたことを特徴とする装置保守システム。
【請求項7】
請求項6に記載の装置保守システムにおいて、
前記動作状態監視装置は、
前記ファックス装置から送り込まれたメモリデータに基づき前記ファックス装置の動作状態を解析すると共に、当該解析結果に基き前記ファックス装置に対して送信する実行用プログラムを決定する装置状態解析部とを備えたことを特徴とする装置保守システム。
【請求項8】
ネットワークを介して送り込まれたファックスデータを受信するファックスデータに基づき画像データを生成する画像情報生成部と、前記ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部とを有するファックス装置にあって、前記メモリデータを前記ネットワークを介して送信するファックス装置保守方法であって、
前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出し、
前記コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換すると共に、当該実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成し、当該生成された画像データを予め設定された送信先に対してファックスデータとして送信することを特徴とするファックス装置保守方法。
【請求項9】
ネットワークを介して送り込まれたファックスデータを受信するファックスデータに基づき画像データを生成する画像情報生成部と、前記ファックス装置の動作状態にかかる情報をメモリデータとして記憶するメモリデータ記憶部とを有するファックス装置にあって、前記メモリデータを前記ネットワークを介して送信するためのファックス装置保守プログラムであって、
前記画像データ内に含まれるコード情報を抽出するコード画像抽出機能と、
前記コード情報をデコードすることにより実行用プログラムに変換するコード情報変換機能と、
前記実行用プログラムを実行することにより、前記メモリデータを読出すと共に当該読み出されたメモリデータからなる画像データを生成するプログラム実行機能と、
前記生成された画像データを予め設定された送信先に対してファックスデータとして送信するメモリデータ送信機能とをコンピュータに実行させることを特徴としたファックス装置保守プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−166208(P2011−166208A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23157(P2010−23157)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】