説明

ファラデー回転子及び光アイソレータ

【課題】ファラデー回転子の磁化を飽和させるための外部磁界印加手段が不要であり、かつ、外部擾乱磁界に対する耐性に優れ、しかも、安価なファラデー回転子を提供する。
【解決手段】ファラデー効果を有する磁性体2が、ガーネット型の結晶構造を有すると共に、磁気弾性効果を起源とする一軸磁気異方性を有し、かつ該一軸磁気異方性エネルギーの大きさが、結晶磁気異方性定数に比べて大きい。磁性体2の磁化容易軸方向が、ファラデー回転子の内部を伝播する光の伝播方向3と略平行であり、かつ該磁化容易軸方向の保磁力が500Oe以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信分野、あるいは光計測の分野において、半導体レーザー等の光源から発射された光が、種々の原因で光源に帰還することを防止するための光アイソレータ等に用いられる、磁性材料から構成されるファラデー回転子であって、特にその磁化を光伝播方向に飽和させるための外部磁界印加手段を必要としないファラデー回転子、及び、そのファラデー回転子を用いた光アイソレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に、従来からよく知られた、ファラデー回転子を用いた光アイソレータの構成概略を示す。図中、41はファラデー回転子、42は偏光子、43は検光子、44は永久磁石等の外部磁界印加手段、45は半導体レーザー等から成る光源、46は光源45から出射された光の伝播方向を示す。
【0003】
従来、ファラデー回転子41の材料としては、例えば、特許文献1に記載されているように、非磁性ガーネット基板上に液相エピタキシャル法で形成されたビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶が用いられていた。
【0004】
一般的に、ファラデー回転子に入射する光の偏光方向と、ファラデー回転子を透過した後の光の偏光方向との成す角度、すなわちファラデー回転角は、ファラデー回転子の光伝播方向の厚さに比例する。
【0005】
例えば、光アイソレータの場合、ファラデー回転角は45度であることが必要であり、そのためのビスマス置換希土類鉄ガーネットの厚さは400〜500μmとなる(以下、45度のファラデー回転角を得るための厚さを「伝播長」と記す)。
【0006】
通常、係る伝播長を得るために、液相エピタキシャル法で、ビスマス置換希土類鉄ガーネットを前述した伝播長より厚く形成した後、基板を研磨で除去し、更に、精密研磨により所望のファラデー回転角を得るために必要な膜厚に追い込む、という加工方法が採られていた。
【0007】
ファラデー回転子を光アイソレータ等に使用する場合、一般的には、永久磁石等の適当な外部磁界印加手段44により、ファラデー回転子の磁化を光伝播方向に飽和させて使用するが、例えば、特許文献2には、係る磁界印加手段を必要としないファラデー回転子が記載されている。
【0008】
同公報に記載されているファラデー回転子は、液相エピタキシャル法で形成されたTb3-xBiXFe5-Y-ZGayAlzO12 (但し、 1.1≦x≦1.5、0.65≦y+z≦1.2 、z≦y)で表されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶から成るものであり、当該ファラデー回転子を磁界中で着磁処理をすることにより、その保磁力が増加し、外部磁界が不要になることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平7−206593号公報
【特許文献2】特開平9−328398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、本発明者等による、上述の外部磁界が不要のファラデー回転子の特性、特にその安定性についての系統的な検討の結果、従来の構成の外部磁界が不要のファラデー回転子は、常温においては良好に動作するものの、例えば温度サイクル試験(−40℃〜80℃)を行うと、ファラデー回転角が減少する場合があり、その安定性の点で問題があることが明らかとなった。
【0011】
また、液相エピタキシャル法で、ビスマス置換希土類鉄ガーネットを形成する際には、非磁性のガーネット基板、例えばGdGa12単結晶が用いられるが、係る非磁性単結晶基板は高価であり、最終形態のファラデー回転子に当該基板は残存しなくなるものの、結果的にファラデー回転子の価格を高額なものとしていた。
【0012】
本発明は、上記事情を考慮し、ファラデー回転子の磁化を飽和させるための外部磁界印加手段(例えば、永久磁石)が不要であり、かつ、外部擾乱磁界に対する耐性に優れ、しかも、安価なファラデー回転子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明により提供される第1の手段は、
ファラデー効果を有する磁性体を備えたファラデー回転子において、前記ファラデー効果を有する磁性体が、ガーネット型の結晶構造を有すると共に、磁気弾性効果を起源とする一軸磁気異方性を有し、かつ該一軸磁気異方性エネルギーの大きさが、結晶磁気異方性定数に比べて大きいことを特徴とするファラデー回転子である。
【0014】
また、本発明により提供される第2の手段は、
第1の手段において、前記ファラデー効果を有する磁性体の磁化容易軸方向が、ファラデー回転子の内部を伝播する光の伝播方向と略平行であり、かつ該磁化容易軸方向の保磁力が500Oe以上であることを特徴とするファラデー回転子である。
【0015】
また、本発明により提供される第3の手段は、
第1又は第2の手段において、前記ファラデー効果を有する磁性体が多結晶体であることを特徴とするファラデー回転子である。
【0016】
また、本発明により提供される第4の手段は、
第1の手段乃至第3の手段のいずれかよりなるファラデー回転子を用いた光アイソレータである。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ファラデー回転子の磁化を飽和させるための外部磁界印加手段が不要で、外部擾乱磁界に対する耐性に優れ、かつ安価なビスマス置換希土類鉄ガーネットから成るファラデー回転子の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の第1の実施の形態について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明により成るファラデー回転子の概略図で、図中1は非磁性基体、2はファラデー効果を有する磁性体(以下、単に磁性体ということもある)、3は光の伝播方向を示す矢印である。
【0019】
このファラデー回転子は、ファラデー効果を有する磁性体2と非磁性基体1とから構成されており、光は、非磁性基体1と磁性体2の両者の内部を伝播する。ここで、非磁性基体1は、可視光領域で必ずしも透明である必要はなく、使用される光の波長で透明であれば問題はない。
【0020】
本実施形態は、非磁性基体1により磁性体2内部に生じる応力によって、当該磁性体2自身に、磁気弾性効果による一軸異方性を誘導し、その誘導された一軸異方性を利用して、磁性体2の持つ保磁力を増加させることを特徴とするものである。非磁性基体1によって誘発される磁性体2の応力は、両者の熱膨張係数差を利用することにより、以下のように制御することが可能である。
【0021】
例えば、磁性体2を適当な薄膜成長法、例えばエアロゾルデポジション法を用いて非磁性基体1の表面に所望膜厚で形成し、適当な温度条件で熱処理を施す。ここで適当な温度条件とは、当該熱処理温度において、非磁性基体1と磁性体2との間に存する応力(磁性体2の薄膜成長過程で生じる固有応力)がほぼゼロに解放される温度条件を云う。
【0022】
当該温度で一定時間保持し、薄膜成長過程で生じる固有応力が解放された状態になった後、常温にまで冷却した場合、非磁性基体1と磁性体2との間には、両者の熱膨張係数差に起因した応力が残留する。
【0023】
例えば、図2(a)のように、磁性体2の熱膨張係数が、非磁性基体1の熱膨張係数よりも小さい場合には、高温から常温に温度が下がることで、非磁性基体1が、磁性体2に比べて大きく収縮することになる。従って、両者の熱膨張差により、磁性体2の内部には圧縮応力が発生する。
【0024】
また、図2(b)のように、磁性体2の熱膨張係数が、非磁性基体1の熱膨張係数よりも大きい場合には、高温から常温に温度が下がることで、磁性体2が、非磁性基体1に比べて大きく収縮することになる。従って、両者の熱膨張差により、磁性体2の内部には引張応力が誘発される。係る応力は、基板表面(光伝播方向3に直交する面)においては等方的となる。
【0025】
一般的に、磁気弾性効果によって誘導される磁気異方性は一軸的であり、その大きさは、次の(1)式によって与えられる。
Ku=(3/2)λ・σ …(1)
【0026】
同式(1)において、Kuは磁気異方性エネルギー、λは磁歪定数、σは応力である。磁歪定数λは正負いずれの値をとることもでき、磁性材料、及びその組成等によって決定される。また、応力σは引張応力の場合を正、圧縮応力の場合を負とする。Kuが正の場合には、誘導される磁気異方性の磁化容易軸は、応力印加方向に平行となり、Kuが負の場合には、誘導される磁気異方性の磁化容易軸は、応力印加方向に直交する方向となる。
【0027】
以下、ファラデー効果を有する磁性体2として、ビスマス置換希土類鉄ガーネットを用いた場合について詳細に説明する。
【0028】
Bi置換Tb鉄ガーネット多結晶体の場合、その磁歪定数は正であることが知られている。従って、係る場合には、Bi置換Tb鉄ガーネット多結晶体の基板面方向(光伝播方向3と直交する方向)に圧縮応力が誘発されるように、図2(a)のごとく、熱膨張係数がBi置換Tb鉄ガーネット多結晶体(磁性体2)よりも大きい非磁性基体1を用いればよい。
【0029】
例えば、Bi1.2Tb1.8Fe5O12多結晶体の場合、その磁歪定数は約6×10−6である。仮に300Mpaの応力が誘発されたとすると、その磁気異方性エネルギーは、(1)より、約2.7kJ/mとなり、結晶磁気異方性定数(k1)である約0.45kJ/mよりも大きく、かつ係る異方性に基づく保磁力は約0.8kOeとなる。係る保磁力は、外部擾乱磁界に対して充分な耐性を有するものである。
【0030】
一方、Bi置換Gd鉄ガーネット多結晶体の場合、その磁歪定数は負であることが知られている。従って、係る場合には、Bi置換Gd鉄ガーネット多結晶体(磁性体2)の基板面方向(光伝播方向3と直交する方向)に引張応力が誘発されるように、図2(b)のごとく、熱膨張係数がBi置換Tb鉄ガーネット多結晶体(磁性体2)よりも小さい非磁性基体1を用いればよい。
【0031】
例えば、Bi1.2Gd1.8Fe5O12多結晶の場合、その磁歪定数は約−2×10−6である。仮に500Mpaの応力が誘発されたとすると、その磁気異方性エネルギーは、式(1)より、約1.5kJ/mとなり、結晶磁気異方性定数(k1)である約0.5J/mよりも大きく、かつ係る異方性に基づく保磁力は約0.6kOeとなる。係る保磁力は、外部擾乱磁界に対して充分な耐性を有するものである。
【0032】
次に、図3を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3は、第2の実施形態のファラデー回転子の概略図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のIIIb−IIIb矢視断面図である。
【0033】
本実施の形態においては、ファラデー効果を有する多結晶の磁性体2が、非磁性基体1に形成された円形の貫通孔1aの内部に充填されており、磁性体2と非磁性基体1の熱膨張差により、磁性体2の内部に、応力が残留させられている。そして、その応力の残留により、磁性体2に、磁気弾性効果による一軸磁気異方性が誘導されている。
【0034】
これを作る場合は、まず、前述したエアロゾルデポジション法等で、ファラデー効果を有する多結晶磁性体2を、非磁性基体1に設けられた貫通孔1a内に充填する。ここでは、非磁性基体1の熱膨張係数が、磁性体2の熱膨張係数よりも小さくなるように、両者の材料が選定されている。その後、高温で熱処理を施す。熱処理温度、時間等の条件は、当該熱処理温度で、非磁性基体1及びファラデー効果を有する円柱形状の多結晶磁性体2の両者がほぼ応力フリーの状態になるように設定する。
【0035】
このような応力フリーの状態から、室温まで冷却すると、図4(a)に示すように、熱膨張係数の大きい材料である磁性体2の方が、熱膨張係数の小さい材料である非磁性基体1よりも大きく収縮しようとするので、内周側の磁性体2には、矢印で示すような半径方向外側に向かう引張応力が発生する。
【0036】
なお、収縮時の図においては、理解をしやすくするために、両部材間に収縮量の差としての隙間Sを図示してある。外周側の非磁性基体1と内周側の磁性体2が分離しているものであれば、このように収縮時に熱膨張差による隙間Sが生じる。しかし、実際には、非磁性基体1と磁性体2は一体化されているものであるから、前記隙間Sは生じず、その代わり、内周側の磁性体2には半径方向外方に向かう引張応力が発生し、外周側の非磁性基体1には半径方向内方に向かう引張応力が発生する。
【0037】
発生する引張応力の大きさは、磁性体2と非磁性基体1の熱膨張係数の違いに依存する。このように磁性体2に引張応力が発生することにより、磁気弾性効果によって一軸的な磁気異方性が誘導される。
【0038】
従って、本実施の形態においては、ファラデー効果を有する磁性体2は負の磁歪定数を有していることが必要となる。負であれば、磁気異方性の磁気容易軸が、引張応力の方向と直交する方向に誘導され、図4(b)に示す光伝播方向3と平行になるからである。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述した第1及び2の実施形態に制限されるものではなく、非磁性基体1とファラデー効果を有する磁性体2との相互作用によって誘発される応力を利用することにより、磁気弾性効果を利用して、光伝播方向3に一軸的な磁気異方性を誘導できる形態であれば有効である。
【0040】
また、本発明により成るファラデー回転子に、偏光子及び検光子等を従来と同様の方法で付加させることにより、外部磁界印加手段を必要としない光アイソレータを容易に製造することができる。
【0041】
以下、実施例を用いて本発明について、更に詳細に説明する。以下に述べる実施例1は、前記第1の実施の形態に相当し、実施例2は前記第2の実施の形態に相当する。
【実施例1】
【0042】
実施例1では、非磁性基体1としてサファイア基板を用いた。サファイア基板の熱膨張係数は約5×10−6/℃であり、本実施例において、ファラデー効果を有する磁性体2として用いたBi1.2Gd1.8Fe5O12の熱膨張係数(約10×10−6/℃)に比べて小さい。なお、用いたサファイア基板(非磁性基体1)の形状は10mm角で、厚さは1mmであった。
【0043】
エアロゾルデポジション法により、サファイア基板の表面に、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O12膜を成膜した。ここで用いた原料微粒子の平均粒径は0.8μm、搬送ガスは酸素で、その流量は5リットル/分であった。また、噴射ノズルの開口径は0.6mmφであった。
【0044】
係る条件で、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O12を約350μmの膜厚に形成した。その後、600℃で1時間の熱処理を施した。
【0045】
熱処理後、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O12の表面を鏡面研磨し、最終的に約280μm厚とした。
【0046】
当該サンプルについて、波長1.5μmでファラデー効果を測定した結果、ファラデー回転角は約45度であった。また、振動式磁力計を用いて、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O12膜の膜面垂直方向の磁化曲線を測定した結果、保磁力は650Oe、Mr角型比はほぼ1であった。
【実施例2】
【0047】
実施例2について図5及び図6を用いて説明する。
図5の(a)は、多結晶磁性体が形成される前の非磁性基体の全体形状を示す概略図で、図中31はステアタイト基板(非磁性基体)、32はステアタイト基板31に設けられた孔である。また、図5の(b)は、孔32の断面形状を示す概略図である。また、図6の(a)は、ステアタイト基板31上に多結晶磁性体が形成された後の形態を示す概略側断面図で、図中41は多結晶のBi1.2Gd1.8Fe5O12である。また、図6の(b)は、(a)に示した多結晶のBi1.2Gd1.8Fe5O1241が形成された基板31を、(a)中のA−A’線及びB−B’線の位置まで、研削・研磨により薄肉化した後の状態を示す概略側断面図である。
【0048】
本実施例では、非磁性基体31としてステアタイト基板(熱膨張係数:5×10−6/℃)を用いており、その形状は10mm角で、厚さは1mmであった。当該ステアタイト基板31に対して、図5(a)に示すように、ドリルを用いて500μmφ、深さ350μmの孔32を形成した。ただし、図5の(b)に示すように、孔32の表面近傍は、径の大きなドリルを用いて、孔32の入口径を700μmに拡げた。当該孔32を、1.7mmピッチで複数個形成した。
【0049】
次に、図6(a)に示すように、前記孔32内にエアロゾルデポジション法により、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O1241を成膜充填した。ここで、非磁性基体として用いるステアタイト基板31の熱膨張係数(約5×10−6/℃)は、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O1241の熱膨張係数(約10×10−6/℃)に比べて小さい。エアロゾルデポジション法で用いる原料微粒子の平均粒径は0.8μm、搬送ガスは酸素で、その流量は5リットル/分であった。また、噴射ノズルの開口径は0.6mmφであった。
【0050】
係る条件で、多結晶Bi1.2Gd1.8Fe5O12を約400μmの膜厚さ形成した。その後、600℃で1時間の熱処理を施した。
【0051】
熱処理後、基板表裏面を、図6の(a)中のA−A‘線及びB−B’線の位置まで研削除去及び研磨し、最終的に約280μm厚とした。そしてその後、図6の(b)のCC‘線及びDD’線に沿って切断し、図3に示す形状のファラデー回転子を作成した。
【0052】
当該サンプルについて、波長1.5μmでファラデー効果を測定した結果、ファラデー回転角は約45度であった。また、振動式磁力計で円柱形状Bi1.2Gd1.8Fe5O12の中心軸方向の磁化曲線を測定した結果、保磁力は600Oeで、Mr角型比はほぼ1であった。
【0053】
なお、上述の実施形態では、非磁性基体1と磁性体2の熱膨張差を利用して磁性体2の内部に応力を導入し、磁気弾性効果により、光伝播方向3に一軸的な磁気異方性を誘導したが、別の応力導入手段を設けることにより、光伝播方向に一軸的な磁気異方性を誘導するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態のファラデー回転子の斜視図である。
【図2】(a)、(b)は、同ファラデー回転子の磁性体に応力を導入する原理の説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態のファラデー回転子の構成図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のIIIb−IIIb矢視断面図である。
【図4】(a)は、同ファラデー回転子の磁性体に引張応力を導入する原理の説明図、(b)は引張応力の方向と光伝播方向の関係を示す断面図である。
【図5】前記第2実施形態のファラデー回転子を得るための非磁性基体の構成図で、(a)は斜視図、(b)はその孔の断面図である。
【図6】前記第2実施形態のファラデー回転子を得るための製造途中の工程の説明図で、(a)はエアロゾルデポジション法により非磁性基体の上に多結晶磁性体を成膜した状態を示す断面図、(b)はそれを研削・研磨して不要部分を取り除いた状態を示す断面図である。
【図7】従来の光アイソレータの概略格子図である。
【符号の説明】
【0055】
1 非磁性基体
2 ファラデー回転効果を有する磁性体
3 光伝播方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファラデー効果を有する磁性体を備えたファラデー回転子において、
前記ファラデー効果を有する磁性体が、ガーネット型の結晶構造を有すると共に、磁気弾性効果を起源とする一軸磁気異方性を有し、かつ該一軸磁気異方性エネルギーの大きさが、結晶磁気異方性定数に比べて大きいことを特徴とするファラデー回転子。
【請求項2】
前記ファラデー効果を有する磁性体の磁化容易軸方向が、ファラデー回転子の内部を伝播する光の伝播方向と略平行であり、かつ該磁化容易軸方向の保磁力が500Oe以上であることを特徴とする請求項1に記載のファラデー回転子。
【請求項3】
前記ファラデー効果を有する磁性体が多結晶体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のファラデー回転子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたファラデー回転子を用いた光アイソレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−328296(P2007−328296A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161442(P2006−161442)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】