説明

ファン

本発明の通気装置は、通気装置の出口開口(10)を画定する出口部(16)を備えた通気導管(4)を有する。前記通気装置は更に、前記出口パイプ(16)に配置されかつ少なくとも二つの通気位置の間で移動可能な空気誘導エレメント(22)を有している。該空気誘導エレメントと前記出口パイプはそれらの間に通気位置において排気断面を限定している。前記通気装置は単一の空気誘導エレメント(22)を有し、その排気断面は空気の流れ(F)を異なる出口方向(D1、D2)に誘導するように具現化されている。本発明は自動車の通気装置用に、使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファンの出口開口を画定する出口部を備えた通気導管を有する型のファンに関し、同ファンは更に前記出口部内に配置されかつ少なくとも二つの通気位置の間で移動可能な空気誘導エレメントを有し、該空気誘導エレメントと前記出口部は共に各通気位置において気流の断面を限定している。
【0002】
本発明は又、自動車生産分野において有利に使用可能である。
文書EP−A−937596は、ファンの出口開口を画定する出口部を備えた通気導管を有するファンを開示している。該ファンは更に、複数の可動の空気誘導フィンが配置されたフィン担体を備えている。通気導管に対する同フィンの方向は該フィン担体の方向を変えることにより修正可能である。
【本発明の背景】
【0003】
このファンにおいては、気流の出口方向を決定する前記の気流の断面は前記のフィンによってのみ確定され、前記の通気導管自体は気流の誘導には寄与していない。
このファンは複雑な構成を有しているので、結局、高い製造費と組立費になってしまう。
【0004】
本発明の目的はこの不都合を克服し、かつ製造するのに経済的なファンを提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達するために、本発明は、ファンが単一の空気誘導エレメントを有すること、と、その流れ断面が気流を異なる出口方向に誘導可能であること、とを特徴とする、上述した型のファンに関する。
【0006】
他の実施例によると、本発明によるファンは以下の特徴を一つ以上有している。
−前記空気誘導エレメントは、実質的にその全長に亘って、各通気位置において出口部と共に気流断面を画定する単一の空気誘導表面を有している;
−前記ファンは、同空気誘導エレメントがその少なくとも二つの通気位置の間で移動可能であるように、前記空気誘導エレメントに固定され、かつ出口部の上流に配置され、かつ、前記空気誘導エレメントを通気導管(4)に接続する接続部分を有し、同空気誘導エレメントは同接続部分に対して一直線でない;
−前記通気導管は、出口部の上流に配置された接続部を有し、前記接続部分は該接続部内に配置されている;
−前記空気誘導エレメントと前記接続部分は一体に製造される;
−前記空気誘導エレメントは、前記通気導管に前記接続部分によってのみ接続されている;
−前記出口部は、前記出口開口に向かって広くなるか又は狭くなる断面を有し、前記空気誘導エレメントの各通気位置においてその流れ断面は実質的に出口部の長さに亘って一定である;
−前記通気導管は、上流側にて出口部に接続される中間部を有し、この中間部は、もしも出口部が出口開口に向かって広くなる断面を有するとき、出口開口に向かって狭くなる断面を有し、或いは、もしも出口部が出口開口に向かって狭くなる断面を有するとき、出口開口に向かって広くなる断面を有している;
−前記空気誘導エレメントは、第一ピボット軸回りに回転運動が可能であるように前記通気導管内にその二つの通気位置の間で配置されている;
−前記接続部は、前記第一ピボット軸に沿って見たとき円弧の形の輪郭を有する内部接続面を備えている;
−前記空気誘導エレメントは、第一ピボット軸に対して垂直に延びる第二ピボット軸回りに回転運動が可能であるように前記通気導管内にその二つの通気位置の間で配置されている;
−前記第一ピボット軸と第二ピボット軸は、前記空気誘導エレメントがピボット点回りで移動可能であるように交差する;
−前記空気誘導エレメントは、前記第一ピボット軸に対して垂直に延びる平面に関して対称であり、特に中心軸周りの回転により生成する形状を有している;そして、
−前記出口部は、出口開口に向かって狭くなる断面を有し、前記空気誘導エレメントは空気出口の反対方向に向かう実質的に水滴の形をとっている。
【0007】
本発明は、実施例により又添付図面を参照することにより純粋に与えられた以下の記載を読むことからよりよく理解されよう。
【好適な実施例の記載】
【0008】
図1と図2は、本発明によるファンを図示し、概して2で表す。
該ファン2は、特に自動車において使用されるのが適当である。
ファン2は、通気導管4と、同導管4内に配置される単一の空気誘導挿入部品6とから構成されている。
【0009】
通気導管4は、空気入口開口8と空気出口開口10とを画定する実質的にパイプである。該通気導管4は、入口開口8から、接続部12と中間部14と出口部16とによって出口開口10へ連続的に構成されている。
【0010】
入口開口8は、該ファンの上流側を限定し、他方、出口開口10は、ファン2の下流側を限定する。
通気導管4は、対称軸X‐Xに沿い延びており、この軸X‐X周りの回転により生成する形状を有している。
【0011】
中間部14は、出口開口10向かって広くなる断面を有し、出口部16は、出口開口10に向かって狭くなる断面を有している。
接続部12は、部分球の形をした環状内面19を画定している。
【0012】
誘導挿入部品6は、該ファンの上流側から下流側に向かって、接続部分20と単一の空気誘導エレメント22と保持先端部24とから構成されている。
該保持先端部24は、誘導エレメント22を容易に取り扱えるように、出口開口10を超えて突出している。
【0013】
空気誘導エレメント22は、図1の軸X‐Xと整合している軸Y‐Y周りの回転により生成する形状を有する。この例では、誘導エレメント22は空気出口10の反対方向に向かう水滴の形をとっている。該誘導エレメント22はこのようにして単一の空気誘導表面23を形成する。
【0014】
誘導エレメント22は中間部14と出口部16の断面より小さい断面を有している。軸X‐Xに対して垂直の平面内では、同誘導エレメント22の寸法は垂直二方向で同じ大きさである。誘導エレメント22は、より正確には表面23と中間部14と出口部16とはこのように共に各通気位置において気流断面30(図2A)を限定する。該気流断面30は、出口部16の全長に亘ってかつ中間部14の全長に亘って実質的に一定の横断面面積を有している。
【0015】
接続部分20は、3個のスポーク42(図3Bを見よ)と接続ロッド44とを備える接続リング40を有している。誘導エレメント22は、同誘導エレメント22が接続部分20に対して一直線にならないように接続ロッド44とスポーク42とにより接続リング40に固定されている。
【0016】
誘導エレメント22が、垂直でかつ交差する2個のピボット軸R1とR2回りに、独立に回転できるように、接続リング40は前記接続部12の表面19の内径と実質的に等しい外径を有する。すなわち、誘導エレメント22は軸X‐X上に配置されたピボット点R回りにピボットのように動かされ得る。
【0017】
図1と図2から理解され得るように、誘導エレメント22はこのようにして複数の通気位置の間で回転点R回りに使用者によって移動が可能である。接続部分20と接続部12とによる誘導エレメント22の通気導管4への接続は、極めて容易である。
【0018】
更に、挿入部品6が、それ自身の重さによって加えられる力に抗して、通気導管4に対して保持されるように、接続リング40は摩擦により表面19と協働する。誘導挿入部品6は、このようにして、リング40によってのみ導管4に接続され、この挿入部品を保持するための他の手段は必要とされない。
【0019】
通気導管4は、有利なことに、軸X‐Xを有する長手方向の平面に沿って分離された2個の組立部品により製造され、誘導エレメント22と接続部分20は、特にプラスチック材料を注入することにより単一部片として製造される。ファン2はこのようにして、簡単に組立可能な3個の部品だけからなっている。
【0020】
本発明によるファンは以下のように作動する。
このファン内の気流Fの流れは、開口8に導入され、「コアンダ効果(Coanda Effect)」として公知の効果の下、運び出される。
【0021】
誘導エレメント22が図1に示すように、中央の位置にあるとき、通気空気Fの流れは該誘導エレメント22回りの気流断面30内で、実質的に層流のように流れ、出口開口10を通して軸X‐Xに平行なD1方向に排気される。気流Fの部分流F1とF2とF3とは等しい速さを有している。
【0022】
誘導エレメント22がその中央位置からずれて在るとき、例えば、図2に示すように上方に在るとき、気流Fは誘導エレメント22と反対側の出口部16の一部に亘って優勢に流れる。コアンダ効果により、部分流F1の速さは部分流F2と部分流F3の速さより小さく、該空気は誘導エレメント22と反対側の出口部16の壁の部分を流れる。従って、気流Fは中心軸X‐Xに対して上方に傾いたD2方向に出口開口10から排気される。
【0023】
製造の容易さに加え、図1から図3Bに関連して上に記載した実施例は、任意の方向への保持先端部24の移動が同方向への空気の偏向に導くという利点を有する。このファンは従って人間工学的である。
【0024】
変形例においては、中間部14は出口開口10に向かって狭くなる断面を有しているが、一方、出口部16は出口開口10に向かって広くなる断面を有している。この例において、誘導エレメント22は、出口開口10に向かって狭くなる、中間部14に配置された部分と、出口開口10に向かって広くなる、出口部16に配置された部分と、を有している。この変形例も製造するのは容易である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一通気配置における、通気導管が切断面で図示された、本発明によるファンの側面図である。
【図2】第二通気配置における、図1のファンの側面図である。
【図2A】図2の線IIA−IIAに沿った断面である。
【図3A】本発明によるファンの通気導管の斜視図である。
【図3B】本発明によるファンの空気誘導挿入部品の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンの出口開口(10)を画定する出口部(16)を備えた通気導管(4)を有する型のファンで、同ファンは更に、前記出口部(16)内に配置されかつ少なくとも二つの通気位置の間で移動可能な空気誘導エレメント(22)を有しており、該空気誘導エレメント(22)および前記出口部(16)は共に各通気位置において気流の断面(30)を限定しており、該ファンは単一の空気誘導エレメント(22)を有し、その気流の断面(30)は空気の流れ(F)を異なった出口方向(D1、D2)に誘導可能であり、前記空気誘導エレメント(22)は、実質的にその全長に亘って、各通気位置において出口部(16)と共に気流断面(30)を画定する単一の空気誘導表面(23)を有し、
前記ファンは、同空気誘導エレメント(22)がその少なくとも二つの通気位置の間で移動可能であるように、前記空気誘導エレメント(22)に固定され、かつ出口部(16)の上流に配置され、かつ前記空気誘導エレメント(22)を通気導管(4)に接続する接続部分(20)を有すること、と、同空気誘導エレメント(22)が同接続部分(20)に対して一直線でないこと、とを特徴とするファン。
【請求項2】
請求項1によるファンであって、前記通気導管(4)が、出口部(16)の上流に配置された接続部(12)を有し、かつ、前記接続部分(20)は該接続部(12)内に配置されている、ことを特徴とするファン。
【請求項3】
請求項1か請求項2によるファンであって、前記空気誘導エレメント(22)と前記接続部分(20)が一体に製造される、ことを特徴とするファン。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つによるファンであって、前記空気誘導エレメント(22)は、前記通気導管(4)に前記接続部分(20)によってのみ接続されている、ことを特徴とするファン。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つによるファンであって、前記出口部(16)は、前記出口開口(10)に向かって広くなるか又は狭くなる断面を有すること、と、前記空気誘導エレメント(22)の各通気位置において流れ断面(30)が出口部(16)の長さに亘って実質的に一定であること、とを特徴とするファン。
【請求項6】
請求項5によるファンであって、前記通気導管(4)は、上流側にて出口部(16)に接続される中間部(14)を有すること、と、かつ、この中間部(14)は、もしも出口部(16)が出口開口(10)に向かって広くなる断面を有するとき、出口開口(10)に向かって狭くなる断面を有し、或いは、もしも出口部(16)が出口開口に向かって狭くなる断面を有するとき、出口開口(10)に向かって広くなる断面を有すること、とを、特徴とするファン。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つによるファンであって、前記空気誘導エレメント(22)は、第一ピボット軸(R1;R2)回りに回転運動が可能であるように前記通気導管(4)内にその二つの通気位置の間で配置されること、を特徴とするファン。
【請求項8】
請求項2と請求項7との組合せによるファンであって、前記接続部(12)は、前記第一ピボット軸(R1;R2)に沿って見たとき、円弧の形の輪郭を有する内部接続面(19)を備えること、を特徴とするファン。
【請求項9】
請求項7又は請求項8によるファンであって、前記空気誘導エレメント(22)は、第一ピボット軸(R1;R2)に対して垂直に延びる第二ピボット軸(R2;R1)回りに回転運動が可能であるように前記通気導管(4)内にその二つの通気位置の間で配置されることを、特徴とするファン。
【請求項10】
請求項9によるファンであって、前記第一ピボット軸(R1;R2)と第二ピボット軸(R2;R1)は、前記空気誘導エレメントがピボット点(回転軸)(R)回りに移動可能なように交差することを、特徴とするファン。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか一つによるファンであって、前記空気誘導エレメント(22)は、前記第一ピボット軸(R1;R2)に対して垂直に延びる平面に関して対称であり、特に中心軸(Y−Y)周りの回転により生成する形状を有していること、を特徴とするファン。
【請求項12】
請求項11によるファンであって、前記出口部(16)は、出口開口に向かって狭くなる断面を有すること、と、かつ、前記空気誘導エレメント(22)は空気出口(10)の反対方向に向かう実質的に水滴の形をとっていること、とを特徴とするファン。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−503708(P2008−503708A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517362(P2007−517362)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001579
【国際公開番号】WO2006/010820
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505003322)
【Fターム(参考)】