説明

フィラメントランプおよび光照射式加熱処理装置

【課題】 複数のフィラメントの点灯状態が独立に制御されて所望の光放射照度分布が得られ、しかも、大電力が投入可能であって各フィラメントについて急速な立ち上がり特性が得られるフィラメントランプおよび被処理体を均一に加熱することができる光照射式加熱処理装置を提供すること。
【解決手段】 フィラメントランプは、発光管の内部に、各々コイル状のフィラメントとリードとからなるフィラメント体の複数が管軸方向に並んで配設されてなり、各フィラメントに独立に給電される構成のものであって、各リードは、フィラメントのコイル軸方向に伸びるフィラメント連結部がフィラメントの端部の内部空間内に挿入されてその外周面がフィラメントに当接状態で配置されると共に、フィラメントの径方向に伸びる径方向部がフィラメントのコイルピッチ間に挟まれた状態で係止されて、フィラメントと連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントランプおよび光照射式加熱処理装置に関し、特に、被処理体を加熱処理するために用いられるフィラメントランプおよび当該フィラメントランプを備えた光照射式加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程における、例えば成膜、酸化拡散、不純物拡散、窒化、膜安定化、シリサイド化、結晶化、イオン注入活性化などの様々なプロセスを行うに際しては、加熱処理が利用されており、特に、例えば半導体ウエハなどの被処理体の温度を急速に上昇させたり下降させたりする急速熱処理(以下、「RTP:Rapid Thermal Processing」ともいう。)は、歩留まりや品質を向上させることができることから、好ましく利用されている。
【0003】
RTPにおいて用いられる加熱処理装置としては、例えば光透過性材料からなる発光管の内部にフィラメントが配設されてなる白熱ランプなどの光源からの光照射によって、被処理体に接触することなくこれを加熱することのできる光照射式の加熱処理装置が広く利用されている(特許文献1,特許文献2参照)。
このような光照射式の加熱処理装置によれば、例えば、被処理体を1000℃以上の温度にまで、数秒から数十秒で昇温させることが可能であると共に、光照射を停止することにより、被処理体を急速に冷却(降温)させることが可能である。
【0004】
このような光照射式の加熱処理装置を用いて例えば半導体ウエハのRTPを行う場合においては、半導体ウエハを1050℃以上に加熱する際に半導体ウエハに温度分布の不均一が生じると、半導体ウエハに「スリップ」と呼ばれる現象、すなわち結晶転移の欠陥が発生し不良品となるおそれがあるため、半導体ウエハの全面の温度分布が均一になるように、加熱、高温保持、冷却を行うことが必要とされている。すなわち、RTPにおいては、被処理物の高精度な温度均一性が求められている。
【0005】
而して、例えば光照射面全面の物理特性が均一である半導体ウエハに対して放射照度が均一になるように光照射を行った場合であっても、半導体ウエハの周辺部においては、半導体ウエハの側面等から熱が放射されるため、半導体ウエハの周辺部の温度が低くなって半導体ウエハには温度分布の不均一が生じる。
このような問題を解決するために、半導体ウエハの周辺部の表面における放射照度を半導体ウエハの中央部の表面における放射照度よりも大きくなるように光照射することによって、半導体ウエハの側面等からの熱放射による温度低下を補償して半導体ウエハにおける温度分布を均一にすることが行われている。
【0006】
例えば特許文献1に開示されている加熱処理装置は、図27に示すように、光透過性材料からなるチャンバ31外の上下両段に、複数本の白熱ランプ32,33が上下で対向しかつ互いに交差するように配置されてなり、チャンバ31内に収納される被処理体Wをその両面から白熱ランプ32,33によって光照射してこれを加熱する構成とされている。 この加熱処理装置30においては、図28にも示すように、上段の両端にある加熱用の白熱ランプL1,L2のランプ出力を中央部の加熱用の白熱ランプL3のランプ出力に比べて大きくし、下段の両端にある加熱用の白熱ランプL4、L5のランプ出力を中央部の加熱用の白熱ランプL6のランプ出力に比べて大きくする設定することにより、被処理体Wの周辺部WBでの放熱作用による温度低下を補償して、被処理体Wの中央部と周辺部との温度差を小さくし、被処理体Wの温度分布を均一にすることが可能である、とされている。
【0007】
しかしながら、上記従来の加熱処理装置30においては、例えば図28に示すように、被処理体Wにおける、白熱ランプの発光長に比して極めて小さい狭小な特定領域WAについては、当該特定領域WAの特性に対応した光強度で光照射を行っても、特定領域WA以外の領域にも同じ条件で光照射されてしまうため、特定領域WAとその他の領域とが適切な温度状態となるように温度調整すること、すなわち、被処理物Wの温度状態が均一になるよう、狭小な特定領域WAに対する放射照度のみを制御することはできない。
【0008】
例えば半導体ウエハには、その表面にスパッタリング法などにより金属酸化物等からなる膜が形成されていたり、また、イオン注入により不純物添加物がドーピングされていることが一般的であり、このような金属酸化物の膜厚や不純物イオンの密度には、半導体ウエハの表面上で場所的な分布を有する。このような場所的分布は、必ずしも半導体ウエハの中心に対して中心対称ではなく、例えば不純物イオン密度については、半導体ウエハの中心に対して中心対称ではない狭小な特定領域において不純物イオン密度が変化することがある。
このような特定領域においては、他の領域と同一の放射照度となるように光照射した場合であっても、温度上昇速度に差異が生じることがあり、特定領域の温度とその他の領域の温度とは必ずしも一致しない。
従って、上記従来の加熱処理装置30においては、被処理体Wの処理温度に不所望な温度分布が生じることになり、被処理体Wに所望の物理特性を付与することが困難になる、という問題が生じる。
【0009】
また、特許文献2に開示されている加熱処理装置は、図29に示すように、ランプハウス41内に、U字形状を有しフィラメント45への給電装置が発光管の両端部に設けられているダブルエンドランプ43を紙面に対し平行方向及び垂直方向に複数個並べて構成される第1のランプユニット42と、この第1のランプユニット42の下方側に配設された、直線形状を有しフィラメントへの給電装置が発光管の両端部に設けられているダブルエンドランプ47を紙面に沿って紙面と垂直方向に複数個並べて構成される第2のランプユニット46とが配設されてなり、第2のランプユニット46の下方位置においてサポートリング48上に載置される半導体ウエハなどの被処理体Wを加熱する構成とされている。 そして、この加熱処理装置40においては、被処理体Wにおける、他の部分に比して温度が低くなる傾向にある、被処理体Wを載置するサポートリング48との接続部の温度を上昇させるため、接続部の上方に位置する第1のランプユニット42に属するU字形状のランプを高出力にするよう制御する機構を備えている。
【0010】
この加熱処理装置40においては、まず、被処理体Wである半導体ウエハの加熱領域を中心対称で同心の複数のゾーンに分割し、第1のランプユニット42および第2のランプユニット46の各ランプによる照度分布を組み合わせて、分割されたゾーンの各々に対応した、半導体ウエハの中心に対して中心対称である合成照度分布パターンを形成し、ランプからの光の照度バラツキの影響を抑制するために、半導体ウエハが回転された状態で、各ゾーンの温度変化に応じた加熱処理が行われる。
このような加熱処理装置40によれば、被処理体Wの同心に配置される各ゾーンを個別の照度で加熱することが可能とされており、これにより、被処理体Wの温度状態を均一にすることが可能である、とされている。
【0011】
しかしながら、上述の特定領域が半導体ウエハの中心に対して中心対称でない場合については、半導体ウエハを回転させて加熱処理を行っているので、上記の問題点を良好に解決することはできない。
【0012】
また、この加熱処理装置40は、実用上は以下に示すような問題点が生じるおそれがあると考えられる。具体的には、U字形状を有するランプは、水平部44Bと一対の垂直部44Aとから構成されているが、発光に寄与するのは内部にフィラメント45が配設されている水平部44Bのみであることから、個々のランプは無視できない程度の空間を介在して離間して配置されることとなるため、この空間の直下に対応する部分では温度分布が生じるものと考えられる。
すなわち、各ゾーンに対応する、第1のランプユニット42および第2のランプユニット46の各ランプによる照度分布を組み合わせて半導体ウエハの中心対称の合成照度分布を形成したとしても、上記空間の直下に対応する部分では照度が比較的急峻に変化(低下)するため、各ゾーンの温度変化に応じた加熱を行おうとしても、上記空間の直下に対応する部分近傍で生じる温度分布を小さくすることは、比較的難しいものと考えられる。
さらに、このような加熱処理装置40は、近年、ランプユニットを配設するためのスペース(主として高さ方向)を極力小さくする傾向にあることから、U字形状を有するランプを使用すると、ランプの垂直部に対応するスペースが必要となるため、小スペース化の観点からは好ましくない。
【0013】
以上のような事情に鑑みて、本発明者らは、次のような構成を有する、光照射式加熱処理装置の光源として用いられるフィラメントランプを提案している(特願2005−191222号明細書参照)。
図30は、フィラメントランプの一例における構成の概略を示す説明用斜視図である。 このフィラメントランプ50は、両端が気密に封止された直管状の発光管51を備えてなり、この発光管51内には、各々コイル状のフィラメントとフィラメントに給電するためのリードとからなるフィラメント体53A,53Bの複数(図30においては2個)が、フィラメントが発光管51の管軸方向に伸びるよう、管軸方向に順次に並んで配置されている。
【0014】
一方のフィラメント体53Aにおけるフィラメント54Aの一端に連結される一端側のリード56Aは、フィラメント54A,54Bの間に配設された例えば石英ガラスからなる絶縁体61に形成された貫通穴62A内を挿通されて発光管51の一端側の封止部52Aに気密に埋設された金属箔57Aを介して封止部52Aから外部に突出する外部リード58Aに電気的に接続されており、また、一方のフィラメント体53Aにおけるフィラメント54Aの他端に連結される他端側のリード55Aは、発光管51の他端側の封止部52Bに埋設された金属箔57Dを介して外部リード58Dに電気的に接続されている。一端側のリード56Aにおける他方のフィラメント体53Bのフィラメント54Bと対向する部分には、絶縁管60Aが設けられている。
また、他方のフィラメント体53Bにおけるフィラメント54Bの一端に連結される一端側のリード56Bは、発光管51の一端側の封止部52Aに埋設された金属箔57Bを介して外部リード58Bに電気的に接続されており、また、他方のフィラメント体53Bにおけるフィラメント54Bの他端に連結される他端側のリード55Bは、絶縁体61に形成された貫通穴62B内を挿通されて発光管51の他端側の封止部52Bに埋設された金属箔57Cを介して外部リード58Cに電気的に接続されている。他端側リード55Bにおける一方のフィラメント体53Aのフィラメント54Aと対向する部分には、絶縁管60Bが設けられている。
63Aおよび63Bは給電装置であって、一方の給電装置63Aは外部リード58A,58Dを介して一方のフィラメント体53Aに接続されていると共に、他方の給電装置63Bは外部リード58B,58Cを介して他方のフィラメント体53Bに接続されており、これにより、各フィラメント体53A,53Bにおけるフィラメント54A,54Bに個別に給電可能とされている。
また、59は、発光管51の内壁と絶縁管60A,60Bとの間の位置において、発光管51の管軸方向に並設された環状のアンカーであって、各フィラメント54A,54Bは、それぞれ、例えば3個のアンカーによって発光管51と接触しないよう支持されている。
【0015】
このフィラメントランプ50は、発光管51内に複数のフィラメント54A,54Bを有し、各フィラメント54A,54Bの発光等の制御を個別に行うことが可能な構造とされているので、光照射式加熱処理装置における加熱用光源として用いた場合には、複数本のフィラメントランプ50を並列に配列することにより、従来のような、発光管内に1つのフィラメントを有するフィラメントランプに比して、光照射される被処理体の被照射領域に対応してフィラメントを高密度に配置することが可能となる。
従って、このような光照射式加熱処理装置によれば、複数のフィラメント54A,54Bに対して個別に給電できて各フィラメント54A,54Bの発光等の制御を個別に行うことができることから、例えば平板状の被処理体上における特定領域が被処理体の形状に対し非対称である場合においても、当該特定領域に対して所望の光強度で光照射することが可能となる結果、熱処理される被処理体上における場所的な温度変化の度合いの分布が被処理体の形状に対して非対称である場合においても、被処理体を均一に加熱することができ、従って、被処理体における被照射面の全体にわたって、均一な温度分布を実現することができる。
さらに、例えば特許文献2に記載されているU字形状を有するランプを使用する光照射式の加熱処理装置と比較したとき、光照射式の加熱処理装置に搭載するフィラメントランプを直管状にすることが可能であるため、U字形状ランプの垂直部に対応するスペースが不要となり、加熱処理装置を小型化することができる。
【0016】
【特許文献1】特開平7−37833号公報
【特許文献2】特開2002−203804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
近年においては、更なる歩留まりの向上や品質の向上が求められており、上記フィラメントランプ50においてこのような要求を満足するためには、フィラメントランプ50の立ち上がりを急速にすることが必要であり、例えばフィラメント54A,54Bへの単位長さ当たりの投入電力を従来以上に増加することにより対応することができるものと考えられる。
単に、フィラメント54A,54Bに対して高い電力を投入した場合には、フィラメント54A,54Bが過剰に高温となって溶断してしまうおそれがあるため、素線径の大きいフィラメント構成材をコイル状に巻回することによりフィラメント54A,54Bを構成することが必要であると共に、フィラメント54A,54Bの抵抗はフィラメント構成材の断面積に反比例するので、フィラメント54A,54Bの抵抗が小さくなるのを避けるためには、太径のフィラメント構成材の素線径を大きくする場合には、フィラメント構成材の全長を十分に確保する必要がある。
しかし、フィラメント54A,54Bの軸方向の長さにはその構成上制約があるため、長いフィラメント構成材を使用しながら、フィラメント54A,54Bの軸方向長さを所定の長さにおさめるためには、フィラメント54A,54Bの巻径を大きくせざるを得ない。
【0018】
例えば図30に示すフィラメントランプ50においては、コイル状のフィラメント54Aとリード55A,56Aとを連結するために、リード55A,56Aはフィラメント54Aのコイル内径より若干大きい外径を有するものが用いられている。具体的には、4kWの電力をフィラメント54Aに投入してもフィラメント54Aが溶断することがないような構成とするためには、線径0.5mmのフィラメント構成材を使用し、フィラメント54Aのコイル外径を4.3mm、コイル内径を3.3mmとし、リード55A,56Aの外径を3.5mmとする必要がある。また、他方のフィラメント体53Bについても、同様である。
【0019】
しかしながら、外径3.5mmもの太さのリードを用いて図30に示すフィラメントランプ50を構成すると、リード56A,55Bの周囲を被覆する絶縁管60A,60Bについても、管径の大きなものを用いることが必要となり、また、発光管51の外径には制約があるから、絶縁管60A,60Bがフィラメント54A,54Bに接近することになって、絶縁管60A,60Bが点灯時に高温状態になったフィラメント54A,54Bの熱的影響を受けて溶融してリード56A,55Bが発光管51内に剥き出しの状態になり、発光管51内においてリード56A,55Bとフィラメント54A,54Bが接触することによって、隣接するフィラメント間で短絡を生じる、という不具合を生じるおそれがある。
【0020】
特に、温度分布の均一性を厳しく要求される被処理体の加熱処理に用いられる場合には、発光管内に配設した多数のフィラメントに対して個別に給電する必要が生じるため、発光管内に多数のリードが配設されることになり、隣接するフィラメント間で短絡が生じる危険性が高くなる。
【0021】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、複数のフィラメントの点灯状態を互いに独立して制御することにより所望の光放射照度分布を得ることができ、しかも、素線径の大きいフィラメント構成材が比較的大きな巻き径で巻回されてなるコイル状のフィラメントと、小径の給電用のリードとを確実に連結させることのできる特定のフィラメント支持構造が採用され、フィラメントに大電力を投入することができる構成のものでありながら、隣接するフィラメント間で短絡が生じることのないフィラメントランプを提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記フィラメントランプを備え、被処理体を均一に加熱することができるとともに、小型化することが可能な光照射式加熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のフィラメントランプは、両端に封止部が形成された直管状の発光管の内部に、各々コイル状のフィラメントと当該フィラメントに電力を供給するリードとが連結されてなるフィラメント体の複数が、各フィラメントが発光管の管軸方向に伸びるよう、管軸方向に順次に並んで配設され、各フィラメント体におけるリードの各々が封止部に配設された複数の導電性部材の各々に対して電気的に接続されて各フィラメントに対してそれぞれ独立に給電されるフィラメントランプであって、
各リードは、フィラメントのコイル軸方向に直交する方向に伸びる径方向部と、フィラメントのコイル軸方向に伸びるフィラメント連結部とを有し、
フィラメント連結部がフィラメントの端部における内部空間内に挿入されて外周面がフィラメントの内面に当接状態で配置されると共に径方向部がフィラメントのコイルピッチ間に挟まれた状態で径方向外方に突出して伸びるよう係止され、フィラメントとリードとが連結されていることを特徴とする。
【0023】
本発明のフィラメントランプにおいては、各リードは、フィラメントのコイル軸方向に伸びるリード本体部と、径方向部を有すると共に先端部がリード本体部方向に伸びる鉤状部とを有し、隣接するフィラメントの間の位置には、リードの鉤状部が係合される被係合部による位置決め機構が形成された板状の支持部材が配設されており、この支持部材によって支持されることによりフィラメントが発光管に対して位置決めされた構成とされていることが好ましい。
【0024】
また、本発明のフィラメントランプにおいては、リードにおけるフィラメント連結部は、リードを構成する線条材の一部がコイル状に巻回されて形成された構成とすることができる。
【0025】
さらに、本発明のフィラメントランプにおいては、リードにおけるフィラメント連結部は、径方向部を有するリード構成材とは別個のフィラメント連結部構成材がリード構成材の径方向部に接合されて形成された構成とすることができる。
【0026】
さらにまた、本発明のフィラメントランプにおいては、リードは、フィラメントコイルのコイル軸方向に伸びる線状のリード本体部構成材と、フィラメント連結部が一体に形成された、軸方向の断面形状がF字状の鉤状部構成材とが接合されて形成された構成とすることができる。
【0027】
本発明の光照射式加熱処理装置は、上記フィラメントランプが複数本並列配置されてなるランプユニットを有し、当該ランプユニットから放出される光を被処理体に照射して被処理体を加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明のフィラメントランプによれば、基本的には、各フィラメントに対して独立に給電される構成とされていることにより、被処理体を加熱処理するに際して、被処理体において狭小な領域で温度分布が不均一になったとしても、当該領域に位置するフィラメントに対する給電を調整することにより、被処理体上の狭小な領域における温度を調整することができるので、被処理体の全体にわたって均一な温度分布を実現することができる。
しかも、フィラメント連結部がフィラメントコイルの内部空間内に挿入されて当接状態で配置されると共に径方向部がコイルピッチ間に挟まれた状態とされてフィラメントとリードとが連結されていることにより、フィラメントの軸方向に対する変位およびフィラメントの径方向に対する変位が規制された状態とされるので、素線径およびコイル巻き径が大きいフィラメントとリードとを連結させる場合であっても、リードの線径をフィラメントの内径に適合するよう大きくすることなしに両者を確実に連結することができ、従って、大電力をフィラメントに投入することができる構成のものでありながら、隣接するフィラメント間で短絡が生じることを確実に防止することができる。
また、フィラメントランプの輸送時あるいは使用時において、フィラメントとリードの連結部位に衝撃が加わった場合であっても、フィラメントがリードから脱落するおそれがない。
【0029】
また、本発明のフィラメントランプによれば、リードの鉤状部の一部が係合される被係合部による位置決め機構が形成された板状の支持部材が配設されていることにより、更にフィラメントの周方向の変位(移動)が規制されるので、フィラメントの位置決めを一層確実に行うことができ、各フィラメントを発光管の所望の位置に高精度にかつ容易に配置することができると共に、フィラメント体の位置が経時的に変位することを防止することができて長期間の間にわたって所期の性能を確実に維持することができる。
【0030】
本発明の光照射式加熱処理装置によれば、上記フィラメントランプの複数からなるランプユニットを備えていることにより、ランプユニットから所定の距離だけ離間した被処理体上の照度分布を精密に、かつ、任意の分布に設定することが可能となるので、被処理体における場所的な温度変化の度合いの分布が被処理体の形状に対して非対称である場合においても、それに対応して、被処理体上の照度分布を設定することが可能となり、被処理体を均一に加熱することができる。
しかも、各フィラメントランプそれ自体の特性により、大電力をフィラメントに投入することができるので、更なる歩留まりおよび品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本発明のフィラメントランプの一例における構成の概略を示す説明用斜視図、図2は、複数のフィラメント体の配置パターンおよび構成を簡略化して示す説明図である。
このフィラメントランプ10は、両端部が溶着されて封止部12a,12bが形成された、例えば石英ガラスなどの光透過性材料からなる直管状の発光管11を備えてなり、この発光管11の内部には、複数例えば3つのフィラメント体14,15,16が発光管11の管軸方向に並列状態で配設されていると共にハロゲンガスが封入されている。
【0032】
フィラメント体14は、図3に示すように、フィラメントコイル14bとこのフィラメントコイル14bの他端部に連結された給電用のリード14aおよびフィラメントコイル14bの一端部に連結されたリード14cとにより構成されている。
【0033】
フィラメント体14における他端側のリード14aは、図4に示すように、1本の線条材により形成されており、線状のリード本体部142aと、このリード本体部142aに直交する方向(連結されるフィラメントコイルの径方向)に伸びる径方向部分を有する鉤状部140aとを有する。
鉤状部140aは、リード本体部142aに連続してリード本体部142aに直交する方向に伸びるよう折り曲げられた径方向部143aと、この径方向部143aに連続する、コイル軸がリード本体部142aと並行して伸びるコイル状のフィラメント連結部141aと、このフィラメント連結部141aに連続してそのコイル軸方向に直交する方向に伸び、先端部がコイル軸方向に伸びるよう折り曲げられたL字状部144aとにより構成されている。
フィラメント連結部141aは、フィラメントコイル14bのコイル内径に適合する外径を有する。
【0034】
また、フィラメント体14における一端側のリード14cは、便宜上、リード14aと同一の構成部分には「a」を「c」に替えて同一の符号が付してある。
【0035】
このフィラメント体14においては、図5に示すように、フィラメントコイル14bの他端部をリード14aの径方向部143aに対して捩じ込むことにより、フィラメント連結部141aがフィラメントコイル14bの他端部における内部空間内に挿入されてその外周面がフィラメントコイル14bの内面に当接状態で配置されると共に、径方向部143aがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされている。そして、フィラメント連結部141aの外径はフィラメントコイル14bの内径よりやや大きく、かつ径方向部143aの外径はフィラメントコイル14bのコイルピッチよりもやや大きいので、リード14aとフィラメントコイル14bとの強固な連結が達成されている。
また、リード14cについても同様に、フィラメント連結部141cがフィラメントコイル14bの内部に当接状態で配置されると共に、径方向部143cがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされ、これにより、リード14cとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
【0036】
フィラメントコイル14bとフィラメント連結部141a,141cとは溶接されているわけではない。従って、フィラメントとリードとの連結部に曲げや捩れる力が作用した場合であっても、フィラメントまたはリードが損傷することを防止することができる。
【0037】
また、フィラメント体15,16についても、フィラメント体14と同一の構成とされており、フィラメントコイル15b(16b)とこのフィラメントコイル15b(16b)の他端部に連結された給電用のリード15a(16a)およびフィラメントコイル15b(16b)の一端部に連結されたリード15c(16c)とにより構成されている。
【0038】
また、発光管11の内部における隣接するフィラメント間の位置には、フィラメント体14,15,16を支持する、例えば石英ガラスなどの絶縁材料からなるディスク状の支持部材19a,19b,19c,19dが発光管11の管軸に対して垂直に設けられており、これらの支持部材19a,19b,19c,19dによってフィラメント体14,15,16が発光管11に対して位置決めされた状態で支持されている。
【0039】
支持部材19bには、図6に示すように、略中央部に開口197が形成されていると共に、その周縁部に、フィラメント体を位置決めするための位置決め機構を構成する複数例えば6つの切欠き部191,192,193,194,195,196が互いに周方向に離間した位置に形成されている。開口197を形成することは必須ではないが、支持部材19bに開口197を設けることにより、支持部材19bとフィラメントコイル14bとの間隔を大きくすることが可能となり、支持部材19bの熱的負荷を軽減することができる。
これらの切欠き部は、例えば切欠き部191と194、192と195、193と196の対が、支持部材19bの中心を通る仮想線の略同一線上に位置されている。
また、他の支持部材19a,19c,19dも、支持部材19bと同一の構成を有する。
【0040】
フィラメント体14は、一端側のリード14cにおける鉤状部140cが支持部材19bの切欠き部196に係合されると共にリード本体部142cが当該切欠き部196と対をなす切欠き部193内を挿通されて、フィラメントコイル14bが支持部材19bに対して垂直な方向に伸びる姿勢で、取り付けられており、また、他端側のリード14aにおける鉤状部140aが支持部材19aに対して同様に取り付けられており(図1参照)、これにより、フィラメント体14が発光管11に対して位置決めされた状態で支持される。
フィラメント体14の他端側のリード14aは、発光管11の他端側の封止部12aに気密に埋設された金属箔13aを介して外部リード18aに電気的に接続されている。また、一端側のリード14cは、支持部材19c,19dにおけるリードの鉤状部の位置決めに寄与しない切り欠き部内を挿通されて発光管11の管軸に沿って伸び、発光管11の一端側の封止部12bに気密に埋設された金属箔13dを介して外部リード18dに電気的に接続されている。
【0041】
フィラメント体15は、他端側のリード15aにおける鉤状部が、フィラメント体14の一端部を支持する支持部材19bの一面側において、フィラメント体14の一端側のリード14cの位置決めに寄与しない支持部材19bの切欠き部194に係合されると共にリード本体部が当該切欠き部194と対をなす切欠き部191内を挿通されて、フィラメントコイル15bが支持部材19bに対して垂直な方向に伸びる姿勢で、取り付けられており、一端側のリード15cにおける鉤状部が支持部材19cに対して同様に取り付けられており(図1参照)、これにより、フィラメント体15が発光管11に対して位置決めされた状態で支持される。
フィラメント体15の他端側のリード15aは、支持部材19aにおけるリードの鉤状部の位置決めに寄与しない切り欠き部内を挿通されて発光管11の管軸に沿って伸び、発光管11の他端側の封止部12aに気密に埋設された金属箔13bを介して外部リード18bに電気的に接続されている。また、一端側のリード15cは、支持部材19dにおけるリードの鉤状部の位置決めに寄与しない切り欠き部内を挿通されて発光管11の管軸に沿って伸び、発光管11の一端側の封止部12bに気密に埋設された金属箔13eを介して外部リード18eに電気的に接続されている。
【0042】
フィラメント体16は、図1に示すように、他端側のリード16aにおける鉤状部が、フィラメント体15の一端部を支持する支持部材19cの一面側において、フィラメント体15の一端側のリード15cの位置決めに寄与しない支持部材19cの切欠き部に係合されると共にリード本体部が当該切欠き部と対をなす切欠き部内を挿通されて、フィラメントコイル16bが支持部材19cに対して垂直な方向に伸びる姿勢で、取り付けられており、一端側のリード16cにおける鉤状部が支持部材19dに対して同様に取り付けられており、これにより、フィラメント体16が発光管11に対して位置決めされた状態で支持される。
フィラメント体16の他端側のリード16aは、支持部材19bの切欠き部195内および支持部材19aにおけるリードの鉤状部の位置決めに寄与しない切欠き部内を挿通されて発光管11の管軸に沿って伸び、発光管11の他端側の封止部12aに気密に埋設された金属箔13cを介して外部リード18cに電気的に接続されている。
フィラメント体16の一端側のリード16cは、発光管11の一端側の封止部12bに気密に埋設された金属箔13fを介して外部リード18fに電気的に接続されている。
【0043】
このフィラメントランプ10においては、フィラメント体のリードの、他のフィラメント体におけるフィラメントおよびリードと対向する箇所に、例えば石英などの絶縁材料からなる絶縁管が設けられている。絶縁管が設けられていることにより、後述するフィラメントに取り付けられたアンカーと、リードとが接触して電気的に短絡することを確実に防止することができる。
具体的には、図2に示すように、フィラメント体14における一端側のリード14cには、フィラメント体15のフィラメントコイル15bおよびフィラメント体16のフィラメントコイル16bと対向する箇所に、絶縁管25c,25eが設けられている。
また、フィラメント体15における一端側のリード15cには、フィラメント体16のフィラメントコイル16bと対向する箇所に、絶縁管25fが設けられており、他端側のリード15aには、フィラメント体14のフィラメントコイル14bと対向する箇所に、絶縁管25aが設けられている。
さらに、フィラメント体16における他端側のリード16aには、フィラメント体14のフィラメントコイル14bおよびフィラメント体15のフィラメントコイル15bと対向する箇所に、絶縁管25b,25dが設けられている。
【0044】
このフィラメントランプ10においては、発光管11の内壁と絶縁管との間の位置において、発光管11の管軸方向に並設された複数の環状のアンカー17が設けられており、各フィラメントコイル14b,15b,16bは、それぞれ、例えば2個のアンカーによって発光管11と接触しないよう支持されている。
アンカー17は、フィラメントランプ10を作製するに際して、複数のフィラメント体を発光管11内に容易に挿入して配設することができる程度の弾性を有する。
【0045】
上記構成のフィラメントランプ10は、第1の給電装置7a、第2の給電装置7b、第3の給電装置7cからなる電源部7に接続されている。詳細には、フィラメント体14と電気的に接続された外部リード18aおよび18dの間に第1の給電装置7aが接続され、フィラメント体15と電気的に接続された外部リード18bおよび18eの間に第2の給電装置7cが接続され、フィラメント体16と電気的に接続された外部リード18cおよび18fの間に第3の給電装置7bが接続されている。
【0046】
このフィラメントランプ10は、電源部7によって給電されることにより点灯駆動されるが、各フィラメント体14,15,16に個別の給電装置7a,7b,7cが接続されているので、各フィラメント体14,15,16のフィラメントコイル14b,15b,16bに個別に電力を給電することにより、各フィラメントコイル14b,15b,16bの点灯制御を個別に行うことができる。
【0047】
また、給電装置7a,7b,7cを可変電源により構成した場合には、各フィラメントコイル14b,15b,16bへ給電する電力量の割合を任意に設定することができるので、各フィラメントコイル14b,15b,16bから放射される光の強度比を任意に設定することができ、従って、上記フィラメントランプ10を光照射式加熱処理装置の加熱用光源として用いた場合に、フィラメントランプ10から照射される光の、被処理体上での放射照度分布が均一となるよう調整することができる。
例えば、上記フィラメントランプ10の下方に被照射体を設置し、フィラメント体14におけるフィラメントコイル14b直下の被処理体上の放射照度を、フィラメント体15におけるフィラメントコイル15b直下の被処理体上の放射照度よりも大きくする必要がある場合には、給電装置7aからフィラメント体14に給電する電力を、給電装置7bからフィラメント体15に給電する電力より大きくなるよう、可変電源である給電装置7aを調整すればよい。
【0048】
以上において、上記フィラメントランプ10が光照射式加熱処理装置の加熱用光源として用いられる場合は、一のフィラメント体のフィラメントコイルから放射される光の一部が、他のフィラメント体のリードや絶縁管によって遮られることがないように、各フィラメント体14,15,16を構成・配置することが肝要である。
具体的には、例えば、フィラメントコイル14b,15b,16bから放射された光が、図1の下方に設置された被処理体を照射する場合、フィラメントコイル14bから放射される光の一部がリード15a,リード16aにより遮光されないように、支持部材19a,19bに設けられた位置決め機構を構成する切欠き部のうち、リード15a,リード16aの通過部として機能している切欠き部の位置が決定される。また、フィラメントコイル15bから放射される光の一部がリード14c,リード16aにより遮光されないように、支持部材19b,19cに設けられた位置決め部である切欠き部のうち、リード14c,リード16aの通過部として機能している切欠き部の位置が決定される。さらに、フィラメントコイル16bから放射される光の一部がリード14c,リード15cにより遮光されないように、支持部材19c,19dに設けられた位置決め部である切欠き部のうち、リード14c,リード15cの通過部として機能している切欠き部の位置が決定される。
このように構成することにより、一のフィラメントから放射された光の一部が、他のフィラメントのリードおよび絶縁管によって遮光されることを防止することができる。
【0049】
上記構成のフィラメントランプ10によれば、基本的には、各フィラメントコイル14b,15b,16bに対して独立に給電される構成とされていることにより、被処理体を加熱処理するに際して、被処理体において狭小な領域で温度分布が不均一になったとしても、当該領域に位置するフィラメントに対する給電を調整することにより、被処理体上の狭小な領域における温度を調整することができることので、被処理体の全体にわたって均一な温度分布を実現することができる。
しかも、リード14a,14cにおけるフィラメント連結部141a、141cがフィラメントコイル14bの内部空間内に挿入されて当接状態で配置されると共に鉤状部140a,140cがコイルピッチ間に挟まれた状態とされてフィラメントコイル14bとリード14a,14cとが連結されていることにより、フィラメントコイル14bの軸方向に対する変位およびフィラメントコイル14bの径方向に対する変位が規制された状態とされるので、素線径およびコイル巻き径が大きいフィラメントコイル14bとリード14a,14cとを連結させる場合であっても、リード14a,14cの線径をフィラメントコイル14bの内径に適合するよう大きくすることなしに両者を確実に連結することができる。例えば素線径が0.5mm、コイル巻き径が4.3mmであるフィラメントコイルと、線径が0.8mmであるリードとであっても、両者を確実に連結することができる。 また、フィラメントコイル15b,16bについても同様である。
従って、例えば4kW以上もの大電力をフィラメントコイル14b,15b,16bに投入することができて各フィラメントコイル14b,15b,16bを所期の発熱状態となるよう急速に立ち上げることができる構成のものでありながら、ランプ点灯時に高温状態となるフィラメントの熱的影響を受けてリードの外周を被覆している絶縁管25a,25b,25c,25d,25e,25fが溶融することがないよう十分な大きさの間隔を確保した状態で、各フィラメント体14,15,16を発光管11内に配設することができるので、隣接するフィラメント間で短絡が生じることを確実に防止することができる。
【0050】
また、フィラメントランプ10の輸送時あるいは使用時において、フィラメントとリードの連結部位に衝撃が加わった場合であっても、フィラメントコイル14b,15b,16bがリードから脱落するおそれがない。
【0051】
さらに、フィラメント体14が、リード14cの鉤状部140cが係合される切欠き部からなる被係合部による位置決め機構が形成された板状の支持部材19bによって支持されていると共に、リード14aについても同様に支持部材19aによって支持されていることにより、更にフィラメントコイル14bの周方向の変位(移動)が規制されるので、フィラメント体14の位置決めを一層確実に行うことができる。
また、フィラメント体15,16についても、それぞれ、支持部材19b,19c,19dによって支持されていることにより、フィラメントコイル15b,16bの周方向の変位(移動)が規制されるので、フィラメント体15,16の位置決めを一層確実に行うことができる。
従って、各フィラメントコイル14b,15b,16bを発光管11内の所望の位置に高精度にかつ容易に配置することができると共に、各フィラメントコイル14b,15b,16bの位置が重力等の影響によって経時的に変位することを防止することができて長期間の間にわたって所期の性能を確実に維持することができる。
また、フィラメントコイル14b,15b,16bが断線するなどの不測の事態によってフィランメントランプの構成部材の一部を交換する必要が生じた場合においても、発光管11内に各フィラメントコイル14b,15b,16bを高い再現性で高精度に配置することができるため、例えばフィラメント体の交換前後における被処理体の表面上での放射照度分布の再現性を確保することができ、被処理体に対する適正な処理を行うことができる。
【0052】
以上のフィラメントランプ10においては、フィラメント体におけるリードは、例えば図7に示すような構成とすることができる。
このリード14cは、リード本体部142cと、リード本体部142cに連続してリード本体部142cに直交する方向に伸びるよう折り曲げられた径方向部143c、この径方向部143cに連続する、コイル軸がリード本体部142cと並行に伸びるコイル状のフィラメント連結部141c、このフィラメント連結部141cに連続して一端側に傾斜しながらコイル軸方向に直交する方向に伸びる傾斜部145cおよびこの傾斜部145cに連続して先端部がコイル軸方向に伸びるよう折り曲げられたコ字状部146cからなる鉤状部140cとにより構成されており、径方向部143cの一端縁とコ字状部146cの一端縁とが同一線上に位置された状態とされている。
【0053】
通常、フィラメントコイル14bにおけるフィラメント連結部141cの外表面と接している箇所は、他の箇所よりも熱容量が低く低温状態となって他の箇所に比べて放射される光が少ない。
然るに、リード14が上記のような構成とされていることにより、図6を参照して説明すると、鉤状部140cを支持部材19bの所定の切欠き部196に係合させると共にリード本体部142cを当該切欠き部196と対をなす切欠き部193内に挿通させた際に、フィラメント連結部141cを支持部材19bの開口197内に配置することができるので、フィラメント連結部141cを支持部材19bの開口197外に配置した場合に比して、フィラメントランプ10の軸方向における照度分布を均一な状態とすることができる。
【0054】
本発明のフィラメントランプにおいては、上記第1実施形態に係るフィラメント支持構造に限定されるものではなく、以下に示すフィラメント支持構造によりフィラメントとリードとが連結された構成とすることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
図8は、本発明の第2実施形態に係るフィラメントランプの一構成例におけるフィラメント体の構成を示す正面図、図9は、図8に示すフィラメント体におけるリードの構成を示す説明図であって、(A)正面図、(B)側面図であり、図10は、フィラメント体のリードとフィラメントとの連結部を示す拡大断面図である。
【0056】
このフィラメント体14は、フィラメントコイル14bとこのフィラメントコイル14bの他端部に連結された給電用のリード14aおよびフィラメントコイル14bの一端部に連結されたリード14cとにより構成されている。
リード14cは、フィラメントコイル14bのコイル軸方向に伸びる線状のリード本体部142cと、このリード本体部142cに連続してリード本体部142cに直交する方向(フィラメントコイル14bのコイル軸に直交する方向)に伸びる径方向部143cおよびこの径方向部143cに接合された、フィラメントコイル14bのコイル軸方向に伸びる円板状のフィラメント連結部141cを有し、径方向部143cの先端部がコイル軸方向外方に向かって伸びるよう折り曲げられた鉤状部140cとにより構成されている。 また、リード14aについても、リード14cと同一の構成を有し、図8において、便宜上、リード14cと同一の構成部材には「c」を「a」に替えて同一の符号が付してある。
【0057】
フィラメント連結部141cは、フィラメントコイル14bのコイル内径に適合する外径を有する。
【0058】
リード本体部142cおよび鉤状部140cが1本の線条材により形成されたリード構成部材と、フィラメント連結部141cを構成するフィラメント連結部構成材との接合方法は、特に限定されるものではなく、例えば溶接などにより行われる。
【0059】
このフィラメント体14においては、フィラメントコイル14bの一端部をリード14cの鉤状部140cに対して捩じ込むことにより、フィラメント連結部141cがフィラメントコイル14bの内部空間内に挿入されて外周面がフィラメントコイル14bの内面に当接状態で配置されると共に、鉤状部140cの径方向部分がフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされている。そして、フィラメント連結部141cの外径はフィラメントコイル14bの内径よりやや大きく、かつ鉤状部140cの径方向部143cの外径はフィラメントコイル14bのコイルピッチよりもやや大きいので、リード14cとフィラメントコイル14bとの強固な連結が達成されている。
また、リード14aについても同様に、フィラメント連結部141aがフィラメントコイル14bの内部に当接状態で配置されると共に、鉤状部140aの径方向部143aがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされ、これにより、リード14aとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
【0060】
フィラメントコイル14bとフィラメント連結部141a,141cとは溶接されているわけではない。従って、フィラメントとリードとの連結部に曲げや捩れる力が作用した場合であっても、フィラメントコイルまたはリードが損傷することを防止することができる。
【0061】
フィラメント体14は、図11に示すように、フィラメント連結部141cが支持部材19bの略中央に設けられた開口197内に位置された状態で、一端側のリード14cにおける鉤状部140cが支持部材19bの2箇所の切欠き部193,196に係合されて、フィラメントコイル14bが支持部材19bに対して垂直な方向に伸びる姿勢で、取り付けられている。
また、他端側のリード14aにおける鉤状部140aが支持部材19aに対して同様に取り付けられており、これにより、フィラメント体14が発光管11に対して位置決めされた状態で支持される(図1参照)。
【0062】
第2実施形態に係るものにおいては、必然的にフィラメント連結部141cが支持部材19bに向けて伸びる構成となるため、支持部材19bに開口197を設けることが必須となり、図1に示すように、支持部材19a、19c、19dについても、略中央部に開口が形成されている。
【0063】
上記構成のフィラメント体14を備えたフィラメントランプ10によれば、上記第1実施形態に係るフィラメントランプと実質的に同等の効果を得ることができることに加え、さらに以下のような効果を得ることができる。
すなわち、フィラメント連結部141cを支持部材19bの開口197内に配置することにより、フィラメントランプ10の管軸方向において、光が放射されない領域(デッドゾーン)が支持部材19bの厚み相当の長さのみで済むことから、被処理物体上での照度分布への悪影響を最小限とすることができる。フィラメントコイル14bにおいて、フィラメント連結部141aに巻き付いている部分は、フィラメント連結部への熱伝導のためフィラメントの温度が上がらないという理由により、発光しないからである。
また、支持部材19bに開口部197が設けられていることにより、支持部材19bとフィラメントコイル14bとの間隔を大きくすることが可能となり、支持部材19bの熱的負荷を軽減することができる、という利点もある。
なお、以上においては、一のフィラメント体に着目して説明したが、他のフィラメント体についても、同様の効果が奏されることはいうまでもない。
【0064】
以上においては、フィラメント連結部は、フィラメントコイルの内径に適合する外径を有する外形形状部分を有するものであれば、外形形状が円板状であるものに限定されず、例えば図12(A)に示すような、中央に開口が設けられた円環状のものや、例えば図12(B)に示すような、円環の一部を切欠いたC字状のものにより構成することができる。
【0065】
〔第3実施形態〕
図13は、本発明の第3実施形態に係るフィラメントランプの一構成例におけるフィラメント体の構成を示す正面図、図14は、図13に示すフィラメント体におけるリードとフィラメントとの連結部を示す拡大断面図である。
【0066】
このフィラメント体14は、フィラメントコイル14bとこのフィラメントコイル14bの他端部に連結された給電用のリード14aおよびフィラメントコイル14bの一端部に連結されたリード14cとにより構成されている。
リード14aは、フィラメントコイル14bのコイル軸方向に伸びる線状のリード本体部142aと、このリード本体部142aに連続してリード本体部142aに直交する方向(フィラメントコイル14bのコイル軸方向に直交する方向)に伸びる径方向部143aおよびこの径方向部143aに接合された、フィラメントコイル14bのコイル軸方向に伸びる棒状のフィラメント連結部141aを有し、径方向部143aの先端部がコイル軸方向外方に伸びるよう折り曲げられた鉤状部140aとにより構成されている。
また、リード14cについても、リード14aと同一の構成を有し、図13において、便宜上、リード14aと同一の構成部材には「a」を「c」に替えて同一の符号が付してある。
【0067】
フィラメント連結部141aは、図15に示すように、一端部に例えば削り出し加工により平面部147aが形成された、フィラメントコイル14bのコイル内径に適合する外径を有する棒状のフィラメント連結部構成材21が、その平面部147aがリード構成材20における径方向部143aに対して例えば溶接などにより接合されて、構成されている。フィラメント連結部構成材21が平面部147aを有することにより、径方向部143aに対してフィラメント連結部構成材21を容易に接合することができる。
【0068】
このフィラメント体14においては、フィラメントコイル14bの一端部をリード14aの鉤状部140aに対して捩じ込むことにより、フィラメント連結部141aがフィラメントコイル14bの内部空間内に挿入されて外周面がフィラメントコイル14bの内面に当接状態で配置されると共に、鉤状部140aの径方向部143aがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされている。そして、フィラメント連結部141aの外径はフィラメントコイル14bの内径よりやや大きく、かつ鉤状部140aの径方向部143aの外径はフィラメントコイル14bのコイルピッチよりもやや大きいので、リード14aとフィラメントコイル14bとの強固な連結が達成されている。
また、リード14cについても同様に、フィラメント連結部141cがフィラメントコイル14bの内部空間内に挿入されて外周面がフィラメントコイル14bの内面に当接状態で配置されると共に、鉤状部140cの径方向部143cがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされ、これにより、リード14cとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
【0069】
フィラメントコイル14bとフィラメント連結部141a,141cとは溶接されているわけではない。従って、フィラメントコイルとリードとの連結部に曲げや捩れる力が作用した場合であっても、フィラメントコイルまたはリードが損傷することを防止することができる。
【0070】
フィラメント体14は、第2実施形態と同様に、フィラメント連結部141aが支持部材の略中央に設けられた開口内に位置された状態で、他端側のリード14aにおける鉤状部140aが支持部材19aの2箇所の切欠き部に係合されて、フィラメントコイル14bが支持部材19aに対して垂直な方向に伸びる姿勢で、取り付けられていると共に、一端側のリード14cにおける鉤状部140cが支持部材19bに対して同様に取り付けられており、これにより、フィラメント体14が発光管11に対して位置決めされた状態で支持される(図1参照)。
【0071】
上記構成のフィラメント体14を備えたフィラメントランプ10によれば、上記第1実施形態に係るフィラメントランプと実質的に同等の効果を得ることができる。
【0072】
以上の第3実施形態に係るフィラメントランプ10においては、図16(A)に示すように、フィラメント体14におけるリード14aを構成するフィラメント連結部構成材21がその平面部147aに、径方向部143aの外径よりもやや幅の狭い溝部148aが径方向に伸びるよう形成された構成のものとすることができる。
このリード14aは、図16(B)に示すように、フィラメント連結部構成材21の溝部148aにリード構成材20の径方向部143aが配置され、平面部147aと溝部148aとの境界部Eにおいて、径方向部143aとフィラメント連結部構成材21とが例えば溶接により接合されて、構成されている。フィラメント連結部構成材21における平面部147aに溝部148aが形成されていることにより、フィラメント連結部141aを径方向部143aに容易に接合することができる。
【0073】
〔第4実施形態〕
図17は、本発明の第4実施形態に係るフィラメントランプの一例におけるフィラメント体を構成するリードの構成を示す(A)正面図、(B)リードの作製方法を示す説明図である。
このリード14aは、線状のリード本体部142aと、このリード本体部142aに直交する方向(フィラメントコイル14bのコイル軸に直交する方向)に伸びる径方向部143aおよびこの径方向部143aと一体に成形された、リード本体部142aと並行に伸びる棒状のフィラメント連結部141aを有し、径方向部143aの先端部がリード本体142aと並行に伸びるよう折り曲げられた鉤状部140aとにより構成されている。 このリード14aは、リード本体部構成材22の一端部に、例えば金型法により作製された断面形状がF字状の鉤状部構成材23における径方向部分の基端部が当接された状態において、リード本体部構成材22と鉤状部構成材23とを例えば溶接することにより接合し、これにより、得ることができる。ここに、リード本体部構成材22と鉤状部構成材23との溶接部Wpは、フィラメント連結部141aと十分に離間した位置に形成されている。
【0074】
このような構成のリード14aとフィラメントコイル14bとの連結は、フィラメントコイルの一端部をリード14aの鉤状部140aに対して捩じ込むことにより、フィラメント連結部141aがフィラメントコイルの内部空間内に挿入されて外周面がフィラメントコイルの内面に当接状態で配置されると共に、鉤状部140aの径方向部143aがフィラメントコイルのコイルピッチ間においてフィラメントコイルの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされている。そして、フィラメント連結部141aの外径はフィラメントコイル14bの内径よりやや大きく、かつ鉤状部140aの径方向部143aの外径はフィラメントコイル14bのコイルピッチよりもやや大きいので、リード14aとフィラメントコイル14bとの強固な連結が達成されている。
【0075】
上記構成のリード14aとフィラメントコイルとが連結されてなるフィラメント体14を備えたフィラメントランプによれば、上記第1実施形態に係るフィラメントランプと実質的に同等の効果を得ることができることに加え、さらに以下のような効果を得ることができる。
2以上の構成部材が溶接により接合されてリード14aが形成されているという構成上、溶接部Wpは、溶接されていない箇所に比べて、高温状態となった際の熱的ストレスによって破壊されやすく、特に、ランプ点灯時においては、フィラメント連結部141aが高温状態になりやすい。
然るに、溶接部Wpがフィラメント連結部141aと十分に離間した位置に形成されていることにより、ランプ点灯時に過剰に高温状態となることを防止することができるので、熱的ストレスによって破壊されることを防止することができる。
【0076】
〔第5実施形態〕
図18は、本発明の第5実施形態に係るフィラメントランプの一例におけるフィラメント体の構成を示す正面図、図19は、図18に示すフィラメント体の側面図、図20は、図18に示すフィラメント体におけるフィラメントコイルとリードとの連結部を示す拡大断面図である。
このフィラメント体14は、フィラメントコイル14bとこのフィラメントコイル14bの他端部に連結された給電用のリード14aおよびフィラメントコイル14bの一端部に連結されたリード14cとにより構成されている。
【0077】
リード14aは、1本の線条材により形成されており、フィラメントコイル14bのコイル軸方向に伸びる線状のリード本体部142aと、このリード本体部142aに直交する方向(フィラメントコイル14bの径方向)に伸びる径方向部分を有する鉤状部140aとを有する。
鉤状部140aは、リード本体部142aに連続してリード本体部142aに直交する方向に伸びるよう折り曲げられた径方向部143aと、この径方向143aに連続して、全体がフィラメントコイル14bのコイル軸方向に伸びるよう形成されたフィラメント連結部141aと、このフィラメント連結部141aに連続してそのコイル軸方向に直交する方向に伸び、先端部がコイル軸方向に伸びるよう折り曲げられたL字状部144aとにより構成されている。
フィラメント連結部141aは、フィラメントコイル14bのコイル内径に適合する外径を有する弧状湾曲部149aを有する。
また、リード14cについても、リード14aと同一の構成を有し、図18において、便宜上、リード14aと同一の構成部材には「a」を「c」に替えて同一の符号が付してある。
【0078】
このフィラメント体14においては、フィラメントコイル14bの他端部をリード14aの鉤状部140aの径方向部143aおよびL字状部144aに対して捩じ込むことにより、フィラメント連結部141aがフィラメントコイル14bの内部空間内に挿入されて弧状湾曲部149aの外周面がフィラメントコイル14bの内面に当接状態で配置されると共に、鉤状部140aの径方向部143aおよびL字状部144aがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされ、さらに、弧状湾曲部149aの外周面とフィラメントコイル14bの内周面との当接部分が例えば溶接により接合され、これにより、リード14aとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
また、リード14cについても同様に、フィラメント連結部141cがフィラメントコイル14bの内部に当接状態で配置されると共に、鉤状部140cの径方向部143cおよびL字状部144cがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされ、これにより、リード14cとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
【0079】
フィラメント体14は、第2実施形態と同様に、フィラメント連結部141aが支持部材の略中央に設けられた開口内に位置された状態で、リード14aにおける鉤状部140a が支持部材19aの2箇所の切欠き部に係合されて、フィラメントコイル14bが支持部材19aに対して垂直な方向に伸びる姿勢で、取り付けられていると共に、リード14cにおける鉤状部140cが支持部材19bに対して同様に取り付けられており、これにより、フィラメント体14が発光管11に対して位置決めされた状態で支持される(図1参照)。
【0080】
上記構成のフィラメント体14を備えたフィラメントランプによれば、上記第1実施形態に係るフィラメントランプと実質的に同等の効果を得ることができ、さらに、フィラメント連結部141a,141cにおける弧状湾曲部149a,149cとフィラメントコイル14bとの当接面で溶接されて接合されているので、フィラメントコイル14bとリード14a,14cとの連結が強固なものとなる。
【0081】
以上、本発明のフィラメントランプの実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば上記第1実施形態〜第5実施形態に係るフィラメントランプは、隣接するフィラメント間の位置に板状の支持部材が配設された構成のものについて説明したが、フィラメントコイルがリードによって特定の支持構造で連結されていれば、図21に示すように、支持部材を有さない構成とすることができる。図21において、25は絶縁管である。
このような構成のフィラメントランプにおいては、各フィラメント体におけるリードは、例えば図22乃至図24に示すような構成のものを用いることができる。具体的には、このフィラメント体14におけるリード14a (14c)は、1本の線条材により形成されており、連結されるフィラメント14bのコイル軸方向に伸びるコイル状のフィラメント連結部141a(141c)と、このフィラメント連結部141a(141c)の一端部に連続してフィラメント連結部141a(141c)のコイル軸方向に直交する方向に伸びる径方向部143a(143c)と、この径方向部143a(143c)に連続してフィラメント連結部141a(141c)のコイル軸方向に伸びる線状のリード本体部142a(142c)とにより構成されている。 このフィラメント体14においては、フィラメントコイル14bの他端部をリード14aの径方向部143aに対して捩じ込むことにより、フィラメント連結部141aがフィラメントコイル14bの他端部における内部空間内に挿入されてその外周面がフィラメントコイル14bの内面に当接状態で配置されると共に、径方向部143aがフィラメントコイル14bのコイルピッチ間においてフィラメントコイル14bの径方向外方に突出するよう挟まれた状態とされ、これにより、リード14aとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
また、一端側のリード14cについても同様にして、リード14cとフィラメントコイル14bとの連結が達成されている。
このような構成のフィラメント体を備えてなるフィラメントランプにおいても、上記のものと同様の実用上十分な効果が得られる。
【0082】
また、本発明のフィラメントランプにおいては、フィラメント体の数は限定されるものではなく、目的に応じて適宜に変更することができる。フィラメント体の数を多くすれば、被処理体に対する放射照度分布を一層精密に制御することができ、例えば、高精度の温度制御を要求される拡散工程を行う場合には、5個以上であることが好ましく、特にφ300mm以上の大口径の半導体ウエハについての処理を行う場合には、7ないし9個であることが好ましい。
さらに、封止部に気密に埋設される導電性部材は、金属箔に限らず、板状体、棒状体等のものであってもよい。
【0083】
以上のように、本発明のフィラメントランプは、発光管内に配設された複数のフィラメント体が各々独立に給電可能に構成されており、また、特定のフィラメント支持構造が採用されていることによりフィラメント体に対して大電力を投入することが可能に構成されていることから、当該フィラメントランプの複数からなるランプユニットを構成することにより、光照射式加熱処理の加熱用光源として極めて有用なものとなる。以下、本発明の光照射式加熱処理装置について説明する。
【0084】
<光照射式加熱処理装置>
図25は、本発明の光照射式加熱処理装置の一例における構成の概略を示す正面断面図、図26は、図25に示す光照射式加熱処理装置の光源部を構成する第1のランプユニットおよび第2のランプユニットにおける、フィラメントランプの配列例を示す平面図である。
この光照射式加熱処理装置100は、内部空間が例えば石英からなる窓板4によって上下に区画されてランプユニット収容空間S1および加熱処理空間S2が形成されたチャンバ300を備えている。
【0085】
ランプユニット収容空間S1には、例えば10本の上記フィラメントランプ10が、ランプ中心軸が互いに同一平面レベルに位置された状態で、所定の間隔で離間して並設されてなる第1のランプユニット200Aと、例えば10本の上記フィラメントランプ10が、ランプ中心軸が互いに同一平面レベルに位置された状態で、所定の間隔で離間して並設されてなる第2のランプユニット200Bとが、上下方向に並んだ位置において互いに対向するように配置されている。
第1のランプユニット200Aを構成する各フィラメントランプ10と、第2のランプユニット200Bを構成する各フィラメントランプ10とは、ランプ中心軸が互いに交差する状態とされている。
【0086】
第1のランプユニット200Aの上方には、第1のランプユニット200Aおよび第2のランプユニット200Bから上方に向けて照射された光を被処理体W側へ反射する反射鏡201が配置されている。
反射鏡201は、例えば無酸素銅からなる母材に金がコートされてなるものであり、反射断面が、例えば円の一部、楕円の一部、放物線の一部または平板状などから選ばれる形状を有する。
【0087】
第1のランプユニット200Aの各フィラメントランプ10は、一対の第1の固定台650、651により支持されている。
第1の固定台650,651は導電性部材からなる導電台66と、セラミックス等の絶縁部材からなる保持台67とにより構成されており、保持台67は、チャンバ300の内壁に設けられており、導電台66を保持している。
第1のランプユニット200Aを構成するフィラメントランプ10の本数をn1、フィラメントランプ10が有するフィラメント体の個数をm1とするとき、各フィラメント体全てに独立に電力が供給される構成とされている場合には、n1×m1組の、一対の第1の固定台650、651が必要とされる。
【0088】
第2のランプユニット200Bの各フィラメントランプ10は、図示しない第2の固定台により支持されており、第2の固定台は、第1の固定台と同様に、導電台と保持台とにより構成されている。
第2のランプユニット200Bを構成するフィラメントランプ10の本数をn2、フィラメントランプ10が有するフィラメント体の個数をm2とするとき、各フィラメント全てに独立に電力が供給される構成とされている場合には、n2×m2組の、一対の第2の固定台が必要とされる。
【0089】
チャンバ300には、電源部7の給電装置からの給電線が接続される一対の電源供給ポート71、72が設けられており、この一対の電源供給ポート71、72の組数は、フィラメントランプ10の個数、各フィラメントランプ10内のフィラメント体の個数等に応じて設定される。
この実施例においては、電源供給ポート71は、第1のランプ固定台650の導電台66と電気的に接続されており、この第1のランプ固定台650の導電台66は、例えばフィラメントコイル14bにリード14aを介して接続された外部リード18a(図1参照)と電気的に接続されている。
また、電源供給ポート72は、第1のランプ固定台651の導電台66と電気的に接続されており、この第1のランプ固定台651の導電台66は、例えば、フィラメントコイル14bにリード14cを介して外部リード18d(図1参照)と電気的に接続されている。
これにより、電源部7における給電装置7aに対して、第1のランプユニット200Aにおける1つのフィラメントランプ10のフィラメント体14が電気的に接続される。また、このフィラメントランプ10の他のフィラメント15b,16bについても、他の一対の電源供給ポート71、72より、各々、給電装置に対して同様の電気的接続がなされる。
そして、第1のランプユニット200Aを構成する他のフィラメントランプ10の各フィラメントおよび第2のランプユニット200Bを構成する各フィラメントランプ10の各フィラメントについても、各々、給電装置に対して同様の電気的接続がなされる。
このような構成とされていることにより、各フィラメント体におけるフィラメントを選択的に発光させることにより、あるいは各フィラメント体への供給電力の大きさを個別に調整することにより、被処理体W上の放射照度分布を任意に、かつ、高精度に設定することができる。
【0090】
この光照射式加熱処理装置100においては、被処理体Wの加熱処理を行うに際して各フィラメントランプ10を冷却する冷却機構が設けられている。
具体的には、チャンバ300の外部に設けられた冷却風ユニット8からの冷却風がチャンバ300に設けられた冷却風供給ノズル81の吹出し口82を介してランプユニット収容空間S1に導入され、当該冷却風が第1のランプユニット200Aおよび第2のランプユニット200Bにおける各フィラメントランプ10に吹き付けられることにより、各フィラメントランプ10における発光管11が冷却され、その後、熱交換により高温になった冷却風がチャンバ300に形成された冷却風排出口83から外部に排出される。
【0091】
このような冷却機構は、各フィラメントランプ10の封止部12a、12bは他の箇所に比して耐熱性が低いため、冷却風供給ノズル81の吹出し口82が、各フィラメントランプ10の封止部12a、12bに対向するよう形成され、各フィラメントランプ10の封止部12a、12bが優先的に冷却されるように構成されていることが望ましい。
なお、ランプユニット収容空間S1に導入される冷却風の流れは、熱交換されて高温になった冷却風が逆に各フィラメントランプ10を加熱しないよう、また、反射鏡201も同時に冷却するよう、設定されている。また、反射鏡201が図示を省略した水冷機構により水冷される構成のものである場合には、必ずしも反射鏡201も同時に冷却されるように冷却風の流れが設定されていなくともよい。
【0092】
また、この光照射式加熱装置100においては、冷却風供給ノズル81の吹出し口82が窓板4の近傍の位置にも形成されており、冷却風ユニット8からの冷却風によって窓板4が冷却される構成とされている。これにより、加熱される被処理体Wからの輻射熱によって蓄熱される窓板4から2次的に放射される熱線によって、被処理体Wが不所望な加熱作用を受けて被処理体Wの温度制御性の冗長化(例えば、設定温度より被処理物の温度が高温になるようなオーバーシュート)や、蓄熱される窓板4自体の温度ばらつきに起因した被処理体Wにおける温度均一性の低下、あるいは被処理体Wの降温速度の低下、などの不具合が発生することを確実に防止することができる。
【0093】
チャンバ300における加熱処理空間S2には、被処理体Wが固定される処理台5が設けられている。
処理台5は、例えば被処理体Wが半導体ウエハである場合には、モリブデンやタングステン、タンタルのような高融点金属材料やシリコンカーバイド(SiC)などのセラミック材料、または石英、シリコン(Si)からなる薄板の環状体であって、その円形開口部の内周部に半導体ウエハを支持する段差部が形成されてなるガードリング構造のものにより構成されていることが好ましい。
処理台5は、処理台5それ自体も光照射によって高温とされるので、対面する半導体ウエハの外周縁が補助的に放射加熱され、これにより、半導体ウエハの外周縁からの熱放射などに起因する半導体ウエハの周縁部の温度低下が補償される。
【0094】
処理台5に設置される被処理体Wの裏面側には、被処理体Wの温度分布をモニタするための、例えば熱電対や放射温度計よりなる温度測定部91の複数が被処理体Wに当接或いは近接して設けられており、各温度測定部91は温度計9に接続されている。ここに、温度測定部91の個数および配置位置は、特に限定されるものではなく、被処理体Wの寸法に応じて設定することができる。
【0095】
温度計9は、各温度測定部91によりモニタされた温度情報に基づいて、各温度測定部91の測定地点における温度を算出するとともに、算出された温度情報を温度制御部92を介して主制御部3に送出する機能を有する。
主制御部3は、被処理体W上の各測定地点における温度情報に基づいて、被処理体W上の温度が所定の温度で均一な分布状態となるように指令を温度制御部92に送出する機能を有する。
温度制御部92は、主制御部3からの指令に基づいて、電源部7からの各フィラメントランプのフィラメントコイルに供給される電力の大きさを制御する機能を有する。
【0096】
主制御部3は、例えばある測定地点の温度が所定の温度に比して低いという温度情報を温度制御部92から得た場合には、当該測定地点に対して光照射を行うフィラメントコイルから放射される光が増加するように、当該フィラメントコイルに対する給電量を増加させるよう温度制御部92に対し指令を送出し、温度制御部92は、主制御部3から送出された指令に基づいて、電源部7から当該フィラメントコイルに接続された電源供給ポート71、72に供給される電力を増加させる。
【0097】
また、主制御部3は、ランプユニット200A、200Bにおけるフィラメントランプ1の点灯時において、冷却風ユニット8に指令を送出し、冷却風ユニット8は、この指令に基づいて、発光管11および反射鏡201、窓板4が高温状態とならないよう冷却風を供給する。
【0098】
この光照射式加熱処理装置100においては、加熱処理の種類に応じたプロセスガスを加熱処理空間S2内に導入・排気するプロセスガスユニット800が接続されている。
例えば、熱酸化プロセスを行なう場合は、加熱処理空間S2に酸素ガス、および、加熱処理空間S2をパージするためのパージガス(例えば、窒素ガス)を導入・排気するプロセスガスユニット800が接続される。
プロセスガスユニット800からのプロセスガス、パージガスはチャンバ300に設けられたガス供給ノズル84の吹出し口85を介して加熱処理空間S2内に導入されると共に排出口86を介して外部に排出される。
【0099】
上記光照射式加熱処理装置100においては、第1のランプユニット200Aおよび第2のランプユニット200Bの各フィラメントランプのフィラメントの各々に対して適正な大きさに制御された電力が電源部7から供給されて点灯状態とされることにより、各フィラメントランプ10から放射される光が、直接的にあるいは反射鏡201によって反射されて窓板4を介して加熱処理空間S2に設けられた被処理体Wに照射されて、被処理体Wの加熱処理が行われる。
【0100】
而して、上記構成の光照射式加熱処理装置100によれば、光源部を構成する第1のランプユニット200Aおよび第2のランプユニット200Bの各々は、発光管内において、複数のフィラメント体が発光管の長手方向に順次に並んで配置され、各フィラメントに対して独立に給電されるフィラメントランプ10が複数並列に配置されて構成されていることにより、発光管の軸方向およびこれと垂直な方向の両方向について光強度分布の調整をすることができるので、被照射体Wの表面における放射照度分布を高精度に設定することができる。
【0101】
例えばフィラメントランプの発光長よりも全長が短い狭小な特定領域のみに限定して、この特定領域上の放射照度を設定することができるので、この特定領域とその他の領域において、それぞれの特性に対応した放射照度分布を設定することができる。例えば、図26に示す被処理体Wにおける、フィラメントランプ10Aとフィラメントランプ10Bないし10Cとが交差する箇所の直下の領域(領域1ともいう)の温度が、被処理体Wにおける他の領域(領域2ともいう)の温度に比して低いような場合、或いは、領域1における温度上昇の度合いが領域2における温度上昇の度合いより小さいことがあらかじめ判明しているような場合には、フィラメントランプ10Aが有する各フィラメントコイルのうち、領域1に対応するフィラメントコイルへの給電量を増加させることにより、領域1と領域2との温度が均一となるように温度調整することができる。なお、図26において、各フィラメントランプの内部に図示されている線分は、各フィラメントコイルの配置位置を示すものである。従って、被処理体Wの全体にわたって均一な温度分布で加熱処理を行うことができる。
【0102】
また、ランプユニット200A,200Bから所定の距離だけ離間した被処理体W上の放射照度分布を精密に、かつ、任意の分布に設定することができる結果、被処理体W上の放射照度分布を被処理体Wの形状に対して非対称に設定することも可能となる。従って、被処理体Wにおける場所的な温度変化の度合いの分布が被処理体Wの形状に対して非対称である場合においても、それに対応して、被処理体W上の放射照度分布を設定することができ、被処理体Wを均一な温度分布状態で加熱することができる。
【0103】
さらに、フィラメントランプ10が発光管内に配置される各フィラメント同士の離間距離を極めて小さくできる構成のものであることから、発光しない各フィラメント間の離間部の影響を小さくすることができ、被処理体上での照度分布の不所望なバラツキを極めて小さくすることが可能である。
また、光照射式加熱処理装置100の高さ方向における、ランプユニットの配設スペースも小さくて済むため、光照射式加熱処理装置100を小型化することができる。
【0104】
特に、本発明の光照射式加熱処理装置100は、光源部であるランプユニット200A, 200Bに上記本発明のフィラメントランプ10を採用しているので、以下の効果を奏することができる。
各フィラメントランプは、リードにおけるフィラメント連結部がフィラメントコイルの内部空間内に挿入されて当接状態で配置されると共に鉤状部がコイルピッチ間に挟まれた状態とされてフィラメントコイルとリードとが連結されていることにより、フィラメントコイルの軸方向に対する変位およびフィラメントコイルの径方向に対する変位が規制された状態とされるので、素線径およびコイル巻き径が大きいフィラメントコイルとリードとを連結させる場合であっても、リードの線径をフィラメントコイルの内径に適合するよう大きくすることなしに両者を確実に連結することができる。
従って、大電力をフィラメントコイルに投入することができて各フィラメントコイルを所期の発熱状態となるよう急速に立ち上げることができる構成のものでありながら、ランプ点灯時に高温状態となるフィラメントコイルの熱的影響を受けてリードの外周を被覆している絶縁管が溶融することがないよう十分な大きさの間隔を確保した状態で、各フィラメント体を発光管内に配設することができるので、隣接するフィラメント体間で短絡が生じることを確実に防止することができる。
また、フィラメントコイルからの放射光がリードに遮られる割合が少なくなり、被処理体の表面面上での放射照度分布に対する悪影響の程度を抑制することができ、特に、発光管内に多数のフィラメント体が配設されてなるものである場合に有用である。
【0105】
さらに、フィラメントランプの輸送時あるいは使用時において、フィラメントコイルとリードの連結部位に衝撃が加わった場合であっても、フィラメントコイルがリードから脱落するおそれがなく、長期間の間にわたって安定して被処理体の加熱処理を行うことができる。
【0106】
さらにまた、鉤状部がフィラメントのコイルピッチ間に挟まれた状態で、フィラメントが鉤状部に連結されていることにより、フィラメントランプの軸方向において、フィラメントコイル間に存在する光が放射されない領域(デッドゾーン)が、各フィラメントコイル間に配置される支持部材の厚み相当分の長さのみであるので、被処理体の表面上における照度分布への悪影響の程度を小さく抑制することができる。
【0107】
さらにまた、フィラメント体におけるリードがその鉤状部が係合される切欠き部からなる被係合部による位置決め機構が形成された板状の支持部材によって支持されていると共に、リードについても同様に支持部材によって支持されていることにより、フィラメントコイルの周方向の変位(移動)が規制されるので、フィラメント体の位置決めを一層確実に行うことができる。
従って、各フィラメントを発光管内の所望の位置に高精度にかつ容易に配置することができると共に、各フィラメントの位置が経時的に変位することを防止することができて長期間の間にわたって所期の性能を確実に維持することができる。
また、フィラメントが断線するなどの不測の事態によってフィランメントランプの構成部材の一部を交換する必要が生じた場合においても、発光管内に各フィラメント体を高い再現性で高精度に配置することができるため、例えばフィラメント体の交換前後における被処理体の表面上での放射照度分布の再現性を確保することができ、被処理体に対する適正な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るフィラメントランプの一例における構成の概略を示す説明用斜視図である。
【図2】複数のフィラメント体の配置パターンおよび構成を簡略化して示す説明図である。
【図3】フィラメント体の一構成例を示す正面図である。
【図4】リードの一構成例を示す正面図である。
【図5】フィラメント体のリードとフィラメントとの連結部を示す拡大断面図である。
【図6】フィラメント体と支持部材との連結部を拡大して示す斜視図である。
【図7】リードの他の構成例を示す正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るフィラメントランプの一構成例におけるフィラメント体の構成を示す正面図である。
【図9】図8に示すフィラメント体におけるリードの構成を示す説明図であって、(A)正面図、(B)側面図である。
【図10】フィラメント体のリードとフィラメントとの連結部を示す拡大断面図である。
【図11】フィラメント体と支持部材との連結部を拡大して示す斜視図である。
【図12】フィラメント体におけるリードの他の構成例を示す正面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るフィラメントランプの一構成例におけるフィラメント体の構成を示す正面図である。
【図14】図13に示すフィラメント体におけるリードとフィラメントとの連結部を示す拡大断面図である。
【図15】図13に示すフィラメント体におけるリードの作製方法を示す説明図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係るフィラメントランプの他の構成例におけるリードの構成を説明するための図であって、(A)作製方法の説明図、(B)鉤状部とフィラメント連結部構成材との接合状態を示す拡大断面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係るフィラメントランプの一例におけるフィラメント体を構成するリードの構成を示す(A)正面図、(B)リードの作製方法を示す説明図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係るフィラメントランプの一例におけるフィラメント体の構成を示す正面図である。
【図19】図18に示すフィラメント体の側面図である。
【図20】図18に示すフィラメント体におけるフィラメントコイルとリードとの連結部を示す拡大断面図である。
【図21】本発明のフィラメントランプの更に他の例における構成の概略を示す説明用斜視図である。
【図22】図21に示すフィラメントランプにおけるフィラメント体の一構成例を示す正面図である。
【図23】図22に示すフィラメント体を構成するリードの構成例を示す正面図である。
【図24】図22に示すフィラメント体における、リードとフィラメントとの連結部を示す拡大断面図である。
【図25】本発明の光照射式加熱処理装置の一例における構成の概略を示す正面断面図である。
【図26】図25に示す光照射式加熱処理装置の光源部を構成する第1のランプユニットおよび第2のランプユニットにおける、各フィラメントランプの配列例を示す平面図である。
【図27】従来の加熱処理装置の一例における構成の概略を示す正面断面図である。
【図28】図27に示す加熱処理装置の光源部を構成するランプの配列例を示す斜視図である。
【図29】従来の加熱処理装置の他の例における構成の概略を示す正面断面図である。
【図30】従来のフィラメントランプの一例における構成の概略を示す説明用斜視図である。
【符号の説明】
【0109】
3 主制御部
4 窓板
5 処理台
7 電源部
7a 第1の給電装置
7b 第2の給電装置
7c 第3の給電装置
71,72 一対の電源供給ポート
650、651 一対の第1の固定台
66 導電台
67 保持台
8 冷却風ユニット
800 プロセスガスユニット
81 冷却風供給ノズル
82 吹出し口
83 冷却風排出口
84 ガス供給ノズル
85 吹出し口
86 排出口
9 温度計
91 温度測定部
92 温度制御部
10 フィラメントランプ
11 発光管
12a,12b 封止部
13a,13b,13c,13d,13e,13f 金属箔
14,15,16 フィラメント体
14a,15a,16a リード
14b,15b,16b フィラメントコイル
14c,15c,16c リード
140a,140c 鉤状部
141a,141c フィラメント連結部
142a,142c リード本体部
143a,143c 径方向部
144a,144c L字状部
145c 傾斜部
146c コ字状部
147a 平面部
148a 溝部
149a,149c 弧状湾曲部
17 アンカー
18a,18b,18c,18d,18e,18f 外部リード
19a,19b,19c,19d 支持部材
191,192,193,194,195,196 切欠き部
197 開口
20 リード構成材
21 フィラメント連結部構成材
22 リード本体部構成材
23 鉤状部構成材
Wp 溶接部
25,25a,25b,25c,25d,25e,25f 絶縁管
100 光照射式加熱処理装置
200A 第1のランプユニット
200B 第2のランプユニット
201 反射鏡
300 チャンバ
S1 ランプユニット収容空間
S2 加熱処理空間
30 加熱処理装置
31 チャンバ
32,33 白熱ランプ
W 被処理物
WA 特定領域
WB 周辺部
40 加熱処理装置
41 ランプハウス
42 第1のランプユニット
43 ダブルエンドランプ
44A 一対の垂直部
44B 水平部
45 フィラメント
47 ダブルエンドランプ
46 第2のランプユニット
48 サポートリング
50 フィラメントランプ
51 発光管
52A,52B 封止部
53A,53B フィラメント体
54A,54B フィラメント
55A,55B 他端側リード
56A,56B 一端側リード
57A,57B,57C,57D 金属箔
58A,58B,58C,58D 外部リード
59 アンカー
60A,60B 絶縁管
61 絶縁体
62A,62B 貫通穴
63A,63B 給電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に封止部が形成された直管状の発光管の内部に、各々コイル状のフィラメントと当該フィラメントに電力を供給するリードとが連結されてなるフィラメント体の複数が、各フィラメントが発光管の管軸方向に伸びるよう、管軸方向に順次に並んで配設され、各フィラメント体におけるリードの各々が封止部に配設された複数の導電性部材の各々に対して電気的に接続されて各フィラメントに対してそれぞれ独立に給電されるフィラメントランプであって、
各リードは、フィラメントのコイル軸方向に直交する方向に伸びる径方向部と、フィラメントのコイル軸方向に伸びるフィラメント連結部とを有し、
フィラメント連結部がフィラメントの端部における内部空間内に挿入されて外周面がフィラメントの内面に当接状態で配置されると共に径方向部がフィラメントのコイルピッチ間に挟まれた状態で径方向外方に突出して伸びるよう係止され、フィラメントとリードとが連結されていることを特徴とするフィラメントランプ。
【請求項2】
各リードは、フィラメントのコイル軸方向に伸びるリード本体部と、径方向部を有すると共に先端部がリード本体部方向に伸びる鉤状部とを有し、隣接するフィラメントの間の位置には、リードの鉤状部の一部が係合される被係合部による位置決め機構が形成された板状の支持部材が配設されており、この支持部材によって支持されることによりフィラメントが発光管に対して位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントランプ。
【請求項3】
リードにおけるフィラメント連結部は、リードを構成する線条材の一部がコイル状に巻回されて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィラメントランプ。
【請求項4】
リードにおけるフィラメント連結部は、径方向部を有するリード構成材とは別個のフィラメント連結部構成材がリード構成材の径方向部に接合されて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィラメントランプ。
【請求項5】
リードは、フィラメントコイルのコイル軸方向に伸びる線状のリード本体部構成材と、フィラメント連結部が一体に形成された、軸方向の断面形状がF字状の鉤状部構成材とが接合されて形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフィラメントランプ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のフィラメントランプが複数本並列に配置されてなるランプユニットを有し、当該ランプユニットから放射される光を被処理体に照射して被処理体を加熱することを特徴とする光照射式加熱処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate