フィルタおよびX線撮影装置
【課題】 広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができしかも小型化が可能なフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置を実現する。
【解決手段】 フィルタは、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレート(161−164)と、複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段(261−264,461−464)とを具備する。複数のフィルタプレートは、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つ。調節手段は、複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有する。
【解決手段】 フィルタは、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレート(161−164)と、複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段(261−264,461−464)とを具備する。複数のフィルタプレートは、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つ。調節手段は、複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ(filter)およびX線撮影装置に関し、とくに、X線のエネルギースペクトル(energy spectra)を調節するフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮影装置では、フィルタでX線のエネルギースペクトルを調節して被検体にX線を照射するようにしている。フィルタはX線管に取り付けられたコリメータボックス(collimator box)内に設けられる。所望のスペクトルを得るために、フィルタは、回転円板に取り付けられた複数のフィルタプレートを切り替えて使用できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−76219号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スペクトルは広範囲にきめ細かく調節できることが望ましいが、回転円板によってフィルタプレートを切り替える構成では、せいぜい4段階程度の調節にとどまる。このため、調整範囲を広くするとステップが粗くなり、ステップを細かくすると調整範囲が狭くなる。回転円板方式であえて多段階の調節を可能にしようとすると、多数のフィルタを取り付けるための回転円板が大型化するので現実的でない。
【0004】
そこで、本発明の課題は、広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができしかも小型化が可能なフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためのひとつの観点での発明は、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、を具備することを特徴とするフィルタである。
【0006】
上記の課題を解決するための他の観点での発明は、フィルタを通したX線によって被検体を撮影するX線撮影装置であって、前記フィルタは、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、を具備することを特徴とするX線撮影装置である。
【0007】
前記複数のフィルタプレートが、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つことが、最も薄いフィルタプレートの厚みを最小のステップとする厚み調節を行う点で好ましい。
【0008】
前記調節手段が、前記複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有することが、フィルタプレートを両側からインターリーブさせる点で好ましい。
【0009】
前記進退機構が、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によって前記フィルタプレートを進退させることが、構成を簡素化する点で好ましい。
前記板カムが、X線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有することが、構成部品を少なくする点で好ましい。
【0010】
前記進退機構が、モータで駆動される腕のスイングによって前記フィルタプレートを進退させることが、小型化を容易にする点で好ましい。
前記進退機構が、電磁ソレノイドの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させることが、直線運動が容易な点で好ましい。
【0011】
前記進退機構が、空気圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させることが、直線運動が容易な点で好ましい。
前記進退機構が、油圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させることが、直線運動が容易な点で好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィルタが、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段とを具備するので、広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができしかも小型化が可能なフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施するための最良の形態に限定されるものではない。図1に、X線撮影装置の模式的構成を示す。本装置は本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明のX線撮影装置に関する実施の形態の一例が示される。
【0014】
同図に示すように、本装置は、X線照射装置10、X線検出装置20およびオペレータコンソール(operator console)30を有する。X線照射装置10とX線検出装置20は、被検体40を挟んで互いに対向する。
【0015】
X線照射装置10はX線管12とコリメータボックス(collimator box)14を有する。コリメータボックス14内にはフィルタ16とコリメータ18が収容されている。フィルタ16は本発明の実施の形態の一例である。本フィルタの構成によって、本発明のフィルタに関する実施の形態の一例が示される。
【0016】
X線管12から放射されたX線は、フィルタ16でエネルギースペクトルが調節されコリメータ18の開口を通して被検体40に照射される。フィルタ16はエネルギースペクトルが可変なフィルタである。コリメータ18は開口が可変なコリメータである。
【0017】
被検体40を透過したX線はX線検出装置20で検出されてオペレータコンソール30に入力される。オペレータコンソール30は入力信号に基づいて被検体40の透視像を再構成する。再構成された透視像はオペレータコンソール30のディスプレイ(display)32で表示される。オペレータコンソール30は、また、X線照射装置10を制御する。オペレータコンソール30によるX線照射装置10の制御には、フィルタ16の制御およびコリメータ18の制御が含まれる。なお、フィルタ16およびコリメータ18は、必要に応じて手動調節が可能になっている。
【0018】
フィルタ16について説明する。図2に、フィルタ16の原理図を示す。同図に示すように、フィルタ16は、複数のフィルタプレート(filter plate)161,162,…,16nで構成される。フィルタプレート161,162,…,16nは、本発明におけるフィルタプレートの一例である。
【0019】
これらフィルタプレート161,162,…,16nは、X線を横切る層を形成する。各フィルタプレート16i(i:1,2,…,n)は層の形成要素であり、金属やプラスチック(plastics)等の板である。各フィルタプレート16iは、X線が通過する空間に個別に進退可能になっている。同図では、X線通過空間への進出状態を黒塗りで表し、X線通過空間からの退出状態を白抜きで表す。
【0020】
フィルタプレート161,162,…,16nは、最も薄いフィルタプレート161を基準にして、順次に2倍の厚みを持つ。すなわち、フィルタプレート161の厚みをATとしたとき、フィルタプレート161,162,…,16nの厚みは、それぞれ、AT,AT*2,…,AT*2n-1となる。
【0021】
フィルタプレート161,162,…,16nがこのような厚みを持つので、層の形成に関わるフィルタプレートの組み合わせを選ぶことにより、層におけるフィルタプレートの厚みの和を、0からAT*(2n−1)まで、AT刻みで2nステップで増減することができる。
【0022】
図3に、フィルタプレートの数nに対応する、プレート最大厚み、厚み増減ステップ数およびプレート厚み総和を示す。同図から、フィルタプレート数が例えば4のときは、プレート最大厚みがAT*8、厚み増減ステップ数が16、プレート厚み総和がAT*15となる。
【0023】
フィルタプレート数が4のときの例を図4に詳細に示す。同図ではATを例えば1mmとしている。同図において、「1」はX線通過空間へのフィルタプレートの進出状態を表し、「0」は退出状態を表す。同図に示すように、フィルタプレートの厚みの和は、0mmから15mmまで、16ステップにわたって1mm刻みで増減することができる。これは、実質的に連続的な厚み調節といってよい。すなわち、広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができるフィルタを得ることができる。しかも、複数のフィルタプレートの組合せによってフィルタの層を形成するので小型化が容易である。
【0024】
実際のフィルタでは、4枚のフィルタプレートは、図5に示すように、半数ずつX線通過空間の両側から進退するようになっている。すなわち、フィルタプレート161,162はX線通過空間の例えば左側から進退し、フィルタプレート163,164はX線通過空間の例えば右側から進退する。そして、層を形成した状態では、左側のフィルタプレート161,162と右側のフィルタプレート163,164がインターリーブ(interleave)する。なお、インターリーブは必須ではなく、右側のフィルタプレート163,164は左側のフィルタプレート161,162の上に来るようにしてもよく、その反対でもよい。
【0025】
図6−図8に、フィルタ16の構成の一例を示す。図6は全体的な構成図、図7および図8は部分的な構成図である。これらの図に示すように、フィルタ16では、4枚のフィルタプレート161,162,163,164が1対のレール(rail)172,174で支持されている。レール172,174は互いに平行である。レール172,174は、いずれも、4枚のフィルタプレート161,162,163,164に対応した4本の平行な溝を有する。フィルタプレート161,162,163,164は、それら4本の溝にそれぞれの両端部を挿入した状態で支持される。
【0026】
フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、リンク(link)261,262,263,264の一端に連結されている。リンク261,262は他端が軸272に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。リンク263,264は他端が軸274に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。
【0027】
リンク261,262,263,264に対応して、それらを駆動するための板カム(plate cam)461,462,463,464がそれぞれ設けられている。板カム461,462,463,464はいずれも外周の形状を利用するカムである。以下、この種のカムを周形カムともいう。
【0028】
リンク261,262,263,264は、それぞれ、板カム461,462,463,464の外周に当接するピン(pin)361,362,363,364を有する。それらのピンは、リンク261,262を左方向に引っ張るスプリング(spring)561,562、および、リンク263,264を右方向に引っ張るスプリング563,564によって、常に板カム461,462,463,464の外周にそれぞれ押し付けられている。
【0029】
板カム461,462は、図9に示すように、共通の回転軸602に取り付けられており、この回転軸602が減速器702を介してモータ(motor)802により駆動される。板カム463,464も同様に共通の回転軸に取り付けられており、その回転軸が減速器704を介してモータ804により駆動される。このように、板カムがX線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有するので、構成部品を少なくすることができる。
【0030】
板カム461,462で駆動されるリンク261,262は、それぞれ、フィルタプレート161,162をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート161,162は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、左端部にある状態が退出状態である。
【0031】
板カム463,464で駆動されるリンク263,264は、それぞれ、フィルタプレート163,164をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート163,164は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、右端部にある状態が退出状態である。
【0032】
リンク261−264、板カム461−464、減速器702,704およびモータ802,804からなる部分は、本発明における調節手段の一例である。リンク261,262、板カム461,462、減速器702およびモータ802からなる部分と、リンク263,264、板カム463,464、減速器704およびモータ804からなる部分は、本発明における1対の進退機構の一例である。進退機構は、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によってフィルタプレートを進退させる構成なので、機構を簡素化することができる。
【0033】
図10−図12に、フィルタ16の構成の他の例を示す。図10は全体的な構成図、図11および図12は部分的な構成図である。これらの図に示すように、フィルタ16では、4枚のフィルタプレート161,162,163,164が1対のレール172,174で支持されている。レール172,174は互いに平行である。レール172,174は、いずれも、4枚のフィルタプレート161,162,163,164に対応した4本の平行な溝を有する。フィルタプレート161,162,163,164は、それら4本の溝にそれぞれの両端部を挿入した状態で支持される。
【0034】
フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、リンク261,262,263,264の一端に連結されている。リンク261,262は他端が軸272に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。リンク263,264は他端が軸274に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。
【0035】
リンク261,262,263,264に対応して、それらを駆動するための板カム471,472,473,474がそれぞれ設けられている。リンク261,262,263,264は、それぞれ、板カム471,472,473,474に係合するピン361,362,363,364を有する。板カム471,472,473,474は、いずれも溝が描くループ(loop)の形状を利用するカムである。以下、この種のカムを溝形カムともいう。
【0036】
板カム471,472は、図13に示すように、歯車の両面にそれぞれ形成された溝となっている。板カム471,472は減速器702を介してモータ802により駆動される。板カム473,474も同様に、歯車の両面にそれぞれ形成された溝となっており、減速器704を介してモータ804により駆動される。このように、板カムがX線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で歯車を共有するので、構成部品を少なくすることができる。
【0037】
板カム471,472で駆動されるリンク261,262は、それぞれ、フィルタプレート161,162をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート161,162は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、左端部にある状態が退出状態である。
【0038】
板カム473,474で駆動されるリンク263,264は、それぞれ、フィルタプレート163,164をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート163,164は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、右端部にある状態が退出状態である。
【0039】
リンク261−264、板カム471−474、減速器702,704およびモータ802,804からなる部分は、本発明における調節手段の一例である。リンク261,262、板カム471,472、減速器702およびモータ802からなる部分と、リンク263,264、板カム473,474、減速器704およびモータ804からなる部分は、本発明における1対の進退機構の一例である。進退機構は、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によってフィルタプレートを進退させる構成なので、機構を簡素化することができる。
【0040】
カムについて説明する。カムは、上記のように、その回転によって、フィルタプレートの位置を、X線通過空間への進出位置とそこからの退出位置とにバイナリ(binary)に切り替える機能を果たす。
【0041】
図14に、1軸当たりのカム数に対応する、1回転で切り替え可能な状態数および1切替当たりの回転角度ステップ(step)を示す。同図に示すように、1軸当たりのカム数がnのときは、1回転で切り替え可能な状態数は2nであり、1切替当たりの回転角度ステップは360°/2nである。
【0042】
したがって、1軸当たりのカム数が1のときは、切り替え可能な状態数は2となり、1切替当たりの回転角度ステップは180°となる。1軸当たりのカム数を2としたときは、切り替え可能な状態数は4となり、1切替当たりの回転角度ステップは90°となる。1軸当たりのカム数を3としたときは、切り替え可能な状態数は8となり、1切替当たりの回転角度ステップは45°となる。
【0043】
図15に、1軸当たりのカム数が1のときカムの形状を示す。同図の(a)は周形カムの形状を示し、(b)は溝形カムの形状を示す。同図に示すように、このカムは、角度0°の部分が短径「0」、角度180°の部分が長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、1枚のフィルタプレートの位置を、「0」すなわち退出位置と、「1」すなわち進出位置とに2段階に切り替えることができる。切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図16に示す。
【0044】
この形状のカムは、2枚のフィルタプレートを1枚ずつに分けてX線通過空間の両側に配置し、そこからそれぞれ進退させる場合にも使用可能である。両側のカムの形状は同一である。ただし、両側のカムの回転比を1:0.5とし、一方側(カム1)が1回転する度に他方側(カム1’)が180°ずつ回転するようにする。また、カム1によって厚みが1のフィルタプレートの位置を切り替え、カム1’によって厚みが2のフィルタプレートの位置を切り替える。なお、ここでいう厚みとは最小厚みで正規化した厚みのことである。以下、同様である。
【0045】
このようにしたときの、切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図17に示す。同図において、「0」はフィルタプレートの退出位置を表し、「1」はフィルタプレートの進出位置を表す。同図に示すように、4段階のステップで、厚みが0から3まで1ずつ変化する2層フィルタを得ることができる。
【0046】
図18に、1軸当たりのカム数が2のときカムの形状を示す。同図の(a)および(b)は、2つのカムのうちの一方(カム1)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,90°,180°,270°の部分が、それぞれ、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,1,0,1の4段階に切り替えることができる。
【0047】
同図の(c)および(d)は、2つのカムのうちの他方(カム2)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,90°,180°,270°の部分が、それぞれ、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,0,1,1の2段階に切り替えることができる。切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図19に示す。
【0048】
この形状のカムは、4枚のフィルタプレートを2枚ずつに分けてX線通過空間の両側に配置し、そこからそれぞれ進退させる場合にも使用可能である。両側のカムの形状は同一である。ただし、両側のカムの回転比を1:0.25とし、一方側(カム1,2)が1回転する度に他方側(カム1’,2’)が90°ずつ回転するようにする。また、カム1,2によって厚みが1および2の、2つのフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替え、2つのカム1’,2’によって厚みが4および8の、2つフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替える。
【0049】
このようにしたときの、切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図20に示す。同図において、「0」はフィルタプレートの退出位置を表し、「1」はフィルタプレートの進出位置を表す。同図に示すように、16段階のステップで、厚みが0から15まで1ずつ変化する4層フィルタを得ることができる。
【0050】
図21に、1軸当たりのカム数が3のときカムの形状を示す。同図の(a)および(b)は、3つのカムのうちの第1のカム(カム1)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の部分が、それぞれ、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,1,0,1,0,1,0,1の8段階に切り替えることができる。
【0051】
同図の(c)および(d)は、3つのカムのうちの第2のカム(カム2)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の部分が、それぞれ、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,0,1,1,0,0,1,1,の4段階に切り替えることができる。
【0052】
同図の(e)および(f)は、3つのカムのうちの第3のカム(カム3)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の部分が、それぞれ、短径「0」、短径「0」、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」、長径「1」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,0,0,0,1,1,1,1,の2段階に切り替えることができる。切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図22に示す。
【0053】
この形状のカムは、6枚のフィルタプレートを3枚ずつに分けてX線通過空間の両側に配置し、そこからそれぞれ進退させる場合にも使用可能である。両側のカムの形状は同一である。ただし、両側のカムの回転比を1:0.125とし、一方側(カム1,2,3)が1回転する度に他方側(カム1’,2’,3’)が45°ずつ回転するようにする。また、カム1,2,3によって厚みが1,2,4の、3つのフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替え、カム1’,2’,3’によって厚みが8,16,32の、3つのフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替える。このようにすることにより、64段階のステップで、厚みが0から63まで1ずつ変化する6層フィルタを得ることができる。
【0054】
図23に、6層フィルタの主要部の構成の一例を透視図によって示す。同図に示すように、6層フィルタは6つのフィルタプレート161,162,163,164,165,166を有する。これらフィルタプレートは、1対のレール172,174によって支持され、それに沿って相互干渉なしに移動可能になっている。
【0055】
同図は、6つのうち4つのフィルタプレート161,162,164,165がX線通過空間に進出し、2つのフィルタプレート163,166がX線通過空間から退出した状態を示している。フィルタプレート161,162,163は図における左側から進退し、フィルタプレート164,165,166は図における右側から進退する。
【0056】
フィルタプレート161,162,163の進退は、リンク261,262,263によってそれぞれ行われる。リンク261,262,263は、それぞれ板カム461,462,463で駆動されて、共通の軸272を中心として回転する。板カム461,462,463は共通の回転軸602に固定されている。
【0057】
板カム461,462,463とリンク261,262,263の係合は、それぞれピン361,362,363を介して行われる。板カム461,462,463は周形カムであり、ピン361,362,363はスプリング561,562,563の力によってそれぞれ板カム461,462,463の周に押し付けられている。なお、板カム461,462,463を溝形カムにしたときはスプリング561,562,563は不要である。
【0058】
フィルタプレート164,165,166の進退は、リンク264,265,266によってそれぞれ行われる。リンク264,265,266は、それぞれ板カム464,465,466で駆動されて、共通の軸274を中心として回転する。板カム464,465,466は共通の回転軸604に固定されている。
【0059】
板カム464,465,466とリンク264,265,266の係合は、それぞれピン364,365,366を介して行われる。板カム464,465,466は周形カムであり、ピン364,365,366はスプリング564,565,566の力によってそれぞれ板カム464,465,466の周に押し付けられている。なお、板カム464,465,466を溝形カムにしたときはスプリング564,565,566は不要である。
【0060】
図24に、フィルタ16の構成の他の例を示す。この例では、フィルタプレート161,162,163,164が、それぞれ、減速器711,712,713,714を介して、モータ811,812,813,814によって駆動される。フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、減速器711,712,713,714の出力段に腕911,912,913,914によって取り付けられている。
【0061】
フィルタプレート161,162は、それぞれ、モータ811,812の回転に伴う腕911,912のスイング(swing)によって、右端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。フィルタプレート163,164は、それぞれ、モータ813,814の回転に伴う腕913,914のスイングによって、左端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。
【0062】
腕911−914、減速器711−714およびモータ811−814からなる部分は、本発明における調節手段の一例である。腕911,912、減速器711,712およびモータ811,812からなる部分と、腕913,914、減速器713,714およびモータ813,814からなる部分は、本発明における1対の進退機構の一例である。進退機構は、モータで駆動される腕のスイングによってフィルタプレートを進退させる構成なので、機構の小型化が容易である。
【0063】
図25に、フィルタ16の構成の他の例を示す。この例では、フィルタプレート161,162,163,164が、それぞれ、減速器711’,712’,713’,714’を介して、モータ811,812,813,814によって駆動される。フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、減速器711’,712’,713’,714’の出力段に腕911,912,913,914によって取り付けられている。減速器711’,712’,713’,714’は途中で回転軸の方向を90°変更するように構成されている。このため、モータ811,812,813,814の回転軸の方向は水平方向となる。
【0064】
フィルタプレート161,162は、それぞれ、モータ811,812の回転に伴う腕911,912のスイングによって、右端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。フィルタプレート163,164は、それぞれ、モータ813,814の回転に伴う腕913,914のスイングによって、左端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。
【0065】
図26に、フィルタ16の他の例の構成を模式的に示す。同図に示すように、フィルタプレート160は、リンク260を介してアクチュエータ(actuator)800によって駆動され、左側の退出位置と右側の進出位置との間で進退する。このような機構がフィルタプレートの数だけ設けられる。
【0066】
アクチュエータ800としては、往復運動を行う可動部を持つ電磁ソレノイド(solenoid)が用いられる。なお、電磁ソレノイドの代わりに、空気圧シリンダ(cylinder)あるいは油圧シリンダを用いてもよい。
【0067】
リンク260およびアクチュエータ800からなる部分は、本発明における調節手段または進退機構の一例である。進退機構は、電磁ソレノイド、空気圧シリンダまたは油圧シリンダの可動部の往復運動を利用してフィルタプレートを進退させるので、直線運動が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】発明を実施するための最良の形態の一例のX線撮影装置の構成を示す図である。
【図2】フィルタの原理的構成を示す図である。
【図3】フィルタプレート数に対応する、プレート最大厚み、厚み増減ステップおよびプレート厚み総和を示す図である。
【図4】ステップごとのフィルタプレートの組合せを示す図である。
【図5】フィルタプレートの進退状態を示す図である。
【図6】フィルタの全体構成の一例を示す図である。
【図7】フィルタの部分的構成の一例を示す図である。
【図8】フィルタの部分的構成の一例を示す図である。
【図9】回転軸を共有する2つの板カムを示す図である。
【図10】フィルタの全体構成の他の例を示す図である。
【図11】フィルタの部分的構成の他の例を示す図である。
【図12】フィルタの部分的構成の他の例を示す図である。
【図13】歯車を共有する2つの板カムを示す図である。
【図14】1軸当たりのカム数に対応する、切替状態数および回転角度ステップを示す図である。
【図15】板カムの形状を示す図である。
【図16】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図17】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図18】板カムの形状を示す図である。
【図19】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図20】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図21】板カムの形状を示す図である。
【図22】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図23】6層フィルタの主要部の構成の一例を示す図である。
【図24】フィルタの他の例の構成を示す図である。
【図25】フィルタの他の例の構成を示す図である。
【図26】フィルタの他の例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 X線照射装置
20 X線検出装置
30 オペレータコンソール
40 被検体
16 フィルタ
161−166 フィルタプレート
172,174 レール
261−266 リンク
461−466 板カム
702−704 減速器
802−804 モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ(filter)およびX線撮影装置に関し、とくに、X線のエネルギースペクトル(energy spectra)を調節するフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮影装置では、フィルタでX線のエネルギースペクトルを調節して被検体にX線を照射するようにしている。フィルタはX線管に取り付けられたコリメータボックス(collimator box)内に設けられる。所望のスペクトルを得るために、フィルタは、回転円板に取り付けられた複数のフィルタプレートを切り替えて使用できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−76219号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スペクトルは広範囲にきめ細かく調節できることが望ましいが、回転円板によってフィルタプレートを切り替える構成では、せいぜい4段階程度の調節にとどまる。このため、調整範囲を広くするとステップが粗くなり、ステップを細かくすると調整範囲が狭くなる。回転円板方式であえて多段階の調節を可能にしようとすると、多数のフィルタを取り付けるための回転円板が大型化するので現実的でない。
【0004】
そこで、本発明の課題は、広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができしかも小型化が可能なフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためのひとつの観点での発明は、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、を具備することを特徴とするフィルタである。
【0006】
上記の課題を解決するための他の観点での発明は、フィルタを通したX線によって被検体を撮影するX線撮影装置であって、前記フィルタは、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、を具備することを特徴とするX線撮影装置である。
【0007】
前記複数のフィルタプレートが、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つことが、最も薄いフィルタプレートの厚みを最小のステップとする厚み調節を行う点で好ましい。
【0008】
前記調節手段が、前記複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有することが、フィルタプレートを両側からインターリーブさせる点で好ましい。
【0009】
前記進退機構が、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によって前記フィルタプレートを進退させることが、構成を簡素化する点で好ましい。
前記板カムが、X線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有することが、構成部品を少なくする点で好ましい。
【0010】
前記進退機構が、モータで駆動される腕のスイングによって前記フィルタプレートを進退させることが、小型化を容易にする点で好ましい。
前記進退機構が、電磁ソレノイドの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させることが、直線運動が容易な点で好ましい。
【0011】
前記進退機構が、空気圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させることが、直線運動が容易な点で好ましい。
前記進退機構が、油圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させることが、直線運動が容易な点で好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィルタが、X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段とを具備するので、広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができしかも小型化が可能なフィルタ、および、そのようなフィルタを備えたX線撮影装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施するための最良の形態に限定されるものではない。図1に、X線撮影装置の模式的構成を示す。本装置は本発明の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明のX線撮影装置に関する実施の形態の一例が示される。
【0014】
同図に示すように、本装置は、X線照射装置10、X線検出装置20およびオペレータコンソール(operator console)30を有する。X線照射装置10とX線検出装置20は、被検体40を挟んで互いに対向する。
【0015】
X線照射装置10はX線管12とコリメータボックス(collimator box)14を有する。コリメータボックス14内にはフィルタ16とコリメータ18が収容されている。フィルタ16は本発明の実施の形態の一例である。本フィルタの構成によって、本発明のフィルタに関する実施の形態の一例が示される。
【0016】
X線管12から放射されたX線は、フィルタ16でエネルギースペクトルが調節されコリメータ18の開口を通して被検体40に照射される。フィルタ16はエネルギースペクトルが可変なフィルタである。コリメータ18は開口が可変なコリメータである。
【0017】
被検体40を透過したX線はX線検出装置20で検出されてオペレータコンソール30に入力される。オペレータコンソール30は入力信号に基づいて被検体40の透視像を再構成する。再構成された透視像はオペレータコンソール30のディスプレイ(display)32で表示される。オペレータコンソール30は、また、X線照射装置10を制御する。オペレータコンソール30によるX線照射装置10の制御には、フィルタ16の制御およびコリメータ18の制御が含まれる。なお、フィルタ16およびコリメータ18は、必要に応じて手動調節が可能になっている。
【0018】
フィルタ16について説明する。図2に、フィルタ16の原理図を示す。同図に示すように、フィルタ16は、複数のフィルタプレート(filter plate)161,162,…,16nで構成される。フィルタプレート161,162,…,16nは、本発明におけるフィルタプレートの一例である。
【0019】
これらフィルタプレート161,162,…,16nは、X線を横切る層を形成する。各フィルタプレート16i(i:1,2,…,n)は層の形成要素であり、金属やプラスチック(plastics)等の板である。各フィルタプレート16iは、X線が通過する空間に個別に進退可能になっている。同図では、X線通過空間への進出状態を黒塗りで表し、X線通過空間からの退出状態を白抜きで表す。
【0020】
フィルタプレート161,162,…,16nは、最も薄いフィルタプレート161を基準にして、順次に2倍の厚みを持つ。すなわち、フィルタプレート161の厚みをATとしたとき、フィルタプレート161,162,…,16nの厚みは、それぞれ、AT,AT*2,…,AT*2n-1となる。
【0021】
フィルタプレート161,162,…,16nがこのような厚みを持つので、層の形成に関わるフィルタプレートの組み合わせを選ぶことにより、層におけるフィルタプレートの厚みの和を、0からAT*(2n−1)まで、AT刻みで2nステップで増減することができる。
【0022】
図3に、フィルタプレートの数nに対応する、プレート最大厚み、厚み増減ステップ数およびプレート厚み総和を示す。同図から、フィルタプレート数が例えば4のときは、プレート最大厚みがAT*8、厚み増減ステップ数が16、プレート厚み総和がAT*15となる。
【0023】
フィルタプレート数が4のときの例を図4に詳細に示す。同図ではATを例えば1mmとしている。同図において、「1」はX線通過空間へのフィルタプレートの進出状態を表し、「0」は退出状態を表す。同図に示すように、フィルタプレートの厚みの和は、0mmから15mmまで、16ステップにわたって1mm刻みで増減することができる。これは、実質的に連続的な厚み調節といってよい。すなわち、広範囲かつきめ細かなスペクトル調節ができるフィルタを得ることができる。しかも、複数のフィルタプレートの組合せによってフィルタの層を形成するので小型化が容易である。
【0024】
実際のフィルタでは、4枚のフィルタプレートは、図5に示すように、半数ずつX線通過空間の両側から進退するようになっている。すなわち、フィルタプレート161,162はX線通過空間の例えば左側から進退し、フィルタプレート163,164はX線通過空間の例えば右側から進退する。そして、層を形成した状態では、左側のフィルタプレート161,162と右側のフィルタプレート163,164がインターリーブ(interleave)する。なお、インターリーブは必須ではなく、右側のフィルタプレート163,164は左側のフィルタプレート161,162の上に来るようにしてもよく、その反対でもよい。
【0025】
図6−図8に、フィルタ16の構成の一例を示す。図6は全体的な構成図、図7および図8は部分的な構成図である。これらの図に示すように、フィルタ16では、4枚のフィルタプレート161,162,163,164が1対のレール(rail)172,174で支持されている。レール172,174は互いに平行である。レール172,174は、いずれも、4枚のフィルタプレート161,162,163,164に対応した4本の平行な溝を有する。フィルタプレート161,162,163,164は、それら4本の溝にそれぞれの両端部を挿入した状態で支持される。
【0026】
フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、リンク(link)261,262,263,264の一端に連結されている。リンク261,262は他端が軸272に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。リンク263,264は他端が軸274に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。
【0027】
リンク261,262,263,264に対応して、それらを駆動するための板カム(plate cam)461,462,463,464がそれぞれ設けられている。板カム461,462,463,464はいずれも外周の形状を利用するカムである。以下、この種のカムを周形カムともいう。
【0028】
リンク261,262,263,264は、それぞれ、板カム461,462,463,464の外周に当接するピン(pin)361,362,363,364を有する。それらのピンは、リンク261,262を左方向に引っ張るスプリング(spring)561,562、および、リンク263,264を右方向に引っ張るスプリング563,564によって、常に板カム461,462,463,464の外周にそれぞれ押し付けられている。
【0029】
板カム461,462は、図9に示すように、共通の回転軸602に取り付けられており、この回転軸602が減速器702を介してモータ(motor)802により駆動される。板カム463,464も同様に共通の回転軸に取り付けられており、その回転軸が減速器704を介してモータ804により駆動される。このように、板カムがX線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有するので、構成部品を少なくすることができる。
【0030】
板カム461,462で駆動されるリンク261,262は、それぞれ、フィルタプレート161,162をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート161,162は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、左端部にある状態が退出状態である。
【0031】
板カム463,464で駆動されるリンク263,264は、それぞれ、フィルタプレート163,164をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート163,164は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、右端部にある状態が退出状態である。
【0032】
リンク261−264、板カム461−464、減速器702,704およびモータ802,804からなる部分は、本発明における調節手段の一例である。リンク261,262、板カム461,462、減速器702およびモータ802からなる部分と、リンク263,264、板カム463,464、減速器704およびモータ804からなる部分は、本発明における1対の進退機構の一例である。進退機構は、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によってフィルタプレートを進退させる構成なので、機構を簡素化することができる。
【0033】
図10−図12に、フィルタ16の構成の他の例を示す。図10は全体的な構成図、図11および図12は部分的な構成図である。これらの図に示すように、フィルタ16では、4枚のフィルタプレート161,162,163,164が1対のレール172,174で支持されている。レール172,174は互いに平行である。レール172,174は、いずれも、4枚のフィルタプレート161,162,163,164に対応した4本の平行な溝を有する。フィルタプレート161,162,163,164は、それら4本の溝にそれぞれの両端部を挿入した状態で支持される。
【0034】
フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、リンク261,262,263,264の一端に連結されている。リンク261,262は他端が軸272に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。リンク263,264は他端が軸274に取り付けられ、それを中心として回転可能になっている。
【0035】
リンク261,262,263,264に対応して、それらを駆動するための板カム471,472,473,474がそれぞれ設けられている。リンク261,262,263,264は、それぞれ、板カム471,472,473,474に係合するピン361,362,363,364を有する。板カム471,472,473,474は、いずれも溝が描くループ(loop)の形状を利用するカムである。以下、この種のカムを溝形カムともいう。
【0036】
板カム471,472は、図13に示すように、歯車の両面にそれぞれ形成された溝となっている。板カム471,472は減速器702を介してモータ802により駆動される。板カム473,474も同様に、歯車の両面にそれぞれ形成された溝となっており、減速器704を介してモータ804により駆動される。このように、板カムがX線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で歯車を共有するので、構成部品を少なくすることができる。
【0037】
板カム471,472で駆動されるリンク261,262は、それぞれ、フィルタプレート161,162をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート161,162は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、左端部にある状態が退出状態である。
【0038】
板カム473,474で駆動されるリンク263,264は、それぞれ、フィルタプレート163,164をレール172,174に沿って往復的に変位させる。フィルタプレート163,164は、レール172,174の中央部にある状態がX線通過空間への進出状態であり、右端部にある状態が退出状態である。
【0039】
リンク261−264、板カム471−474、減速器702,704およびモータ802,804からなる部分は、本発明における調節手段の一例である。リンク261,262、板カム471,472、減速器702およびモータ802からなる部分と、リンク263,264、板カム473,474、減速器704およびモータ804からなる部分は、本発明における1対の進退機構の一例である。進退機構は、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によってフィルタプレートを進退させる構成なので、機構を簡素化することができる。
【0040】
カムについて説明する。カムは、上記のように、その回転によって、フィルタプレートの位置を、X線通過空間への進出位置とそこからの退出位置とにバイナリ(binary)に切り替える機能を果たす。
【0041】
図14に、1軸当たりのカム数に対応する、1回転で切り替え可能な状態数および1切替当たりの回転角度ステップ(step)を示す。同図に示すように、1軸当たりのカム数がnのときは、1回転で切り替え可能な状態数は2nであり、1切替当たりの回転角度ステップは360°/2nである。
【0042】
したがって、1軸当たりのカム数が1のときは、切り替え可能な状態数は2となり、1切替当たりの回転角度ステップは180°となる。1軸当たりのカム数を2としたときは、切り替え可能な状態数は4となり、1切替当たりの回転角度ステップは90°となる。1軸当たりのカム数を3としたときは、切り替え可能な状態数は8となり、1切替当たりの回転角度ステップは45°となる。
【0043】
図15に、1軸当たりのカム数が1のときカムの形状を示す。同図の(a)は周形カムの形状を示し、(b)は溝形カムの形状を示す。同図に示すように、このカムは、角度0°の部分が短径「0」、角度180°の部分が長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、1枚のフィルタプレートの位置を、「0」すなわち退出位置と、「1」すなわち進出位置とに2段階に切り替えることができる。切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図16に示す。
【0044】
この形状のカムは、2枚のフィルタプレートを1枚ずつに分けてX線通過空間の両側に配置し、そこからそれぞれ進退させる場合にも使用可能である。両側のカムの形状は同一である。ただし、両側のカムの回転比を1:0.5とし、一方側(カム1)が1回転する度に他方側(カム1’)が180°ずつ回転するようにする。また、カム1によって厚みが1のフィルタプレートの位置を切り替え、カム1’によって厚みが2のフィルタプレートの位置を切り替える。なお、ここでいう厚みとは最小厚みで正規化した厚みのことである。以下、同様である。
【0045】
このようにしたときの、切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図17に示す。同図において、「0」はフィルタプレートの退出位置を表し、「1」はフィルタプレートの進出位置を表す。同図に示すように、4段階のステップで、厚みが0から3まで1ずつ変化する2層フィルタを得ることができる。
【0046】
図18に、1軸当たりのカム数が2のときカムの形状を示す。同図の(a)および(b)は、2つのカムのうちの一方(カム1)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,90°,180°,270°の部分が、それぞれ、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,1,0,1の4段階に切り替えることができる。
【0047】
同図の(c)および(d)は、2つのカムのうちの他方(カム2)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,90°,180°,270°の部分が、それぞれ、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,0,1,1の2段階に切り替えることができる。切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図19に示す。
【0048】
この形状のカムは、4枚のフィルタプレートを2枚ずつに分けてX線通過空間の両側に配置し、そこからそれぞれ進退させる場合にも使用可能である。両側のカムの形状は同一である。ただし、両側のカムの回転比を1:0.25とし、一方側(カム1,2)が1回転する度に他方側(カム1’,2’)が90°ずつ回転するようにする。また、カム1,2によって厚みが1および2の、2つのフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替え、2つのカム1’,2’によって厚みが4および8の、2つフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替える。
【0049】
このようにしたときの、切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図20に示す。同図において、「0」はフィルタプレートの退出位置を表し、「1」はフィルタプレートの進出位置を表す。同図に示すように、16段階のステップで、厚みが0から15まで1ずつ変化する4層フィルタを得ることができる。
【0050】
図21に、1軸当たりのカム数が3のときカムの形状を示す。同図の(a)および(b)は、3つのカムのうちの第1のカム(カム1)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の部分が、それぞれ、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」、短径「0」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,1,0,1,0,1,0,1の8段階に切り替えることができる。
【0051】
同図の(c)および(d)は、3つのカムのうちの第2のカム(カム2)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の部分が、それぞれ、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,0,1,1,0,0,1,1,の4段階に切り替えることができる。
【0052】
同図の(e)および(f)は、3つのカムのうちの第3のカム(カム3)について、周形カムおよび溝形カムの形状をそれぞれ示す。同図に示すように、このカムは、角度0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の部分が、それぞれ、短径「0」、短径「0」、短径「0」、短径「0」、長径「1」、長径「1」、長径「1」、長径「1」となっている。したがって、このカムの1回転により、フィルタプレートの位置を、0,0,0,0,1,1,1,1,の2段階に切り替えることができる。切替の各ステップに対応する、フィルタプレートの位置とカムの回転角度を図22に示す。
【0053】
この形状のカムは、6枚のフィルタプレートを3枚ずつに分けてX線通過空間の両側に配置し、そこからそれぞれ進退させる場合にも使用可能である。両側のカムの形状は同一である。ただし、両側のカムの回転比を1:0.125とし、一方側(カム1,2,3)が1回転する度に他方側(カム1’,2’,3’)が45°ずつ回転するようにする。また、カム1,2,3によって厚みが1,2,4の、3つのフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替え、カム1’,2’,3’によって厚みが8,16,32の、3つのフィルタプレートの位置をそれぞれ切り替える。このようにすることにより、64段階のステップで、厚みが0から63まで1ずつ変化する6層フィルタを得ることができる。
【0054】
図23に、6層フィルタの主要部の構成の一例を透視図によって示す。同図に示すように、6層フィルタは6つのフィルタプレート161,162,163,164,165,166を有する。これらフィルタプレートは、1対のレール172,174によって支持され、それに沿って相互干渉なしに移動可能になっている。
【0055】
同図は、6つのうち4つのフィルタプレート161,162,164,165がX線通過空間に進出し、2つのフィルタプレート163,166がX線通過空間から退出した状態を示している。フィルタプレート161,162,163は図における左側から進退し、フィルタプレート164,165,166は図における右側から進退する。
【0056】
フィルタプレート161,162,163の進退は、リンク261,262,263によってそれぞれ行われる。リンク261,262,263は、それぞれ板カム461,462,463で駆動されて、共通の軸272を中心として回転する。板カム461,462,463は共通の回転軸602に固定されている。
【0057】
板カム461,462,463とリンク261,262,263の係合は、それぞれピン361,362,363を介して行われる。板カム461,462,463は周形カムであり、ピン361,362,363はスプリング561,562,563の力によってそれぞれ板カム461,462,463の周に押し付けられている。なお、板カム461,462,463を溝形カムにしたときはスプリング561,562,563は不要である。
【0058】
フィルタプレート164,165,166の進退は、リンク264,265,266によってそれぞれ行われる。リンク264,265,266は、それぞれ板カム464,465,466で駆動されて、共通の軸274を中心として回転する。板カム464,465,466は共通の回転軸604に固定されている。
【0059】
板カム464,465,466とリンク264,265,266の係合は、それぞれピン364,365,366を介して行われる。板カム464,465,466は周形カムであり、ピン364,365,366はスプリング564,565,566の力によってそれぞれ板カム464,465,466の周に押し付けられている。なお、板カム464,465,466を溝形カムにしたときはスプリング564,565,566は不要である。
【0060】
図24に、フィルタ16の構成の他の例を示す。この例では、フィルタプレート161,162,163,164が、それぞれ、減速器711,712,713,714を介して、モータ811,812,813,814によって駆動される。フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、減速器711,712,713,714の出力段に腕911,912,913,914によって取り付けられている。
【0061】
フィルタプレート161,162は、それぞれ、モータ811,812の回転に伴う腕911,912のスイング(swing)によって、右端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。フィルタプレート163,164は、それぞれ、モータ813,814の回転に伴う腕913,914のスイングによって、左端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。
【0062】
腕911−914、減速器711−714およびモータ811−814からなる部分は、本発明における調節手段の一例である。腕911,912、減速器711,712およびモータ811,812からなる部分と、腕913,914、減速器713,714およびモータ813,814からなる部分は、本発明における1対の進退機構の一例である。進退機構は、モータで駆動される腕のスイングによってフィルタプレートを進退させる構成なので、機構の小型化が容易である。
【0063】
図25に、フィルタ16の構成の他の例を示す。この例では、フィルタプレート161,162,163,164が、それぞれ、減速器711’,712’,713’,714’を介して、モータ811,812,813,814によって駆動される。フィルタプレート161,162,163,164は、それぞれ、減速器711’,712’,713’,714’の出力段に腕911,912,913,914によって取り付けられている。減速器711’,712’,713’,714’は途中で回転軸の方向を90°変更するように構成されている。このため、モータ811,812,813,814の回転軸の方向は水平方向となる。
【0064】
フィルタプレート161,162は、それぞれ、モータ811,812の回転に伴う腕911,912のスイングによって、右端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。フィルタプレート163,164は、それぞれ、モータ813,814の回転に伴う腕913,914のスイングによって、左端部の退出位置と中央部の進出位置との間で進退する。
【0065】
図26に、フィルタ16の他の例の構成を模式的に示す。同図に示すように、フィルタプレート160は、リンク260を介してアクチュエータ(actuator)800によって駆動され、左側の退出位置と右側の進出位置との間で進退する。このような機構がフィルタプレートの数だけ設けられる。
【0066】
アクチュエータ800としては、往復運動を行う可動部を持つ電磁ソレノイド(solenoid)が用いられる。なお、電磁ソレノイドの代わりに、空気圧シリンダ(cylinder)あるいは油圧シリンダを用いてもよい。
【0067】
リンク260およびアクチュエータ800からなる部分は、本発明における調節手段または進退機構の一例である。進退機構は、電磁ソレノイド、空気圧シリンダまたは油圧シリンダの可動部の往復運動を利用してフィルタプレートを進退させるので、直線運動が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】発明を実施するための最良の形態の一例のX線撮影装置の構成を示す図である。
【図2】フィルタの原理的構成を示す図である。
【図3】フィルタプレート数に対応する、プレート最大厚み、厚み増減ステップおよびプレート厚み総和を示す図である。
【図4】ステップごとのフィルタプレートの組合せを示す図である。
【図5】フィルタプレートの進退状態を示す図である。
【図6】フィルタの全体構成の一例を示す図である。
【図7】フィルタの部分的構成の一例を示す図である。
【図8】フィルタの部分的構成の一例を示す図である。
【図9】回転軸を共有する2つの板カムを示す図である。
【図10】フィルタの全体構成の他の例を示す図である。
【図11】フィルタの部分的構成の他の例を示す図である。
【図12】フィルタの部分的構成の他の例を示す図である。
【図13】歯車を共有する2つの板カムを示す図である。
【図14】1軸当たりのカム数に対応する、切替状態数および回転角度ステップを示す図である。
【図15】板カムの形状を示す図である。
【図16】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図17】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図18】板カムの形状を示す図である。
【図19】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図20】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図21】板カムの形状を示す図である。
【図22】ステップごとの、フィルタプレート進退位置およびカムの回転角度を示す図である。
【図23】6層フィルタの主要部の構成の一例を示す図である。
【図24】フィルタの他の例の構成を示す図である。
【図25】フィルタの他の例の構成を示す図である。
【図26】フィルタの他の例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 X線照射装置
20 X線検出装置
30 オペレータコンソール
40 被検体
16 フィルタ
161−166 フィルタプレート
172,174 レール
261−266 リンク
461−466 板カム
702−704 減速器
802−804 モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、
前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、
を具備することを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記複数のフィルタプレートが、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つ、
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記調節手段が、前記複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記進退機構が、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記板カムが、X線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記進退機構が、モータで駆動される腕のスイングによって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記進退機構が、電磁ソレノイドの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記進退機構が、空気圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記進退機構が、油圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項10】
フィルタを通したX線によって被検体を撮影するX線撮影装置であって、
前記フィルタは、
X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、
前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、
を具備することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項11】
前記複数のフィルタプレートが、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つ、
ことを特徴とする請求項10に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記調節手段が、前記複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有する、
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
前記進退機構が、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項14】
前記板カムが、X線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有する、
ことを特徴とする請求項13に記載のX線撮影装置。
【請求項15】
前記進退機構が、モータで駆動される腕のスイングによって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項16】
前記進退機構が、電磁ソレノイドの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項17】
前記進退機構が、空気圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項18】
前記進退機構が、油圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項1】
X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、
前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、
を具備することを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記複数のフィルタプレートが、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つ、
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記調節手段が、前記複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記進退機構が、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記板カムが、X線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記進退機構が、モータで駆動される腕のスイングによって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記進退機構が、電磁ソレノイドの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記進退機構が、空気圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記進退機構が、油圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
【請求項10】
フィルタを通したX線によって被検体を撮影するX線撮影装置であって、
前記フィルタは、
X線を横切る層を形成することが可能な複数のフィルタプレートと、
前記複数のフィルタプレートをX線通過空間に個別に進退させて層を形成するフィルタプレートの組み合わせを調節する調節手段と、
を具備することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項11】
前記複数のフィルタプレートが、最も薄いフィルタプレートを基準として順次に2倍の厚みを持つ、
ことを特徴とする請求項10に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記調節手段が、前記複数のフィルタプレートの半数ずつをX線通過空間の両側からそれぞれ進退させる1対の進退機構を有する、
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
前記進退機構が、板カムの回転に基づくリンクの往復運動によって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項14】
前記板カムが、X線通過空間に関して同じ側にある複数のもの同士で回転軸を共有する、
ことを特徴とする請求項13に記載のX線撮影装置。
【請求項15】
前記進退機構が、モータで駆動される腕のスイングによって前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項16】
前記進退機構が、電磁ソレノイドの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項17】
前記進退機構が、空気圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項18】
前記進退機構が、油圧シリンダの可動部の往復運動を利用して前記フィルタプレートを進退させる、
ことを特徴とする請求項12に記載のX線撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−226985(P2006−226985A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233021(P2005−233021)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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