説明

フィルタユニット

【課題】着脱式巻取りフィルタの正確な使用量を検出することのできるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】着脱式巻取りフィルタは、動力を発生させるフィルタ巻取りモータ12と、動力を伝える駆動軸13と、駆動軸13から動力を受けてフィルタ9を巻き上げるフィルタ巻き上げ軸11と、巻き上げに連動して回転するギア8及びフィルタ供給軸10と、ギア8の回転を検知するフォトセンサ7とを備える。フォトセンサ7はギア8の回転をパルス信号として検知する。信号のパルス幅はフィルタの使用量に応じて決まっているため、パルス幅とフィルタ使用量の関係を表すテーブルを作成することができる。このテーブルとセンサ7で検知した信号のパルス幅から着脱式巻取りフィルタの使用量を導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタユニットに係り、特に着脱式巻取りフィルタを用いたものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ホームシアターから商用までさまざまなシーンでプロジェクタ等の投射型表示装置が使用されている。投射型表示装置にて映像を投射する際に、光学部品は大量の熱を発生するため、強い冷却効果が得られる冷却ファンを使用する必要がある。
【0003】
冷却ファンを回転させ、空気の流れができると空気中のダストが装置内に侵入してくるので、吸気口にフィルタを設ける必要がある。しかし、このフィルタにダストが蓄積すると冷却効果が落ちてしまうため、多くの投射型表示装置にて着脱式巻取りフィルタが用いられている。
【0004】
着脱式巻取りフィルタでは、フィルタにダストがたまったときにフィルタを巻き取ることで常に冷却効果を一定に保っている。但し、巻き取ることのできるフィルタの長さは決まっているため、フィルタを全て巻き取った後は交換する必要がある。但し、フィルタの使用量がわからなければ交換する時期の目安がわからない。
【0005】
この対策として特許文献1には、フィルタ巻取り時のフィルタ移動量を検出可能に構成したフィルタ装置が開示されている。
【0006】
図5(a)は、当該フィルタ装置の基本構成を示す図、図5(b)は、当該フィルタ装置のギアベース部の斜視図である。
【0007】
このフィルタ装置は、フィルタ保持部14、開口部14a、開口壁14b、ギアベース15a、ギアモータ15b、駆動軸側連結部15g、磁石15h、磁気センサ基板15i、スイッチ15j、フィルタユニット16、通風口17a、巻取り軸側連結部17g、スイッチ用リブ17j、フィルタカートリッジ18を備えている。
【0008】
この構成において、フィルタ駆動軸側連結部15gの外周側所定位置に設けられた磁石と、この磁石15hの磁力を検出する磁気センサ15iとで、当該磁気センサ15iの出力に基づきフィルタ巻取り時のフィルタ移動量を検出可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−309913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に記載のフィルタ装置では、磁気センサでフィルタ移動量を検出し、現在のフィルタの使用量をフィルタ移動量の総和で算出する。磁気センサで検知したフィルタ移動量と実際のフィルタ移動量の間には誤差があるため、フィルタ移動量を総和する際には誤差が増幅してしまう。
【0011】
また、センサの検出結果とフィルタの使用量を関係付ける最適な方法については、記載がない。
【0012】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、着脱式巻取りフィルタの使用量の検出精度を安定的かつ高精度に実現できるフィルタ装置及びそれを用いた投射型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明のフィルタユニットは、フィルタを巻き上げるためのモータと、モータの動力によりフィルタを巻き上げる巻き上げ軸及びフィルタを供給する供給軸と、フィルタの巻き上げに連動して回転するギアと、前記ギアの回転を信号で検知するセンサと、前記センサで検知した信号を用いてフィルタの使用量を検出するフィルタ使用量検出手段とを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフィルタユニットによると、センサで検知した信号のパルス幅からフィルタの位置を検出することができるため、フィルタの使用量に係らず精度の高いフィルタ位置検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】投射型表示装置の制御系の構成を示すブロック図
【図2】フィルタの基本構成を示す図
【図3】フィルタの使用量とフォトセンサの出力関係を示す図
【図4】フィルタ使用量と検出パルス幅の関係のテーブルを示す図
【図5】従来のフィルタの基本構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の投射型表示装置の制御系の構成を示すブロック図、図2は投射型表示装置に取り付けられている着脱式巻取りフィルタの構成図、図3はフィルタ使用量と検出パルス幅の関係を示す説明図、図4はフィルタ使用量/検出パルス幅のテーブルの説明図である。
【0018】
まず、図2を用いて投射型表示装置と着脱式巻取りフィルタの構成について説明する。図2は、図示しないプロジェクタに取り付けられている着脱式巻取りフィルタの構成を示す。
【0019】
同図において、当該フィルタは、一定速度の駆動力を与える巻取りモータ12、モータ12の駆動力を伝達する駆動軸13、駆動軸13から伝達された駆動力によってフィルタを巻き上げるフィルタ巻き上げ軸11、フィルタ9を供給するフィルタ供給軸10、フィルタの巻取り経路に位置しフィルタに押圧してフィルタの巻取りと共に回転するギア8、ギア8の山谷を検知しパルスを発生させるフォトセンサ7を備えている。
【0020】
次に、このフィルタの動作について説明する。
【0021】
フィルタ巻取りモータ12を駆動させるとその動力が駆動軸13を通じてフィルタ巻き上げ軸11に伝わる。フィルタ巻き上げ軸11に動力が伝わるとフィルタ巻き上げ軸11が回転し、フィルタ供給軸10からフィルタ9が供給される。フィルタ9が巻き取られるとそれに連動してギア8が回転する。フォトセンサ7ではギア8の回転をHigh,Lowのパルス信号として検知し、検知したパルス信号を図示しないマイコンにて取得する。フィルタ巻き上げ軸11に巻き取られているフィルタ9の量が変化するとフィルタ巻き上げ軸11に巻かれているフィルタ9の外径が変化する。そのため、フィルタ巻き上げ軸11を一定速度で回転させると、フィルタ9が巻き取られる速度は変化する。
【0022】
フィルタ9が巻き取られる速度とフォトセンサ7で検知するパルス情報を概念的に表現すると図3のようになる。図3(a)は、フィルタ9の巻き取り始めに検出されるパルス幅と、フィルタ9の使用量を概念的に示している。図3(b)は、フィルタ9の巻き取り終了間際に検出されるパルス幅と、フィルタ9の使用量を概念的に示している。これらの図から理解できるように、巻き上げ軸11が一定速度で回転するため、検出されるパルス信号幅は、巻き取り終了間際の方が、巻き取り始めよりも小さくなっている。従って、このパルス幅と、フィルタ9の巻き取り量は一意的に決まり、これを予め対応付けたテーブルを用意しておくことで、フィルタ9の使用量が算出できる。図4にそのテーブルの一例を示す。パルス幅に対応して、フィルタの使用量を予め算出したものである。
【0023】
次に、図1を参照して投射型表示装置の制御系の構成について詳細に説明する。同図において、投射型表示装置の制御系100は、モータの駆動や表示部2を制御する制御部1、フィルタの使用量などを表示する表示部2、制御部1からの命令によってモータの駆動を制御するモータ制御部3、ギア8から検出されるパルス幅とフィルタ6の使用量の関係を示したパルス幅/使用量テーブル4、フィルタ巻取り用モータ5、フィルタ6、ギア8の回転に応じてパルスを発生させるフォトインタラプタ7などを備えて構成されている。
【0024】
制御部1からモータ制御部3に対してフィルタの巻取りを要求すると、モータ制御部3にてフィルタ巻取り用モータ5を一定の回転速度で駆動させる。フィルタ巻取り用モータ5が駆動することでフィルタ6が一定の回転速度の巻取り軸によって巻き取られる。フォトインタラプタ7にてフィルタの巻取り経路に位置するギア8の回転を検出してフィルタ6の巻取りをパルス信号に変換し、それを制御部1に伝える。制御部1ではパルス幅とパルス幅/使用量テーブル4を用いてパルス幅に予め対応付けられたフィルタの使用量を算出する。算出された使用量は表示部2にてユーザに通知される。
【0025】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明のフィルタユニット、投射型表示装置は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明にかかるフィルタユニットは、正確なフィルタの使用量を検出できるので、フィルタ交換時期を特に正確に知る必要性の高い投射型表示装置におけるフィルタユニットとして有効である。
【符号の説明】
【0027】
100 制御系
1 制御部
2 表示部
3 モータ制御部
4 パルス幅/使用量テーブル
5 フィルタ巻取り用モータ
6 フィルタ
7 フォトインタラプタ
8 ギア
9 フィルタ
10 フィルタ供給軸
11 フィルタ巻き上げ軸
12 巻取りモータ
13 駆動軸
14 フィルタ保持部
14a 開口部
14b 開口壁
15a ギアベース
15b ギアモータ
15g 駆動軸側連結部
15h 磁石
15i 磁気センサ基板
15j スイッチ
16 フィルタユニット
17a 通風口
17g 巻取り軸側連結部
17j スイッチ用リブ
18 フィルタカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタを巻き上げるためのモータと、モータの動力によりフィルタを巻き上げる巻き上げ軸及びフィルタを供給する供給軸と、フィルタの巻き上げに連動して回転するギアと、前記ギアの回転を信号で検知するセンサと、前記センサで検知した信号を用いてフィルタの使用量を検出するフィルタ使用量検出手段とを設けたことを特徴とするフィルタユニット。
【請求項2】
フィルタ使用量検出手段は、センサから検知した信号とフィルタ使用量の関係を表した予め用意されたテーブル情報を用いて、フィルタ使用量を算出することを特徴とする請求項1記載のフィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−259966(P2010−259966A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110532(P2009−110532)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】