説明

フィルター、液体噴射ヘッド、液体噴射装置

【課題】流路抵抗を低く抑えつつ高い捕捉能力を河得られるとともに耐久性に優れたフィルター、液体噴射ヘッド、液体噴射装置を提供する。
【解決手段】本発明のフィルター50は、インクを通過させるとともに該インク中に存在する異物を捕捉するフィルターであって、第1面51aと第2面51bとを有するフィルター部材51A及びフィルター部材51Bと、フィルター部材51A及びフィルター部材51Bに形成され、各フィルター部材51A,51Bの第1面51aから第2面51bにかけて当該フィルター部材51A,51Bの厚さ方向を貫通するとともにインクを通過させる複数の貫通孔52と、を有し、貫通孔52の一方の開口端にはフィルター部材51A、51Bの厚さ方向に突出する凸部53が設けられており、フィルター部材51A及びフィルター部材51Bがこれら基材51A,51Bの厚さ方向で互いの凸部53を逆向きにして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルター、液体噴射ヘッド、液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェット記録ヘッドには、インク流路内への気泡進入および異物進入を防ぐためにフィルターが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−023820号公報
【特許文献2】特開2009−196292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルターの機能としては高い捕捉能力を有し且つ流路抵抗が小さいことが求められている。しかしながら、高い捕捉能力を確保するために孔径を小さくすると流路抵抗が大きくなってしまうという問題がある。そこで、孔数を増加させて流路抵抗を低く抑えようとする場合、孔同士が近接して孔間の距離が小さくなりクラック(亀裂)が入りやすくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、流路抵抗を低く抑えつつ高い捕捉能力が得られるとともに耐久性に優れたフィルター、液体噴射ヘッド、液体噴射装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルターは、液体を通過させるフィルターであって、流入面と流出面とを有する第1の基材及び第2の基材と、前記第1の基材及び前記第2の基材に形成され、各基材の前記流入面から前記流出面にかけて当該基材の厚さ方向を貫通するとともに前記液体を通過させる複数の貫通孔と、を有し、前記貫通孔の一方の開口端には前記基材の厚さ方向に突出する凸部が設けられており、前記第1の基材及び前記第2の基材がこれら基材の厚さ方向で互いの凸部を逆向きにして配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、貫通孔の一方の開口端に基材の厚さ方向に突出する凸部が設けられていることから、多数の貫通孔を基材に形成して貫通孔同士が密集した場合にも、貫通孔からクラック(亀裂)等が発生することが防止される。これにより、流路抵抗を低く抑えつつ高い捕捉能力を確保可能であるとともに耐久性に優れたフィルターを得ることができる。
また、第1の基材及び第2の基材が互いの凸部どうしを対向させて配置されていることから、液体中の異物(例えば、貫通孔より小さい異物)を凸部によって異物を捕捉することが可能となる。
【0008】
また、前記凸部が前記開口端を取り囲むようにして形成されていることが好ましい。
本発明によれば、凸部によって異物の捕捉能力が高まる。
【0009】
また、前記凸部の高さが、前記第1の基材及び前記第2の基材の板厚の1/4以上であることが好ましい。
本発明によれば、異物捕捉機能が十分に得られる形状とすることができる。
【0010】
また、前記凸部の先端面が曲面状とされていることが好ましい。
本発明によれば、凸部の先端面が曲面状とされているので、流路抵抗を低く抑えることが可能となる。
【0011】
また、前記第1の基材及び前記第2の基材がそれぞれ金属層と樹脂層とを積層してなることが好ましい。
本発明によれば、多数の微細孔を有した強度の高いフィルターを形成することができるとともに、液体に対する耐性に優れたものとなる。
【0012】
また、前記第1の基材及び前記第2の基材の前記貫通孔どうしが当該基材の面方向でずれていることが好ましい。
本発明によれば、前記第1の基材及び前記第2の基材の貫通孔どうしが基材の面方向でずれていることから、前記第1の基材及び前記第2の基材の間で液体の流動方向が変化するなどして、液体中に存在する異物がフィルターに捕捉される可能性が高くなる。
【0013】
また、前記貫通孔の平面視における大きさが、前記第1の基材及び前記第2の基材ごとに異なっていることが好ましい。
本発明によれば、平面視における貫通孔の大きさを前記第1の基材及び前記第2の基材ごとに異ならせることによって、液体中に存在する大きさの異なる異物や粘性が高くなった液体を効果的に捕捉することが可能となる。
【0014】
また、前記第1の基材の前記貫通孔よりも当該第1の基材の前記流出面側に配置される前記第2の基材の前記貫通孔の方が平面視における大きさが小さいことが好ましい。
本発明によれば、ある程度大きさを有する異物は第1の基材で捕捉され、当該第1の基材によって捕捉されなかった小さな異物を第2の基材によって捕捉することが可能となるため、異物の除去効率が向上する。
【0015】
本発明の液体噴射ヘッドは、先に記載の本発明のフィルターを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、液体噴射ヘッド内の流路に貫通孔の一方の開口端に凸部を有した本発明のフィルターを備えることで、流路抵抗を低く抑えつつ、流路内を流動する液体中に存在する異物を効果的に捕捉することが可能となる。これにより、ノズル開口の目詰まりが防止されて吐出不良をなくすことができる。また、フィルター自体の耐久性も高くなるため吐出不良を長期的に抑制することができる。
また、本発明のフィルターは第1の基材及び第2の基材を互いの凸部を対向させて構成されていることから、流路抵抗を低く抑えた上で流路内を流れるインク中の異物を効果的に除去することが可能となる。これにより良好な突出を維持できる液体噴射ヘッドとなる。
【0017】
また、前記フィルターを構成する第1の基材及び第2の基材は、液体を貯留する液体貯留部からノズル開口へ前記液体を供給する流路内に前記液体の流動方向で互いの凸部どうしを逆向きにして配置され、前記第1の基材が前記液体の流れに対して上流側に前記凸部を向けた状態とされ、前記第2の基材が前記液体の流れに対して下流側に前記凸部を向けた状態とされていることが好ましい。
本発明によれば、液体内に存在する異物が凸部によって留められ貫通孔内に流入することを阻止する効果が図れる。
【0018】
また、前記液体の流れに対して上流側に配置される前記第1の基材の前記貫通孔よりも下流側に配置される前記第2の基材の前記貫通孔の方が平面視における大きさが小さいことが好ましい。
本発明によれば、ある程度の大きさを有する異物は上流側の第1の基材で捕捉され、当該第1の基材によって捕捉されなかった小さな異物を下流側の第2の基材によって捕捉することが可能となるので、異物の除去効率が向上する。
【0019】
本発明の液体噴射装置は、先に記載の本発明の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の液体噴射装置によれば、ノズル開口に接続される流路内に本発明のフィルターを備えていることから、流路抵抗を低く抑えながら異物の除去を効果的に行え、ノズルの目詰まりを防止することができる。これにより、吐出不良を発生させることなく良好な吐出が長期的に行え、高品質な液体噴射装置が得られる。
また、本発明のフィルターは第1の基材及び第2の基材を互いの凸部を対向させて構成されていることから、流路抵抗を低く抑えた上で流路内を流れるインク中の異物を効果的に除去することが可能となる。これにより良好な突出を維持できる液体噴射装置となる。
【0021】
また、前記フィルターを構成する第1の基材及び第2の基材は、前記液体噴射ヘッドに供給する液体を貯留する液体貯留部から前記液体噴射ヘッドのノズル開口へ前記液体を供給する流路内に、前記液体の流動方向で互いの凸部どうしを逆向きにして前記流路内に配置され、前記第1の基材が前記液体の流れに対して上流側に前記凸部を向けた状態とされ、 前記第2の基材が前記液体の流れに対して下流側に前記凸部を向けた状態とされていることが好ましい。
本発明によれば、流路抵抗を低く抑えた上で凸部によっても異物を捕捉する効果が得られる。
【0022】
また、前記液体の流れに対して上流側に配置される前記第1の基材の前記貫通孔よりも下流側に配置される前記第2の基材の前記貫通孔の方が平面視における大きさが小さいことが好ましい。
本発明によれば、ある程度の大きさを有する異物は上流側の第1の基材で捕捉され、当該第1の基材によって捕捉されなかった小さな異物を下流側の第2の基材によって捕捉することが可能となるので、異物の除去効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のプリンターの全体構成を示す平面図。
【図2】本実施形態のプリンターにおける記録ヘッドの構成を説明する断面図。
【図3】本実施形態の記録ヘッドの周辺における要部構成を示す模式図。
【図4】フィルターの設置状態を示す図。
【図5】(a)はフィルターの概略構成を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図6】フィルターの製造工程を説明するための断面図。
【図7】フィルターの要部を拡大して示す断面図。
【図8】フィルターの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0025】
まず、本発明に係る液体噴射装置の一実施形態であるプリンターについて述べる。
図1は、プリンターの全体構成を示す平面図である。
本実施形態のプリンター100は、プリンター本体5と、インクカートリッジからなるメインタンク6(液体貯留部)と、サブタンク2および記録ヘッド3(液体噴射ヘッド置)を搭載したキャリッジ4と、を備えて概略構成されている。
【0026】
プリンター本体5には、キャリッジ4を往復移動させるキャリッジ移動機構(図示略)と、記録紙(図示略)を搬送する紙送り機構(図示略)と、記録ヘッド3に供給するインクを貯留(収容)したメインタンク6とが設けられている。
【0027】
キャリッジ移動機構は、プリンター本体の幅方向に架設されたガイド軸8と、パルスモーター9と、パルスモーター9の回転軸に接続されたこのパルスモーター9によって回転駆動される駆動プーリー10と、駆動プーリー10とはプリンター本体5の幅方向の反対側に設けられた遊転プーリー11と、駆動プーリー10と遊転プーリー11との間に架け渡されてキャリッジ4に接続されたタイミングベルト12と、から構成されている。
このような構成のもとに、パルスモーター9を駆動することにより、キャリッジ4がガイド軸8に沿って主走査方向に往復移動するようになっている。
【0028】
また、紙送り機構は、紙送りモーターやこの紙送りモーターによって回転駆動される紙送りローラー(いずれも図示せず)等から構成され、記録紙を記録(印字・印刷)動作に連動させてプラテン上に順次送り出すようになっている。
【0029】
図2は、本実施形態のプリンター100における記録ヘッドの構成を説明する断面図である。
図2に示すように、本実施形態における記録ヘッド3は、導入針ユニット17、ヘッドケース18、流路ユニット19およびアクチュエータユニット20を主な構成要素としている。
導入針ユニット17の上面にはフィルター50を介在させた状態で2本のインク導入針22が横並びで取り付けられている。これらのインク導入針22には、サブタンク2がそれぞれ装着される。また、導入針ユニット17の内部には、各インク導入針22に対応したインク導入路23が形成されている。
【0030】
このインク導入路23の上端はフィルター50を介してインク導入針22に連通し、下端はパッキン24を介してヘッドケース18内部に形成されたケース流路25と連通する。
【0031】
サブタンク2は、ポリプロピレン等の樹脂製材料によって成型されている。このサブタンク2には、インク室27となる凹部が形成され、この凹部の開口面に透明な弾性シート26を貼設してインク室27が区画されている。
【0032】
また、サブタンク2の下部にはインク導入針22が挿入される針接続部28が下方に向けて突設されている。サブタンク2におけるインク室27は、底の浅いすり鉢形状をしており、その側面における上下中央よりも少し下の位置には、針接続部28との間を連通する接続流路29の上流側開口が臨んでいる。また、インク室27の上流側には、タンク部フィルタ(不図示)が設けられている。針接続部28の内部空間にはインク導入針22が液密に嵌入されるシール部材31が嵌め込まれている。
【0033】
このサブタンク2には、インク室27に連通するインク流入口(不図示)が突設されている。このインク流入口には、メインタンク6に貯留されたインクを供給するインク供給チューブ34が接続され、インク供給チューブ34を通ってきたインクがこのインク室27に流入するようになっている。本実施形態に係るプリンター100は、2つのメインタンク6を備えており、それぞれが対応するサブタンク2に上記インク供給チューブ34を介して接続されている。なお、メインタンク6の数はこれに限らない。
【0034】
図2に示した上記弾性シート26は、インク室27を収縮させる方向と膨張させる方向とに変形可能である。そして、この弾性シート26の変形によるダンパ機能によって、インクの圧力変動が吸収される。すなわち、弾性シート26の作用によってサブタンク2が圧力ダンパとして機能する。したがって、インクは、サブタンク2内で圧力変動が吸収された状態で記録ヘッド3側に供給されるようになっている。
【0035】
ヘッドケース18は、合成樹脂製の中空箱体状部材であり、下端面に流路ユニット19を接合し、内部に形成された収容空部37内にアクチュエータユニット20を収容し、流路ユニット19側とは反対側の上端面にパッキン24を介在した状態で導入針ユニット17を取り付けるようになっている。
【0036】
このヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。このケース流路25の上端は、パッキン24を介して導入針ユニット17のインク導入路23と連通するようになっている。
【0037】
また、ケース流路25の下端は、流路ユニット19内の共通インク室44に連通するようになっている。したがって、インク導入針22から導入されたインクは、インク導入路23およびケース流路25を通じて共通インク室44側に供給される。
【0038】
図3は、本実施形態を説明するための、記録ヘッド3の周辺における要部構成を示す模式図である。
図3に示すように、合成樹脂のヘッドケース18を有したもので、このヘッドケース18の下端面に流路ユニット19を接合し、ヘッドケースの内部にアクチュエータユニット20を収容し、流路ユニット19側とは反対側の上端面側に上記インク導入路23が接続されるようになっている。
【0039】
ヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。このケース流路25の上端は上記インク導入路23に連通し、下端は流路ユニット19内の共通インク室44に連通するようになっている。したがって、インク導入路23から導入されたインクは、ケース流路25を通じて共通インク室44側に供給されるようになっている。
【0040】
アクチュエータユニット20は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子38と、この圧電振動子に接合される固定板39と、プリンター本体側からの駆動信号を圧電振動子38に供給する配線部材としてのフレキシブルケーブル40とから構成されている。各圧電振動子38は、固定端部側が固定板39上に接合され、自由端部側が固定板39の先端面よりも外側に突出している。すなわち、各圧電振動子38は、いわゆる片持ち梁の状態で固定板39上に取り付けられている。
【0041】
固定板39は、圧電振動子38を支持するもので、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。
アクチュエータユニット20は、固定板39の背面を、収容空部37を区画するケース内壁面に接着することで収容空部37に収納・固定されている。
【0042】
流路ユニット19は、振動板41、流路基板42およびノズル基板43からなる流路ユニット構成部材が、積層された状態で一体化されて作製されたもので、共通インク室44からインク供給口45および圧力室46を通りノズル開口47aに至るまでの一連のインク流路を形成する部材である。圧力室46は、ノズル開口47aの列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成されており、それぞれに対向する圧電振動子38を備えて鋳る。
【0043】
共通インク室44は、上記インク導入路23に連通してサブタンク側からのインクが導入される室である。この共通インク室44に導入されたインクは、インク供給口45を通じて各圧力室46に分配供給されるようになっている。
【0044】
流路ユニット19の底部に配列されるノズル基板43は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口47aを列状に開設した金属製の薄い板材である。ノズル基板43の表面には、複数のノズル開口47aが形成されており、このようなノズル開口47aを形成したノズル基板43の表面により、ノズル開口47aが構成されている。
【0045】
流路基板42は、結晶性を有する基材であるシリコンウェハを異方性エッチング処理することによって作製されている。振動板41は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板41の圧力室46に対応する部分には、エッチングなどによって支持板を環状に除去することで、圧電振動子38の先端面が接合される島部48が形成されている。この部分は、ダイヤフラム部として機能するようになっている。すなわち、この振動板41は、圧電振動子38の作動に応じて島部48の周囲の弾性フィルムが弾性変形するように構成されている。
【0046】
また、振動板41は、流路基板42の一方の開口面を封止し、コンプライアンス部49としても機能するようになっている。このコンプライアンス部49に相当する部分については、ダイヤフラム部と同様に、エッチングなどにより支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
【0047】
このような記録ヘッド3において、フレキシブルケーブル40を通じて駆動振動が圧電振動子38に供給されると、この圧電振動子38が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部48が圧力室46に近接する方向あるいは離間する方向に移動する。これにより、圧力室46の容積が変化し、圧力室46内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル47からインク滴Dが吐出される。
【0048】
図4は、フィルター50の設置状態を示す図である。
フィルター50は、インクを通過させるとともにインク中に存在する異物(物質)を捕捉するもので、互いのフィルター面を対向させて配置された一対のフィルター部材51A(第1の基材)とフィルター部材51B(第2の基材)とを備えてなり、図2に示したようにインク導入針22の内壁面に固定されている。
これらフィルター部材51A,51Bはインクの流動方向に並べて配置され、相互間の間隔はなるべく小さい方が好ましい。
【0049】
次に、記録ヘッド3に設けられた本実施形態のフィルターの構成について説明する。
図5(a)はフィルターの概略構成を示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)のA−A断面図である。
図5(a),(b)に示すように、フィルター50を構成する各フィルター部材51A,51Bにはインクを通過させる複数の貫通孔52が形成されており、第1面51aから第2面51bにかけて各々の厚さ方向を貫通している。
【0050】
具体的には、ステンレス鋼(SUS)の平坦な基材に多数の貫通孔52を穿孔して平面視四角形に切断したものであり、板厚Tが約10〜20μm、貫通孔52の対角線に沿う幅Wが約10〜20μmとなっている。本実施形態においては、板厚Tが15μm、貫通孔52の幅Wが15μmに設定されている。貫通孔52の開口52aの開口面積は基材の厚みやインクの種類等に応じて設定される。
【0051】
なお、貫通孔52(開口52a)の平面視形状は四角形に限られることはなく、円形、楕円、ひし形など、その他の形状であってもよい。円形とした場合、貫通孔の直径が約10〜20μmの範囲内であって、具体的に直径15μmに設定するのが好ましい。
【0052】
多数の貫通孔52からなる孔列Mは、フィルター部材51A,51Bの面方向に複数列設けられている。孔列Mにおける各貫通孔52のピッチ(フィルター部材51A,51BのX方向で隣り合う貫通孔52どうしの間隔)は、例えば4μm程度に設定されている。一方、隣り合う孔列Mの貫通孔52どうしは各孔列Mの貫通孔52の配列方向(X方向)で互いに一致しないようずれて配置されており、隣り合う孔列Mにおいて貫通孔52の角部どうしが接近(対向)することが阻止される。これにより、貫通孔52からクラックが発生するのを防止できる。
【0053】
各貫通孔52の一方の開口端には凸部53が形成されている。この凸部53は、各第1面51a側に開口する貫通孔52の開口52aの端部を取り囲むようにして枠状に設けられたもので、フィルター部材51A,51Bの厚さ方向に所定の高さHで突出している。凸部53の高さHは板厚の1/4以上が好ましく、本実施形態では板厚Tが15μmの基材に対して凸部53の高さHが4μmとなっている。つまり、凸部53によって貫通孔52の周囲が部分的に肉厚になっている。
【0054】
凸部53は、上記したような所定の高さを有して形成されることで異物捕捉機能が付与された形状となっている。
また、凸部53の先端面53aは曲面状とされており、流路抵抗の低減を図れる形状とされている。
【0055】
これらフィルター部材51A,51Bは、図4に示したように、互いの凸部53,53どうしが各フィルター部材51A,51Bの厚さ方向で逆向きとなるように配置されており、凸部53,53の向きが相反している。具体的には、これらフィルター部材51A,51Bのうちフィルター部材51Aは、凸部53が設けられている第1面51a(流入面)側を上流側に向け、第2面51b(流出面)側をインクの流動方向に対して下流側に向けた姿勢で固定されている。
一方、フィルター部材51Bは、第2面51b(流入面)側を上流側に向け、凸部53が設けられている第1面51a(流出面)側をインクの流動方向に対して下流側に向けた姿勢で固定されている。
【0056】
そして、インク導入針22内に流入したインクは、まず、フィルター部材51Aの貫通孔52を通過した後、フィルター部材51Bの貫通孔52を通過して下流側のインク導入路23へと流出する。インクがフィルター50を通過する際、インク中に混在していた異物(増粘あるいは固化したインクや気泡等)はフィルター部材51A,51Aの各第1面51a上にそれぞれ捕捉され、異物のないインクのみが貫通孔52を通過するようになる。
【0057】
本実施形態のフィルター50は、複数の微細な貫通孔52の開口端に凸部53が形成されている。この構成により、貫通孔52の数を増やして貫通孔52どうしが密集して形成されていても、凸部53によって各貫通孔52の周縁部が肉厚になっているので貫通孔52からクラック(亀裂)等が発生するのを防止することができる。
【0058】
これにより、フィルターとしての異物の捕捉効果を高めるために微細な貫通孔52を多数設けた構成であっても、流路抵抗を低く抑えつつ耐久性(強度)に優れたフィルター50を得ることができる。このようなフィルター50を記録ヘッド3のインク流路内に設けることにより、異物を効果的に除去することができノズル47の目詰まりが防止されて吐出不良をなくすことが可能になる。したがって、良好な描画を長期的に行える信頼性に優れたプリンター100となる。
【0059】
また、本実施形態では、フィルター部材51Aとフィルター部材51Bとが互いの凸部53どうしを逆向きにして配置されている。フィルター部材51Aは凸部53をインクの流動方向に対して上流側に向けた姿勢とされているため、フィルター部材51A側の凸部53によってもインク中の異物(例えば貫通孔52よりも小さい異物)を捕捉することが可能となっている。一方、フィルター部材51Bは凸部53をインクの流動方向に対して下流側に向けた姿勢とされているため、フィルター部材51B側の流路抵抗を低く抑えることができる。
【0060】
本実施形態では凸部53が開口52aの端部を取り囲むようにして形成されていることから、貫通孔52内に流入する異物を凸部53によってフィルター部材51Aの第1面51a上に留めておくことが可能となり、異物が貫通孔52内に流入するのを阻止することができる。このような枠状の凸部53によってインク中の異物を効果的に除去することが可能となる。
なお、上述したように凸部53が開口52aの端部全体に形成されていることが好ましいが、部分的に形成されていてもよい。
【0061】
なお、本実施形態では、記録ヘッド3のインク導入針22内にフィルター50が設けられた構成について述べたが、フィルター50の設置位置はこの場所に限らず、メインタンク6と記録ヘッド3のノズル開口47aとを繋ぐインク流路内に設置されていれば良い。例えば、インク供給チューブ34内や、記録ヘッド3の接続流路29、インク導入路23、ケース流路25、あるいは共通インク室44などに設けられていてもよい。
また、一箇所に限らず、複数箇所に設けてもよい。
【0062】
次に、フィルター50の製造方法について述べる。
図6は、フィルター50の製造工程を説明するための断面図である。
図6(a)に示すように、まず、軟質材として厚さ300μmのゴム材からなるダイレス材500(第1のダイレス材)と、厚さ20μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるダイレス材501(第2のダイレス材)とを積層させ、その上に厚さ15μmのステンレス鋼の被加工材510を載置する。
【0063】
そして、被加工材510の表面510a上にパンチ502を配置する。パンチ502は、角孔を形成可能な角パンチであって、平面視における対角線の幅が上記した本実施形態のフィルター50の貫通孔52の幅Wに対応している。パンチ502には、先端502Aと基部502Bとの境界部分にテーパー部503が設けられている。
【0064】
次に、図6(b)に示すように、パンチ502を被加工材510内に打ち込み、その先端502Aをダイレス材501に挿入させる。これにより、被加工材510がパンチ502の形状に打ち抜かれて貫通孔52が形成される。
パンチ502によって打ち抜かれた打ち抜き片510Aは、ダイレス材501側へ押し出されて内部に留められる。ゴム材からなるダイレス材500はPETからなるダイレス材501の厚さに対して非常に厚く形成されている。このため、打ち抜き片510Aはダイレス材500内へは行かず、ダイレス材501内に確実に留められる。また、PETからなるダイレス材501の厚さを20μmと薄くすることで、打ち抜き片510Aをダイレス材501ないに確実に留めることができるとともに、パンチ502が被加工材510を完全に貫通して容易に打ち抜くことができる。
【0065】
また、パンチ502のテーパー部503を被加工材510内へ押し込むように圧入することで、被加工材510の裏面510b側にテーパー部503によって押し出された押し出し片によって凸部53が形成される。
凸部53は、被加工材510の板厚に対して25%以上の厚さで形成する。本実施形態では、板厚15μmの被加工材510に厚さ4μmの凸部53を形成した。
【0066】
なお、ダイレス材501としては、PC(ポリカーボネイト)、POM(ポリ汗タール)、ABS(ABS樹脂)、PPS(ポリフェニンサルファイド)等を用いることが可能であり、硬さは、被加工材510の厚さや貫通孔52のピッチ等により、種々選択することが可能である。
【0067】
次に、図6(c)に示すように、被加工材510の表面510a上に金属あるいはゴム部材からなる支持部材520を配置し、被加工材510の裏面510b側の凸部53と対向する位置に、例えば金属板からなる押圧部材505を配置する。
【0068】
そして、図6(d)に示すように、押圧部材505を凸部53の先端側に押し付けて、図6(d)に示すように凸部53の先端面53aを曲面にする。この際、図6(d)に示したように、支持部材520がゴム材のような軟質部材であれば貫通孔52内に入り込んで押圧部材505による押圧力に対して支えられる。
このようにしてフィルター部材51A,51Bを形成し、各フィルター部材51A,51Bの凸部53どうしが逆向きとなるように配置して本実施形態のフィルター50を得る。
【0069】
なお、複数のパンチ502をユニット化することにより、一度の打ち抜きで複数の貫通孔52を形成することができるので、製造効率を向上させることが可能となる。
【0070】
本実施形態では、テーパー部503を有したパンチ502を用いて、被加工材510の厚さ方向を貫通させてインクを通過させる複数の微細な貫通孔52と、貫通孔52の一方の開口端に被加工材510の厚さ方向へ突出する凸部53とを同時に形成することができる。凸部53は、パンチ502のテーパー部503によって被加工材510を部分的に押し出すことで形成される肉厚部である。貫通孔52の開口端に形成される凸部53は、所望とする高さで均一に形成されることで異物捕捉機能が付与されたものとなる。
【0071】
このように、被加工材510にパンチ502を貫通させることで、微細な貫通孔52を形成するのと同時に該貫通孔52の一端側における開口端に凸部53を同時に形成することができるので、所望の強度を有したフィルター50を容易に製造することができる。
【0072】
また、軟質部材からなるダイレス材500,501上に載置された被加工材510にパンチ502を貫通させて貫通孔52と凸部53とを形成することにより、被加工材510を確実に打ち抜くことができて貫通孔52と凸部53とを確実に形成することができる。
【0073】
また、被加工材510の直下に配置されるPETからなるダイレス材501をダイレス材500に対して薄くすることで、被加工材510の貫通不良が発生しにくくなり、貫通孔52および凸部53を確実且つ容易に形成することが可能となる。さらに、ダイレス材501内に打ち抜き片510Aを確実に留めることができるので、パンチ502を引き抜く際に打ち抜き片510Aがともに引き出されて次の打ち抜き作業時に不具合が生じることが防止される。
【0074】
このようなフィルター50を記録ヘッド3内に設けることにより、ノズル47に供給されるインク中に存在する異物を効果的に捕捉することができるので、目詰まり等を生じさせることなく良好な印字が可能な記録ヘッド3が得られる。このような記録ヘッド3により、印字時の擦れや吐出不良による印字品質の低下が長期的に防止されたプリンター100を提供することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、ステンレス製(SUS製)のフィルター部材51A,51Bからなるフィルター50を用いたが、金属層と樹脂層とを積層してなるフィルター部材(被加工材510)よりフィルターを構成してもよい。例えば、SUS層とポリイミド層との積層材料により構成されるフィルター部材を用いてもよい。
この場合、凸部53がSUSのみから構成されていてもいいし、樹脂とSUSとの積層構造とされていても良い。
このような構成により、多数の微細孔を有した強度の高いフィルターを形成することができるとともに、フィルター50の耐インク性を高めることができる。
【0076】
また、各フィルター部材51A,51Bにおいて各貫通孔52の平面視における大きさを異ならせてもよい。例えば、流路の中央側を流れるインクよりも流路の壁面側を流れるインクの方が粘度が高くなりやすいため、フィルター部材51A,51Bの中央と周縁部とで貫通孔52の大きさを異ならせてもよい。
【0077】
また、各フィルター部材51A,51Bの貫通孔52,52どうしの大きさが異なっていてもよい。各フィルター部材51A,51Bの貫通孔52,52どうしの大きさ(幅W)を異ならせる場合、例えば、上流側に配置されるフィルター部材51Aの貫通孔52に対して下流側のフィルター部材51Bの貫通孔52の大きさを相対的に小さくすることにより、上流側のフィルター部材51Aによってある程度の大きさを有する異物(貫通孔52よりも大きい異物)を捕捉でき、フィルター部材51Aによって捕捉されなかった小さな異物を下流側のフィルター部材51Bによって捕捉することが可能となる。
この場合、例えば、上流側のフィルター部材61AをSUSなどの金属より形成し、下流側のフィルター部材61Bをポリイミドなどの樹脂より形成してもよい。樹脂材料であれば微細孔を容易に形成しやすい。
また、貫通孔52の大きさに応じて、フィルター部材51A,51Bの配置間隔を調整してもよい。
このようなことから、インク中に存在する大きさの異なる異物や粘性が高くなった液体を効果的に捕捉することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態ではフィルター部材を2段にして設けたが、3段以上にしてもよい。
【0079】
また、インクの流動方向に複数のフィルター50を配置してもよい。これにより、上流側のフィルター50を通過した異物を下流側のフィルター50によって捕捉することも可能となる。これにより、異物の捕捉効果が向上する。
【0080】
また、図7に示すように、フィルター部材51A,51Bには貫通孔52の他方の開口52b(第2面51b側の開口)の端部側に当該貫通孔52の内側に向く傾斜面54が形成されていてもよい。パンチ502(図6)によって被加工材510を打ち抜く際、テーパー部503によって被加工材510が部分的に押し出されるため、パンチ502を引き抜くと貫通孔52の開口端にテーパー部503に沿った傾斜面54が形成される。上流側に配置されるフィルター部材51Aの傾斜面54によって貫通孔52内へインクの流入を促す効果を期待でき、下流側に配置されるフィルター部材51Bの傾斜面54によって貫通孔52内からインクの流出を促す効果を期待できる。これにより、フィルター50における流路抵抗の低減が可能となる。
【0081】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について述べる。
図8は、変形例におけるフィルターを拡大して示す断面図である。
図8に示すフィルター60は、フィルター部材61A,61Bの貫通孔62,62同士がフィルター部材61A,61Bの面方向でずれている。具体的には、フィルター部材61A,61Bの面方向で貫通孔62,62同士が一部重なっている。例えば、各フィルター部材61A,61Bにおける貫通孔62,62に関する開口率が15%であることが好ましい。
【0082】
本実施形態のフィルター60によれば、まず、インクがフィルター部材61Aを通過する際に、貫通孔62および凸部63によってインク中の異物が捕捉される。そして、フィルター部材61Aによって捕捉されずに貫通孔62を通過したインク中の異物は、下流側のフィルター部材61Bの貫通孔62および凸部63によって捕捉されることになる。
【0083】
このように、各フィルター部材61A,61Bの貫通孔62,62どうしが面方向でずれていることから、フィルター部材61A,61B同士の間でインクの流動方向が変化するなどして、インク中に存在する異物がフィルター60に捕捉される可能性が高くなる。これにより、異物の除去能力がより一層高められたフィルター60とすることができる。
【0084】
また、フィルター部材61A,61Bの貫通孔62,62どうしの重なり具合(開口率)や各フィルター部材61A,61Bの貫通孔62,62どうしの大きさが異なっていてもよい。また、上記開口率や貫通孔62,62の大きさに応じて、フィルター部材61A,61Bの配置間隔を調整してもよい。これにより、インク中に存在する大きさの異なる異物や粘性が高くなった液体を効果的に捕捉することが可能となる。
【0085】
また、貫通孔62,62どうしを面方向に完全にずらして一致させないようにしてもよい。この場合、フィルター部材61A,61Bの配置間隔や貫通孔62,62の大きさ等を調整することで、流路抵抗を低く抑えつつ十分な捕捉効果を得ることが可能である。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0087】
3 記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、6 メインタンク(液体貯留部)、47a ノズル開口、50 フィルター、51A フィルター部材(第1の基材)、51B フィルター部材(第2の基材)、51a 第1面、51b 第2面、52 貫通孔、52a 開口、52b 開口、53 凸部、53a 先端面、54 傾斜面、60 フィルター、61A,61B フィルター部材(基材)、61a 第1面、61b 第2面、62 貫通孔、63 凸部、100 プリンター(液体噴射装置)、500 ダイレス材(第1のダイレス材)、501 ダイレス材(第2のダイレス材)、502 パンチ、502A 先端、503 テーパー部、510 被加工材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を通過させるフィルターであって、
流入面と流出面とを有する第1の基材及び第2の基材と、前記第1の基材及び前記第2の基材に形成され、各基材の前記流入面から前記流出面にかけて当該基材の厚さ方向を貫通するとともに前記液体を通過させる複数の貫通孔と、を有し、
前記貫通孔の一方の開口端には前記基材の厚さ方向に突出する凸部が設けられており、
前記第1の基材及び前記第2の基材がこれら基材の厚さ方向で互いの凸部を逆向きにして配置されている
ことを特徴とするフィルター。
【請求項2】
前記凸部が前記開口端を取り囲むようにして形成されていることを特徴とする請求項1記載のフィルター。
【請求項3】
前記凸部の高さが、前記第1の基材及び前記第2の基材の板厚の1/4以上であることを特徴とする請求項1または2記載のフィルター。
【請求項4】
前記凸部の先端面が曲面状とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項5】
前記第1の基材及び前記第2の基材が金属層と樹脂層とを積層してなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項6】
前記第1の基材及び前記第2の基材の前記貫通孔どうしが当該基材の面方向でずれていることを特徴とする請求項5記載のフィルター。
【請求項7】
前記貫通孔の平面視における大きさが、前記第1の基材及び前記第2の基材ごとに異なっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項8】
前記第1の基材の前記貫通孔よりも当該第1の基材の前記流出面側に配置される前記第2の基材の前記貫通孔の方が平面視における大きさが小さいことを特徴とする請求項7記載のフィルター。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のフィルターを備えたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記フィルターを構成する第1の基材及び第2の基材は、液体を貯留する液体貯留部からノズル開口へ前記液体を供給する流路内に前記液体の流動方向で互いの凸部どうしを逆向きにして配置され、
前記第1の基材が前記液体の流れに対して上流側に前記凸部を向けた状態とされ、
前記第2の基材が前記液体の流れに対して下流側に前記凸部を向けた状態とされている
ことを特徴とする請求項9記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
前記液体の流れに対して上流側に配置される前記第1の基材の貫通孔よりも下流側に配置される前記第2の基材の貫通孔の方が平面視における大きさが小さいことを特徴とする請求項10記載の液体噴射ヘッド。
【請求項12】
請求項9から11のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
前記フィルターを構成する第1の基材及び第2の基材は、前記液体噴射ヘッドに供給する液体を貯留する液体貯留部から前記液体噴射ヘッドのノズル開口へ前記液体を供給する流路内に、前記液体の流動方向で互いの凸部どうしを逆向きにして前記流路内に配置され、
前記第1の基材が前記液体の流れに対して上流側に前記凸部を向けた状態とされ、
前記第2の基材が前記液体の流れに対して下流側に前記凸部を向けた状態とされていることを特徴とする請求項12記載の液体噴射装置。
【請求項14】
前記液体の流れに対して上流側に配置される前記第1の基材の前記貫通孔よりも下流側に配置される前記第2の基材の前記貫通孔の方が平面視における大きさが小さいことを特徴とする請求項13記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−183692(P2011−183692A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51888(P2010−51888)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】