説明

フィルタ目詰まり検出装置およびフィルタ管理方法

【課題】フィルタを効率よく交換できるようにすること。
【解決手段】フィルタ目詰まり検出装置80は、ガスタービン12の給気に含まれる粉塵を除去するフィルタ20の目詰まり状況を検出するものであり、フィルタ20の上流側の空気圧と下流側の空気圧との差圧を検出する差圧検出手段を備え、この差圧検出手段は、前記フィルタの少なくとも2箇所を検出可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ目詰まり検出装置およびフィルタ管理方法に関し、特に、フィルタを効率よく交換できるようにするフィルタ目詰まり検出装置およびフィルタ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電装置には例えばガスタービンが利用されている。ガスタービンは、フィルタを介して外気を吸入した後、この吸入した外気(給気)をダクトを介して圧縮機へ送って圧縮し、この圧縮空気と燃料とを混合して燃焼器で燃焼することにより、発生した燃焼ガスのエネルギーでタービンを駆動して回転エネルギーを出力するものである。ガスタービン用のフィルタとしては、例えば特許文献1に示すように、上流側(外気側)から下流側(ガスタービン側)に向かう流路に3段のフィルタを直列に接続し、大気に含まれる微小な粉塵を捕捉してガスタービンの稼働効率の向上を図るものが用いられている。これらのフィルタは、継続使用すると大量の粉塵が付着して目詰まりを起こし、これにより、圧縮機へ供給する空気量が低下して、発電効率が低下することになる。このため、従来は、発電装置を停止させて、定期的にフィルタの交換を行っている。
【特許文献1】特開2003−254088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように定期的にフィルタの交換を行うと、フィルタの性能が十分なのに発電装置を停止させる場合や、フィルタの性能が不十分なのに発電装置を稼動させる場合などがあるため、必ずしも効率よくフィルタを交換できない。そこで、フィルタの上流側と下流側との差圧を検出して、この差圧によりフィルタの目詰まり状況を把握することにより、フィルタを交換する方法も考えられる。
ところが、ガスタービンには多くの空気を供給する必要があるため、外気に面するフィルタとしては大面積のものが必要となる。一方、ガスタービンを空気を供給するダクトの面積は、このフィルタの面積よりもかなり小さい。このため、フィルタの各部を通過する空気の流量は、ダクトに近い部分で大きく、ダクトから離れた部分で小さくなる。このようにフィルタの位置によって流量が異なるため、目詰まりの起こり易さもフィルタの位置によって異なることとなる。したがって、フィルタの1箇所で差圧を検出しただけでは、フィルタの交換時期を適切に把握できない。
本発明の目的は、フィルタを効率よく交換できるようにするフィルタ目詰まり検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ガスタービンの給気に含まれる粉塵を除去するフィルタの目詰まり状況を検出するフィルタ目詰まり検出装置であって、前記フィルタの上流側の空気圧と下流側の空気圧との差圧を検出する差圧検出手段を備え、この差圧検出手段は、前記フィルタの上側箇所および下側箇所の少なくとも2箇所を検出可能に構成されることを特徴とする。
本発明では、例えば、まず、差圧検出手段で、フィルタの、目詰まりを生じやすい箇所(一側)での差圧を検出して、フィルタにおける一側の目詰まり状況を把握する。続いて、一側が目詰まりを起こしていた場合に他側での差圧を検出し、フィルタの他側が目詰まりを起こしていた場合にはフィルタ全体が交換時期であると判定し、フィルタの他側が目詰まりを起こしていない場合には、フィルタ全体が正常に使用できる状態にあると判定する。このため、フィルタの交換時期を的確に把握でき効率よくフィルタを交換できる。
【0005】
このフィルタ目詰まり検出装置において、前記フィルタは、上流側から順に、互いに離間する第1段フィルタ、第2段フィルタ、および第3段フィルタを備え、前記差圧検出手段は、前記第1段フィルタと前記第2段フィルタの間の空間における前記少なくとも2箇所に接続された第1配管と、前記第2段フィルタと前記第3段フィルタの間の空間における前記少なくとも2箇所に接続された第2配管と、前記第1段フィルタの上流側である外気の圧力と、前記第1配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力との差圧を検出する第1差圧計と、前記第1配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力と、前記第2配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力との差圧を検出する第2差圧計と、前記第2配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力と、前記第3段フィルタの下流側で前記ガスタービンに通じる箇所における空気の圧力との差圧を検出する第3差圧計とを備える構成を採用できる。
【0006】
本発明は、ガスタービンの給気に含まれる粉塵を除去するためのフィルタの上流側の空気圧と下流側の空気圧との差圧を、前記フィルタの少なくとも2箇所で検出する差圧検出手段を備えるフィルタ目詰まり検出装置を用いて、前記フィルタを管理するフィルタ管理方法であって、前記差圧検出手段で、前記フィルタにおける目詰まりを生じやすい箇所である一側の差圧を検出して、この検出したフィルタの一側の差圧が予め設定された規定値以下となる場合には前記フィルタを正常と判定し、検出したフィルタの一側の差圧が前記規定値よりも大きくなる場合には、前記差圧検出手段で、前記フィルタにおける前記一側よりも目詰まりが生じにくい他側の差圧を検出し、この検出したフィルタの他側の差圧が予め設定された規定値以下となる場合には、前記フィルタを正常と判定し、検出したフィルタの他側の差圧が前記規定値よりも大きくなる場合には、前記フィルタを異常と判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルタ目詰まり検出装置およびフィルタ管理方法によれば、フィルタを効率よく交換できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係るガスタービン用フィルタユニット1を備えるコンバインドサイクル発電装置100について説明する。
図1は、コンバインドサイクル発電装置100の全体構成を模式的に示す図である。図1に示すように、コンバインドサイクル発電装置100は、外気を導入する給気設備10と、導入した空気を圧縮して燃料と混合し、この混合ガスを燃焼してタービンを回転させて回転エネルギーを出力するガスタービン12と、ガスタービン12からの排出ガスで蒸気を発生させ、この蒸気でタービンを回転させて回転エネルギーを出力する蒸気タービン14と、ガスタービン12および蒸気タービン14から出力された回転エネルギーで発電する発電機16とを備えている。
【0009】
図2は、給気設備10の外観側面を示す図である。図2に示すように、給気設備10は、矢印Xに示すように外気を導入する例えば4階建て箱形の設備本体17と、設備本体17の各階における外壁の前面(図中の左面)17Aおよび両側面17Bの開口部に取り付けられ、導入した外気から粉塵を除去するガスタービン用フィルタユニット1と、設備本体17の後面17C(図中の右面)から下側後方へ突出し、ガスタービン用フィルタユニット1を通過した空気を矢印Yに示すようにガスタービン12(図1)側へ導くダクト18とを備えている。
【0010】
設備本体17は、ガスタービン用フィルタユニット1を介して導入された空気がダクト18へと流通するように内部が空洞になっている。なお、設備本体17内を流れる外気の流速(流量)や流通方向は、設備本体17に取りつけられるガスタービン用フィルタユニット1の各フィルタの目開きや段数に応じて変化する。このため、本実施形態では、従来例えば1段のフィルタが用いられていた設備本体17を3段のフィルタを用いた場合でも、少なくとも従前と同程度の外気の流速(流量)を確保できるように、設備本体17を上方および前方に拡張している。これにより、設備本体17内の外気の流れをスムーズにしている。
【0011】
ガスタービン用フィルタユニット1は、例えば正面視略矩形状のパネル状に形成され、雨水の浸入を防止するウェザールーバー19を介して上下左右に隣接するように複数配置されている。
図3は、ガスタービン用フィルタユニット1を示す分解斜視図である。また、図4は、ガスタービン用フィルタユニット1を構成する取付部材を示す平面図である。図3に示すように、ガスタービン用フィルタユニット1は、例えば3段に構成されたフィルタ20と、3段のフィルタ20をそれぞれ離間した状態で保持する取付部材50と、フィルタ20の目詰まり状況を検出する検出装置80とを備えている。
【0012】
フィルタ20は、第1段フィルタ31と、第2段フィルタ32と、第3段フィルタ40とを備えている。第1段フィルタ31、第2段フィルタ32、および第3段フィルタ40は、上流側(外気側)から、この順で配置されている。なお、第1段フィルタ31および第2段フィルタ32が、請求項の上流側フィルタに対応し、第3段フィルタ40が請求項の下流側フィルタに対応する。
【0013】
第1段フィルタ31は、矩形板状に形成され、1μm以上の粉塵を粒子数で90%以上捕集するフィルタである。第2段フィルタ32は、矩形板状に形成され、1μm以上の粉塵を粒子数で99%以上捕集するフィルタである。第2段フィルタ32の外周には枠部材35が取り付けられている。また、第3段フィルタ40は、0.3μm以上の粉塵を粒子数で99%以上捕集するフィルタである。以上の3段のフィルタ31,32,40を組み合わせることにより、フィルタ20は、導入した外気から0.3μm以下の粉塵を粒子数で99.9%以上捕集できる。
【0014】
また、第1段フィルタ31と第2段フィルタ32との間には、取付フレーム33が配置されている。取付フレーム33は、所定の厚み寸法を有する矩形状の枠体として構成されている。取付フレーム33の下流側面33Aは、第2段フィルタ32の外周に取り付けられた枠部材35に嵌合する。また、取付フレーム33の上流側面33Bには上下に枠部材33Cが設けられ、これら上下の枠部材33Cと第1段フィルタ31が係合する。このような構成により、第1段フィルタ31と第2段フィルタ32とは、取付フレーム33の厚み寸法分だけ離間する。なお、一部の取付フレーム33には、例えば上部などに配管Pを挿通するための挿通孔33Pが形成されている。この挿通孔33Pに通された配管Pを通じて、第1段フィルタ31と第2段フィルタ32との間の空気圧が測定できるようになっている。なお、挿通孔33Pを上部に形成したが下部や側部に形成してもよい。
【0015】
さらに、ガスタービン用フィルタユニット1は、第1段フィルタ31、第2段フィルタ32および取付フレーム33を厚み方向に把持してユニット化する把持部材34を備えている。把持部材34は、第1段フィルタ31および第2段フィルタ32の左右側にそれぞれ取り付けられる。各把持部材34は、第1段フィルタ31の上流側の面に当接し伸縮自在に構成された当接部34Aと、当接部34Aの両端に設けられ、第2段フィルタ32外周の枠部材35に係合する係合部34Bとを備えている。
【0016】
第1段フィルタ31および第2段フィルタ32は、次の手順により組み付けられる。まず、第2段フィルタ32外周の枠部材35に取付フレーム33を嵌合させるとともに、取付フレーム33と第1段フィルタ31とを係合させる。その後、伸長させた当接部34Aを第1段フィルタ31の上流側の面にあてがいつつ、係合部34Bを枠部材35の上下側に係合させることにより、把持部材34で、第1段フィルタ31、第2段フィルタ32および取付フレーム33を厚み方向に把持する。このように第1段フィルタ31を第2段フィルタ32に把持部材34で把持させているだけなので、最も交換頻度の高い第1段フィルタ31を工具等を用いることなく簡単に交換できる。
【0017】
取付部材50は、図3,図4に示すように、設備本体17の壁面に取り付けられる格子状の枠体52と、枠体52の上流側の面および下流側の面における各格子の頂点部分Aに垂直に溶接され、第1段フィルタ31、第2段フィルタ32、および第3段フィルタ40を支持するアングル材54と、図4に示すように、枠体52の表裏面方向に貫通するとともに、各フィルタ31,32,40の左右端縁をそれぞれ枠体52側へ押える押え部材56とを備えている。
【0018】
図3に示すように、枠体52は、複数のフィルタ20を上下左右に隣接した状態で配置できる格子状に構成されている。各格子は、上枠52Aと、下枠52Bと、左右の縦枠52Cとにより構成されている。枠体52の上流側の面には、アングル材54で支持されたフィルタ31,32がねじ58によりねじ止めされている。また、枠体52の下流側の面には、アングル材54に支持された第3段フィルタ40が配置されている。なお、一部の枠体52には、その上枠52Aに、前記挿通孔33Pと同様に配管Qを通すための挿通孔52Qが形成されている。挿通孔52Qに通された配管Qを通じて、第2段フィルタ32と第3段フィルタ40との間の空気圧が測定できるようになっている。なお、挿通孔52Qを上枠52Aに形成したが、下枠52Bや左右の縦枠52Cに形成してもよい。
【0019】
図4に示すように、押え部材56は、枠体52の各縦枠52Cにおける上流側の面および下流側の面、さらに、第2段フィルタ32に取り付けられた枠部材35(図3)を貫通する一定の長さのボルト部材60と、ボルト部材60の下流側の端部に取り付けられ、第3段フィルタ40(図3)を枠体52側へ押え付ける押付部材62と、ボルト部材60の上流側の端部に螺合され、第2段フィルタ32(図3)を枠体52側へ固定する蝶ナット64とを備えている。
【0020】
押付部材62は、ボルト部材60に挿通される押付部材本体66と、ボルト部材60の下流側の端部に螺合されて、押付部材本体66を固定するナット68とを備え、押付部材本体66で第3段フィルタ40を枠体52側へ押え付けている。
枠体52の端縁に取り付けられる押付部材本体66は、第3段フィルタ40を1つだけ支持しており、ボルト部材60に通すためのパイプ部70と、パイプ部70の端部から延出した押付板72とを備え、ボルト部材60にパイプ部70を通すことにより、押付板72がボルト部材60に対し傾かないようになっている。また、枠体52の端縁以外の場所に取り付けられる押付部材本体66は、隣接する第3段フィルタ40間をともに支持する押付板72として構成されている。
【0021】
以上のガスタービン用フィルタユニット1は、以下のようにして組み立てられる。
まず、前述したような手順でフィルタ31,32を組み付けておく。次に、アングル材54で第1段フィルタ31および第2段フィルタ32を支持しつつ、第1段フィルタ31、第2段フィルタ32を枠体52の上流側の面にねじ止めする。また、枠体52の下流側に取り付けられたアングル材54で第3段フィルタ40を支持する。次に、枠体52および第2段フィルタ32外周の枠部材35にボルト部材60を貫通させ、ボルト部材60の上流側の端部に蝶ナット64を螺合して、第1段フィルタ31および第2段フィルタ32を枠体52の上流側の面に固定する。また、ボルト部材60の下流側の端部に押付部材本体66を通してから、ボルト部材60の下流側の端部にナット68を螺合して、第3段フィルタ40を枠体52の下流側の面に固定する。なお、一部の枠体52の挿通孔52Qに配管Qを通し、同様に、一部の取付フレーム33の挿通孔33Pにも配管Pを通しておく。
【0022】
次に、検出装置80を用いてフィルタ31,32,40を効率的に保守管理する方法について説明する。
図5は、検出装置80の構成を模式的に示す図である。図5に示すように、検出装置80は、第1段フィルタ31および第2段フィルタ32の間に接続される第1配管である配管P(図3)と、第2段フィルタ32および第3段フィルタ40の間に接続される第2配管である配管Q(図3)と、第1段フィルタ31の上流側の給気設備10内に接続される配管Rと、第3段フィルタ40の下流側に接続される配管Sとを備えている。配管Pは、基端から先端に向かう途中で2つに分岐した配管P1,P2を有し、配管Qも、基端から先端に向かう途中で2つに分岐した配管Q1,Q2を有している。配管P1,P2,Q1,Q2の流路には、各流路を開閉するためのバルブ88(88A,88B,88C,88D)がそれぞれ設けられている。
【0023】
図6は、給気設備10を示す正面図である。配管P1,Q1の先端側は、図6に示す下階位置Dに配置されたフィルタ20に接続されている。また、配管P2,Q2の先端側は、図6に示す上階位置Uに配置されたフィルタ20に接続されている。なお、下階位置Dが請求項のフィルタの一側に対応し、また、上階位置Uが請求項のフィルタの他側に対応する。
【0024】
図5に示すように、検出装置80は、各配管R,Pの基端を接続する第1差圧計81と、各配管P,Qの基端を接続する第2差圧計82と、各配管Q,Sの基端を接続する第3差圧計83と、各配管R,Sの基端を接続する第4差圧計84とを備えている。第1差圧計81は、第1段フィルタ31より上流側の外気と、第1段フィルタ31および第2段フィルタ32の間の空気との差圧を検出する。第2差圧計82は、第1段フィルタ31および第2段フィルタ32の間の空気と、第2段フィルタ32および第3段フィルタ40の間の空気との差圧を検出する。第3差圧計83は、第2段フィルタ32および第3段フィルタ40の間の空気と、第3段フィルタ40より下流側のガスタービン12供給用の空気との差圧を検出する。第4差圧計84は、第1段フィルタ31より上流側の外気と、第3段フィルタ40より下流側のガスタービン12供給用の空気との差圧、すなわち、全差圧を検出する。
【0025】
本実施形態では、ガスタービン12へのダクト18が下部側に取り付けられているため、上階側のフィルタ20よりも下階側のフィルタ20の方が通過する空気の流量が多くなり、従って下階側のフィルタ20の方が先に目詰まりを起こすものと考えられる。そこで、検出装置80では、以下のようにしてフィルタ31,32,40の目詰まり状況、すなわちフィルタ31,32,40の交換時期を把握している。
常態では、給気設備10の下階側に接続された配管P1,Q1のバルブ88A,88Cを開き、さらに、給気設備10の上階側に接続された配管P2,Q2のバルブ88B,88Dを閉じることにより、下階側に設けられたフィルタ31,32,40の差圧を検出して目詰まり状況を把握する。そして、下階側に設けられたフィルタ31,32,40が目詰まりを起こしていると判定した場合には、給気設備10の下階側に接続された配管P1,Q1のバルブ88A,88Cを閉じ、給気設備10の上階側に接続された配管P2,Q2のバルブ88B,88Dを開くことにより、上階側に設けられたフィルタ31,32,40の差圧を検出して目詰まり状況を把握する。
【0026】
すなわち、バルブ88A,88Cを開き、バルブ88B,88Dを閉じた状態で、各差圧計81〜84による検出値が予め差圧計毎に設定した規定値以下となる場合には、下階のフィルタ31,32,40は、目詰まりが少なく、有効に使用できる状態にあると判定する。一方、各差圧計81〜84による検出値が予め差圧計毎に設定した規定値より大きくなる場合には、下階のフィルタ31,32,40が目詰まりを起こしていると判定し、下階側の配管P1,Q1のバルブ88A,88Cを閉じ、上階側の配管P2,Q2のバルブ88B,88Dを開くことにより、給気設備10の上階側に設けられたフィルタ31,32,40の監視に切り替える。
【0027】
このようにバルブ88A,88Cを閉じ、バルブ88B,88Dを開いた状態で、各差圧計81〜84による検出値が予め差圧計毎に設定した規定値以下となる場合には、上階のフィルタ31,32,40は目詰まりが少なく、有効に使用できる状態にあると判定する。この場合には、有効に使用できるフィルタ31,32,40が一部に存在するため、フィルタ31,32,40全体としては、有効に使用できる状態にあると判定する。一方、各差圧計81〜84による検出値が予め差圧計毎に設定した規定値より大きくなる場合には、フィルタ31,32,40全体が目詰まりを起こして、有効に使用できない状態にあると判定する。このタイミングが各フィルタ31,32,40の交換時期となる。以上のようにして各箇所の差圧を検出することにより、フィルタ31,32,40の保守管理を行っている。なお、このように給気設備10の上階側および下階側の2カ所で差圧の検出を行っているが、3カ所以上としてもよい。また、検出箇所としては、給気設備10の上階側および下階側には限定されず、ダクト18の取り付け位置等に応じて適宜選択できる。
【0028】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)各フィルタ31,32,40は下階位置Dから粉塵が堆積する傾向にあるため、各差圧計81〜84で各フィルタ31,32,40の下階位置Dの差圧を検出して、各フィルタ31,32,40の下階位置Dの目詰まり状況を把握して、下階位置Dが目詰まりを起こしていた場合にのみ上階位置Uの差圧を検出し、各フィルタ31,32,40の上階位置Uが目詰まりを起こしていた場合には、各フィルタ31,32,40の全体が交換時期であると判定し、各フィルタ31,32,40の上階位置Uが目詰まりを起こしていない場合には、各フィルタ31,32,40の全体が正常に使用できる状態にあると判定するため、各フィルタ31,32,40の交換時期を的確に把握でき、各フィルタ31,32,40を効率よく交換できる。
【0029】
(2)枠体52の上流側にフィルタ31,32を、枠体52の下流側に第3段フィルタ40を取り付けたので、1つの枠体52で複数のフィルタ31,32,40を保持することができ、ガスタービン用フィルタユニット1の小型化を図ることができる。
【0030】
(3)フィルタ31,32,40の目開きの相違により各フィルタ31,32,40の目詰まり頻度が相違するが、本実施形態では、枠体52の上流側にフィルタ31,32を、また、枠体52の下流側に第3段フィルタ40を設けているため、交換頻度の低い第3段フィルタ40に影響を与えることなく、交換頻度の高い上流側の各フィルタ31,32を単独で交換でき、フィルタ20のメンテナンス作業が容易になる。
【0031】
(4)枠体52の上流側および下流側にアングル材54を設け、このアングル材54でフィルタ31,32および第3段フィルタ40を支持する構成としたので、フィルタ31,32および第3段フィルタ40の位置決めが容易になる。
【0032】
(5)第1段フィルタ31および第2段フィルタ32の間に取付フレーム33を配置し、これらを把持部材34で厚み方向に把持する構成としたので、フィルタ31,32を1つのユニットとして扱うことができ、フィルタ31,32の交換やメンテナンス等の作業が容易である。
【0033】
(6)一定の長さのボルト部材60を用いて、各フィルタ31,32,40を枠体52に固定するようにしたので、枠体52の上流側のフィルタ31,32または下流側の第3段フィルタ40のいずれかを位置合わせするだけで、他側のフィルタ31,32,40も簡単に位置合わせを行うことができる。
【0034】
(7)上流側から順に、1μm以上の粉塵を粒子数で90%以上捕集する第1段フィルタ31と、1μm以上の粉塵を粒子数で99%以上捕集する第2段フィルタ32と、0.3μm以上の粉塵を粒子数で99%以上捕集する第3段フィルタ40とを配置してフィルタ20を構成したので、導入した外気から0.3μm以下の粉塵を粒子数で99.9%以上捕集できる。このため、ガスタービン12を構成する空気圧縮機の翼に粉塵が付着しにくくなるから、空気の流れを損なうことなく効率よく空気圧縮機を稼動でき、ひいては発電効率を高めることができる。なお、構成するフィルタ31,32,40の性能は前記に限定されず、上流側から順に高性能となるように配置すればよい。
【0035】
(8)配管P,Qの先端側を2つに分岐させて、配管P,Qを各フィルタ31,32,40の上階位置Uと下階位置Dの検出に共用する構成としたので、各位置U,Dに対応して配管や差圧計をそれぞれ設ける場合に比べて、配管P,Qの本数や差圧計の数量が減少することにより、配管繋ぎミスなどの配管施工ミス等を低減できるとともに、配管の材料費や、差圧計に掛かる費用、工事費、管理費等のコストを抑えることができ、さらに、配管や差圧計を含む検出装置80の設置スペースを低減することもできる。
【0036】
なお、本発明は、前記実施形態には限定されない。例えば、前記実施形態において、検出箇所を上階位置Uと下階位置Dの2箇所としたが、検出箇所の数は限定されず、3箇所以上であってもよく、また、検出箇所も上階位置Uと下階位置Dには限定されない。また、先端側が2つに分岐した配管を用いて、上階位置Uと下階位置Dとを1つの差圧計で検出したが、各位置ごとに差圧計を1つずつ配置してもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、作業者が各差圧計81〜84を監視することにより、バルブ88の開閉を行ってフィルタ20の交換時期を把握していたが、コンピュータを用いてフィルタ20の交換時期を自動的に把握できるようにしてもよい。例えば、各差圧計81〜83による検出値が所定の規定値より大きくなるか否かに基づいて、各バルブ88の開閉を電磁的に制御する構成等とすればよい。
【0038】
また、前記実施形態において、上流側フィルタを第1段フィルタ31および第2段フィルタ32の2段により構成したが、1段であっても、3段以上であってもよく、その段数は特に限定されない。また、下流側フィルタを第3段フィルタ40を1段として構成したが、複数段の構成としてもよい。
また、枠体52の上流側の面にフィルタ31,32を、枠体52の下流側の面に第3段フィルタ40を固定する押え部材として、枠体52を貫通するボルト部材60の端部に蝶ナット64や押付部材62を取りつける構成を採用したが、この構成には限定されず、他の締めつけ手段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルタユニットを備えるガスタービン発電機の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】前記ガスタービン発電機を構成する給気設備を示す横断面図である。
【図3】前記フィルタユニットを示す分解斜視図である。
【図4】前記フィルタユニットを構成する取付部材を示す平面図である。
【図5】前記フィルタユニットを構成する検出装置を模式的に示す図である。
【図6】前記給気設備を示す正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ガスタービン用フィルタユニット
10 給気設備 12 ガスタービン
14 蒸気タービン 16 発電機
17 設備本体 17A 前面
17B 両側面 17C 後面
18 ダクト 19 ウェザールーバー
20 フィルタ
31 第1段フィルタ 32 第2段フィルタ
33 取付フレーム
33A 下流側面 33B 上流側面
33C 枠部材 33P 挿通孔
34 把持部材
34A 当接部 34B 係合部
35 枠部材 40 第3段フィルタ
50 取付部材
52 枠体
52A 上枠 52B 下枠
52C 縦枠 52Q 挿通孔
54 アングル材 56 押え部材
60 ボルト部材 62 押付部材
64 蝶ナット 66 押付部材本体
68 ナット 70 パイプ部
72 押付板 80 検出装置
81 第1差圧計 82 第2差圧計
83 第3差圧計 84 第4差圧計
88(88A,88B,88C,88D) バルブ
100 コンバインドサイクル発電装置
A 頂点部分
D 下階位置
P,P1,P2,Q,Q1,Q2,R,S 配管
U 上階位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの給気に含まれる粉塵を除去するフィルタの目詰まり状況を検出するフィルタ目詰まり検出装置であって、
前記フィルタの上流側の空気圧と下流側の空気圧との差圧を検出する差圧検出手段を備え、この差圧検出手段は、前記フィルタの少なくとも2箇所を検出可能に構成されていることを特徴とするフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ目詰まり検出装置において、
前記フィルタは、上流側から順に、互いに離間する第1段フィルタ、第2段フィルタ、および第3段フィルタを備え、
前記差圧検出手段は、
前記第1段フィルタと前記第2段フィルタの間の空間における前記少なくとも2箇所に接続された第1配管と、
前記第2段フィルタと前記第3段フィルタの間の空間における前記少なくとも2箇所に接続された第2配管と、
前記第1段フィルタの上流側である外気の圧力と、前記第1配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力との差圧を検出する第1差圧計と、
前記第1配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力と、前記第2配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力との差圧を検出する第2差圧計と、
前記第2配管に接続された前記少なくとも2箇所のいずれかにおける空気の圧力と、前記第3段フィルタの下流側で前記ガスタービンに通じる箇所における空気の圧力との差圧を検出する第3差圧計とを備えることを特徴とするフィルタ目詰まり検出装置。
【請求項3】
ガスタービンの給気に含まれる粉塵を除去するためのフィルタの上流側の空気圧と下流側の空気圧との差圧を、前記フィルタの少なくとも2箇所で検出する差圧検出手段を備えるフィルタ目詰まり検出装置を用いて、前記フィルタを管理するフィルタ管理方法であって、
前記差圧検出手段で、前記フィルタにおける目詰まりを生じやすい箇所である一側の差圧を検出して、この検出したフィルタの一側の差圧が予め設定された規定値以下となる場合には前記フィルタを正常と判定し、
検出したフィルタの一側の差圧が前記規定値よりも大きくなる場合には、前記差圧検出手段で、前記フィルタにおける前記一側よりも目詰まりが生じにくい他側の差圧を検出し、この検出したフィルタの他側の差圧が予め設定された規定値以下となる場合には、前記フィルタを正常と判定し、検出したフィルタの他側の差圧が前記規定値よりも大きくなる場合には、前記フィルタを異常と判定することを特徴とするフィルタ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−9591(P2006−9591A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183747(P2004−183747)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】