説明

フィルタ装置とその製造方法

【課題】本発明は信号の通過損失のばらつきの小さなフィルタ装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、この課題を解決するために共振素子23にはパイプ31の表面全体に形成された銅もしくは銀によるメッキ層を有し、少なくともパイプ31の下端面31bのメッキ層と筐体22内面とがはんだ28によって接合された接合部を設けたフィルタ装置の製造方法において、枠体24もしくは蓋25のいずれかへ共振素子23を装着するとともに、前記接合部の位置へクリーム状のはんだ28を塗布する工程では、前記接合部において前記はんだ28は共振素子23の内周面と筐体22内面とが交差する位置の近傍へ塗布されたものである。これにより、余分なはんだ28を塗布することがなく、はんだ28を共振素子23の外周へ流れ出しにくくでき、接合部にはんだ28の溜まりなどが発生しにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用などの基地局に用いられるフィルタ装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のフィルタ装置1について図面を用いて説明する。図6は従来のフィルタ装置の断面図である。図6において、フィルタ装置1は、コネクタ(図示せず)と、このコネクタが取り付けられる金属製の筐体2により構成される。ここで、筐体2は、枠体3と、仕切り4と、蓋5と、共振素子6によって構成されている。
【0003】
筐体2の外形を形成する枠体3は金属製であり、一方に開口3aを有している。枠体3の開口3aには金属製の蓋5が装着され、開口3aが塞がれる。枠体3には、金属製の仕切り4が接合され、枠体3内が複数の中空部7へと仕切られる。
【0004】
共振素子6は、このようにして形成された中空部7のそれぞれに配置され、枠体3の内面へはんだ8によって接合されている。共振素子6は円筒状であり、いわゆる表面処理鋼板を打ち抜きし、その後にカーリング加工を行うことによって成形される。ここで表面処理鋼板には、冷間圧延鋼板の両面に銅めっき処理が施されたものを用いている。
【0005】
次に従来のフィルタ装置1の製造方法について説明する。共振素子6を準備する工程では、あらかじめ銅めっきが施された表面処理鋼板を打ち抜き、カーリングすることで、共振素子6を得る。したがって、共振素子6には分断部6bが設けられる。
【0006】
一方、枠体3や仕切り4や蓋5はそれぞれを準備する工程で、あらかじめ銅めっきが施された表面処理鋼板を打ち抜き(枠体3については打ち抜きと折り曲げ)することにより、枠体3や仕切り4や蓋5を得る。
【0007】
図7は、本実施の形態における組み立て工程でのフィルタ装置1の断面図である。組み立て工程では、共振素子6や枠体3、仕切り4、蓋5を準備する工程の後で、これらを組み立てる。具体的には枠体3の中に仕切り4や共振素子6を配置し、所定の位置にディスペンサなどによってクリーム状のはんだ8を塗布し、蓋5を装着する。このとき仕切り4と枠体3との接合部と、枠体3の開口3a側の端部とにクリーム状のはんだ8が塗布される。
【0008】
ここで従来のフィルタ装置1における共振素子6はカーリング加工によって成形されているので、側面に分断部6bを有する。ところがこの分断部6bは電位が高くなるので、この分断部6bの抵抗値の値がフィルタのQ値に大きく影響する。そこで、この分断部6bもはんだ8によって埋められることが必要となる。さらに、共振素子6の上端面6aも電位が高くなるので、上端面6aでの抵抗値の値もフィルタのQ値に大きく影響する。そこで共振素子6の上端面6aもはんだ8で覆うことが必要となる。そこでこの組み立て工程では、共振素子6の上端面6a、分断部6b、共振素子6の下端側の外周面全周にクリーム状のはんだ8を塗布する。
【0009】
そしてこの組み立て工程の後で、加熱してクリーム状のはんだ8を溶かして、仕切り4の下端部と枠体3や、共振素子6の下端と枠体3、仕切り4上端部と蓋5、さらに枠体3の開口3a端部と蓋5とを同時に接合する。なお、このとき共振素子6の下端部や分断部6bへ塗布したクリーム状のはんだ8が、上端面6aへ集中してしまわないように、筐体2は蓋5側が上となる向きで加熱される。
【0010】
ところがこの加熱工程は、蓋5を装着し閉じた状態で加熱する。したがって、所定の箇所におけるはんだ付け状態を目視で検査することができない。そこで、共振素子6の上端面6a、分断部6bや共振素子6の下端部において確実にはんだ付けがなされるために、組み立て工程においては共振素子6の上端面6aの全周と、分断部6bの上端から下端までと、さらに共振素子6の下端側の外周面全体にクリーム状のはんだ8を塗布している。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/026493号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のフィルタ装置1では、共振素子6の下端側の外周面全体にクリーム状のはんだ8を塗布しているので、余分なはんだ8が生じる。そしてこの余分なはんだ8は加熱工程の加熱によって粘度が下がると分断部6bに沿って下方へと流れ出し、分断部6bの下端あたりではんだ8の溜まりなどが生じてしまうこととなる。
【0014】
ここで共振素子6と枠体3との交差する角の形状は、フィルタ装置1のQ値に大きく影響する。従って、このようなはんだ8の溜まりなどが生じると共振素子6と枠体3との交差する角の形状が安定せず、フィルタ装置1のQ値も安定しない。これにより、フィルタ装置1の信号の通過損失の値にばらつきが発生するという課題を有していた。
【0015】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、安定した通過損失を実現できるフィルタ装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために共振素子にはパイプの表面全体に形成された銅もしくは銀によるメッキ層を有し、少なくとも前記パイプの下端面のメッキ層と筐体内面とがはんだによって接合された接合部を設けたフィルタ装置の製造方法において、枠体もしくは蓋のいずれかへ前記共振素子を装着するとともに、前記接合部の位置へクリーム状のはんだを塗布する工程では、前記接合部において前記はんだは前記共振素子の内周面と前記筐体内面とが交差する位置の近傍へ塗布されたものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、アンテナ端子と、このアンテナ端子が接続された中空状の筐体と、この筐体の内に設けられた中空円筒形状の共振素子とを含み、前記筐体には下方に開口を有した金属製の枠体と、この枠体の開口に装着される蓋と、前記枠体の前記開口側の端部近傍と前記蓋とがはんだによって接合された第1の接合部とを備え、前記共振素子にはパイプの表面全体に形成された銅もしくは銀によるメッキ層とを有し、少なくとも前記パイプの下端面のメッキ層と前記筐体内面との間にはんだフィレットが形成されて接合されるとともに、共振素子の全周において枠体もしくは蓋と電気的に接続された第2の接合部を設け、前記パイプの下端面の一部と枠体もしくは蓋とがスポット溶接により機械的に固定されたものである。
【0018】
これにより共振素子は、はんだを塗布する工程よりも前に筐体へ固定される。従って、はんだ28の塗布位置をできる限り共振素子23へと近づけることができ、共振素子23の外側へ流れ出すはんだの量を少なくできる。したがって、共振素子の周囲でのはんだの溜まりや欠落などが生じにくくなり、共振素子と筐体との接合部の形状が安定する。これにより、フィルタ装置のQ値のばらつきが小さくできるので、信号の通過損失値のばらつきが小さなフィルタ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態におけるフィルタ装置の製造フローチャート
【図2】同装置の側面から見た断面図
【図3】同装置を上方から見た断面図
【図4】同形態における組み立て工程でのフィルタ装置の断面図
【図5】(a)同、共振素子の要部上面図、(b)同、共振素子の要部拡大断面図
【図6】従来のフィルタ装置の断面図
【図7】同装置の組み立て工程におけるフィルタ装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態におけるフィルタ装置21について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態におけるフィルタ装置の断面図であり、図3は、同、上方からの断面図である。なお、これら図2〜図4において図6、図7と同じものには同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。
【0021】
図2、図3において、フィルタ装置21は、エアーキャビティ方式のフィルタ装置21であり、金属製の筐体22と、この金属製の筐体22内に設置される共振素子23と、筐体22に接続されるコネクタ22aによって構成されている。筐体22は、枠体24と、蓋25と仕切り27とを含み、それらはすべて金属製であり、本実施の形態では、両面に銅めっきによる層を有した表面処理鋼板が用いられている。枠体24は、枠体24の底面を形成する底部24aと、この底部24aの端部かに立設された側面24bとによって構成されている。本実施の形態では、側面24bは底部24aから一体に折り曲げられて形成されている。蓋25は、枠体24の上方に設けられた開口24cを塞ぐように装着され、枠体24の開口24c端で蓋25とはんだ28によって接合されている。
【0022】
仕切り27は、筐体22内を複数の中空部26(キャビティともいう)に仕切るように配置され、上端でははんだ28によって蓋25と接合され、下端でははんだ28によって枠体24と接合される。なお、仕切り27が側面24bと交差する箇所ではその場所もはんだ28によって接合される。本実施の形態において、仕切り27は十字形状であり、筐体22内に4つの中空部26が形成される。そして、隣接する中空部26同士を連結する結合窓29によって、中空部26が電磁結合し4段のフィルタが形成されることとなる。
【0023】
ここで、共振素子23の下端面31bのメッキ層と枠体24(筐体22)内面との間にはんだ28によるフィレットが形成されて接合される。そして共振素子23の全周において枠体24(もしくは蓋25)とはんだ28によって電気的に接続される。
【0024】
このようなフィルタ装置21の製造方法について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるフィルタ装置の製造フローチャートであり、図4は同、組み立て工程でのフィルタ装置21の断面図であり、図5(a)本実施の形態における共振素子の要部上面図であり、図5(b)は同、共振素子の要部拡大断面図である。図5(a)本実施の形態における共振素子の要部上面図であり、図5(b)は同、共振素子の要部拡大断面図である。
【0025】
加工工程41では、枠体24と蓋25とはそれぞれプレス加工によって加工し、準備する。組み立て工程42では、加工工程41の後で、図4に示すように筐体22の組み立てが行われる。なおこの組み立て工程では、枠体24へ仕切り27を装着するとともに、枠体24へ共振素子23を機械的に固定する。本実施の形態における組み立て工程42では、固定工程43と装着工程44とを含み、固定工程43では、共振素子23をスポット溶接によって枠体24へ機械的に固定する。一方装着工程44では、枠体24内へ仕切り27を装着する。
【0026】
はんだ塗布工程45は組み立て工程42の後で、ディスペンサ30によって、枠体24と蓋25との接合部ならびに共振素子23と枠体24との接合部へクリーム状のはんだ28を塗布する。そして蓋装着工程46ははんだ塗布工程45の後で、枠体24の開口24cへ蓋25を装着する。ロウ付け工程47は、蓋装着工程46の後で、蓋25が装着された筐体22を加熱して、枠体24と蓋25、仕切り27と枠体24、仕切り27と蓋25、そして共振素子23と筐体22との接合部をはんだ28によって接合する。
【0027】
以上のように固定工程43で共振素子23は枠体24にあらかじめスポット溶接によって機械的に固定するので、はんだ28を塗布するときに、ディスペンサの先端を共振素子23と枠体24との接合部に近づけてはんだ28を塗布できる。これによって、余分にはんだ28が塗布されることを防ぐことができる。したがって、さらに共振素子23と枠体24との間の接合部のはんだ28の形状のばらつきが少なくなるので、Q値のばらつきが小さくなり、信号の通過損失のばらつきの小さなフィルタ装置21を得ることができる。また、あらかじめスポット溶接されているので、ディスペンサの先端が共振素子23に接触したとしても、共振素子23の装着位置がずれない。したがって、共振素子23の固定位置の精度を高くでき、さらに信号の通過損失のばらつきの小さなフィルタ装置21を得ることができる。
【0028】
なお、この場合、枠体24において共振素子23が装着される位置には、共振素子23側(内方)へ突出した突起32を形成しておく。そして、共振素子23は下端面31bが突起32へ当接するように搭載されて、共振素子23の上面と枠体24の下面とにスポット溶接の電極を接触させて、電圧がかけられる。このとき共振素子23と突起32との接点部分に電流が流れて、この接点部が溶接される。このように接点部のみを溶接すればよいので、スポット溶接によって発生する金属の酸化の範囲を小さくできる。したがって、はんだ28のなじみの悪化を防ぐことができる。
【0029】
また、スポット溶接時に位置決め冶具などによって、固定位置を決めることにより、共振素子23の固定位置の精度を高くでき、さらに信号の通過損失のばらつきの小さなフィルタ装置21を得ることができる。
【0030】
共振素子23を中空状とし、共振素子23と筐体22との接合部へのはんだ28の塗布は、共振素子23の内周と筐体22とが交差する位置の近傍に塗布されるので、はんだ28は毛細管現象によって共振素子23の下端面31bと筐体22との間を流れる。これによりはんだ28が共振素子の外側へ流れ出しにくくできる。したがって、共振素子の周囲でのはんだの溜まりや欠落などが生じにくくなり、共振素子と筐体との接合部の形状が安定する。これにより、フィルタ装置のQ値のばらつきが小さくできるので、信号の通過損失値のばらつきが小さなフィルタ装置を実現できる。
【0031】
さらに、本実施の形態において共振素子23は、枠体24に接合したが、これは蓋25へ接合してもかまわない。この場合、共振素子23と蓋25とが交差する接合部へはんだ28が塗布される。このとき共振素子23と枠体24との間の接合部においてはんだ28は、共振素子23の下端部(共振素子23の内周面と枠体24とが交差する位置近傍)へ塗布される。さらに本実施の形態では、円周全周に塗布するのではなく、離散的に塗布している。これは、ディスペンサなどにおいて連続して塗布する場合、温度などの影響により塗布量が大きく変動しやすくなるためである。そこで、点塗布を行えば、1箇所の塗布量のばらつきを小さくでき、はんだ28があふれて流れ出すなどが生じにくくなる。本実施の形態においてはんだ28は2箇所に塗布され、これらのはんだ28は円周をほぼ均等に2分割するような位置に塗布されるので、共振素子23の全周へはんだ28が流れ易くなる。したがって、共振素子23と筐体22との接合部にはんだ28の欠落部などが生じにくくなるので、フィルタ装置21のQ値を大きくかつばらつきも小さくできる。
【0032】
共振素子23は中空の円筒形状であり、冷間圧延鋼板(鉄板)などを所定の形状にプレス切断した平板をカーリングしてパイプ31を形成し、このパイプの全面に金属製のめっき層が形成されたものである。このように鉄をカーリングして形成するので、非常に安価な共振素子23を得ることができる。ここで、パイプ31はプレス加工によって加工されるので切断面は粗面となり、上面と下面にはそれぞれ上端面31aと下端面31bが形成される。そして、バルクめっきなどによって上端面31aや下端面31bを含め、パイプ31の全面にめっきが施される。このようにめっき層は、バルクめっきなどの方法で形成できるので、非常に安価な共振素子23を実現できる。本実施の形態においてパイプの表面には、銅めっき層が形成されているので、非常に導体抵抗が小さい。従ってQ値が高く、信号の通過損失を小さくできる。
【0033】
そして、このようにして形成された共振素子23は、下面側の下端面31b側が筐体22と対向する方向で装着され、下端面31bと筐体22内面とがはんだ28によって接合される。なお、本実施の形態において共振素子23は枠体24の内面へ接合しているが、これは蓋25に対して接合してもよい。このとき、分断部31cの両隣に塗布されたはんだ28と分断部31cとの間の距離は、それぞれほぼ同じ距離としておくと良い。これによって共振素子23全周ではんだ28の欠落などが発生しにくくなる。したがって、フィルタ装置21のQ値を大きくかつばらつきも小さくできる。
【0034】
また共振素子23全体が銅めっきされているので、従来のように上面にはんだを塗布する必要もない。また下面も銅めっきが施されるとともに、粗面であるので、非常にはんだ28のなじみが良好である。従って、下端面31bと枠体24(あるいは蓋25)の内面との間が接合するだけのはんだ28の量でよいので、少量のはんだで確実に共振素子23と筐体22との間を接合できる。従って、はんだ28の量のばらつきが少なくなり、共振素子23の周囲でのはんだ28の溜まりや欠落などが生じにくくなる。これにより、Q値のばらつきを小さくでき、信号の通過損失のばらつきの小さなフィルタ装置21を実現できる。
【0035】
ここで、パイプ31はカーリング加工によって形成されるため、パイプ31の上端から下端まで連続した分断部31cが形成される。ここで分断部31cの幅31dは、パイプ31の内面から外面に向かって狭くしている。これによって、パイプ31の外周面では分断部31cの間隔が非常に小さくなるので、この分断部31cに銅めっきが埋まり、分断部31cは銅めっきで接続されることとなる。本実施の形態ではパイプ31の表面側における分断部31cの幅は0.05mmとしているので、安価なバルクめっき法を用いて容易に分断部31cを銅めっきで接続させることができる。
【0036】
さらに本実施の形態では、パイプ31をカーリング加工するときに、バリ方向がパイプ31の外方となる方向で曲げられる。これにより分断部31cの幅31dは、パイプ31の内周に比べて外周面側を狭くできるので、さらに確実に分断部31cを銅めっきで埋めて接続させることができる。
【0037】
このように分断部31cがめっきによって接続されているので、分断部31cへはんだ28を塗布する必要がない。従って、さらに共振素子23の周囲でのはんだ28の溜まりなどが生じにくくなる。これにより、さらにQ値のばらつきが小さく、信号の通過損失のばらつきが小さなフィルタ装置21を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかるフィルタ装置とその製造方法は、信号の通過損失のばらつきが小さいという効果を有し、携帯電話の基地局などに用いられるフィルタ等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0039】
22 筐体
22a コネクタ
23 共振素子
24 枠体
24c 開口
25 蓋
26 中空部
28 はんだ
31 パイプ
31b 下端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ端子と、このアンテナ端子が接続された中空状の筐体と、この筐体の内に設けられた中空円筒形状の共振素子とを含み、前記筐体には下方に開口を有した金属製の枠体と、この枠体の開口に装着される蓋と、前記枠体の前記開口側の端部近傍と前記蓋とがはんだによって接合された第1の接合部とを備え、前記共振素子にはパイプの表面全体に形成された銅もしくは銀によるメッキ層とを有し、少なくとも前記パイプの下端面のメッキ層と前記筐体内面との間にはんだフィレットが形成されて接合されるとともに、共振素子の全周において枠体もしくは蓋と電気的に接続された第2の接合部を設け、前記パイプの下端面の一部と枠体もしくは蓋とがスポット溶接により機械的に固定されたフィルタ装置。
【請求項2】
スポット溶接する位置の筐体には、内方へ突出した突起を設け、この突起と共振素子の下端面とが当接した請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
アンテナ端子と、このアンテナ端子が接続された中空状の筐体と、この筐体の内に設けられた中空円筒形状の共振素子とを含み、前記筐体には下方に開口を有した金属製の枠体と、この枠体の開口に装着される蓋と、前記枠体の前記開口側の端部近傍と前記蓋とがはんだによって接合された第1の接合部とを備え、前記共振素子にはパイプの表面全体に形成された銅もしくは銀によるメッキ層とを有し、少なくとも前記パイプの下端面のメッキ層と前記筐体内面とが前記はんだによって接合された第2の接合部を設けたフィルタ装置の製造方法において、前記枠体もしくは前記蓋のいずれかへ前記共振素子を装着し、その後で前記共振素子と枠体もしくは蓋とを機械的に接続し、その後で前記第1と第2の接合部の位置へクリーム状のはんだを塗布し、その後に加熱して前記はんだを溶融させて前記共振素子を前記筐体へ接合し、前記加熱工程においても前記機械的な接続が維持されるフィルタ装置の製造方法。
【請求項4】
機械的固定は、スポット溶接とした請求項3に記載のフィルタ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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