フィルタ
【課題】静電フィルタ、特に、空気流からほこり粒子を除去するための静電フィルタ、例えば、真空掃除機、ファン、又は空気調節器に用いるための静電フィルタを提供する。
【解決手段】本発明は、静電フィルタに関する。特に、以下に限定するものではないが、本発明は、ほこり粒子を除去するための静電フィルタ、例えば、真空掃除機、ファン、又は空気調節器に用いるための静電フィルタに関する。静電フィルタは、第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体を含み、電極の各々は、電位差がフィルタ媒体にわたって形成されるように使用中に異なる電圧であり、フィルタ媒体の特性は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する。
【解決手段】本発明は、静電フィルタに関する。特に、以下に限定するものではないが、本発明は、ほこり粒子を除去するための静電フィルタ、例えば、真空掃除機、ファン、又は空気調節器に用いるための静電フィルタに関する。静電フィルタは、第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体を含み、電極の各々は、電位差がフィルタ媒体にわたって形成されるように使用中に異なる電圧であり、フィルタ媒体の特性は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電フィルタに関する。特に、以下に限定するものではないが、本発明は、空気流からほこり粒子を除去するための静電フィルタ、例えば、真空掃除機、ファン、又は空気調節器に用いるための静電フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ほこり粒子が荷電され、次に、収集のために別の反対に荷電された表面に引き付けられるフォームフィルタ、サイクロン分離器、及び静電分離器のような機械的フィルタを用いて流体流れから汚れ及びほこり粒子のような粒子を分離することは公知である。
公知のサイクロン分離装置は、真空掃除機に用いるものを含む。そのようなサイクロン分離装置は、比較的大きな粒子を分離するための低効率サイクロンと、空気流内に同伴されたままの微粒子を分離するための低効率サイクロンの下流に位置する高効率サイクロンとを含むことは公知である(例えば、EP0、042、723B参照)。
【0003】
公知の静電フィルタは、摩擦静電フィルタ及びエレクトレット媒体フィルタを含む。そのようなフィルタの例は、EP0815788、US7179314、及びUS6482252に説明されている。
そのような静電フィルタは、生産するのに比較的廉価であるが、これらの電荷が時間と共に消散し、これらの静電特性の低減をもたらすという欠点を抱えている。これは、次に、静電フィルタが収集することができるほこりの量を低減し、これは、静電フィルタ自体及びあらゆる更に下流のフィルタの両方の寿命を短縮する場合がある。
【0004】
公知の静電フィルタはまた、空気流のほこり粒子が何らかの方法で荷電され、次に、収集のために荷電集電極の上又は周囲に通されるフィルタを含む。そのようなフィルタの例は、JP2007296305に説明されており、そこでは、空気流のほこり粒子は、これらが「コロナ放電」ワイヤを通過する時に荷電され、次に、コロナ放電ワイヤの下流に位置する導電性フィルタ媒体上に捕捉される。この配置による欠点は、これらが、比較的非効率であり、比較的高価な材料から作られ、かつ集電極が、これらを収集ほこりから守るために一定の保守を必要とする点である。集電極がほこりの層で被覆された状態で、これらは、効率が大きく低下する。
【0005】
別の例は、GB2418163に示されており、そこでは、空気流のほこり粒子は、これらがサイクロンの内側に位置するコロナ放電ワイヤを通過する時に荷電される。荷電ほこり粒子は、次に、導電性塗料で被覆したサイクロンの壁上に捕捉される。この配置は、小型であるが、これは、ほこりがサイクロンの内側に集まるという欠点を抱えている。これは、サイクロンの壁からほこりを除去する一定の困難な保守を必要とするだけでなく、サイクロンの内側に捕捉されたあらゆるほこりは、サイクロン空気流に干渉してサイクロン自体の分離効率を低下させることになる。
別の例は、US5593476に示されており、そこでは、フィルタ媒体は、2つの透過性電極間に置かれ、空気流は、電極を通過してフィルタ媒体を通過するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0042723号明細書
【特許文献2】欧州特許第0815788号明細書
【特許文献3】米国特許第7179314号明細書
【特許文献4】米国特許第6482252号明細書
【特許文献5】特開2007−296305号公報
【特許文献6】英国特許第2418163号明細書
【特許文献7】米国特許第5593476号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
適度な使用寿命を維持しながら、静電フィルタの効率をできるだけ高くすること(すなわち、空気流から非常に細かいほこり粒子をできるだけ高い割合で分離すること)が望ましい。静電フィルタは、それにわたって圧力低下をあまり引き起こさないことも望ましい。
従って、長い使用寿命と共に高効率を提供することができる静電フィルタが望ましい。ある一定の用途では、例えば、家庭用真空掃除機用途では、その電気器具が電気器具の性能を損なうことなくできるだけ小型に作られることが望ましい。従って、構成がより簡単で、容易に電気器具にパッケージ化することを可能にする静電フィルタも同様に望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従って、第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体を含む静電フィルタを提供し、電極の各々は、電位差がフィルタ媒体にわたって形成されるように使用中に異なる電圧であり、フィルタ媒体の特性は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する。
変化する特性は、フィルタ媒体の平均孔隙サイズ/直径、インチ当たりの孔隙数、電気抵抗率、及び/又はタイプとすることができる。本明細書で用いられる場合、用語「孔隙サイズ」及び「孔隙直径」は、互換性がある。平均孔隙サイズ/直径を測定してインチ当たりの孔隙数を計算する方法は、具体的な説明に示されている。
【0009】
例えば、平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数は、下流方向に減少するか又は増加する場合がある。平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数のそのような変化は、単一フィルタで起こる段階的変化とすることができ、又はフィルタ媒体の複数の区画を一緒にして、その長さにわたって様々な平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数を有するフィルタ媒体を形成することができる。例えば、フィルタ媒体の2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くの区画を静電フィルタに用いることができる。更に、平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数は、下流方向に減少するか又は増加する場合があり、又は代替的に、それは、別のランダム又は非ランダム方式で変化する場合がある。
【0010】
最も好ましくは、フィルタ媒体の平均孔隙サイズ/直径は、下流方向に減少する。好ましくは、インチ当たりの孔隙数は、下流方向に増加すると考えられる。
そのような配置は、使用中に、フィルタ媒体の上流端が殆どのほこりに露出されることになり、より大きな孔隙サイズが、フィルタ媒体を通る空気流を制限することなくこのほこりをより良く収容することができることになるので有利であると考えられる。更に下流では、より小さな孔隙サイズが、フィルタの上流部分を通過したあらゆるより小さなほこり粒子を捕捉することになる。この配置は、有利な態様では、静電フィルタにわたる圧力損失を低下させるのに役立つ。
【0011】
フィルタ媒体は、あらゆる適切な材料、例えば、ガラス、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はあらゆる他の適切なプラスチック材料から構成することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、開放セル網状発泡体、例えば、ポリウレタン発泡体を含むことができる。網状発泡体は、発泡体内のセルウィンドウが取り除かれて完全に開放セル網状組織を作り出す時に形成される。このタイプのフィルタ媒体は、発泡体がその構造を空気流に保持することができるので特に有利である。ポリウレタン発泡体は、ポリエステル又はポリエーテルのいずれかから導出することができる。
【0012】
フィルタ媒体又はその区画は、0.4、又は0.5、又は1、又は1.5、又は2、又は2.5、又は3、又は3.5から4、又は4.5、又は5、又は5.5、又は6、又は6.5、又は7、又は7.5、又は8、8.5mmまで(又は400ミクロンから8500ミクロン)の平均孔隙直径と共に、3、又は5、又は6、又は8、又は10、又は15、又は20、又は25、又は30から35、又は40、又は45、又は50、又は55、又は60のインチ当たりの孔隙数(PPI)を有することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体又はその区画は、1.5mmから5mmまでの平均孔隙直径と共に8から30までのPPIを有することができる。別の好ましい実施形態では、フィルタ媒体又はその区画は、1.5mmから8mmまでの平均孔隙直径と共に3から30までのPPIを有することができる。最も好ましくは、PPIは、3から10までのPPIとすることができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体の上流部分/区画は、3つのPPIのうちの1つのPPIを有することができ、下流部分/区画は、6つのPPIのうちの1つのPPIを有することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体の上流部分/区画は、7200ミクロン(7.2mm)の平均孔隙直径を有することができ、下流部分/区画は、4500ミクロン(4.5mm)の平均孔隙直径を有することができる。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の電極は、実質的に無孔性である。好ましくは、フィルタ媒体は、長さを有し、第1及び第2の電極は、フィルタ媒体の長さに沿って無孔性である。最も好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、これら全長に沿って無孔性である。
本明細書で用いられる場合、用語「無孔性」は、第1及び第2の電極が、穿孔、開口、又は間隙なしに連続中実表面を有するという意味を取るものとする。好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、使用中に空気流がフィルタ媒体を通って電極の長さに沿って移動するように無孔性である。理想的には、空気流は、第1又は第2の電極を通過しない。
【0014】
空気が使用中に電極を貫流する必要がないそのような配置は、それが、静電フィルタにわたる圧力低下を低減することができるので有利であると考えられる。更に、電極は、無孔性であるので、これらは、電極が多孔性であったとした場合よりも大きな表面の面積を有する。これは、静電フィルタの全体の性能を改良することができる。
好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、電気抵抗フィルタ媒体とすることができる。本明細書で用いられる場合、用語「電気抵抗フィルタ媒体」は、フィルタ媒体が、22℃で1x107から1x1013オームメートルの抵抗率を有するという意味を取るものとする。最も好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、22℃で2x109から2x1011オームメートルの抵抗率を有することができる。フィルタ媒体の電気抵抗率は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する場合がある。特定的な実施形態では、電気抵抗率は、下流方向に低下すると考えられる。
【0015】
静電フィルタは、フィルタ媒体にわたって形成された電位差を用いて、集電極上ではなくてフィルタ媒体自体にほこりを収集する。この配置は、清浄化する集電極がないので、以前の静電フィルタに勝って有利である。これは、フィルタ媒体のほこり保持機能により、保守の必要性を低減し、フィルタの寿命を増大させることができる。
電位差は、電気抵抗フィルタ媒体が負荷をもたらし、従って、僅かな電流のみがそれを貫流するので起こる。しかし、電界は、電気抵抗フィルタ媒体の繊維におけるあらゆる正及び負電荷の分布を乱すことになり、これらをそのそれぞれの電極に整列させる。この工程は、フィルタを貫流する空気流のほこり粒子が、フィルタ媒体のそれぞれの正及び負端部に引き付けられることになるので、ほこりをフィルタ媒体の繊維に結合させるか又はこの上に定着させる。これは、ほこり粒子を荷電電極上に捕捉する必要なく、ほこり粒子がフィルタ媒体自体に捕捉されるようにするのを助けると考えられる。
【0016】
更に、静電フィルタは、基本的に1つの構成要素であり、すなわち、フィルタ媒体は、第1及び第2の電極の間に位置するので、それは、以前の配置よりも小型とすることができ、従って、より簡単にパッケージ化することができる。静電フィルタを電気器具のいずれの空気流にも配置することが可能であると考えられる。これは、フィルタを家庭用真空掃除機に利用することを可能にするのに役立つであろう。
【0017】
一実施形態では、フィルタ媒体は、第1及び/又は第2の電極と接触状態にすることができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、その全長に沿って、例えば、フィルタ媒体が第1及び第2の電極の間に挟まれるように、第1及び/又は第2の電極と接触状態にすることができる。好ましくは、フィルタ媒体と第1及び第2の電極の間に間隙はない。
特に好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、使用中にほこり粒子を含有する空気流が空気通路に沿ってフィルタ媒体を通過しなければならないように、空気通路の壁の少なくとも一部分を形成し、フィルタ媒体は、その全長に沿って壁と接触する。
【0018】
静電フィルタはまた、少なくとも1つのコロナ放電手段を更に含むことができ、フィルタ媒体は、コロナ放電手段の下流に配置される。コロナ放電手段を加えることで、有利な態様では、静電フィルタの効率を増大させることができる。この理由は、コロナ放電手段が、空気流のあらゆるほこり粒子をこれらがフィルタ媒体を通過する前に荷電するのに役立ち、従って、フィルタ媒体に対するほこり粒子吸引力を増大させるのを助けるからである。
【0019】
好ましい実施形態では、コロナ放電手段は、高曲率の少なくとも1つのコロナ放電電極と、低曲率の少なくとも1つの電極とを含むことができる。この配置は、それが、空気流のあらゆるほこり粒子を荷電するために大きなイオン源を発生させることができるので有利であると考えられる。これらの荷電ほこり粒子は、次に、使用中にフィルタ媒体にわたって電位差を有するフィルタ媒体によって濾過され、取り除かれる可能性が高い。
【0020】
コロナ放電電極は、それが、低曲率の電極よりも高い曲率のものである限りあらゆる適切な形態にすることができる。言い換えると、コロナ放電電極は、好ましくは、その表面における電界が低曲率の電極の表面における電界よりも大きくなるようにする形状のものである。適切な配置の例は、コロナ放電電極が、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、ポイント、針、又は鋸歯である場合であると考えられ、低曲率の電極は、これらを取り囲むチューブである。代替的に、低曲率の電極は、平板にすることができる。
【0021】
特定的な実施形態では、コロナ放電電極は、第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。好ましい実施形態では、コロナ放電電極は、第1又は第2の電極の下流縁部から又はこの上に形成された1つ又はそれよりも多くのポイントの形態である。下流縁部は、静電フィルタの配向及び空気が使用中に静電フィルタに入る方向に依存する第1又は第2の電極の下縁又は上縁のいずれかとすることができる。理想的には、第2の電極の下縁又は上縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成する。
【0022】
低曲率の電極も、第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。特定的な実施形態では、低曲率の電極は、第1又は第2の電極の下流部分から又はその上に形成される。更に、下流部分は、静電フィルタの配向及び空気が使用中に静電フィルタに入る方向に依存する第1又は第2の電極の下側又は上側部分のいずれかとすることができる。
好ましい実施形態では、第2の電極の下縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成し、第1の電極の下側部分は、低曲率の電極を形成する。代替的な実施形態では、第2の電極の上縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成し、第1の電極の上側部分は、低曲率の電極を形成する。
【0023】
これらの配置は、コロナ放電電極又は低曲率の電極を形成する別々の構成要素の要件がないので有利である。
好ましくは、コロナ放電電極及び/又は低曲率の電極は、フィルタ媒体の上流面から上流に突出する。理想的には、放電電極及び/又は低曲率の電極は、フィルタ媒体の下面の下方に又は上面の上方に突出することができる。特定的な実施形態では、低曲率の電極は、コロナ放電電極の下面から上流及び下流の両方に突出する。これは、イオン化電界が発生する容積を最大にし、ほこり粒子がイオン化電界を通過する時にほこり粒子を荷電する機会を最大にするのに役立つので有利である。
【0024】
特定的な実施形態では、第1の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有することができる。代替的に、第2の電極は、第1の電極よりも高い電圧を有することができる。理想的には、第1の電極は、0ボルト又は±2kVである。第2の電極は、第1の電極よりも高いか又は低い電圧のいずれかを有することができる。好ましい実施形態では、第1の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有する。特に好ましい実施形態では、第1の電極は、0ボルト又は±2kVであり、第2の電極は、±2、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9から10、又は11、又は12、又は13、又は15又は15kVまでとすることができる。最も好ましい実施形態では、第2の電極は、−2又は−4から−10kVまでとすることができる。
【0025】
代替的な実施形態では、コロナ放電電極は、第1及び第2の電極から遠隔とすることができる。そのような実施形態では、コロナ放電電極は、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、針、ポイント、又は鋸歯の形態にすることができる。そのような実施形態では、低曲率の電極は、依然として第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。特定的な実施形態では、第2の電極の一部分は、低曲率の電極を形成することができる。
別の代替的な実施形態では、コロナ放電手段、すなわち、コロナ放電電極及び低曲率の電極の両方は、第1及び第2の電極から遠隔に位置することができる。
【0026】
第1及び第2の電極は、あらゆる適切な形状のものとすることができ、例えば、これらは、平面とすることができ、フィルタ媒体は、層間に挟むことができる。平面電極は、あらゆる適切な形状、例えば、四角形、矩形、円形、又は三角形のものとすることができる。電極は、異なるサイズのものとすることができる。
代替的に、第1及び/又は第2の電極は、管状とすることができ、例えば、これらは、その断面が円形、四角形、三角形、又は他の適切な形状とすることができる。特定的な実施形態では、電極は、円筒形とすることができ、フィルタ媒体は、電極円筒間に位置する。好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、同心に位置することができ、フィルタ媒体は、これらの間に同心に位置する。
【0027】
静電フィルタはまた、1つ又はそれよりも多くの別の電極を更に含むことができる。1つ又はそれよりも多くの別の電極も、あらゆる適切な形状、例えば、平面又は円筒形のものとすることができる。1つ又はそれよりも多くの別の電極は、好ましくは、無孔性である。
第1及び第2の電極が円筒形である実施形態では、静電フィルタは、例えば、第3の電極を更に含むことができる。そのような実施形態では、第2の電極は、第1と第3の電極の間に位置することができる。そのような実施形態では、第2の電極は、第1の電極と第3の電極の間に同心に位置することができる。そのような実施形態では、更に別のフィルタ媒体は、第2の電極と第3の電極の間に位置することができる。更に、第2の電極及び第3の電極は、好ましくは、電位差が更に別のフィルタ媒体にわたって形成されるように、使用中に各々異なる電圧である。
【0028】
特定的な実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、使用中に同じ電圧とすることができる。第2の電極は、正又は負のいずれかに荷電することができる。理想的には、第2の電極は、負に荷電される。第1の電極及び第3の電極は、第2の電極よりも高いか又は低い電圧のいずれかを有することができる。好ましい実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有することができる。特に好ましい実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、0ボルト又は±2kVとすることができ、第2の電極は、±2、又は4又は10kVとすることができる。最も好ましい実施形態では、第2の電極は、−10kVとすることができる。
【0029】
実施形態では、静電フィルタは、互いに対して同心に配置された複数の円筒電極を含むことができ、フィルタ媒体は、隣接する電極間に位置し、隣接する電極は、電位差がフィルタ媒体の各々にわたって形成されるように、使用中に異なる電圧である。
代替的な実施形態では、静電フィルタは、互いに対して平行に又は実質的に平行に配置された複数の平面電極を含むことができ、フィルタ媒体は、隣接する電極間に位置し、隣接する電極は、電位差がフィルタ媒体の各々にわたって形成されるように、使用中に異なる電圧である。
【0030】
電極は、あらゆる適切な導電材料から形成することができる。好ましくは、第2の電極は、0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから、2.5mm、又は3mm、又は4mmまでの導電性金属シートから形成される。理想的には、第1及び/又は第2及び/又は第3の電極は、0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから、2.5mm、又は3mm、又は4mmまでの導電性金属箔から形成される。
追加的に又は代替的に、フィルタ媒体は、電極の1つ又はそれよりも多くで被覆することができる。例えば、フィルタ媒体の1つ又はそれよりも多くの表面は、導電性層で被覆することができる。
【0031】
本発明の第2の態様は、上述のような静電フィルタを含む真空掃除機を提供する。特定的な実施形態では、真空掃除機は、空気通路を含むことができ、導電性金属箔は、空気通路の少なくとも一部分を被覆し、電極を形成することができる。特定的な実施形態では、空気通路は、非サイクロン空気通路である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による静電フィルタを通る断面を示す概略図である。
【図2a】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図2b】図2aに示す静電フィルタの側面図である。
【図3】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図4】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図5】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図6】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図7】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図8a】本発明による静電真空掃除機を組み込むサイクロン分離装置を通る縦方向断面図である。
【図8b】図8aに示すサイクロン分離装置を通る水平断面図である。
【図9】本発明による静電真空掃除機を組み込むサイクロン分離装置を通る断面図である。
【図10a】本発明による静電真空掃除機を組み込むサイクロン分離装置を通る縦方向断面図である。
【図10b】図10aに示すサイクロン分離装置を通る水平断面図である。
【図11】図8、9、又は10に示すサイクロン分離装置を組み込むキャニスタ真空掃除機を示す図である。
【図12】図8、9、又は10に示すサイクロン分離装置を組み込む直立真空掃除機を示す図である。
【図13a】水平断面を通って取ったフィルタ媒体構造の顕微鏡写真を示す図である。
【図13b】孔隙直径を測定するための個々の孔隙の選択を示す図である。
【図13c】各孔隙直径を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで、添付図面を参照して一例として本発明を以下に説明する。
同じ参照番号は、明細書を通して同じ部分を意味する。
図1を参照すると、静電フィルタが示されており、全体が参照番号1によって表示されている。
静電フィルタ1は、第1の無孔電極4と第2の無孔電極6の間に挟まれてこれらに接触した電気抵抗フィルタ媒体2を含むことを見ることができる。使用時には、第1及び第2の電極4、6は、電位差が電気抵抗フィルタ媒体2にわたって形成されるように、各々異なる電圧である。第1の電極4は、0ボルトの状態にあり、第2の電極6は、使用中に±4から10kVである。電極4、6は、高電圧電源(図示せず)に接続される。
【0034】
第1及び第2の電極4、6は、使用中に、ほこり含有空気(A)が第1及び第2の電極4、6の長さに沿って電気抵抗フィルタ媒体2を通過しなければならないように、電気抵抗フィルタ媒体2によって充填された空気通路の少なくとも一部を形成する。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、ほこり粒子が捕捉されるように、静電フィルタ1を通過するあらゆる荷電ほこり粒子を電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付ける。ほこり含有空気(A)のほこり粒子は、これらが静電フィルタ1の上流の空気通路を通過する時に、摩擦によって静電フィルタ1に入る前に荷電することができる。
【0035】
静電フィルタ1の第2の実施形態は、図2a及び2bに示されている。この実施形態では、静電フィルタ1は、コロナ放電手段を更に含む。コロナ放電手段は、高曲率10のコロナ放電電極及び低曲率12の電極を含む。低曲率12の電極は、平面又は曲面とすることができる。この実施形態では、コロナ放電電極10は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16よりも下に延びる第2の電極6の鋸歯状下縁14の形態であり、低曲率12の電極は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16よりも下に突出する第1の電極4の延長部である。
【0036】
低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の上流及び下流の両方に突出することが好ましい。これは、有利な態様では、イオン化電界が発生する容積を最大にする。
この実施形態では、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極と共に第1及び第2の電極4、6は、使用時にほこり含有空気(B)が、ほこり含有空気(B)のほこり粒子を荷電させるコロナ放電手段を通らなければならないように、電気抵抗フィルタ媒体2によって部分的に充填された空気通路の少なくとも一部を形成する。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(B)は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2を通過しなければならない。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。この実施形態では、第1の電極4は、使用中に0ボルトであり、第2の電極6は、−4から10kVである。これはまた、コロナ放電電極10は、−4から10kVであり、低曲率12の電極は、0ボルトであることを意味する。更に、電極4、6は、高電圧電源(図示せず)に接続される。
【0037】
図3に示すように別の実施形態では、コロナ放電電極10は、第1及び第2の4、6から遠隔である場合がある。そのような実施形態では、コロナ放電手段のコロナ放電電極10は、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、針、ポイント、又は鋸歯の形態にすることができる。図3に示す実施形態では、コロナ放電電極10は、ワイヤ20の形態であり、低曲率12の電極は、第2の電極6である。この実施形態では、コロナ放電電極10及び第2の電極6は、好ましくは、異なる電圧である。例えば、コロナ放電電極は、−4から10kVとすることができ、低曲率12の電極を形成する第2の電極4は、0ボルトとすることができる。この実施形態では、第1の電極4はまた、第2の電極6よりも低いか又は高い電圧とすることができ、例えば、第1の電極4は、+又は−4から10kVとすることができる。
【0038】
この実施形態では、空気通路は、第2の電極6によって少なくとも部分的に形成される。ほこり含有空気(C)は、この空気通路を通って移動し、ほこり粒子は、コロナ放電手段によって荷電される。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(C)は、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通って空気通路内に入る。更に、電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2の内側に捕捉する。
【0039】
別の代替的な実施形態では、コロナ放電手段全体、すなわち、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極の両方は、第1及び第2の電極4、6から遠隔に位置することができる。そのような実施形態は、図4で見ることができる。
この実施形態は、第1及び第2の電極4、6の上流に配置された少なくとも1つのコロナ放電電極10及び少なくとも1つの低曲率12の電極を含む。ほこり含有空気(D)は、少なくとも1つのコロナ放電電極10及び少なくとも1つの低曲率12の電極を収容する空気通路を通って移動し、ほこり粒子は、コロナ放電手段によって荷電される。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(D)は、次に、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通って空気通路内に入る。更に、電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。
【0040】
本発明の更に別の実施形態は、図5に示されている。静電フィルタ1は、第3の電極8を含むことを見ることができる。この実施形態では、更に別の電気抵抗フィルタ媒体2が、第2の電極6と第3の電極8の間に位置する。第2及び第3の電極6、8は、好ましくは、電位差が更に別の電気抵抗フィルタ媒体2にわたって形成されるように、使用中に各々異なる電圧である。低曲率12の第2の電極は、第3の電極8から延びて、第2の電気抵抗フィルタ媒体2の下面16よりも下に突出する。
【0041】
低曲率12のこの第2の電極は、コロナ放電電極10の上流及び下流の両方に突出することが好ましい。更に、これは、イオン化電界が発生する容積を最大にする。
この実施形態では、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極と共に第1、第2、及び第3の電極4、6、8は、使用時にほこり含有空気(E)が、ほこり含有空気(E)のほこり粒子を荷電させるコロナ放電手段を通らなければならないように、電気抵抗フィルタ媒体2によって部分的に充填された空気通路の少なくとも一部を形成する。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(E)は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2のいずれかを通過しなければならない。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体内に捕捉する。
【0042】
上述の実施形態の全てにおいて、空気通路は、少なくとも部分的に第1の電極4、第2の電極6、及び場合によっては第3の電極8によっても形成することができる。しかし、静電フィルタ1は、ほこり含有空気(A)、(B)、(C)、(D)、又は(E)が電気抵抗フィルタ媒体2を通過するように、電極4、6、8と共に空気通路を形成する1つ又はそれよりも多くの壁を更に含むことができる。電極4、6、8は、あらゆる適切な形状のものとすることができ、例えば、これらは、平面とすることができる。平面層は、あらゆる適切な形状、例えば、四角形、矩形、円形、又は三角形のものとすることができる。
【0043】
代替的な実施形態では、第1の電極4、第2の電極6、及び場合によっては第3の電極8も、管状とすることができる。そのような実施形態では、第1及び第2の電極4、6及び場合によっては第3の電極8も、電気抵抗フィルタ媒体2を通る空気通路を形成することになる。そのような実施形態では、付加的な壁は、空気通路を形成するのに必要ない。しかし、電気抵抗フィルタ媒体2は、電極4、6、(8)よりも長い場合があり、従って、何らかの他の壁又は構造体が電気抵抗フィルタ媒体2の底部又は上部側区域を取り囲むことができるということが可能である。
第1、第2、及び第3の管状電極4、6、8を含む実施形態は、図6、7、8a、及び8bに示されている。これらの実施形態では、電極4、6、8は、第2の電極6が第1の電極4と第3の電極8の間に同心に配置された管状である。電極4、6、8は、円筒形であるが、これらは、その断面が四角形、矩形、三角形、又は不規則のようなあらゆる適切な形状のものとすることができることがわかる。
【0044】
図6では、電気抵抗フィルタ媒体2は、第1及び第2の電極4、6と第2及び第3の電極6、8の両方のそれらの間に位置することがわかる。この実施形態では、静電フィルタ1は、低曲率12の2つの電極を含み、これらはまた、第1のものが、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第1の電極2の延長部であり、第2のものが、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第3の電極8の延長部であるので、同様に円筒形であることも分る。
【0045】
コロナ放電電極10は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下に延びる第2の電極6の鋸歯状下縁14の形態であり、従って、同様にその形状は円筒形である。低曲率12の電極は、鋸歯状下縁14の上流及び下流の両方に突出することがわかる。
この実施形態では、空気通路22は、静電フィルタ1の中心を通って形成される。この空気通路22を用いて、ほこり含有空気(F)をコロナ放電手段に送出することができる。ほこり含有空気(F)は、この空気通路22を通ってコロナ放電手段の方向に移動する。ほこり含有空気(F)は、次に、コロナ放電手段を通って、ほこり粒子を荷電する。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(F)は、次に、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2、又は第2の電極6と第3の電極8の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通過し、ほこり粒子は、電気抵抗フィルタ媒体2に捕捉される。
【0046】
図7に示す実施形態のような代替的な実施形態では、コロナ放電電極10は、第2の電極6から遠隔である。この実施形態では、コロナ放電電極10は、ワイヤ20の形態であり、低曲率12の電極は、通路22の壁を形成する第3の電極8である。ほこり含有空気(G)は、この空気通路22を通って移動し、ほこり粒子は、コロナ放電手段によって荷電される。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(G)は、次に、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2又は第2の電極6と第3の電極8の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通過し、ほこり粒子は、電気抵抗フィルタ媒体2に捕捉される。
【0047】
図5から7に対して説明した実施形態の全てにおいて、第1及び第3の電極は、0ボルトであり、第2の電極は、−4から10kVである。これはまた、コロナ放電電極10が、−4から10kVであり、低曲率の電極は、0ボルトであることを意味する。
電極4、6、8は、あらゆる適切な導電材料から形成することができる。好ましくは、第1、第2、及び/又は第3の電極4、6、8は、厚みが0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから、2.5mm、又は3mmまでの導電性金属シートから形成される。
【0048】
上述の実施形態の全てにおいて、電気抵抗フィルタ媒体2は、あらゆる適切な材料、例えば、ポリエステルから導出された開放セル網状ポリウレタン発泡体から形成することができる。
好ましい実施形態では、電気抵抗フィルタ媒体2は、3から12PPI、及び好ましくは、8から10PPI、並びに最も好ましくは、3から6PPIである。電気抵抗フィルタ媒体2の平均孔隙サイズ、PPI又はタイプは、しかし、その長さに沿って変化する場合がある。例えば、図8aに示す電気抵抗フィルタ媒体2の孔隙サイズは、それが、異なる孔隙サイズを有する2つの区画各々から形成されるので、その長さに沿って変化する。図示の実施形態では、上流部分は、3又は8PPIを有し、下流部分は、6又は10PPIを有する。
【0049】
孔隙サイズ/直径は、以下の方法を用いて測定することができる。
1)発泡体構造の顕微鏡写真を水平断面を通して取り、図13aに示すような孔隙一貫性を保証すべきである。
2)5つの個々の孔隙を図13bに示すように選択すべきである。
3)各孔隙直径は、図13cに示すように100ミクロンよりも小さくない精度に対して測定され、平均は、5つの孔隙にわたって取るべきである。
4)この平均孔隙サイズ(孔隙直径)は、ミクロン又はミリメートルで示される。
インチ当たりの孔隙数は、25400(1インチ=25400ミクロン)をミクロンの孔隙直径で割って計算される。
【0050】
図8a、8b、9、10a、及び10bは、本発明の第2の態様を示し、ここで、静電フィルタ1は、真空掃除機のサイクロン分離装置に組み込まれている。図8a、8b、9、10a、及び10bに示すサイクロン分離装置を組み込む真空掃除機は、図11及び12に示されている。
図11では、真空掃除機100は、本体24、掃除する表面を横切る真空掃除機100を操作するための本体24上に装着されたホイール26、及び本体24上に同じく取外し可能に装着されたサイクロン分離装置28を含む。ホース30は、サイクロン分離装置28と連通し、モータ及びファンユニット(図示せず)は、ほこり含有空気をホース30を通じてサイクロン分離装置28に引き込むために本体24内に収容される。通常、床係合掃除機ヘッド(図示せず)は、ワンドを通じてホース30の遠位端に連結され、掃除する表面にわたって汚れ空気入口34の操作を容易にする。
使用時には、ホース30を通じてサイクロン分離装置28に引き込まれたほこり含有空気は、サイクロン分離装置28においてそれから分離されたほこり粒子を有する。汚れ及びほこりは、サイクロン分離装置28内に収集され、一方、清浄化空気は、本体24の出口ポートを通じて真空掃除機100から取り出される前に冷却目的のためにモータを越して送られる。
【0051】
図12に示す直立真空掃除機100はまた、本体24を有し、本体には、モータ及びファンユニット(図示せず)が装着され、かつホイール26が装着され、真空掃除機100が掃除する表面を横切って操作されることを可能にする。掃除機ヘッド32は、本体24の下端上にピボット回転可能に装着され、汚れ空気入口34は、掃除する表面に向いている掃除機ヘッド32の下側に設けられる。サイクロン分離装置28は、本体24上に取外し可能に設けられ、ダクト系統36は、汚れ空気入口34とサイクロン分離装置28の間で連通する。ワンド及びハンドルアセンブリ38は、サイクロン分離装置28の後方の本体24上に解除可能に装着される。
【0052】
使用時には、モータ及びファンユニットは、ほこり含有空気を汚れ空気入口34又はワンド38のいずれかを通じて真空掃除機100に引き込む。ほこり含有空気は、ダクト系統36を通じてサイクロン分離装置28まで運ばれ、同伴ほこり粒子は、空気から分離されてサイクロン分離装置28に保持される。清浄化空気は、冷却目的のためにモータを横切り、次に、真空掃除機100から取り出される。
【0053】
真空掃除機100の各々の一部を形成するサイクロン分離装置28は、図8a、8b、9、10a、及び10bにより詳細に示されている。サイクロン分離装置28の具体的な全体の形状は、サイクロン分離装置28を用いるべき真空掃除機100のタイプにより変化すると考えられる。例えば、装置の全長は、サイクロン分離装置28の直径に対して増加するか又は減少する場合がある。
サイクロン分離装置28は、実質的にその形状が円筒形である外壁44を有する外側容器42を含む。外側容器42の下端は、ピボット48により外壁44にピボット回転可能に取り付けられた基部46によって閉鎖され、キャッチ50によって閉鎖位置に保持される。閉鎖位置では、基部46は、外壁44の下端に対して密封される。キャッチ50の解除は、基部46が、サイクロン分離装置28を空にするために外壁44から分離されてピボット回転することを可能にする。第2の円筒壁52は、外壁44の半径方向内向きに位置し、これらの間に環状チャンバ54を形成するためにそれから離間している。第2の円筒壁52は、基部46に交差し(基部46が閉鎖位置にある時に)、それに対して密封される。環状チャンバ54は、一般的に、外壁44、第2の円筒壁52、及び基部46によって範囲を定められ、外側容器42を形成する。この外側容器42は、第1段サイクロン56及びほこりコレクタの両方である。
【0054】
ほこり含有空気入口58は、外側容器42の外壁44に設けられる。ほこり含有空気入口58は、流入ほこり含有空気が、環状チャンバ54の周囲の螺旋経路に従わざるを得ないことを保証するように外壁44に対して接線方向に配置される。流体出口は、シュラウド60の形態で外側容器42に設けられる。シュラウド60は、多数の穿孔64が形成される円筒壁62を含む。第1段サイクロン56からの流体出口のみが、シュラウド60の穿孔64によって形成される。通路66は、シュラウド60の下流に形成される。通路66は、平行に配置された複数の第2段サイクロン68と連通する。通路66は、第2段サイクロンの入口69をもたらす環状チャンバの形態にすることができ、又は各々が別個の第2段サイクロン68をもたらす複数の別個の空気通路の形態にすることができる。
【0055】
第3の円筒壁70は、基部46と第2段サイクロン68の各々の上面を形成する渦ファインダプレート72との間に延びている。第3の円筒壁70は、第2の円筒壁52の半径方向内向きに位置し、これらの間に第2の環状チャンバ74を形成するためにそれから離間している。
基部46が閉鎖位置にある時に、第3の円筒壁70は、図10aに示すようにそれに対して密封することができる。代替的に、図8a及び9に示すように、第3の円筒壁70は、静電フィルタ底板77によって密封することができる。
【0056】
第2段サイクロン68は、第1段サイクロン56の上方に円形に配置される。これらは、第1段サイクロン56の軸に中心が置かれた輪になって配置される。各第2段サイクロン68は、第1段サイクロン58の軸の下向きに及びこれの方向に傾斜している軸を有する。
各第2段サイクロン68は、その形状が円錐台状であり、第2の環状チャンバ74の上部に開放する円錐開口部76を含む。使用時には、第2段サイクロン68によって分離されたほこりは、円錐開口部76を通って出ることになり、第2の環状チャンバ74に収集されることになる。渦ファインダ78は、各第2段サイクロン68の上端に設けられる。渦ファインダ78は、渦ファインダプレート72の一体化部分とすることができ、又はこれらは、渦ファインダプレート72を通過することができる。
【0057】
図8a及び9に示す実施形態では、渦ファインダ78は、静電フィルタ1と連通するプレナムチャンバ内に入って空にするのではなく、直接静電フィルタ1と連通する渦ファインダフィンガ80内に通じている。
しかし、渦ファインダ78は、次に、静電フィルタ1と連通するプレナム81と連通することができるということが可能である。そのようなプレナムは、図10aに示されている。
静電フィルタ1は、第1段サイクロン56の少なくとも一部及び第2段サイクロン68が静電フィルタ1を取り囲むように、サイクロン分離装置28の中心の下方に同心に配置される。
【0058】
図8a及び9では、空気通路22は、渦ファインダフィンガ80からコロナ放電手段に通じることを見ることができる。この空気通路22を用いて、ほこり含有空気をコロナ放電手段に送出する。静電フィルタ1は、同心に配置された円筒形の第1、第2、及び第3の電極4、6、8を含む。電気抵抗フィルタ媒体2は、第1及び第2の電極4、6と第2及び第3の電極6、8の両方のそれらの間に位置する。静電フィルタ1はまた、コロナ放電電極10及び低曲率12の2つの電極の形態のコロナ放電手段を含む。
【0059】
低曲率12の第1の電極は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第1の電極2の延長部であり、低曲率12の第2の電極は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第3の電極8の延長部である。
コロナ放電電極10は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下に延びる第2の電極4の鋸歯状下縁14の形態である。低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の鋸歯状下縁14の上流及び下流の両方に突出することがわかる。
静電フィルタの他の特徴は、図6に関して上述したようなものとすることができる。
【0060】
図8a、8b、及び9に示す分離装置の使用中に、ほこり含有空気は、汚れ空気入口34を通じてサイクロン分離装置28に入り、入口34の接線方向配置のために、ほこり含有空気は、外壁44の周囲の螺旋経路に従って進む。より大きな汚れ及びほこり粒子は、環状チャンバ54におけるサイクロン作用によって堆積され、その中に収集される。部分清浄化されたほこり含有空気は、シュラウド60の穿孔64を通じて環状チャンバ54を出て、通路66に入る。部分清浄化ほこり含有空気は、次に、第2段サイクロン68の接線方向入口69内に通される。依然として空気流内に同伴されたほこり粒子の一部の分離が起こるように、サイクロン分離が第2段サイクロン68の内側に設定される。第2段サイクロン68の空気流から分離されたほこり粒子は、第2の環状チャンバ74に堆積されるが、更に清浄化されたほこり含有空気は、渦ファインダ78を通じて第2段サイクロン68を出る。更に清浄化されたほこり含有空気は、次に、渦ファインダ80を通過して空気通路22及び静電フィルタ1内に入る。
【0061】
更に清浄化されたほこり含有空気は、次に、更に清浄化されたほこり含有空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、空気通路22の下方に、及びコロナ放電電極10及び低曲率12の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する更に清浄化されたほこり含有空気は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2を通って移動する。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。
【0062】
図8aでは、清浄化空気は、次に、渦ファインダプレート72の開口82を通じて静電フィルタ1を離れて排出マニホルドに入り、かつ出口ポート86を通じてサイクロン分離装置28から排出される。
図9では、清浄化空気は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2の下流の静電フィルタ1の上端に配置された出口フィンガ88を通過することによって静電フィルタ1を離れる。出口フィンガ88は、空気をサイクロン分離装置28の中心を通過する排出通路90に向ける。空気は、この排出通路90を通過し、サイクロン分離装置28の基部にある出口ポート86を通じてサイクロン分離装置28から排出される。
【0063】
図10a及び10bでは、静電フィルタ1は、プレナム81に流体的に接続した空気通路22に位置する複数の平板電極92を含むことを見ることができる。電気抵抗フィルタ媒体2は、隣接する電極92間に位置する。コロナ放電手段は、複数のコロナ放電電極10及び複数の低曲率12の電極を含む。
コロナ放電電極10は、2つの他の電極間に配置された電極の鋸歯状上縁14の形態である。低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の両側上に位置する電極の上側部分から形成される。低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の鋸歯状上縁14の上流及び下流の両方に突出することがわかる。
【0064】
図10a及び10bに示す分離装置の使用中に、ほこり含有空気は、それが渦ファインダ78を出るまで図8a及び9に関して上述のものと同じ方法でサイクロン分離装置28を通って移動する。図10aでは、空気が渦ファインダ78を離れた状態で、空気は、空気を渦ファインダ78から集めてそれを空気通路22内に及び静電フィルタ1内に送るプレナム81を通って移動する。
空気は、次に、空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する空気は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2を通って移動する。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。
【0065】
清浄化されたものは、次に、静電フィルタ1を離れ、サイクロン分離装置28の基部にある出口ポート86を通じてサイクロン分離装置28から排出される。
第1及び第2段サイクロン56、58によってほこり含有空気から分離されたほこり粒子は、環状チャンバ54、74の両方に収集されることになる。
これらのチャンバを空にするように、キャッチ50は解除され、基部46が壁44、52の下端から離れるように、基部46が例えばヒンジ(図示せず)の周りでピボット回転することを可能にする。チャンバ54、74に収集された汚れ及びほこりは、次に、サイクロン分離装置28から容易に空にすることができる。
【0066】
サイクロン分離装置28は、サイクロン分離の2つの別個の段及び静電濾過の個別の段を含むことは以上の説明から認められるであろう。図示の好ましい実施形態では、静電フィルタは、サイクロン掃除段の全ての下流に位置する。第1段サイクロン56は、その形状がほぼ円筒形である単一の第1のサイクロンから成る第1のサイクロン分離ユニットを構成する。この第1段サイクロンでは、外壁44の相対的に大きな直径は、汚れ及びデブリに印加された遠心力が比較的小さいので、汚れ及びデブリの比較的大きな粒子が空気から分離されることになることを意味する。一部の細かなほこりも同様に分離されることになる。より大きなデブリの大部分は、環状チャンバ54に確実に堆積されることになる。
【0067】
12個の第2段サイクロン68が存在する。これらの第2段サイクロン68では、各第2段サイクロン68は、第1段サイクロン56よりも小さな直径を有し、従って、第1段サイクロン56よりも細かい汚れ及びほこり粒子を分離することができる。それはまた、既に第1段サイクロン56によって清浄化され、従って、同伴ほこり粒子の量及び平均サイズが、そうでなかった場合よりも小さい空気によってチャレンジされているという付加的な利点を有する。第2段サイクロン68の分離効率は、第1段サイクロン56のそれよりもかなり高いが、一部の小さな粒子は、第2段サイクロン68を通過して静電フィルタに到達することになる。静電フィルタ1は、空気が第1段サイクロン56及び第2段サイクロン68を通過した後に空気に残るほこり粒子を除去することができる。
【0068】
コロナ放電手段が、図8a、8b、9、10a、及び10bに示されているが、静電フィルタは、それなしに機能することになり、従って、コロナ放電手段は、必須ではない。コロナ放電手段は、しかし、それが静電フィルタの分離効率を増大させるのを助けることができるので望ましい。
図示の実施形態の全てにおいて、電極の全てが無孔性であることが好ましい。しかし、第1及び第2の電極が無孔性である限り、存在するいずれの他の電極も必要に応じて多孔性であるということが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電フィルタに関する。特に、以下に限定するものではないが、本発明は、空気流からほこり粒子を除去するための静電フィルタ、例えば、真空掃除機、ファン、又は空気調節器に用いるための静電フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ほこり粒子が荷電され、次に、収集のために別の反対に荷電された表面に引き付けられるフォームフィルタ、サイクロン分離器、及び静電分離器のような機械的フィルタを用いて流体流れから汚れ及びほこり粒子のような粒子を分離することは公知である。
公知のサイクロン分離装置は、真空掃除機に用いるものを含む。そのようなサイクロン分離装置は、比較的大きな粒子を分離するための低効率サイクロンと、空気流内に同伴されたままの微粒子を分離するための低効率サイクロンの下流に位置する高効率サイクロンとを含むことは公知である(例えば、EP0、042、723B参照)。
【0003】
公知の静電フィルタは、摩擦静電フィルタ及びエレクトレット媒体フィルタを含む。そのようなフィルタの例は、EP0815788、US7179314、及びUS6482252に説明されている。
そのような静電フィルタは、生産するのに比較的廉価であるが、これらの電荷が時間と共に消散し、これらの静電特性の低減をもたらすという欠点を抱えている。これは、次に、静電フィルタが収集することができるほこりの量を低減し、これは、静電フィルタ自体及びあらゆる更に下流のフィルタの両方の寿命を短縮する場合がある。
【0004】
公知の静電フィルタはまた、空気流のほこり粒子が何らかの方法で荷電され、次に、収集のために荷電集電極の上又は周囲に通されるフィルタを含む。そのようなフィルタの例は、JP2007296305に説明されており、そこでは、空気流のほこり粒子は、これらが「コロナ放電」ワイヤを通過する時に荷電され、次に、コロナ放電ワイヤの下流に位置する導電性フィルタ媒体上に捕捉される。この配置による欠点は、これらが、比較的非効率であり、比較的高価な材料から作られ、かつ集電極が、これらを収集ほこりから守るために一定の保守を必要とする点である。集電極がほこりの層で被覆された状態で、これらは、効率が大きく低下する。
【0005】
別の例は、GB2418163に示されており、そこでは、空気流のほこり粒子は、これらがサイクロンの内側に位置するコロナ放電ワイヤを通過する時に荷電される。荷電ほこり粒子は、次に、導電性塗料で被覆したサイクロンの壁上に捕捉される。この配置は、小型であるが、これは、ほこりがサイクロンの内側に集まるという欠点を抱えている。これは、サイクロンの壁からほこりを除去する一定の困難な保守を必要とするだけでなく、サイクロンの内側に捕捉されたあらゆるほこりは、サイクロン空気流に干渉してサイクロン自体の分離効率を低下させることになる。
別の例は、US5593476に示されており、そこでは、フィルタ媒体は、2つの透過性電極間に置かれ、空気流は、電極を通過してフィルタ媒体を通過するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0042723号明細書
【特許文献2】欧州特許第0815788号明細書
【特許文献3】米国特許第7179314号明細書
【特許文献4】米国特許第6482252号明細書
【特許文献5】特開2007−296305号公報
【特許文献6】英国特許第2418163号明細書
【特許文献7】米国特許第5593476号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
適度な使用寿命を維持しながら、静電フィルタの効率をできるだけ高くすること(すなわち、空気流から非常に細かいほこり粒子をできるだけ高い割合で分離すること)が望ましい。静電フィルタは、それにわたって圧力低下をあまり引き起こさないことも望ましい。
従って、長い使用寿命と共に高効率を提供することができる静電フィルタが望ましい。ある一定の用途では、例えば、家庭用真空掃除機用途では、その電気器具が電気器具の性能を損なうことなくできるだけ小型に作られることが望ましい。従って、構成がより簡単で、容易に電気器具にパッケージ化することを可能にする静電フィルタも同様に望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従って、第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体を含む静電フィルタを提供し、電極の各々は、電位差がフィルタ媒体にわたって形成されるように使用中に異なる電圧であり、フィルタ媒体の特性は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する。
変化する特性は、フィルタ媒体の平均孔隙サイズ/直径、インチ当たりの孔隙数、電気抵抗率、及び/又はタイプとすることができる。本明細書で用いられる場合、用語「孔隙サイズ」及び「孔隙直径」は、互換性がある。平均孔隙サイズ/直径を測定してインチ当たりの孔隙数を計算する方法は、具体的な説明に示されている。
【0009】
例えば、平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数は、下流方向に減少するか又は増加する場合がある。平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数のそのような変化は、単一フィルタで起こる段階的変化とすることができ、又はフィルタ媒体の複数の区画を一緒にして、その長さにわたって様々な平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数を有するフィルタ媒体を形成することができる。例えば、フィルタ媒体の2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くの区画を静電フィルタに用いることができる。更に、平均孔隙サイズ又はインチ当たりの孔隙数は、下流方向に減少するか又は増加する場合があり、又は代替的に、それは、別のランダム又は非ランダム方式で変化する場合がある。
【0010】
最も好ましくは、フィルタ媒体の平均孔隙サイズ/直径は、下流方向に減少する。好ましくは、インチ当たりの孔隙数は、下流方向に増加すると考えられる。
そのような配置は、使用中に、フィルタ媒体の上流端が殆どのほこりに露出されることになり、より大きな孔隙サイズが、フィルタ媒体を通る空気流を制限することなくこのほこりをより良く収容することができることになるので有利であると考えられる。更に下流では、より小さな孔隙サイズが、フィルタの上流部分を通過したあらゆるより小さなほこり粒子を捕捉することになる。この配置は、有利な態様では、静電フィルタにわたる圧力損失を低下させるのに役立つ。
【0011】
フィルタ媒体は、あらゆる適切な材料、例えば、ガラス、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はあらゆる他の適切なプラスチック材料から構成することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、開放セル網状発泡体、例えば、ポリウレタン発泡体を含むことができる。網状発泡体は、発泡体内のセルウィンドウが取り除かれて完全に開放セル網状組織を作り出す時に形成される。このタイプのフィルタ媒体は、発泡体がその構造を空気流に保持することができるので特に有利である。ポリウレタン発泡体は、ポリエステル又はポリエーテルのいずれかから導出することができる。
【0012】
フィルタ媒体又はその区画は、0.4、又は0.5、又は1、又は1.5、又は2、又は2.5、又は3、又は3.5から4、又は4.5、又は5、又は5.5、又は6、又は6.5、又は7、又は7.5、又は8、8.5mmまで(又は400ミクロンから8500ミクロン)の平均孔隙直径と共に、3、又は5、又は6、又は8、又は10、又は15、又は20、又は25、又は30から35、又は40、又は45、又は50、又は55、又は60のインチ当たりの孔隙数(PPI)を有することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体又はその区画は、1.5mmから5mmまでの平均孔隙直径と共に8から30までのPPIを有することができる。別の好ましい実施形態では、フィルタ媒体又はその区画は、1.5mmから8mmまでの平均孔隙直径と共に3から30までのPPIを有することができる。最も好ましくは、PPIは、3から10までのPPIとすることができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体の上流部分/区画は、3つのPPIのうちの1つのPPIを有することができ、下流部分/区画は、6つのPPIのうちの1つのPPIを有することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体の上流部分/区画は、7200ミクロン(7.2mm)の平均孔隙直径を有することができ、下流部分/区画は、4500ミクロン(4.5mm)の平均孔隙直径を有することができる。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の電極は、実質的に無孔性である。好ましくは、フィルタ媒体は、長さを有し、第1及び第2の電極は、フィルタ媒体の長さに沿って無孔性である。最も好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、これら全長に沿って無孔性である。
本明細書で用いられる場合、用語「無孔性」は、第1及び第2の電極が、穿孔、開口、又は間隙なしに連続中実表面を有するという意味を取るものとする。好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、使用中に空気流がフィルタ媒体を通って電極の長さに沿って移動するように無孔性である。理想的には、空気流は、第1又は第2の電極を通過しない。
【0014】
空気が使用中に電極を貫流する必要がないそのような配置は、それが、静電フィルタにわたる圧力低下を低減することができるので有利であると考えられる。更に、電極は、無孔性であるので、これらは、電極が多孔性であったとした場合よりも大きな表面の面積を有する。これは、静電フィルタの全体の性能を改良することができる。
好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、電気抵抗フィルタ媒体とすることができる。本明細書で用いられる場合、用語「電気抵抗フィルタ媒体」は、フィルタ媒体が、22℃で1x107から1x1013オームメートルの抵抗率を有するという意味を取るものとする。最も好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、22℃で2x109から2x1011オームメートルの抵抗率を有することができる。フィルタ媒体の電気抵抗率は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する場合がある。特定的な実施形態では、電気抵抗率は、下流方向に低下すると考えられる。
【0015】
静電フィルタは、フィルタ媒体にわたって形成された電位差を用いて、集電極上ではなくてフィルタ媒体自体にほこりを収集する。この配置は、清浄化する集電極がないので、以前の静電フィルタに勝って有利である。これは、フィルタ媒体のほこり保持機能により、保守の必要性を低減し、フィルタの寿命を増大させることができる。
電位差は、電気抵抗フィルタ媒体が負荷をもたらし、従って、僅かな電流のみがそれを貫流するので起こる。しかし、電界は、電気抵抗フィルタ媒体の繊維におけるあらゆる正及び負電荷の分布を乱すことになり、これらをそのそれぞれの電極に整列させる。この工程は、フィルタを貫流する空気流のほこり粒子が、フィルタ媒体のそれぞれの正及び負端部に引き付けられることになるので、ほこりをフィルタ媒体の繊維に結合させるか又はこの上に定着させる。これは、ほこり粒子を荷電電極上に捕捉する必要なく、ほこり粒子がフィルタ媒体自体に捕捉されるようにするのを助けると考えられる。
【0016】
更に、静電フィルタは、基本的に1つの構成要素であり、すなわち、フィルタ媒体は、第1及び第2の電極の間に位置するので、それは、以前の配置よりも小型とすることができ、従って、より簡単にパッケージ化することができる。静電フィルタを電気器具のいずれの空気流にも配置することが可能であると考えられる。これは、フィルタを家庭用真空掃除機に利用することを可能にするのに役立つであろう。
【0017】
一実施形態では、フィルタ媒体は、第1及び/又は第2の電極と接触状態にすることができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、その全長に沿って、例えば、フィルタ媒体が第1及び第2の電極の間に挟まれるように、第1及び/又は第2の電極と接触状態にすることができる。好ましくは、フィルタ媒体と第1及び第2の電極の間に間隙はない。
特に好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、使用中にほこり粒子を含有する空気流が空気通路に沿ってフィルタ媒体を通過しなければならないように、空気通路の壁の少なくとも一部分を形成し、フィルタ媒体は、その全長に沿って壁と接触する。
【0018】
静電フィルタはまた、少なくとも1つのコロナ放電手段を更に含むことができ、フィルタ媒体は、コロナ放電手段の下流に配置される。コロナ放電手段を加えることで、有利な態様では、静電フィルタの効率を増大させることができる。この理由は、コロナ放電手段が、空気流のあらゆるほこり粒子をこれらがフィルタ媒体を通過する前に荷電するのに役立ち、従って、フィルタ媒体に対するほこり粒子吸引力を増大させるのを助けるからである。
【0019】
好ましい実施形態では、コロナ放電手段は、高曲率の少なくとも1つのコロナ放電電極と、低曲率の少なくとも1つの電極とを含むことができる。この配置は、それが、空気流のあらゆるほこり粒子を荷電するために大きなイオン源を発生させることができるので有利であると考えられる。これらの荷電ほこり粒子は、次に、使用中にフィルタ媒体にわたって電位差を有するフィルタ媒体によって濾過され、取り除かれる可能性が高い。
【0020】
コロナ放電電極は、それが、低曲率の電極よりも高い曲率のものである限りあらゆる適切な形態にすることができる。言い換えると、コロナ放電電極は、好ましくは、その表面における電界が低曲率の電極の表面における電界よりも大きくなるようにする形状のものである。適切な配置の例は、コロナ放電電極が、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、ポイント、針、又は鋸歯である場合であると考えられ、低曲率の電極は、これらを取り囲むチューブである。代替的に、低曲率の電極は、平板にすることができる。
【0021】
特定的な実施形態では、コロナ放電電極は、第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。好ましい実施形態では、コロナ放電電極は、第1又は第2の電極の下流縁部から又はこの上に形成された1つ又はそれよりも多くのポイントの形態である。下流縁部は、静電フィルタの配向及び空気が使用中に静電フィルタに入る方向に依存する第1又は第2の電極の下縁又は上縁のいずれかとすることができる。理想的には、第2の電極の下縁又は上縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成する。
【0022】
低曲率の電極も、第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。特定的な実施形態では、低曲率の電極は、第1又は第2の電極の下流部分から又はその上に形成される。更に、下流部分は、静電フィルタの配向及び空気が使用中に静電フィルタに入る方向に依存する第1又は第2の電極の下側又は上側部分のいずれかとすることができる。
好ましい実施形態では、第2の電極の下縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成し、第1の電極の下側部分は、低曲率の電極を形成する。代替的な実施形態では、第2の電極の上縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成し、第1の電極の上側部分は、低曲率の電極を形成する。
【0023】
これらの配置は、コロナ放電電極又は低曲率の電極を形成する別々の構成要素の要件がないので有利である。
好ましくは、コロナ放電電極及び/又は低曲率の電極は、フィルタ媒体の上流面から上流に突出する。理想的には、放電電極及び/又は低曲率の電極は、フィルタ媒体の下面の下方に又は上面の上方に突出することができる。特定的な実施形態では、低曲率の電極は、コロナ放電電極の下面から上流及び下流の両方に突出する。これは、イオン化電界が発生する容積を最大にし、ほこり粒子がイオン化電界を通過する時にほこり粒子を荷電する機会を最大にするのに役立つので有利である。
【0024】
特定的な実施形態では、第1の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有することができる。代替的に、第2の電極は、第1の電極よりも高い電圧を有することができる。理想的には、第1の電極は、0ボルト又は±2kVである。第2の電極は、第1の電極よりも高いか又は低い電圧のいずれかを有することができる。好ましい実施形態では、第1の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有する。特に好ましい実施形態では、第1の電極は、0ボルト又は±2kVであり、第2の電極は、±2、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9から10、又は11、又は12、又は13、又は15又は15kVまでとすることができる。最も好ましい実施形態では、第2の電極は、−2又は−4から−10kVまでとすることができる。
【0025】
代替的な実施形態では、コロナ放電電極は、第1及び第2の電極から遠隔とすることができる。そのような実施形態では、コロナ放電電極は、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、針、ポイント、又は鋸歯の形態にすることができる。そのような実施形態では、低曲率の電極は、依然として第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。特定的な実施形態では、第2の電極の一部分は、低曲率の電極を形成することができる。
別の代替的な実施形態では、コロナ放電手段、すなわち、コロナ放電電極及び低曲率の電極の両方は、第1及び第2の電極から遠隔に位置することができる。
【0026】
第1及び第2の電極は、あらゆる適切な形状のものとすることができ、例えば、これらは、平面とすることができ、フィルタ媒体は、層間に挟むことができる。平面電極は、あらゆる適切な形状、例えば、四角形、矩形、円形、又は三角形のものとすることができる。電極は、異なるサイズのものとすることができる。
代替的に、第1及び/又は第2の電極は、管状とすることができ、例えば、これらは、その断面が円形、四角形、三角形、又は他の適切な形状とすることができる。特定的な実施形態では、電極は、円筒形とすることができ、フィルタ媒体は、電極円筒間に位置する。好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、同心に位置することができ、フィルタ媒体は、これらの間に同心に位置する。
【0027】
静電フィルタはまた、1つ又はそれよりも多くの別の電極を更に含むことができる。1つ又はそれよりも多くの別の電極も、あらゆる適切な形状、例えば、平面又は円筒形のものとすることができる。1つ又はそれよりも多くの別の電極は、好ましくは、無孔性である。
第1及び第2の電極が円筒形である実施形態では、静電フィルタは、例えば、第3の電極を更に含むことができる。そのような実施形態では、第2の電極は、第1と第3の電極の間に位置することができる。そのような実施形態では、第2の電極は、第1の電極と第3の電極の間に同心に位置することができる。そのような実施形態では、更に別のフィルタ媒体は、第2の電極と第3の電極の間に位置することができる。更に、第2の電極及び第3の電極は、好ましくは、電位差が更に別のフィルタ媒体にわたって形成されるように、使用中に各々異なる電圧である。
【0028】
特定的な実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、使用中に同じ電圧とすることができる。第2の電極は、正又は負のいずれかに荷電することができる。理想的には、第2の電極は、負に荷電される。第1の電極及び第3の電極は、第2の電極よりも高いか又は低い電圧のいずれかを有することができる。好ましい実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有することができる。特に好ましい実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、0ボルト又は±2kVとすることができ、第2の電極は、±2、又は4又は10kVとすることができる。最も好ましい実施形態では、第2の電極は、−10kVとすることができる。
【0029】
実施形態では、静電フィルタは、互いに対して同心に配置された複数の円筒電極を含むことができ、フィルタ媒体は、隣接する電極間に位置し、隣接する電極は、電位差がフィルタ媒体の各々にわたって形成されるように、使用中に異なる電圧である。
代替的な実施形態では、静電フィルタは、互いに対して平行に又は実質的に平行に配置された複数の平面電極を含むことができ、フィルタ媒体は、隣接する電極間に位置し、隣接する電極は、電位差がフィルタ媒体の各々にわたって形成されるように、使用中に異なる電圧である。
【0030】
電極は、あらゆる適切な導電材料から形成することができる。好ましくは、第2の電極は、0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから、2.5mm、又は3mm、又は4mmまでの導電性金属シートから形成される。理想的には、第1及び/又は第2及び/又は第3の電極は、0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから、2.5mm、又は3mm、又は4mmまでの導電性金属箔から形成される。
追加的に又は代替的に、フィルタ媒体は、電極の1つ又はそれよりも多くで被覆することができる。例えば、フィルタ媒体の1つ又はそれよりも多くの表面は、導電性層で被覆することができる。
【0031】
本発明の第2の態様は、上述のような静電フィルタを含む真空掃除機を提供する。特定的な実施形態では、真空掃除機は、空気通路を含むことができ、導電性金属箔は、空気通路の少なくとも一部分を被覆し、電極を形成することができる。特定的な実施形態では、空気通路は、非サイクロン空気通路である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による静電フィルタを通る断面を示す概略図である。
【図2a】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図2b】図2aに示す静電フィルタの側面図である。
【図3】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図4】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図5】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図6】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図7】本発明による静電フィルタを通る断面の概略図である。
【図8a】本発明による静電真空掃除機を組み込むサイクロン分離装置を通る縦方向断面図である。
【図8b】図8aに示すサイクロン分離装置を通る水平断面図である。
【図9】本発明による静電真空掃除機を組み込むサイクロン分離装置を通る断面図である。
【図10a】本発明による静電真空掃除機を組み込むサイクロン分離装置を通る縦方向断面図である。
【図10b】図10aに示すサイクロン分離装置を通る水平断面図である。
【図11】図8、9、又は10に示すサイクロン分離装置を組み込むキャニスタ真空掃除機を示す図である。
【図12】図8、9、又は10に示すサイクロン分離装置を組み込む直立真空掃除機を示す図である。
【図13a】水平断面を通って取ったフィルタ媒体構造の顕微鏡写真を示す図である。
【図13b】孔隙直径を測定するための個々の孔隙の選択を示す図である。
【図13c】各孔隙直径を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで、添付図面を参照して一例として本発明を以下に説明する。
同じ参照番号は、明細書を通して同じ部分を意味する。
図1を参照すると、静電フィルタが示されており、全体が参照番号1によって表示されている。
静電フィルタ1は、第1の無孔電極4と第2の無孔電極6の間に挟まれてこれらに接触した電気抵抗フィルタ媒体2を含むことを見ることができる。使用時には、第1及び第2の電極4、6は、電位差が電気抵抗フィルタ媒体2にわたって形成されるように、各々異なる電圧である。第1の電極4は、0ボルトの状態にあり、第2の電極6は、使用中に±4から10kVである。電極4、6は、高電圧電源(図示せず)に接続される。
【0034】
第1及び第2の電極4、6は、使用中に、ほこり含有空気(A)が第1及び第2の電極4、6の長さに沿って電気抵抗フィルタ媒体2を通過しなければならないように、電気抵抗フィルタ媒体2によって充填された空気通路の少なくとも一部を形成する。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、ほこり粒子が捕捉されるように、静電フィルタ1を通過するあらゆる荷電ほこり粒子を電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付ける。ほこり含有空気(A)のほこり粒子は、これらが静電フィルタ1の上流の空気通路を通過する時に、摩擦によって静電フィルタ1に入る前に荷電することができる。
【0035】
静電フィルタ1の第2の実施形態は、図2a及び2bに示されている。この実施形態では、静電フィルタ1は、コロナ放電手段を更に含む。コロナ放電手段は、高曲率10のコロナ放電電極及び低曲率12の電極を含む。低曲率12の電極は、平面又は曲面とすることができる。この実施形態では、コロナ放電電極10は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16よりも下に延びる第2の電極6の鋸歯状下縁14の形態であり、低曲率12の電極は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16よりも下に突出する第1の電極4の延長部である。
【0036】
低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の上流及び下流の両方に突出することが好ましい。これは、有利な態様では、イオン化電界が発生する容積を最大にする。
この実施形態では、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極と共に第1及び第2の電極4、6は、使用時にほこり含有空気(B)が、ほこり含有空気(B)のほこり粒子を荷電させるコロナ放電手段を通らなければならないように、電気抵抗フィルタ媒体2によって部分的に充填された空気通路の少なくとも一部を形成する。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(B)は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2を通過しなければならない。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。この実施形態では、第1の電極4は、使用中に0ボルトであり、第2の電極6は、−4から10kVである。これはまた、コロナ放電電極10は、−4から10kVであり、低曲率12の電極は、0ボルトであることを意味する。更に、電極4、6は、高電圧電源(図示せず)に接続される。
【0037】
図3に示すように別の実施形態では、コロナ放電電極10は、第1及び第2の4、6から遠隔である場合がある。そのような実施形態では、コロナ放電手段のコロナ放電電極10は、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、針、ポイント、又は鋸歯の形態にすることができる。図3に示す実施形態では、コロナ放電電極10は、ワイヤ20の形態であり、低曲率12の電極は、第2の電極6である。この実施形態では、コロナ放電電極10及び第2の電極6は、好ましくは、異なる電圧である。例えば、コロナ放電電極は、−4から10kVとすることができ、低曲率12の電極を形成する第2の電極4は、0ボルトとすることができる。この実施形態では、第1の電極4はまた、第2の電極6よりも低いか又は高い電圧とすることができ、例えば、第1の電極4は、+又は−4から10kVとすることができる。
【0038】
この実施形態では、空気通路は、第2の電極6によって少なくとも部分的に形成される。ほこり含有空気(C)は、この空気通路を通って移動し、ほこり粒子は、コロナ放電手段によって荷電される。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(C)は、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通って空気通路内に入る。更に、電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2の内側に捕捉する。
【0039】
別の代替的な実施形態では、コロナ放電手段全体、すなわち、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極の両方は、第1及び第2の電極4、6から遠隔に位置することができる。そのような実施形態は、図4で見ることができる。
この実施形態は、第1及び第2の電極4、6の上流に配置された少なくとも1つのコロナ放電電極10及び少なくとも1つの低曲率12の電極を含む。ほこり含有空気(D)は、少なくとも1つのコロナ放電電極10及び少なくとも1つの低曲率12の電極を収容する空気通路を通って移動し、ほこり粒子は、コロナ放電手段によって荷電される。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(D)は、次に、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通って空気通路内に入る。更に、電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。
【0040】
本発明の更に別の実施形態は、図5に示されている。静電フィルタ1は、第3の電極8を含むことを見ることができる。この実施形態では、更に別の電気抵抗フィルタ媒体2が、第2の電極6と第3の電極8の間に位置する。第2及び第3の電極6、8は、好ましくは、電位差が更に別の電気抵抗フィルタ媒体2にわたって形成されるように、使用中に各々異なる電圧である。低曲率12の第2の電極は、第3の電極8から延びて、第2の電気抵抗フィルタ媒体2の下面16よりも下に突出する。
【0041】
低曲率12のこの第2の電極は、コロナ放電電極10の上流及び下流の両方に突出することが好ましい。更に、これは、イオン化電界が発生する容積を最大にする。
この実施形態では、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極と共に第1、第2、及び第3の電極4、6、8は、使用時にほこり含有空気(E)が、ほこり含有空気(E)のほこり粒子を荷電させるコロナ放電手段を通らなければならないように、電気抵抗フィルタ媒体2によって部分的に充填された空気通路の少なくとも一部を形成する。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(E)は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2のいずれかを通過しなければならない。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体内に捕捉する。
【0042】
上述の実施形態の全てにおいて、空気通路は、少なくとも部分的に第1の電極4、第2の電極6、及び場合によっては第3の電極8によっても形成することができる。しかし、静電フィルタ1は、ほこり含有空気(A)、(B)、(C)、(D)、又は(E)が電気抵抗フィルタ媒体2を通過するように、電極4、6、8と共に空気通路を形成する1つ又はそれよりも多くの壁を更に含むことができる。電極4、6、8は、あらゆる適切な形状のものとすることができ、例えば、これらは、平面とすることができる。平面層は、あらゆる適切な形状、例えば、四角形、矩形、円形、又は三角形のものとすることができる。
【0043】
代替的な実施形態では、第1の電極4、第2の電極6、及び場合によっては第3の電極8も、管状とすることができる。そのような実施形態では、第1及び第2の電極4、6及び場合によっては第3の電極8も、電気抵抗フィルタ媒体2を通る空気通路を形成することになる。そのような実施形態では、付加的な壁は、空気通路を形成するのに必要ない。しかし、電気抵抗フィルタ媒体2は、電極4、6、(8)よりも長い場合があり、従って、何らかの他の壁又は構造体が電気抵抗フィルタ媒体2の底部又は上部側区域を取り囲むことができるということが可能である。
第1、第2、及び第3の管状電極4、6、8を含む実施形態は、図6、7、8a、及び8bに示されている。これらの実施形態では、電極4、6、8は、第2の電極6が第1の電極4と第3の電極8の間に同心に配置された管状である。電極4、6、8は、円筒形であるが、これらは、その断面が四角形、矩形、三角形、又は不規則のようなあらゆる適切な形状のものとすることができることがわかる。
【0044】
図6では、電気抵抗フィルタ媒体2は、第1及び第2の電極4、6と第2及び第3の電極6、8の両方のそれらの間に位置することがわかる。この実施形態では、静電フィルタ1は、低曲率12の2つの電極を含み、これらはまた、第1のものが、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第1の電極2の延長部であり、第2のものが、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第3の電極8の延長部であるので、同様に円筒形であることも分る。
【0045】
コロナ放電電極10は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下に延びる第2の電極6の鋸歯状下縁14の形態であり、従って、同様にその形状は円筒形である。低曲率12の電極は、鋸歯状下縁14の上流及び下流の両方に突出することがわかる。
この実施形態では、空気通路22は、静電フィルタ1の中心を通って形成される。この空気通路22を用いて、ほこり含有空気(F)をコロナ放電手段に送出することができる。ほこり含有空気(F)は、この空気通路22を通ってコロナ放電手段の方向に移動する。ほこり含有空気(F)は、次に、コロナ放電手段を通って、ほこり粒子を荷電する。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(F)は、次に、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2、又は第2の電極6と第3の電極8の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通過し、ほこり粒子は、電気抵抗フィルタ媒体2に捕捉される。
【0046】
図7に示す実施形態のような代替的な実施形態では、コロナ放電電極10は、第2の電極6から遠隔である。この実施形態では、コロナ放電電極10は、ワイヤ20の形態であり、低曲率12の電極は、通路22の壁を形成する第3の電極8である。ほこり含有空気(G)は、この空気通路22を通って移動し、ほこり粒子は、コロナ放電手段によって荷電される。荷電ほこり粒子を含有するほこり含有空気(G)は、次に、第1の電極4と第2の電極6の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2又は第2の電極6と第3の電極8の間に位置する電気抵抗フィルタ媒体2を通過し、ほこり粒子は、電気抵抗フィルタ媒体2に捕捉される。
【0047】
図5から7に対して説明した実施形態の全てにおいて、第1及び第3の電極は、0ボルトであり、第2の電極は、−4から10kVである。これはまた、コロナ放電電極10が、−4から10kVであり、低曲率の電極は、0ボルトであることを意味する。
電極4、6、8は、あらゆる適切な導電材料から形成することができる。好ましくは、第1、第2、及び/又は第3の電極4、6、8は、厚みが0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから、2.5mm、又は3mmまでの導電性金属シートから形成される。
【0048】
上述の実施形態の全てにおいて、電気抵抗フィルタ媒体2は、あらゆる適切な材料、例えば、ポリエステルから導出された開放セル網状ポリウレタン発泡体から形成することができる。
好ましい実施形態では、電気抵抗フィルタ媒体2は、3から12PPI、及び好ましくは、8から10PPI、並びに最も好ましくは、3から6PPIである。電気抵抗フィルタ媒体2の平均孔隙サイズ、PPI又はタイプは、しかし、その長さに沿って変化する場合がある。例えば、図8aに示す電気抵抗フィルタ媒体2の孔隙サイズは、それが、異なる孔隙サイズを有する2つの区画各々から形成されるので、その長さに沿って変化する。図示の実施形態では、上流部分は、3又は8PPIを有し、下流部分は、6又は10PPIを有する。
【0049】
孔隙サイズ/直径は、以下の方法を用いて測定することができる。
1)発泡体構造の顕微鏡写真を水平断面を通して取り、図13aに示すような孔隙一貫性を保証すべきである。
2)5つの個々の孔隙を図13bに示すように選択すべきである。
3)各孔隙直径は、図13cに示すように100ミクロンよりも小さくない精度に対して測定され、平均は、5つの孔隙にわたって取るべきである。
4)この平均孔隙サイズ(孔隙直径)は、ミクロン又はミリメートルで示される。
インチ当たりの孔隙数は、25400(1インチ=25400ミクロン)をミクロンの孔隙直径で割って計算される。
【0050】
図8a、8b、9、10a、及び10bは、本発明の第2の態様を示し、ここで、静電フィルタ1は、真空掃除機のサイクロン分離装置に組み込まれている。図8a、8b、9、10a、及び10bに示すサイクロン分離装置を組み込む真空掃除機は、図11及び12に示されている。
図11では、真空掃除機100は、本体24、掃除する表面を横切る真空掃除機100を操作するための本体24上に装着されたホイール26、及び本体24上に同じく取外し可能に装着されたサイクロン分離装置28を含む。ホース30は、サイクロン分離装置28と連通し、モータ及びファンユニット(図示せず)は、ほこり含有空気をホース30を通じてサイクロン分離装置28に引き込むために本体24内に収容される。通常、床係合掃除機ヘッド(図示せず)は、ワンドを通じてホース30の遠位端に連結され、掃除する表面にわたって汚れ空気入口34の操作を容易にする。
使用時には、ホース30を通じてサイクロン分離装置28に引き込まれたほこり含有空気は、サイクロン分離装置28においてそれから分離されたほこり粒子を有する。汚れ及びほこりは、サイクロン分離装置28内に収集され、一方、清浄化空気は、本体24の出口ポートを通じて真空掃除機100から取り出される前に冷却目的のためにモータを越して送られる。
【0051】
図12に示す直立真空掃除機100はまた、本体24を有し、本体には、モータ及びファンユニット(図示せず)が装着され、かつホイール26が装着され、真空掃除機100が掃除する表面を横切って操作されることを可能にする。掃除機ヘッド32は、本体24の下端上にピボット回転可能に装着され、汚れ空気入口34は、掃除する表面に向いている掃除機ヘッド32の下側に設けられる。サイクロン分離装置28は、本体24上に取外し可能に設けられ、ダクト系統36は、汚れ空気入口34とサイクロン分離装置28の間で連通する。ワンド及びハンドルアセンブリ38は、サイクロン分離装置28の後方の本体24上に解除可能に装着される。
【0052】
使用時には、モータ及びファンユニットは、ほこり含有空気を汚れ空気入口34又はワンド38のいずれかを通じて真空掃除機100に引き込む。ほこり含有空気は、ダクト系統36を通じてサイクロン分離装置28まで運ばれ、同伴ほこり粒子は、空気から分離されてサイクロン分離装置28に保持される。清浄化空気は、冷却目的のためにモータを横切り、次に、真空掃除機100から取り出される。
【0053】
真空掃除機100の各々の一部を形成するサイクロン分離装置28は、図8a、8b、9、10a、及び10bにより詳細に示されている。サイクロン分離装置28の具体的な全体の形状は、サイクロン分離装置28を用いるべき真空掃除機100のタイプにより変化すると考えられる。例えば、装置の全長は、サイクロン分離装置28の直径に対して増加するか又は減少する場合がある。
サイクロン分離装置28は、実質的にその形状が円筒形である外壁44を有する外側容器42を含む。外側容器42の下端は、ピボット48により外壁44にピボット回転可能に取り付けられた基部46によって閉鎖され、キャッチ50によって閉鎖位置に保持される。閉鎖位置では、基部46は、外壁44の下端に対して密封される。キャッチ50の解除は、基部46が、サイクロン分離装置28を空にするために外壁44から分離されてピボット回転することを可能にする。第2の円筒壁52は、外壁44の半径方向内向きに位置し、これらの間に環状チャンバ54を形成するためにそれから離間している。第2の円筒壁52は、基部46に交差し(基部46が閉鎖位置にある時に)、それに対して密封される。環状チャンバ54は、一般的に、外壁44、第2の円筒壁52、及び基部46によって範囲を定められ、外側容器42を形成する。この外側容器42は、第1段サイクロン56及びほこりコレクタの両方である。
【0054】
ほこり含有空気入口58は、外側容器42の外壁44に設けられる。ほこり含有空気入口58は、流入ほこり含有空気が、環状チャンバ54の周囲の螺旋経路に従わざるを得ないことを保証するように外壁44に対して接線方向に配置される。流体出口は、シュラウド60の形態で外側容器42に設けられる。シュラウド60は、多数の穿孔64が形成される円筒壁62を含む。第1段サイクロン56からの流体出口のみが、シュラウド60の穿孔64によって形成される。通路66は、シュラウド60の下流に形成される。通路66は、平行に配置された複数の第2段サイクロン68と連通する。通路66は、第2段サイクロンの入口69をもたらす環状チャンバの形態にすることができ、又は各々が別個の第2段サイクロン68をもたらす複数の別個の空気通路の形態にすることができる。
【0055】
第3の円筒壁70は、基部46と第2段サイクロン68の各々の上面を形成する渦ファインダプレート72との間に延びている。第3の円筒壁70は、第2の円筒壁52の半径方向内向きに位置し、これらの間に第2の環状チャンバ74を形成するためにそれから離間している。
基部46が閉鎖位置にある時に、第3の円筒壁70は、図10aに示すようにそれに対して密封することができる。代替的に、図8a及び9に示すように、第3の円筒壁70は、静電フィルタ底板77によって密封することができる。
【0056】
第2段サイクロン68は、第1段サイクロン56の上方に円形に配置される。これらは、第1段サイクロン56の軸に中心が置かれた輪になって配置される。各第2段サイクロン68は、第1段サイクロン58の軸の下向きに及びこれの方向に傾斜している軸を有する。
各第2段サイクロン68は、その形状が円錐台状であり、第2の環状チャンバ74の上部に開放する円錐開口部76を含む。使用時には、第2段サイクロン68によって分離されたほこりは、円錐開口部76を通って出ることになり、第2の環状チャンバ74に収集されることになる。渦ファインダ78は、各第2段サイクロン68の上端に設けられる。渦ファインダ78は、渦ファインダプレート72の一体化部分とすることができ、又はこれらは、渦ファインダプレート72を通過することができる。
【0057】
図8a及び9に示す実施形態では、渦ファインダ78は、静電フィルタ1と連通するプレナムチャンバ内に入って空にするのではなく、直接静電フィルタ1と連通する渦ファインダフィンガ80内に通じている。
しかし、渦ファインダ78は、次に、静電フィルタ1と連通するプレナム81と連通することができるということが可能である。そのようなプレナムは、図10aに示されている。
静電フィルタ1は、第1段サイクロン56の少なくとも一部及び第2段サイクロン68が静電フィルタ1を取り囲むように、サイクロン分離装置28の中心の下方に同心に配置される。
【0058】
図8a及び9では、空気通路22は、渦ファインダフィンガ80からコロナ放電手段に通じることを見ることができる。この空気通路22を用いて、ほこり含有空気をコロナ放電手段に送出する。静電フィルタ1は、同心に配置された円筒形の第1、第2、及び第3の電極4、6、8を含む。電気抵抗フィルタ媒体2は、第1及び第2の電極4、6と第2及び第3の電極6、8の両方のそれらの間に位置する。静電フィルタ1はまた、コロナ放電電極10及び低曲率12の2つの電極の形態のコロナ放電手段を含む。
【0059】
低曲率12の第1の電極は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第1の電極2の延長部であり、低曲率12の第2の電極は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下の第3の電極8の延長部である。
コロナ放電電極10は、電気抵抗フィルタ媒体2の下面16より下に延びる第2の電極4の鋸歯状下縁14の形態である。低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の鋸歯状下縁14の上流及び下流の両方に突出することがわかる。
静電フィルタの他の特徴は、図6に関して上述したようなものとすることができる。
【0060】
図8a、8b、及び9に示す分離装置の使用中に、ほこり含有空気は、汚れ空気入口34を通じてサイクロン分離装置28に入り、入口34の接線方向配置のために、ほこり含有空気は、外壁44の周囲の螺旋経路に従って進む。より大きな汚れ及びほこり粒子は、環状チャンバ54におけるサイクロン作用によって堆積され、その中に収集される。部分清浄化されたほこり含有空気は、シュラウド60の穿孔64を通じて環状チャンバ54を出て、通路66に入る。部分清浄化ほこり含有空気は、次に、第2段サイクロン68の接線方向入口69内に通される。依然として空気流内に同伴されたほこり粒子の一部の分離が起こるように、サイクロン分離が第2段サイクロン68の内側に設定される。第2段サイクロン68の空気流から分離されたほこり粒子は、第2の環状チャンバ74に堆積されるが、更に清浄化されたほこり含有空気は、渦ファインダ78を通じて第2段サイクロン68を出る。更に清浄化されたほこり含有空気は、次に、渦ファインダ80を通過して空気通路22及び静電フィルタ1内に入る。
【0061】
更に清浄化されたほこり含有空気は、次に、更に清浄化されたほこり含有空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、空気通路22の下方に、及びコロナ放電電極10及び低曲率12の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する更に清浄化されたほこり含有空気は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2を通って移動する。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。
【0062】
図8aでは、清浄化空気は、次に、渦ファインダプレート72の開口82を通じて静電フィルタ1を離れて排出マニホルドに入り、かつ出口ポート86を通じてサイクロン分離装置28から排出される。
図9では、清浄化空気は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2の下流の静電フィルタ1の上端に配置された出口フィンガ88を通過することによって静電フィルタ1を離れる。出口フィンガ88は、空気をサイクロン分離装置28の中心を通過する排出通路90に向ける。空気は、この排出通路90を通過し、サイクロン分離装置28の基部にある出口ポート86を通じてサイクロン分離装置28から排出される。
【0063】
図10a及び10bでは、静電フィルタ1は、プレナム81に流体的に接続した空気通路22に位置する複数の平板電極92を含むことを見ることができる。電気抵抗フィルタ媒体2は、隣接する電極92間に位置する。コロナ放電手段は、複数のコロナ放電電極10及び複数の低曲率12の電極を含む。
コロナ放電電極10は、2つの他の電極間に配置された電極の鋸歯状上縁14の形態である。低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の両側上に位置する電極の上側部分から形成される。低曲率12の電極は、コロナ放電電極10の鋸歯状上縁14の上流及び下流の両方に突出することがわかる。
【0064】
図10a及び10bに示す分離装置の使用中に、ほこり含有空気は、それが渦ファインダ78を出るまで図8a及び9に関して上述のものと同じ方法でサイクロン分離装置28を通って移動する。図10aでは、空気が渦ファインダ78を離れた状態で、空気は、空気を渦ファインダ78から集めてそれを空気通路22内に及び静電フィルタ1内に送るプレナム81を通って移動する。
空気は、次に、空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、コロナ放電電極10及び低曲率12の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する空気は、次に、電気抵抗フィルタ媒体2を通って移動する。電気抵抗フィルタ媒体2にわたって発生する電位差は、荷電ほこり粒子が電気抵抗フィルタ媒体2のそれぞれの正及び負の端部に引き付けられるようにし、従って、これらを電気抵抗フィルタ媒体2内に捕捉する。
【0065】
清浄化されたものは、次に、静電フィルタ1を離れ、サイクロン分離装置28の基部にある出口ポート86を通じてサイクロン分離装置28から排出される。
第1及び第2段サイクロン56、58によってほこり含有空気から分離されたほこり粒子は、環状チャンバ54、74の両方に収集されることになる。
これらのチャンバを空にするように、キャッチ50は解除され、基部46が壁44、52の下端から離れるように、基部46が例えばヒンジ(図示せず)の周りでピボット回転することを可能にする。チャンバ54、74に収集された汚れ及びほこりは、次に、サイクロン分離装置28から容易に空にすることができる。
【0066】
サイクロン分離装置28は、サイクロン分離の2つの別個の段及び静電濾過の個別の段を含むことは以上の説明から認められるであろう。図示の好ましい実施形態では、静電フィルタは、サイクロン掃除段の全ての下流に位置する。第1段サイクロン56は、その形状がほぼ円筒形である単一の第1のサイクロンから成る第1のサイクロン分離ユニットを構成する。この第1段サイクロンでは、外壁44の相対的に大きな直径は、汚れ及びデブリに印加された遠心力が比較的小さいので、汚れ及びデブリの比較的大きな粒子が空気から分離されることになることを意味する。一部の細かなほこりも同様に分離されることになる。より大きなデブリの大部分は、環状チャンバ54に確実に堆積されることになる。
【0067】
12個の第2段サイクロン68が存在する。これらの第2段サイクロン68では、各第2段サイクロン68は、第1段サイクロン56よりも小さな直径を有し、従って、第1段サイクロン56よりも細かい汚れ及びほこり粒子を分離することができる。それはまた、既に第1段サイクロン56によって清浄化され、従って、同伴ほこり粒子の量及び平均サイズが、そうでなかった場合よりも小さい空気によってチャレンジされているという付加的な利点を有する。第2段サイクロン68の分離効率は、第1段サイクロン56のそれよりもかなり高いが、一部の小さな粒子は、第2段サイクロン68を通過して静電フィルタに到達することになる。静電フィルタ1は、空気が第1段サイクロン56及び第2段サイクロン68を通過した後に空気に残るほこり粒子を除去することができる。
【0068】
コロナ放電手段が、図8a、8b、9、10a、及び10bに示されているが、静電フィルタは、それなしに機能することになり、従って、コロナ放電手段は、必須ではない。コロナ放電手段は、しかし、それが静電フィルタの分離効率を増大させるのを助けることができるので望ましい。
図示の実施形態の全てにおいて、電極の全てが無孔性であることが好ましい。しかし、第1及び第2の電極が無孔性である限り、存在するいずれの他の電極も必要に応じて多孔性であるということが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体、
を含み、
前記電極の各々は、電位差が前記フィルタ媒体にわたって形成されるように使用中異なる電圧であり、
前記フィルタ媒体の特性が、該フィルタ媒体の長さに沿って変化する、
ことを特徴とする静電フィルタ。
【請求項2】
変化する前記特性は、フィルタ媒体の平均孔隙直径、インチ当たりの孔隙数、電気抵抗率、及び/又はタイプであることを特徴とする請求項1に記載の静電フィルタ。
【請求項3】
前記変化は、単一フィルタ媒体に発生することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電フィルタ。
【請求項4】
フィルタ媒体の複数の区画が、該フィルタ媒体を形成するために一緒にされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電フィルタ。
【請求項5】
前記インチ当たりの孔隙数は、下流方向に増加することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項6】
前記平均孔隙サイズは、下流方向に減少することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項7】
前記電気抵抗率は、下流方向に減少することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項8】
前記フィルタ媒体は、開放セル網状発泡体を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項9】
前記第1及び第2の電極は、実質的に無孔性であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項10】
前記第1及び第2の電極は、それらの全長に沿って無孔性であることを特徴とする請求項9に記載の静電フィルタ。
【請求項11】
前記フィルタ媒体は、前記第1及び/又は前記第2の電極と接触していることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項12】
少なくとも1つのコロナ放電手段を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項13】
前記第1及び/又は第2の電極は、厚みが0.1mmから4mmの導電性金属シート又は箔から形成されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の静電フィルタ、
を含むことを特徴とする真空掃除機。
【請求項1】
第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体、
を含み、
前記電極の各々は、電位差が前記フィルタ媒体にわたって形成されるように使用中異なる電圧であり、
前記フィルタ媒体の特性が、該フィルタ媒体の長さに沿って変化する、
ことを特徴とする静電フィルタ。
【請求項2】
変化する前記特性は、フィルタ媒体の平均孔隙直径、インチ当たりの孔隙数、電気抵抗率、及び/又はタイプであることを特徴とする請求項1に記載の静電フィルタ。
【請求項3】
前記変化は、単一フィルタ媒体に発生することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電フィルタ。
【請求項4】
フィルタ媒体の複数の区画が、該フィルタ媒体を形成するために一緒にされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電フィルタ。
【請求項5】
前記インチ当たりの孔隙数は、下流方向に増加することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項6】
前記平均孔隙サイズは、下流方向に減少することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項7】
前記電気抵抗率は、下流方向に減少することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項8】
前記フィルタ媒体は、開放セル網状発泡体を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項9】
前記第1及び第2の電極は、実質的に無孔性であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項10】
前記第1及び第2の電極は、それらの全長に沿って無孔性であることを特徴とする請求項9に記載の静電フィルタ。
【請求項11】
前記フィルタ媒体は、前記第1及び/又は前記第2の電極と接触していることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項12】
少なくとも1つのコロナ放電手段を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項13】
前記第1及び/又は第2の電極は、厚みが0.1mmから4mmの導電性金属シート又は箔から形成されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の静電フィルタ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の静電フィルタ、
を含むことを特徴とする真空掃除機。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13c】
【図13a】
【図13b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13c】
【図13a】
【図13b】
【公開番号】特開2011−25048(P2011−25048A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−179792(P2010−179792)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179792(P2010−179792)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】
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