説明

フィルミング除去装置およびこれを有する画像形成装置

【課題】像担持体上にフィルミングの形成がさらに防止できるフィルミング除去装置およびこの装置を有する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置の感光体1または転写ベルトを像担持体とする前記像担持体上のフィルミング物質を除去するフィルミング除去装置7であって、前記フィルミング除去装置7は、前記像担持体に当接しながら回転するフィルミング除去部材71と、前記フィルミング除去部材により除去された前記像担持体の付着物を前記フィルミング除去部材と接しながら回転して回収する回収部材72とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に像担持体上の残留トナーのフィルミングを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、感光体から転写媒体としての転写紙に転写して、転写紙上の転写されたトナー像を定着装置で加熱加圧して定着することで画像が転写紙上に永久的に定着される。あるいは前記した感光体で形成したトナー像を中間転写体上に転写した後に、中間転写体から転写媒体としての転写紙に転写し、転写紙上の転写されたトナー像を前記同様に定着装置で定着することで画像が転写紙上に永久的に定着される。
たとえば中間転写体として、エンドレスのベルトを使用した場合、この中間転写体上には、カラーのトナー画像が繰り返し形成され、転写後の中間転写体上に残留した微量のトナーをクリーニング装置で除去するようになっている。このクリーニング装置は、クリーニングブレードとクリーニングローラとを備えているのが一般的である。
【0003】
しかし、微小なトナーや、熱や圧力等で溶解したトナーワックス等が感光体ドラムや中間転写体などの像担持体上に付着した場合、この付着物をブレードクリーニング方式におけるブレードやローラでは除去しきれず、徐々に像担持体にはフィルミング物質が形成され、画像に白く抜ける部分ができるという問題がある。
さらに、レーザを感光体ドラムや中間転写体に照射して反射光を受光するセンサにより制御を行う場合、表面のフィルミング物質によって反射率が徐々に変化し、適正な制御が行えなくなってしまう。
【0004】
これらの問題を解決するために、ブラシ部材を用いてフィルミング物質を除去することも可能である。ブラシ部材は感光体ドラムや中間転写体と常に接触しているため、感光体ドラムや中間転写体の転写残トナーを除去するだけでなく、感光体ドラムや中間転写体の表面を研磨することができる。
【0005】
しかしながら、感光体などの像担持体上の付着物をブラシ部材により除去し続けると、徐々に感光体ドラムや中間転写体(以下、感光体または中間転写体を、本明細書中、像担持体という)への研磨機能が低下する。それと共に、ブラシ部材にトナーの付着物が経時により次第に増加し、このブラシ部材の吸着能を超えれば逆に像担持体を汚染し、フィルミングの生成を加速させる可能性がある。
【0006】
このようなフィルミングの問題を解決するために、たとえば特許文献1には、感光体の表面上のフィルミングを除去するフィルミング除去モードを有し、フィルミング除去モードが複数の感光体線速に応じて選択されることを特徴とする画像形成装置の発明が開示されている。またこの文献にはフィルミングを防止するためにブラシ状ローラにより潤滑剤を塗布してフィルミングを防止する技術も開示されている。
また本願出願人による特許文献2〜3のフィルミングを防止する発明も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1〜3の発明により、感光体の表面上のフィルミングを除去する効果を有する画像形成装置が提供されている。本発明は、上記した特許文献1〜3の発明で得られた効果を、さらに高め、経時的にもフィルミングの発生を抑制可能なフィルミング除去装置およびこの装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の課題解決手段を有することを特徴とする。
(1) 画像形成装置の感光体または転写ベルトを像担持体とする前記像担持体上のフィルミング物質を除去するフィルミング除去装置であって、前記フィルミング除去装置は、前記像担持体に当接しながら回転するフィルミング除去部材と、前記フィルミング除去部材により除去された前記像担持体の付着物を前記フィルミング除去部材と接しながら回転して回収する回収部材とを備えたことを特徴とする。
(2) 前記(1)記載のフィルミング除去装置において、前記フィルミング除去部材は、前記像担持体上の付着物を除去する前に前記回収部材により前記フィルミング除去部材上の前記付着物を回収するフィルミング除去モードを実行して前記付着物の除去を確認した後に、前記像担持体のフィルミング物質を除去することを特徴とする。
(3) 前記(1)または(2)に記載のフィルミング除去装置において、 前記フィルミング除去部材は、ブラシ繊維抵抗が10〜1010(Ω・cm)の低抵抗繊維のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシ部材を、金属からなる芯金にスパイラル上に巻き付けて構成され、電圧が印加されることを特徴とする。
(4) 前記(3)に記載のフィルミング除去装置において、前記回収部材は弾性体からなるローラ部材であり、ローラ部材の芯金に電圧が印加され、該電圧値は前記フィルミング除去部材に印加される電圧と極性が等しくその絶対値が大きいことを特徴とする。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルミング除去装置において、さらに前記像担持体の移動方向に対してカウンタ方向に当接するブレードを前記フィルミング除去部材よりも前記像担持体に対して下流側に設けたことを特徴とする。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルミング除去装置を備えた画像形成装置であって、前記フィルミング除去部材は、画像形成装置の感光体または転写ベルトを像担持体とする前記像担持体の移動方向に対してカウンタ方向に回転することを特徴とする。
(7) 前記(6)に記載の画像形成装置において、前記像担持体上の付着物を除去する前に前記回収部材により前記フィルミング除去部材上の前記付着物を回収するフィルミング除去モードを実行させるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、像担持体上にフィルミングの形成をさらに防止できるフィルミング除去装置およびこの装置を有する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のフィルミング除去装置を有する画像形成装置の要部構成を示す図であり、(A)は転写材19にトナー画像を直接転写する方式を採用した場合を示し、(B)は中間転写体15にトナー画像を転写する方式を採用した場合を示す。
【図2】本発明のフィルミング除去装置7の要部拡大図である。
【図3】本発明のフィルミング除去装置を有するカラー画像形成装置の要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、カラープリンタ、複写装置などの電子写真式の画像形成装置について、実施の形態により説明する。
図1は本発明に係るフィルミング除去装置7を有する画像形成装置の要部構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム1と、フィルミング除去装置7とを備えている。
感光体ドラム1は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体などの感光層を形成し、その感光体ドラム1の表層は、たとえばポリカーボネートで形成してある。
【0012】
図1に示す本発明の画像形成装置において、(A)は転写材19にトナー画像を直接転写する方式を採用した場合を示す。図1(A)に示す方式の場合、中間転写体15を用いずに、転写部材13により、感光体ドラム1上で現像により形成されたトナー像を、図中矢印の方向に搬送されてくるシート状の紙などの転写材19上へ、直接転写する。この転写部材13は、転写ローラ等を感光体ドラム1の表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材13と感光体ドラム1との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップに転写材19を挟み込んだ状態で、図示しない転写バイアス電源から、トナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材13に印加する。これによって形成される転写電界により、感光体ドラム1のトナー像を転写材19上へ転写させる。
【0013】
また図1(B)では、中間転写体15にトナー画像を転写する中間転写方式を採用した場合を示すものである。図1(B)に示す中間転写方式の場合、転写材19に直接転写せずに、複数のトナー像を重ねてから転写材19に一括して転写を行う中間転写ベルト15に一旦転写し、その後、図3に示すように転写部材18により転写材19に転写することとしている。
【0014】
図1に示すように、感光体ドラム1の周囲には、帯電装置2と、露光装置3と、現像装置4と、フィルミング除去装置7と、除電装置8が配置されている。帯電装置2は感光体ドラム1の面を一様に帯電する機能を有している。また露光装置3は一様帯電した感光体ドラム1に光を照射して潜像を形成する機能を有している。また現像装置4は潜像形成された感光体ドラム1にトナーを用いて現像する機能を有している。転写ローラ17は現像装置で現像されて形成されたトナー画像を転写ベルト15に一次転写する機能を有している。また除電装置8は次の画像形成に備えるために感光体ドラム1の表面の残留電荷を除電する機能を有している。
【0015】
本発明の画像形成装置には、感光体ドラム1の残留トナーを除去しフィルミング物質を除去するフィルミング除去装置7を具備することを特徴としている。
このような本発明のフィルミング除去装置7については、後述する。
【0016】
図1に示す本発明の画像形成装置の構成において、感光体1で形成されたトナー画像は転写装置を介して、あるいは直接に転写材(記録紙)19に転写され、この転写画像を有する転写材19は、その下流側に記録材19上のトナー像を定着させる定着手段としての、図示しない定着装置が配置される。
【0017】
図1に示す画像形成装置に用いられる帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置2は、帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させるか、又は感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、帯電バイアスを印加する。これによって感光体ドラム1表面を所望の極性及び所望の電位に一様に帯電する。この帯電部材としては、例えば弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。
【0018】
露光装置3は、帯電装置2によって帯電された感光体ドラム1の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置3は、例えば、発光素子としてLD(Laser Diode)あるいはLED(Light Emitting Diode)を使用し、一様に帯電された感光体ドラム1の表面に、画像データに基づく光を照射して潜像を形成するものである。これにより、その感光体ドラム1の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。なお、露光装置3としては、このような構成に限られず、公知のものを利用することができる。
【0019】
現像装置4は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置4は、固定配置された磁界発生手段としてのマグネットローラを内部に有する現像剤担持体としての現像ローラ41を備えている。この現像ローラ41は、表面に現像剤dを担持しながら回転することによって、現像剤dを感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。たとえば本発明では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアをいわゆる「穂立ち」させて二成分現像剤のトナーを摩擦等により帯電させブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。なお、現像剤dとしては、キャリアを用いずにトナーのみからなる一成分現像剤を用いてもよい。上記現像ローラ41には、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ41表面の電位と感光体ドラム1表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。なお、現像装置4としては、このような構成に限らず、公知のものを利用することができる。
【0020】
除電装置8は、感光体ドラム1の表面の残留電荷を除去するものである。残留電荷を除去することによって、感光体ドラム1の表面は、次の画像形成に備える。なお、この除電装置7は、LEDなどを用いた光除電方式を採用しているが、これに限られない。
【0021】
図1に示す本発明の画像形成装置の構成において、感光体1で形成されたトナー画像は、図1(A)に示すように直接に転写材(記録紙)19に転写された後に、あるいは図1(B)に示すように中間転写体15を介して転写材19に転写された後に、この転写画像を有する転写材19は、その下流側に転写材19上のトナー像を定着させる定着手段としての、図示しない定着装置によって、転写材19上に画像が定着される。定着後の転写材19は、画像形成装置の機外へ排出される。
【0022】
次に図面を参照しながら、本発明の画像形成装置に具備されるフィルミング除去装置について説明する。
[フィルミング除去装置7]
本発明のフィルミング除去装置7は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーなどを感光体ドラム1の表面から除去するものである。本発明のフィルミング除去装置7は、感光体ドラム1の表面上の転写残トナーを掻き取って除去するためのブレード部材6を有している。ブレード部材6はポリウレタンのブレードを金属支持体に貼り付けたものである。このブレード部材6は、感光体ドラム1の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させるように設置することができる。
【0023】
図2は本発明のフィルミング除去装置7の拡大図である。
本発明のフィルミング除去装置7は、像担持体としての感光体1に当接しながら回転するフィルミング除去部材71と、このフィルミング除去部材71により除去された像担持体の付着物を、フィルミング除去部材71と接しながら回転して回収する回収部材を有している。
【0024】
フィルミング除去部材71としては、ブラシ部材71が挙げられ、このブラシ部材71に回収部材72が当接しながら回転している。さらに本発明のフィルミング除去装置7には、回収部材72に接触するように、スクレーパ74が配置されて構成されている。またブラシ部材71と回収部材72には、電圧が印加できるように、ブラシ部材電源75と回収部材電源76が、それぞれ接続されている。さらに本発明のフィルミング除去装置7の内部には、蓄積したトナーや不純物を排出するため、排出部材77が配置されている。
【0025】
ブラシ部材71は図2または図3に示すように、像担持体としての感光体ドラム1あるいは中間転写体15の表面に付着したフィルミング物質を除去すると同時に転写残トナーを除去する機能を有している。
ブラシ部材71は、長さ0.2〜20mm、好ましくは0.5〜10mmの範囲のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシを、金属からなる芯金にスパイラル上に巻き付けて構成している。ブラシ毛の長さが20mm以上では、ブラシ部材71の稼動時間とともに感光体ドラム1あるいは中間転写体15との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛して、感光体ドラム1あるいは中間転写体15のフィルミング除去性が低下する。一方、ブラシ毛の長さが0.2mm以下では、物理的な接触力が不足するためフィルミング物質を有効に除去できない場合がある。
【0026】
ブラシ部材71のブラシ毛は繊維で形成され、この繊維の抵抗値は10〜1010(Ω・cm)の低抵抗繊維である。これより抵抗が高いとブラシ繊維と感光体ドラム1あるいは中間転写体15との接触でブラシ繊維が摩擦帯電により電荷を保持してしまい、回収部材72による回収が困難になってしまう。したがって、ブラシ繊維の抵抗を下げてブラシ繊維に電荷が蓄積しないようにしている。
【0027】
またブラシ部材71の芯金には電圧を印加するためのブラシ部材電源75が接続されている。ブラシ部材71のブラシ繊維の抵抗を上述したように低抵抗ブラシとし、芯金に電圧を印加することで感光体ドラム1あるいは中間転写体15との接触部に電場を形成することが可能となる。電場を形成することで感光体ドラム1あるいは中間転写体15上の付着物や研磨したフィルミング物質を電気的に吸着することが可能となる。
【0028】
ブラシ部材71は、図1または図2の矢印Bに示すように、感光体ドラム1あるいは中間転写体15の回転方向と同じ回転方向に回転する。ブラシ部材71が感光体ドラム1あるいは中間転写体15と同じ方向に回転することでフィルミング物質およびトナーの除去性に優れた機能を発揮することができる。
回収部材72はローラ形状の回転体であり、金属の芯金を中抵抗の弾性部材で被覆した構成となっている。芯金には電圧を印加するための回収部材電源76が接続されている。
【0029】
回収部材72には、回収し表面に付着したトナーなどの異物を除去するためのスクレーパ74が接触して配置されている。回収部材72は図1または図2で示すC方向に回転し、スクレーパ74は、回収部材72の回転方向Cに対してカウンタ方向に接触する。
回収部材72はブラシ部材71と逆方向に回転する。これは後述するが、回収部材72によるブラシ部材71からの異物は電圧印加による電気的な回収を行うため、物理的に大きな負荷の接触になるのを避けることによって、ブラシ部材71の劣化を有効に防止している。
【0030】
フィルミング除去装置7の機能について以下に説明する。
図2または図3に示すように、フィルミング除去部材であるブラシ部材71は感光体ドラム1あるいは中間転写体15とカウンタ方向で接触回転する構成となっている。したがって、ブラシ部材71によって感光体ドラム1あるいは中間転写体15のトナーおよびフィルミング物質は、物理的な力で除去することが可能である。
さらに、ブラシ部材71の芯金にはブラシ部材電源75が接続され、ブラシ毛の繊維の抵抗が、10〜1010Ω・cmの低抵抗繊維である。このため、適正な電圧をブラシ部材71の芯金に印加することで感光体ドラム1あるいは中間転写体15の残留トナーおよびフィルミング物質を電気的に吸着することが可能である。
ブラシ部材71に吸着したトナーおよびフィルミング物質は回収部材72により回収される。
【0031】
回収部材72には回収部材電源76が接続されている。この電源によるバイアス印加によって、ブラシ部材71に吸着しているフィルミング物質などの極性と異なる極性の電圧を印加することができる。これによってブラシ部材71から回収部材72に、電気的にトナーおよびフィルミング物質が回収される。
【0032】
例えば、現像剤としてマイナス極性のトナーを用いた画像形成装置の場合には、感光体ドラム1あるいは中間転写体7の転写残トナーは転写装置の転写バイアスの影響を受けてプラス極性に変化している。したがって、ブラシ部材71に、ブラシ部材電源75からマイナス極性の電圧V1が印加されることでブラシ部材71に異物が付着するようになる。一方、回収部材72に接続されている回収部材電源76からマイナス極性の電圧V2(|V1|<|V2|)が回収部材72に印加されると、より強いバイアス電圧によりブラシ部材71から異物を回収部材72が回収できる。このように、回収部材72に印加されるバイアス電圧は、ブラシ部材71のバイアスと同極で、その絶対値が大きい。
【0033】
本発明では上記のように構成することで、さらに、感光体ドラム1あるいは中間転写体15からトナーおよびフィルミング物質を除去できる。
ブラシ部材71にトナーが蓄積してくると、感光体ドラム1あるいは中間転写体15表面のフィルミング物質をかきとる効果が徐々に減少していく。これを防止するため、本発明の画像形成装置では、以下に説明するフィルミング除去モードを有している。
【0034】
本発明の画像形成装置は、感光体ドラム1あるいは中間転写体15のフィルミング物質を除去する前に、ブラシ部材71に付着した異物である付着物を回収部材72により回収するフィルミング除去モードを実行する。このフィルミング除去モードの実行により、ブラシ部材71からフィルミング物質を減少させて像担持体からフィルミング物質を吸着できるようにする。あるいは少なくともブラシ部材71によりフィルミング吸着できるように確認してから、感光体ドラム1あるいは中間転写体15を研磨する。
【0035】
上記したフィルミング除去モードの実行は、自動的に行われる。またフィルミング除去を前もって実行しておくこともできる。すなわち画像形成装置には、制御部としてのコンピュータを有しており、この制御部はCPUを有する構成となっている。この制御部内には他にROMおよびRAMを有しており、このROMあるいはRAMなどのメモリ内に前記したプログラムが記憶されている。画像形成装置では、定期的にプリント枚数などで所定値(たとえば所定値としてA4版1000枚)に達したか否かを判断すると、制御部がフィルミング除去装置7に対して、フィルミング除去を行うようにフィルミング除去装置7にフィルミング除去動作を実行させる。この除去動作の前に、フィルミング除去モードを自動的に実行させるように制御するプログラムをローディングすることができる。この際にフィルミング除去装置7のブラシ部材71のトナーなどのフィルミング発生する原因となる付着物の付着程度を、フィルミング除去装置7内の図示しないセンサを用い、このセンサにより得られた値を用いて、制御部でブラシ部材71の付着物を除去する必要が有るか否かを判断し、ブラシ部材71に付着していると判断した場合には、制御部ではフィルミング除去モードを自動的に実行させることができる。この後、像担持体上のフィルミングの除去の動作が開始される。また制御部では付着物を除去する必要が無いと判断した場合には、フィルミング除去モードを終了し、像担持体のフィルミング除去動作を行うようにフィルミング除去装置7に指示する。なおブラシ部材71の吸着可能な量は、使用により徐々に落ちていく。その徐々に落ちていく吸着可能な量の経時変化を関数として画像形成装置内の制御部のRAMなどのメモリにテーブルとして保存しておき、このテーブルによりフィルミング除去を回収部材72により回収する条件を複数の中から選択するようにすることもできる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
表1は本発明のフィルミング除去モード「有り」と「無し」が、感光体ドラム1のフィルミング発生の有無にどのように関係したかを検知した結果を示すものである。
実施例として、リコー社製の品名imagio MP C3300/C2800を用い、これを改造したものを用いた。条件はフィルミング物質が感光体ドラム1に付着しやすい30℃、相対湿度80%の環境下で、ランニングチャートは転写材19の大きさがA4版の横、画像パターンはベタ100%部と白100%部を含んだパターンを用いた。フィルミング検知方法は、感光体ドラム1に紫外光を照射して、黒く変色したところがフィルミング部と判断した。フィルミング除去モード「有り」の場合、つまりブラシ部材71のトナーを完全に回収部材72に回収させた後に行うと、フィルミングの発生はなかった。一方、フィルミング除去モード「無し」の条件では、プリント枚数が5000枚を越えるあたりから白100%部で影響が現れ、8000枚を超えると白100%部で明確に悪い影響が現れた。また、ベタ100%部では、9000枚を越えるあたりからフィルミングの影響が現れ始め、15000枚から明確に悪い影響が発生した。
【0037】
図3は、本発明を中間転写ベルト15に用いたカラー画像形成装置の詳細構成を示した図である。本図では、像担持体としての中間転写ベルト15にフィルミング除去装置7が当接して設けられる構成例である。フィルミング除去装置7は、前記したフィルミング除去装置7と同様の構成であり、その動作も同一であるので、説明を省略する。また図3ではフィルミング除去装置7は複数の作像ユニット16の個々には設けられず、替わりにステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置が画像作像ユニット16の各々に設けられている。このような潤滑剤塗布装置をクリーニング装置として作像ユニット毎に有する構成により、本発明の画像形成装置はさらにフィルミングの発生を防止することもできる。
【0038】
図3に示すカラー画像形成装置は、複数の画像作像ユニット16K、16C、16M、16Yと中間転写ベルト15と本発明のフィルミング除去装置7を有している。画像作像ユニット16K、16C、16M、16Yには、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYのトナーがそれぞれ充填され、フルカラーの画像を形成するが、画像作像ユニットのトナー色の順番は特にこれに限ったものでなくてもよい。
【0039】
クリーニング装置30は、トナーフィルミング防止のための塗布剤34 を備えており、ブラシローラ37が塗布剤34に接触して回転しつつ、像担持体である感光体1上に塗布剤34を供給する。
【0040】
塗布剤34は、微粒子であるステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を固形化したもので、自重でブラシローラ37に接触して配置されており、クリーニング装置30内に設けられたガイドによって、ある程度の自由度を保ちつつガイドされている。
【0041】
また、ブラシローラ37には、ローラに接触する図示しないバイアスローラが設けられており、バイアスローラに直流電圧を印加してブラシローラ37を帯電させている。尚、ブラシローラ37のブラシ繊維は導電性繊維からなり、その電気抵抗値は1013Ω・cm以下であり、ブラシローラ37に残留トナーの除去に十分な電荷が付与され、感光体1上の残留トナーをブラシローラ37で効果的に掻き取るようにしている。
【0042】
複数の画像作像ユニット16K、16C、16M、16Yにより作像された各色のトナー画像は、図中矢印D方向に回転する中間転写体15上に一次転写部材17K、17C、17M、17Yによって転写され、複数色のトナーで形成された画像パターンとなる。中間転写ベルト15には二次転写部材18が配置され、二次転写部材18に転写バイアスを印加することにより、図中矢印E方向に移動する紙などの転写材19にトナー像が転写される。
【0043】
上記二次転写部材18は、弾性ローラ部材等の転写部材を用いることができ、中間転写体15の表面に所定の押圧力で接触させ、その二次転写部材18と中間転写体15との間で転写ニップを形成する。この転写ニップに転写材19を挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーと逆極性の転写バイアスが二次転写部材18に印加されることによって形成される転写電界により、中間転写体15の表面に転写されたトナー像を転写材19上へ転写させる。このようにしてトナー像が転写された転写材19は図示しない定着装置へ搬送され、定着装置でトナー像が定着された後、画像装置機外へ定着した画像と共に転写材19が排出される。
【0044】
中間転写ベルト15は出力画像の濃度を安定させるためにセンサを設けている。具体的には中間転写ベルト15上にトナーを付着させ、レーザをトナー付着部とトナーが付着していない中間転写ベルト15自体に照射し、その反射光を受光してカラー画像形成装置の制御を行っている。
しかし中間転写体15にフィルミング物質が付着していると光の反射率が徐々に変化し、適正な制御が行えなくなってしまう。
【0045】
表2はフィルミング除去モード「有り」と「無し」のいずれかで中間転写ベルト15の異常画像の有無を検知した実施例の結果である。
【0046】
本実施例には、上述したのと同一のリコー社製の商品名imagio MP C3300/C2800を改造したものを用いた。条件はフィルミング物質が感光体ドラム1に付着しやすい30℃、相対湿度80%の環境下で、ランニングチャートは転写材19の大きさがA4横、画像パターンはベタ100%部と白100%部を含んだパターンを用いた。異常画像の検知方法は、出力画像の濃度を測定し、規格内であるか否かを○×で判断した。
【0047】
フィルミング除去モード、つまりブラシ部材71のトナーを完全に回収部材72に回収させた制御では中間転写体15へのフィルミングの発生はなかった。一方、フィルミング除去モード無しの場合には、転写材19によりプリント枚数が6000枚付近から濃度規格外となった。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【符号の説明】
【0050】
1 感光体ドラム、2 帯電装置、3 露光装置、4 現像装置、5 転写装置、6 クリーニング部材、7 フィルミング除去装置、8 除電装置、13 転写部材、14 排出部材、15 中間転写体(中間転写ベルト)、16K〜16Y 画像作像ユニット、17(17K〜17Y) 転写部材、18 二次転写部材、19 転写材(記録紙)、30(30K〜30Y) クリーニング装置、34 塗布剤(固体潤滑剤)、37(37K〜37Y) ブラシローラ、71 フィルミング除去部材(ブラシ部材)、72 回収部材、73 クリ−ニング部材(クリーニングブレード)、74 スクレーパ74、75 ブラシ部材電源、76 回収部材電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2006−154412
【特許文献2】特開2004−325621
【特許文献3】特開2003−114597

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の感光体または転写ベルトを像担持体とする前記像担持体上のフィルミング物質を除去するフィルミング除去装置であって、
前記フィルミング除去装置は、前記像担持体に当接しながら回転するフィルミング除去部材と、前記フィルミング除去部材により除去された前記像担持体の付着物を前記フィルミング除去部材と接しながら回転して回収する回収部材とを備えたことを特徴とするフィルミング除去装置。
【請求項2】
請求項1のフィルミング除去装置において、前記フィルミング除去部材は、前記像担持体上の付着物を除去する前に前記回収部材により前記フィルミング除去部材上の前記付着物を回収するフィルミング除去モードを実行して前記付着物の除去を確認した後に、前記像担持体のフィルミング物質を除去することを特徴とするフィルミング除去装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルミング除去装置において、前記フィルミング除去部材は、ブラシ繊維抵抗が10〜1010(Ω・cm)の低抵抗繊維のブラシ毛が基布上に植毛されたブラシ部材を、金属からなる芯金にスパイラル上に巻き付けて構成され、電圧が印加されることを特徴とするフィルミング除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルミング除去装置において、前記回収部材は弾性体からなるローラ部材であり、ローラ部材の芯金に電圧が印加され、該電圧値は前記フィルミング除去部材に印加される電圧と極性が等しくその絶対値が大きいことを特徴とするフィルミング除去装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のフィルミング除去装置において、
さらに前記像担持体の移動方向に対してカウンタ方向に当接するブレードを前記フィルミング除去部材よりも前記像担持体に対して下流側に設けたことを特徴とするフィルミング除去装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のフィルミング除去装置を備えた画像形成装置であって、前記フィルミング除去部材は、画像形成装置の感光体または転写ベルトを像担持体とする前記像担持体の移動方向に対してカウンタ方向に回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、前記像担持体上の付着物を除去する前に前記回収部材により前記フィルミング除去部材上の前記付着物を回収するフィルミング除去モードを実行させるように制御することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−128363(P2011−128363A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286562(P2009−286562)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】