説明

フィルムキャリア

【課題】 レーンに形成した開口に付着した塵埃を手間を掛けずに除去できるフィルムキャリアを合理的に構成する。
【解決手段】 第1搬送レーンL1と、第2搬送レーンL2とが形成されたフィルム搬送ユニット30をフィルムキャリア本体に収容し、このフィルム搬送ユニット30を主走査方向にスライド作動させた際に、第1搬送レーンL1に形成された第1スリットS1と、第2搬送レーンL2に形成された第2スリットS2とに接触して塵埃を除去する除去ブラシ70をフィルムキャリア本体の内部に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーンを有するフィルム搬送ユニットと、このフィルム搬送ユニットの前記レーンのフィルム搬送方向と直交する方向へのシフトを許すレーン切換機構とを備え、このレーン切換機構でのシフト作動により何れかのレーンをスキャニングポジションに設定し、そのレーンに形成した開口に光源からの光線を導いて写真フィルムから画像データの取得を実現するフィルムキャリアに関し、詳しくは、塵埃の除去を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレーンを有する搬送ユニットを備えたものではないが、写真フィルムを送るレーンに形成した開口に光源からの光線を導いて画像データの取得を行い、塵埃の除去を行うものとして特許文献1に記載されるものが存在する。この特許文献1では、作業テーブルの下方に配置した光源部からの光線をフィルムキャリアに導き、このフィルムキャリアにセットした写真フィルムの画像を、このフィルムキャリアの上方に配置した読取部で取得するように構成されている。
【0003】
また、フィルムキャリアは、光源部からの光線を送り出すスリットを基台に形成し、この基台に対して原稿台をスライド移動自在に支持し、パルスモータで送りねじを駆動することで原稿台をスライド方向に移動させてスキャニングを行うように構成されている。前記スリットにはガラスを段差無く備えており、原稿台にはスライド移動方向の前端側と後端側とにブラシを設けており、この原稿台が移動する際にスリットに備えたガラスにブラシを接触させて塵埃(ゴミ)を除去する。
【0004】
【特許文献1】特開2002‐296705号公報 (段落番号〔0032〕〜〔0064〕、図1〜7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光源部からの光線が導かれるスリットの部位で写真フィルムを移動させて画像データを取得するスキャナでは、そのスリットの部位に塵埃が付着した場合には、塵埃によって光線の光量が減じられるため、取得した画像データにライン状のムラを発生させる等、不適正な画像データとなっていた。この不都合は特許文献1に記載される技術によって改善することも考えられる。
【0006】
しかしながら、写真フィルムを搬送するレーンにスリット状の開口を形成し、写真フィルムの搬送と同期して画像データを取得するスキャニング作動を行うものでは、特許文献1に記載された原稿台に相当するものが存在しないためスリット状の開口に付着した塵埃を除去するにはブラシ等を用いた人為的な作業に頼らねばならず改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、レーンに形成した開口に付着した塵埃を手間を掛けずに除去できるフィルムキャリアを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、複数のレーンを有するフィルム搬送ユニットと、このフィルム搬送ユニットの前記レーンのフィルム搬送方向と直交する方向へのシフトを許すレーン切換機構とを備え、このレーン切換機構でのシフト作動により何れかのレーンをスキャニングポジションに設定し、そのレーンに形成した開口に光源からの光線を導いて写真フィルムから画像データの取得を実現するフィルムキャリアにおいて、
前記レーン切換機構による前記フィルム搬送ユニットのシフト作動時に、前記開口に作用して塵埃を除去する除塵手段を備えている点にある。
【0009】
この構成により、フィルム搬送ユニットのシフト作動時には除塵手段が前記開口に作用して塵埃を除去する。つまり、フィルム搬送ユニットをシフトさせることにより、複数のレーンの何れかをスキャニングポジションに設定する作動形態を利用することにより、オペレータが人為的に塵埃を除去する作業を行わずとも、開口に付着した塵埃を除去できるものとなる。その結果、レーンに形成した開口に付着した塵埃を手間を掛けずに除去できるフィルムキャリアが合理的に構成された。
【0010】
本発明は、前記フィルム搬送ユニットが135サイズの写真フィルム用のレーンと、240サイズの写真フィルムのレーンとの2レーンが形成されると共に、前記フィルム搬送ユニットをシフト方向に往復移動させることにより、前記2レーンの何れか一方が前記スキャニングポジションに位置するように前記レーン切換機構の作動形態を設定し、前記除塵手段を前記スキャニングポジションを挟む2箇所に配置しても良い。
【0011】
この構成により、スキャニングポジションを切り換える操作を行った場合には、2レーン夫々に形成した開口に対して必ず除塵手段が作用することになり、スキャニングに先立てスキャニングポジションを切り換える操作を行うだけで開口を清浄にした状態でのスキャニングを行える。
【0012】
本発明は、前記除塵手段が、前記開口の開口縁に接触するブラシで構成しても良い。
【0013】
この構成により、ブラシを用いた構造から比較的安価で、塵埃の除去を良好に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるフィルムキャリアFCを備えたフィルムスキャナ1の外観を示している。
【0015】
このフィルムスキャナ1は、現像済みの写真フィルムF(後述する2種の写真フィルムF1、F2の総称)に形成されたアナログ画像データを、写真フィルムの各画像コマを透過する透過光を光電変換素子で受光することによって画像データに変換して取得する装置である。得られた画像データは、フィルムスキャナ1に接続されたデジタルプリント装置(図示せず)又はコンピュータ(図示せず)のハードディスク等に一旦格納され、外部からの要求に対応して伝送することができる。出力方式としては、前記デジタルプリント装置などによる銀塩式の写真プリントの作成の他に、コンパクトディスク、MOその他の記憶媒体上への画像データの書き込み等の出力形態が採用される。
【0016】
このフィルムスキャナ1は、下面に移動用のキャスタ2が付けられた直方体のキャビネット状のスキャナ本体3の内部に、ハロゲンランプ等で成る光源4を備え、この光源4からの光線を光ファイバ束によって導光アーム5に導く導光系を形成している。この導光アーム5の下方に前記フィルムキャリアFCを配置し、この導光アーム5の下方位置で前記スキャナ本体3の内部にズーム型の光学レンズ6と、この光学レンズ6からの光線が導かれる光電変換部7とを配置している。
【0017】
尚、前記導光系として光ファイバ束に代えて、複数のミラーやプリズムを用いるものであって良い。また、前記光電変換部7は、光学レンズ6からの光線が結像する位置に配置されたR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してラインCCDで構成されている。
【0018】
フィルムキャリアFCの構造は後述するが、このフィルムキャリアFCに写真フィルムFをセットし、このフィルムキャリアFCで写真フィルムFを図2にYで示す副走査方向に向けて設定速度で搬送し、この搬送と同期したタイミングでラインCCDによって写真フィルムFの主走査方向Xに沿った領域のラインデータを取得するようにスキャニング形態が設定されている。
【0019】
〔フィルムキャリア〕
前記フィルムキャリアFCは、前記スキャナ本体3に対して着脱自在に支持される。ここでは、135サイズの写真フィルムF1と240サイズの写真フィルムF2の2種類のフィルムに対応した兼用型のフィルムキャリアFCについて解説する。
【0020】
図1〜図5に示すように、フィルムキャリFCは、合成樹脂などで形成された筐体状のフィルムキャリア本体10を有している。フィルムキャリア本体10は、スキャナ本体3の上面に設けられた位置決めレールに係合する係合溝(不図示)を下面に備えた下側本体10Bと、この下側本体10Bの上面を覆う上側本体10Tとからなる。
【0021】
図3に示す方向視においてフィルムキャリア本体10の右側部には、写真フィルムFの挿入部10Pを設け、左側部には写真フィルムFの排出部10Qを設けている。
【0022】
上側本体10Tは、オペレータの位置から見て奥側の固定部10Taと、オペレータから見て手前側の開閉部10Tbとからなり、前記固定部10Taは下側本体10Bに固定され、この固定部10Taと開閉部10Tbとは水平な軸芯を備えたヒンジ11によって開閉自在に連結されている。図面には示していないが、この開閉部10Tbを閉じ姿勢に維持するロック機構を備えている。
【0023】
前記上側本体10T(開閉部10Tb)には、前記導光アーム5の先端から下向きに送り出されるスキャニング用の光線を受け入れる上側開口Htが形成され、これと同様に、下側本体10Bには、写真フィルムFのコマを透過した透過光をスキャナ本体3の内部の光電変換部7に導く下側開口Hbが形成されている。上側開口Htと下側開口Hbとを上下方向に結ぶ透光ラインZは、前記挿入部10Pと排出部10Qとを結ぶ搬送ラインCと交差する位置関係となる。
【0024】
フィルムキャリア本体10の内部には、135サイズの写真フィルムF1用の第1搬送レーンL1と、240サイズの写真フィルムF2用の第2搬送レーンL2の双方を備えたフィルム搬送ユニット30を備えている。
【0025】
前記フィルム搬送ユニット30は、金属製のベースプレート31の上面に対して閉じ姿勢と開放姿勢とに切換自在に金属製の一対の揺動プレート32を、ヒンジ33を介して開閉自在に備えており、このベースプレート31に前記副走査方向Yに沿う姿勢で2つの溝状部を並列して形成し、2つの溝状部の一方を前記第1搬送レーンL1とし、他方を前記第2搬送レーンL2としている。
【0026】
前記ベースプレート31と揺動プレート32とは、揺動端側においてロックアーム30Lによって閉じ状態に維持できるように構成され、このロックアーム30Lによるロックを解除することにより図3に示す如く、揺動プレート32を開放姿勢に設定できる。
【0027】
前記第1搬送レーンL1と第2搬送レーンL2とには、導光アーム5の先端から前記上側開口Htを介し、前記透光ラインZに沿って送られる光線が通過する第1スリットS1と、第2スリットS2とが、その長手方向を主走査方向Xに沿う姿勢で形成されている。この第1スリットS1と、第2スリットS2が本発明の開口に対応するものである。
【0028】
また、揺動プレート32には、この揺動プレート32を閉じ姿勢に設定した状態において前記第1スリットS1及び第2スリットS2の上方を開放するように、第1スリットS1及び第2スリットS2より大きい開放空間を有する第1開放部T1と第2開放部T2を形成して光線の通過を許すようにしている。
【0029】
図7に示すように、前記フィルムキャリア本体10の内部で下側本体10Bの上面には前記主走査方向Xに沿う姿勢のレール13を設けており、このレール13に沿って移動自在なスライド体14を前記ベースプレート31の下面に備えている。
【0030】
このような構造から、前記フィルム搬送ユニット30をスライド作動させ、図6(イ)及び図7(ロ)に示すように、前記挿入部10Pと排出部10Qとを結ぶ前記搬送ラインC上に前記第1搬送レーンL1を一致させてスキャニングポジションにセットすることにより、前記第1スリットS1が前記透光ラインZ上に位置する。また、図6(ロ)及び図7(イ)に示すように、前記挿入部10Pと排出部10Qとを結ぶ搬送ラインC上に前記第2搬送レーンL2を一致させてスキャニングポジションにセットすることにより、前記第2スリットS2が前記透光ラインZ上に位置する。
【0031】
図面では透光ラインZの位置をスキャニングポジションとして示している。尚、レール13とスライド体14とでレーン切換機構が構成されている。
【0032】
また、前記フィルム搬送ユニット30をスライド作動方向での一方の作動端まで移動させることで第1搬送レーンL1をスキャニングポジションにセットすることになり、他方の作動端まで移動させることで第2搬送レーンL2をスキャニングポジションにセットするように、夫々のストロークエンドの位置を設定している。このように前記フィルム搬送ユニット30の位置の切り換えを行う際には、前記ベースプレート31に備えた第1操作ハンドルH1を手動操作することになる。
【0033】
前記第1搬送レーンL1を構成するベースプレート31の溝状部には複数の駆動ローラ34を備えており、また、この第1搬送レーンL1を構成する2つの揺動プレート32には前記駆動ローラ34と対向する従動ローラ35を備えている。これと同様に、前記第2搬送レーンL2を構成するベースプレート31の溝状部には複数の駆動ローラ36を備えており、また、この第2搬送レーンL2を構成する2つの揺動プレート32には前記駆動ローラ36と対向する従動ローラ37を備えている。
【0034】
前記搬送ラインC上で前記排出部10Qの近傍位置には、巻取ユニット40と、排出搬送ユニットとを配置している。巻取ユニット40は、巻取ドラム41と、この巻取ドラム41で巻取を行うように、巻取ドラム41に写真フィルムFを案内する案内姿勢と、巻取ドラム41の上方に写真フィルムFを通過させる通過姿勢とに切換自在なガイドとを備えている。また、前記排出搬送ユニットは、駆動ローラ16と、これに圧着する従動ローラ17とで構成されている。また、この従動ローラ17は前記下側本体10Bに対して開閉自在に支持された揺動部材18に支持されている。
【0035】
前記第1搬送レーンL1、第2搬送レーンL2では写真フィルムF1、F2を、その感光面(乳剤面)を下側に向け、駆動ローラ34と従動ローラ35との圧着、又は、駆動ローラ36と従動ローラ37との圧着によって写真フィルムF1、F2を搬送するものであり、これら第1搬送レーンL1、第2搬送レーンL2で搬送する写真フィルムF1、F2の搬送不良を発生した場合には、揺動プレート32を開放して写真フィルムF1、F2の取り外しを容易に行えるものにしている。
【0036】
前記ベースプレート31には搬送モータM1を備えており、図5に示すように、この搬送モータM1の出力軸と前記駆動ローラ34、36との間にスプロケット、駆動ベルト等で成る駆動系を形成している。更に、この駆動系からの駆動力をギヤ連動機構を介して前記巻取ドラム41に伝える系、及び、前記排出搬送ユニットの駆動ローラ16に伝える系を形成している。
【0037】
尚、この巻取ドラム41と駆動ローラ16とに動力を伝える伝動系には、前記フィルム搬送ユニット30がスライド作動した際にも動力の伝達を行えるように、前記駆動ローラ34、36を駆動する系からの動力が伝えられる駆動ギヤDGに咬合する受動ギヤLGの主走査方向での長さを、フィルム搬送ユニット30のスライドストロークより充分に長い寸法に設定している。
【0038】
前記第2搬送レーンL2の挿入部10Pの側の端部位置には、240サイズの写真フィルムF2を収容した専用のカートリッジCaの操作機構50を設けている。この操作機構50は一対のスピンドル51A、51Bを有した操作ブロック51と、回転スピンドル52とを備えている。この操作ブロック51は、ベースプレート31に対し主走査方向に移動自在に支持され、回転スピンドル52はベースプレート31に支持した制御モータM2からの駆動力で回転操作される。
【0039】
前記操作ブロック51は、前記カートリッジCaを挟み込む位置にバネ付勢され、第2操作ハンドルH2の操作で回転スピンドル52から離間する方向に移動してカートリッジCaの着脱を行える。このような構造のため、第2操作ハンドルH2の手動操作によって、この操作ブロック51で前記カートリッジCaを挟み込む位置にセットすることにより、前記制御モータM2からの駆動力によってカートリッジCaから写真フィルムF2の送り出しと巻き戻しを行える。
【0040】
このフィルムキャリア本体10の内部には、前記第2搬送レーンL2で送られる写真フィルムF2を表裏から挟み込む上下一対のクリーニング機構60を備えている。このクリーニング機構60は、下側のクリーニングベルト61と上側のクリーニングベルト62とで写真フィルムF2を挟み込む構造を有し、下側のクリーニングベルト61の端部に接触して除塵を行う回転ブラシ63を備えている。更に、夫々のクリーニングベルト、及び、回転ブラシに対して前記駆動ローラ34、36を駆動する駆動系からの駆動力を伝える系を形成している。尚、夫々のクリーニングベルト61、62は表面の繊維が起毛状態にある織物等の素材を用いており、回転ブラシ63は、下側のクリーニングベルト61に接触してクリーニングベルト61に付着した塵埃を除去するように機能する。
【0041】
また、フィルムキャリア本体10には内部の空気を送り出す第1排気ファン65と、前記回転ブラシの近傍の空気を送り出す第2排気ファン66とを備えている。
【0042】
このような構成から、写真フィルムFのスキャニングを行う場合には、前記揺動プレート32を閉じ姿勢に設定し、前記上側本体10Tの開閉部10Tbを閉じ姿勢に設定した状態で、このフィルムキャリアFCを前記フィルムスキャナ1にセットする。この状態で前記第1操作ハンドルH1の操作でフィルムサイズに対応した位置にレーンを設定し、写真フィルムFを対応するレーンに供給することにより、前記搬送モータM1からの駆動力で駆動ローラ34、36が駆動され、写真フィルムFが搬送され、この搬送時に、搬送速度と同期したタイミングで、写真フィルムFの画像コマの情報が前記光電変換部7において主走査方向Xに沿うライン状に連続して取り込まれ、この画像データが取得されるのである。
【0043】
尚、このフィルムキャリアFCを用いて写真フィルムFから画像データを取得する際には、写真フィルムFを比較的高速で設定方向に搬送しながら画像データを低解像度で取り込むプレスキャンと、このプレスキャンの後に、写真フィルムFを逆方向に低速で搬送しながら画像データを高解像度で取り込む本スキャンとを行う形態での処理も可能である。このモードでスキャニングを行う際には、プレスキャンにおいて前記巻取ユニット40で写真フィルムFの巻取を行い、この巻取ユニット40から写真フィルムFを引き出しながら本スキャンが行われる。
【0044】
〔除塵ブラシ〕
図7に示すように、前記第1スリットS1と第2スリットS2とに付着した塵埃を除去する除塵手段としての一対の除塵ブラシ70を下側本体10Bに備えている。この除塵ブラシ70は前記スキャニングポジションを基準にして主走査方向Xに沿って、このスキャニングポジションを挟む2箇所に配置され、フィルム搬送ユニット30をスライド作動させた際に、前記第1スリットS1と第2スリットS2の下面側の開口縁に接触して、塵埃の除去を行えるようにしている。特に、除塵ブラシ70を構成する繊維の長さを第1スリットS1と第2スリットS2の内部に入り込む寸法に設定することにより、スリット内壁の塵埃の除去も行えるものにしている。
【0045】
このように構成したことにより、スキャニング対象とする写真フィルムFを135サイズから240サイズに変更した場合や、この逆の場合において、前記フィルム搬送ユニット30をスライド作動させた際には、この作動を行う毎に前記第1スリットS1と第2スリットS2との塵埃を取り除けるものとなり、スキャニングによって取得した画像データの画質を高くするものにしている。
【0046】
なお、前記第1スリットS1と第2スリットS2とに付着した塵埃を除去するために、図8に示す如く、先細りとなる先端部100Aを形成した専用の除去具100を用いることも考えられる。この除去具100はスリットを傷めないように、発泡性樹脂のように比較的軟質の素材を用いることになるが、この除去具100を用いてもスリットの内部の塵埃の除去は困難な面もあるが、本発明によると、オペレータが塵埃を除去する作業を特別に行わずとも、第1スリットS1と第2スリットS2の塵埃の除去を適正に行えるものにしている。
【0047】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0048】
(a)除塵手段として、エアーを吹き付けて塵埃を除去するエアーブラシを用いても良い。このように構成することにより、エアーの吹き付けで除去して塵埃をエアーの流れでフィルムキャリア外に排出することも可能となる。また、エアーブラシを備える場合、フィルム搬送ユニットをシフトするタイミングでのみエアーを吹き付けるように制御形態を設定することが考えられる。
【0049】
(b)除塵手段として、駆動回転する回転ブラシを用いても良い。このように構成することにより、駆動力を利用して積極的に塵埃の除去を行える。この回転ブラシでも、フィルム搬送ユニットをシフトするタイミングでのみ回転ブラシを駆動回転させるように制御形態を設定することが考えられる。
【0050】
(c)開口としてのスリットの上側の開口縁に接触する位置に除去部材としてのブラシを併せて配置する。このようにブラシを配置することにより、上側の開口縁と下側の開口縁との塵埃を確実に除去してスキャニングを行える。
【0051】
(d)120サイズ、220サイズや、70ミリフィルムのように広幅の写真フィルムの搬送を行うレーンが複数備えられたフィルムキャリアに適用する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】フィルムスキャナの斜視図
【図2】フィルムキャリアの斜視図
【図3】フィルムキャリアの内部構造を示す斜視図
【図4】フィルムキャリアの内部構造を示す平面図
【図5】フィルムキャリアの駆動系を模式的に示す図
【図6】搬送レーンを切り換え状態を模式的に示す平面図
【図7】搬送レーンを切り換えた際のスリットとブラシとの位置関係を示す断面図
【図8】除去具の使用形態を示す斜視図
【符号の説明】
【0053】
30 フィルム搬送ユニット
70 除塵手段:除塵ブラシ
L1 レーン:第1搬送レーン
L2 レーン:第2搬送レーン
S1 開口:第1スリット
S2 開口:第2スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーンを有するフィルム搬送ユニットと、このフィルム搬送ユニットの前記レーンのフィルム搬送方向と直交する方向へのシフトを許すレーン切換機構とを備え、このレーン切換機構でのシフト作動により何れかのレーンをスキャニングポジションに設定し、そのレーンに形成した開口に光源からの光線を導いて写真フィルムから画像データの取得を実現するフィルムキャリアであって、
前記レーン切換機構による前記フィルム搬送ユニットのシフト作動時に、前記開口に作用して塵埃を除去する除塵手段を備えているフィルムキャリア。
【請求項2】
前記フィルム搬送ユニットが135サイズの写真フィルム用のレーンと、240サイズの写真フィルムのレーンとの2レーンが形成されると共に、前記フィルム搬送ユニットをシフト方向に往復移動させることにより、前記2レーンの何れか一方が前記スキャニングポジションに位置するように前記レーン切換機構の作動形態を設定し、前記除塵手段を前記スキャニングポジションを挟む2箇所に配置している請求項1記載のフィルムキャリア。
【請求項3】
前記除塵手段が、前記開口の開口縁に接触するブラシで構成されている請求項1又は2記載のフィルムキャリア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−53478(P2007−53478A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235886(P2005−235886)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】