説明

フィルム包装体

【課題】異質な被包装物を片面で重ねて分離包装でき、容易に開封して被包装物同士を合体させることができるフィルム包装体を提供する。
【解決手段】表基材1の両側から中央側へ延びる裏基材2を折り返して重ね合わせ、表基材1と裏基材2の間に、乾燥状態で保持すべき海苔Lの収納部3を形成すると共に、両側へ延びる裏基材2を再度中央側へ折り返して接合することにより、湿り気のあるスライスチーズCの収納部4を形成する。海苔LとスライスチーズCとを、裏基材2を介し重ねて分離包装でき、また、開封に際し、表基材1を切断して、側方へ引っ張るだけで、海苔LとスライスチーズCの間から裏基材2を引き抜いて、海苔LとスライスチーズCとを合体させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾燥状態を保持すべき海苔と湿り気のあるチーズ等、性質の異なる被包装物を分離して包装し、開封時に合体させるフィルム包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等で販売されるおにぎりの包装体として、下記特許文献1には、外装フィルムと一対の隔離フィルムとの間に海苔を挟み、隔離フィルム同士を中央部で折り返して重ね合わせ、御飯を包み込んで包装するものが示されている。
【0003】
この包装体では、おにぎりを食べる直前に、外装フィルムの中央部に貼着したテアテープで外装フィルムを切断し、両側へ外装フィルム及び隔離フィルムを引っ張ると、隔離フィルムが海苔と御飯の間から引き抜かれて、乾燥した海苔と御飯とが合体する。
【0004】
【特許文献1】実公平5−36390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような包装体では、二重のフィルム間に海苔を挟んで御飯全体を包み込む仕様となっているため、スライスチーズの片面に海苔を重ねるような包装には対応できず、また、開封時の作業性がよくないという問題もある。
【0006】
そこで、この発明は、異質な被包装物を片面で重ねて分離包装でき、容易に開封して被包装物同士を合体させることができるフィルム包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明は、異質な被包装物を分離して包装し、開封時にこれらの被包装物を合体させるフィルム包装体において、表基材の両側から中央側へ延びる裏基材を折り返して重ね合わせ、表基材と裏基材の間に一方の被包装物収納部を形成すると共に、両側へ延びる裏基材を再度中央側へ折り返して接合することにより、他方の被包装物収納部を形成したのである。
【発明の効果】
【0008】
このフィルム包装体では、包装状態において、一方の被包装物収納部と他方の被包装物包装部とが折り返された裏基材を介して重なるので、異質な被包装物を片面で重ねて分離包装でき、これらの被包装物が相互に影響して、品質が劣化する現象を防止できる。
【0009】
また、開封に際しては、表基材又は裏基材を切断して、その基材を側方へ引っ張るだけで、両方の被包装物の間から裏基材を引き抜いて、これらの被包装物を簡単に合体させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1に示すように、このフィルム包装体は、海苔LとスライスチーズCとを分離して包装し、開封時にこれらを合体させるものであり、透明な樹脂フィルムを材料とする表基材1及び一対の裏基材2から構成される。
【0012】
裏基材2は、表基材1の裏面側において、両側から中央側へ延び、折り返されて重ね合わされ、表基材1と裏基材2の外周部分をシールして、表基材1と裏基材2の間に海苔Lを収納する収納部3が形成されている。
【0013】
また、この折返部から両側へ延びる裏基材2は、再度中央側へ折り返されて、中央部で重ね合わされ、その重合部をシールして接合すると共に、両端部も横方向に弱くシールして、裏基材2で包むようにスライスチーズCを収納する収納部4が形成されている。
【0014】
また、表基材1の中央部裏面には、縦方向に延びるテアテープ5が貼り付けられ、その始端両側には切目が入れられている。テアテープ5は、表基材1及び裏基材2よりも切れにくい帯状フィルムから成るものである。
【0015】
このような包装状態では、海苔Lの収納部3とスライスチーズCの収納部4とが折り返された裏基材2を介して重なるので、乾燥状態で保持すべき海苔Lと湿り気のあるスライスチーズCとを片面で重ねて分離包装でき、スライスチーズCの湿気が海苔Lを湿らせる現象を防止できる。
【0016】
一方、このフィルム包装体を開封する際には、まず、図2(a)に示すように、テアテープ5を捲るように引っ張って、表基材1の中央部を縦方向に切断することにより、開封のきっかけをつくる。
【0017】
次に、図2(b)に示すように、表基材1と裏基材2の一側のシール部分を摘んで左方へ引っ張り、海苔Lを半分露出させると共に、海苔LとスライスチーズCの間から折り返された一方の裏基材2を引き抜く。
【0018】
その後、図2(c)に示すように、表基材1と裏基材2の他側のシール部分を摘んで右方へ引っ張り、海苔Lを全部露出させると共に、海苔LとスライスチーズCの間から折り返された他方の裏基材2を引き抜く。
【0019】
このように開封すると、図3に示すように、乾燥状態で包装されていた海苔Lと、保湿されて包装されていたスライスチーズCとが合体し、海苔Lのパリッとした食感や風味と共に、しっとりしたスライスチーズCを味わうことができる。
【0020】
ところで、上記フィルム包装体による包装に際しては、図4に示すように、フィルムが巻かれたロールから表基材1と一対の裏基材2とを引き出すと共に、テープリールからテアテープ5を引き出し、包装工程へ供給する。
【0021】
そして、図5(a)に示すように、テアテープ5を裏面に貼り付けた表基材1と、折り返した一対の裏基材2との間に海苔Lを挟んで、表基材1と裏基材2とを外周部分でシールし、これにより形成された収納部3に海苔Lを収納する。
【0022】
次に、図5(b)に示すように、上下反転させて、折返部を重ね合わせた一対の裏基材2にスライスチーズCを載せ、一対の裏基材2を閉じる方向へ折り返して、中央部及び両端部でシールし、これにより形成された収納部4にスライスチーズCを収納する。
【0023】
上記のような包装は、一般にスライスチーズの包装に使用されている既存の包装機械で行うことができるので、新たな設備投資が必要となることがなく、包装コストの上昇を抑制することができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、表基材1の裏面に貼り付けたテアテープ5により、表基材1を切断して開封するようにしたが、一対の裏基材2の重合部を弱くシールしておき、このシール部を剥がして開封するようにしてもよい。
【0025】
また、海苔とスライスチーズを包装する包装体を例示したが、このような構成の包装体は、例えば、パンとこれに載せる具の包装や、もなかの皮と餡の包装等、長時間接触させることが好ましくない異質な食品を分離して包装し、開封時にこれらの食品を合体させる様々なパッケージとして使用することができる。
【0026】
そのほか、濡れたティッシュペーパーと、吸湿に伴い発熱する石灰等の薬剤とを分離して包装し、開封に伴いティッシュテーパーの水分を薬剤に吸収させ、加熱して使用するような食品以外の被包装物の包装にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)この発明に係るフィルム包装体による海苔とスライスチーズの分離包装状態を示す斜視図、(b)同上の縦断正面図
【図2】(a)同上のフィルム包装体の開封過程の第一段階を示す図、(b)同上の第二段階を示す図、(c)同上の第三段階を示す図
【図3】(a)同上の開封後の海苔とスライスチーズの合体状態を示す斜視図、(b)同上の正面図
【図4】同上のフィルム包装体のフィルム供給状態を示す斜視図
【図5】(a)同上のフィルム包装体による包装工程の第一段階を示す図、(b)同上の第二段階を示す図
【符号の説明】
【0028】
1 表基材
2 裏基材
3,4 収納部
5 テアテープ
L 海苔
C スライスチーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異質な被包装物を分離して包装し、開封時にこれらの被包装物を合体させるフィルム包装体において、表基材の両側から中央側へ延びる裏基材を折り返して重ね合わせ、表基材と裏基材の間に一方の被包装物収納部を形成すると共に、両側へ延びる裏基材を再度中央側へ折り返して接合することにより、他方の被包装物収納部を形成したことを特徴とするフィルム包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−276847(P2007−276847A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107539(P2006−107539)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】