説明

フィルム封筒封入封緘装置

【課題】フラップ部が開放され他の3辺部が封止されており、フラップ部が感圧接着層と剥離テープを有しない成形済みのプラスチック封筒に対する封入封緘を好適に行なえるフィルム封筒封入封緘機の提供。
【解決手段】プラスチックフィルムを材料とし封入口が封緘されていない成形済みの封筒を1枚単位に分離して供給する封筒供給手段と、前記供給される封筒における封入口を真空吸着して開く開口手段と、供給される封入物を前記封入口から前記封筒の内部に封入する封入手段と、前記封入物を封入した封筒における糊代部に糊を塗工する糊塗工手段と、前記糊代部に糊が塗工された封筒を封緘する封緘手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封筒に中身を封入封緘する技術分野に属する。特に、フィルム封筒への封緘を自動化したフィルム封筒封入封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム封筒はその素材として透明なプラスチックフィルムが使用される。中身が見えることを利用して、広告媒体等自社製品をアピールすることが可能であり、中身が見えるために開封率の向上が見込める。また、汚れに強いことや紙封筒に比較して耐水性に優れることを利用した製品開発が可能である。
プラスチックフィルムとしてチラシや小冊子程度のDM(Direct Mail)用のフィルム封筒に多用されているのがOPP(Oriented Polypropilene:2軸延伸ポリプロピレン)フィルムである。OPPフィルムは、透明度、光沢が良く、腰があり、引っ張り強さ、引き裂き強さに優れ、ノッチ(切り込み)からの引き裂き抵抗が小さく、裂け目から裂け易い。印刷インキの発色が良く商品包装にも好適である。また、強度を必要とする重いDM(Direct Mail)用のフィルム封筒に使用されているのはCPP(Cast Polypropilene:無延伸ポリプロピレン)フィルムである。CPPフィルムは感触が柔らかく引っ張ったときに延びて、OPPに比較して引っ張り強さ、引き裂き強さに優れている。また、OPPフィルムよりもヒートシール性に優れている。OPPフィルムやCPPフィルムは、PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPA(Polyamid:ポリアミド(ナイロン))フィルムに比較して防湿性が格段に良く、その防湿性を生かした包装に使用される
【0003】
このようなプラスチックフィルムを封筒に加工する技術が知られている。たとえば、重ね合わせ状態にある所定のフィルム材同士の溶断シールを行って個々の封緘体を作製する封緘体製造装置が知られている(特許文献1)。この封緘体製造装置においては、封緘体のシール部におけるフィルム溶断シールの強度を向上させるために、ヒータで所定温度に加熱された溶断シール部の溶断シール刃における少なくとも溶断シール対象の所定のフィルム材と当接する接触部を当該フィルム材に対して非鋭角に接触させる形状、例えば弧状に形成する構成を有している。
また、自動封入封緘機における開口が容易で、封緘後の開封が容易なプラスチック製封筒を作製する封入封緘袋製造機が知られている(特許文献2)。この封緘体製造装置が用いるプラスチック製封筒のフラップの裏面及び/又は封筒本体のフラップが折り返される面の少なくとも糊付けされる部分に離型剤が塗工されている。また、封緘体製造装置によって同封物が封入及び封緘されたプラスチック製封筒において、封緘が離型剤層を介してヒートシールによりなされている。
また、フラップ部に予め粘着剤が線状に塗工され、その糊部が薄い剥離テープで保護されている封筒に通知書などの物品を封入し封緘するテープ付き封筒の封緘装置が知られている(特許文献3)。このテープ付封筒の封緘装置は、封筒底部を先行端として搬送する搬送路を備え、その途上にテープ剥離ステージとフラップ接着ステージを設け、前記テープ剥離ステージには封筒の搬送を一時的に停止する手段を備え、その停止中に封筒フラップ部内面に係合し、係合したまま搬送を再開させることでテープ剥離するテープ剥離機構を備え、更にフラップ接着ステージには封筒の搬送を一時停止する手段を設けるとともに、その停止中に封筒フラップ部を折り曲げ接着する折曲げ接着機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−321011
【特許文献2】特開2000−203593
【特許文献3】特開2007−223645
【0005】
重ね合わせたフィルムの溶断により封緘する方式においては、フィルムの溶着体積が小さく十分なシール強度が得難いという問題がある。溶断とシールとの両効果を狙った溶断シールにより封緘する方式(特許文献1)においては、比較においてシール強度は強化されてはいるが十分ではない。また、この方式は中身を封入した封筒におけるフラップ部をシールして封緘するときには適用できないという問題がある。
離型剤層を介してヒートシールにより封緘する方式(特許文献2)においては、封緘後におけるフラップ部の開封を容易にするための離型剤層を形成するという工程が増加するという問題がある。
テープ剥離機構において糊部を保護する剥離テープを剥離し、折り曲げ接着機構においてフラップ部を折り曲げ接着する方式(特許文献3)においては、最終製品には不必要な剥離テープを使用することに問題がある。剥離テープによる封筒の偏肉のため多数の封筒を重ねてスタックするときに姿勢を崩すという問題がある。剥離テープを薄くするとテープ剥離機構において誤動作をするという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、フラップ部が開放され他の3辺部が封止されており、フラップ部が感圧接着層と剥離テープを有しない成形済みのプラスチック封筒に対する封入封緘を好適にまた確実に行なえるフィルム封筒封入封緘機を提供することにある。本発明のフィルム封筒封入封緘機においては剥離剤層を形成することなくフラップ部における十分な封止強度(シール強度)と封緘後におけるフラップ部の開封の容易度との両立が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るプラスチック封筒封入封緘機は、プラスチックフィルムを材料とし封入口が封緘されていない成形済みの封筒を重ねて収容する封筒収容手段と、前記封筒収容手段から封筒を1枚単位に分離して供給する封筒供給手段と、前記供給される封筒における封入口を真空吸着して開く開口手段と、封入物を供給する封入物供給手段と、前記供給される封入物を前記封入口から前記封筒の内部に封入する封入手段と、前記封入物を封入した封筒における糊代部に糊を塗工する糊塗工手段と、前記糊代部に糊が塗工された封筒を封緘する封緘手段とを有するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係るプラスチック封筒封入封緘機は、請求項1に係るプラスチック封筒封入封緘機において、前記糊は合成ゴム系の粘着型ホットメルト接着剤であるようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係るプラスチック封筒封入封緘機は、請求項1または2に係るプラスチック封筒封入封緘機において、前記糊塗工手段は搬送される封筒における搬送位置を検出して得た搬送位置信号に基づいて、ノズルから吐出する糊の吐出を制御することによって前記糊代部に糊を塗工するようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係るプラスチック封筒封入封緘機は、請求項1〜3のいずれかに係るプラスチック封筒封入封緘機において、前記糊代部に糊が塗工されたことを検出しないときには機械動作を停止し、それを検出したときには機械動作を継続する塗工監視手段を有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
フラップ部が開放され他の3辺部が封止されており、フラップ部が感圧接着層と剥離テープを有しない成形済みのプラスチック封筒に対する封入封緘を好適に行なえるフィルム封筒封入封緘機が提供される。本発明のフィルム封筒封入封緘機においては剥離剤層を形成することなくフラップ部における十分な封止強度(シール強度)と封緘後におけるフラップ部の開封の容易度との両立が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のプラスチック封筒封入封緘機における構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明のプラスチック封筒封入封緘機における糊塗工部における構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明のプラスチック封筒封入封緘機において封入封緘される封筒の形態の一例を示す図である。
【図4】本発明のプラスチック封筒封入封緘機において封緘に使用されるホットメルト接着剤の温度粘度特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明のプラスチック封筒封入封緘機における構成の一例を図1に示す。図1において、1は封筒積載部、2は封筒供給部、3は封入部、4は糊塗工部、5は封緘部、6は番号検査部、11a,11bはシートカット部、12a、12bは折部、13は丁合部である。図1において示す矢印⇒は封筒またはその封筒に封入する封入物(中身)の移動方向を示している。
封筒積載部1は、プラスチック封筒封入封緘機においてプラスチック封筒を投入する部分である。封筒積載部1においては、多数のプラスチック封筒が積み重ねられて、またはずれ重ねられて密に載置している。
封筒供給部2は、封筒積載部1において載置しているプラスチック封筒を1枚1枚に分離して封入部3に供給する。プラスチック封筒の分離は最先の一枚目のプラスチック封筒の表面を真空吸着吸ユニット(吸盤装置)で真空吸着して移動するとともに二枚目のプラスチック封筒との間にエアーを吹き付ける、等の方法により行われる。また、供給されるプラスチック封筒が一枚であることを検出するセンサ(二枚差検知器)を設け、二枚以上の供給が検出されたときには供給動作を停止させる機構も適用される。二枚差検知器としては、厚さを検出するレーザセンサを使用し、一枚のときの厚さと二枚以上のときの厚さの相違から二枚差を検出する、等の方式のものを使用することができる。
封入部3は、封筒供給部2から供給されたプラスチック封筒の封入口を開いて封入物をプラスチック封筒の内部に封入する。封入部3には封入口の開口機構と、開口した封入口に封入物を挿入する挿入機構とを有する。封入部3による封入口の開口は、プラスチック封筒の本体の封入口の端部と、封筒フラップ部の端部とを別々の真空吸着ユニット(吸盤装置)で真空吸着し両端部を引き離す方法、プラスチック封筒の本体を真空吸着ユニットで真空吸着し固定して封入口にエアーを吹き付ける方法、それらの方法を組み合わせる方法、等により行われる。封入口への封入物の挿入は、位置決めした封入物を開口した封入口に向かって移動する方法、等により行われる。
【0011】
糊塗工部4は、プラスチック封筒の封入口を接着し封緘するための糊を塗工する。糊の塗工は、通常は封筒フラップ部に対して行うが、封筒本体部に対して行っても良い。本発明においては、糊としてホットメルト接着剤を使用する。ホットメルト接着剤は常温(室温)では固形または半固形であるが加熱することにより溶融する接着剤である。溶融した状態でホットメルト接着剤を接着面に塗工しその面と接着対象とを接触させそのまま冷却して固化すると接着が完了する。ホットメルト接着剤は熱可塑性樹脂を主成分とした有機溶剤を全く含まない。その熱可塑性樹脂としては、EVA(Ethylene-Vinylacetate copolymerエチレン酢酸ビニル共重合体)、オレフィン樹脂系、合成ゴム系を使用することができる。本発明においては、合成ゴム系を好適に使用することができる。糊塗工部4としては、圧縮した空気を用いて加熱溶融したホットメルト接着剤を霧、泡などの状態で接着対象に対して噴霧するスプレー装置を使用することができる(詳細を後述する)。
封緘部5は、封筒フラップ部を封筒本体部の側に折り曲げてを密着させることにより、封筒フラップ部を封筒本体部を接着し封入物をプラスチック封筒に封緘する。
番号検査部6は、封入物に印字されている生産管理番号をプラスチック封筒の透明な部分(窓)を通して読み取ることにより生産予定の製品が正常に生産されているか否かを検査する。番号検査部6は、最終の検査部であって、プラスチック封筒封入封緘機においてはその要所において生産管理番号を読み取って正しく生産が行われているか否かの検査が行われる。
【0012】
シートカット部11a,11bは、Z折または巻取の形態となっている連続帳票を所定長で切断し枚葉帳票に加工する。枚葉帳票は折部12a、12bに供給される。
折部12a、12bは、枚葉帳票を折り畳んで所定の形状とし、プラスチック封筒に封入できるようにする。折部12a、12bは、たとえば、枚葉帳票を折り畳んで3つ折にする。
丁合部13は、2つの折部12a、12bから供給された2つの折丁(折り畳まれた枚葉帳票)を丁合する(整合性の有る組み合わせにする)。図1に示す一例においては、2系統の連続帳票の供給部が設けられ2つの折丁を丁合しているが、2系統に限らず任意の数の系統を設けて任意の数の折丁を丁合することができる。また、丁合部13の搬送経路には、複数の供給部が設けられており、その供給部からチラシ、パンフレット、枚葉帳票、等を供給する。丁合部13は、その供給部から供給された帳票も丁合する。勿論、それらのチラシ、パンフレット、冊子、枚葉帳票、等もプラスチック封筒に封入できる形状となっている。丁合においては、1つのプラスチック封筒に封入する帳票等のすべてが漏れなく丁合されることが必要であり、また、他のプラスチック封筒に封入する帳票等が混入することがあってはならない。すなわち、丁合する複数の帳票等は整合性の有る組み合わせになっていなければならない。その管理のために、帳票等には生産管理番号が印刷されている。番号検査部6だけでなく丁合部13等のプラスチック封筒封入封緘機の要所において、その生産管理番号を読み取ることにより丁合の制御と検査が行われる。その丁合の制御と検査を通じて正しく丁合された封入物を有する封入封緘済プラスチック封筒を得ることができる。
【0013】
以上のプラスチック封筒封入封緘機の構成において、プラスチック封筒に対して、丁合された封入物が封入され封緘される過程について説明する。封入封緘過程における、プラスチック封筒の形態の変化を図2に示す。図2に一例を示すプラスチック封筒はフラップ部が開放され他の3辺部が封止されているプラスチック封筒である。
封筒積載部1において積載しているプラスチック封筒の1つ、または封筒供給部2において1枚1枚に分離して供給されるプラスチック封筒は図2(1)に示すような形態を有している。すなわち、図2(1)においては、プラスチック封筒には封入物は封入されておらず、封筒フラップ部22は折り曲げられておらず、封入口23が外側に現れている。その図2(1)に示すプラスチック封筒は、封筒積載部1から封筒供給部2を経て封入部3へと供給される。その供給においては、プラスチック封筒を真空吸着ベルトにより吸着して搬送する方法、対向する搬送ベルトによりプラスチック封筒を挟持して搬送する方法、等の方法が適用される。そのような搬送方法によりプラスチック封筒は所定の姿勢を保持した状態で供給される。プラスチック封筒は、封入部3、糊塗工部4、封緘部5においても、同様に、所定の姿勢を保持した状態で搬送(供給)される。
一方、シートカット部11a,11b、折部12a、12b、丁合部13を経て複数の帳票等が丁合された封入物は封入部3へと供給される。その供給において、封入物を構成する折り畳まれた枚葉帳票、チラシ、パンフレット、等は、それぞれの端部(辺部分)が同一位置となるように揃えられる。たとえば、枚葉帳票、チラシ、パンフレット、等は丁合部13の搬送機構が有する当接部材に押されて搬送が行われ、その当接部材にそれぞれの端部が押し当てられ当接することによって揃えられる。
【0014】
封入部3においてプラスチック封筒は位置決めされており、その状態で前述の開口機構により封入口の開口が行われる。また、封入部3において封入物は位置決めされており、その状態で前述の挿入機構により挿入が行われる。すなわち、封入物のプラスチック封筒への封入が行われる。封入が行われたプラスチック封筒は図2(2)に示すような形態を有している。すなわち、図2(2)においては、プラスチック封筒には封入物31が封入されており、封筒フラップ部22は折り曲げられておらず、封入口23が外側に現れている。
封入部3において封入物が封入されたプラスチック封筒は糊塗工部4へと搬送される。糊塗工部4においては、プラスチック封筒の封入口を接着し封緘するための糊の塗工が、通常、封筒フラップ部に対して行われる。その塗工は、圧縮した空気を用いて加熱溶融したホットメルト接着剤を霧、泡などの状態で封筒フラップ部に対して噴霧するスプレー装置が使用される。搬送中の封筒フラップ部に対して同期をとり所定期間だけホットメルト接着剤を噴霧することによって、プラスチック封筒の所定箇所にホットメルト接着剤を塗工する。塗工が行われたプラスチック封筒は図2(3)に示すような形態を有している。すなわち、図2(3)においては、封筒フラップ部22には塗工済部(糊)部31が形成され、プラスチック封筒には封入物31が封入されており、封筒フラップ部22は折り曲げられておらず、封入口23が外側に現れている。
【0015】
糊塗工部4において封筒フラップ部に塗工が行われたプラスチック封筒は封緘部5へと搬送される。封緘部5においては、封筒フラップ部22を封筒本体部21の側に折り曲げてを密着させることにより、封筒フラップ部22を封筒本体部21を接着し封入物31をプラスチック封筒に封緘する。塗工が行われたプラスチック封筒は図2(4)に示すような形態を有している。すなわち、図2(4)においては、塗工済部(糊)部31が形成された封筒フラップ部22は折り曲げられて封筒本体部21に接着し封入口23が閉じられ、プラスチック封筒には封入物31が封入されている。
封緘部5において封緘が行われたプラスチック封筒は番号検査部6へと搬送される。番号検査部6においては、封入物31に印字されている生産管理番号をプラスチック封筒の透明な部分(窓)を通して読み取ることにより生産予定の製品が正常に生産されているか否かを検査する。
【0016】
次に、本発明のフィルム封筒封入封緘機における糊塗工部4について詳細を説明する。本発明のフィルム封筒封入封緘機における糊塗工部の構成を図3に示す。図3において、41はコントローラ、42は加温層、43はポンプ、44はコンプレッサー、45はエアーバルブ、46は噴射ノズル、47は塗工糊センサである。
コントローラ41は糊塗工部4における加温槽24、ポンプ43、コンプレッサー44、エアーバルブ45、噴射ノズル46を制御するコントローラである。また、コントローラ41は塗工糊センサがプラスチック封筒に塗工が行われた糊を検出して出力する糊検出信号を入力する。また、コントローラ41はフィルム封筒封入封緘機のコントローラとの間でコマンド、データ、信号、等の送受信を行う通信回線を備え、封筒封入封緘機のコントローラと協調した制御を行う。たとえば、コントローラ41はプラスチック封筒の搬送を制御する封筒封入封緘機のコントローラからプラスチック封筒の搬送の状況を示す信号を受信する。コントローラ41は噴射ノズル46から糊を噴射するタイミングをその信号に基づいて計算する。そして、コントローラ41は計算したタイミングで糊を噴射するようにエアバルブ45を操作する。
【0017】
加温槽24はホットメルト接着剤を貯蔵するとともに、ホットメルト接着剤を加温して所定の温度に保持するための加温槽である。すでに説明したように、ホットメルト接着剤は常温では固形または半固形であるが加熱することにより溶融する接着剤である。図3に示す糊塗後部の構成においては、溶融した状態のホットメルト接着剤を加圧エアーを利用して接着面に噴霧する。したがって、ホットメルト接着剤は噴霧が可能となる粘性特性(低い粘度)が得られるまで加温槽24において温度を上昇させる。
ポンプ43は加温により低い粘度となったホットメルト接着剤を加圧し、その液圧によってホットメルト接着剤を噴霧ノズル46に供給するポンプである。ポンプ43によって加圧されたホットメルト接着剤は所定の液圧(ポンプ43による所定の最大液圧または圧力調節弁(図示せず)により調節された所定の液圧)を有する。ホットメルト接着剤は加温槽24から配管を通じてポンプ43に達し、ポンプ43から配管を通じて噴射ノズル46へと供給される。そのホットメルト接着剤の供給経路の全体(加温槽24、ポンプ43、噴射ノズル46とその間の配管)は保温または積極的な加温と温度制御が行われ、ホットメルト接着剤の噴霧において適正な温度が得られるようになっている。
【0018】
ここで、本発明の封筒封入封緘機において使用可能なホットメルト接着剤の粘度温度特性について説明する。本発明の封筒封入封緘機において使用可能なホットメルト接着剤の粘度温度特性の一例を図4に示す。ホットメルト接着剤の粘度温度特性は、図4に示すように、135℃で9300mP・s、140℃で7000mP・s、145℃で5600mP・s、150℃で4500mP・s、155℃で3700mP・s、160℃で3000mP・s、165℃で2400mP・sとなり、温度上昇によって粘度低下が起きる。糊塗工部4においては加圧エアによってホットメルト接着剤を噴霧する。そのためには、常温(室温)で固形または半固形のホットメルト接着剤を噴霧可能な程度まで低粘度化させる必要性がある。糊塗工部4において適正な塗工を実行可能な粘度の範囲は7000mP・s以下である。したがって、糊塗工部4における加温槽24、等の加温温度は140℃以上とすることが必要である。
【0019】
コンプレッサー44は噴霧ノズル46に供給するスプレー用エアとして所定のエア圧の加圧エアを生成するコンプレッサーである。コンプレッサー44はエアを加圧する加圧部と、スプレー用エアを貯蔵する貯蔵部とを有している。
エアバルブ45はそのバルブの開閉により噴射ノズル46にスプレー用エアを供給するか(バルブ開)、供給しないか(バルブ閉)のいずれかの状態を実現する。エアバルブ45は、コントローラ41からのエアバルブ45を操作する信号に基づいて動作する。通常は、コントローラ41からバルブ開信号が出力されているときにだけエアバルブ45はそのバルブを開とし、それ以外のときにはバルブを閉とする。エアバルブ45は、図2においては噴射ノズル46と分離して示されているが、実際には、エアバルブ45は噴射ノズル46に近接して設けられる。両者を近接する配置する(配管を短くする)ことにより、コントローラ41によるバルブ開信号の出力に対して、噴射ノズル46によるホットメルト接着剤の噴霧の応答時間遅れを少なくすることができる。
【0020】
噴射ノズル46はホットメルト接着剤とスプレー用エアの供給を受けてプラスチック封筒に噴霧するノズルである。噴射ノズル46はホットメルト接着剤の受口部、スプレー用エアの受口部、ホットメルト接着剤とスプレー用エアの経路部、ホットメルト接着剤とスプレー用エアの混合物を噴射するノズル部(単にノズルと呼ぶ)、等を有する。形状寸法の異なる複数のノズルが存在し、ノズルの形状寸法によって被塗工部の幅を変えることができる。したがって、所望の幅の被塗工部が得られるように適合するノズルを選択し噴射ノズル46への装着が行われる。
また、噴射ノズル46はポンプ43から供給されたホットメルト接着剤をノズルに供給するか、供給しないかのいずれかの状態を実現する接着剤バルブを有する。接着剤バルブはエアバルブ45が“開”のときホットメルト接着剤をノズルに供給する“開”となり、エアバルブ45が“閉”のときホットメルト接着剤をノズルに供給しない“閉”となる。噴射ノズル46はエアバルブ45が“開”かつ接着剤バルブが“閉”のときホットメルト接着剤をノズルから噴霧し、それ以外の時にはホットメルト接着剤をノズルから噴霧しない。
【0021】
塗工糊センサ47は噴射ノズル46から噴霧されプラスチック封筒に塗工が行われた糊を検出するセンサである。塗工糊センサ47としては、塗工されたホットメルト接着剤の温度を検出する放射温度センサ、ホットメルト接着剤から放出される赤外線を検出する赤外線センサを使用することができる。塗工糊センサ47の検出領域は、図3に示すように、塗工が行われたプラスチック封筒が搬送される下流側に設けられている。塗工糊センサ47の出力信号はコントローラ41に入力される。
【0022】
次に、上記の構成を有する糊塗工部4の動作について説明する。糊塗工部4においてプラスチック封筒は搬送されており、その搬送方向とプラスチック封筒の封筒フラップ部22の長手方向とが一致している。噴射ノズル46はその噴霧方向の延長上には被塗工部が存在するように、糊塗工部4の搬送経路において配置されている。被塗工部は、図2に示す一例において、封筒フラップ部22の内部に存在する(図2(3)の塗布済部(糊)31を参照)。
この構成により、搬送されるプラスチック封筒の封筒フラップ部22における被塗工部の先端が噴霧方向の延長上に到達したときに噴霧を開始し、被塗工部の後端が噴霧方向の延長上に到達したときに噴霧を停止することによってホットメルト接着剤の塗工が行われる(図3参照)。
【0023】
糊塗工部4においてプラスチック封筒が搬送されてその被塗工部の先端が噴霧方向の延長上の位置よりも上流の位置(封筒位置センサの検出位置)に到達したことを封筒位置センサ(図示せず)が検出し信号を出力する。その信号(検出信号)はプラスチック封筒が所定の搬送位置に到達したことを示す情報を含んでいるから搬送位置信号である。この場合の封筒位置センサとしては投光部と受光部を有しその間の光線の遮断から封筒の位置を検出する光センサ、等を使用することができる。糊塗工部4のコントローラ41はその封筒位置センサの検出信号を入力するとともに、上流の位置から噴霧方向の延長上の位置に搬送されるプラスチック封筒の被塗工部の先端が到達するまでの先端到達時間を計算する。そして、封筒位置センサの検出信号を入力してから計算した先端到達時間が経過したとき、エアバルブ45を“開”とする信号をエアバルブ45に対して出力する。
なお、封筒封入封緘機のコントローラは糊塗工部4におけるプラスチック封筒の搬送速度を、適時に、糊塗工部4のコントローラ41に対して送信し、コントローラ41は最新の搬送速度を保持している。適時とは、たとえば、設定された時間間隔を置いた周期的な時刻、または封筒位置センサの検出信号を封筒封入封緘機のコントローラが入力した時刻のことである。糊塗工部4のコントローラ41は、その搬送速度と、上流の位置(封筒位置センサの検出位置)から噴霧方向の延長上の位置までの距離(コントローラ41に予め設定しておく固定値)とに基づいて、上記の時間を計算する。
【0024】
また、糊塗工部4のコントローラ41はその封筒位置センサの検出信号を入力するとともに、上流の位置から噴霧方向の延長上の位置に搬送されるプラスチック封筒の被塗工部の後端が到達するまでの後端到達時間を計算する。そして、封筒位置センサの検出信号を入力してから計算した時間が経過したとき、エアバルブ45を“閉”とする信号(“開”とする信号の停止)をエアバルブ45に対して出力する。
なお、糊塗工部4のコントローラ41は、搬送速度と、上流の位置から噴霧方向の延長上の位置までの距離と、プラスチック封筒の搬送方向における被塗工部の距離(コントローラ41に予め設定しておく固定値)とに基づいて、上記の時間を計算する。
【0025】
なお、上記においては、プラスチック封筒が所定の搬送位置に到達する時間を搬送速度から計算しエアバルブ45を開閉する構成を説明した。しかし、プラスチック封筒の搬送位置を直接的に計測しプラスチック封筒が所定の搬送位置に到達したときエアバルブ45を開閉する構成とすることができる。たとえば、糊塗工部4の搬送ベルトと同期して回転するローラ等の軸にロータリーエンコーダを設け、その出力パルスを計数することによりプラスチック封筒の搬送位置を計測することができる。また、糊塗工部4の搬送ベルトの駆動をパルスモータにより行い、パルスモータを駆動するパルス数を計数することによりプラスチック封筒の搬送位置を計測することができる。
【0026】
上記のように塗工を制御する一方で、コントローラ41は、プラスチック封筒が搬送され塗工糊センサ47の検出領域に達したタイミングにおいて、塗工糊センサ47の出力信号が糊を検出したことを示す信号であるか否かを判定する。コントローラ41は、塗工を行っている制御状態であるにも係わらずその出力信号が糊を検出したことを示す信号でないときには異常と判定する。そして、コントローラ41は警報を鳴らす、運転を停止する、等のその異常に対応した制御動作を行う。コントローラ41と塗工糊センサ47とによる上述の動作は、塗工が好適にまた確実に行われていることを常時監視する塗工監視の動作である。この塗工監視が行われることにより、糊の供給が停止する等により、封緘されていない封筒が出荷され個人情報等が漏洩する重大事故を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
ダイレクトメール等において、封入物である帳票、パンフレット等をフィルム封筒に封入し封緘する工程の自動化、等において利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 封筒積載部
2 封筒供給部
3 封入部
4 糊塗工部
5 封緘部
6 番号検査部
11a,11b シートカット部
12a、12b 折部
13 丁合部
21 封筒本体
22 封筒フラップ部
23 封入口
31 塗工済部(糊)
41 コントローラ
42 加温層
43 ポンプ
44 コンプレッサー
45 エアーバルブ
46 噴射ノズル
47 塗工糊センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを材料とし封入口が封緘されていない成形済みの封筒を重ねて収容する封筒収容手段と、前記封筒収容手段から封筒を1枚単位に分離して供給する封筒供給手段と、前記供給される封筒における封入口を真空吸着して開く開口手段と、封入物を供給する封入物供給手段と、前記供給される封入物を前記封入口から前記封筒の内部に封入する封入手段と、前記封入物を封入した封筒における糊代部に糊を塗工する糊塗工手段と、前記糊代部に糊が塗工された封筒を封緘する封緘手段とを有することを特徴とするプラスチック封筒封入封緘機。
【請求項2】
請求項1に記載のプラスチック封筒封入封緘機において、前記糊は合成ゴム系の粘着型ホットメルト接着剤であることを特徴とするプラスチック封筒封入封緘機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラスチック封筒封入封緘機において、前記糊塗工手段は搬送される封筒における搬送位置を検出して得た搬送位置信号に基づいて、ノズルから吐出する糊の吐出を制御することによって前記糊代部に糊を塗工するようにしたことを特徴とするプラスチック封筒封入封緘機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック封筒封入封緘機において、前記糊代部に糊が塗工されたことを検出しないときには機械動作を停止し、それを検出したときには機械動作を継続する塗工監視手段を有するようにしたことを特徴とするプラスチック封筒封入封緘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−131547(P2012−131547A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286271(P2010−286271)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】