説明

フィルム製造装置および製造方法

【課題】ダイの出口から押し出されて冷却ロールの表面に接地するまでの溶融樹脂の長さを可及的に短くすることによってネックインを効果的に抑制することのできるフィルム製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】ダイ1に開設された出口1aから下方に押出された溶融樹脂rを該出口1aの下方に位置して回転する冷却ロール3で引取り、冷却ロール3で溶融樹脂rを冷却および固化してフィルムRを製造するフィルム製造装置10であって、このフィルム製造装置10は、出口1aとその下方の冷却ロール3の間の空間Kに流体fdを提供する流体提供部7をさらに備え、空間K内に存在する溶融樹脂rが冷却ロール3の回転方向(X1方向)に変位して引取られようとするのを押し戻す方向に流体圧pを付与させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂を溶融してダイから押出し、冷却ロールで引取りながらフィルムを製造するフィルム製造装置と製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイもしくは金型の出口から押出された溶融樹脂は、その下方の冷却ロールに接地するまでの空間(エアギャップ)において自由表面でその形が形成される伸長流動変形を受けることが一般に知られている。そして、この伸長流動変形の際には、溶融樹脂がネックインと呼ばれる、幅が狭くなる挙動を示すことが往々にしてある。
【0003】
このネックインによってフィルムの端部は中央部に比して相対的に厚くなってしまうことから、フィルムの両端部の相対的に厚い領域をキャスティング後にトリム除去して最終製品としてのフィルムの巻き取りがおこなわれる。このことから、ネックインの大きなフィルムの幅は自ずと狭くなってしまい、トリム除去される樹脂量が増加することから原材料樹脂の無駄が多くなってしまい、樹脂の利用効率の低下の原因となっている。
【0004】
上記する溶融樹脂のネックインについてより詳細に説明するに、このネックインは、ダイの出口から押出された溶融樹脂が冷却ロールに接地し、冷却されて固化されるまでの間で発生する。厳密には、このネックインの発生は以下のような、溶融樹脂の流動形態の相違に起因するものである。
【0005】
すなわち、溶融樹脂の流動形態は、幅固定された部分であるフィルムの中央部(製品となる部分)が平面伸長流動となり、その長手方向のみならずその幅方向にも力が作用する。
【0006】
一方、フィルムの両端部の流動形態は自由に縮む一軸伸長流動となるが、これに加えて、フィルム中央部の平面伸長流動のうちの幅方向への流動による力を受けてネックインが生じる。このネックインの発生によって、フィルムの幅方向で厚みの分布が生じてしまい、その両端部が自由に縮むことによって該両端部では厚くなる部分が発生してしまう。
【0007】
さらに、フィルムの両端部は、その一軸伸長流動と中央部の平面伸長流動の境界におい
て、双方からの圧力を受けて薄くなってしまうこともある。
【0008】
従来のフィルム製造方法で得られたフィルムにおいては、このフィルム両端部の厚みの
凹凸部分をトリム除去した幅寸法が最大製品幅となっていたために、既述するように樹脂
の利用効率が悪いという課題があった。なお、このネックインの量は溶融樹脂がダイの出
口から冷却ロールへ接地する非拘束な状態が長いと大きくなる傾向を示し、冷却ロール上
において固化が完了するまでその量は増加する傾向にある。
【0009】
このように、ネックインはダイの出口から冷却ロールまでの空間距離、すなわちエアギャップの長さを短くすることで減少させることができるものの、ダイの出口の先端形状や冷却ロールの配置態様等を鑑みるに、この空間距離の短縮には幾何学上の限界がある。
【0010】
そこで、図9aで示すように、押出機Eに通じるダイDの出口D’を冷却ロールCRの頂点の上方に配置すれば、出口D’と冷却ロールCRの間の空間距離:t1を短くすることができる。すなわち、同図の二点鎖線で示すように、それ以外の配設形態でダイDが配設された場合の空間距離:t2に比して短い空間距離:t1となるのである。
【0011】
しかし、フィルムを成形するに当たり、図9bで示すように、冷却ロールCRの回転方向(X1方向)へ溶融樹脂が引き取られるために、言い換えれば、冷却ロールCRの接線方向で引取ろうとする張力によって、溶融樹脂が鉛直下方から回転方向に傾斜した斜め方向で引き取られるために、実際の溶融樹脂のエアギャップ内における長さ(空間距離:t3)は上記する空間距離:t1に比して大幅に長くなるのである。さらに、このように斜め方向に溶融樹脂が引っ張られることでダイの出口にいわゆるメヤニ(樹脂付着物)が付着し易くなってしまい、また、フィルム表面にはスジ状の欠けが発生して品質上の問題となってしまう。このt1をさらに短く設定すると、溶融樹脂は鉛直下方に対して直交する方向に引き取られる形態に近づくことになるが、この場合にはスエルした溶融樹脂がダイ出口に接触してしまい、フィルム製造ができなくなるといった問題が生じ易くなる。なお、同図において、溶融樹脂が冷却固化されてできたフィルムRは巻取ロールMRで巻取られることになる。
【0012】
上記するネックインを抑制する技術として、冷却ロールに接地した溶融樹脂の両端をエアノズルで押える、もしくは静電荷によるクーロン力を利用してその両端部を冷却ロールの表面に拘束する、もしくはそれらを併用する技術が特許文献1に開示されている。
【0013】
しかし、この技術は、溶融樹脂が冷却ロールに接地した後にネックインを抑制するものであることから、実際には高いネックイン抑制効果を期待し難いものであり、上記するように、ダイの出口と冷却ロールの間の空間距離を可及的に短くした場合のネックイン抑制効果に比して格段に劣るものである。
【0014】
また、冷却ロールに接地した溶融樹脂が冷却固化されるロール面が不均一な場合に、成形されたフィルムに局所的な歪みや伸び量のばらつきや厚みの分布が生じてしまい、さらには樹脂の配向分布も悪化してしまう。さらに、エアムラと呼ばれるロール表面粗度のばらつきに起因してフィルムに外観ムラが生じることもある。これらの問題は、溶融樹脂と冷却ロールの密着力を高めることにより、その厚み分布等のフィルムの特性を均一化することで解消できる。
【0015】
この溶融樹脂と冷却ロールの密着力を高めることに関し、静電荷を利用して双方の密着力を高める技術が特許文献2に開示されている。この技術は、静電荷を印加する際にワイヤー状の電極を使用するものであるが、ダイ出口近傍に電極を設置した場合に、ダイ側への放電が発生してしまうことから高いエアギャップ短縮効果を期待することはできない。また、密着力を確保するために溶融樹脂と電極間の距離を狭くしたり、あるいは電圧を高くするといった方策があるが、これらを実施した場合にはフィルムに放電跡が残る可能性があり、運転条件の設定も難しいという課題がある。さらに、フィルムの成形に当たって帯電可能な樹脂の使用を前提とするものであることから、使用樹脂材料が大幅に制限されてしまうという課題を有している。
【0016】
また、エア圧を利用して、溶融樹脂と冷却ロールの間の密着力を向上させる技術が特許文献3に開示されている。より具体的には、エアノズルを利用してエア動圧を樹脂に直接衝突させるものであるが、このようにエア動圧を樹脂に直接衝突させることによって金型側へのエアのもれ量が多くなってしまい、膜揺れと呼ばれる溶融樹脂の振動が生じたり、冷却された金型に対して全体的に均一なフィルムを得るために極めて困難な運転調整が余儀なくされる。
【0017】
また、特許文献4で開示されるように、負圧を形成したサクションチャンバーによって溶融樹脂と冷却ロール間のエアの巻込みを防止し、双方の密着力を確保する技術も存在する。
【0018】
さらにエアチャンバーを利用した技術が特許文献5,6に開示されているが、これらの技術は膜揺れを防止するために金型側へのエアの漏れを防止することを目的としたものであり、積極的に金型側へエア層を形成するものではない。またこれらのエアチャンバーは、その圧力が高くなるとその効果が大きくなるものの、実際には圧力上昇に伴って金型側へ漏れるエア量が増加することから、これがエアギャップ中の溶融樹脂の膜揺れの原因となり、チャンバーの加圧条件が制約されてしまう。
【0019】
以上より、ダイの出口から押し出されて冷却ロールの表面に接地するまでの溶融樹脂の長さ(空間距離)を可及的に短くすることによって、高いネックイン抑制効果を奏することのできる技術の開発が当該技術分野において切望されている。
【0020】
さらに、溶融樹脂の膜揺れを抑制しながら、該溶融樹脂と冷却ロールの間の高い密着力を確保してその冷却固化を速やかに実施することにより、厚み分布等のフィルムの特性が全体的に均一化されたフィルムを製造することのできる技術の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−27133号公報
【特許文献2】特開平11−58498号公報
【特許文献3】特開昭41−19706号公報
【特許文献4】特開2002−178389号公報
【特許文献5】特開平8−258117号公報
【特許文献6】特開2000−254958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、ダイの出口から押し出されて冷却ロールの表面に接地するまでの溶融樹脂の長さを可及的に短くすることによってネックインを効果的に抑制することのできるフィルム製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成すべく、本発明によるフィルム製造装置は、ダイに開設された出口から下方に押出された溶融樹脂を該出口の下方に位置して回転する冷却ロールで引取り、冷却ロールで溶融樹脂を冷却および固化してフィルムを製造するフィルム製造装置であって、前記フィルム製造装置は、前記出口とその下方の前記冷却ロールの間の空間に流体を提供する流体提供部をさらに備え、前記空間内に存在する溶融樹脂が冷却ロールの回転方向に変位して引取られようとするのを押し戻す方向に流体圧を付与させるようになっているものである。
【0024】
本発明の製造装置は、ダイの出口とその下方に位置する冷却ロールの間の空間(エアギャップ)に圧力エア等の流体を提供する流体提供部を備えたものであり、出口から押出されて回転する冷却ロールに接地した溶融樹脂がこの冷却ロールの回転方向に引っ張られてたとえば斜め方向に変形しようとするのを、空間に提供された流体の圧力によって押し戻すことにより、溶融樹脂の空間内における長さを可及的に短くできるようにした装置である。
【0025】
ダイの出口と冷却ロールの相対位置は特に限定されるものではなく、図9aで示すように冷却ロールの頂点上方に出口が配設されていてもよいし、同図の2点鎖線で示すように、頂点上方から冷却ロールの回転方向側に偏った位置に出口が配設されていてもよい。
【0026】
ダイの出口と冷却ロールの相対位置関係がいずれの態様であっても、流体提供部から提供される流体の圧力が、回転する冷却ロールによって引っ張られて変形する溶融樹脂に対してこの変形を押し戻す方向に作用するように流体提供部が配設されていればよい。
【0027】
たとえば冷却ロールの回転方向に斜め方向に延びて長くなろうとする空間内の溶融樹脂が流体の圧力によって押し戻されることによって非拘束で伸長する溶融樹脂の長さを可及的に短くすることができ、これが冷却ロール表面で冷却固化される際のネックインを効果的に抑制することに繋がる。したがって、成形されたフィルム端部(耳部)のトリム代の削減やトリムレス化を図ることができ、使用樹脂の廃棄量の削減、言い換えれば使用樹脂の使用効率の向上を図ることができるものである。
ここで、流体提供部の形態として以下の形態を挙げることができる。
【0028】
その一つの形態は、流体提供部が少なくとも流体チャンバーを備え、該流体チャンバーは流路とその周囲の筒部から構成されており、流体チャンバーは、その筒部の端面の一部が前記空間に対向しながら、冷却ロールと隙間を置いて配設されており、前記流路から吐出された流体が前記隙間を流れ、前記空間内に存在する溶融樹脂と前記筒部の端面の一部の間を流れて該空間内に存在する溶融樹脂に前記流体圧を付与させるものである。
【0029】
この形態の流体提供部においては、エアチャンバー等の流体チャンバーを構成する筒部がたとえば矩形枠状の端面を具備する場合に、この矩形枠状の上方領域が上記する「筒部の端面の一部」となって上記する出口と冷却ロールの間の空間に対向する。そして、流体チャンバーの流路から吐出された流体が該流体チャンバーと冷却ロールの間の隙間を上方に流れ、さらに流体チャンバーの端面の一部を上方に流れる過程で、冷却ロールの回転方向に変形しようとする溶融樹脂に流体圧を付与することによって出口から冷却ロールに提供される溶融樹脂を継続して押し戻し、溶融樹脂の空間内における長さを可及的に短くすることができる。
【0030】
なお、上記する隙間の厚みを調整することで、この隙間を流れる流体に対する流路抵抗を大きくすることができ、エアの流量が絞られ、かつ流れるエアがその流れ方向に沿って整流を成すことで空間内の溶融樹脂の膜揺れを防止することにも繋がる。
【0031】
また、流体提供部の他の形態として、流体チャンバーの筒部の端面の一部に流体連通する別途の流路が開設され、この別途の流路を介して筒部の端面の一部から流体が吐出され、空間内に存在する溶融樹脂に直接的に流体圧を付与する形態などであってもよい。この形態の流体提供部によれば、より一層安定的に空間内の溶融樹脂へ流体圧を付与することが可能となる。
【0032】
また、この形態の流体提供部では、流路から吐出された流体が、冷却ロールで引取られた溶融樹脂を冷却ロールに押圧することにより、溶融樹脂が冷却ロールで冷却固化される初期の段階(溶融樹脂が冷却ロールに接地してからの初期段階)で双方の高い密着を促進して、溶融樹脂の速やかな冷却固化を図ることが可能となる。
【0033】
このことは、押出された溶融樹脂の幅と同程度の幅を有するフィルムの製造を保証することをも意味している。これは、ダイの出口から押し出された溶融樹脂の伸長流動形態をほぼ全幅に亘って既述する平面伸長流動とできることによるものである。また、流体チャンバーから提供される流体によって溶融樹脂を冷却ロールに速やかに押し付け、密着させて冷却固化することで既述するネックイン抑制効果をさらに高めることにも繋がる。
【0034】
また、流体提供部の他の形態は、流体提供部が少なくとも流体チャンバーを備え、該流体チャンバーは流路とその周囲の筒部から構成されており、流体チャンバーは、その流路が前記空間に対向しながら、冷却ロールと隙間を置いて配設されており、前記流路から吐出された流体が空間内に存在する溶融樹脂に直接的に前記流体圧を付与するものである。
【0035】
この形態の流体提供部は、流体が吐出される流路が出口と冷却チャンバーの間の空間に直接対向するものであり、ダイの出口から下方に押し出された溶融樹脂に流体を直接的に提供して流体圧を付与するものである。
【0036】
上記するいずれの形態の流体提供部であっても、前記空間内に存在する溶融樹脂の長さが最短となるように前記流体の流体圧が制御されているのが望ましい。
【0037】
たとえばフィルム成形に先んじて、空間内における溶融樹脂の長さが最も短くなる流体圧を予め求めておき、溶融樹脂に設定された流体圧を付与する流体を提供することで、極めて高いネックイン抑制効果を奏することができる。
【0038】
なお、冷却ロールの頂点上方にダイの出口が配設されている形態においては、溶融樹脂が鉛直下方に延びるように流体圧が調整されていることで空間内における溶融樹脂の長さを最も短くすることができる。また、頂点上方から冷却ロールの回転方向側に偏った位置にダイの出口が配設されている形態においては、この回転方向と逆の方向に溶融樹脂を押し戻して傾斜するように変形させることにより、空間内における溶融樹脂の長さを最も短くすることができる。このように、ダイの出口と冷却ロールの相対的な配設位置関係によって、空間内における溶融樹脂の最短長さを規定する該溶融樹脂の空間内における延設形態は相違する。
【0039】
そして、本発明者等の経験則によれば、空間内における溶融樹脂の長さを15mm以下に調整することにより、高いネックイン抑制効果が得られることが分かっている。
【0040】
さらに、本発明はフィルムの製造方法にも及ぶものであり、この製造方法は、ダイに開設された出口から下方に押出された溶融樹脂を該出口の下方に位置して回転する冷却ロールで引取り、冷却ロールで溶融樹脂を冷却および固化してフィルムを製造するフィルム製造方法であって、前記出口とその下方の前記冷却ロールの間の空間に流体を提供し、前記空間内に存在する溶融樹脂が冷却ロールの回転方向に変位して引取られようとするのを押し戻す方向に流体圧を付与させながら冷却ロールによる溶融樹脂の引取りをおこなうものである。
【0041】
上記する製造方法においては、流路とその周囲の筒部から構成された既述する流体チャンバーを適用し、その筒部の端面の一部が前記空間に対向するようにして、冷却ロールと隙間を置いてこれを配設しておき、流路から吐出された流体を前記隙間に流し、該流体が、前記空間内に存在する溶融樹脂と前記筒部の端面の一部の間を流れて該空間内に存在する溶融樹脂に前記流体圧を付与するようにしてもよい。また、筒部に開設された別途の流路を介して筒部の端面の一部から流体を空間内へ吐出し、空間内の溶融樹脂へ流体圧を直接的に付与するようにしてもよい。
【0042】
また、流路とその周囲の筒部から構成された流体チャンバーを適用し、その流路が前記空間に対向するようにして、冷却ロールと隙間を置いて配設しておき、流路から吐出された流体が、前記空間内に存在する溶融樹脂に直接的に前記流体圧を付与するようにしてもよい。
【0043】
さらに、空間内に存在する溶融樹脂の長さが最短となるように前記流体の流体圧を制御するのが望ましく、空間内に存在する溶融樹脂の長さが15mm以下となるようにダイの出口と冷却ロールの間の空間の調整や流体圧の調整をおこなうのが望ましい。
【発明の効果】
【0044】
以上の説明から理解できるように、本発明のフィルム製造装置と製造方法によれば、フィルム製造装置がダイの出口とその下方の冷却ロールの間の空間に流体を提供する流体提供部をさらに備え、この空間内に存在する溶融樹脂が冷却ロールの回転方向に変位して引取られようとするのを押し戻す方向に流体圧を付与させるようになっていることで、空間内に存在する溶融樹脂の長さを可及的に短くすることができ、高いネックイン抑制効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のフィルム製造装置の一実施の形態を示した模式図である。
【図2】図1のII部を拡大してダイの出口と冷却ロールの間の空間と流体提供部の一実施の形態を示した図であって、ダイの出口と冷却ロールの間の空間の溶融樹脂の変形を押し戻す方向に流体圧が作用している状態を説明した図である。
【図3】ダイの出口と冷却ロールの間の空間の溶融樹脂の変形が押し戻されない場合の溶融樹脂の延設態様と、溶融樹脂の空間長さが最も短くなる場合の溶融樹脂の延設態様を説明した図である。
【図4】他の実施の形態の流体提供部を具備する製造装置を説明した図である。
【図5】さらに他の実施の形態の流体提供部を具備する製造装置を説明した図である。
【図6】成形されたフィルムの幅方向の厚み分布および長手方向(冷却ロールによる搬送方向)の厚み分布を測定した実験において使用した、従来のフィルム製造装置を説明した模式図である。
【図7】(a)は本発明の製造装置によって製造されたフィルムの幅方向の厚み分布に関する測定結果を示す図であり、(b)は従来の製造装置によって製造されたフィルムの幅方向の厚み分布に関する測定結果を示す図である。
【図8】(a)は本発明の製造装置によって製造されたフィルムの長手方向の厚み分布に関する測定結果を示す図であり、(b)は従来の製造装置によって製造されたフィルムの長手方向の厚み分布に関する測定結果を示す図である。
【図9】(a)はダイの出口と冷却ロールの相対的な配設位置関係によって双方の間の空間距離が相違することを説明した図であり、(b)は冷却ロールの鉛直上方にダイの出口が配設されている製造装置において、冷却ロールの回転による引っ張りによって空間内の溶融樹脂の長さが長くなることを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照して本発明のフィルムの製造装置と製造方法を説明する。
図1は、本発明のフィルム製造装置の一実施の形態を示した模式図であり、図2は、図1のII部を拡大してダイの出口と冷却ロールの間の空間と流体提供部の一実施の形態を示した図であって、ダイの出口と冷却ロールの間の空間の溶融樹脂の変形を押し戻す方向に流体圧が作用している状態を説明した図である。
【0047】
図示する製造装置10は、溶融樹脂を押出す押出機2と、この押出機2に連通して所定幅の出口1aを具備するダイ1と、ダイ1の下方に位置して所定の回転数で回転自在(X1方向)な冷却ロール3と、出口1aから押出された(Z方向)溶融樹脂rに対して流体を提供する流体提供部7と、冷却ロール3で溶融樹脂rが冷却固化されてできるフィルムRを巻き取る(X2方向)巻取ロール4とから大略構成されている。
【0048】
流体提供部7は、圧力エアを形成するコンプレッサ6と圧力エアを提供するエアチャンバー5から構成されている。
【0049】
エアチャンバー5は、図2bで示すように矩形枠状の筒部5aと中央の流路5bから構成されており、図2aで示すように、その冷却ロール3側の端面の下方は冷却ロール3と相補的形状を呈し、その上方は湾曲部5a2と鉛直面を成す平面部5a1を備えている。
【0050】
そして、連続する湾曲部5a2と平面部5a1は、ダイ1の出口1aから下方へ押し出された溶融樹脂rが冷却ロール3に接地するまでの空間Kに対向している。
【0051】
コンプレッサ6で生成された圧力エアfdは、流路5bから冷却ロール3表面の溶融樹脂rに提供され、ここで、流体圧pを溶融樹脂rに付与しながら、溶融樹脂rとエアチャンバー5の間の隙間Sを上方に流れていく。
【0052】
上方に流れる圧力エアfdは、その流れる過程で出口1aから下方の空間K内に延びる溶融樹脂rへ流体圧pを付与しながら湾曲部5a2と平面部5a1に沿って上方へ流れ、ダイ1とエアチャンバー5の隙間から流れ出ていく(流出エアfd1)。
【0053】
ここで、圧力エアfdによる流体圧pは、出口1aから押出されて回転する冷却ロール3に接地する溶融樹脂rが、この空間K内で図示のごとく鉛直方向に延びるような流体圧に調整されており、この場合の空間K内における溶融樹脂rの長さ(空間長さ)はs1である。
【0054】
仮にこの圧力エアによる流体圧が空間K内の溶融樹脂rに付与されない場合は、図3で実線で示すように冷却ロール3の回転によってこの回転方向に引っ張られて斜めに変位する溶融樹脂r’のように空間K内で延びてしまい、溶融樹脂r’の空間K内における長さはs2となって、長さs1に比して格段に長くなってしまう。
【0055】
この空間K内における溶融樹脂rが冷却ロール3から受ける引っ張りによって回転方向へ変位しようとするのに対して、図示するように流体圧pがこの変位を押し戻す方向に溶融樹脂rに作用することで、空間K内における空間長さの短い溶融樹脂rを形成することができ、高いネックイン抑制効果を奏することが可能となる。
【0056】
ここで、流体圧pの調整に関しては、図示する出口1aと冷却ロール3の相対的な配設位置関係において、冷却ロール3の所定の回転数条件および溶融樹脂の所定の押出し速度条件の下で空間K内で鉛直方向に延びる溶融樹脂rが形成されるための流体圧を予め求めておくのがよい。そして、求められた流体圧pを溶融樹脂rに常時提供しながら、所定の押出し速度での溶融樹脂の押出しと、所定回転数での冷却ロール3の回転によって抑制溶融樹脂の冷却固化を継続し、溶融樹脂rが冷却固化されてできるフィルムRを巻取りロール4で巻き取ることによってネックインが抑制されたフィルムRを製造することができる。
【0057】
なお、流体圧pや冷却ロール3の回転速度、溶融樹脂の押出し速度等の調整は、不図示の制御用コンピュータによって調整することができる。また、必要に応じて空間K内における溶融樹脂の延設姿勢(鉛直方向など)を視認できるCCDカメラやビデオカメラを図示する装置が備えていてもよく、たとえば所定の回転数で冷却ロールを回転させ、所定の押出し速度で溶融樹脂が押出された際の空間内における溶融樹脂の延設姿勢をビデオカメラ等でモニタリングし、たとえばこのモニタ画像を視認しながら、空間内における溶融樹脂の延設姿勢が所望の姿勢となるように圧力エアの流体圧を調整することもできる。
【0058】
ところで、図2aにおける鉛直方向に延びる空間K内の溶融樹脂rの空間長さs1は、同図の条件において形成され得る最も短い空間長さではない。
【0059】
すなわち、図3で示すように、上記する鉛直方向よりも若干回転方向後方に傾斜した方向に延びる2点鎖線で示す溶融樹脂r”が最も空間長さの短いものとなることから(空間長さs1’)、このような溶融樹脂r”を形成するような流体圧を提供しながらフィルムを製造することにより、より一層高いネックイン抑制効果を奏することができる。
【0060】
なお、溶融樹脂r”を形成する場合には、筒部の端面の形状を溶融樹脂r”に沿った形状にする必要がある。また、ダイの出口にメヤニが付着するのを防止するために、空間内における溶融樹脂の延設形態はダイの出口から冷却ロールにかけて鉛直下方に対して水平な方向に延びた形態であるのが望ましい。すなわち、図3における2点鎖線で示す溶融樹脂r”の形態は、上記するネックイン抑制効果とダイの出口の汚れの度合いによって選択されることになる。
【0061】
また、エアチャンバー5から提供される圧力流体fdによる流体圧pによって溶融樹脂rを冷却ロール3に速やかに押し付けて密着させ、冷却固化することにより、押出された溶融樹脂rの幅と同程度の幅を有するフィルムの製造を保証することができる。
【0062】
ここで、フィルム成形用の樹脂材料は特に限定されるものではないが、たとえば、加熱によって流動性を呈する熱可塑性樹脂樹である、ポリオレフィンやポリエステル、ポリアミドやそれらの変性体、混合体などを適用できる。
【0063】
図4は、他の実施の形態の流体提供部を具備する製造装置を説明した図である。図示する製造装置10Aは、筒部5a’の肉厚内部に流路5bとは別途の流路5b’が開設されたエアチャンバー5Aを具備するものである。このエアチャンバー5Aは、流路5bからの圧力エアfdの吐出に加えて、エアチャンバー5Aを構成する筒部5a’の端部の平面部5a’1、湾曲部5a’2から直接的に溶融樹脂rへ圧力エアfd’を付与するようになっており、この点が図2で示すエアチャンバー5と相違している。
【0064】
流路5b’から提供される圧力エアfd’による流体圧p’は、エアチャンバー5から吐出される圧力エアfdによる流体圧pと同様に溶融樹脂rが冷却ロール3から受ける引っ張りによって回転方向へ変位しようとするのに対して、変位を押し戻す方向に直接的に作用する圧力である。
【0065】
なお、流路5b’から吐出される圧力エアfd’が直接的に溶融樹脂rへ作用することから、流路5b’が開設される筒部5a’は多孔質材料などの管路抵抗の大きな素材から形成されるのが望ましい。
【0066】
図5は、さらに他の実施の形態の流体提供部を具備する製造装置を説明した図である。なお、巻取ロールやコンプレッサ等の図示を省略している。図示する製造装置10Bの流体提供部を構成するエアチャンバー5Bは、筒部5cとこれに開設された複数の流路5dとから構成されており、複数の流路5dが出口1aと冷却ロール3の間の空間Kに対向している。
【0067】
流路5dが空間Kに対向していることで、出口1aから押出された溶融樹脂rに対して圧力エアfd’が直接提供され、直接的に流体圧p’が溶融樹脂rに付与されて図示のごとき鉛直方向に延びるように押し戻された溶融樹脂rを形成することができる。
【0068】
[成形されたフィルムの幅方向の厚み分布および長手方向(冷却ロールによる搬送方向)の厚み分布を測定した実験とその結果]
本発明者等は、図1,2で示す本発明の製造装置と、図6で示す従来の製造装置を使用して実施例および比較例のフィルムを製造し、双方のフィルムの幅方向の厚み分布と長手方向(冷却ロールによる搬送方向)の厚み分布を測定する実験をおこなった。
【0069】
まず、図6を参照して本実験で使用した従来の製造装置を概説すると、この製造装置は、冷却ムラを防止するためのエアチャンバー8とサクションチャンバー8’を備え、冷却ロール3上での幅縮を防止するためにフィルム端部を拘束するエアノズル9とエッジピンニング9’を備えたものである。
【0070】
本実験では樹脂材料としてイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸15mol%)を使用した。また、押出機はφ65mmの二軸押出機を、ダイは1500mm幅で単層コートハンガーのTダイを使用し、冷却ロールはφ600mmのものを使用した。また、溶融樹脂の押出量を100kg/hr、押出温度は260℃とし、冷却ロール温度を40℃とした。
【0071】
エアチャンバーの幅はダイの幅以上の大きさに設定される必要があることから、1530mmのものを使用し、エアチャンバーの内圧を5000Paとした。そして、圧力エアが浮上する図2における隙間Sを2mm以下とした(望ましくは0.5mm以下がよい)。この隙間Sの2mm以下(望ましくは0.5mm以下)という値は、ダイの出口から溶融樹脂がほぼ全幅で平面伸長していることでその両端部も厚くなることなく、薄くなっているために実現が容易となった値である。そして、実施例を含め、エアギャップの長さを短くすることや、溶融樹脂が冷却ロールへ接地した後の速やかな密着と冷却によるロール表面への該溶融樹脂の拘束により、フィルムのほぼ全幅が平面伸長流動形態によって成形されることが可能となっている。
【0072】
なお、この厚み範囲で隙間の厚みを設定することで、この隙間を流れる流体に対する流路抵抗が大きくなり、エアの流量が絞られ、かつ流れるエアがその流れ方向に沿って整流を成すことで空間内の溶融樹脂が膜揺れしなくなる。
【0073】
また、溶融樹脂の空間長さを15mmに設定した。これは、空間長さが15mm以下に調整されていることでネックインの防止効果がより一層高まるという本発明者等の経験則によるものである。また溶融樹脂の非接触搬送面を形成する湾曲部の曲半径は5mmとした。この曲半径部は溶融樹脂を押し戻すに際して最も高い圧力を要する部位となる。また、曲半径を小さくとることでエアギャップの長さは小さくできるが、より高い圧力が要求されることになる。
【0074】
図6で示す従来の製造装置においては、ダイの出口と冷却ロール間の鉛直方向の空間長さは、実施例の空間長さと同じであった。ただし、比較例ではダイから押出された溶融樹脂が冷却ロールの回転方向に引き取られ、実際のエアギャップは約30mmとなっている。また、エアチャンバー8とサクションチャンバー8’は膜揺れの発生を防止するためにそれぞれ50Pa、−15Paに設定し、エッジピンニング9’の出力は12kV,0.15mAとした。
【0075】
図7aは実施例のフィルム、図7bは比較例のフィルムそれぞれの幅方向の厚み分布に関する測定結果を示しており、図8aは実施例のフィルム、図8bは比較例のフィルムそれぞれの長手方向の厚み分布に関する測定結果を示している。なお、実施例、比較例に関する図示の厚み分布データに関しては、フィルムの成形速度が30mpm、厚みはおよそ30μmのものである。
【0076】
図7bより、比較例のフィルムにおける平坦な部分はおよそ1200mmであり、概ねTダイの幅から300mmを差し引いた値が製品幅となっている。なお、この比較例では、フィルム端部が拘束されているために一軸伸長流動する最エッジ部が厚くなっており、中央のフィルム製品部の平面伸長流動する領域との境界で薄くなる部分も確認できる。
【0077】
一方、図7aより、実施例のフィルムにおける平坦な部分はおよそ1400mmであり、概ねTダイの幅から100mmを差し引いた値が製品幅となっている。なお、その最端部にはわずかにネックインが確認できるものの、ダイから押出された溶融樹脂はほぼ全幅に亘って平面伸長流動を呈しており、比較例に比して最大製品幅が大幅に広くなっている。
【0078】
このように、本発明の製造装置や製造方法を適用することで同一幅のダイから製造されるフィルムの最大製品幅を大幅に増大することができ、エッジトリム代を大幅に削減することができる。そして、この効果はダイの出口と冷却ロールの間の空間長さの短縮に応じて大きくなるものである。さらに、溶融樹脂が冷却ロールへ接地した後の速やかな密着が実現していることで、その効果が大きくなっているものと考えられる。
【0079】
また、図8a,bを比較することにより、実施例のフィルムの厚み変動は、比較例のフィルムに比して変動量が少なく、良好な結果となっている。このことより、エアチャンバーから提供された圧力エアの上方への流れによるエア流量が膜揺れを発生させない程度に絞られ、しかも、このエア流れに沿って整流が形成されていることが分かる。
【0080】
また、ダイの出口と冷却ロールの間の空間長さをさらに短縮することで、非拘束で伸長する溶融樹脂の長さが短くなるために長手方向の厚み変動をさらに小さくすることができる。
【0081】
上記する実験結果より、本発明の製造装置、製造方法で製造されたフィルムは、従来の製造装置、製造方法で製造されたものに比して、フィルムの厚みや配向、さらに外観のすべてにおいて均一性に優れたものとなっている。
【0082】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1…ダイ、1a…出口、2…押出機、3…冷却ロール、4…巻取ロール、5、5A、5B…エアチャンバー(流体チャンバー)、5a、5a’…筒部、5a1…平面部、5a2…湾曲部、5b、5b’…流路、6…コンプレッサ、7…流体提供部、10,10A、10B…製造装置、fd、fd’…流体、K…空間、p、p’…流体圧、r、r’、r”…溶融樹脂、R…フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイに開設された出口から下方に押出された溶融樹脂を該出口の下方に位置して回転する冷却ロールで引取り、冷却ロールで溶融樹脂を冷却および固化してフィルムを製造するフィルム製造装置であって、
前記フィルム製造装置は、前記出口とその下方の前記冷却ロールの間の空間に流体を提供する流体提供部をさらに備え、
前記空間内に存在する溶融樹脂が冷却ロールの回転方向に変位して引取られようとするのを押し戻す方向に流体圧を付与させるようになっているフィルム製造装置。
【請求項2】
前記流体提供部は少なくとも流体チャンバーを備え、該流体チャンバーは流路とその周囲の筒部から構成されており、
流体チャンバーは、その筒部の端面の一部が前記空間に対向しながら、冷却ロールと隙間を置いて配設されており、
前記流路から吐出された流体が前記隙間を流れ、前記空間内に存在する溶融樹脂と前記筒部の端面の一部の間を流れて該空間内に存在する溶融樹脂に前記流体圧を付与させる請求項1に記載のフィルム製造装置。
【請求項3】
前記流路から吐出された流体が、冷却ロールで引取られた溶融樹脂を冷却ロールに押圧する請求項2に記載のフィルム製造装置。
【請求項4】
前記流体チャンバーの筒部の端面の一部に流体連通する別途の流路が該筒部に開設されており、
前記別途の流路を介して前記筒部の端面の一部から流体が吐出され、前記空間内に存在する溶融樹脂に直接的に前記流体圧を付与する請求項2又は3に記載のフィルム製造装置。
【請求項5】
前記流体提供部は少なくとも流体チャンバーを備え、該流体チャンバーは流路とその周囲の筒部から構成されており、
流体チャンバーは、その流路が前記空間に対向しながら、冷却ロールと隙間を置いて配設されており、
前記流路から吐出された流体が空間内に存在する溶融樹脂に直接的に前記流体圧を付与する請求項1に記載のフィルム製造装置。
【請求項6】
前記空間内に存在する溶融樹脂の長さが最短となるように前記流体の流体圧が制御されている請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム製造装置。
【請求項7】
前記空間内に存在する溶融樹脂の長さが15mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム製造装置。
【請求項8】
ダイに開設された出口から下方に押出された溶融樹脂を該出口の下方に位置して回転する冷却ロールで引取り、冷却ロールで溶融樹脂を冷却および固化してフィルムを製造するフィルム製造方法であって、
前記出口とその下方の前記冷却ロールの間の空間に流体を提供し、前記空間内に存在する溶融樹脂が冷却ロールの回転方向に変位して引取られようとするのを押し戻す方向に流体圧を付与させながら冷却ロールによる溶融樹脂の引取りをおこなうフィルム製造方法。
【請求項9】
流路とその周囲の筒部から構成された流体チャンバーを、その筒部の端面の一部が前記空間に対向するようにして、冷却ロールと隙間を置いて配設しておき、
前記流路から吐出された流体を前記隙間に流し、該流体が、前記空間内に存在する溶融樹脂と前記筒部の端面の一部の間を流れて該空間内に存在する溶融樹脂に前記流体圧を付与する請求項8に記載のフィルム製造方法。
【請求項10】
前記流路から吐出された流体が、冷却ロールで引取られた溶融樹脂を冷却ロールに押圧する請求項9に記載のフィルム製造方法。
【請求項11】
前記流体チャンバーの筒部の端面の一部に流体連通する別途の流路が該筒部に開設されていて、該別途の流路を介して前記筒部の端面の一部から流体を吐出し、前記空間内に存在する溶融樹脂に直接的に前記流体圧を付与する請求項9または10に記載のフィルム製造方法。
【請求項12】
流路とその周囲の筒部から構成された流体チャンバーを、その流路が前記空間に対向するようにして、冷却ロールと隙間を置いて配設しておき、
前記流路から吐出された流体が、前記空間内に存在する溶融樹脂に直接的に前記流体圧を付与する請求項8に記載のフィルム製造方法。
【請求項13】
前記空間内に存在する溶融樹脂の長さが最短となるように前記流体の流体圧を制御する請求項8〜12のいずれかに記載のフィルム製造方法。
【請求項14】
前記空間内に存在する溶融樹脂の長さが15mm以下である請求項8〜13のいずれかに記載のフィルム製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−11624(P2012−11624A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149070(P2010−149070)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】