説明

フィルム貼付方法およびその装置

【課題】吸着保持力の微妙且つ複雑なコントロールを必要としなくてもフィルムが基板上に落下することがなく、簡便で確実にフィルムを基板に貼り付ける。
【解決手段】基板2の上方でフィルム1を吸着プレート33と先端吸着プレート34で保護フィルム7とは反対面側で傾斜させて吸着保持し、保護フィルム7に粘着テープ55を貼り付けて、粘着テープ55をフィルム1の先端部で逆進させて保護フィルム7の先端部を剥離させ、先端吸着プレート34をフィルムの先端部から離脱させ、基板2の先端部に保護フィルムの先端部を剥離したフィルムの先端部を合せて圧着ローラ46で加圧し、吸着プレート33によるフィルムの吸着保持を解除し、基板2をフィルム1の先端部側を先頭として移動させつつ粘着テープ55の移動で保護フィルム7を剥離するとともにフィルム1を基板2に供給し、圧着ローラ46で基板2にフィルム1を貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼り合せる基板に見合う大きさのシート状のフィルムを基板に貼り付けるフィルム貼付方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの製作工程においては、明暗コントラストや色再現性の向上,パネルから放出される電磁波や赤外線のカット,周辺映像の画面への映り込み防止,パネルの破損防止など様々な機能を併せ持つ機能性フィルム(以下、フィルムと略記)を2枚のガラス板を貼り付けた状態の液晶表示パネルやプラズマ表示パネルなど(以下、基板と略記)の表面に貼り付けることにより良好な画像品質を実現している。
【0003】
フィルムの貼り付けには、基板の表示面を上向きとし、基板の上方から貼り合せる基板に見合う大きさとしたシート状のフィルムを供給して貼り付けるフィルム貼付装置が使用されている。
【0004】
フィルムには粘着材が塗布されているため、使用前に異物付着防止のため,あるいは粘着材の変形防止、あるいはフィルム同士を重ねることが出来るように、粘着材表面を保護フィルムで覆っている。
【0005】
このようなフィルムは、粘着材保護フィルムを上向きに吸着保持テーブルにセット(装着)し、貼付直前に粘着材保護フィルムを剥離し、吸着保持テーブルを反転させフィルムの粘着材が露出した状態で基板上方に配置する。
【0006】
フィルムは貼り付ける一端を基板に近づけるため傾斜させ、圧着ロールで押付け先端貼り付けを行い、基板をフィルムを引き出す方向に移動させることにより貼り付けを行う。
【0007】
このときフィルムは圧着ロールで順次貼り付けられる前に基板上面に落下しないように、吸着保持テーブル面に吸着保持された状態で吸着保持テーブル面を滑るようにしている。
【0008】
このような技術を示すものとして、下記特許文献に記載されたものがある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−276091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
フィルムを基板に貼り付けるためにはフィルムを保持する必要があるが、粘着材面が下向きの場合、粘着面を支持することが出来ないため、フィルム上面を吸着部材により吸着保持する必要がある。
【0011】
フィルムの貼り付けは、保持されたフィルムと基板を圧着ロールにより挟み込み、圧着ロールが回転することにより貼り付けを行うため、フィルムは吸着保持と吸着保持状態で吸着部材面を滑る必要があった。
【0012】
吸着部材のフィルム吸着保持は高真空を使用すると吸着保持力が確保されるが、吸着部材面を滑る際の抵抗力が大きくなり、フィルム表面に擦り傷を発生させる。一方、フィルムの吸着保持に低真空を使用すると抵抗力が減少し、フィルム表面の擦り傷は軽減されるが、フィルムの吸着保持力が低いことにより、フィルムが基板表面へ落下する危険性が高くなる。
【0013】
また、フィルムの貼り付けが開始されると吸着部材面を移動することにより、貼り終わりに近づくに連れて吸着面積が減少し、フィルムが吸着部材面から剥がれて基板表面へ落下することがある。そして、フィルムは落下することにより基板と接触し、フィルムと基板の間に気泡が混入するという問題がある。
【0014】
更に、フィルムと吸着部材が擦れることにより微小な磨耗粉が発生し、基板表面に落下しフィルムと基板の間に残存してしまう。この場合、磨耗粉や周囲に出来る気泡により透過する光の遮光や散乱を招き、所望の画像品質を得ることができず画像品質の低下や歩留低下の原因となる。
【0015】
従って、これら問題によりフィルムの吸着保持力の微妙且つ複雑なコントロールが必要なことから、フィルムを効率よく、良好な状態で貼り付けることが困難であった。
【0016】
それゆえ本発明の目的は、フィルムの貼り付けにおいて、吸着保持力の微妙且つ複雑なコントロールを必要としなくてもフィルムが基板上に落下することがなく、簡便で確実にフィルムを基板に貼り付けることができるフィルム貼付方法とその装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、フィルムの貼り付けにおいて、微小な磨耗粉が発生し基板表面に落下するようなことがなく、歩留が低下しないフィルム貼付方法とその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成する本発明フィルム貼付方法の特徴とするところは、基板と該基板に見合う大きさとしたシート状のフィルムを、該フィルムの粘着面に設けた保護フィルムを剥離して該基板に貼り付けるフィルム貼付方法において、水平に保持した基板の上方において、該フィルムの一辺先端部に対応する先端吸着プレートと該一辺先端部以外の該フィルムの領域に対応する吸着プレートで該フィルムをその該保護フィルムとは反対面側で吸着保持し、該吸着プレートと該先端吸着プレートに保持された該フィルムの該保護フィルムに該フィルムの一辺先端部と直交するように配置した粘着テープを貼り付け、該粘着テープを該フィルムの一辺先端部で逆進するように移動させて該フィルムの一辺先端部側における該保護フィルムの先端部を剥離させ、該先端吸着プレートの該フィルムの一辺先端部に対する吸着保持を解除して該先端吸着プレートを該フィルムの一辺先端部から離脱させ、水平に保持した基板の該フィルムの一辺先端部に対応する箇所に該保護フィルムの先端部を剥離した該フィルムの一辺先端部を合わせてこの箇所を圧着ローラで加圧し、該吸着プレートによる該フィルムの吸着保持を解除し、該粘着テープの移動と逆進で該フィルムを該基板上に供給するとともに該保護フィルムを剥離しつつ該基板を該フィルムの一辺先端部側を先頭として水平移動させることにより該保護フィルムを剥離しつつ該基板に該フィルムを貼り付けることにある。
【0019】
また、上記目的を達成する本発明フィルム貼付装置の特徴とするところは、基板と該基板に見合う大きさとしたシート状のフィルムを、該フィルムの粘着面に設けた保護フィルムを剥離して該基板に貼り付けるフィルム貼付装置において、基板を水平に保持して該基板の一辺側を先頭として移動させる基板保持移動機構と、該基板保持移動機構の上方において該フィルムをその該保護フィルムとは反対面側で該基板の一辺側に対応する該フィルムの一辺先端部と該一辺先端部以外の該フィルムの領域をそれぞれ吸着保持する先端吸着プレートと吸着プレートと、該先端吸着プレートと該吸着プレートを該先端吸着プレートが該基板の一辺側に近づくように傾斜させる吸着プレート傾斜機構と、該吸着プレート傾斜機構により傾斜した該フィルムの該保護フィルムに該フィルムの一辺先端部と直交するように配置された粘着テープと、該粘着テープを該フィルムの一辺先端部側に移動させて該保護フィルムに粘着させるとともに該フィルムの一辺先端部側で逆進させ該保護フィルムを該フィルムの一辺先端部側から剥離させる粘着テープ移動機構と、該粘着テープが該保護フィルムを該フィルムの一辺先端部側から剥離した状態で該先端吸着プレートによる該フィルムの吸着保持を解除し該フィルムの一辺先端部から離脱させる先端吸着プレート解除離脱手段と、該粘着テープが該保護フィルムを該フィルムの一辺先端部側から剥離した状態で該吸着プレートによる該フィルムの吸着保持を解除する吸着プレート解除手段と、該先端吸着プレートが該フィルムの一辺先端部から離脱した状態で該フィルムの一辺先端部を水平に保持した基板の該フィルムの一辺先端部に対応する箇所に合わせて合わせた箇所を圧着ローラで加圧する加圧機構とを備え、該粘着テープ移動機構による該粘着テープの移動と逆進で該フィルムを該基板上に供給するとともに該保護フィルムを剥離しつつ該基板保持移動機構により該基板を該フィルムの一辺先端部側を先頭として水平移動させることにより該保護フィルムを剥離しつつ該加圧機構により圧着ローラで該フィルムを該基板に加圧して貼り付けることにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルムを基板に貼り付ける場合、フィルムの保持を吸着プレートから粘着テープに移し、粘着テープが基板にフィルムを搬送するので、フィルムが吸着保持部材面で擦れて磨耗粉が落下し磨耗粉の周囲に気泡が発生することがなく、フィルムを基板に歩留よく貼り付けることができるだけでなく、吸着プレートにおける吸着保持力の微妙且つ複雑なコントロールを必要とせず、簡便で確実にフィルムを基板に貼り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図9を参照して詳細に説明する。なお、全図面において、同一物には、同一引用符号をつけている。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明を適用して構成した光学フィルム貼付装置の要部概略図である。
【0023】
光学フィルム貼付装置は光学フィルム(フィルム)1を表示パネル(基板)2の画像表示面に貼り付ける装置であり、大別してパネル移動機構(基板保持移動機構)と、吸着プレートと先端吸着プレートおよび吸着プレート傾斜機構と先端吸着プレート解除離脱手段と吸着プレート解除手段を含む光学フィルム吸着搬送機構と、粘着テープおよび粘着テープ移動機構を含む粘着材保護フィルム剥離機構と、圧着ロールと加圧機構を含む加圧ロール機構などにより構成されている。以下、順に各部の構成を説明する。
【0024】
ここで光学フィルム貼付装置は、表示パネル2の種別や構造,厚さは特に限定されるものではなく、例えばPDP(プラズマディスプレイ)における画像を表示するPDP表示パネルや表示パネルと独立したフィルタ用単板ガラス基板やLCD(液晶ディスプレイ)の表示パネルの製造に用いることができる。
【0025】
先ず、光学フィルム1について説明する。光学フィルム1は明暗コントラストや色再現性の向上,パネルから放出される電磁波や近赤外線遮断,周辺映像の画面への映り込み防止,パネルの破損防止など様々な機能を併せ持っている。
【0026】
このような光学フィルム1は、図2に示すように、反射防止フィルム3,着色フィルム4,電磁波遮断フィルム5で構成されている。また、電磁波遮断フィルム5面には表示パネル2に貼り付けるための粘着材6が塗布されており、さらに粘着材6を保護するための保護フィルム7が貼り付けられ、程よい剛性を備えている。各層フィルム3〜5の厚さ,材質,組合せ順等は、特に限定されるものではない。
【0027】
このように構成された光学フィルム1は、表示パネル2に貼り付ける際に保護フィルム7を剥離して粘着材6を露出させる。そして、光学フィルム1と表示パネル2とを正確に位置合せし、粘着材6を表示パネル2に接触させることにより貼り付けられる。
【0028】
先ず、パネル移動機構(基板保持移動機構)について説明する。
【0029】
パネル移動機構は、図1に示すように、直線ガイドベース8,XYZθテーブル9,コンベヤ10を備えて構成されている。直線ガイドベース8は、光学フィルム貼付装置のベースとなるものであり、平板状とされている。直線ガイドベース8の上には図1において左右に延びた直線ガイド12が設けられ、その上にXYZθテーブル9,コンベヤ10が配されている。
【0030】
XYZθテーブル9の最下面に配置されている支持プレート13にはサーボモータ14が設けられ、支持プレート13はサーボモータ軸に設けられたピニオンギヤ15を回転させることでラックギヤ(図示せず)を介して、直線ガイド12上を図1において左右に移動することができ、移動後の停止位置を正確に再現できるようになっている。
【0031】
支持プレート13には図1において左右に延びた直線ガイド16とプレート17が設けられ、支持プレート13に設けられたパルスモータ(図示せず)によりプレート17を図1において左右に微調整移動できるようになっている。また、プレート17には支持プレート13の移動方向に直交する図1の紙面に垂直な方向に延びた直線ガイド18とその上にプレート19が設けられ、プレート17に設けられたパルスモータ(図示せず)によりプレート19を支持プレート13の移動方向に直交する図1の紙面に垂直な方向に微調整移動できるようになっている。
【0032】
さらに、プレート19には回転軸受20とプレート21が設けられ、プレート19に設けられたパルスモータ(図示せず)によりプレート21を水平な状態で回転方向に微調整移動できるようになっている。
【0033】
プレート21には、プレート22を昇降移動させるための昇降機構と図1において左右に延びた直線ガイド23が設けられている。
【0034】
昇降機構はプレート21に設けられた直線ガイド23,直線ガイド23に連結するプレート24,プレート24に設けられた昇降ガイド25,プレート22に設けられ昇降ガイド25に追従するカムフォロア26とプレート21に設けられプレート24を移動させるシリンダ27から構成される。
【0035】
シリンダ27によりプレート24を移動させると、プレート24に設けられた昇降ガイド25も移動する。このとき、プレート22に設けられたカムフォロア26が昇降ガイド25の傾斜により図1において上下方向に移動し、プレート22が直線ガイド23にガイドされた状態で昇降移動できるようになっている。
【0036】
プレート22には、表示パネル2を固定装着するためのパネル固定治具11を図1の紙面に垂直な方向に搬送するコンベヤ10が設けられている。コンベヤ10は表示パネル2を固定装着したパネル搬送治具11を搬送ローラ28で受取り、所定位置まで移動後、パネル搬送治具11を四方向から固定機構(図示せず)により固定できるようになっている。
【0037】
パネル搬送治具11は上面側に表示パネル2を装着する際、表示パネル2の裏面側にパネル表示用プリント基板等が取付けられた状態でも装着できるよう、パネル表示用プリント基板が取付けられていない位置にパネル支持部材が設けられている。また、パネル搬送治具11に設けられた位置決めガイド29は所望の位置に着脱可能に設けられている。
【0038】
位置決めガイド29をこのように構成することにより、種々の形状,大きさの表示パネル2に対応可能となり、本光学フィルム貼付装置の適用の自由度が大きくなる。
【0039】
また、表示パネル2を固定装着したパネル搬送治具11を搬送ローラ28で受取る図1の右側の位置から光学フィルム1を貼り付る図1の左側の位置に表示パネル2を移動させる途上に、パネル表面を清掃するためのパネルクリーナ75を備えており、上記した昇降機構は表示パネル2をパネルクリーナ75に接近させるために利用し、表示パネル2がパネルクリーナ75を通過したら表示パネル2を降下させ、元の位置に戻す。
【0040】
パネルクリーナ75は回転ブラシ方式で、図1においてはブラシの回転方向は表示パネル2が右から左に進行することに対し逆方向の反時計周りとしてあり、これにより表示パネル2表面のゴミや磨耗粉をかきあげ、パネルクリーナ75に接続されている集塵機で吸引除去することができる。
【0041】
ここで使用される回転ブラシは表示パネル2表面で擦れるため、導電性の材質を選択することにより、表示パネル2が帯電することを防ぐことができる。パネルクリーナは回転ブラシ方式に特に限定されるものではなく、表示パネル2表面のゴミの大きさ,付着状態を考慮して任意の方式を選択することができる。例えば粘着ロール方式や超音波ドライクリーニング方式を選択することができる。
【0042】
続いて、光学フィルム吸着搬送機構について説明する。
【0043】
光学フィルム吸着搬送機構は、図1に示すように、上述したパネル移動機構の左側の上部に配されている。
【0044】
光学フィルム吸着搬送機構は、図3(a)に示すように、直線ガイドベース30,吸着プレート支持部材32,吸着プレート33を備えて構成されている。直線ガイドベース
30は、光学フィルタ貼付装置の上部ベースフレームとなるものである。直線ガイドベース30の下には直線ガイド31が設けられ、直線ガイド31に吊り下げられる形で吸着プレート支持部材32を介して吸着プレート33が配されている。
【0045】
直線ガイド31はパネル搬送機構の左右移動方向に直交する図3の紙面に垂直な方向に延びるように2列設けられ、この直線ガイド31に吊り下げられる形でプレート35が設けられている。プレート35には直線ガイドベース30に支持されたボールネジ37のボールネジナット38が取付けられている。これにより、ボールネジ37に取付けられているサーボモータ(図示せず)の回転により、プレート35は直線ガイド31に沿って図3の紙面に垂直な方向に移動することができ、移動後の停止位置を正確に再現できるようになっている。
【0046】
プレート35には直線ガイド31に直交する図3の左右方向に設けられた直線ガイド
36を介して吸着プレート支持部材32が設けられており、プレート35に設けられたシリンダ39の作用により、直線ガイド31に直交する図3の左右方向に方向に移動できるようになっている。
【0047】
吸着プレート支持部材32には昇降シリンダ40,41を自由に回転できるように設けてあり、昇降シリンダ40,41の軸に吸着プレート33を自由に回転できるように設けてあり、昇降シリンダ40,41は吸着プレート33を図3(a)のように昇降させたり、図3(b)のように傾斜させることができる吸着プレート傾斜機構を構成している。
【0048】
吸着プレート33の一端は光学フィルム吸着固定用のブロア(図示せず)に開閉弁を備えた吸引配管などを介して接続されており、吸着プレート33の内部には吸引構造が設けられ、吸着プレート33を下面に向けて貫通するように設けられた吸引穴を通して、光学フィルムテーブル42上に載置された光学フィルム1を吸着保持,固定できるようになっている。
【0049】
なお、光学フィルムテーブル42の設置位置については、後述する。また、吸着プレート33の大きさは特に限定されるものではなく、適合するサイズに応じた吸引穴をゾーン分割することにより、ゾーン選択することで同一吸着プレートで複数の光学フィルムサイズに適合することができる。
【0050】
吸着プレート33には、光学フィルム1の貼付先端(フィルムの一辺先端部)側に旋回軸45を介して先端吸着プレート34が設けられている。先端吸着プレート34は吸着プレート33と同一の吸着保持機能を有し、光学フィルムテーブル42上に載置された光学フィルム1を吸着保持する場合は、吸着プレート33と面一となる位置に位置決めされ、先端吸着プレート34により光学フィルム1の先端部側を吸引により吸着保持し、吸着プレート33により光学フィルム1の先端部以外の領域を吸引により吸着保持する。
【0051】
また、後述するように、吸着保持された光学フィルム1に貼り付けられた保護フィルム剥離後に、表示パネル2に光学フィルム1の先端を圧着ロール46(図1参照)で貼り付ける際、圧着ロール46の押付けスペースを確保するために、図3(c)に示すように先端吸着プレート34は光学フィルム吸着固定用のブロアによる吸着保持を吸引配管の途中に設けた開閉弁を閉めることなどにより解除し、シリンダ(図示せず)により旋回軸45を中心として旋回退避して光学フィルム1から離脱することができるようになっており、先端吸着プレート解除離脱手段を構成している。
【0052】
先端吸着プレート34の光学フィルム1吸着面には、粘着シート(粘着部材)43が先端吸着プレート34と面一に埋め込まれている。これにより、後述する光学フィルム1に貼り付けられた保護フィルム7の先端剥離の際に、光学フィルム1と粘着シート43が押付けられ、光学フィルム1が先端吸着プレート34の吸着面から剥離すること、すなわち保護フィルム7の剥離失敗を防ぐことができる。
【0053】
さらに、先端吸着プレート34には光学フィルム1を吸着保持した状態で、光学フィルム1に設けられた位置決めマーク(図示せず)を認識するCCDカメラ47(図1参照)用位置合せマーク認識穴44が設けられている。これにより、吸着プレート33と先端吸着プレート34に吸着された状態の光学フィルム1の位置を認識し、上述したパネル移動機構のXYZθテーブル9で表示パネル2を位置調整することにより、所望の位置に光学フィルム1を高精度に貼り付けることができる。
【0054】
吸着プレート33は、図示していない光学フィルム吸着固定用のブロアによる光学フィルム1の吸着保持を解除できる吸着プレート解除手段を備えている。
【0055】
次に、粘着材保護フィルム剥離機構について、図4(a)に従って、光学フィルム1における保護フィルム7の剥離を行う粘着テープ55とその粘着テープ移動機構を説明する。
【0056】
粘着材保護フィルム剥離機構は、図1に示したパネル移動機構における図1において左右に延びた直線ガイド12と平行な図4(a)において左右に延びた直線ガイドベース
48,テープ巻出巻取部50,光学フィルム受51を備えて構成されている。直線ガイドベース48は、粘着材保護フィルム剥離機構を支持するベースフレームとなるものである。
【0057】
直線ガイドベース48の上には図4(a)において左右に延びた直線ガイド49が設けられ、その上にテープ巻出巻取部50と光学フィルム受51が配されている。
【0058】
直線ガイドベース48にはシリンダ52が設けられ、シリンダ52によりテープ巻出巻取部50が傾斜した吸着プレート33と先端吸着プレート34に吸着保持された光学フィルム1の近傍まで移動できるようになっている。そして、粘着テープ55の一部は、吸着プレート33と先端吸着プレート34に吸着保持された光学フィルム1の傾斜角と一致する傾斜角を持つような経路を持っている。
【0059】
テープ巻出巻取部50には複数のテープ巻出軸53が設けられ、各テープ巻出軸53に粘着テープ55を取付けることができる。また、テープ巻出軸53端部にはテープ引出しの際にたるみを発生しないように張力を付与するため、各テープ巻出軸53毎にトルクモータ56が設けられている。
【0060】
テープの巻き取りは、巻取軸54が設けられ粘着テープ55により剥離された保護フィルム7を粘着テープ55に貼り付けた状態で巻き取る。このときの巻取速度と巻取量を制御するため、巻取軸径を計測するセンサ57とサーボモータ58が設けられている。
【0061】
粘着テープ55は、直線ガイド49の延伸方向と平行に各テープ巻出軸53から繰り出されて光学フィルム1の貼付先端(フィルムの一辺先端部)方向に進み、図4(b)に示した先端剥離ロール59において経路は折り返し、逆方向の向きとなり、逆進して巻取軸54に巻き取られる。
【0062】
粘着テープ55の設置本数は3本であるが、光学フィルム1や表示パネル2の幅寸法や粘着テープ55の保護フィルム7に対する接着力に合わせて、適宜な本数で設置すればよい。
【0063】
保護フィルム7を好適に剥離するためには光学フィルム1や表示パネル2の幅寸法中央を基準として、その左右に均等な間隔で配置することが望ましく、最低でも2本は設置すると良い。
【0064】
光学フィルム受51は平板形状で、粘着テープ55で保護フィルム7の先端剥離完了後、光学フィルム1を吸着プレート33と先端吸着プレート34から受取って下側から支持し、光学フィルム1の折れ曲がりや位置ズレを防ぐために設けられている。そのため、光学フィルム受51は、先端吸着プレート34側ではなく吸着プレート33側に位置して、粘着テープ55の一部がもつ傾斜角と同じ傾斜角を持たせてある。
【0065】
図4(b)により、光学フィルム1に貼り付けられた保護フィルム7の剥離を説明する。
【0066】
粘着テープ55は各テープ巻出軸53から引き出され、図示するように所定位置に設けられたローラ類を経由して、先端剥離ロール59において逆進し、巻取軸54に巻き付けられている。この状態で先端剥離ロール59はテープ巻出巻取部50を光学フィルム1の近傍まで移動させると先端剥離ロールは光学フィルム1の先端(図4(b)に点線で示した傾斜した光学フィルム1の下端部)と一致する位置に配されている。
【0067】
先端剥離ロール59は、ガイド60を介して支持部材61に支持されている。支持部材61にはシリンダ62が設けられており、先端剥離ロール59はシリンダ62の動作により矢印a方向に移動し、粘着テープ55を保護フィルム7の先端位置に押付け且つ接着させることができる。
【0068】
また、支持部材61は光学フィルム1の傾斜に合わせて設けられた直線ガイド63に支持され、ボールネジ65のボールネジナット64が取付けられている。これにより、ボールネジ65に取付けられているパルスモータ66の回転により、光学フィルム1の傾斜に沿って移動することができ、移動速度と移動距離を正確に制御できるようになっている。
【0069】
これにより、先端剥離ロール59を押付けた状態で矢印b方向に移動させると、先端剥離ロール59が回転しながら上昇する。このとき、各粘着テープ55は巻取軸54の巻き取り力により矢印c方向に移動するため、各粘着テープ55に貼り付けられた保護フィルム7にも巻取力が作用し、保護フィルム7は先端から順に剥離する。
【0070】
さらに、加圧ロール機構について説明する。
【0071】
加圧ロール機構は、図1に示すように、圧着ロール46とレバー69とシリンダ68で構成されている。加圧ロール機構は、図1において左右の水平方向への移動を可能とするために、ベースフレーム72の上に設けられた直線ガイド71と支柱67とシリンダ70が設けられている。光学フィルム1と表示パネル2の貼り付けは、シリンダ70の動作により移動後、シリンダ68の動作をレバー69を介して圧着ロール46が下向きに変換することで行われる。
【0072】
圧着ロール46は回転駆動機構を持たず、光学フィルム1と表示パネル2を挟み込み後にパネル移動機構が移動することにより圧着ロール46が連れ回りする構造となっている。
【0073】
圧着ロール46の大きさは限定されるものではなく、表示パネル2の強度や光学フィルム1の必要押付力を考慮して設定することができる。
【0074】
表示パネル2の幅が広い場合や高押付力が必要な場合、圧着ロール46が長くなり中央部のたわみが大きくなり、幅方向で均等な押付力を維持できなくなる。そこで、このたわみを抑制するため、中央部の直径を若干大きくしたクラウン形状のロールをバックアップロールとして組合せて、加圧ロール機構を構成することもできる。
【0075】
圧着ロール46の表面に弾性ゴムを設けているが、その材質は特に限定されるものではなく、光学フィルム1により適宜に選択することができる。PETフィルムと離形性の良いシリコンや導電性ゴムが好適である。また、ゴム硬度は、表示パネル2の反りを吸収するためにも柔らかい硬度が好ましい。
【0076】
加圧ロール機構の上部には、CCDカメラ機構を設けている。CCDカメラ機構は図示していない装置フレームに支持され、CCDカメラ47,水平移動機構73,上下移動機構74により構成されている。
【0077】
CCDカメラ47は2台設け、水平移動機構73,上下移動機構74により同一カメラで表示パネル2と光学フィルム1に適用できるようになっている。
【0078】
表示パネル2はXYZθテーブル9により図1の左側に実線で示す位置に停止固定後、水平移動機構73,上下移動機構74によりCCDカメラ47で表示パネル2に設けられた位置決めマーク位置を認識し、表示パネル2のXY各方向での位置ずれや傾き(水平面での回転ずれ)を計測する。
【0079】
また、吸着プレート33と先端吸着プレート34に吸着保持され、水平状態で光学フィルム貼付位置に停止固定された光学フィルム1も先端吸着プレート34に設けられた位置合わせマーク認識穴44を介して光学フィルム1の位置決めマークを認識し、位置や傾きを計測する。
【0080】
計測された位置データは装置コントローラで処理され、パネル移動機構に設けられた
XYZθテーブル9により表示パネル2を位置調整することにより、光学フィルム1と表示パネル2の位置合わせを行い、表示パネル2の所望の位置に光学フィルム1を高精度に貼り付ける。
【0081】
次に、光学フィルム1を表示パネル2に貼り付ける上記構成の光学フィルム貼付装置の動作について説明する。
【0082】
図5は、光学フィルム貼付装置の全体の概略構成を示す平面図である。
【0083】
図5において、Aは光学フィルム供給部、Bは貼付部、Cは表示パネル供給部、Dは表示パネル搬送部、Eは表示パネルクリーニング部、Fは加圧ロール機構待機部、Gは粘着材保護フィルム剥離機構待機部、Hは表示パネル回収部である。
【0084】
光学フィルム1を表示パネル2に貼り付けるため、光学フィルム供給部Aにおいて光学フィルム1を光学フィルムテーブル42に載せ、図示していない位置合せガイドを用いて正確に位置合せを行う。
【0085】
次に、表示パネル2を予めパネル固定治具11に装着し、搬送台車77を用いてパネル投入位置にセットする。搬送台車77のパネル固定時具11受取り面はフリーローラ構造となっている。以上により光学フィルム1貼り付けのための運転準備が完了したことになる。
【0086】
次に、自動運転起動釦を操作することで貼付動作が開始される。図3に示す光学フィルム吸着搬送機構の吸着プレート支持部材32は、光学フィルム供給部Aに位置しており、光学フィルムテーブル42が上昇し、図3(a)に示すように昇降シリンダ40,41で降下した吸着プレート33と先端吸着プレート34に光学フィルム1を押付け、吸着プレート33と先端吸着プレート34にて吸着保持後、吸着プレート33と先端吸着プレート34は上昇し、図5に点線で示すように、吸着プレート支持部材32により貼付部Bに移動して待機する。
【0087】
一方、XYZθテーブル9は表示パネル搬送部Dに位置しており、表示パネル供給部Cでは搬送台車77上の表示パネル2を装着したパネル固定治具11を表示パネル搬送部Dに押出す。パネル固定治具11は、XYZθテーブル9上のコンベヤ10における搬送ローラ28により引き込まれ、位置合せの後に固定される。
【0088】
次に、XYZθテーブル9上の表示パネル2は表示パネルクリーニング部Eに搬送され、XYZθテーブル9上の昇降ガイド25とカムフォロア26で表示パネル2を少し上昇させて、パネルクリーナ75により表示パネル2の表面を清掃後、昇降ガイド25とカムフォロア26で表示パネル2を元の高さに戻す。その後、XYZθテーブル9は、加圧ロール機構待機部Fの下を通過して貼付部Bに位置決めされる。
【0089】
そして、貼付部Bでは粘着材保護フィルム剥離機構と加圧ロール機構により、後述するように、光学フィルム1の保護フィルム7の先端剥離を行い、光学フィルム受51と粘着テープ55は吸着プレート33と先端吸着プレート34から光学フィルム1を受取って下側から支持し、圧着ロール46にて光学フィルム1を押付け、表示パネル2をXYZθテーブル9で図5の右方向に移動させることにより、光学フィルム1を引き出しつつ表示パネル2に貼り付けを完了する。
【0090】
光学フィルム受51と粘着テープ55に光学フィルム1を受け渡したは吸着プレート
33と先端吸着プレート34は、光学フィルム吸着搬送機構の吸着プレート支持部材32により光学フィルム供給部Aに戻る。
【0091】
光学フィルム1を貼り付けた表示パネル2はXYZθテーブル9により表示パネル搬送部Dに戻され、パネル固定治具11の固定を解除し、コンベヤ10により表示パネル回収部Hに払出し、搬送台車77で受取りを行い、一連の貼付運転動作を完了する。
【0092】
以上の一連の運転動作で述べた光学フィルム1の光学フィルムテーブルへの供給方法や表示パネル2を供給する搬送台車77を使用する方法は特に限定されるものではなく、自動供給機を使用することも可能である。
【0093】
次に、粘着材保護フィルム剥離機構と加圧ロール機構による光学フィルム1の表示パネル2への貼り付けを説明する。
【0094】
図6に示すように、貼付部Bにおいて、表示パネル2はXYZθテーブル9により、光学フィルム1を貼り付ける位置に位置決め完了し、光学フィルム1は吸着プレート33と先端吸着プレート34に表示パネル2上に水平に吸着保持され、テープ巻出巻取部50は待機位置状態で、光学フィルム1の貼付動作を開始する。
【0095】
先ず、光学フィルム1は吸着プレート33と先端吸着プレート34に吸着保持され水平状態を保った状態で、先端吸着プレート34に設けられた位置合せ認識マーク穴44の上部からCCDカメラ47で光学フィルム1における位置合せマークの位置を計測する。次にCCDカメラ47を移動させ、表示パネル2における位置合せマークの位置を計測する。
【0096】
その後、CCDカメラ47は図1に示す元の位置(図6では点線で示す位置)に戻し、計測されたそれぞれの位置データは図示していない装置コントローラで処理され、XYZθテーブル9により表示パネル2を位置調整する。
【0097】
次に、図7に示すように、吸着プレート33は昇降シリンダ40,41の動作により、光学フィルム1の貼付先端側を下に傾斜させる。この時、吸着プレート33の傾斜角度は適宜な角度とするが、傾斜角度が大きい場合は光学フィルム1を表示パネル2に圧着ロール46にて押付ける際に、光学フィルム1の突出させる先端長さを大きくする必要がある。また、傾斜角度が小さい場合には、光学フィルム1に貼り付けられている保護フィルム7の先端剥離を行う先端剥離ロール59などの部品を設ける空間がなくなる。
【0098】
次に、シリンダ52によりテープ巻出巻取部50を光学フィルム1近傍に移動させる。この時、テープ巻出巻取部50に設けられた粘着テープ55と光学フィルム1に貼り付けられた保護フィルム7は接触しないよう、僅かな隙間を保つように位置決めさせる。これは先端剥離ロール59で保護フィルム7に粘着テープ55を押付ける前に接触した場合、保護フィルム7が均一に剥離できなくなるためである。
【0099】
次に、図8(a)に示すように、光学フィルム1に貼り付られた保護フィルム7の先端位置にシリンダ62により先端剥離ロール59で粘着テープ55を矢印a方向に押付け、保護フィルム7の先端部に粘着テープ55が接着する。また、先端剥離ロール59により光学フィルム1と粘着シート43が押付けられ、両者は接着する。
【0100】
この状態から図8(b)に示すように、パルスモータ66で先端剥離ロール59を保護フィルム7の傾斜に沿って矢印b方向に移動(吸着プレート33側へ移動)させると、先端剥離ロール59は回転しながら移動する。
【0101】
そのため、粘着テープ55は巻取軸54の巻取力により矢印c方向に移動し先端剥離ロール59において折り返し逆進する形となるため、粘着テープ55に貼り付けられた保護フィルム7にも巻取力が作用し、保護フィルム7は先端から順に移動量分だけ剥離される。
【0102】
この時、光学フィルム1の先端部は先端剥離ロール59により粘着シート43に押付けられるので、光学フィルム1の先端部が先端吸着プレート34の面から剥離することはなく、保護フィルム7の先端剥離失敗は生じない。
【0103】
次に、吸引配管の途中に設けた開閉弁を閉めることなどにより先端吸着プレート34の吸引による光学フィルム1の先端部に対する吸着を開放し、図8(c)に示すように、吸着プレート33と面一に位置決めされた先端吸着プレート34を旋回軸45を中心に旋回退避させ、光学フィルム1の先端を表示パネル2に貼り付けるための圧着ロール46の押付空間を確保する。圧着ロール46で光学フィルム1の先端を表示パネル2に貼り付ける際、先端吸着プレート34だけ退避離脱させることにより、光学フィルム1をCCDカメラ47で位置認識した状態を保つことができる。また、吸着プレート33による光学フィルム吸着保持と光学フィルム1の剛性により、矢印c方向のテープ巻き取り力により光学フィルム1が下向きに折れ曲がることはないし、先端吸着プレート34の旋回退避に連れられて上向きに折れ曲がることもない。
【0104】
次に、図9(a)に示すように、光学フィルム1は、吸着プレート33に吸着保持され、先端部の保護フィルム7を剥離した状態で、先端部が圧着ロール46により表示パネル2に貼り付けられる。
【0105】
この時、圧着ロール46は、図5に示す加圧ロール機構待機部Fの位置からシリンダ
70(図1参照)の動作により貼付部Bの方向に移動し、光学フィルム1の先端位置を表示パネル2の先端部に押付けることにより、気泡の発生を防止することができる。
【0106】
圧着ロール46で光学フィルム1の先端を表示パネル2の先端部に貼り付けた後、吸着プレート33は吸引配管の途中に設けた開閉弁が閉められることなどにより光学フィルム1の吸着保持を開放し、昇降シリンダ40,41で吸着プレート33と先端吸着プレート34を水平に戻し上昇させてから、光学フィルム供給部Aの光学フィルタテーブル42へ移動し、次の貼付動作に備える。
【0107】
吸着プレート33より開放された光学フィルム1は、光学フィルム受51と粘着テープ55により下面側から支えられており、吸着プレート33で光学フィルム1を吸着保持した状態で貼付動作を行った場合に光学フィルム1と吸着プレート33が擦れ、光学フィルム1の表面に擦り傷や磨耗粉が発生するようなことはない。
【0108】
次に図9(b)に示すように、光学フィルム1の先端を貼り付られた表示パネル2は、圧着ロール46で押付けられた状態のままXYZθテーブル9により矢印e方向に移動し、光学フィルム1も同方向に引き出され、圧着ロール46も連れ回りする。また、粘着テープ55に接着された保護フィルム7も同様に引き出され、保護フィルム7は粘着テープ55に接着したまま光学フィルム1から剥離されていき、粘着テープ55と共に巻取軸
54に巻き取られる。
【0109】
この時、先端剥離ロール59は保護フィルム7の先端部剥離時に吸着プレート33の傾斜に沿って吸着プレート33側へ移動し、表示パネル2の上面からやや離れた位置にあるために、粘着テープ55が剥離した保護フィルム7を接着したまま巻取軸54に巻き取られても表示パネル2に何等の影響も与えない。
【0110】
即ち、光学フィルム1は先端剥離ロール59より作られる角度により圧着ロール46で押付けられるまでは表示パネル2との接触がなく、もって光学フィルム1と表示パネル2の間の空気を抜きながら気泡の混入が無く、きれいな状態で貼り付けることができる。
【0111】
なお、光学フィルム1が先端剥離ロール59から外れる位置まで進み、光学フィルム1の後端部が表示パネル2の表面に落下して気泡の混入が発生する恐れがある場合には、圧着ロール46側から光学フィルム1の上面を吸着するプレートを設けることで、後端部の落下を防ぎ先端から後端まで気泡の混入のないきれいな貼り付けを行うようにすることが可能である。
【0112】
以上により、光学フィルム1を表示パネル2に先端から後端まで気泡や磨耗粉の混入がなく表面に擦り傷などのない高品質な貼付完成品を得ることができる。また、光学フィルム1と表示パネル2の貼付前位置を認識,補正移動できることから高精度な貼り付けを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係る光学フィルム貼付装置の要部概略図である。
【図2】図1に示す光学フィルム貼付装置に使用される光学フィルムの側面図である。
【図3】図1に示す光学フィルム貼付装置の光学フィルム吸着搬送機構の概略図である。
【図4】図1に示す光学フィルム貼付装置における粘着材保護フィルム剥離機構の概略図である。
【図5】本発明に係る光学フィルム貼付装置の全体の概略構成を示す平面図である。
【図6】図1に示す光学フィルム貼付装置による光学フィルムと表示パネルの位置合せについて説明する図である。
【図7】図1に示す光学フィルム貼付装置による光学フィルムと表示パネルの先端部の位置合せについて説明する図である。
【図8】図4に示す粘着材保護フィルム剥離機構による光学フィルムにおける保護フィルムの剥離について説明する図である。
【図9】図1に示す光学フィルム貼付装置による光学フィルムと表示パネルをその先端部から後端部までの貼り付けを説明する図である。
【符号の説明】
【0114】
1…光学フィルム、2…表示パネル、7…保護フィルム、9…XYZθテーブル、33…吸着プレート、34…先端吸着プレート、46…圧着ロール、47…CCDカメラ、
50…テープ巻出巻取部、55…粘着テープ、59…先端剥離ロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と該基板に見合う大きさとしたシート状のフィルムを、該フィルムの粘着面に設けた保護フィルムを剥離して該基板に貼り付けるフィルム貼付方法において、
水平に保持した基板の上方において、該フィルムの一辺先端部に対応する先端吸着プレートと該一辺先端部以外の該フィルムの領域に対応する吸着プレートで該フィルムを該保護フィルムとは反対面側で吸着保持し、該吸着プレートと該先端吸着プレートに保持された該フィルムの該保護フィルムに該フィルムの一辺先端部と直交するように配置した粘着テープを貼り付け、該粘着テープを該フィルムの一辺先端部で逆進するように移動させて該フィルムの一辺先端部側における該保護フィルムの先端部を剥離させ、該先端吸着プレートの該フィルムの一辺先端部に対する吸着保持を解除して該先端吸着プレートを該フィルムの一辺先端部から離脱させ、水平に保持した基板の該フィルムの一辺先端部に対応する箇所に該保護フィルムの先端部を剥離した該フィルムの一辺先端部を合わせてこの箇所を圧着ローラで加圧し、該吸着プレートによる該フィルムの吸着保持を解除し、該基板を該フィルムの一辺先端部側を先頭として水平移動させつつ該粘着テープの移動と逆進で該保護フィルムを剥離するとともに該フィルムを該基板上に供給し該圧着ローラで加圧して該基板に該フィルムを貼り付けることを特徴とするフィルム貼付方法。
【請求項2】
上記請求項1において、水平に保持した基板の上方において、該吸着プレートと該先端吸着プレートにより該フィルムをその一辺先端部側が該基板の先端部側に近づく形に傾斜した状態で吸着保持し、該粘着テープを該保護フィルム先端位置に先端剥離ロールで押付け、該先端剥離ロールを押付けた状態で傾斜に沿って該基板から離れる方向に移動させることで、該粘着テープが巻き取られて該保護フィルムの先端を剥離することを特徴とするフィルム貼付方法。
【請求項3】
上記請求項2において、該先端吸着プレートの先端剥離ロール押付け位置には粘着シートが埋め込まれており、該保護フィルムに対する該先端吸着プレートの吸引による吸着と粘着シートの接着により該保護フィルム先端剥離時に該フィルムが浮き上らないようにしていることを特徴とするフィルム貼付方法。
【請求項4】
基板と該基板に見合う大きさとしたシート状のフィルムを、該フィルムの粘着面に設けた保護フィルムを剥離して該基板に貼り付けるフィルム貼付方法において、
水平に保持した基板の上方でフィルムを吸着プレートと先端吸着プレートで該保護フィルムとは反対面側で傾斜させて吸着保持し、該フィルムの先端部に位置する先端剥離ロールで該保護フィルムに粘着テープを貼り付けて、該粘着テープを該先端剥離ロールの該傾斜に沿った該吸着プレート側への移動で該保護フィルムの先端部を剥離させ、該先端吸着プレートをフィルムの先端部から離脱させ、水平に保持した該基板の先端部に保護フィルムの先端部を剥離したフィルムの先端部を合わせて圧着ローラで加圧し、該吸着プレートによるフィルムの吸着保持を解除し、該基板をフィルムの先端部側を先頭として水平移動させつつ該粘着テープの該先端剥離ロールでの折り返し移動で該保護フィルムを剥離するとともに該フィルムを該基板上に供給し、該圧着ローラで加圧して基板にフィルムを貼り付けることを特徴とするフィルム貼付方法。
【請求項5】
基板と該基板に見合う大きさとしたシート状のフィルムを、該フィルムの粘着面に設けた保護フィルムを剥離して該基板に貼り付けるフィルム貼付装置において、
基板を水平に保持して該基板の一辺側を先頭として移動させる基板保持移動機構と、該基板保持移動機構の上方において該フィルムを該保護フィルムとは反対面側で該基板の一辺側に対応する該フィルムの一辺先端部と該一辺先端部以外の該フィルムの領域をそれぞれ吸着保持する先端吸着プレートと吸着プレートと、該先端吸着プレートと該吸着プレートを該先端吸着プレートが該基板の一辺側に近づくように傾斜させる吸着プレート傾斜機構と、該吸着プレート傾斜機構により傾斜した該フィルムの該保護フィルムに該フィルムの一辺先端部と直交するように配置された粘着テープと、該粘着テープを該フィルムの一辺先端部側に移動させて該保護フィルムに粘着させるとともに該フィルムの一辺先端部側で逆進させ該保護フィルムを該フィルムの一辺先端部側から剥離させる粘着テープ移動機構と、該粘着テープが該保護フィルムを該フィルムの一辺先端部側から剥離した状態で該先端吸着プレートによる該フィルムの吸着保持を解除し該フィルムの一辺先端部から離脱させる先端吸着プレート解除離脱手段と、該粘着テープが該保護フィルムを該フィルムの一辺先端部側から剥離した状態で該吸着プレートによる該フィルムの吸着保持を解除する吸着プレート解除手段と、該先端吸着プレートが該フィルムの一辺先端部から離脱した状態で該フィルムの一辺先端部を水平に保持した基板の該フィルムの一辺先端部に対応する箇所に合わせて合わせた箇所を圧着ローラで加圧する加圧機構とを備え、該基板を該フィルムの一辺先端部側を先頭として水平移動させつつ該粘着テープ移動機構による該粘着テープの移動と逆進で該保護フィルムを剥離しつつ該フィルムを該基板上に供給し該加圧機構の圧着ローラで該フィルムを該基板に加圧して貼り付けることを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項6】
上記請求項5のフィルム貼付装置において、該先端吸着プレートは該フィルムの一辺先端部を接着する粘着部材を備えていることを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項7】
上記請求項5のフィルム貼付装置において、該先端吸着プレートは該フィルムの一辺先端部に設けられた位置合せマークをカメラで読み取るための位置合せマーク認識穴を備えていることを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項8】
上記請求項5のフィルム貼付装置において、該吸着プレートと該先端吸着プレートは該フィルムを吸引により吸着する吸着穴を備えていることを特徴とするフィルム貼付装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−160697(P2007−160697A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359730(P2005−359730)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】(596143200)株式会社サンキテクノス (5)
【Fターム(参考)】