説明

フィンガージョイント用圧締方法と装置

【課題】長さ方向に対して誤差の発生がなく、しかも、接合に目違いが発生しないフィンガージョイント用圧締方法を提供する。
【解決手段】木材要素Aの先端と後端の木口を検知し、木材要素Aを押圧停止させるブレーキ20の中央位置前方に木材要素Aの後端がない時は、木材要素Aの後端がブレーキ20の中央位置にくるように、ブレーキ20の中央位置に木材要素Aの後端がある時は、第1ブレーキ20と第2ブレーキ21をかけたままの状態で木材要素Aの先端Bを第1ブレーキ20の中央位置Xに待機している木材要素の後端のフィンガージョイントBに押し込むように送り込み、仮圧入を行い、送り出された木材要素列の長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にフィンガージョイントの接続数が何箇所あるか検出し、接続数にフィンガージョイントの仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木口にフィンガージョイントを加工した木材をフィンガージョイントで接合するためのフィンガージョイント用圧締方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長い木材を得るため、図8(c)と(d)に示すように、木材要素Aの長さ方向の両端木口にフィンガージョイントBを加工し、この木材要素AをフィンガージョイントBで接合する方法があり、木材要素Aの接合のためにフィンガージョイント用圧締装置が使用されている。
【0003】
従来の圧締装置は、図7に示すように、フィンガージョイントに接着剤が塗布された木材要素を支持して前方に送るコンベア機構1と、このコンベア機構1の送り方向前方に配置され、送り込まれた木材要素のフィンガージョイントを仮圧入して木材要素列とするための送りロール2と、送りロール2の前方に配置され、木材要素列の本圧締を行うフィンガーコンポーザー3とによって形成されている。
【0004】
上記木材要素Aを接続するには、図7(a)と(b)において、コンベア機構1で木材要素Aを順次直列に前方へ送り、コンベア機構1の送り速度を送りロール2の送り速度よりも早く設定し、その速度差により、コンベア機構1内にて木材要素Aを送りながら前後木材要素AのフィンガージョイントBを連続的に仮圧入し、仮圧入の接続状態にある木材要素列をフィンガーコンポーザー3に送り込み、先行木材要素Aの先端が長さ決めストッパー4に当接すると、コンベア機構1と送りロール2を停止させ、寸法切断用鋸5で直列に接続された木材要素列の余剰部分を切断する。
【0005】
このようにして所定寸法に切断された木材要素列は、プッシャー6で圧締位置に横送りされ、圧締シリンダ7の作用により木材要素列の切断端にシリンダ7のヘッド部を当接させ、木材要素列を列方向へ加圧すると、加圧にともない先行木材要素の先端がストッパー8に当接して列方向の移動が停止する。
【0006】
この結果、木材要素列は、上記ストッパー8とシリンダ7のヘッド部で挟まれて本圧締されるため、木材要素列は仮圧入されていたフィンガージョイントBが接着剤により対向面が接着一体化され、所定長さの長尺木材となる。
【0007】
なお、圧締時の木材要素列の上部方向と横方向の座屈に対しては、上面押さえと側面押さえによって加圧することにより防止される。
【0008】
また、使用される木材要素Aの長さは、図8(c)と(d)のように、長い物、短い物と種々の長さの木材要素を組み合わせて使用するので、所定長さ寸法の木材要素列を構成する木材要素Aの数は、長い木材要素を使用すれば少なくてすみ、短い木材要素を使用すれば多くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、フィンガージョイントBを圧締して木材要素Aを接続する場合、仮圧入の状態から本圧締を行うと接合面が圧縮され、木材要素列は列方向に縮むことになる。
【0010】
従来のフィンガージョイント用圧締装置は、仮圧入の状態にある木材要素列の長さを長さ決めストッパー4への先端当接により検出して所定長さに切断し、その後、本圧締を行うようにしている。
【0011】
しかし、使用される木材要素Aは、長い物、短い物と種々の長さのものを組み合わせて使用するので、所定長さ寸法の木材要素列を構成する木材要素Aの数は、長い木材要素を使用すれば少なくてすみ、短い木材要素を使用すれば多くなるので、設定寸法の木材要素列を構成する木材要素Aの数とフィンガージョイントBの接続数は、使用する木材要素Aの長さ数の長短により多くなったり少なくなったりすることになる。
【0012】
従って、木材要素列は、本圧締時において、フィンガージョイントBの接続数に比例した長さだけ列方向に縮むことになり、フィンガージョイントBの接続数の多少により縮む寸法が異なるので、完成した木材要素列は設定寸法の長さ方向に対して誤差が発生するという問題がある。
【0013】
また、使用する木材要素Aの上面、下面、両側面の四面が鉋盤加工され、厚みと幅が一定寸法に揃っている場合は、コンベア機構1内にて木材要素Aを送りながら連続的に仮圧入しても、フィンガージョイントBの接合部が半ピッチずれて接合されるという目違いの発生は起こりにくいが、四面が未加工で厚み、幅の揃っていない木材要素Aの場合は、図8(c)と(d)で示したように、フィンガージョイントBの接合に目違いが発生しやすくなるという問題がある。
【0014】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決するため、切断により完成した木材要素列の設定寸法の長さ方向に対して誤差の発生がなく、しかも、フィンガージョイントの接合に目違いが発生しないフィンガージョイント用圧締方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、方法の発明は、長さ方向の先端と後端にフィンガージョイントが加工され、前方に位置するブレーキに向けて長さ方向に送られる木材要素の先端と後端の木口を検知し、木材要素を押圧停止させる前記ブレーキの中央位置に木材要素の後端がない時は、木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように木材要素を送り込み、ブレーキが木材要素を押圧停止させることによって、ブレーキの中央位置に木材要素の後端がある時は、後部木材要素の先端部フィンガージョイントを前部木材要素の後端部フィンガージョイントに挿入するように、ブレーキをかけながら送ることにより、前部木材要素後端と後部木材要素先端のフィンガージョイントの仮圧入を行いながら、後部木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように送り込み、前記動作を繰り返すことにより木材要素の仮圧入を行って前方に送り出し、この送り出された木材要素列の長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にフィンガージョイントの接続が何箇所あるか検出し、このフィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断する構成を採用したものである。
【0016】
上記フィンガージョイントの数は、センサで木材要素の先端と後端の木口を検知した数から割り出し、フィンガーコンポーザーに送り出される木材要素列の長さを計測する測長手段の所定の長さの設定条件に、フィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法の条件を加え、この測長手段によって木材要素の送りロールを制御することができる。
【0017】
また、装置の発明は、長さ方向の先端と後端にフィンガージョイントが加工された木材要素を長さ方向に移動させるための移送路の途中に、長さ方向に送られる木材要素の先端と後端の木口を検知するセンサと、このセンサの前方に位置し、送り込まれた木材要素の前方への送り出しと停止を行う送りロール及び、送り込まれた木材要素を押圧停止させるブレーキを備え、順次供給される木材要素のフィンガージョイントを仮圧入する仮圧入機構と、前記送りロールの前方に位置し、フィンガーコンポーザーに向けて送り出される木材要素列の長さを測定する測長手段と、フィンガーコンポーザーに向けて送り出された木材要素列を所要長さに切断するための切断機構を配置し、前記送りロールは、ブレーキの中央位置に木材要素の後端がない時は、木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように木材要素を送り込み、ブレーキが木材要素を押圧停止させることによって、ブレーキの中央位置に木材要素の後端がある時は、後部木材要素の先端部フィンガージョイントを前部木材要素の後端部フィンガージョイントに挿入するように、ブレーキをかけながら送ることで、前部木材要素後端と後端木材要素先端のフィンガージョイント部の仮圧入を行いながら、後部木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように送り込み、前記動作を繰り返すことにより木材要素の仮圧入を行って前方のフィンガーコンポーザーに送り出すように形成され、前記測長手段と送りロール及び切断機構が、フィンガーコンポーザーに送り出された木材要素列の長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にあるフィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断するようになっている構成を採用したものである。
【0018】
上記仮圧入機構が、木材要素の一方側面を送り方向に誘導する基準定規と、この基準定規に木材要素の一方側面を押付ける側圧定規を備えているようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、フィンガージョイントの仮圧入後において、木材要素列の長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にフィンガージョイントの接続数が何箇所あるか検出し、このフィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断するようにしたので、仮圧入状態の木材要素列の切断長さは、所定長さにフィンガージョイントの接続数に応じた縮み代が付加され、本圧締時に各フィンガージョイントの部分で縮んでも、完成した木材要素列は設定寸法の長さに正確に仕上がることになり、長さ方向に対する誤差の発生がない木材要素列が得られることになる。
【0020】
また、木材要素の一方側面を送り方向に誘導する基準定規に押付けながらフィンガージョイントを仮圧入するようにすると、四面が未加工で厚み、幅の揃っていない木材要素の場合でも、フィンガージョイントの接合において、目違いの発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0022】
図1(a)と(b)は、フィンガージョイント用圧締装置11の使用状態での全体構造を示し、長さ方向の両端にフィンガージョイントが加工され、このフィンガージョイントに接着剤が塗布された木材要素を支持して長さ方向に送る供給機構12の前方に直列に配置されている。
【0023】
上記圧締装置11は、図1と図2のように、長さ方向の先端と後端にフィンガージョイントBが加工された木材要素A(図8参照)を長さ方向に水平移動させるための移送路11aの途中に、長さ方向に送られる木材要素Aの先端と後端の木口を検知するセンサ13と、このセンサ13の前方に位置し、送り込まれた木材要素Aの前方への送り出しと停止を行う第1、第2の送りロール18、19及び、送り込まれた木材要素Aを押圧停止させる第1、第2ブレーキ20、21を備え、順次供給される木材要素AのフィンガージョイントBを仮圧入する仮圧入機構14と、前記第2の送りロール19の前方に位置し、フィンガーコンポーザー15に向けて送り出される木材要素列Cの長さを測定する測長手段16と、フィンガーコンポーザー15に向けて送り出された木材要素列を所要長さに切断するための切断機構である寸法切断用鋸17とで形成され、これらが、木材要素Aの移動方向に沿って順に設けられている。
【0024】
上記センサ13は、光電管、レーセンサ、近接スイッチ等を用い、移送路の側方定位置に配置され、仮圧入機構14に向けて送り込まれる木材要素Aの先端と後端の木口を検知するようになっている。
【0025】
仮圧入機構14は、図2乃至図4に示すように、移送路11aの上に位置する木材要素Aを前方に送るための第1の送りロール18と、同じく第1の送りロール18の前方に所定の間隔を設けて位置する第2の送りロール19と、第1の送りロール18と第2の送りロール19の間に配置した第1のブレーキ20と、第2の送りロール19の前方に設けた第2のブレーキ21とで形成されている。
【0026】
上記第1の送りロール18は、移送路上の木材要素Aを上下から挟む上部ロール18aと下部ロール18bからなり、第2の送りロール19も、移送路上の木材要素Aを上下から挟む上部ロール19aと下部ロール19bからなり、両下部ロール18bと19bはフレーム22上に回転可能に支持され、同一のサーボモータ22aによって同時に駆動され、また、両上部ロール18aと19aはフレーム22の上部に配置した昇降部材23に取付けられ、昇降部材23に設けた同一のサーボモータ24によって同時に駆動されるようになっている。
【0027】
上記両上部ロール18aと19aは、それぞれ昇降部材23に取付けた揺動アーム25の先端で支持され、昇降部材23と揺動アーム25の間に設けたシリンダ26によって木材要素Aを上から押圧し、上下のロール18aと18b及び19aと19bでスリップなく木材要素Aを前方に送り出すようになっている。
【0028】
また、第1のブレーキ20と第2のブレーキ21は、昇降部材23にシリンダ27を介して吊り下げ状に配置され、停止した木材要素Aを上から押圧することにより、停止位置に固定するようになっている。
【0029】
上記測長手段16は、エンコーダ方式を採用し、昇降部材23にシリンダ28を介して測長輪29を上下動可能に取付け、長さ方向に移動する木材要素Aの上に圧接させた測長輪29の回転で木材要素Aの移動長さを検出するようになっている。
【0030】
上記第1の送りロール18と第2の送りロール19、第1のブレーキ20と第2のブレーキ21、測長手段16は、昇降部材23の上下位置を調整することにより、木材要素Aの厚みの変化に対応することができる。
【0031】
上記仮圧入機構14には、木材要素Aを長さ方向に移動させるための移送路を挟んで一方側方の位置に、木材要素Aの一方側面を送り方向に誘導するよう固定配置した基準定規30と、同他方側の位置に配置され、前記基準定規30に向けて木材要素Aの一方側面を押付ける側圧定規31aが設けられ、木材要素AのフィンガージョイントBの接合において、目違いの発生を防ぐことができるようになっている。
【0032】
図2のように、基準定規30は、木材要素Aの移動方向に長い直線状となり、例えば、供給機構12の位置から第2ブレーキ21の付近位置に達する長さを有し、また、側圧定規31aは、図5のように、基準定規30と平行配置で基準定規30との間隔が調整可能となり、この側圧定規31aに枢軸32を支点として揺動可能となる可動定規31bと、この可動定規31bを揺動させるため側圧定規31aと可動定規31bの間に設けたシリンダ等の押圧部材33を備えている。
【0033】
上記側圧定規31aは、センサ13の付近の位置から第2ブレーキ21の付近位置に達する長さを有し、木材要素Aに対する押圧縁の途中に長さ方向への長い凹欠部34が設けられている。
【0034】
上記可動定規31bは、その後端が側圧定規31aの後端側上面に枢軸32で枢止され、可動定規31bの後端から外側へ突出する突腕35が押圧部材33と連結され、凹欠部34上の位置で平面的に揺動可能となる配置となり、押圧部材33の伸長作動によって、木材要素Aを基準定規30に向けて先端側で押圧するようになっており、この可動定規31bは第1の送りロール18と第1ブレーキ20の間で木材要素Aを基準定規30に向けて押圧する。
【0035】
また、側圧定規31aの両端部寄りで外側の位置に、木材要素Aの移動方向と直角方向に移動可能となる可動台45、46が配置され、両可動台45、46はそれぞれの送りねじ軸47、48をスプロケット49、50とチエン51を用いて連動し、一方の送りねじ軸47に設けたハンドル52の回転操作によって同調して進退動するようにし、後部側可動台45に固定した支持板53の先端に側圧定規31aの後端部寄りの位置を枢軸54で枢止し、この枢軸54を中心に側圧定規31aを平面的に回動可能とすると共に、先端側可動台46に設けたシリンダ等の押圧部材55と側圧定規31aの先端部の位置を枢止連結している。
【0036】
従って、側圧定規31aは、基準定規30との間隔が、ハンドル52の回転操作により木材要素Aの幅に合うよう調整可能となると共に、シリンダ等の押圧部材55によって先端側で木材要素Aを基準定規30に向けて押圧することができ、上記した可動定規31bと共同で、前後の木材要素Aを基準定規30に押付けることによってフィンガージョイントBを目違いのないよう仮圧入できることになる。
【0037】
ここで、本圧締を行うフィンガーコンポーザー15は、図1、図2、図6のように、測長手段16の前部に、直列に接続された木材要素列Cの余剰部分を切断する寸法切断用鋸17を有し、前記移送路の一方側方に圧締位置36を並列して設け、移送路15aの他方側方に木材要素列Cを圧締位置36に横送りするプッシャー37を配置し、圧締位置36には後端に圧締シリンダ38と先端にストッパー39を設け、木材要素列Cがプッシャー37で圧締位置36に横送りされると、切断端にシリンダ38のヘッド部を当接させて木材要素列Cを列方向へ加圧し、加圧にともない先行木材要素Aの先端がストッパー39に当接して列方向の移動が停止すれば、木材要素列Cが上記ストッパー39とシリンダ38のヘッド部で挟まれて本圧締されるため、木材要素列Cは仮圧入されていたフィンガージョイントBが接着剤により対向面が接着一体化され、所定長さの長尺木材となる。
【0038】
なお、圧締時の木材要素列の上部方向と横方向の座屈に対しては、上部押え44と側面押え42によって加圧することにより防止される。
【0039】
本圧締された圧締位置36の木材要素列Cは、一方側面をシリンダ40で昇降自在となって規制するシャッタープレート41の下降と側面押え42の進出による押し出しによって圧締位置36の一方側方に取出されることになる。
【0040】
この発明のフィンガージョイント用圧締装置は、上記のような構成であり、次に、この装置を用いたフィンガージョイント用圧締方法を説明する。
【0041】
長さ方向の先端と後端にフィンガージョイントBが加工され、このフィンガージョイントBに接着剤が塗布された木材要素Aが、供給機構12から仮圧入機構14に向けて送り込まれると、通過する木材要素Aの先端と後端の木口をセンサ13で検知する。
【0042】
仮圧入機構14は、第1および第2の送りロール18、19が木材要素Aの送り方向に回転し、送り込まれた木材要素Aを上下から挟んで前方に送ることになるが、この時、図2において、木材要素Aを上から押圧して停止させる第1ブレーキ20の中央センター位置Xに木材要素Aの後端がない時は、上記センサ13による先端と後端の木口の検知情報に基づき、木材要素Aの後端が第1ブレーキ20の中央位置Xにくるように第1および第2の送りロール18、19を制御する。
【0043】
また、第1ブレーキ20の中央位置Xに木材要素Aの後端のフィンガージョイントBがある時は、第2の送りロール19を上昇させて送りが作用しないようにして、第1ブレーキ20と第2ブレーキ21をかけたままの状態で第1の送りロール18で木材要素Aの先端フィンガージョイントBを第1ブレーキ20の中央位置Xにて待機している木材要素の後端のフィンガージョイントBに押し込むように送り込み、これによって、第1ブレーキ20と第2ブレーキ21間にてフィンガージョイントBの仮圧入を行い、仮圧入後に木材要素列Cの後端がブレーキ20の中央位置Xにくるように、第1および第2の送りロール18、19と第1、第2ブレーキ20、21を制御して木材要素Aを送り込む。
【0044】
この仮圧入時において、固定配置した基準定規30と側圧定規31aの間隔を、予め使用する木材要素Aの最大幅に適合する間隔に調整しておき、第1の送りロール18に向けて進入する木材要素Aは、基準定規30と側圧定規31aの間を移動し、第1の送りロール18に達した木材要素Aは、側圧定規31aと側圧定規31aに取付けた可動定規31bで基準定規30に向けて弾力的に押圧されるので、基準定規30を基準に一方側面が送り方向に誘導されることになる。
【0045】
従って、第1ブレーキ20の部分で行うフィンガージョイントBの仮圧入は、木材要素Aの一方側面が基準定規30に揃えられ、これにより、幅の異なる木材要素Aが混在している場合でも、図8(a)、(b)のように、フィンガージョイントBの仮圧入において、目違いの発生を確実に防ぐことができることになる。
【0046】
前記のような仮圧入の動作を繰り返すことにより木材要素Aは接続され、接続された木材要素列Cは後方のフィンガーコンポーザー15に送り出され、この送り出される木材要素列Cの長さを測長手段16で計測する。
【0047】
このようにして、木材要素列Cが形成され、木材要素列Cを所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にフィンガージョイントBの接続数が何箇所あるか検出し、このフィンガージョイントBの接続数にフィンガージョイントBの仮圧入状態から後述する本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断する。
【0048】
即ち、フィンガージョイントBの接続数は、センサ13で木材要素Aの先端と後端の木口を検知した数から割り出し、制御手段において、フィンガーコンポーザー15に送り出される木材要素列Cの長さを計測する測長手段16の所定の長さの設定条件に、フィンガージョイントBの接続数に一つのフィンガージョイントBの接続部分の仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法の条件を加える。
【0049】
上記フィンガージョイントBの仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分の長さの設定は、仮圧入状態から本締を所定回数行い、その都度縮み代を測定して平均値を出すことによって得ることができ、この縮み代分の長さの情報を制御手段に入力しておき、制御手段は、これに、フィンガージョイントBの接続数を乗じた長さを、所定の長さの設定条件に加える演算を行い、測長手段16の測定長さが所定の長さに縮み代分を乗じた長さ寸法に達した時点で第1及び第2の送りロール18、19を停止させるようになっている。
【0050】
実際には、測長手段16の前方に寸法切断用鋸17が位置するため、測長手段16のセンターから寸法切断用鋸17のセンターまでの距離の長さが、制御機構に入力された所定の長さに予め加算されており、従って、フィンガーコンポーザー15に向けて送り出される木材要素列Cの長さを測長手段16で測定し、所定の長さにフィンガージョイントBの接続数にフィンガージョイントBの縮み代分を乗じた長さ寸法を加えた長さに達して木材要素列Cを停止させると、木材要素列Cの切断しようとする位置が寸法切断用鋸17の直上に位置することになる。
【0051】
フィンガーコンポーザー15に向けて送り出される木材要素列Cの長さが、所定の長さにフィンガージョイントBの接続数にフィンガージョイントBの縮み代分を乗じた長さ寸法になってこの木材要素列Cが停止すると、寸法切断用鋸17が作動して木材要素列Cの余剰部分を切断除去する。
【0052】
フィンガーコンポーザー15は、移送路上で木材要素列Cが切断されると、前記移送路15aの一方側方に配置したプッシャー37で木材要素列Cを圧締位置36に押し、圧締位置36では、切断端から圧締シリンダ38のシリンダヘッド部で木材要素列Cを押圧することで、ストッパー39に木材要素列Cの先端が当接し、これによって木材要素列Cを列方向へ加圧し、木材要素列Cが上記ストッパー39とシリンダ38で挟まれてフィンガージョイントBが本圧締されるため、木材要素列Cは仮圧入されていたフィンガージョイントBが接着剤により対向面が接着一体化され、所定長さの長尺木材となる。
【0053】
なお、この時、圧締時の木材要素列の上部方向と横方向の座屈に対しては、上部押え44と側面押え42によって加圧することにより防止される。
【0054】
上記のように、フィンガージョイントBの仮圧入後において、木材要素列Cの長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にフィンガージョイントBの接続数が何箇所あるか検出し、このフィンガージョイントBの接続数にフィンガージョイントBの縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断するので、仮圧入状態の木材要素列Cの切断長さは、所定長さにフィンガージョイントBの接続数に応じた縮み代が付加され、本圧締時に各フィンガージョイントBの接続部分が縮んでも、完成した木材要素列Cは設定寸法の長さに正確に仕上がることになり、長さ方向に対する誤差の発生がない木材要素列Cが得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)はフィンガージョイント用圧締装置の使用状態を示す全体構造の平面図、(b)は同正面図
【図2】圧締装置の拡大した正面図
【図3】圧締装置の拡大した平面図
【図4】図2の矢印IV−IVから見た圧締装置の拡大した縦断側面図
【図5】圧締装置に設けた定規の拡大した平面図
【図6】フィンガーコンポーザーの拡大した縦断側面図
【図7】(a)は従来のフィンガージョイント用圧締装置を示す全体構造の平面図、(b)は同正面図
【図8】(a)はこの発明のフィンガージョイント用圧締装置を用いて接続した木材要素列の平面図、(b)は同正面図、(c)は従来のフィンガージョイント用圧締装置を用いて接続した木材要素列の平面図、(d)は同正面図
【符号の説明】
【0056】
11 フィンガージョイント用圧締装置
12 供給機構
13 センサ
14 仮圧入機構
15 フィンガーコンポーザー
16 測長手段
17 寸法切断用鋸
18 第1の送りロール
19 第2の送りロール
20 第1のブレーキ
21 第2のブレーキ
22 フレーム
22a サーボモータ
23 昇降部材
24 サーボモータ
25 揺動アーム
26 シリンダ
27 シリンダ
28 シリンダ
29 測長輪
30 基準定規
31a 側圧定規
31b 可動定規
32 枢軸
33 押圧部材
34 凹欠部
35 突腕
36 圧締位置
37 プッシャー
38 圧締シリンダ
39 ストッパー
40 シリンダ
41 シャッタープレート
42 側面押え
43 シリンダ
44 上部押え
45 可動台
46 可動台
47 送りねじ軸
48 送りねじ軸
49 スプロケット
50 スプロケット
51 チエン
52 ハンドル
53 支持板
54 枢軸
55 押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向の先端と後端にフィンガージョイントが加工され、前方に位置するブレーキに向けて長さ方向に送られる木材要素の先端と後端の木口を検知し、木材要素を押圧停止させる前記ブレーキの中央位置に木材要素の後端がない時は、木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように木材要素を送り込み、ブレーキが木材要素を押圧停止させることによって、ブレーキの中央位置に木材要素の後端がある時は、後部木材要素の先端部フィンガージョイントを前部木材要素の後端部フィンガージョイントに挿入するように、ブレーキをかけながら送ることにより、前部木材要素後端と後部木材要素先端のフィンガージョイントの仮圧入を行いながら、後部木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように送り込み、前記動作を繰り返すことにより木材要素の仮圧入を行って前方に送り出し、この送り出された木材要素列の長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にフィンガージョイントの接続が何箇所あるか検出し、このフィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断することを特徴とするフィンガージョイント用圧締方法。
【請求項2】
上記フィンガージョイントの接続数は、センサで木材要素の先端と後端の木口を検知した数から割り出し、フィンガーコンポーザーに送り出される木材要素列の長さを計測する測長手段の所定の長さの設定条件に、フィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの仮圧入状態から本締を行った場合に生じる縮み代分を乗じた長さ寸法の条件を加え、この測長手段によって木材要素の送りロールを制御することを特徴とする請求項1に記載のフィンガージョイント用圧締方法。
【請求項3】
長さ方向の先端と後端にフィンガージョイントが加工された木材要素を長さ方向に移動させるための移送路の途中に、長さ方向に送られる木材要素の先端と後端の木口を検知するセンサと、このセンサの前方に位置し、送り込まれた木材要素の前方への送り出しと停止を行う送りロール及び、送り込まれた木材要素を押圧停止させるブレーキを備え、順次供給される木材要素のフィンガージョイントを仮圧入する仮圧入機構と、前記送りロールの前方に位置し、フィンガーコンポーザーに向けて送り出される木材要素列の長さを測定する測長手段と、フィンガーコンポーザーに向けて送り出された木材要素列を所要長さに切断するための切断機構を配置し、
前記送りロールは、ブレーキの中央位置に木材要素の後端がない時は、木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように木材要素を送り込み、ブレーキが木材要素を押圧停止させることによって、ブレーキの中央位置に木材要素の後端がある時は、後部木材要素の先端部フィンガージョイントを前部木材要素の後端部フィンガージョイントに挿入するように、ブレーキをかけながら送ることで、前部木材要素後端と後部木材要素先端のフィンガージョイント部の仮圧入を行いながら、後部木材要素の後端がブレーキの中央位置にくるように送り込み、前記動作を繰り返すことにより木材要素の仮圧入を行って前方のフィンガーコンポーザーに送り出すように形成され、
前記測長手段と送りロール及び切断機構が、フィンガーコンポーザーに送り出された木材要素列の長さを計測して所定の長さで切断する場合に、所定の長さの中にあるフィンガージョイントの接続数にフィンガージョイントの縮み代分を乗じた長さ寸法を加えて切断するようになっているフィンガージョイント用圧締装置。
【請求項4】
上記仮圧入機構が、木材要素の一方側面を送り方向に誘導する基準定規と、この基準定規に木材要素の一方側面を押付ける側圧定規を備えている請求項3に記載のフィンガージョイント用圧締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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