説明

フィールド変調誘電材料を備えた電子物品監視ラベル

【課題】フィールド変調誘電材料を使用するマイクロ波ラベルの方法および装置を提供する。
【解決手段】EASシステム100は、問合せ域122などの問合せ域を監視するように構成されている監視機器を備える。監視機器は、問合せ域122内のセキュリティタグの存在を検出するように構成する。EASシステム100は、送信器102、セキュリティタグ106、受信器116、コントローラ118、警報装置120、および磁界発生器124を備える。セキュリティタグはマーカーを備え、該マーカは無線周波数に動作可能なように応答し、ある反射係数を有するフィールド変調誘電材料を備え、問合せ信号を受信し、この信号により前記マーカーに応答信号を発生させ、変調信号を受信し、前記変調信号と同期して前記フィールド変調誘電材料の前記反射係数を変化させ、前記応答信号を変調して、変調応答信号を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子物品監視(EAS)システムは、管理エリアからアイテムを無許可で取り出すことを防止するように設計されている。
【背景技術】
【0002】
標準的なEASシステムは、監視システムおよび1つまたは複数のセキュリティタグを備えることができる。監視システムは、管理エリア用のアクセスポイントに問合せ域を作成することができる。セキュリティタグは、衣料品などの物品に留めることができる。タグ付きアイテムが問合せ域に入ると、警報が発報され、管理エリアからタグ付きアイテムが無許可で取り出されることを指示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
EASシステムの望ましい特性として、問合せ域が広いこと、およびセキュリティタグが小型で柔軟性が高いことなどがあげられる。しかし、これらの特性は、通常、反比例する。例えば、マイクロ波信号を使用するEASシステムは、通常、有効範囲が広いが、大きなセキュリティタグを必要とする。同様に、低周波信号を使用するEASシステムは、通常、有効範囲が狭いが、小型のセキュリティタグで済む。したがって、これらの問題およびその他の問題を解決するために従来のEASシステムの改善が必要になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1は、EASシステム100を例示している。EASシステム100は、問合せ域122などの問合せ域を監視するように構成されている監視機器を備えることができる。監視機器は、問合せ域122内のセキュリティタグの存在を検出するように構成することができる。一実施形態では、EASシステム100は、送信器102、セキュリティタグ106、受信器116、コントローラ118、警報装置120、および磁界発生器124を備えることができる。図1は限られた数の要素を示しているが、システム100では、追加要素をいくつでも使用できることは理解できるであろう。これらの実施形態は、この文脈に制限されない。
【0005】
一実施形態では、EASシステム100は送信器102を備えることができる。送信器102は、マイクロ波範囲で動作する無線周波(RF)信号などの電磁信号を送信するように構成された送信器システムを備えることができる。マイクロ波信号は、例えば、2.45ギガヘルツ(GHz)マイクロ波信号または915メガヘルツ(MHz)マイクロ波信号を含むことができるが、これらの実施形態はこの関係に制限されない。送信器102は、出力段に操作可能なように結合された送信器アンテナを備えることができ、さらに出力段はコントローラ118などのコントローラに接続される。出力段は、高周波電流を発生する回路を含む各種の従来の駆動および増幅回路を備えることができる。高周波電流が送信器アンテナに供給される場合、送信器アンテナは、送信器アンテナの周りに高周波電磁信号104を発生することができる。電磁信号104は、問合せ域122内に伝搬することができる。電磁信号104はマイクロ波信号として説明されているが、電磁信号104は、セキュリティタグ106で動作するように適切に同調されたRF信号であればどのような信号でもよい。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0006】
一実施形態では、EASシステム100はセキュリティタグ106を備えることができる。セキュリティタグ106は、監視すべきアイテムに取り付けるように設計することができる。タグ付きアイテムの例としては、衣料品、デジタルビデオディスク(DVD)またはコンパクトディスク(CD)ジュエルケース、レンタル映画用容器、包装材料などがある。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0007】
一実施形態では、セキュリティタグ106は、マーカー108を備えることができる。例えば、マーカー108は、マイクロ波周波数で動作することができるフィールド変調誘電材料を備えることができる。より具体的には、マーカー108のフィールド変調誘電材料は、ある反射係数を持ちうる。反射係数は、反射された波の振幅と入射波の振幅との比を表すことができる。例えば、反射波と入射波は、電磁信号104がマーカー108に影響を及ぼす場合に生成されうる。一実施形態では、フィールド変調誘電材料の反射係数は、変調信号126などの低周波変調信号を使用して変更されることが可能である。反射係数の変更は、図2〜4でさらに詳しく説明されているように、変調応答信号114を形成するために使用されることができる。
【0008】
一実施形態では、マーカー108は、セキュリティタグ本体またはセキュリティタグ106のハウジング上またはその中に配置されるようにできる。セキュリティタグ本体は、マーカー108を支えるように設計されている柔らかいまたは堅い構造物とすることができる。代替えとして、セキュリティタグ本体は省かれることができ、マーカー108はセキュリティタグ106全体を収納できる。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0009】
一実施形態では、EASシステム100は受信器116を備えることができる。受信器116は、送信器102からの電磁信号104だけでなく、マーカー108からの変調された応答信号114をも受信するように構成された受信器システムを備えることができる。例えば、受信器116は、帯域通過フィルタ、ミキサ、および増幅器回路などの従来の増幅および信号処理回路を備えることができる。さらに、受信器116は、変調された応答信号114を受信し処理するように構成された、コントローラ118に接続された出力段を備えることができる。その後、処理された信号は、コントローラ118に転送され、検出オペレーションを実行できる。
【0010】
一実施形態では、EASシステム100は発生器124を備えることができる。発生器124は、マーカー108を実装するため選択されたフィールド変調誘電材料の組成に応じて、電界または磁界を発生するように構成できる。例えば、一実施形態では、発生器124は、変調信号126を形成する1ヘルツから100キロヘルツ(KHz)の範囲で動作する電界発生器を備えることができる。例えば、他の実施形態では、発生器124は、変調信号126を形成する1〜10KHzの範囲で動作する低周波交流(AC)磁界を発生するコイル配置を備えることができる。発生器124は、問合せ域122と同じエリアをカバーする十分な強度の電界または磁界を発生するように構成できる。
【0011】
一実施形態では、EASシステム100はコントローラ118を備えることができる。コントローラ118は、EASシステム100のさまざまなオペレーションを管理するように構成された処理および制御システムを備えることができる。例えば、コントローラ118は、同期信号を送信器102に送信することができる。マーカー108の交信および検出は送信器102により使用される同様の周波数で行われるため、送信信号104はマーカー108の検出に干渉する場合がある。したがって、EASシステム100は、「パルス発生システム」として実現されることができ、そこでは、送信器102および受信器116は、オンオフが交互に行われ、これにより受信器116での干渉を低減する。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0012】
一実施形態では、コントローラ118は受信器116から処理された信号を受信することができる。コントローラ118は、処理された信号を使用して、セキュリティタグ106が問合せ域122内にあるか否かを決定することができる。例えば、変調された応答信号114は、中心周波数周辺に多数の検出可能側帯波を含む場合がある。セキュリティタグ106が問合せ域122内にあるか否かを決定するために、少なくとも1つの側帯波が使用可能である。問合せ域122内でセキュリティタグ106が検出された場合、コントローラ118は、検出信号を発生し、その信号を警報装置120に転送することができる。
【0013】
一実施形態では、EASシステム100は警報装置120を備えることができる。警報装置120は、警報信号に応答して警報を発する警報装置であればどのような警報装置でもよい。コントローラ118などの任意の個数のEASコンポーネントから警報信号が受信されるようにできる。警報装置120は、警報を発するように条件またはルールをプログラムするためのユーザインターフェイスを備えることができる。警報の例としては、サイレンまたはベルなどの可聴警報、ライトの点滅などの視覚警報、または無音警報などがある。無音警報は、例えば、セキュリティ会社の監視システムに送られるメッセージなどの耳に聞こえない警報がある。メッセージは、コンピュータネットワーク、電話網、ページングネットワークなどを介して送信されることができる。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0014】
一般的なオペレーションでは、送信器102は、信号104を問合せ域122に伝達することができる。発生器124は、変調信号126を問合せ域122に送信することができる。マーカー108は、信号104を受信し、マーカー108の反射係数で変調された2つの混合信号の積で決定された周波数で応答信号を送信することができる。変調信号126は、マーカー108の反射係数の変化を引き起こし、それにより、マーカー108からの応答信号を変調して変調応答信号114を形成することができる。受信器116は、変調応答信号114を受信し、その信号を処理して電流にし、処理された信号をコントローラ118に送ることができる。コントローラ118は、受信器116から信号を受信して分析し、セキュリティタグ106が問合せ域122内にあるか否かを決定することができる。
【0015】
一実施形態では、送信器110、受信器116、およびコントローラ118は、本明細書で説明されている原理を使用して修正されたような、Sensormatic(登録商標)Corporationによって製造されるDigital Microwave System(DMS)915などの従来のEASシステムからの要素とすることができる。しかし、異なるEASシステムも、いくつかの実施形態を実装するのに好適な場合がある。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0016】
図2Aおよび2Bは、マーカー200に対する1組の図である。マーカー200は、例えば、マーカー108を表すものとすることができる。一実施形態では、マーカー200は、RFエネルギーに応答し動作する、ある反射係数を持つ、フィールド変調誘電材料を備えることができる。マーカー200は、マーカー200に応答信号を発生させる問合せ信号104を受信するように構成することができる。マーカー200は、さらに、変調信号126を受信し、変調信号126と同期してフィールド変調誘電材料の反射係数を変化させることもできる。反射係数の変化は応答信号を変調し、変調応答信号114を形成することができる。
【0017】
一実施形態では、マーカー200のフィールド変調誘電材料は、ある形態の電子ペーパーを含むことができる。電子ペーパーは、紙の特性の多くを有するディスプレイ材料を含むことができる。例えば、電子ペーパーは、画像を格納するために使用でき、反射光で見ることもでき、比較的広い視角を備え、比較的薄く曲げやすい。しかし、従来の紙と異なり、電子ペーパーは、電気的書き込み可能、消去可能である。電気信号の制御の下で異なるテキスト、グラフィックス、および画像を表示するために、電子ペーパー1枚が再利用可能である。
【0018】
図2Aおよび2Bは、第1の形態の電子ペーパーを使用して実現されるようなマーカー200を例示している。一実施形態では、マーカー200は、Xerox Palo Alto Research Center(PARC)によって開発された「Gyricon」シートに類似のある形態の電子ペーパーを使用して実現できる。Gyriconシートは、透明プラスチック204などの薄いポリマーマトリクス内に埋め込まれた多数の(例えば、数百万の)ミクロスフィア202を備えることができる。
【0019】
一実施形態では、ミクロスフィア202は、表面210と212との間にランダムに分散され、それぞれのミクロスフィア202はキャビティ214内に収まるようにできる。キャビティ214は、各ミクロスフィア202がキャビティ214内で自由に回転できるようにするオイル注入キャビティを備えることができる。ミクロスフィア202は、少なくとも2つの異なる反射係数を有する、材料で作られている、またはそのような材料でコーティングされている半球を持つ「2色」とすることができる。それぞれの半球について選択された材料は、反射係数間の比較的高いコントラスト比を実現する反射係数を持たなければならない。このコントラスト比で反射係数の差が十分に大きなものとなり、反射されたマイクロ波キャリア信号上で観察可能な検出可能変調側帯波を発生する必要がある。例えば、第1の側は、金属などの、反射性の高い第1の係数を持つ材料を含むことができる。第2の側は、カーボンなどの、吸収性の高い第2の係数を持つ材料を含むことができる。より具体的な例では、ミクロスフィア202の第1の側216は、白色の二酸化チタンでコーティングまたは塗装することができるが、ミクロスフィア202の第2の側218は、ブラックカーボンでコーティングまたは塗装することができる。しかし、与えられた実現に対する特定の材料および特定の反射係数は、EASシステムの動作周波数、問合せ域の面積、検出距離などのさまざまなファクタにより異なることがある。これらの実施形態は、この関連に制限されない。
【0020】
一実施形態では、ミクロスフィア202は、電界を印加することにより回転させることができる。ミクロスフィア202は、電気双極子を示すように帯電できる。対応する導体を介して電界がミクロスフィア202に印加されると、ミクロスフィア202は回転し、一方の側または他方の側をそれぞれ表面210または212に見せる。図2Aに示されているように、第1の電界がミクロスフィア202に印加されると、それらは第1の方向206に回転し、表面210に向かって第1の側216上で第1の反射係数を有する白色を表示するようにできる。ミクロスフィア202の位置は、第2の電界がミクロスフィア202に印加されるまで持続することができる。図2Bに示されているように、第2の電界がミクロスフィア202に印加されると、それらは第2の方向208に回転し、表面212に向かって第2の側218上で第2の反射係数を有する黒色を表示するようにできる。
【0021】
一実施形態では、変調信号126は、マーカー200のミクロスフィア202の回転の制御に使用できる。ミクロスフィア202の回転は、フィールド変調誘電材料の光学反射係数を変化させることができる。したがって、信号104がマーカー200の表面210および/または表面212から反射されると、反射係数の変化は、反射されたマイクロ波キャリア信号の周りに変調側帯波を発生させ、変調応答信号114を形成することができる。そのため、変調応答信号114は、問合せ域122内でマーカー200の存在を検出するために使用できる。
【0022】
図3は、第2の形態の電子ペーパーを使用してマーカー200を実現するマイクロカプセルを例示している。一実施形態では、マーカー200は、E−インク Corporationによって開発された「electrophoretic ink(起電インク)」または「e−インク」シートに類似のある形態の電子ペーパーを使用して実現できる。e−インクシートは、概念上、Gyriconシートに似ているが、ただし、e−インクシートでは非回転球を使用する点が異なる。代わりに、e−インクシートは、それぞれ高コントラスト比を持つ材料を含む、または材料でコーティングされている正負に帯電した微粒子を収めた透明ポリマーマイクロカプセル300を含むことができる。例えば、正に帯電した微粒子302は、白色二酸化チタンを含み、負に帯電した微粒子304は、青色液体染料を含むことができる。微粒子の移動は電気泳動法を使用して制御され、この移動は、液体中に懸濁されている荷電粒子に電界により与えられる移動である。第1の電界がマイクロカプセルの上部と下部に配置された電極に印加されると、正に帯電した粒子302は方向310で正電極に移動し、負に帯電した粒子304は方向312で負電極に移動し、それによって、マイクロカプセル300の第1の側306上に第1の反射係数を持つ白色微粒子302およびマイクロカプセル300の第2の側308上に第2の反射係数を持つ黒色微粒子304を表示する。第2の電界が電極に印加されると、逆のことが行われ、正に帯電した粒子302は、方向312の負の電極に移動し、負に帯電した粒子304は、方向310の正の電極に移動し、それによって、マイクロカプセル300の第1の側306上に黒色微粒子304およびマイクロカプセル300の第2の側308上に白色微粒子302を表示する。
【0023】
一実施形態では、変調信号126は、マーカー200のミクロスフィア300の帯電粒子の移動の制御に使用できる。微粒子の移動は、フィールド変調誘電材料の光学反射係数を変化させることができる。したがって、信号104がマーカー200の表面210および/または表面212から反射されると、反射係数の変化は、反射されたマイクロ波キャリア信号の周りに変調側帯波を発生させ、変調応答信号114を形成することができる。そのため、変調応答信号114は、問合せ域122内でマーカー200の存在を検出するために使用できる。
【0024】
上記システム100およびマーカー200のオペレーションについては、図および随伴する例を参照してさらに説明できる。図のいくつかは、プログラミング論理を含む場合がある。本明細書で提示されているこのような図は特定のプログラミング論理を含むことができるが、プログラミング論理は、単に、本明細書で説明されている一般的機能の実現の仕方の一例を示しているにすぎない。さらに、断りのない限り、所定のプログラミング論理は、掲示されている順序で必ずしも実行されるわけではない。さらに、所定のプログラミング論理は、本明細書では、上記のモジュールを実現するものとして説明できるが、プログラミング論理は、システム内のどこにでも実現することができ、しかも、これらの実施形態の範囲内にあることは理解できるであろう。
【0025】
図4は、プログラミング論理400のブロック図である。図4は、システム100および/またはマーカー200などの、本明細書で説明されている1つまたは複数のシステムにより実行されるオペレーションを表すことができるプログラミング論理400を例示している。プログラミング論理400に示されているように、ブロック402でマイクロ波エネルギーに動作できるように応答し、ある反射係数を持つ、フィールド変調誘電材料を含むマーカーで問合せ信号が受信できる。ブロック404で問合せ信号に応答して応答信号が発生されるようにできる。ブロック406で、変調信号はマーカーで受信されることができる。マーカーに対する反射係数を変化させることにより、応答信号は変調信号への応答として変調され、ブロック408で変調応答信号を形成することができる。
【0026】
一実施形態では、変調信号は、第1の電界を発生し、変調は、フィールド変調誘電材料内の複数のミクロスフィアを第1の方向に回転させ、第1の電界に対する応答として第1の側に第1の反射係数を表示することを含む。一実施形態では、変調信号は、第2の電界を発生し、変調は、複数のミクロスフィアを第2の方向に回転させ、第2の電界に対する応答として第2の側に第2の反射係数を表示することを含む。第1の反射係数および第2の反射係数は、応答信号を変調し、変調応答信号を形成することができる。
【0027】
一実施形態では、変調信号により、マーカーは第1の電界を発生することができ、変調は、正に帯電した微粒子をマイクロカプセルの正電極に移動し、負に帯電した微粒子をマイクロカプセルの負電極に移動して、マイクロカプセルの第1の側に第1の反射係数およびマイクロカプセルの第2の側に第2の反射係数を、第1の電界に対する応答として表示することを含む。一実施形態では、変調信号により、マーカーは第2の電界を発生することができ、変調は、正に帯電した微粒子を負電極に移動し、負に帯電した微粒子を正電極に移動して、第1の側に第2の反射係数および第2の側に第1の反射係数を、第2の電界に対する応答として表示することを含む。第1の反射係数および第2の反射係数は、応答信号を変調し、変調応答信号を形成することができる。
【0028】
電界を使用して変調が実行される場合、外部変調場をフィールド変調誘電材料内に結合する方法は数種類ありうる。電極は、フィールド変調誘電材料の片面または両面上にスクリーンパターンを使用して行列の形に印刷されることが可能である。代替えとして、変調場が8から15MHzなどの無線周波(RF)範囲で出現した場合、らせん形インダクタパターンが使用可能である。電界は、インダクタの巻線間に存在する。
【0029】
磁界を使用して変調が実行される場合、印刷された導体パターンの必要はないであろう。この場合、フィルムだけで、検出に対する必要なすべての特性を備える。
一実施形態では、本明細書で説明されている原理は、無線周波識別(RFID)システムで適用されることが可能である。例えば、RFIDチップは、らせん型インダクタに接続され、その電力を、例えば約13.56MHzで動作している外部RF場から受け取ることができる。その後、RFIDチップは、材料のマイクロ波特性を変調し、比較的長い範囲にわたってコーディングされた信号を供給する。
【0030】
本明細書では、複数の実施形態を完全に理解できるように、多数の特有の詳細が述べられた。ただし、当業者にとっては、本実施形態はこれらの具体的詳細が取りあげられなくても実施できることは明白であろう。他の場合、よく知られているオペレーション、コンポーネント、および回路は、これらの実施形態を分かりにくくしないために、詳細には説明されていない。本明細書で開示されている特定の構造および機能の詳細は、代表的なものであり、本実施形態の範囲を必ずしも制限しないことは理解されるであろう。
【0031】
「一実施形態」と記述されている場合、これは、その実施形態に関して説明されている特定の機能、構造、または特性が少なくとも一実施形態に含まれることを意味することに留意されたい。「一実施形態」という語句が明細書のさまざまな箇所に記載されていても、必ずしもすべて同じ実施形態を参照しているとは限らない。
【0032】
一実施形態の全部または一部は、所望の計算速度、電力レベル、耐熱性、処理サイクル量、入力データレート、出力データレート、メモリ資源、データバス速度、およびその他のパフォーマンスに対する制約条件などの多数のファクタに応じて異なる可能性のあるアーキテクチャを使用して実現できる。例えば、一実施形態は、プロセッサにより実行されるソフトウェアを使用して実現できる。他の実施例では、一実施形態は、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、またはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの専用ハードウェアとして実現できる。さらに他の実施例では、プログラムされた汎用コンピュータコンポーネントおよびカスタムハードウェアコンポーネントの任意の組み合わせにより実現できる。これらの実施形態は、この文脈に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】システム100のブロック図である。
【図2】図2Aは、マーカー200の図である。 図2Bは、マーカー200の図である。
【図3】フィールド変調誘電材料のマイクロカプセル300の図である。
【図4】処理論理回路400のブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
100 EASシステム
102 送信器
104 電磁信号
106 セキュリティタグ
108 マーカー
114 応答信号
116 受信器
118 コントローラ
120 警報装置
122 問合せ域
124 磁界発生器
126 変調信号
200 マーカー
202 ミクロスフィア
204 透明プラスチック
210と212 表面
214 キャビティ
216 第1の側
218 第2の側
300 透明ポリマーマイクロカプセル
302 正に帯電した微粒子
304 負に帯電した微粒子
306 第1の側
308 第2の側
400 プログラミング論理
915 Digital Microwave System(DMS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数に動作可能なように応答し、ある反射係数を有するフィールド変調誘電材料を備えるマーカーであって、前記マーカーは問合せ信号を受信し、この信号により前記マーカーに応答信号を発生させ、前記マーカーは変調信号を受信し、前記変調信号と同期して前記フィールド変調誘電材料の前記反射係数を変化させ、前記応答信号を変調して、変調応答信号を形成する、マーカーを備えるセキュリティタグ。
【請求項2】
前記フィールド変調誘電材料は、ポリマーマトリクス内に埋め込まれた複数のミクロスフィアを含み、前記ミクロスフィアは前記変調信号に応答して前記ポリマーマトリクス内で回転し、それぞれのミクロスフィアは第1の側に第1の反射係数、および第2の側に第2の反射係数を有する、請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項3】
前記変調信号は、第1の電界および第2の電界を発生し、前記第1の電界は前記ミクロスフィアを第1の方向に回転させて前記第1の側で前記第1の反射係数を表示し、前記第2の電界は前記ミクロスフィアを第2の方向に回転させて前記第2の側で前記第2の反射係数を表示する、請求項2に記載のセキュリティタグ。
【請求項4】
前記応答信号は変調され、前記回転に従って前記変調された応答信号を形成する、請求項3に記載のセキュリティタグ。
【請求項5】
前記フィールド変調誘電材料は、複数のマイクロカプセルを含み、それぞれのマイクロカプセルは第1の側に正電極を、第2の側に負電極を備え、それぞれのマイクロカプセルは第1の反射係数を有する正に帯電した微粒子および第2の反射係数を有する負に帯電した微粒子を含む、請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項6】
電気変調信号は、前記マーカーに第1の電界および第2の電界を発生させ、前記第1の電界は、前記正に帯電した微粒子を前記正電極に移動させ、前記負に帯電した微粒子を前記負電極に移動させ、それによって、前記第1の側に前記第1の反射係数を、前記第2の側に前記第2の反射係数を表示し、前記第2の電界は、前記正に帯電した微粒子を前記負電極に移動させ、前記負に帯電した微粒子を前記正電極に移動させ、それによって、前記第1の側に前記第2の反射係数を、前記第2の側に前記第1の反射係数を表示する、請求項5に記載のセキュリティタグ。
【請求項7】
前記応答信号は変調され、前記移動に従って前記変調された応答信号を形成する、請求項6に記載のセキュリティタグ。
【請求項8】
前記問合せ信号は、2.45ギガヘルツマイクロ波信号および915メガヘルツマイクロ波信号のうちの1つを含む、請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項9】
前記変調信号は、1ヘルツから100キロヘルツまでの周波数の電界信号を含む、請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項10】
前記問合せ信号は、第1の周波数範囲Δf1内の第1の電磁信号であり、前記変調信号は、第2の周波数範囲Δf2内の第2の磁気信号であり、ここにΔf1>>Δf2であり、前記変調された応答信号は、前記第1の信号により構成された第3の電磁信号であり、その振幅は前記第2の信号により変調される、請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項11】
前記問合せ信号は、第1の周波数範囲Δf1内の第1の電磁信号であり、前記変調信号は、第2の周波数範囲Δf2内の第2の磁気信号であり、ここにΔf1>>Δf2であり、前記変調された応答信号は、前記第1の信号により構成された第3の電磁信号であり、その周波数は前記第2の信号により変調される、請求項1に記載のセキュリティタグ。
【請求項12】
問合せ域内で問合せ信号を送信する送信器と、
変調信号を発生する発生器と、
前記問合せ信号および前記変調信号を受信し、ある反射係数を有するフィールド変調誘電材料を含むマーカーを備え、前記マーカーは、前記問合せ信号への応答として応答信号を発生し、前記変調信号に同期して前記フィールド変調誘電材料の前記反射係数を変化させ、変調された応答信号を形成する、セキュリティタグと、
前記変調された応答信号を受信する受信器と、
前記問合せ域内で前記セキュリティタグを検出し、検出信号を出力するコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項13】
さらに、前記コントローラに結合する警報装置を備え、前記警報装置は前記検出信号を受信し、前記検出信号への応答として警報を発する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記フィールド変調誘電材料は、ポリマーマトリクス内に埋め込まれた複数のミクロスフィアを含み、前記ミクロスフィアは前記変調信号に応答して前記ポリマーマトリクス内で回転し、それぞれのミクロスフィアは第1の側に第1の反射係数、および第2の側に第2の反射係数を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記変調信号は、第1の電界および第2の電界を発生し、前記第1の電界は前記ミクロスフィアを第1の方向に回転させて前記第1の側で前記第1の反射係数を表示し、前記第2の電界は前記ミクロスフィアを第2の方向に回転させて前記第2の側で前記第2の反射係数を表示する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記応答信号は変調され、前記回転に従って前記変調された応答信号を形成する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記フィールド変調誘電材料は、複数のマイクロカプセルを含み、それぞれのマイクロカプセルは第1の側に正電極を、第2の側に負電極を備え、それぞれのマイクロカプセルは第1の反射係数を有する正に帯電した微粒子および第2の反射係数を有する負に帯電した微粒子を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
電気変調信号は、前記マーカーに第1の電界および第2の電界を発生させ、前記第1の電界は、前記正に帯電した微粒子を前記正電極に移動させ、前記負に帯電した微粒子を前記負電極に移動させ、それによって、前記第1の側に前記第1の反射係数を、前記第2の側に前記第2の反射係数を表示し、前記第2の電界は、前記正に帯電した微粒子を前記負電極に移動させ、前記負に帯電した微粒子を前記正電極に移動させ、それによって、前記第1の側に前記第2の反射係数を、前記第2の側に前記第1の反射係数を表示する、請求項17に記載のセキュリティタグ。
【請求項19】
前記応答信号は変調され、前記移動に従って前記変調された応答信号を形成する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記問合せ信号は、2.45ギガヘルツマイクロ波信号および915メガヘルツマイクロ波信号のうちの1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記変調信号は、1ヘルツから100キロヘルツまでの周波数の電界信号を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
マイクロ波エネルギーに動作できるように応答し、ある反射係数を有する、フィールド変調誘電材料を含むマーカーで問合せ信号を受信するステップと、
前記問合せ信号に対する応答として応答信号を発生するステップと、
前記マーカーで変調信号を受信するステップと、
前記マーカーに対する前記反射係数を変化させることにより前記変調信号への応答である前記応答信号を変調して、変調された応答信号を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記変調信号は、第1の電界および第2の電界を発生し、前記変調は、
前記第1の電界に対する応答として前記フィールド変調誘電材料内の複数のミクロスフィアを第1の方向に回転し、第1の側に第1の反射係数を表示して、第1の反射係数を形成するステップと、
前記第2の電界に対する応答として、前記複数のミクロスフィアを第2の方向に回転し、第2の側に第2の反射係数を表示して、第2の反射係数を形成するステップと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の反射係数および第2の反射係数は、前記応答信号を変調し、前記変調された応答信号を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記変調信号は、前記マーカーに第1の電界および第2の電界を発生させ、前記変調は、
前記第1の電界に対する応答として正に帯電した微粒子をマイクロカプセルの正電極に、前記負に帯電した微粒子を前記マイクロカプセルの負電極に移動し、前記マイクロカプセルの第1の側に第1の反射係数を、前記マイクロカプセルの第2の側に第2の反射係数を表示して、第1の反射係数を形成するステップと、
前記第2の電界に対する応答として前記正に帯電している微粒子を前記負電極に、前記負に帯電している微粒子を正電極に移動し、前記第1の側に前記第2の反射係数を、前記第2の側に前記第1の反射係数を表示して、第2の反射係数を形成するステップと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の反射係数および第2の反射係数は、前記応答信号を変調して、前記変調された応答信号を形成する、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−4410(P2006−4410A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−138104(P2005−138104)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(502297737)センサーマチック・エレクトロニックス・コーポレーション (10)
【Fターム(参考)】