説明

フェノール及びメチルエチルケトンの生成プロセス

本発明はフェノール及びメチルエチルケトンを生成するプロセスに関し、このプロセスは、ベンゼン及びC4オレフィンを、アルキル化条件及びアルキル化触媒の存在下で接触させ、sec-ブチルベンゼン及びC8+オレフィンを含むアルキル化流出物を生成することを含む。そしてアルキル化された流出物を処理し、前記C8+オレフィンの量を減少させ、処理された流出物を生成し、その後前記処理された流出物中のsec-ブチルベンゼンを酸化させ、ヒドロぺルオキシドを生成し、そしてヒドロぺルオキシドを開裂しフェノール及びメチルエチルケトンを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェノール及びメチルエチルケトンを同時に生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール及びメチルエチルケトンは化学工業で重要な製品である。例えば、フェノールはフェノール樹脂、ビスフェノール A, ε−カプロラクタム、アジピン酸、アルキルフェノール及び可塑剤の生産で有用であり、他方メチルエチルケトンはラッカー、溶媒として及び潤滑油を脱蝋するために用いることができる。
【0003】
メチルエチルケトンを生成するための最も普通のやり方はsec-ブチル アルコール(SBA)の脱水素化による方法であり、アルコールはブテンを酸触媒により水和して生成される。例えば、商業規模のSBAを、ブチレンと硫酸を反応させて製造することは長年気体/液体抽出法により実施されてきた。
【0004】
現在フェノール生産の最も通常の方法はホック プロセス(Hock process)である。これは3段階ステッププロセスであり、第一ステップはベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを生成し、続いてクメンを対応するヒドロペルオキシドに酸化し、その後ヒドロペルオキシドを開裂し、等モル量のフェノール及びアセトンを生成する。しかし、世界的にフェノールに対する需要がアセトンに対する需要よりも急速に増大している。更に、プロピレンの生産不足により、プロピレンに要するコストがブテンに対するものに比べて増大する傾向にある。したがって、プロピレンに代えてブテンを供給源として用い、アセトンよりもメチルエチルケトンを同時に生産するプロセスはフェノールを生産する代替的方法として魅力があると思われる。
【0005】
フェノール及びメチルエチルケトンは、sec−ブチルベンゼンを酸化してsec−ブチルベンゼンヒドロペルオキシドを得て、ペルオキシドを分解して所望のフェノール及びメチルエチルケトンを得るホック プロセスの変形方法により同時に得ることができることは知られている。その様なプロセスの概観については、Stanford Research Instituteより1977年12月に出版された「フェノール」(Phenol)の題名のProcess Economics Report 番号22Bの113-421 ページ及び261-263ページに記載されている。
【0006】
sec-ブチルベンゼンはベンゼンをn−ブテンにより酸触媒上でアルキル化することにより生産することができる。その化学反応はエチルベンゼン及びクメンの生産に非常に類似する。しかし、アルキル化剤の炭素数が増大するにつれて、異性体製品の数もまた増加する。例えば、エチルベンゼンは一つの異性体を持ち、プロピルベンゼンは2つの異性体(クメン及びn−プロピルベンゼン)そしてブテンベンゼンは4つの異性体(n-, iso-, sec- 及びt-ブチルベンゼン)を持つ。sec-ブチルベンゼンの生産では、n-, iso-, t-ブチルベンゼン及びフェノールブテンの副産物の形成を最小限に抑えることが重要である。これらの副産物、特にイソ−ブチルベンゼンは沸点がsec-ブチルベンゼンに非常に近く、したがって、蒸留によってsec-ブチルベンゼンから分離することは困難である(下の表を参照)。
【0007】
ブチルベンゼン 沸点 ℃
t-ブチルベンゼン 169℃
i-ブチルベンゼン 171℃
s-ブチルベンゼン 173℃
n-ブチルベンゼン 183℃
更に、イソブチルベンゼン及びtert-ブチルベンゼンは、メチルエチルケトン及びフェノールを生産するための必要な次のステップであるsec-ブチルベンゼンの対応するヒドロぺルオキシドへの酸化の阻害剤として知られている。
【0008】
したがって、商業生産では、アルキル化プロセスのsec-ブチルベンゼン選択度を最大にすることが決定的な要素となる。
【0009】
更に、sec-ブチルベンゼン生産は、純粋n-ブテン原料を用いて最大にすることができるが、ラフィネート−2(Raffinate-2)の様なより経済的なブテン原料を用いることが望ましい。典型的なラフィネート−2は0-1% ブタジエン及び0- 5% イソブテンを含む。原料中にイソブテンが多くなると、副産物の生成が増大すると予想され、これは更にプロセスでのsec-ブチルベンゼンの選択度の重要性を増す。
【0010】
米国特許第4,891,458号は、化学量論的に過剰な芳香族炭化水素を少なくとも部分的に液相条件及びゼオライトベータを含む触媒の存在下で、C2からC4 オレフィンに接触させることを含む芳香族炭化水素のアルキル化プロセスを開示する。更に、例えば、米国特許第4,992,606号において、MCM-22はベンゼンの様な芳香族化合物を、アルキル化剤、例えば、1 から5炭素原子を持つオレフィンを用いて、約0℃から約500°C, 好ましくは約50°Cから約250°Cの広い温度範囲でアルキル化するための効果的な触媒であることが知られている。同様な記載は米国特許第 5,371,310号及び米国特許第5,557,024号に開示されているが、ゼオライトはそれぞれMCM-49及びMCM-56である。
【0011】
2005年8月5日に出願された国際出願PCT/EP2005/008557において、出願人はフェノール 及びメチルエチルケトンを生産する統合されたプロセスについて記載し、このプロセスは、(a) ベンゼン及びC4アルキル化剤を含む原料をアルキル化条件で、ゼオライトベータ又はMCM-22ファミリーゼオライトを含む触媒と接触させsec-ブチルベンゼンを含むアルキル化流出物を生成し;(b) sec-ブチルベンゼンを酸化させてヒドロぺルオキシドを生成し;及びその後(c)ヒドロぺルオキシドを開裂しフェノール及びメチルエチルケトンを生産することを含む。C4 アルキル化剤はラフィネートー1又はラフィネートー2の様な混合ブテン原料であっても良い。
【0012】
本発明では、sec-ブチルベンゼンの酸化は原料中のイソブチルベンゼン及び三級ブチルベンゼンに敏感であるのみならず、ブテンがアルキル化条件で酸触媒と接触する場合に起きる競合するオリゴマー化反応の結果生成されがちな高級オレフィン(C8+)にも敏感であることが見出された。また、ラフィネート−1又はラフィネート−2の様な混合ブテン原料がC4アルキル化剤として使用される場合にはこれらのオレフィンオリゴマーの生成量が増大することが見出された。
【発明の概要】
【0013】
発明の一特徴として、本発明はフェノール及びメチルエチルケトンを生成するプロセスであり、このプロセスは:
(a)ベンゼン及びC4オレフィンを、アルキル化条件及びアルキル化触媒の存在下で接触させ、sec-ブチルベンゼン及びC8+オレフィンを含むアルキル化流出物を生成し;
(b)前記流出物を処理し、前記C8+オレフィンの量を減少させ、処理された流出物を生成し;
(c) 前記処理された流出物中のsec-ブチルベンゼンを酸化させ、ヒドロぺルオキシドを生成し;及び
(d) (c)のヒドロぺルオキシドを開裂しフェノール及びメチルエチルケトンを生成する
ことを含む。
【0014】
好ましくは、(b)の処理には、オレフィンのオリゴマー化、選択的還元、選択的酸化、エステル化及びヘテロ原子のオレフィンへの添加又はこれらの組み合わせの様な化学処理を含むのが良い。
【0015】
ある実施の態様においては、触媒はMCM-22ファミリーの少なくとも一つの分子篩を含む。都合の良いことに、MCM-22ファミリーの分子篩は、12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3.42±0.07 Åで最大d−間隔を含むX線回折パターンを持つ。都合の良いことに、分子篩はMCM-22, PSH-3, SSZ-25, ERB-1, ITQ-1, ITQ-2, MCM-36, MCM-49, MCM-56, UZM-8, 及びこれらの混合物から選択される。好ましくは分子篩はMCM-22, MCM-49, MCM-56 及びこれらの異性体から選択されるのが良い。
【0016】
好ましくはC4オレフィンは線状ブテン、例えば、1−ブテン及び/又は2−ブテンを含む。ある実施の態様においては、前記線状ブテンは、(a)の接触の前に硫黄の除去、窒素の除去、酸素含有物の除去、ブタジエンの除去及びイソブテンの除去の内の少なくとも一つが行われる混合C4 流体に含まれる。前記混合C4 流体はラフィネート−1又はラフィネート−2流体であるのが都合が良い。
【0017】
都合良く処理するには、前記アルキル化条件はまた、約60℃から約260°Cの温度、7000 kPa 以下の圧力、C4アルキル化剤に基づき約0.1から50 hr-1の毎時重量空間速度(WHSV)の原料供給、及びベンゼンのブテンに対するモル比が約1から約50, 好ましくは約2から約10であることを含む。
【0018】
ある実施の態様においては、前記(a)の接触は少なくとも部分的に液相条件で実施される。
【0019】
ある実施の態様においては、(a)で生成される前記アルキル化流出物はポリブチルベンゼンを含み、前記プロセスは更に前記ポリブチルベンゼンを、トランスアルキル化触媒の存在下でベンゼンと接触させsec-ブチルベンゼンを生成することを含む。、トランスアルキル化触媒はゼオライトベータ、モルデナイト、USY, MCM-22, PSH-3、SSZ-25, ERB-1, ITQ-1, ITQ-2, MCM-36, MCM-49, MCM-56, UZM-8及びこれらの混合物から選択される分子篩を含むのが都合が良い。
【0020】
都合良く処理するには、前記(b)の酸化は、
(i) マンガンを含むオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核金属錯体、
(ii) 混合金属コアーを持つオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核金属錯体であり、コアーの一つの金属はZn, Cu, Fe, Co, Ni, Mn 及びこれらの混合物から選択される二価の金属であり、他の金属はIn、Fe, Mn, Ga, Al 及びこれらの混合物から選択される三価の金属であり、
(iii) N-ヒドロキシ置換環状イミド単独又は遊離基開始剤の存在下でのN-ヒドロキシ置換環状イミド、及び
(iv) N,N',N"-トリヒドロキシイソシアヌル酸単独又は遊離基開始剤の存在下でのN,N',N"-トリヒドロキシイソシアヌル酸
から選択される触媒の様な、触媒の存在下で実施される。ある実施の態様においては、酸化触媒は不均一触媒である。
【0021】
都合良く処理するには、前記酸化(b)は約70°Cから約200°Cの温度、0.5 から約20気圧 (50 から2000 kPa)の圧力で行われる。
【0022】
都合良く処理するには、前記開裂(c)は触媒の存在下で行われる。触媒は均一又は不均一触媒であっても良い。ある実施の態様においては、触媒は硫酸の様な均一触媒である。
【0023】
都合良く処理するには、前記開裂(c)は約40°Cから約120°Cの温度、約100から2500 kPaの圧力、ヒドロぺルオキシドに基づき約0.1から約l00 hr-1の液時空間速度(LHSV)で行われる。
【0024】
更なる特徴として、本発明はその炭化水素組成物がsec-ブチルベンゼンの沸点の5℃の範囲内で沸騰し、少なくとも95重量%のsec-ブチルベンゼン及び20から1000 ppm 重量, 好ましくは50から500 ppm重量のブテンオリゴマーを含む炭化水素である。好ましくは前記組成物はイソブチルベンゼン及び第三級−ブチルベンゼンの含有量が0.5重量%未満であるのが良い。
【0025】
本明細書で用いるC8+オレフィンの用語は、8以上の炭素原子を含む任意のオレフィンを指す。
【発明の詳細な説明】
【0026】
本発明はsec-ブチルベンゼンを生成するプロセスに関し、ベンゼンを、例えば、線状ブテンの様なC4アルキル化剤によりアルキル化してsec-ブチルベンゼンを得たのち、sec-ブチルベンゼンをフェノール及びメチルエチルケトンに変換するプロセスに関する。
【0027】
変換は、まずsec-ブチルベンゼンを酸化して対応するヒドロぺルオキシドを生成し、その後、できたヒドロぺルオキシドを開裂して所望のフェノール及びメチルエチルケトンを生成する。
【0028】
特に、本発明は、sec-ブチルベンゼンを対応するヒドロぺルオキシドに変換する酸化ステップはアルキル化流出物中のブテンオリゴマーの存在に高度に敏感であるという発見に基づく。更に、あるブテンオリゴマー、特にあるC12オリゴマーはその沸点がsec-ブチルベンゼンの沸点に近く、そのため蒸留によりアルキル化流出物から容易に分離することができない。したがって、本発明は、アルキル化流出物にある処理を施すことによりこの問題を解消し又は低減させることを試みるものであり、好ましくは化学処理により、流出物中のブテンオリゴマーのレベルを、通常1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、及び最も好ましくは0.5重量%未満に低減させるのが良い。
【0029】
ベンゼンのアルキル化
sec-ブチルベンゼンを生成するアルキル化ステップで使用されるベンゼンは、市場で購入可能な任意のベンゼンあっても良く、好ましくはベンゼンは少なくとも99重量%の純度レベルを持つのが良い。
【0030】
アルキル化剤は、任意のオレフィン、特に4炭素原子を持つ任意のモノオレフィンであり、好ましくはブテン−1及び/又はブテン−2の様な線状ブテンであるのが良い。アルキル化剤はまた、エタン、プロパン、ブタン、LPG及び軽質ナフサの蒸気分解、ナフサ及び他の精製所原料の接触分解、及びメタノールの様な酸素含有物を低級オレフィンに変換することにより得られる様なオレフィン系C4の混合物であっても良い。
【0031】
例えば、以下のC4炭化水素混合物は、通常オレフィンを生成するために蒸気分解を用いるどの精製所においても利用が可能である。すなわち、粗原料流体が分解されたブテン流体、ラフィネート−1(粗原料流体が分解されたブテン流体からブタジエンを除去するために溶媒抽出又は水素化後に残留している製品)及びラフィネート−2(粗原料流体が分解されたブテン流体からブタジエン及びイソブテンを除去した後の残留製品)である。
【0032】
通常、これらの流体は、以下の表Aに示す重量範囲の組成を持つ。
【数1】

【0033】
他の精製所の混合C4流体は、例えば、ナフサ及び他の精製所の原料を接触分解することにより得られるもので典型的に以下の組成を持つ:
プロピレン 0-2 重量%
プロパン 0-2 重量%
ブタジエン 0-5 重量%
ブテン-1 5-20 重量%
ブテン-2 10-50 重量%
イソブテン 5-25 重量%
イソブタン 10-45 重量%
N-ブタン 5-25 重量%
メタノールの様な酸素含有物の低級オレフィンへの変換により得られるC4炭化水素部分はより典型的に以下の組成を持つ:
プロピレン 0-1 重量%
プロパン 0-0.5 重量%
ブタジエン 0-1 重量%
ブテン-1 10-40 重量%
ブテン-2- 50-85 重量%
イソブテン 0-10 重量%
N- + イソブタン 0-10 重量%
上記のC4炭化水素混合物の一又は何れの混合物も本発明プロセスで用いることができる。線状ブテン及びブタンに加えて、これらの混合物は通常本発明のプロセスに有害であり得るイソブテン及びブタジエンの様な組成物を含む。例えば、イソブテンをベンゼンによりノルマルアルキル化した製品は第三級ブチルベンゼン及びイソブチルベンゼンであり、これらは既に述べた様に、続く酸化ステップでの阻害剤として働く。したがって、アルキル化ステップの前に、これらの混合物はブタジエン及びイソブテンを除去する工程に付すことが好ましい。例えば、イソブテンは、選択的に二量化し又はメタノールと反応させてMTBEを生成することにより除去することができ、ブタジエンは抽出により又は選択的にブテン−1に水素化することにより除去することができる。
【0034】
他の炭化水素成分に加えて、市販のC4炭化水素混合物は通常アルキル化プロセスに有害となり得る他の不純物を含む。例えば、精製所C4流体は通常窒素及び硫黄不純物を含み、酸素含有物変換プロセスで得られるC4炭化水素流体は通常未反応の酸素含有物及び水を含む。したがって、アルキル化ステップの前に、これらの混合物もまた、ブタジエン除去及びイソブテン除去に加えて、硫黄除去、窒素除去及び酸素含有物除去の一以上の工程に付されることがある。硫黄、窒素、酸素含有不純物の除去は苛性処理、水洗浄、蒸留、分子篩及び/又は膜分離を用いた吸着の一以上の組み合わせにより都合良く実施される。水はまた通常吸着により除去される。
【0035】
好まれるものではないが、上に記載の様にC4アルキル化剤、及びプロピレンの様なC3アルキル化剤の混合物を本発明のアルキル化ステップでのアルキル化剤として用いることも出来、アルキル化ステップはクメン及びsec-ブチルベンゼンを生成する。結果の混合物は、その後酸化及び開裂を通じて処理することも出来、フェノールと共にアセトン及びMEKの混合物を作り出し、bisフェノールーA生成の条件に合う様に好ましくはアセトンのフェノールに対するモル比が0.5:1であるのが良い。
【0036】
都合良く処理するには、本発明のアルキル化ステップに対する全供給原料中の水の含有量は1000 ppm未満、例えば、500 ppm未満、例えば、100 ppm未満である。更に全供給原料中の硫黄の含有量は100 ppm未満、例えば、30 ppm未満、例えば、3 ppm未満であり、窒素の含有量は10 ppm未満、例えば、1 ppm未満、例えば、0.1 ppm未満である。
【0037】
本発明のプロセスで用いられるアルキル化触媒はMCM-22ファミリーの結晶質分子篩である。本明細書で用いる「MCM-22 ファミリー材料」(又は「MCM-22 ファミリーの材料」又は「MCM-22 ファミリーの分子篩」又は「MCM-22 ファミリー ゼオライト」)は以下の一以上を含む:
・通常の第1級結晶質 構成要素単位格子(building block unit cell)から成り、この単位格子はMWW構造トポロジーを持つ(単位格子は原子の空間配置であり、3次元空間に配置されると結晶構造を示す。その様な結晶構造は、「ゼオライト構造タイプ地図」(Atlas of Zeolite Framework Types)第5版、2001年、で検討されており、本文献は参照により本明細書に組み入れられる)。
【0038】
・ 通常の第2級構成要素から生成される分子篩であり、その様なMWW構造トポロジー単位格子の2次元配置であり、一つの単位格子の厚さ、好ましくは一つのc−単位格子の厚さの単一層を形成している。
【0039】
・ 通常の第2級構成要素から生成される分子篩であり、単一格子の厚さの一以上の層であり、一の単位格子の厚さより厚い層は、一つの単位格子の厚さの少なくとも2つの単一層を重ね、包み又は結合するものから成る。その様な第2級構成要素を重ねるのは、通常のやり方、非通常のやり方、ランダムなやり方、又はこれらの任意の組み合わせであり得、及び
・ 分子篩はMWW構造トポロジーを持つ単位格子の、任意の、通常の、又はランダム2次元、又は3次元の組み合わせにより生成される分子篩である。
【0040】
MCM−22ファミリーの分子篩には、12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07及び3.42±0.07Åで最大d−間隔を含むX線回折パターンを持つこれらの分子篩を含む。
【0041】
材料の特徴を表すために用いられるX線回折データは、銅のK−アルファ二重線を入射放射線として使用し、計数管及び関連コンピュータを収集システムとして備えた回折計を用いた標準技術により得られる。
【0042】
MCM−22ファミリーの材料には、MCM-22 (米国特許第4,954,325号に記載), PSH-3 (米国特許第4,439,409号に記載), SSZ-25 (米国特許第4,826,667号に記載), ERB-1 (欧州特許0293032号に記載), ITQ-1 (米国特許第 6,077,498号に記載), ITQ-2 (国際出願WO97/17290号に記載), MCM-36 (米国特許第5,250,277号に記載), MCM-49 (米国特許第5,236,575号に記載), MCM- 56 (米国特許第5,362,697号に記載), UZM-8 (米国特許第6,756,030号に記載)及びこれらの混合物を含む。MCM-22ファミリーの分子篩は、他のブチルベンゼン異性体に比べてsec-ブチルベンゼンの生成に高度に選択的であることが見出されたことから、アルキル化触媒として好まれる。好ましくは分子篩はMCM-22, MCM-49, MCM-56及び ITQ-2の様なMCM-22, MCM-49及びMCM-56のアイソタイプから選択されるのが良い。
【0043】
アルキル化触媒は非結合又は自己結合の形の分子篩を含んでも良く、代替的に分子篩は通常の方法でアルミナの様な酸化物結合剤と組み合わせることができ、そして最終のアルキル化触媒は2から80重量%の篩を含む。
【0044】
アルキル化プロセスは、有機反応物質、すなわち、アルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤が、例えば、効果的なアルキル化条件で触媒組成物の固定床を持つ流通反応装置又は触媒蒸留反応器で、好適な反応ゾーンでアルキル化触媒と接触させる様に行われる。典型的には、アルキル化条件は約60°Cから約260°C、例えば、約100°Cから約200°Cの温度、7000 kPa未満の圧力、例えば、約1000から約3500 kPa、C4アルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約0.1から約50 hr-1の間、例えば、約1から約10 hr-1 の間及びベンゼンのアルキル化剤に対するモル比が約1 :1から約50:1、例えば、約2:1から約10:1、好ましくは約4:1 から約9:1であることを含む。好ましくはアルキル化剤は段階的に反応に導入され、例えば、アルキル化触媒を直列に連結された複数の反応ゾーンに提供し、アルキル化剤を複数の同等の又は異なる一定量部分に分け、その各々が異なる反応ゾーンに供給されるのが良い。ベンゼンの大半又は全ては通常第一の反応ゾーンに供給される。
【0045】
反応物質は、気相又は部分的又は完全に液相又は超臨界条件下の何れかであっても良く、そして純粋であっても良く、すなわち、他の材料と意図的に混合され、又は希釈されていないものであっても良く、又は反応物質は、例えば、水素又は窒素の様な搬送ガス又は希釈剤の助けによりゼオライト触媒組成物と接触させることができる。好ましくは反応物質は少なくとも部分的に液相にあるのが良い。
【0046】
上に記載の触媒及びアルキル化条件を用いて、本発明のプロセスのアルキル化ステップはsec-ブチルベンゼンに高度に選択的であることが見出された。しかし、アルキル化反応からの流出物は通常幾らかのポリアルキル化されたオリゴマー化製品及び、以下に検討する様に、未反応ベンゼン及び望ましいモノアルキル化種に加えて、あるブテンオリゴマーを含む。未反応ベンゼンは通常蒸留により回収され、アルキル化反応器に還流される。ベンゼン蒸留の残留物はモノアルキル化製品をポリアルキル化製品及び他の重量物から分離するために更に蒸留される。アルキル化反応流出物に存在するポリアルキル化製品の量によるが、ポリアルキル化製品を追加のベンゼンによりトランスアルキル化し、所望のモノアルキル化種の生成を最大にするのが望ましいこともある。
【0047】
追加のベンゼンによるトランスアルキル化は通常、アルキル化反応器とは別のトランスアルキル化反応器で好適なトランスアルキル化触媒、例えば、MCM-22ファミリーの分子篩、ゼオライトベータ、 MCM-68 (米国特許第6,014,018号を参照), ゼオライトY 及びモルデナイト上で実施される。
【0048】
MCM-22ファミリーの分子篩にはMCM-22 (米国特許第4,954,325号に記載), PSH-3 (米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ-25 (米国特許第4,826,667号に記載)、ERB-1 (欧州特許第0293032号に記載)、ITQ-1 (米国特許第6,077,498号に記載)、ITQ-2 (国際公開公報 WO97/17290号に記載)、MCM-36 (米国特許第5,250,277号に記載)、MCM-49 (米国特許第5,236,575号に記載)、MCM- 56 (米国特許第5,362,697号に記載)、UZM-8 (米国特許第6,756,030号に記載)及びこれらの混合物を含む。トランスアルキル化反応は通常少なくとも部分的に液相条件下で行われ、その好適な温度は100から300°C, 圧力は1000から7000 kPa、毎時重量空間速度は全供給原料に対し1から50 hr-1及びベンゼン/ポリアルキル化ベンゼンの重量比は1 対10であることを含む。
【0049】
ブテンオリゴマーの除去
上に述べた様に、アルキル化反応から得られる流出物は通常ブテンオリゴマーを含み、オリゴマーはsec-ブチルベンゼンの、対応するヒドロぺルオキシドヘの続く酸化を抑制することが分かった。更に蒸留はこれらの不純物の幾らかを除去するのに効果的であるが、あるブテンオリゴマー、特にC12 オレフィンはsec-ブチルベンゼンと同じ又はそれに近い温度で沸騰する傾向にあり、したがって、蒸留では容易に除去できない。そこで本プロセスでは追加の処理プロセス、特に化学処理プロセスを用いて、アルキル化流出物中のブテンオリゴマーのレベルを、通常1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、及び最も好ましくは0.5重量%に下げる。
【0050】
アルキル化流出物中のオリゴマーレベルを下げるためのある好適な化学処理には、流出物を酸、例えば、鉱酸、又は任意選択的に水を含む固体酸と約0から約300°Cの温度で接触させ、オリゴマーをアルコール又はエステル(例えば、硫酸のエステル)に変換することを含む。過剰な酸を中和した後、もし必要なら洗浄、乾燥及び蒸留した後に、流出物を酸化ステップに送ることができる。
【0051】
アルキル化流出物中のオリゴマーレベルを低下させるための他の好適な化学処理には、流出物を貴金属不均一触媒の様な触媒の存在下で、オリゴマーを飽和させるのに効果的な条件で水素と接触させることを含む。好適な条件には、約0から約200°Cの温度、約100 から約1000 kPaの圧力及び水素の炭化水素に対するモル比が約0.001 から約10であることを含む。
【0052】
更にアルキル化流出物中のオリゴマーレベルを低下させるための他の好適な化学処理には、流出物を約20から約300℃の温度でメタノールの様なアルコールと接触させるエーテル化を含む。
【0053】
上記の処理プロセスの組み合わせ、例えば、酸処理及び水素化はアルキル化流出物中のブテンオリゴマーのレベルを所望のレベルに低下させるのに用いることができる。
【0054】
上に記載のアルキル化及び処理プロセスにより、本発明は、sec-ブチルベンゼンの沸点の5°Cの範囲内で沸騰し、少なくとも95重量%のsec-ブチルベンゼンを含み、及び20 から1000 ppm 重量の、好ましくは50から500 ppm重量のブテンオリゴマーを含む炭化水素組成物を提供する。好ましくは前記組成物はイソブチルベンゼン及び三級ブチルベンゼンは0.5 重量%未満であるのが良い。
【0055】
sec-ブチルベンゼンの酸化
sec-ブチルベンゼンをフェノール及びメチルエチルケトンに変換するために、sec-ブチルベンゼンはまず対応するヒドロぺルオキシドに酸化される。これには、酸素含有気体、例えば、空気をsec-ブチルベンゼンを含む液相に導入することで実現される。クメンと違い、触媒の不存在でsec-ブチルベンゼンを大気中で酸素で酸化することは非常に難しい。例えば、110°C及び大気圧ではsec-ブチルベンゼンは酸化されない。一方クメンは同じ条件で非常に良く酸化される。より高温ではsec-ブチルベンゼンの大気中の酸素による酸化の割合は改善されるが、より高温ではまた好ましくない副産物の生成レベルが大幅に増大する。
【0056】
反応速度及び選択性の向上は、触媒の存在下でsec-ブチルベンゼンを酸化させることで実現されうる。好適なsec-ブチルベンゼン触媒には、水溶性キレート化合物を含み、その多座配位子はコバルト、ニッケル、マンガン、銅及び鉄の少なくとも一つと配位結合する(米国特許第4,013,725号を参照)。より好ましくは不均一触媒が用いられるのが良い。好適な不均一触媒は米国特許第5,183,945号に記載があり、そこでは触媒はオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核マンガン錯体であり、米国特許第5,922,920号では、触媒は核の一つの金属がZn, Cu, Fe, Co, Ni, Mn 及びそれらの混合物から選択される二価金属であり、他の金属はIn, Fe, Mn, Ga, Al及びこれらの混合物から選択される三価金属である、ミックス金属核を持つオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核金属錯体を含む。これらの米国特許の開示のすべては、参照により本明細書に組み入れられる。
【0057】
sec-ブチルベンゼン酸化ステップのための他の好適な触媒は米国特許第6,720,462号に記載のN-ヒドロキシ置換環式イミドであり、同文献は参照により本明細書に組み入れられる。 N-ヒドロキシ置換環式イミドの例には、
N-ヒドロキシフタルイミド(N-hydroxyphthalimide), 4-アミノ- N-ヒドロキシフタルイミド(4-amino-N- hydroxyphthalimide), 3-アミノ- N-ヒドロキシフタルイミド(3-amino-N-hydroxyphthalimide), テトラブロモ-N-ヒドロキシフタルイミド(tetrabromo-N-hydroxyphthalimide), テトラクロロ-N-ヒドロキシフタルイミド(tetrachloro-N-hydroxyphthalimide), N-ヒドロキシヘチミド(N-hydroxyhetimide), N-ヒドロキシヒミミド(N- hydroxyhimimide), N-ヒドロキシトリメリチミド(N-hydroxytrimellitimide), N-ヒドロキシベンゼン-1,2,4- トリカルボキシミド(N-hydroxybenzene-1,2,4-tricarboximide), N,N'- ジヒドロキシ(ピロメリト ジイミド)(N,N'-dihydroxy(pyromellitic diimide)), NN'-ジヒドロキシ(ベンゾフェノン3,3',4,4'-テトラカルボキシ ジイミド (NN'- dihydroxy(benzophenone-3,3',4,4'-tetracarboxylic diimide)), N-ヒドロキシマレイミド(N-hydroxymaleimide), ピリジン-2,3-ジカルボキシイミド(pyridine-2,3-dicarboximide), N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinimide), N-ヒドロキシ(酒石イミド)(N-hydroxy(tartaric imide)), N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミド (N-hydroxy-5-norbornene-2,3-dicarboximide), エクソ-N-ヒドロキシ-7- オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-ene-2,3-ジカルボキシミド(exo-N-hydroxy-7- oxabicyclo[2.2.1]hept-5-ene-2,3-dicarboximide), N-ヒドロキシ-cis-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシミド (N-hydroxy-cis-cyclohexane-1,2- dicarboximide), N-ヒドロキシcis-4-シクロヘキサン-l,2ジカルボキシミド (N-hydroxy-cis-4-cyclohexene-l,2 dicarboximide), N-ヒドロキシナフタルイミド ナトリウム塩(N- hydroxynaphthalimide sodium salt)又はN-ヒドロキシ-o- ベンゼンジスルホンイミド(N-hydroxy-o-benzenedisulphonimide)がある。 好ましくは、触媒はN-ヒドロキシナフタルイミド(N-hydroxyphthalimide)であるのが良く、他の好適な触媒はN,N',N"-チオヒドロキシイソシアヌル酸 (N,N',N"-thihydroxyisocyanuric acid)である。
【0058】
これらの材料は単独で又は遊離基開始剤の存在下で用いることができ、液相、均一触媒として用いることができ、又は固体担体により保持された不均一触媒を生成しても良い。
【0059】
sec-ブチルベンゼンの酸化ステップに好適な条件には、約70℃から約200°Cの温度, 例えば、約90°Cから約130°C, 及び約0.5 から約20の気圧 (50 から2000 kPa)を含む。酸化中に形成される酸性副産物と反応させるために塩基性緩衝剤を加えても良い。更に水相が導入されても良く、炭酸ナトリウムの様な塩基性化合物を溶解するのを助けることができる。酸化ステップでの一パス当り変換は、副産物の生成を最小にするために50%未満に抑えるのが好ましい。酸化反応は都合良く行うには、触媒蒸留装置で実施され、生成されたsec-ブチルベンゼンヒドロぺルオキシドは、開裂ステップの前に未反応sec-ブチルベンゼンを蒸留除去することで濃縮しても良い。
【0060】
ヒドロぺルオキシド開裂
sec-ブチルベンゼンのフェノール及びメチルエチルケトンへの変換の第一のステップはsec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドの開裂を含み、開裂は都合の良く行うには、ヒドロぺルオキシドを約20℃から約150℃の温度, 例えば、約40℃から約120℃、約50 から約2500 kPaの圧力, 例えば、約100 から約1000 kPa 及びヒドロぺルオキシドに基づく約0.1から約100 hr-1, 好ましくは約1から約50 hr-1の液時空間速度(LHSV)の液相中で触媒に接触させることにより実行される。
【0061】
sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドは熱除去を助けるために、好ましくは開裂反応に不活性なメチルエチルケトン、フェノール又はブチルベンゼンの様な有機溶媒に希釈するのが良い。開裂反応は都合が良いことに触媒蒸留装置で行われる。
【0062】
開裂ステップに使用される触媒は均一触媒又は不均一触媒であっても良い。
【0063】
好適な均一開裂触媒には、硫酸、過塩素酸、リン酸、塩酸及びp−トルエン スルホン酸を含む。塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、二酸化硫黄、及び三酸化硫黄もまた効果的な均一開裂触媒である。好ましい均一開裂触媒は硫酸である。
【0064】
sec-ブチルベンゼンヒドロペルオキシドの開裂に使用される好適な不均一触媒には、スメクタイト粘土、例えば、米国特許第4,870,217に記載の様に酸性モンモリロナイト系シリカ−アルミナ粘土を含む。同文献は全て参照により本明細書に組み入れられる。
【0065】
以下の例は説明のために記載するものであり本発明の範囲を限定するものではない。
【0066】
実施例1
MCM-22 触媒及び2-ブテン原料を用いたsec-ブチルベンゼンの生産
MCM-22触媒 (65 % MCM-22/35% アルミナ結合剤)の 1.0 gサンプルがベンゼンを2−ブテンによりアルキル化するのに用いられた。触媒は1.6 mm (1/16インチ) 直径のシリンダー状押出物の形状であり、1/16インチの長さに切断され、砂で3ccに希釈され、外径が4.76mm (3/16インチ)の等温、下降流式、固定床、管型反応器に挿入された。触媒は150℃及び1気圧、100 cc/分の窒素流中で2時間乾燥された。窒素は止められベンゼンが、反応器の圧力が所望の300 psig (2170 kPa)に達するまで60 cc/時で反応器に供給された。ベンゼン流はその後7.63 cc/時 (6.67 WHSV)まで低減され、ブテン原料(57.1% cis-ブテン, 37.8% trans-ブテン, 2.5% n-ブテン, 0.8% イソブテン及び1−ブテン, 及びその他が1.8%)が注射器ポンプから2.57 cc/時 (1.6 WHSV)の割合で導入された。原料ベンゼン/ブテンのモル比は全運転を通して3 : 1に維持され、反応器の温度は160°Cに調節された。液体製品は冷却トラップ中で160℃及び300 psig (2170 kPa)の反応器条件で回収され分析のためラインから取出された。2−ブテンの変換は、未反応2−ブテンの原料2−ブテンに対する相対量を測定することにより決定された。触媒は、1.6 WHSVのブテンに4日間流し97%の2−ブテンの変換を得、4.8 WHSVのブテンに2日間流し95%の変換、7.2 WHSVのブテンに1日間流し86%の変換を得、続いて1.6 WHSVのブテンに4日間流し97%の変換を得た。代表的なデータは表1に示す。
【数2】

【0067】
実施例2
MCM-49触媒及び2-ブテン原料を用いたsec-ブチルベンゼンの生産
実施例1のプロセスが、MCM-22 触媒を0.6 gmのMCM-49 触媒 (1/20インチ 4つの丸い特出形(quadralobe)の押出物で60 %MCM-49/40% Versal 200アルミナ結合剤で1/20インチ長さにカットされたもの) により置換したもので繰り返された。触媒は2.7 WHSVのブテンに4日間流し97-98%の変換を得、8WHSVに1日流し97%の変換、12WHSVに0.5日間流し93%の変換、2.7 WHSVのブテンに1.6日間流し98%の変換を得、19.2 WHSVのブテンに0.3日間流し86%の変換を得、続いて2.7 WHSVのブテンに0.7日間流し98%の変換を得た。代表的なデータは表2に示す。
【数3】

【0068】
実施例3
MCM-22 触媒及びラフィネート−2タイプ原料を用いたsec-ブチルベンゼンの生産
MCM-22触媒 (65 重量% MCM-22/35% アルミナ結合剤)の 1.0 gサンプルがベンゼンをラフィネート−2タイプ原料によりアルキル化するのに用いられた。これは実施例1で用いた触媒と同じである。ラフィネート−2タイプ原料は合成ブレンドであり以下の組成を持つ:53.4% cis-ブテン, 41.2% trans-ブテン, 4.6% イソブテン, 0.5%ブタジエン, 0.1% n-ブタン及びその他が0.2%である。
【0069】
触媒は1.6 mm (1/16インチ) 直径のシリンダー状押出物の形状であり、砂で3ccに希釈され、外径が4.76mm (3/16インチ)の等温、下降流式、固定床、管型反応器に挿入された。触媒は150℃及び1気圧、100 cc/分の窒素流中で2時間乾燥された。窒素は止められ、反応器の圧力が所望の300 psig (2170 kPa)に達するまでベンゼンが60 cc/時で反応器に供給された。ベンゼン流はその後7.63 cc/時 (6.67 WHSV)に低減され、ラフィネート−2タイプ原料が注射器ポンプから2.57 cc/時(1.6 WHSV)の割合で導入された。反応器の温度は160°Cに調節された。
【0070】
原料ベンゼン/ブテンのモル比は全運転を通して3 : 1に維持された。液体製品は冷却トラップ中で回収され、分析のためラインから取出された。ブテンの変換は未反応ブテンの原料ブテンに対する相対量を測定することで決定された。触媒は、1.6 WHSVのブテンに6日間流し98%の2−ブテンの変換を得、4.8 WHSVで1日流し80%の変換、7.2 WHSVで1日流し62%の変換を得、続いて1.6 WHSVで4日間流し97%の変換を得た。代表的なデータを表3に示す。
【数4】

【0071】
表3はMCM-22がラフィネート−2タイプ原料を用いたsec-ブチルベンゼンの生産に効果的であることを示す。ブテン原料中の0.5%ブタジエンは12日の試験サイクルにおいてMCM-22の安定性対し重大な影響を与えなかった。ブテン原料中の4.6%イソブテンは副産物の形成を増大させた。最初にラインから取り出したもので、97-98% 2-ブテン変換について測定した選択性はブテンオリゴマーに対し8%、t−ブチルベンゼンに対して1.2-1.5%、sec-ブチルベンゼンに対し83%であった。これは、同じ触媒及び2−ブテン原料を用いた表1の結果と比べ極めて大きい変化であった。97-98% 2- ブテン変換で2−ブテン原料について測定された選択性はブテンオリゴマーに対し1-2%、t−ブチルベンゼンに対して0.1-0.2%、sec-ブチルベンゼンに対し89-91%であった。ラフィネート−2タイプ原料の使用の結果MCM-22の活性が50%低下した。
【0072】
実施例4
MCM-49 触媒及びラフィネート−2タイプ原料を用いたsec-ブチルベンゼンの生産
実施例3のプロセスがMCM-22 触媒を0.5 gmの実施例2で用いたMCM-49 触媒により置換されたもので繰り返された。MCM-49は3.2 WHSVのブテンに3日間流し96%の変換を得、9.6 WHSVに1日間流し80−83%の変換を得、及び3.2 WHSVに3日間流し95%の変換を得た。代表的なデータを表4に示す。
【0073】
表4はMCM-49がまたラフィネート−2タイプ原料を用いたsec-ブチルベンゼンの生産に効果的であることを示す。原料中の0.5%ブタジエンは7日の試験サイクルにおいてMCM-49の安定性対し重大な影響を与えなかった。ブテン原料中の4.6%イソブテンは副産物の形成を増加させた。
【0074】
96% 2-ブテン変換で測定した選択性はブテンオリゴマーに対し8%、t−ブチルベンゼンに対して1.2-1.8%、sec-ブチルベンゼンに対し83-85%であった。これは、同じMCM-49触媒及び2−ブテン原料を用いた表2の結果と比べ極めて大きい変化であった。97% 2- ブテン変換での2−ブテンで測定された選択性はブテンオリゴマーに対し1.5%、t−ブチルベンゼンに対して0.1%、sec-ブチルベンゼンに対し92%であった。ラフィネート−2タイプ原料の使用の結果MCM-49の活性が50%低下した。
【数5】

実施例5
MCM-22触媒及びラフィネート−2タイプ原料を用いた高級オレフィンの生産
実施例1及び3で使用された2.3 gのMCM-22触媒サンプルが 実施例3及び4で使用された、同じ合成ラフィネート−2タイプ原料をオリゴマー化するために用いられた。
【0075】
触媒は砂で5ccに希釈され、外径が4.76mm (3/16インチ)の等温、下降流式、固定床、管型反応器に挿入された。触媒は150℃及び1気圧、100 cc/分の窒素流中で2時間乾燥された。窒素は止められ原料が反応器の圧力が所望の300 psig (2170 kPa)に達するまで60 cc/時で反応器に供給された。原料流は2.59cc/時 (0.7WHSV)まで低減され、反応器の温度は140°Cに調節され、全運転中この温度に維持された。液体製品は冷却トラップ中で回収され、分析のためラインから取出された。代表的なデータを表5に示す。
【数6】

【0076】
実施例6
Sec-ブチルベンゼンの酸化
機械的攪拌棒を備えた100ccParrオートクレーブにTCI America 製の43.2g (0.32 モル)の実質的に純粋なsec-ブチルベンゼン及び0.185g (0.001134 モル)のN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI, Aldrichより購入可能)が装入された。オートクレーブは再組立てされ、窒素によるリークテストがなされ、システムに再装着された。オートクレーブの内容物は窒素により加圧され、続いて酸素により加圧され室温で窒素/酸素の比が80:20とされ、内容物はその後6時間掛けて115°Cまで加熱され、純粋酸素を再充填することにより加熱の間を通じ酸素の濃度は約20%に保たれた。気体のサンプルは加熱の間を通じ酸素濃度をテストするために採取された。このTCI sec-ブチルベンゼン(13C NMRにより決定されるオレフィン炭素を19ppm含む) は24.5%の変換を示した。結果を図1に示す。
【0077】
このプロセスは実施例1及び2(2−ブテンを使用)で生成されたsec-ブチルベンゼンのサンプルを使用し繰り返された。このsec-ブチルベンゼン(13C NMRにより決定された128 ppmのオレフィン炭素を含む)は14%の変換を示した。結果をまた図1に示す。このプロセスはまた、実施例3及び4(ラフィネート−2による)で生成されたsec-ブチルベンゼンのサンプルで繰り返された。このsec-ブチルベンゼン(13C NMRにより決定された961 ppmのオレフィン炭素を含む)は14.5%の変換を示した。結果をまた図1に示す。結果が示す様に、より高級なオレフィンに汚染されたsec-ブチルベンゼンの酸化物はオレフィンが少ないTCI原料に比べ活性が低い。
【0078】
実施例7
高級オレフィンの存在下のsec-ブチルベンゼンの酸化
濃縮機、攪拌棒及び空気スパージャーを備えた250-ml丸底フラスコに100gの実質的に純粋なsec-ブチルベンゼン(TCI America 製)及び0.375 gのN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI, Aldrichより購入可能)が装入された。フラスコは温度制御加熱マントルを用いて加熱された。反応温度は115 °C、圧力は大気圧であった。空気流量は約220 cc/分であった。45分毎に、反応混合物の一定少量がフラスコから採られGCで分析された。sec-ブチルベンゼン原料が実施例5で得られた高級オレフィン製品の1gサンプルによりスパイク(spike)されたことを除いてこの手順が繰り返された。高級オレフィンサンプルは、反応流出物をヘキサデカンで希釈し、混合物を50 mm Hg真空中で26プレートの真空被覆された還流比10対1のOldershawカラムを用いて蒸留することにより得られた。3つの留分が集められた:i)sec-ブチルベンゼンの沸点173°Cより前の温度で沸騰する留分、ii) sec-ブチルベンゼンと同じ温度領域で沸騰する留分、
iii) sec-ブチルベンゼンの沸点より高い温度で沸騰する留分である。酸化の結果は図2及び表6に示す。結果は、オレフィンをsec-ブチルベンゼンに添加することによりsec-ブチルベンゼンの酸化率が極めて低減することを示す。

【数7】

【0079】
実施例8
sec-ブチルベンゼンの酸処理による高級オレフィンの除去
電磁攪拌棒を備えた250mlのサンプル瓶に、実施例3及び4のプロセスによるラフィネート−2原料から生成されたsec-ブチルベンゼン94.9 g (0.71 モル)及び2.5gの硫酸(97%)が添加された。混合物は室温で1時間強く攪拌された。次に硫酸が50ccの蒸留水により2度洗浄されて除去された。その後上部のsec-ブチルベンゼン相が100ccの5重量%の重炭酸ナトリウム、続いて50ccの蒸留水で洗浄された。sec-ブチルベンゼンは、その後5Å分子篩上で乾燥された。乾燥されたsec-ブチルベンゼンのサンプルは、実施例5に記載の様に別の実験により酸化された。残りのsec-ブチルベンゼンは98℃でClaissonアダプターにより100mm真空で蒸留され、その後実施例12に記載の手順にしたがって酸化された。
【0080】
実施例9
水素化によるsec-ブチルベンゼンからの高級オレフィンの除去
100mlのParrオートクレーブに、実施例3及び4のプロセスによるラフィネート−2原料から生成されたsec-ブチルベンゼン(47.5g、 0.354モル)及びAldrich Chemical Co.製のアルミナ粉末上のパラジウム1.6gが添加された。オートクレーブは再組み立てされ、窒素によりリークテストがなされ、その後水素により55 psig (480 kPa)まで加圧された。水素は排出され、全ての窒素を除去するために再度充填された。内容物は機械的攪拌をしつつ100℃まで加熱され、温度は100℃で3時間に保たれた。オートクレーブ中の水素は加圧され、加熱の間を通して60 psigに維持された。オートクレーブ中の内容物はその後水素雰囲気中で室温まで冷却された。反応混合物は室温で除去され、ろ過されそして実施例12に記載の様に別の実験で酸化された。
【0081】
実施例10
酸処理及び水素化によるsec-ブチルベンゼンからの高級オレフィンの除去
100mlのParrオートクレーブに、実施例3及び4のプロセスによるラフィネート−2原料から生成されたsec-ブチルベンゼン55.4g (0.413モル)及びRohm & Haas製の5.0 gのAmberlyst 35及びアルミナ20/40メッシュ上の2.0 gの0.5%パラジウムが加えられた。混合物はその後23- 26°C, 57-61 psig (494-522 kPa)水素圧で21時間水素化された。反応混合物はその後ろ過され、5%の重炭酸ナトリウムで洗浄され、続いて蒸留水で洗浄され、その後5Å分子篩上で乾燥され、Claissenアダプターにより97℃/80mm真空下で再蒸留された。蒸留されたsec-ブチルベンゼンはその後実施例12に記載の手順にしたがって酸化された。
【0082】
エーテル化によるsec-ブチルベンゼンからの高級オレフィンの除去
電磁攪拌棒、温度計、還流冷却器を備えた4つ首200mlの丸底フラスコに、実施例1のプロセスによる純粋2−ブテン原料から生成されたsec-ブチルベンゼン63.3 g (0.472モル)及びRohm & Haas製の2, 2.0 gのAmberlyst 35及び
3.5 g (0.103モル)メタノールが添加された。混合物は、メタノール還流で攪拌しつつ78-82°Cで7時間加熱された。加熱工程の完了とともに、反応混合物はろ過され、50ccの5重量%の重炭酸ナトリウム溶液、続いて50ccの蒸留水で洗浄された。上部のsec-ブチルベンゼンはその後5Å分子篩上で乾燥され、そしてClaissenアダプターにより98℃/80mmで再蒸留された。蒸留されたsec-ブチルベンゼンはその後実施例12に記載の手順にしたがって酸化された。
【0083】
実施例12
種々の処理後のsec-ブチルベンゼンの酸化
この実施例では市場で購入可能なTCI Americaのsec-ブチルベンゼン及び実施例8−11で生成された処理sec-ブチルベンゼンのサンプルが以下の手順にしたがって別々に酸化された。
【0084】
機械攪拌棒を備えた100mlのParrオートクレーブに43.2g (0.32 モル) sec-ブチルベンゼン及び0.185g (0.001134モル) NHPIが充填された。オートクレーブは再組み立てされ、窒素によりリークテストがされ、その後システムに組み付けられた。オートクレーブの内容物は窒素により、続いて酸素により加圧され、室温で窒素/酸素の比が80:20の混合物が得られた。内容物はその後運転温度が115℃になるまで6時間加熱され、酸素濃度は、加熱の間を通じて純粋酸素を補充することにより約20%に維持された。酸素の濃度を維持するために気体サンプルが加熱中を通じ採取された。
【0085】
結果を図3に示す。この結果はいずれのオレフィン含有量を低下させる処理により何れもsec-ブチルベンゼンの酸化割合いを改善することを示す。
【0086】
本発明は、特定の実施の形態より説明しているが、当業者にとっては、本明細書に記載されていない種々の他の修飾が可能であることは明らかである。したがって、本出願の発明の範囲を決定するためには特許請求の範囲の記載のみによるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、市場で購入可能なsec-ブチルベンゼンサンプル及び実施例1,2(2−ブテンを使用)及び3,4(ラフィネートー2を使用)のsec-ブチルベンゼン製品を用いた実施例6の酸化プロセスでの変換割合を比較した図である。
【図2】図2は、市場で購入可能なsec-ブチルベンゼンサンプル及び実施例5で得たブテンオリゴマーの蒸留により生成された種々の部分でスパイクされたものと同じサンプルを用いて実施例7の酸化プロセスで得た変換割合を比較した図である。
【図3】図3は、市場で購入可能なsec-ブチルベンゼンサンプル及び実施例1,2(2−ブテンを使用)及び3,4(ラフィネートー2を使用)で得た未処理sec-ブチルベンゼン製品及び実施例8,11から得た処理したsec-ブチルベンゼンを用いて、実施例12の酸化プロセスで得た変換割合を比較した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール及びメチルエチルケトンを生成するプロセスであり、前記プロセスは:
(a)ベンゼン及びC4オレフィンをアルキル化条件及びアルキル化触媒の存在下で接触させ、sec-ブチルベンゼン及びC8+オレフィンを含むアルキル化流出物を生成し;
(b)前記流出物を処理し、前記C8+オレフィンの量を減少させ、処理された流出物を生成し;
(c) 前記処理された流出物中のsec-ブチルベンゼンを酸化させ、ヒドロぺルオキシドを生成し;及び
(d) (c)のヒドロぺルオキシドを開裂しフェノール及びメチルエチルケトンを生成する
ことを含む前記プロセス。
【請求項2】
前記処理(b)は化学処理を含む請求項1のプロセス。
【請求項3】
前記化学処理はオレフィンのオリゴマー化、選択的還元、選択的酸化、エステル化及びヘテロ原子のオレフィンへの添加又はこれらの組み合わせを含む、請求項2のプロセス。
【請求項4】
前記処理(b)は前記C8+オレフィンの量を処理された流出物の1重量%未満に減少させる、請求項1乃至3のいずれか1項のプロセス。
【請求項5】
前記触媒はMCM-22ファミリーの少なくとも一つの分子篩を含む、請求項1乃至4のいずれか1項のプロセス。
【請求項6】
前記MCM-22ファミリーの分子篩が、12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3.42±0.07 Åで最大d−間隔を含むX線回折パターンを持つ分子篩である、請求項5のプロセス。
【請求項7】
前記MCM-22ファミリーの分子篩がMCM-22、PSH-3, SSZ-25, ERB-1, ITQ-1, ITQ-2, MCM-36, MCM-49, MCM-56, UZM-8 及びこれらの混合物から選択される、請求項5のプロセス。
【請求項8】
前記C4オレフィンが線状ブテンを含む、請求項1乃至7のいずれか1項のプロセス。
【請求項9】
前記線状ブテンが1−ブテン及び/又は2−ブテンを含む、請求項8のプロセス。
【請求項10】
前記線状ブテンが混合C4 流体に含まれる、請求項8又は9のプロセス。
【請求項11】
前記混合C4 流体が、以下の主要成分を含む蒸気分解された粗原料C4 流体から得られる、請求項10のプロセス:
30から85重量%のブタジエン
0から15重量% C4アセチレン
1から30重量% ブテン−1
1から15重量%ブテン−2
2 0 から30重量% イソブテン
0から10重量% ノルマルブタン
0から1重量% イソブタン。
【請求項12】
前記混合C4 流体が、ブタジエンを除去するために蒸気分解された粗原料C4 流体を溶媒抽出プロセスに付してして得られるラフィネート流体から得られ、前記ラフィネート流体が以下の主要成分を含む、請求項10のプロセス:
0から2重量%のブタジエン
0から0.5重量%のC4アセチレン
20から50重量%のブテン−1
10から30重量%のブテン−2
0から55重量%のイソブテン
0から55重量%のノルマルブタン
0から1重量%のイソブタン。
【請求項13】
前記混合C4 流体が、ブタジエンを除去するために蒸気分解された粗原料C4 流体を水素化プロセスに付して得られるラフィネート流体から得られ、前記ラフィネート流体が以下の主要成分を含む、請求項10のプロセス:
0から2重量%のブタジエン
0から0.5重量%のC4アセチレン
50から95重量%のブテン−1
0から20重量%のブテン−2
0から35重量%のイソブテン
0から10重量%のノルマルブタン
0から1重量%のイソブタン。
【請求項14】
前記混合C4 流体が、ブタジエン除去するために蒸気分解された粗原料C4 流体を溶媒抽出プロセス、及びイソブテン除去プロセスに付して得られるラフィネート流体から得られ、前記ラフィネート流体が以下の主要成分を含む、請求項10のプロセス:
0から1重量%のブタジエン
0から0.5重量%のC4アセチレン
25から75重量%のブテン−1
15から40重量%のブテン−2
0から5重量%のイソブテン
0から55重量%のノルマルブタン
0から2重量%のイソブタン。
【請求項15】
前記混合C4 流体が、ブタジエン除去するために蒸気分解された粗原料C4 流体を水素化プロセス及びイソブテン除去プロセスに付して得られるラフィネート流体から得られ、前記ラフィネート流体が以下の主要成分を含む、請求項10のプロセス:
0から1重量%のブタジエン
0から0.5重量%のC4アセチレン
75から95重量%のブテン−1
0から20重量%のブテン−2
0から5重量%のイソブテン
0から10重量%のノルマル ブタン
0から2重量%のイソブタン。
【請求項16】
前記混合C4 流体が、精製所の混合ブタン/ブテン流体である、請求項10のプロセス。
【請求項17】
前記精製所の混合ブタン/ブテン流体が以下の主要成分を含む、請求項16のプロセス:
0から2重量%のプロピレン
0から2重量%のプロパン
0から5重量%のブタジエン
5から20重量%のブテン−1
10から50重量%のブテン−2
5から25重量%のイソブテン
10から45重量%のイソブタン
5から25重量%のノルマル ブタン。
【請求項18】
前記混合C4 流体が、酸素含有物の低級オレフィンへの変換により得られるC4部分から得られる、請求項10のプロセス。
【請求項19】
前記C4部分が以下の主要成分を含む、請求項18のプロセス:
0から1重量%のプロピレン
0から0.5重量%のプロパン
0から1重量%のブタジエン
10から40重量%のブテン−1
50から85重量%のブテン−2
0から10重量%のイソブテン
0から10重量%のノルマル及びイソブタン。
【請求項20】
前記アルキル化条件が60°Cから260°Cの温度、及び/又は7000 kPa未満の圧力及び/又はC4アルキル化剤に基づく原料の毎時重量空間速度(WHSV)が0.1と50 hr-1の間、及び/又はベンゼンのブテンに対するモル比が1から50である、請求項1乃至19のいずれか1項のプロセス。
【請求項21】
前記(a)の接触がまた、少なくとも部分的に液相条件下で実施される、請求項1乃至20のいずれか1項のプロセス。
【請求項22】
前記(a)の接触はまたポリブチルベンゼンを生成し、及び更にポリブチルベンゼンを、トランスアルキル化触媒の存在下でベンゼンと接触させsec-ブチルベンゼンを生成することを含む、請求項1乃至21のいずれか1項のプロセス。
【請求項23】
前記トランスアルキル化触媒はゼオライトベータ、モルデナイト、USY, MCM-22, PSH-3、SSZ-25, ERB-1, ITQ-1, ITQ-2, MCM-36, MCM-49, MCM-56, UZM-8及びこれらの混合物から選択される分子篩を含む、請求項22のプロセス。
【請求項24】
前記(c)の酸化が、
(i) マンガンを含むオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核金属錯体、
(ii) 混合金属コアーを持つオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核金属錯体であり、コアーの一つの金属はZn, Cu, Fe, Co, Ni, Mn 及びこれらの混合物から選択される二価の金属であり、他の金属はIn、Fe, Mn, Ga, Al 及びこれらの混合物から選択される三価の金属であり、
(iii) N-ヒドロキシ置換環状イミド単独又は遊離基開始剤の存在下でのN-ヒドロキシ置換環状イミド、及び
(iv) N,N',N"-トリヒドロキシイソシアヌル酸単独又は遊離基開始剤の存在下でのN,N',N"-トリヒドロキシイソシアヌル酸
から選択される触媒の存在下で実施される、請求項1乃至23のいずれか1項のプロセス。
【請求項25】
前記酸化(c)が70°Cから200°Cの温度及び/又は50 から2000 kPaの圧力(0.5 から約20気圧)で行われる、請求項1乃至24のいずれか1項のプロセス。
【請求項26】
前記開裂(d)が触媒の存在下で行われる、請求項1乃至25のいずれか1項のプロセス。
【請求項27】
前記開裂(d)が均一触媒の存在下で行われる、請求項1乃至26のいずれか1項のプロセス。
【請求項28】
前記均一触媒には、硫酸、過塩素酸、リン酸、塩酸及びp−トルエンスルホン酸、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、二酸化硫黄、及び三酸化硫黄少なくとも一つを含む、請求項1乃至27のいずれか1項のプロセス。
【請求項29】
前記開裂(c)が不均一触媒の存在下で行われる、請求項1乃至28のいずれか1項のプロセス。
【請求項30】
前記不均一触媒がスメクタイト粘土を含む、請求項29のプロセス。
【請求項31】
前記開裂(d)が、40℃から120℃の温度及び/又は100 から1000 kPaの圧力及び/又はヒドロぺルオキシドに基づく1から約50 hr-1の液時空間速度(LHSV)で実施される、請求項1乃至30のいずれか1項のプロセス。
【請求項32】
sec-ブチルベンゼンの沸点の5°Cの範囲内で沸騰し、少なくとも95重量%のsec-ブチルベンゼン及び20 から1000 ppm 重量のブテンオリゴマーを含む、炭化水素組成物。
【請求項33】
50から500 ppm重量のブテンオリゴマーを含む請求項32の炭化水素組成物。
【請求項34】
0.5 重量%未満のイソブチルベンゼン及び三級ブチルベンゼンを含む請求項32又は33の炭化水素組成物。
【請求項35】
フェノール及びメチルエチルケトンを生成する方法における、請求項32乃至34のいずれか1項に記載の炭化水素組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−526791(P2009−526791A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554651(P2008−554651)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001210
【国際公開番号】WO2007/093362
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】