説明

フェライト中空微粒子の製造方法

【課題】焼成したり非磁性物質により強度を補わなくても、十分な強度を持つ中空のフェライト微粒子を製造することのできる中空フェライト微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】2価鉄イオンを含有する水溶液にテンプレー微粒子を浸漬し、この2価鉄イオンを含有する溶液中でテンプレート微粒子の表面に2価鉄イオンを吸着させその一部を酸化させてフェライト相を生成することにより、このテンプレート微粒子の表面をフェライト相を有する被覆を形成する水溶液中フェライト被覆形成工程と、このフェライト相を有する被覆をもつテンプレート微粒子からテンプレートの部分をテンプレート溶解物質を用いて溶解除去しフェライト相を有する被覆を殻として残すテンプレート溶解除去工程により、結晶粒が結合して強度を有すると共に流体物質の通過可能な貫通孔のある中空フェライト微粒子を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェライト中空微粒子の製造方法に関し、特に水溶液中で製造することにより粒子形状の良好なフェライト中空微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中空の外殻を形成し、この外殻の内部にさまざまな機能を有する物質を内包させた粒子はマイクロカプセルやナノカプセルとして広く利用されている。例えば色素をマイクロカプセルにし、圧力や温度でカプセルを破壊して発色させ、感圧記録紙や感熱記録紙の記録材料として用いるものが特許文献1(特開2006−281143号公報)に記載されている。また、低誘電率の材料を内包したマイクロカプセルや軽量物質としてのマイクロカプセルがあり、また農薬を内包したマイクロカプセルや触媒を内包したマイクロカプセルがあり、さらに薬物をマイクロカプセルに内包することによってその放出を調整するようにしたマイクロカプセルもある。また、中空の外殻をフェライトで構成した場合には、通常のマイクロカプセルとしての機能のほかに、磁気的な力を用いて誘導することや、交流磁場を用いて誘導加熱を行なうなど、中空の外殻が持つ磁性.を利用した応用が可能となることから、さらに新しい用途が期待される。また、固体や液体を内包したマイクロカプセルのほかに、気体を内包したマイクロカプセルの重要性が高まっている。液体などに比べ気体は超音波の反射が大きいという性質を利用し、気体を内包させたマイクロカプセルが超音波反射画像装置の造影剤として用いられている。このほか、気体を内包させたマイクロカプセルは、磁気共鳴診断における造影剤としても有効であることが、例えば特許文献2(特表平9−510204号公報)などに記載されている。
【0003】
中空のフェライト微粒子の作製方法として、これまでに多くの方法が報告されている。例えば非特許文献1(F. Caruso et al., Chem. Mater. 2001, 13, 109-116)には、フェライトのナノ微粒子をコロイド状にしたものをポリマー微粒子のテンプレート表面に吸着させて層を形成し乾燥した後、500℃に加熱焼成し、テンプレートのポリマーを熱分解してフェライト中空微粒子を得ている。また特許文献3(特開平6−23271号公報)には、テンプレートのポリマー微粒子をFeClの水溶液に浸漬してポリマー微粒子表面に鉄イオンを吸着させて層を形成したものを800℃で焼成してα−Feの中空微粒子とし、これを水素中350℃で熱処理して、Feの中空微粒子を形成している。
【0004】
しかしながら、これらの方法には、加熱に伴うさまざまな問題点があった。即ち、フェライトのシェルを焼成し、またテンプレートのポリマーを熱分解するために、数100℃にまで昇温することが必要であり、この際に中空微粒子間の焼結による融着が生じたり、粒子の殻形状が保てなくなったり破壊したりするほか、フェライトがマグネタイトなどの場合は酸化により磁性が失われるなど多くの問題点があった。
【0005】
また非特許文献2(Materials Chemistry and Physics 100 (2006) 10-14)には、ポリスチレン微粒子の表面にフェライト被覆を形成し、中空微粒子の殻の強度の確保された構造のものが記載されている。この非特許文献2では、まず、シリカのテンプレート粒子表面にポリスチレンを被覆し、この後、シリカ粒子をフッ酸で除去してポリスチレンの中空微粒子を製作する。続いてこのポリスチレン微粒子の表面にフェライト被覆を形成するとにより、殻強度が確保され磁性を有する中空微粒子を得ることが記載されている。また非特許文献3(J. of Magn. and Magn. Mat. 311 (2007) 578-582)には、中空微粒子の殻をフェライトとシリカの複合体にしたものが記載されている。この非特許文献3では、テトラエトキシシランとマグネタイトの懸濁液を前駆体としてゾルゲル法によりポリスチレンの粒子の表面にフェライトとシリカの複合体の殻を形成した後、トルエンによりポリスチレンを除去している。しかしながら、中空微粒子の殻にフェライト以外の非磁性体を併用するこれらの場合には、非磁性体の存在することにより、微粒子の磁性が弱くなるという問題点があった。従って、数100℃での焼成を行うことなく、また非磁性の物質を用いることもなく、十分な強度を有する中空のフェライト微粒子の製造を可能にする中空フェライト微粒子の製造方法が望まれる。
【特許文献1】特開2006−281143号公報
【特許文献2】特表平9−510204号公報
【特許文献3】特開平6−23271号公報
【非特許文献1】F. Caruso et al., Chem. Mater. 2001, 13, 109-116
【非特許文献2】Materials Chemistry and Physics 100 (2006) 10-14
【非特許文献3】J. of Magn. and Magn. Mat. 311 (2007) 578-582
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、数100℃での焼成を行うことなく、また非磁性の物質を用いることなく十分な強度を有する中空のフェライト微粒子を製造することのできる中空フェライト微粒子の製造方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フェライトめっきの方法、すなわち、塩化第一鉄水溶液中に多孔性微小シリカ球を浸漬し、酸化剤とpHの緩衝剤を添加し、シリカ微粒子の表面に2価鉄イオンを吸着させ、その一部を酸化させることによってシリカ微粒子の表面にマグネタイト層を形成する方法を用いて多孔性微小シリカ球のマグネタイト被覆に成功し、その結果をIEEE TRANS. Magn., MAG. 30, No.6, Nov. 1994 4692-4694およびJpn. J. Appl. Phy. 36 (1997) 243-246非特許文献4および非特許文献5に報告している。また、この微粒子を用い、静止した水や流水を超音波を用いて可視化した結果をJpn. J. Appl. Phy. 36 (1997) pp243-246に報告している。この微粒子は内殻に多孔性シリカ粒子を用いているため、形状安定性が優れている。また、この多孔性シリカに空気などを取り込むことができる一方で、内包される量が相対的に少ないなどの点で、中空粒子とは性質の異なるものであった。
【0008】
そこで、このような技術をさらに発展させて、中空フェライト微粒子の製造を可能にすることを検討した。その結果、2価鉄イオンを含有する水溶液中でシリカ微粒子表面への2価鉄イオンの吸着とこの2価鉄イオンの一部酸化とを行ってフェライト相を生成するフェライトめっき法を用いてまずフェライト相を形成した。次にこのシリカ微粒子を溶液中で溶解除去し、フェライト相の殻を残すことに成功した。
【0009】
驚いたことに、このフェライトめっき法で形成されたフェライトの殻は、水溶液中で形成された状態ですでに殻を構成する微粒子間にネッキングを生じていて中空構造の維持に十分な強度を有し、しかも貫通孔を有していることが判明した。こうして中空フェライト微粒子を製作することが可能であることを見出し、さらに研究を行なって本発明をなすに至った。
【0010】
本発明のフェライト中空微粒子の製造方法は、2価鉄イオンを含有する水溶液にテンプレー微粒子を浸漬し、この2価鉄イオンを含有する溶液中でテンプレート微粒子の表面に2価鉄イオンを吸着させ、その一部を酸化させてフェライト相の被覆を生成することにより、この被覆の内側と被覆の外側との間を貫通する貫通孔を有するフェライト被覆を形成する水溶液中フェライト被覆形成工程と、このフェライト相の被覆をもつテンプレート微粒子からテンプレートの部分をテンプレート溶解物質により溶解除去してフェライト相を有する被覆を残すテンプレート溶解除去工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フェライトめっきによってフェライト相を有する被覆を形成することによって、焼成処理をすることなく、十分な強度を持つシェルが形成できる。また、フェライト被覆をしたあとのテンプレートは、溶液中の処理で溶解除去される。このため、本発明によれば、焼結による微粒子間の凝集や加熱による微粒子形状の乱れがなく、微粒子形状が整い、分散性が良好なフェライト中空微粒子が製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明することにより、本発明についてのさらなる詳細を述べる。
【0013】
1.製造工程
図1は本発明の一実施形態における中空フェライト微粒子の製造工程の流れを示した図である。
【0014】
図1において、まず、純水102に対し磁気スターラで攪拌しなからの窒素パージ104を行っている状態にて、この純水に例えば酢酸ナトリウムなどのpH緩衝剤106の添加を行う。さらに塩化第一鉄の水溶液などの2価鉄イオン水溶液の添加108を行った上で、この液の昇温110を行って、例えば60℃に保つ。このようにして得られる反応液112に、シリカ微粒子などのテンプレート微粒子の分散液の添加114を行ない、さらに硝酸ナトリウムなどの酸化剤の添加116を行って、テンプレート微粒子の表面にフェライトめっき反応によりフェライト相を形成する。こうしてフェライト被覆テンプレート微粒子分散液118を得る。なお、上記した磁気スターラで攪拌しなからの窒素パージ104は、この段階まで継続する。続いてこのフェライト被覆テンプレート微粒子の洗浄120を行って、フェライト被覆テンプレート微粒子の分散液122を得る。
【0015】
次にこのフェライト被覆テンプレート微粒子の分散液122にテンプレート溶解液124を加えて昇温126を行って、例えば65℃に保つ。こうしてテンプレート微粒子を溶解し、フェライト中空微粒子含有液128を得る。さらにこのようにして得たフェライト中空微粒子の洗浄130を行い、フェライト中空微粒子の分散液132を得る。
【0016】
上記の洗浄工程において、フェライトめっきテンプレート微粒子の洗浄、およびフェライト中空微粒子の洗浄の各工程においては、微粒子の水溶液中への分散と微粒子が磁性を持つことを利用して磁気を用いた回収の操作を用い、効率的に洗浄を行うことができる。
【0017】
2.フェライト微粒子
本発明のフェライト中空粒子の製造方法に用いられるフェライトは、フェライトめっきの方法によって成膜できる各種のフェライトであって、そのようなフェライトとして、例えば(M,Fe)(ここにMは例えばMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどから選ばれる1あるいは2種類以上の元素)を挙げることができる。
【0018】
3.テンプレート微粒子
本発明においては、テンプレート粒子の表面にフェライトめっきの方法でフェライト相を形成することにより、テンプレート粒子の大きさで決まるフェライト相の殻を形成する。次にこのテンプレートをテンプレート溶解物質を用いて溶解し、ほぼテンプレート粒子の大きさで決まる中空部を持つフェライト中空粒子を得る。この際に用いるテンプレート粒子は、フェライトめっきにより粒子表面にフェライト相が成膜可能であり、またフェライトを溶解しない適切なテンプレート溶解物質により溶解可能であればよい。
【0019】
本発明に用いるテンプレート粒子としてシリカ粒子は特に好ましいものの一つである。シリカ微粒子は粒子形状および粒子径のよく揃ったものが入手し易く、しかもアルカリ水溶液を用い、フェライトめっきによって形成したフェライト相を残し、溶解除去できる。
【0020】
本発明の製造方法を用いることにより、様々な寸法のフェライト中空粒子が製造できるようになった。本発明の製造方法を用いれば、平均粒子径が50nmから100μmの範囲のフェライト中空粒子の製造が特に容易に行える。平均粒子径が50nm以上であれば、粒子形状の良好なテンプレート粒子が入手でき、それらの粒子を用いて粒子形状の良好なフェライト中空粒子が製造できる。また平均粒子径が100μm以下であれば、テンプレートの溶解に要する時間が短時間で済む。こうした理由から平均粒子径は100nm以上であることがより好ましく、また200nm以上であることがさらに好ましい。また50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。
【0021】
(実施例)
1.シリカ微粒子へのフェライトめっき膜形成
500mlの三角フラスコに純水360mlを入れ、この純水360mlに酢酸ナトリウム32.8gを加え、マグネティックスターラで攪拌しながら、窒素パージを続けた。
【0022】
他方、50mlの三角フラスコに純水25mlを入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながら、窒素パージを続けた。このマグネティックスターラーによる攪拌をしながらの窒素パージを1時間続けたところで、この50mlの三角フラスコ内の25mlの純水に第一塩化鉄四水和物を1g加えた。
【0023】
その15分後、この50mlの三角フラスコ内の第一塩化鉄四水和物水溶液を20mlとり、これを500mlの三角フラスコ内の酢酸ナトリウム水溶液に加えた。
【0024】
攪拌と窒素パージを続けながら、この500mlの三角フラスコをホットプレートで60℃に加熱した。
【0025】
次に直径200nmの球形シリカ微粒子を水に40重量%懸濁させた懸濁液100μlを、この500mlの三角フラスコに加えた。
【0026】
次に新たに50mlの三角フラスコを用意し、これに25mlの純水を入れ、この25mlの純水に硝酸ナトリウム8.5gを加え、マグネティックスターラーで攪拌しながら、窒素パージを続けて作製した硝酸ナトリウムの水溶液を25ml取り、これを500ml三角フラスコに加え、攪拌と窒素パージを行いながら、シリカ粒子表面へのフェライトめっきの工程を3時間継続した。
【0027】
次に500ml三角フラスコ内の水溶液を攪拌しながらの窒素パージを停止し、このフェライトめっきの工程で水溶液中に合成されたフェライトめっきシリカ微粒子を磁石による磁場を利用して集め、残りの上澄み液を捨てた。次にこの合成された微粒子に純水を加え、さらに超音波をかけて洗浄し、再び合成されたフェライトめっきシリカ微粒子を磁石を用いて集め、上澄み液を捨てた。こうした洗浄操作を5回行った後、この合成されたフェライトめっきシリカ微粒子に純水を20ml加えてこれを容器に移した。こうして得られたフェライトめっきシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡写真を図2に示す。この写真に見られるように、テンプレートのシリカ微粒子の平均粒径約200nmに対し、これを被覆するフェライトめっきの厚さは約25±5nmである。
【0028】
2.フェライト中空微粒子の形成
上記の工程で作製したフェライトめっきシリカ微粒子の懸濁液に、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を20ml加えた。
【0029】
次にこの懸濁液を恒温器に入れ、65℃まで昇温し、3時間65℃を保った後、数回よく振って磁石で微粒子を回収し、上澄み液を捨てた。さらに純水10mlと1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液10mlを加え、再び電気炉にて65℃まで昇温し65℃に3時間保った後、磁石で回収し、上澄み液を捨てた。こうして得た微粒子を純水数十mlに懸濁させた。こうして得られたフェライト中空微粒子の透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。この写真に見られるように、コアのシリカが除去され、球形のフェライト中空微粒子が形成されていることが確認できた。
【0030】
なお、図4は、このフェライト殻の構造について詳細に調べた結果に基づいてその構造を模式的に示した図であって、このうちの図4(a)はフェライト殻の断面を模式的に示した図であり、また図4(b)はフェライト殻の表面を模式的に示した図である。図4(a)に示されているように、フェライト殻の断面をみると、フェライトの結晶粒402はネッキング404により互いに結合していて、これによってフェライト殻の強度が保たれている。他方、図4(b)に示されているように、フェライト殻の表面をみると、フェライトの結晶粒402がネッキング404により、互いに結合しているほかに、結晶粒の間には貫通孔406となる個所が多く存在しており、この個所を通じて液体物質の出入りを可能にしている。
【0031】
なお、溶液の合計が400mlとなる場合を述べたが、溶液の合計が例えば200mlや40mlといった少量の製作も可能である。また溶液の合計を大きくすることもできる。このような場合には、各薬品の濃度を上記の場合とほぼ同じにすればよい。また、フェライトめっきシリカ微粒子の懸濁液を昇温してシリカを溶解する温度は、40℃にしても溶解除去が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の製造方法によって、従来は製造が困難であったフェライト中空微粒子が製造できるようになった。この結果、中空部にさまざまな物質を取り込んで移送することができ、しかも粒子が磁性を有するという特徴を利用したさまざまな操作、例えば磁気力を利用した移送や高周波磁場に対する損失を利用した加熱などが可能になり、多くの新しい用途に用いることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態における中空フェライト微粒子の製造工程の流れを示した図である。
【図2】本発明の一実施例におけるフェライトめっきシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の一実施例におけるフェライト中空微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明に係るフェライト殻の構造を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0034】
102‥‥純水、104‥‥攪拌しなからの窒素パージ、106‥‥pH緩衝剤の添加、108‥‥2価鉄イオン水溶液の添加、110‥‥昇温、112‥‥反応液、114‥‥テンプレート微粒子の分散液の添加、116‥‥酸化剤の添加、118‥‥フェライト被覆テンプレート微粒子の含有液、120‥‥フェライト被覆テンプレート微粒子の洗浄、122‥‥フェライト被覆テンプレート微粒子の分散液、124‥‥テンプレート微粒子溶解液、126‥‥昇温、128‥‥フェライト中空微粒子含有液、130‥‥フェライト中空微粒子の洗浄、132‥‥フェライト中空微粒子の分散液、402‥‥結晶粒、404‥‥ネッキング、406‥‥貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2価鉄イオンを含有する水溶液にテンプレート微粒子を浸漬し、この2価鉄イオンを含有する溶液中にてテンプレート微粒子の表面に2価鉄イオンを吸着させ、その一部を酸化させてフェライト相の被覆を生成することにより、この被覆の内側と被覆の外側との間を貫通する貫通孔を有するフェライト被覆を形成する水溶液中フェライト被覆形成工程と、
前記フェライト相の被覆を有するテンプレート微粒子からテンプレートの部分をテンプレート溶解物質により溶解除去しフェライト相を有する被覆を残すテンプレート溶解除去工程と
を備えたことを特徴とするフェライト中空微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記テンプレート粒子としてシリカ粒子を用いることを特徴とする請求項1に記載のフェライト中空微粒子の製造方法。
【請求項3】
2価鉄イオンを含有する水溶液にテンプレート微粒子を浸漬し、この2価鉄イオンを含有する溶液中にてテンプレート微粒子の表面に2価鉄イオンを吸着させその一部を酸化させてフェライト相を生成することにより、このテンプレート微粒子の表面を貫通孔を有するフェライト被覆を形成する水溶液中フェライト被覆形成工程と、前記フェライト相を有する被覆をもつテンプレート微粒子からテンプレートの部分をテンプレート溶解物質を用いて溶解除去しフェライト相を有する被覆を残すテンプレート溶解除去工程とを備えた製造方法により製造することのできるフェライト中空微粒子。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−67606(P2009−67606A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234573(P2007−234573)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年8月22日 http://www.magnetism.org/ を通じて発表
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】