説明

フォトニック結晶、フォトニック結晶に適した共役ポリマー、および共役ポリマーの合成方法

本発明は、共役ポリマーおよびその合成方法に関する。また、本発明は、少なくとも1種のルイス酸および少なくとも1種のプロトントラップを使用して、高い屈折率を有する有機共役ポリマーを形成することを含む、ポリマーを製造するための電気合成方法に関する。一実施形態では、本発明は、高い屈折率を有する有機ポリマーであって、不飽和有機モノマー単位および少なくとも1種の酸性成分の溶液を準備する工程と、溶液内の少なくとも1種のプロトン性成分によって不飽和有機モノマー単位の飽和を妨げる工程と、不飽和有機モノマー単位を重合させ、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する共役有機ポリマーを形成する工程と、を含む方法によって形成される有機ポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ポリマーおよびその合成方法に関する。また、本発明は、少なくとも1種のルイス酸および少なくとも1種のプロトントラップ(proton trap)を使用して、高い屈折率を有する有機共役ポリマーを形成することを含む、ポリマーを製造するための電気合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集積回路は、半導体材料内で電子を伝導させて信号を伝達する。例えば、純粋なシリコン結晶では、シリコン原子が非常に規則正しい格子構造内に配列されている。格子内を移動する電子はシリコン原子核との相互作用により周期的なポテンシャルの影響を受け、伝導帯と価電子帯との間にバンドギャップが形成される。電子は純粋なシリコン結晶のバンドギャップ内ではエネルギーを有さないため、適当な不純物をシリコンにドーピングして結晶格子の周期性を乱す。シリコンへのドーピングによって、格子内でシリコン原子が欠如したり、格子内のシリコン部位に不純物が存在したり、あるいは、格子構造内の非シリコン部位に不純物原子が配置されたりすることになる。このようにして、電子はバンドギャップ内でエネルギーを有することができるようになり、電子が価電子帯から伝導帯に遷移するために乗り越えなければならないエネルギーギャップの大きさを最小化し、シリコン結晶の全体的な導電性を向上させることができる。
【0003】
フォトニクス分野は、信号を伝達し、現在は電子によって行われている用途を機能的に置き換えるために光を利用する回路を開発することを目的とする。例えば、フォトニック結晶は、材料中に散在する気孔(air hole)を有する誘電透明材料のブロックを含むことができる。誘電材料の屈折率は空気の屈折率よりも高い。誘電材料のブロックを通過する光子は、シリコン結晶を通過する際に、許容エネルギー範囲とバンドギャップに周期的に遭遇する電子と同様に、屈折率の高い領域と屈折率の低い領域とに周期的に遭遇する。誘電材料の屈折率と気孔の屈折率との大きな差によって、フォトニック結晶を通過する光の大部分は誘電材料内に閉じ込められ、通常はフォトニックバンドギャップと呼ばれる禁制エネルギー領域(forbidden energy region)によって分離された許容エネルギー領域(allowable energy region)が実質的に形成される。シリコン結晶のバンドギャップ内に許容エネルギーレベルを形成することができるように、誘電材料内に散在する気孔の大きさを変えることによって、フォトニックバンドギャップ内に許容エネルギーレベルを形成することができる。
【0004】
フォトニクスには理論的な根拠はあるが、広範囲にわたる応用を妨げる実用上の障害がある。フォトニック結晶の構造は、空気よりも高い屈折率を有する材料で形成された数百ナノメートルの長さの規則的な微細形状を必要とする。フォトニック結晶を開発するために、半導体材料およびその加工方法によって形成されたフォトニック結晶が検討されている。半導体材料およびその加工方法は、高い屈折率を有する規則的な構造を製造するために使用することができるが、半導体材料は限られた物理的性質しか有していないと共に、従来の半導体材料加工方法は資本集約的である。
【0005】
ポリマー材料をフォトニック結晶の構造に使用し、デバイスの物理的性質を拡大すると共に、製造に必要な資本を減少させることが提案されている。しかしながら、半導体材料から製造されたフォトニック結晶とは異なり、ポリマー材料によって製造したフォトニック結晶は比較的小さな屈折率差(通常は空気の屈折率に対するポリマー材料の屈折率の比率)を有する。通常、有機材料は、フォトニック結晶の製造に望まれる屈折率よりも低い1.3〜1.7の屈折率を有する。
【0006】
約1.7の高い屈折率を有するポリチオフェン(PT)等のある種の共役有機ポリマーを合成できたことが報告されているが、A.HamnettおよびA.R.HillmanがJ.Electrochem.Soc.1988,135,2517に開示している実験的試験は、ポリチオフェンの屈折率が実際には1.4であったことを明らかにしている。予想よりも低い屈折率は、「ポリチオフェンパラドックス」と呼ばれる現象によって引き起こされたものと仮定される。このパラドックスは、ポリチオフェン(PT)が電気合成され、出発材料を重合させるために必要な電位が、生成するポリマーを劣化させる電位よりも高いために生じる。その結果、非常に低い共役度を有する非常に劣化したポリマーが得られる。
【0007】
したがって、高い屈折率を有する有機ポリマーおよび高い屈折率を得ることができるそのようなポリマーの製造方法が求められている。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、共役ポリマーおよびその合成方法に関する。さらに、本発明は、少なくとも1種のルイス酸および少なくとも1種のプロトントラップを使用して、高い屈折率を有する有機共役ポリマーを形成することを含む、ポリマーを製造するための電気合成方法に関する。
【0009】
一実施形態では、本発明は、フォトニック結晶の形成に適した有機材料およびそのような材料の合成方法を提供する。本発明の利点の1つは、フォトニック結晶における使用に適した有機材料の合成コストを最小化することができることである。さらに、本発明によれば、1種以上の有機材料を含むフォトニック結晶の開発が可能となる。
【0010】
本発明は、フォトニック用途に適した高い屈折率を有する有機共役ポリマーおよび1種以上の有機共役ポリマーによって製造したフォトニック結晶を提供することによって上記目的およびその他の目的を達成する。
【0011】
一実施形態では、本発明は、高い屈折率を有する有機ポリマーであって、不飽和有機モノマー単位および少なくとも1種の酸性成分の溶液を準備する工程と、溶液内の少なくとも1種のプロトン性成分(protic element)によって不飽和有機モノマー単位の飽和を妨げる工程と、不飽和有機モノマー単位を重合させ、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する共役有機ポリマーを形成する工程と、を含む方法によって形成される有機ポリマーに関する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、広範囲に非局在化された(extensively−delocalized)π電子を有する共役部分を含み、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する有機ポリマーに関する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する少なくとも1種の有機材料を含む基体領域と、基体領域内に形成され、第2の材料を含む複数の第2の領域と、を含み、第1の周波数範囲内の電磁エネルギーの少なくとも一部を反射し、第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲内の電磁エネルギーの少なくとも一部を透過させるフォトニック結晶に関する。
【0014】
本発明の上述した特徴および利点とその他の特徴および利点は、図面を参照した以下の説明によって、本発明が関連する技術分野の当業者に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、共役ポリマーおよびその合成方法に関する。一例としては、本発明は、少なくとも1種のルイス酸および少なくとも1種のプロトントラップを使用して、高い屈折率を有する有機共役ポリマーを形成することを含む、ポリマーを製造するための電気合成方法に関する。なお、本明細書で使用する用語は便宜のみを目的とするものであり、本発明を限定するものではない。
【0016】
一実施形態では、本発明は、フォトニック結晶の製造における使用に適した高い屈折率を有する共役有機ポリマーを含む。この場合、本発明の共役有機ポリマーは、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、または約3.0よりも高い屈折率を有する。なお、本発明の目的においては、上記屈折率は約700nmの波長を有する光を使用して測定される。また、本発明は、フォトニック用途に適した高い屈折率を有する1種以上の共役有機ポリマーの合成方法およびそのような有機ポリマーを含むフォトニック結晶を含む。
【0017】
材料の屈折率は、材料の電子密度と分極率(polarizability)の影響を受ける。電子密度は、単位体積における電子の量である。材料の分極は、材料の電子分布が電界によって自然で偏っていない状態から変化する関連現象である。同じ極性の電荷は互いに反発する傾向があり、反対の極性の電荷は引力を生じる傾向がある。本発明の有機ポリマーは、有機モノマーによって形成され、ポリマーの分極率を高める広範囲に共役した経路(extensively conjugated path)を含む。好適な共役有機ポリマーの例としては、本発明の方法によって形成され、以下の一般構造を有するポリチオフェン(PT)が挙げられる。
【0018】
【化1】

【0019】
式中、mはポリマー中の繰り返し単位の数を示す。一実施形態では、mは、約25〜約100,000、約50〜約50,000、約100〜約25,000、約500〜約20,000、約1,000〜約15,000、約1,500〜約10,000、約2,500〜約7,500、または約3,500〜約5,000の範囲の整数である。別の実施形態では、mは、約1,000、約2,500、約5,000、約10,000、約15,000、約20,000、約40,000、約50,000、約75,000、約100,000、または約250,000よりも大きな整数である。なお、明細書および請求項において、各範囲の上限および下限を組み合わせることができる。
【0020】
一実施形態では、ポリチオフェン(PT)の特性を向上させるために、mは大きい(例えば、約1,000、約2,500、または約5,000を超える整数)ことが好ましい。ポリチオフェン(PT)に加えて、その他の好適な不飽和モノマーを重合して、本発明の共役有機ポリマーを形成することができる。限定されないが、好適な共役有機ポリマーの例としては、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェンビニレン、およびポリフェニレンビニレンが挙げられる。
【0021】
上述したように、従来の方法によって合成されたポリチオフェン(PT)は、多くの有機ポリマーに共通する1.3〜1.7の範囲の屈折率を有する。一方、本発明の方法によれば、各種の好適な実施形態について上述したような高い屈折率を有する共役ポリチオフェン(PT)が得られる。本明細書では、電気重合によるポリチオフェン(PT)の合成を実施形態として使用するが、その他の共役有機ポリマーおよびその他の合成方法も本発明の範囲に含まれる。不飽和チオフェンモノマー単位を含む溶液にルイス酸溶液を添加することにより、モノマー単位の重合を開始させるために必要な電位を、生成するポリマーが実質的に劣化する電位よりも低下させる。ルイス酸は、電子対を受容し、配位共有結合を形成することができる公知の化学種である。本発明の目的に適したルイス酸の例には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(boron trifluoro diethyl etherate(BFEE))、五フッ化アンチモン、三塩化アルミニウムが含まれる。
【0022】
ルイス酸溶液における水の存在は、チオフェンモノマー単位の少なくとも一部を飽和させ、生成するポリマーに飽和単位を導入することができる酸性プロトンを導入する。生成するポリマーに飽和単位を導入すると、ポリマーの共役度が悪影響を受ける可能性がある。これらの飽和モノマー単位は、2通りの方法で屈折率に影響を及ぼす。第1に、飽和モノマー単位は電子の移動度を低下させ、ポリマーの分極率を減少させる。第2に、飽和モノマー単位は不飽和単位のようにほぼ平面的ではないため、飽和モノマー単位をポリマーに導入することにより、ポリマー内に密度を減少させる捩れ(kink)が生じる。モノマー単位の飽和および飽和モノマー単位のポリマーへの導入を最小化するために、1種以上のプロトントラップを溶液に添加して酸性プロトンを捕捉し、遮蔽することができる。
【0023】
プロトントラップは、通常は環状部分と環状部分から延びる1以上の分岐部分を含む嵩高な(bulky)化学種である。好適なプロトントラップとしては、限定されないが、以下のI、II、IIIにそれぞれ示される2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(DTBP)、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジン(TTBP1)、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリミジン(TTBP2)が挙げられるが、その他のプロトン遮蔽種およびプロトン捕捉種も使用することができる。
【0024】
【化2】

【0025】
プロトントラップの濃度は、モノマー単位からプロトンを著しく引き抜いて共役を妨げることなく、プロトン性不純物のかなりの部分(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%)を捕捉するように最適化する。一実施形態では、DTBP等の好適なプロトントラップを約50mmolの濃度で使用する。別の実施形態では、TTBP1等の好適なプロトントラップを約10mmolの濃度で使用する。さらに別の実施形態では、TTBP2等の好適なプロトントラップを約10mmolの濃度で使用する。
【0026】
なお、本発明は、所定の濃度のプロトントラップ化合物に限定されるものではない。本発明では、本発明に係る有機ポリマーを合成する条件に応じて、あらゆる好適な量のプロトントラップ化合物を利用することができる。本発明で使用するプロトントラップ化合物の量に影響を与える条件としては、特に、本発明の方法によって重合させるモノマーの性質、選択するルイス酸、酸性溶液内に存在する水が挙げられる。別の実施形態では、生成するポリマーに大きな悪影響を与えることなく、約250mmol以下の濃度を使用することができる。
【0027】
一実施形態では、ポリチオフェン(PT)モノマー単位の濃度は、約5mmol〜約100mmol、約10〜75mmol、または約25〜約50mmolである。
【0028】
本発明にしたがって形成されたポリチオフェン(PT)フィルムをFT−IRおよびUV−Visを使用して分析した。図1に示すように、プロトントラップを使用して製造したフィルムおよびプロトントラップを使用せずに製造したフィルムのFT−IRは、飽和モノマー単位の形成および導入が、少なくとも1種のプロトントラップを添加することによって最小化されることを示している。その結果、図2のUV−Visスペクトルに示される吸収ピークは、約490nmから約501nmにシフトしている。このシフトは、ポリチオフェン(PT)鎖における共役度の上昇を示すものである。
【0029】
別の実施形態では、本発明の方法は、本発明の重合反応に使用される温度を、重合反応に使用される溶媒の凝固点近傍の温度に低下させることを含む。合成温度をルイス酸溶媒の凝固点の約20℃以内まで低下させることにより、図2のUV−Visスペクトルは501nmから521nmにさらにシフトする。このシフトは、ポリチオフェン(PT)鎖における共役度の上昇を示すものである。
【0030】
本発明の光学的に強化されたポリチオフェン(PT)フィルムの屈折率分散曲線を、角度可変分光エリプソメータを使用して分析した。エリプソメータによって、材料の屈折率を測定するために使用することができる材料の光学定数が得られる。エリプソメータを使用して、図3に示すように、約500nm〜約700nmの波長範囲で光学的に強化されたポリチオフェン(PT)フィルムの屈折率分散曲線を生成した。図3において、「屈折率(RI)」と標示した曲線は複素屈折率であり、nは屈折率の実数部であり、kは吸光係数である。図3に示す屈折率分散曲線から、500〜700nmの波長範囲では、フィルムは、約585nmの波長で約3.36の最大屈折率を有し、約589nmの波長で約3.35の屈折率を有し、約633nmの波長で約2.94の屈折率を有する。そのような高い屈折率を有する有機材料は、約100nmの波長範囲で最も一般的に使用されている構造である逆オパール構造を有する三次元フォトニック結晶の製造における使用に適している。
【0031】
フォトニック結晶は、周波数範囲内の電磁放射線を反射し、前記周波数範囲外の電磁放射線を透過させる、空間的に周期的な誘電構造体である。したがって、フォトニック結晶は、所定の周波数範囲において光の伝搬を妨げるフォトニックバンドギャップを形成する。通常、本発明のフォトニック結晶は、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する有機材料で形成された基体領域を含む。基体の有機材料は、有機材料の共役部分に沿って移動することができる非局在化されたπ電子を含む。
【0032】
第2の材料を基体領域に周期的に散在させることによって、第2の領域を基体領域に形成する。第2の材料は、有機材料と第2の材料との間で少なくとも約2.3の屈折率差を生じさせる屈折率を有する材料であることができる。一実施形態では、本発明は、例えば、少なくとも約2.4、少なくとも約2.5、少なくとも約2.6、少なくとも約2.7、少なくとも約2.8、少なくとも約2.9、少なくとも約3.0、少なくとも約3.1、少なくとも約3.2、少なくとも約3.3、または少なくとも約3.4の屈折率差を有するフォトニック結晶を含む。好適な第2の材料の例としては、基体領域を形成するために使用される有機材料以外の有機材料、空気、およびその他の誘電材料が挙げられる。本発明のフォトニック結晶は、第1の周波数範囲内の電磁エネルギーの少なくとも一部を反射し、第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲の電磁エネルギーの少なくとも一部を透過させる。
【0033】
以上、明細書に詳細に記載した実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、その他の実施形態も同じ結果を達成することができる。本発明の変形および変更は当業者には明らかであり、本発明は、添付の請求項においてそのような全ての変形および均等物を網羅することを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、プロトントラップを使用した場合と使用しない場合のポリマーネットワークへの飽和モノマー単位の導入を比較するFT−IRプロットである。
【図2】図2は、プロトントラップを使用した場合、プロトントラップを使用しない場合、およびプロトントラップを使用して低い温度で合成した場合のポリマーの共役度を比較するUV−Vis分析時に得られた結果を示すグラフである。
【図3】図3は、約500nm〜約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対するポリチオフェン(PT)フィルムの屈折率分散曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い屈折率を有する有機ポリマーであって、
不飽和有機モノマー単位および少なくとも1種の酸性成分の溶液を準備する工程と、
前記溶液内の少なくとも1種のプロトン性成分によって前記不飽和有機モノマー単位の飽和を妨げる工程と、
前記不飽和有機モノマー単位を重合させ、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する共役有機ポリマーを形成する工程と、
を含む方法によって形成される、有機ポリマー。
【請求項2】
請求項1において、
前記不飽和有機モノマー単位が、チオフェン、ピロール、フランまたはそれらの2種以上の組み合わせから選択される、有機ポリマー。
【請求項3】
請求項1において、
前記少なくとも1種の酸性成分がルイス酸を含む、有機ポリマー。
【請求項4】
請求項3において、
前記少なくとも1種のルイス酸が、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、五フッ化アンチモン、塩化アルミニウムまたはそれらの2種以上の組み合わせから選択される、有機ポリマー。
【請求項5】
請求項1において、
前記不飽和有機モノマー単位の飽和を妨げる工程が、前記溶液にプロトントラップを導入する工程を含む、有機ポリマー。
【請求項6】
請求項5において、
前記プロトントラップが、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジン、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリミジンまたはそれらの2種以上の組み合わせから選択される、有機ポリマー。
【請求項7】
請求項1において、
前記有機モノマー単位を重合させる工程が、前記溶液に電位を印加して前記不飽和有機モノマー単位の重合を開始させる工程を含む、有機ポリマー。
【請求項8】
請求項1において、
前記有機ポリマーが、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、およびこれらのポリマーの共重合体から選択される、有機ポリマー。
【請求項9】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.4の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項10】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.5の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項11】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.6の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項12】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.7の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項13】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.8の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項14】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.9の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項15】
請求項1において、
前記共役有機ポリマーが、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約3.0の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項16】
広範囲に非局在化されたπ電子を有する共役部分を含み、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する、有機ポリマー。
【請求項17】
約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.3の屈折率を有する少なくとも1種の有機材料を含む基体領域と、
前記基体領域内に形成され、第2の材料を含む複数の第2の領域と、
を含み、
第1の周波数範囲内の電磁エネルギーの少なくとも一部を反射し、前記第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲内の電磁エネルギーの少なくとも一部を透過させる、フォトニック結晶。
【請求項18】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.4の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項19】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.5の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項20】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.6の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項21】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.7の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項22】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.8の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項23】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約2.9の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項24】
請求項17において、
前記有機材料が、約700nmの波長を有する電磁エネルギーに対して少なくとも約3.0の屈折率を有する、フォトニック結晶。
【請求項25】
請求項17において、
前記有機材料が、1種以上のポリチオフェンポリマー、ポリピロールポリマー、ポリフランポリマー、またはこれらのポリマーの共重合体から選択される、フォトニック結晶。
【請求項26】
請求項17において、
前記第2の材料が空気である、フォトニック結晶。
【請求項27】
請求項17において、
前記第2の材料の屈折率に対する前記有機材料の屈折率の比率が少なくとも約2.3である、フォトニック結晶。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−510853(P2008−510853A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528033(P2007−528033)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/029498
【国際公開番号】WO2006/023699
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(505395700)ザ ユニバーシティ オブ アクロン (20)
【氏名又は名称原語表記】The University of Akron
【住所又は居所原語表記】302 E. Buchtel Common, Akron, OH 44325 U.S.A.
【Fターム(参考)】