説明

フォーカルプレーンシャッタ及び光学機器

【課題】、シャッタ動作のばらつきが抑制されたフォーカルプレーンシャッタ及び光学機器を提供することを課題とする。
【解決手段】フォーカルプレーンシャッタ1は、開口部11を有した基板10と、基板10を開閉するための羽根21bと、可動鉄片47bを保持し揺動可能に支持され羽根21bを駆動するための後幕駆動レバー40bと、非通電状態で可動鉄片47bを吸着可能であり通電状態で非通電状態での吸着力が弱まる自己保持型ソレノイド70bと、自己保持型ソレノイド70bから可動鉄片47bが離れるように後幕駆動レバー40bを付勢する付勢バネ60bと、を備え、後幕駆動レバー40bは、可動鉄片47bと係合し非磁性材料から形成された係合ピン48bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカルプレーンシャッタ及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自己保持型ソレノイドを備えた絞り装置が開示されている。自己保持型ソレノイドは、ヨークと、ヨークを励磁するコイルと、ヨークに固定された永久磁石と、コイルが無通電状態のときに永久磁石の磁力によってヨークに吸着され、ヨークに作用する永久磁石の磁力が相殺するようにコイルを通電することによりヨークから離れる可動鉄片と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−363462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、フォーカルプレーンシャッタの駆動レバーに可動鉄片を設ける場合、可動鉄片は、駆動レバーに保持された係合部に係合させて保持させることが考えられる。この係合部が磁性材料により形成されている場合に、可動鉄片がヨークに吸着した状態で長期間経過すると、係合部が磁化するおそれがある。係合部が磁化すると、係合部が磁化していない場合と比較し、可動鉄片に作用する吸着力が増大する。
【0005】
一方、駆動レバーは、ヨークから可動鉄片が離れるように付勢部材により一定の力で付勢されている。このため、可動鉄片に作用する吸着力にばらつきがあると、コイルへの通電を開始してからヨークに作用する永久磁石の磁力が相殺されるまでの期間にも、ばらつきが生じる。即ち、ヨークから可動鉄片が離れるときのタイミングが、係合部が磁化した場合と磁化していない場合とで異なる。これにより、駆動レバーが自己保持型ソレノイドから離れるタイミングにばらつきが生じる。従って、シャッタ動作のばらつきが大きくなるおそれがあり、これがシャッタスピードのばらつきの原因となっている。
【0006】
そこで本発明は、シャッタ動作のばらつきが抑制されたフォーカルプレーンシャッタ及び光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、開口部を有した基板と、前記基板を開閉するための羽根と、可動鉄片を保持し揺動可能に支持され前記羽根を駆動するための駆動レバーと、非通電状態で前記可動鉄片を吸着可能であり通電状態で前記非通電状態での吸着力が弱まる自己保持型ソレノイドと、前記自己保持型ソレノイドから前記可動鉄片が離れるように前記駆動レバーを付勢する付勢部材と、を備え、前記駆動レバーは、前記可動鉄片と係合し非磁性材料から形成された係合部を有する、フォーカルプレーンシャッタによって達成できる。
【0008】
係合部が非磁性材料から形成されていることにより、係合部が磁化することを防止できる。これにより、係合部が磁化し得る材料により形成された場合に起こり得る、シャッタ動作のばらつきを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャッタ動作のばらつきが抑制されたフォーカルプレーンシャッタ及び光学機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施例に係るフォーカルプレーンシャッタの正面図。
【図2】フォーカルプレーンシャッタの一部の構成のみを示した正面図。
【図3】フォーカルプレーンシャッタの一部の構成のみを示した正面図。
【図4】フォーカルプレーンシャッタの動作の説明図。
【図5】フォーカルプレーンシャッタの動作の説明図。
【図6】フォーカルプレーンシャッタの動作の説明図。
【図7】フォーカルプレーンシャッタの動作の説明図。
【図8】フォーカルプレーンシャッタの動作の説明図。
【図9】自己保持型ソレノイドの上面図。
【図10】自己保持型ソレノイドの側面図。
【図11】図11Aは、可動鉄片に作用する吸着力と後幕駆動レバーに作用する付勢力との関係を示したグラフ、図11Bは、自己保持型ソレノイドのコイルの通電状態を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施例を説明する。
図1は、本実施例に係るフォーカルプレーンシャッタの正面図である。図2、3は、フォーカルプレーンシャッタの一部の構成のみを示した正面図である。尚、図1〜3には一部の部材のみ符号を付している。
【0012】
図1に示すように、フォーカルプレーンシャッタ1は、基板10、羽根21a、21b〜24b、アーム31a、32a、31b、32b、電磁石70a、自己保持型ソレノイド70b等を有している。基板10は、樹脂により成形して作られている。そして、基板10には、矩形状の開口部11を有している。
【0013】
後幕20Bは、4枚の羽根21b〜24bから構成される。先幕20Aも同様に、4枚の羽根から構成されるが、図1、2に示すように、1枚の羽根21aのみを示している。図1〜3は、先幕20Aが重畳状態であり後幕20Bが展開状態の場合を示している。図1〜3の場合には、先幕20Aは開口部11から退避し、後幕20Bが開口部11を閉鎖している。
【0014】
図2に示すように、先幕20Aはアーム31a、32aに連結されている。後幕20Bは、アーム31b、32bに連結されている。これらアーム31a、32a、31b、32bは、それぞれ基板10に揺動自在に支持されている。アーム31a、31bには、それぞれ嵌合孔33a、33bが形成されている。
【0015】
図3に示すように、基板10には、アーム31a、31bをそれぞれ駆動するための先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bが設けられている。先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bは、それぞれ、軸部45a、45bを有している。軸部45a、45bは、基板10に対して回転可能に支持されている。これにより、先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bは、基板10に所定範囲を揺動可能に支持されている。先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bには、それぞれ駆動ピン43a、43bが設けられている。基板10には、駆動ピン43a、43bの移動をそれぞれ逃す逃げ孔13a、13bが設けられている。逃げ孔13a、13bは、それぞれ円弧状である。駆動ピン43a、43bは、それぞれアーム31aの嵌合孔33a、アーム31bの嵌合孔33bと嵌合している。先幕駆動レバー40aが揺動することにより、アーム31aが揺動し、これにより先幕20Aが移動する。同様に、後幕駆動レバー40bが揺動することにより、アーム31bが揺動し、これにより後幕20Bが移動する。
【0016】
先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bは、それぞれ可動鉄片47a、47bを保持している。先幕駆動レバー40aは、可動鉄片47aが電磁石70aに当接した位置から、可動鉄片47aが電磁石70aから退避した位置の間を揺動可能である。後幕駆動レバー40bについても同様である。軸部45a、45bには、それぞれコイル状の付勢バネ60a、60bが嵌合している。付勢バネ60aは、可動鉄片47aが電磁石70aから離れる方向に先幕駆動レバー40aを付勢している。付勢バネ60bも同様に、可動鉄片47bが自己保持型ソレノイド70bから離れる方向に後幕駆動レバー40bを付勢している。
【0017】
軸部45a、45bには、それぞれラチェット車50a、50bが係合している。ラチェット車50aは、付勢バネ60aの一端が係合している。付勢バネ60aの他端は先幕駆動レバー40aに係合している。ラチェット車50aの回転量を調整することにより、付勢バネ60aの付勢力を調整することができる。ラチェット車50bも、ラチェット車50aと同様の機能を有している。
【0018】
電磁石70aは、通電されることにより、可動鉄片47aを吸着可能となる。自己保持型ソレノイド70bは、詳しくは後述するが無通電状態で可動鉄片47bを吸着可能となり通電状態で無通電状態における可動鉄片47bへ作用する吸着力が弱まる。
【0019】
セットレバー90は、先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bを所望の位置に位置付けるためのものである。セットレバー90は、基板10に回転可能に支持された軸部95を有している。セットレバー90には、セットレバー90を初期位置に復帰するための復帰バネ80が取り付けられている。復帰バネ80は、軸部95に嵌合している。復帰バネ80は、一端が基板10に形成された突起部18に当接している。復帰バネ80の他端は、セットレバー90に形成された突起部98に当接している。
【0020】
次に、フォーカルプレーンシャッタ1の動作について説明する。図4〜8は、フォーカルプレーンシャッタ1の動作の説明図である。尚、図4〜8においては、一部構成を省略してある。図1〜3は、露光作動終了直後の状態を示している。露光作動終了直後の状態において、可動鉄片47aと電磁石70aとが当接した状態から先幕駆動レバー40aが付勢バネ60aの付勢力によって時計方向へ回転して、可動鉄片47aは電磁石70aから離れる。この際、先幕20Aは重畳されて、開口部11から退避する。また、可動鉄片47bと自己保持型ソレノイド70bとが当接した状態から後幕駆動レバー40bが付勢バネ60bの付勢力によって時計方向へ回転し、可動鉄片47bは自己保持型ソレノイド70bから離れる。これにより、後幕20Bは展開されて開口部11を閉鎖する。
【0021】
次に、図4に示すように、図示しないカメラ側の部材により、セットレバー90が復帰バネ80の付勢力に抗して、図1〜3に示された初期状態から時計方向へ回転させられる。これにより、セットレバー90は、先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bのそれぞれに設けられたローラ49a、49bに当接して、先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bを反時計方向に回転させる。これにより、先幕20Aは展開され開口部11を閉鎖し、後幕20Bは開口部11から退避する。尚、図4においては、先幕20Aについて羽根21aのみを示し、後幕20Bについて羽根21bのみを示している。この状態において、可動鉄片47a、47bは、それぞれ電磁石70a、自己保持型ソレノイド70bに当接する。
【0022】
次に、電磁石70aのコイルが通電され、電磁石70aと可動鉄片47aとの間には磁気的吸着力が生じる。その後、セットレバー90が復帰バネ80の付勢力に従って時計方向に回転し、図5に示すように、先幕駆動レバー40a、後幕駆動レバー40bから退避する。この際自己保持型ソレノイド70bは、無通電で可動鉄片47bを吸着している。図5は、セット作動の完了状態を示している。
【0023】
その後、撮影に際して、カメラのレリーズボタンが押されると、電磁石70aのコイルの通電が遮断され、先幕駆動レバー40aは付勢バネ60aの付勢力に従って時計方向に回転する。これにより、先幕20Aは開口部11から退避する。また、後幕20Bは開口部11から退避した状態に維持される。これにより、開口部11は開いた状態となる。図6は、露出中の状態を示している。
【0024】
レリーズボタンが押されてから所定期間経過後に自己保持型ソレノイド70bのコイルが通電され、自己保持型ソレノイド70bと可動鉄片47bとの間に作用する磁気的吸着力が弱まり、付勢バネ60bの付勢力により後幕駆動レバー40bが時計方向に回転する。これにより、後幕20Bは開口部11を閉鎖する。図7は、露光作動を終了した直後の状態を示しており、図1と同様の図である。これにより1回の撮影が終了する。自己保持型ソレノイド70bのコイルへの通電は、通電開始から所定期間経過後に遮断される。図6に示した、開口部11を全開にした状態は、写真撮影時のみならず、例えば動画撮影時においてもこのような状態が形成される。
【0025】
図8は、高速撮影時でのフォーカルプレーンシャッタ1の状態を示している。高速撮影時においては、図5に示したセット動作の完了状態から、電磁石70aのコイルの通電を遮断して先幕20Aが開口部11から退避し終わる前に、自己保持型ソレノイド70bのコイルへ通電して後幕20Bを走行させる。これにより、図8に示すように、羽根21a、21bは、開口部11の大きさよりも狭い間隔を維持しつつ開口部11を横断する。
【0026】
次に、自己保持型ソレノイド70bについて説明する。図9は、自己保持型ソレノイド70bの上面図、図10は、自己保持型ソレノイド70bの側面図である。図9、10は、可動鉄片47bが自己保持型ソレノイド70bに当接した状態での自己保持型ソレノイド70bを示している。尚、図9には、後幕駆動レバー40bも示している。
【0027】
図10に示すように、自己保持型ソレノイド70bは、側面から視てコ字状のヨーク71b、ヨーク71bに取り付けられたコイルボビン78b、コイルボビン78bに巻回されたコイル79b、ヨーク71bに固定された永久磁石75b、を含む。尚、コイルボビン78bは、図1〜9においては図示していないプリント基板100に固定されている。コイル79bは、プリント基板100に接続されている。自己保持型ソレノイド70bは、アーム部72b、73bを有している。アーム部73bに、コイルボビン78bが嵌合している。永久磁石75bは、アーム部72bとアーム部73bとを連結する部分の略中央に固定されている。永久磁石75bは、アーム部72b側はN極に着磁されておりアーム部73b側がS極に着磁されている。コイル79bが無通電の状態では、永久磁石75bの影響により、アーム部72bはN極に励磁され、アーム部73bはS極に励磁されている。これにより、コイル79bが無通電の状態でもヨーク71bは磁石として機能して可動鉄片47bを吸着保持することが可能となる。
【0028】
永久磁石75bの影響により生じた極性を相殺するように、コイル79bが通電される。このようにコイル79bが通電されることにより、無通電状態の可動鉄片47bへ作用する吸着力が弱まる。後幕駆動レバー40bは、付勢バネ60bにより自己保持型ソレノイド70bから可動鉄片47bを離す方向に付勢されているので、吸着力が付勢バネ60bの付勢力よりも弱まると、後幕駆動レバー40bは付勢バネ60bの付勢力に従って回転する。このようにして、可動鉄片47bを吸着していた自己保持型ソレノイド70bから可動鉄片47bが離れる。
【0029】
図9、10に示すように、可動鉄片47bには貫通孔47b1が形成されている。貫通孔47b1には、係合部48bが貫通している。係合部48bはピン状である。尚、図10においては、係合部48bは省略してある。係合部48bは、胴部48b1、胴部48b1の基端側に形成された細軸部48b3、胴部48b1の先端側に形成された鍔部48b2、を有している。細軸部48b3は、胴部48b1よりも細く形成されている。細軸部48b3は、後幕駆動レバー40bの保持部46bに形成された孔に嵌合して固定されている。貫通孔47b1に胴部48b1が嵌合している。鍔部48b2は、胴部48b1から可動鉄片47bが抜け落ちることを防止している。このように、可動鉄片47bは、係合部48bと係合している。係合部48bは、金属製であり非磁性材料により形成されている。例えば、係合部48bは、銅、アルミニウム、又は磁化しないステンレス製であってもよい。係合部48bが非磁性材料により形成されているので、係合部48bが磁化することが防止されている。
【0030】
次に、上記の係合部が磁性材料で形成されている場合に起こり得る問題点について説明する。図11Aは、可動鉄片47bに作用する吸着力と後幕駆動レバー40bに作用する付勢力との関係を示したグラフ、図11Bは、自己保持型ソレノイド70bのコイル79bの通電状態を示したグラフである。図11Aは、縦軸に力を示しており横軸は経過時間を示している。図11Bは、縦軸が自己保持型ソレノイド70bのコイル79bに流れる電流を示しており横軸は経過時間を示している。
【0031】
図11Aには、係合部が磁化していない場合での可動鉄片47bに作用する吸着力MF1、係合部が磁化した場合での可動鉄片47bに作用する吸着力MF2を示している。また、図11Aには、付勢バネ60b付勢力SFも示している。尚、付勢力SFの方向と、吸着力MF1、MF2の方向とは逆である。
【0032】
係合部が磁石した場合について説明する。無通電状態で可動鉄片47bがヨーク71bに吸着された状態から、コイル79bに電流Aが流れると、吸着力MF1は徐々に低下して、吸着力MF1が付勢力SFを下回る時に、付勢バネ60bの付勢力に従って可動鉄片47bはヨーク71bから離れる。その後、コイル79bに流れる電流Aの値は、予め設定された値に到達する。コイル79bへの通電が開始されてから吸着力MF1が付勢力SFを下回る時までの期間をt1とする。
【0033】
次に、係合部が磁化した場合について説明する。係合部が磁性材料により形成されている場合、可動鉄片47bがヨーク71bに長期間吸着されていると、係合部は磁化する。係合部が磁化すると、可動鉄片47bに作用する吸着力MF2は、係合部が磁化していない場合での吸着力MF1よりも大きくなる。このような状態でコイル79bに電流Aが流されると、吸着力MF2が徐々に低下し吸着力MF2が付勢力SFを下回る。コイル79bへの通電が開始されてから吸着力MF2が付勢力SFを下回る時までの期間をt2とする。
【0034】
図11Aに示すように、期間t2は、期間t1よりも長い。即ち、係合部が磁化した場合と磁化していない場合とで、ヨーク71bから可動鉄片47bが離れるタイミングが異なってくる。このため、後幕駆動レバー40bの作動にばらつきが生じる。
【0035】
例えば、係合部が磁化した後にシャッタ動作が行なわれると、コイル79bへの通電が開始されてからヨーク71bから可動鉄片47bが離れるまでの期間はt2である。この際、コイル79bへの通電により、ヨーク79b、可動鉄片47b、係合部は、消磁される。このため、係合部が消磁された後に再度セット作動が行なわれて、可動鉄片47bがヨーク71bに吸着し係合部が磁化する前にシャッタ動作が行なわれると、この際のコイル79bへの通電が開始されてからヨーク71bから可動鉄片47bが離れるまでの期間はt1である。これにより、後幕20Bの動作タイミングにばらつきが生じ、露出時間となるシャッタスピードにもばらつきが生じる。
【0036】
しかしながら、本実施例のフォーカルプレーンシャッタ1においては、係合部48bは非磁性材料に形成されているため磁化しない。このため、上記のような後幕駆動レバー40bの作動のばらつきを抑制できる。これにより、シャッタ動作のばらつきが抑制される。
【0037】
また、係合部48bは金属製である。例えば係合部48bを合成樹脂により形成した場合、係合部48bは金属製である可動鉄片47bと係合しているので、係合部48bが可動鉄片47bにより削られてゴミが発生する恐れがある。係合部48bを金属製にすることにより、このような問題が防止されている。
【0038】
また、自己保持型ソレノイド70bは、無通電で後幕20Bを開口部11から退避した状態に維持することができる。従って、電磁石70a、自己保持型ソレノイド70bの何れも無通電状態で、図6に示した露出状態を維持することができる。これにより、1の消費電力が抑制される。特に、撮像素子からの出力を液晶モニター等にリアルタイムに映し出すライブビューモード時や露出状態が長期間維持される動画撮影時などにおいて、消費電力が抑制される。
【0039】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【0040】
上記実施例において、可動鉄片を保持する係合部は駆動レバーとは別体であるがこのような構成に限定されない。例えば、可動鉄片を保持する係合部を駆動レバーと一体に設けてもよい。
【0041】
また、係合ピン48bは金属製であるが、合成樹脂製であってもよい。
【0042】
本実施例のフォーカルプレーンシャッタ1を備えた光学機器は、例えば一眼レフカメラやデジタルカメラ等である。
【符号の説明】
【0043】
1 フォーカルプレーンシャッタ
10 基板
20A 先幕
20B 後幕
21a、21b〜24b 羽根
31a、32a、31b、32b アーム
40a 先幕駆動レバー
40b 後幕駆動レバー
47a、47b 可動鉄片
48b 係合部
70a 電磁石
70b 自己保持型ソレノイド
71b ヨーク
72b、73b アーム部
75b 永久磁石
78b コイルボビン
79b コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有した基板と、
前記基板を開閉するための羽根と
可動鉄片を保持し揺動可能に支持され前記羽根を駆動するための駆動レバーと、
非通電状態で前記可動鉄片を吸着可能であり通電状態で前記非通電状態での吸着力が弱まる自己保持型ソレノイドと、
前記自己保持型ソレノイドから前記可動鉄片が離れるように前記駆動レバーを付勢する付勢部材と、を備え、
前記駆動レバーは、前記可動鉄片と係合し非磁性材料から形成された係合部を有する、フォーカルプレーンシャッタ。
【請求項2】
前記係合部は、金属製である、請求項1のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項3】
前記羽根は、それぞれ複数の羽根から構成される先幕及び後幕、を含み、
前記駆動レバーは、前記先幕を駆動するための先幕駆動レバー、前記後幕を駆動するための後幕駆動レバーを含み、
前記自己保持型ソレノイドは、非通電状態で前記後幕駆動レバーが保持する前記可動鉄片を吸着可能である、請求項1又は2のフォーカルプレーンシャッタ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかのフォーカルプレーンシャッタを備えた光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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