説明

フォーミングファブリック

本発明は、上側の織物層と、下側の織物層と、両織物層を接結するための複数の接結糸とを有する抄紙機ファブリック、特にフォーミングファブリックに関する。本発明は、下側のリピートの内部で、各対の各接結糸が、下側の長手方向糸と共に少なくとも1つの接結セグメントを形成し、各接結セグメントは、当該対の各接結糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続している2本または2本以上の下側の長手方向糸に交差することにより形成されており、かつ各接結糸対の接結セグメントは、接結糸対を側方で仕切る前記下側の横方向糸に対して相対的に、i)接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、少なくとも同一の下側の長手方向糸に交差し、該下側の長手方向糸が、当該対の接結糸と共に接結セグメントを形成し、ii)接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸のうちの一方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接先行している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成し、iii)接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸のうちの他方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接追従している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成するように配置されていることにより特徴付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の抄紙機ファブリック、特にフォーミングファブリック(Formiersieb)に関する。
【0002】
フォーミングファブリックは抄紙機のフォーミングパートもしくは紙層形成パートにおいて使用される。紙層形成プロセスでは、繊維懸濁液が抄紙機のフローボックスから1つのフォーミングファブリックまたは2つのフォーミングファブリック(ギャップフォーマの場合)へ付与される。フォーミングファブリックの役割は、繊維懸濁液を脱水して、紙料ウェブ(紙匹)を形成することにある。この場合、脱水プロセスにおいては繊維懸濁液から流し落とされるセルロース繊維(パルプ)および填料はできるだけ少ないことが望ましい。
【0003】
形成された紙匹の品質は、フォーミングファブリックの、紙匹に向けられた表面(紙側)の構造によって著しく影響を受ける。それに対して、フォーミングファブリックの寿命はフォーミングファブリックの、抄紙機に向けられた表面(抄紙機側)の構造によって著しく影響を受ける。
【0004】
このように部分的に相反する要求に応えることができるようにするためには、多層式の抄紙機ファブリックが開発されている。この多層式の抄紙機ファブリックは上側の、つまり紙側の織物層と、下側の、つまり抄紙機側の織物層とを備えている。この場合、両織物層は、いわゆる接結糸によって互いに結合されている。できるだけ単一の紙側の織物構造を保証するために、接結糸は有利には紙側の織り構造に組み込まれた成分であり(組み込まれた接結糸)、これにより、しつけ糸の結合により生ぜしめられるマーキング傾向は減じられる。
【0005】
公知先行技術に基づき知られている緯接結(schussgebunden)された、互いに交互する複数の一体の接結糸を備えた抄紙機ファブリックでは、接結糸が、上側の織物層および下側の織物層の経糸と交互に織り合わされており、この場合、各接結糸は一般に複数の上側の経糸と織り合わされており、その後に当該接結糸は下側の織物層の外側で、唯1本の下側の経糸と交差しており、これにより接結個所が形成され、次いで再び複数の上側の経糸と織り合わされる。
【0006】
このような公知のファブリックには、次のような欠点がある。すなわち、各接結個所において下側の織物層が常に1本の経糸を介してのみ上側の織物層に結合されているので、その結果、この経糸には高い力が作用し、この力は当該経糸をファブリックの内部へ引き込み、このことはファブリックの平坦性(Planaritaet)に対して不都合に作用する。
【0007】
さらに、このような公知のファブリックでは、接結糸が、しばしば上側の織物層と下側の織物層との間の大きな距離を進むので、これにより、公知先行技術に基づき公知のファブリックはしばしば極めて厚みがあり、したがって多くの水を案内する。
【0008】
さらに、公知先行技術に基づき公知のファブリックはしばしば、ファブリック面にわたって著しく変動する脱水特性を提供する。このことは、このようなファブリック上に形成された紙のハイドロリック的なマーキングを招く恐れがある。
【0009】
さらに、公知のファブリックでは、上下の織物層の間で接結糸がしばしば高い摩耗にさらされている。なぜならば、これらの接結糸はしばしば両織物層の間に十分に固定されていないからである。
【0010】
本発明の課題は、冒頭で挙げた不都合が生じないか、あるいは少なくとも低減された状態でしか生じない抄紙機ファブリックを提供することである。
【0011】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴部に記載の特徴により解決される。
【0012】
本発明による抄紙機ファブリック、特にフォーミングファブリックは、上側の織物層と、下側の織物層と、両織物層を接結するための複数の接結糸とを有している。上側の織物層の外側は、ファブリックの、紙ウェブもしくは紙匹と接触させられる側を提供し、下側の織物層の外側は、ファブリックの、機械と接触させられる側を提供する。
【0013】
この抄紙機ファブリックでは、さらに、下側の織物層が、複数の接結糸と、複数の下側の横方向糸と、前記接結糸および前記下側の横方向糸と織り合わされかつ前記接結糸および前記下側の横方向糸に対して直交する方向に延びる複数の下側の長手方向糸とにより形成される。下側の織物層は、下側のリピート(Rapporten)で繰り返す所定の織りパターンを有している。本発明による抄紙機ファブリックでは、接結糸が、互いに対になって配置されている。さらに、各対(ペア)の接結糸が、互いに交互に上側の長手方向糸および下側の長手方向糸と織り合わされている。さらに、各接結糸対が、両側でそれぞれ1本の下側の横方向糸によって側方で仕切られており(flankiert)、接結糸対を側方で仕切る両下側の横方向糸が、それぞれ周期的なシーケンスで下側の長手方向糸と以下のように織り合わされている:
i) 接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続している複数の下側の長手方向糸に交差しており、
ii) 接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸が、上側の織物層と下側の織物層との間を走行して下側の長手方向糸に交差して、1つの糸屈曲部(Fadenkroepfung)を形成している。
【0014】
本発明による抄紙機ファブリックは、下側のリピートの内部で、各対の各接結糸が、下側の長手方向糸と共に少なくとも1つの下側のセグメントを形成していて、各セグメントは、当該対の各接結糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続している2本または2本以上の下側の長手方向糸に交差することにより形成されており、さらに、下側のリピートの内部で、各接結糸対のセグメントは、接結糸対を側方で仕切る前記下側の横方向糸に対して相対的に、
i) 接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、少なくとも同一の下側の長手方向糸に交差し、該下側の長手方向糸が、当該対の接結糸と共に接結セグメントを形成し、
ii) 接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸のうちの一方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接先行している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成し、
iii) 接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸のうちの他方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接追従している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成する、
ように配置されている。
【0015】
接結糸が、下側の長手方向糸との織り合わせの際に、連続した2本または2本以上の下側の長手方向糸にわたって延びるセグメントを形成することにより、接結糸は増幅された規模で下側の織物層の外側に沿って延びていて、織物層の間では延びていないので、これによりファブリックの厚さ、ひいてはこれに関連した不都合は著しく減少する。
【0016】
各接結糸が、連続する少なくとも2本の長手方向糸にわたり織り合わされるという本発明の特徴に基づいて、さらに、各接結糸が、下側の長手方向糸との織り合わせの際に下側の織物層の外側に沿って「フラットに」延びて、この接結糸を両側で取り囲んで仕切る、たいていは接結糸よりも大きな横断面を有する下側の横方向糸によって摩耗に対して保護されている。これにより、両織物層の離層もしくは層間剥離の危険は著しく減じられる。さらに、下側のリピートの内部では、接結糸対を側方から取り囲んで仕切る下側の両横方向糸のうちの一方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接先行している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成しており、接結糸対を側方から取り囲んで仕切る下側の両横方向糸のうちの他方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接追従している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成しているので、下側のリピートの各接結セグメントはしっかりとその位置に保持され、これにより下側の織物層と上側の織物層との間での接結糸の相対運動が阻止されており、ひいてはファブリックの内部摩耗も減じられる。
【0017】
さらに、下側の織物層において、下側の織物層の外側における下側の横方向糸の長い浮き(Flotierung)によって、相並んで延びかつ外側で浮いた2本の下側の横方向糸の間に延びる範囲には脱水通路が形成される。結糸対を側方から取り囲んで仕切る下側の横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して少なくとも同一の下側の長手方向糸に交差し、該長手方向糸が、当該対の接結糸と共に接結セグメントを形成することにより、浮きにより形成された脱水通路の横断面が減じられ、これにより従来では一様の脱水速度が減じられ、ひいてはマーキング発生傾向も減じられる。
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】横方向糸方向で見た本発明によるフォーミングファブリックの第1実施形態を示す概略図である。
【図2】横方向糸方向で見た本発明によるフォーミングファブリックの第2実施形態を示す概略図である。
【図3】図2に示したフォーミングファブリックの下側の織物層を示す概略図である。
【図4】択一的な別の実施形態を示す、図1に想到する概略図である。
【図5】図4に示した実施形態により製造されたフォーミングファブリックの下側の織物層を下方から見た図である。
【図6】下側の織物層の脱水範囲が特徴付けられている、図5に相当する概略図である。
【図7】図4に示した実施形態により製造されたフォーミングファブリックの上側の織物層を上方から見た図である。
【図8】図4に示した実施形態により製造されたフォーミングファブリックの下側の織物層を上方から見た図である。
【図9】図4に示した実施形態により製造されたフォーミングファブリックの下側の織物層を示す、図8に相当する単純化された図面である。
【0020】
図1には、フォーミングファブリックとして形成された本発明による抄紙機ファブリック100の第1実施形態が横方向糸方向で図示されている。図1には、抄紙機ファブリック100の織り構造の1リピート単位(Rapporteinheit)が示されている。
【0021】
フォーミングファブリック100は、経糸として形成された上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19と、経糸として形成された下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20とを有している。これらの長手方向糸はこの場合、図1の図平面から直角に延びている。
【0022】
さらに、フォーミングファブリック100は接結糸i1〜i20を有しており、これらの接結糸は接結糸対i1およびi2、i3およびi4〜i19およびi20の形に配置されている。
【0023】
さらに、フォーミングファブリック100は、緯糸として形成された上側の横方向糸T1〜T20と、緯糸として形成された下側の横方向糸B1〜B20とを有している。図1に示したフォーミングファブリック100では、接結糸対i1およびi2〜i19およびi20の数と上側の横方向糸T1〜T20の数とを合わせた合計対下側の横方向糸B1〜B20の割合が3:2である。本発明によるフォーミングファブリック100は上側の織物層101と、下側の織物層102とを有しており、この場合、両織物層101,102は接結糸i1,i2〜i19,i20によって互いに接結されている。
【0024】
上側の織物層101は、接結糸i1〜i20と、上側の横方向糸T1〜T20と、接結糸i1〜i20および上側の横方向糸T1〜T20に対して直交する方向に延びかつこれらの接結糸および上側の横方向糸と織り合わされた上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19とによって形成されている。上側の織物層を、上側の長手方向糸およびこれらの上側の長手方向糸と織り合わされた接結糸によってのみ形成することも考えられる。
【0025】
下側の織物層102は、接結糸i1〜i20と、下側の横方向糸B1〜B20と、これらの接結糸および下側の横方向糸と織り合わされかつこれらの接結糸および下側の横方向糸に対して直交する方向に延びる下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20とによって形成されている。
【0026】
1対の接結糸は、互いに交互に上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19および下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20と織り合わされているので、その結果、当該対の第1の接結糸が上側の長手方向糸と織り合わされていると、当該対の第2の接結糸は下側の長手方向糸と織り合わされており、当該対の第2の接結糸が上側の長手方向糸と織り合わされていると、当該対の第1の接結糸は下側の長手方向糸と織り合わされている。
【0027】
上側の織物層101の織りパターンは平織りを形成しており、この場合、接結糸対の接結糸i1〜i20と上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19との互いに交互した織り合わせによって、上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19と上側の横方向糸T1〜T20との織り合わせにより形成された織りパターンが継続される。したがって、各接結糸i1〜i20は、連続する上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19との織り合わせの際に交互に、上側の織物層101の外側103でかつ両織物層101,102の間に延びて上側の長手方向糸1,3,5,7,9,11,13,15,17,19に交差する。
【0028】
図1から判るように、下側の織物層は、下側のリピートで繰り返す織りパターンを有しており、この場合、この下側のリピートは下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20と接結糸i1〜i20と下側の横方向糸B1〜B20とによって形成される。
【0029】
各接結糸対i1およびi2〜i19〜i20は両側でそれぞれ下側の横方向糸B1〜B20のうちの1つによって側方で仕切られており、この場合、各接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸B1〜B20はそれぞれ周期的なシーケンスもしくは順序で下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20と以下のように織り合わされている:
i)各接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸は、下側の織物層102の外側104に沿って走行して、直接に連続する4つの下側の長手方向糸に交差し、
ii)各接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸は、上側の織物層101と下側の織物層102との間を走行して1本の下側の長手方向糸に交差して、1つの糸屈曲部(Fadenkroepfung)を形成する。
【0030】
たとえば、接結糸対i1およびi2は一方の側では下側の横方向糸B2により、他方では下側の横方向糸B3により、それぞれ側方で仕切られる。
【0031】
本実施形態では、フォーミングファブリック100の全ての下側の横方向糸B1〜B20が、周期的なシーケンスで下側の長手方向糸と、上で記載したシーケンスで織り合わされている。
【0032】
本発明の構成では、下側のリピート(循環)内で1対の各接結糸が下側の長手方向糸と共に少なくとも1つの接結セグメントS1〜S20を形成しており、各接結セグメントS1〜S20は、当該対の各接結糸が下側の織物層102の外側104に沿って走行して、直接に連続した少なくとも2本の下側の長手方向糸に交差することにより形成されている。
【0033】
こうして、下側のリピート内では、たとえば接結糸対i1およびi2の接結糸i1が接結セグメントS1を形成し、接結糸対i1およびi2の接結糸i2が接結セグメントS2を形成している。この場合、接結セグメントS1は、当該対の接結糸i1が、下側の織物層102の外側104に沿って走行して、直接に連続する2本の下側の長手方向糸14,16と交差することにより形成される。さらに、接結セグメントS2は、当該対の接結糸i2が下側の織物層102の外側104に沿って走行して、直接に連続する2本の下側長手方向糸4,6に交差することにより形成される。
【0034】
さらに、前記セグメントは、同一の接結糸、たとえば接結糸i1により形成された連続する2つの接結セグメント、たとえば接結セグメントS1の間で、この接結糸、たとえば接結糸i1が、上側の織物層101の外側103に沿って走行して少なくとも1本の上側の長手方向糸、たとえば長手方向糸1,5と交差するように形成されている。
【0035】
さらに、下側のリピート内で各接結糸対の接結セグメントは、これらの接結セグメントを側方で仕切る下側の横方向糸に対して相対的に、当該接結セグメントを側方で仕切る両下側の横方向糸が下側の織物層の外側に沿って走行して、当該対の接結糸と共に接結セグメントを形成する少なくとも同一の下側の長手方向糸に交差するように配置されている。
【0036】
たとえば、それぞれ下側の横方向糸B2および下側の横方向糸B3は下側の織物層102の外側104に沿って走行して、接結セグメントS1およびS2をも形成する下側の長手方向糸4,6ならびに14,16と交差する。
【0037】
さらに、接結糸対を側方で仕切る両下側の横方向糸のうちの一方の横方向糸はそれぞれ、相応する接結セグメントに直接に先行する下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成している。すなわち、たとえば下側の横方向B2は下側の長手方向糸2および下側の長手方向糸12と共に屈曲部を形成しており、この場合、下側の長手方向糸2は接結セグメントS2に直接先行しており、下側の長手方向糸12は接結セグメントS1に直接先行している。
【0038】
さらに本発明の構成では、接結糸対を側方で仕切る両下側の横方向糸のうちの他方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接追従する下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成している。
【0039】
たとえば下側の横方向B3は、下側の長手方向糸8および下側の長手方向糸18と共に屈曲部を形成しており、この場合、下側の長手方向糸8は接結セグメントS2に直接に追従しており、下側の長手方向糸18は接結セグメントS1に直接に追従している。
【0040】
図1から判るように、各接結糸対においては、両接結糸の接結セグメントが交互に配置されている。すなわち、たとえば接結セグメントS1,S2が互いに入れ替わっている。この場合では、1つの接結糸対の直接に連続している接結セグメントの間に常に3本の下側の長手方向糸が配置されている。すなわち、たとえば直接に連続している接結セグメントS1,S2の間には、3本の下側の長手方向糸8,10,12もしくは3本の下側の長手方向糸18,20,2が配置されている。
【0041】
さらに、各接結糸対は第1の種類の接結糸i2,i4,i6,i8,i10,i12,i14,i16,i18,i20と、第2の種類の接結糸i1,i3,i5,i7,i9,i11,i13,i15,i17,i19とを有している。この場合、上側のリピート単位では第1の種類の接結糸i2,i4,i6,i8,i10,i12,i14,i16,i18,i20が上側の織物層101の外側103に沿って走行する場合、この第1の種類の接結糸i2,i4,i6,i8,i10,i12,i14,i16,i18,i20は2本の上側の長手方向糸と交差しており、第2の種類の接結糸i1,i3,i5,i7,i9,i11,i13,i15,i17,i19が上側の織物層101の外側103に沿って走行する場合、この、第2の種類の接結糸i1,i3,i5,i7,i9,i11,i13,i15,i17,i19は3本の上側の長手方向糸と交差している。
【0042】
さらに、直接に互いに隣接した接結糸対の、同じ種類の接結糸により形成された接結セグメントは、横方向糸方向で互いに対して下側の長手方向糸1本分だけずらされて配置されており、したがって互いに部分的にオーバラップしている。すなわち、たとえば第1の種類の接結糸i2,i4,i6,i8,i10,i12,i14,i16,i18,i20は相応する下側の長手方向糸と共に接結セグメントS2,S4,S6,S8,S10,S12,S14,S16,S18,S20を形成しており、この場合、たとえば横方向糸方向において直接に相並んで配置された接結セグメントS2,S4は下側の長手方向糸6の分だけ互いにオーバラップして相並んで配置されている。
【0043】
図2には、フォーミングファブリックとして形成された本発明による抄紙機ファフリック110の第2実施形態が示されている。
【0044】
図2に示したフォーミングファブリック110は、主として次の点で図1に図示したフォーミングファブリック100とは異なっている。すなわち、図2に示したフォーミングファブリック110では、接結糸対i1およびi2〜i19およびi20と上側の横方向糸T1〜T10とを合わせた数対下側の横方向糸B1〜B10の割合が2:1である。
【0045】
さらに、図1に示した実施形態とは異なり、直接に互いに隣接した接結糸対の、同じ種類の接結糸によって形成された接結セグメントは横方向糸方向で直接に互いに続いている。すなわち、たとえば第1の種類の接結糸i2,i3,i6,i7,i10,i11,i14,i15,i18,i19は、相応する下側の横方向糸と共に接結セグメントS2,S3,S6,S7,S10,S11,S14,S15,S18,S19を形成しており、この場合、たとえば直接に相並んで配置された接結セグメントS2,S3は横方向糸方向において直接に、つまり1本または複数本の下側の長手方向糸のオーバラップまたは間隔なしに、相並んで配置されている。
【0046】
図1および図2に示したフォーミングファブリックでは、さらに、下側の横方向糸が、接結糸よりも大きな横断面を有している。
【0047】
図3には、下側のリピートの一部にわたって下側の織物層112を、下側の織物層112の外側114へ向かって見た図が示されている。
【0048】
図面からは、本発明における特徴が明瞭に判る。すなわち、下側のリピート内では、
−各対の各接結糸i1〜i20が、下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20と共に少なくとも1つの接結セグメントS1〜S20を形成しており、各接結セグメントS1〜S20は、当該対の各接結糸i1〜i20が下側の織物層112の外側114に沿って走行して、直接に連続する2本またはそれ以上の下側の長手方向糸2,4,6,8,10,12,14,16,18,20と交差することにより形成されており、
−各接結糸対の接結セグメントS1〜S20が、これらの接結セグメントを側方で仕切る下側の横方向糸B1〜B10に対して相対的に配置されており、この場合、
i) 接結セグメントを側方で仕切る両下側の横方向糸B1〜B10が、下側の織物層112の外側114に沿って走行して、少なくとも同一の下側の長手方向糸と交差しており、これらの下側の長手方向糸は当該対の接結糸i1〜i20と共に接結セグメントS1〜S20を形成しており、
ii) 接結セグメントを側方で仕切る両下側の横方向糸のうちの一方の横方向糸が、それぞれ、相応する接結セグメントに直接に先行する下側の長手方向糸と共に屈曲部を形成しており、
iii) 接結セグメントを側方で仕切る両下側の横方向糸のうちの他方の横方向糸が、それぞれ、相応する接合セグメントに直接に追従する下側の長手方向糸と共に屈曲部を形成している。
【0049】
たとえば接結糸対i3およびi4を取り上げて説明してみると、下側のリピート内では、接結糸i3が下側の長手方向糸14,16と共に接結セグメントS3を形成しており、接結糸i4が下側の長手方向糸4,6と共に接結セグメントS4を形成している。接結セグメントS4は、接結糸i4が下側の織物層112の外側114に沿って走行して、直接に連続する2つの下側の長手方向糸4,6と交差することによって形成されている。接結セグメントS3は、接結糸i3が下側の織物層113の外側114に沿って走行して、直接に連続する2本の下側の長手方向糸14,16と交差することにより形成されている。
【0050】
さらに、接結セグメントS3,S4は、これらの接結セグメントS3,S4を側方で仕切る下側の横方向糸B2,B3に対して相対的に配置されており、この場合、
接結セグメントを側方で仕切る両下側の横方向糸B2,B3は下側の織物層112の外側114に沿って走行して同一の下側の長手方向糸4,6と交差しており、これらの長手方向糸4,6は当該対の接結糸14と共に接結セグメントS4を形成しており、
接結セグメントを側方で仕切る両下側の横方向糸B1,B2は下側の織物層112の外側114に沿って走行して、同一の下側の長手方向糸14,16と交差しており、これらの下側の長手方向糸14,16が当該対の接結糸13と共に接結セグメントS3を形成しており、
接結セグメントを側方で仕切る下側の横方向糸B2は、下側の長手方向糸2,12と共に屈曲部を形成しており、この場合、長手方向糸2は接結セグメントS4に先行しており、長手方向糸12は接結セグメントS3に直接に先行しており、接結セグメントを側方で仕切る下側の横方向糸B3は、下側の長手方向糸8,18と共に屈曲部を形成しており、この場合、長手方向糸8は接結セグメントS4に直接追従しており、長手方向糸18は接結セグメントS3に直接に追従している。
【0051】
以下に、図4〜図6につき、本発明により構成されたフォーミングファブリック100の別の実施形態について説明する。
【0052】
基本的に、このフォーミングファブリック100においては、各接結対に対して側方で仕切るように配置された下側の横方向糸の位置もしくは組込みに関して、ならびに第1の種類および第2の種類の接結糸i1〜i20の延びに関して、前で説明した原理が実現されている。すなわち、たとえば接結糸対i1,i2においては、接結糸i1が上側の、つまり紙側の織物層101へ組み込まれている場所で、該接結糸i1が、平織りを形成するために3本の上側の長手方向糸1,5,9にわたって交錯しており、すなわち上側の長手方向糸1,5,9に交差しており、その後に、接結糸i1は再び下側の織物層102へ移って、外側で下側の長手方向糸14,16と交差し、これにより接結セグメントS1を形成する。すなわち、接結糸i1は第2の種類の接結糸である。相応して、接結糸i2は第1の種類の接結糸であり、この接結糸は、平織りを形成するために上側の織物層101へ組み込まれている場所で、2本の上側の長手方向糸13,17と交差しており、すなわちこれらの長手方向糸13,17の外側で交錯している。互いに隣接した種々の接結糸対の接結セグメントの互いに対する位置に関しては、同じく図1に既に示した配置が実現されている。たとえば、接結糸対i3,i4の接結セグメントS3,S4が、接結糸対i1,i2の接結セグメントS1,S2に関して横方向で、つまり緯方向で長手方向糸1本分だけずらされていることが判る。念のため付言しておくと、この場合、当然ながら、図2につき説明した配置、つまり隣接し合う接結糸対のこのような接結セグメントのオーバラップが存在していない配置が選択されていてもよい。
【0053】
図1に示した実施形態との比較における実質的な相違点は、隣接し合う接結糸対の種々の種類の接結糸がどのように連続しているのかにある。図1からは、連続する接結糸対において、常にまず、奇数で示された接結糸、つまり接結糸i1,i3,i5等が、第2の種類の接結糸であり、すなわち平織りを形成するために上側の織物層101へ組み込まれている場所で、3本の上側の長手方向糸にわたって交錯しているか、もしくはこれらの上側の長手方向糸と交差していることが判る。
【0054】
各接結糸対の第2の接結糸として続く接結糸、すなわち接結糸i2,i4,i6等は、第1の種類の接結糸であり、この第1の種類の接結糸は、平織りを形成するために上側の織物層101へ組み込まれている場所で、2本の上側の長手方向糸と交差している。このことは、各接結糸i1,i2等に対する対応関係で図1に書き込まれた数字3、2につき判る。この場合、数字3はそれぞれ第2の種類の接結糸を表し、数字2は第1の種類の接結糸を表す。
【0055】
しかし、図4に示した実施形態では、長手方向糸の方向で連続している接結糸対において、互いに異なる接結糸対のそれぞれ同じ種類の接結糸が相並んで位置している。すなわち、図4から明らかであるように、第1の種類の接結糸である接結糸対i1,i2、つまり上側の両長手方向糸13,17を介して交錯している接結糸対i1,i2の接結糸i2に並んで、接結糸対i3,i4において、同じく第1の種類の接結糸として形成された接結糸i3が位置している。第2の種類の接結糸である、つまり3本の上側の長手方向糸3,7,11にわたって交錯しているか、もしくはこれらの長手方向糸3,7,11と交差している接結糸対i3,i4の接結糸i4に並んで、接結糸対i5,i6の接結糸i5が位置している。この接結糸i5も、第2の種類の接結糸であり、つまり上側の織物層101に平織りを形成するために2本の上側の長手方向糸1,17に交差している。
【0056】
各接結糸対における接結糸の種類のこのようなチェンジは、このようなフォーミングファブリックの製造時に、接結糸もしくは横方向糸が緯糸として形成されている場合に、時間的なシーケンスで見て常に、連続して導入され得る接結糸に関して、必ず最初に1対の一方の種類の接結糸が、次いで当該対の他方の種類の接結糸が、次いで、次の対の他方の種類の接結糸が、次いで当該対の一方の種類の接結糸が導入されていくことにより行われる。この場合、当然ながら、個々の対の間には、その都度上側の横方向糸および下側の横方向糸が導入され、すなわちたとえば接結糸対i1,i2およびi3,i4の間に、上側の横方向糸T3,T4および下側の織物層112において接結糸対を側方で仕切っている下側の横方向糸B3,B4が導入される。
【0057】
連続する接結糸対における種々の種類の接結糸のこのようなシーケンス(順序)から、図5および図6に示した構造が得られる。特に図5および図6からは、隣接し合った接結糸対の互いに異なる種類の接結糸のこのようなチェンジ(交番)により、たとえば下側の長手方向糸2〜12の範囲において、互いに隣接し合う2つの接結糸対の接結糸i2,i3が比較的互いに近接して位置しており、それに対して、次に続いた範囲では同一の接結糸対の両接結糸i1,i4が、比較的大きな間隔を有していることが判る。互いに隣接し合う種々の接結糸対における大小異なる間隔のこのような連続は、横方向、つまりたとえば緯方向においても、長手方向、つまりたとえば経方向においても、続いている。このことは、図6において、楕円で囲まれ種々のパターンで示された脱水範囲E1,E2,E3,E4をもたらす。これらの脱水範囲E1,E2,E3,E4は、それぞれ種々の接結糸対の同じ種類の接結糸の間に封入されている。連続するリピートにわたって相応して続いているこれら4種の脱水範囲は、互いに対して、もしくは織物構造において少しだけ異なる、高い規則性を中断する位置を有していて、したがって、製紙のために使用された繊維懸濁液からの充填剤および繊維の、マーキングの少ない保持を可能にし、そして均質でかつ無指向性の脱水を助成する。この作用は、結合対角線(Bindungsdiagonal)内に交互に配置された脱水範囲E1,E2,E3,E4から明らかとなる。これらの脱水範囲E1,E2,E3,E4は、外側に位置する接結セグメントの配置により形成され、かつ交互に比較的開いてかつ比較的密に現れ、ひいては均質で無指向性の脱水を生ぜしめる。脱水通路もしくは脱水範囲E1,E2,E3,E4が規則的に配置されていると、このことは繊維の洗い落としおよび充填剤の増幅された洗い落としによる、当該規則性に相応するマーキングを生ぜしめる恐れがある。
【0058】
図5には、さらに、隣接した接結糸対の同じ種類の接結糸の各接結セグメントの間に形成された対角線L1,L2が、下側の織物層102の織物構造の、基本的に真っ直ぐに延びる主対角線Dから偏倚して、フォーミングファブリック100の横方向もしくは長手方向に関して、択一的に異なる角度位置を有していることが判る。これらの対角線はそれぞれ、隣接し合う接結糸対の同じ種類の接結糸の接結セグメントの、横方向で見て真ん中の範囲の間に延びている。こうして、点線L1により、たとえば第1の種類の接結糸i5,i8の接結セグメントS5,S8の、横方向で見て真ん中の範囲を結ぶ対角線が規定されている。破線L2により、接結糸i8を起点として、この対角線は次の接結糸もしくは当該対の、接結糸i5,i8と同様に第2の種類の接結糸である接結糸i9に続いている。この場合、下側の織物層102を真っ直ぐに貫いて延びる対角線は生ぜしめられないことが判る。それどころか、ジグザグ状に延びる線が生ぜしめられる。真っ直ぐに延びる対角線に比べて不規則的であるこのような延びに基づき、マーキング傾向は減じられる。
【0059】
さらに、前で図4〜図6につき説明した、種々の種類の接結糸の配置は、図4に図示されている3:2の緯割合(Schussverhaeltnis)と組み合わされると、脱水特性およびマーキング特性に関して特に有利になることが判った。しかし、念のため付言しておくと、基本的には、2:1または1:1の緯割合においても、種々の種類の接結糸のこのような配置を使用することができる。
【0060】
さらに、種々の種類の接結糸の、前で説明した配置と相まって、紙側の織物層の開いた面に対する走行側(laufseitig)の織物層の開いた面の比が、1よりも小さい、有利には0.95よりも小さい、最も有利には0.9よりも小さいと特に有利である。このことは、紙側、つまり上側の織物層101が、開いた構造、つまり走行側もしくは下側の織物層102よりも高い気孔率を持って形成されていることを意味する。このことは、紙側からの充填剤の洗い落としの低減を助成する。
【0061】
以下に、図7〜図9につき、上側の、つまり紙側の織物層もしくは下側の、つまり機械側もしくは走行側の織物層の開いた面の定義を説明する。
【0062】
図7には、上側の織物層101を上から見た図、つまり製作したい紙材料と接触する側から見た図が示されている。図面からは、種々の横方向糸T1,T2,T3等もしくは長手方向糸1,3,5等が認められる。さらに、この図面で見て上側の織物層101において、実際に、平織りのために寄与する唯1本の横方向糸としてみなされる接結糸対i1,i2が認められる。
【0063】
上側の織物層101の、互いに交差し、ひいては平織りを形成する長手方向糸もしくは横方向糸の間には、図示の事例では、ほぼ正方形の、平面図で見て糸によって覆われていない面範囲Fが生じる。これらの面範囲Fは図7において点線で描かれている。上側の織物層101の開いた面は、これら全ての面範囲Fにより形成された、全体的に糸によって覆われていない面対全ての面範囲Fと、平面図で見て長手方向糸および横方向糸によって覆われた全ての面との総和である全体面の割合により規定されている。
【0064】
図8には、下側の織物層102の、図7の観察方向における相応する図面が示されている。すなわち、この下側の織物層は図8で見て、同じく上側から、つまり上側の織物層に面した側から観察される。図8においても、種々の長手方向糸および横方向糸ならびに種々の接結糸対の、同じく横方向に延びる接結糸i1〜i10が認められる。図9には、垂直方向に延びる黒色で、種々の長手方向糸2〜10が概略的に描かれている。B1〜B5で示された行は長手方向で連続しかつ横方向に延びる種々の横方向糸を表す。白色で描かれているのは、それぞれ交錯範囲Aである。この範囲は、1本の横方向糸が1本の長手方向糸の上で交錯し、その後に当該横方向糸が再び、後続の4本の長手方向糸の下側に沿って浮いている範囲である。
【0065】
網点で描かれているのは、面範囲F´である。面範囲F´の全体面は再び、「下側の織物層の開いた面」の大きさを求めるために、当該下側の織物層102の全体面に対して割合を求められる。この場合、一方では、2本の直接に隣接した横方向糸の間で、平面図で見て糸材料によって覆われていない面として生ぜしめられるような範囲がこのような面範囲F´であるとみなされることが判る。このような面範囲F´は図8において左下側で横方向糸B1,B2の間にマーキングされている。同じく、2本の隣接した横方向糸の間の、1つの接結糸対が位置する面範囲がこのような面範囲F´とみなされる。すなわち、接結糸は基本的に、面範囲F´を減少させる糸材料としてはみなされない。このような面範囲F´は図8の左下側では横方向糸B2,B3の間に示されている。さらに、次に続いた長手方向糸の下の交錯範囲Aに隣接して浮いている横方向糸B1,B2等の区分も、このような面範囲F´とみなされる。このような面範囲F´は図8において横方向糸B2に対応して、右側で交錯範囲Aに並んで描かれている。すなわち、横方向糸B2の、長手方向糸10,14の間に位置しかつ長手方向糸12の上側に交差する区分は、面範囲F´としてみなされないのに対して、次に続いた面範囲F´もしくは相応して先行した面範囲は、下側の織物層の開いた面を求める際に、糸によって覆われていない範囲とみなされる。
【0066】
フォーミングファブリックの本発明による構造を用いると、さらに次のような利点が得られる。すなわち、接結糸において形成された浮きにより、特に接結セグメントの範囲においても、長手方向糸に関する巻掛け角度が減じられ、このことは一般に長手方向糸と横方向糸との間の減じられた摩擦に基づいた摩耗低減に帰因し得る。また、下側の織物層の1本よりも多い長手方向糸を接結糸によって一緒に接結することにより、両織物層の間の一層強い接結が得られる。このことは一般にフォーミングファブリックの厚さ減少および脱水の高速化もしくは改良をもたらすと同時に、開いた容積の減少をもたらす。したがって、こうして形成されたフォーミングファブリックを用いて紙製造時の一層高い生産速度を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側の織物層と、下側の織物層と、両織物層を接結するための複数の接結糸とを有する抄紙機ファブリック、特にフォーミングファブリックであって、
− 下側の織物層が、複数の接結糸と、複数の下側の横方向糸と、該接結糸および該横方向糸と織り合わされかつ該接結糸および該横方向糸に対して直交する方向に延びる複数の下側の長手方向糸とにより形成されており、
− 下側の織物層が、下側のリピートで繰り返す所定の織りパターンを有しており、
− 接結糸が、互いに対になって配置されており、各対の接結糸が、互いに交互に上側の長手方向糸および下側の長手方向糸と織り合わされており、
− 各接結糸対が、両側でそれぞれ1本の下側の横方向糸によって側方で仕切られており、接結糸対を側方で仕切る両下側の横方向糸が、それぞれ周期的なシーケンスで下側の長手方向糸と以下のように織り合わされている:
i) 接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続している複数の下側の長手方向糸に交差しており、
ii) 接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸が、上側の織物層と下側の織物層との間を走行して下側の長手方向糸に交差して、1つの糸屈曲部を形成している
形式の抄紙機ファブリック、特にフォーミングファブリックにおいて、
下側のリピートの内部で、
− 各対の各接結糸が、下側の長手方向糸と共に少なくとも1つの接結セグメントを形成していて、各接結セグメントは、当該対の各接結糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続している2本または2本以上の下側の長手方向糸に交差することにより形成されており、
− 各接結糸対の接結セグメントは、接結糸対を側方で仕切る前記下側の横方向糸に対して相対的に、
i) 接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、少なくとも同一の下側の長手方向糸に交差し、該下側の長手方向糸が、当該対の接結糸と共に接結セグメントを形成し、
ii) 接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸のうちの一方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接先行している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成し、
iii) 接結糸対を側方で仕切る下側の両横方向糸のうちの他方の横方向糸が、相応する接結セグメントに直接追従している下側の長手方向糸と共にそれぞれ1つの屈曲部を形成する、
ように配置されていることを特徴とする、抄紙機ファブリック。
【請求項2】
同一の接結糸により形成された、連続した2つの接結セグメントの間で、該接結糸が、上側の織物層の外側に沿って走行して少なくとも1本の上側の長手方向糸に交差している、請求項1記載の抄紙機ファブリック。
【請求項3】
下側のリピートの内部で、1つの接結糸対の各接結糸が、下側の長手方向糸と共に正確に1つの接結セグメントを形成している、請求項1または2記載の抄紙機ファブリック。
【請求項4】
全ての下側の横方向糸が、周期的なシーケンスで下側の長手方向糸と以下のように織り合わされている:
i) 接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸が、下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続した複数の下側の長手方向糸に交差し、
ii) 接結糸対を側方で仕切る下側の横方向糸が、上側の織物層と下側の織物層との間を走行して1本の下側の横方向糸に交差して、1つの糸屈曲部を形成する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項5】
各下側の横方向糸が、周期的なシーケンスで下側の織物層の外側に沿って走行して、直接に連続した4本の下側の長手方向糸に交差し、その後に該下側の長手方向糸が、糸屈曲部を形成して上側の織物層と下側の織物層との間を走行して1本の下側の長手方向糸に交差している、請求項1から4までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項6】
1つの接結糸対の直接に連続した接結セグメントの間に3本の下側の長手方向糸が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項7】
上側の織物層が、接結糸と、上側の横方向糸と、該接結糸および上側の横方向糸に対して直交する方向に延びる上側の長手方向糸とにより形成されており、該上側の長手方向糸が、前記上側の横方向糸および接結糸と織り合わされている、請求項1から6までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項8】
接結糸対の接結糸を互いに交互に上側の長手方向糸と織り合わせることにより、上側の長手方向糸と上側の横方向糸との織り合わせにより形成された織りパターンが継続される、請求項1から7までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項9】
各接結糸が、連続した上側の長手方向糸との織り合わせの際に、交互に上側の織物層の外側に沿って走行しかつ両織物層の間を走行して上側の長手方向糸と交差している、請求項1から8までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項10】
各接結糸対が、第1の種類の接結糸と、第2の種類の接結糸とを有しており、第1の種類の接結糸の上側のリピート単位内で、該第1の種類の接結糸が上側の織物層の外側に沿って走行している場合に、該第1の種類の接結糸が2本の上側の長手方向糸に交差しており、第2の種類の接結糸が上側の織物層の外側に沿って走行している場合に、該第2の種類の接結糸が3本の上側の長手方向糸に交差している、請求項1から9までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項11】
長手方向糸の方向で連続した複数の接結糸対において、互いに異なる対の同じ種類の接結糸が連続している、請求項10記載の抄紙機ファブリック。
【請求項12】
直接に互いに隣接した接結糸対の、同じ種類の接結糸により形成された接結セグメントが、横方向糸方向において互いにオーバラップして相並んで配置されているか、または直接に互いに続いている、請求項10または11記載の抄紙機ファブリック。
【請求項13】
上側の織物層が、織りパターンとして平織りを形成している、請求項1から12までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項14】
全ての接結セグメントが、同じ本数の、直接に連続した下側の長手方向糸を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項15】
接結糸対および上側の横方向糸の合計数対下側の横方向糸の数の割合が、1:1または2:1または3:2である、請求項1から14までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項16】
下側の横方向糸が、接結糸よりも大きな横断面を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項17】
上側の織物層の開いた面に対する下側の織物層の開いた面の比が、1よりも小さく、有利には0.95よりも小さく、最も有利には0.9よりも小さい、請求項1から16までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。
【請求項18】
長手方向糸が経糸であり、横方向糸および接結糸が緯糸である、請求項1から17までのいずれか1項記載の抄紙機ファブリック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−506959(P2012−506959A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533671(P2011−533671)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063653
【国際公開番号】WO2010/049304
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】