フックファスナーおよび製造方法
本発明は、繊維ウェブの中に埋め込まれたフック含有バッキング要素またはネット構造の上にフック要素を含む、フックメカニカルファスナー/繊維質複合材料に関する。そのフック要素は、バッキング要素の上にあるのが好ましく、そのバッキング要素は、結合または一体化されていて、ネットの形態の中で互いに角度を持って配列させたストランドであってよい。それらのバッキング要素は一般に、第一の外側表面と第二の外側表面とを有している。それらのバッキング要素は、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に、複数のフック要素を有している。フック含有バッキング要素は、バッキング要素のまわりに繊維を水流交絡させることにより繊維ウェブの中に埋め込まれているのが好ましく、また粘着剤や点接着のような補助的な取付け手段を用いないのが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フックアンドループファスナーとして使用するための、繊維ウェブの中に組み込んだフックファスナーを含むメッシュ、ネット構造またはストランド要素に関する。
【背景技術】
【0002】
フックタイプのメカニカルファスナーは、典型的には、比較的厚く、硬質のバッキング材料から形成されたバッキングを含む。最近の技術動向では、フックファスナーには可撓性のバッキングが望ましいとされ、可撓性のバッキングの上に複数のフックまたは離散させたフックパッチを設けることが提案されている。米国特許出願公開第2001/0016245号明細書には、複数の離散させたポリマー領域を有し、それぞれのポリマー領域から突出した複数のステムを有するウェブ材料、一般的には不織ウェブが開示されている。一般的には、不織ウェブを構成する繊維を交絡させるか、カプセル化することによって、ポリマー材料の離散量をウェブに堆積および溶融させて、同時または順次にステムまたはフックの形状とする。同様の方法は、国際公開第02/096233号パンフレットにも開示されている。
【0003】
フック材料の個別な領域またはパッチを有する、可撓性で一般的には通気性のウェブには、欠陥がある。ウェブの上にフック材料を堆積させる方法は一般に、複雑で、製造の際に精度を必要とする。そのようにして形成された、フック材料を有するウェブ材料はさらに、一般的には不均質であって、連続ウェブそのものの製造の際、および次いでそれをフック部品として最終物品に利用する際に、ロールの安定性および寸法安定性の面で問題がある。さらに、フックファスナー材料がばらばらな領域に配置されているようなウェブでは、フック材料それぞればらばらなパッチに伴う、硬いエッジが原因で、皮膚が刺激される可能性が生じる。その上、フックパッチが不織ウェブの片側にあるような場合には、布状の手触りがウェブ材料ラミネートの片側だけに限定される。
【0004】
米国特許出願公開第2003/0009144号明細書には、可撓性の材料の中に埋め込まれたファスナー材料が開示されていて、(たとえば、おむつの)着用者または介護者に布状の表面を与え、ファスナーの粗いエッジが露出する可能性を抑えている。そのようなことを達成する方法はやはり極端に複雑であって、相当に高い精度を必要とし、製造および二次加工をする際にも、ロール安定性および寸法安定性に関して同様の難点がある。
【0005】
米国特許第5,392,498号明細書には、基材の上に堆積させた、形状フリーなプロング(フック)の列が開示されている。その基材は、フィルム、織布、紙、または不織布であってよい、と記されている。それらのプロングは、スクリーン印刷タイプの方法で形成させることができるが、その方法は一般に粘着剤タイプのポリマー(ポリエステル)を使用することに限定され、しかもそれらのフックは、接触面積に限度があるために、基材から容易に剥がれてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの物品は、プロセスの経済性のために高速度で製造される。したがって、メカニカルファスナーを使用するそれら物品の製造者にとっては、均質なマシン操作性を有するフックファスナー材料のロールを使用して、メカニカルファスナーを高速度で取り付けることが可能となるのが望ましい。可撓性、柔らかさおよび通気性のメリットも有する、現在提案されているフックタイプのメカニカルファスナーでは、このことは困難である。さらに、可撓性、柔らかさおよび/または通気性のメリットを有しながらも、確実かつむらなく、低製造コストのメカニカルファスナーが得られるような改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、経済性が高く、高速製造プロセスにおいて使用するための、容易さ、単純さおよび機械的安定性を示し、望ましい機能性と審美性を与えるような、新規なメカニカルファスナー機能を有する布状のラミネートを得ることを目的としている。
【0008】
本発明は、繊維ウェブの中に埋め込まれたフック含有バッキング要素またはネット構造の上にフック要素を含む、フックメカニカルファスナー/繊維質複合材料に関する。そのフック要素は、バッキング要素の上にあるのが好ましく、そのバッキング要素は、結合または一体化されていて、ネットの形態の中で互いに角度を持って配列させたストランドであってよい。それらのバッキング要素は一般に、第一の外側表面と第二の外側表面とを有している。それらのバッキング要素は、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に、複数のフック要素を有している。フック含有バッキング要素は、バッキング要素のまわりに繊維を水流交絡させることにより繊維ウェブの中に埋め込まれているのが好ましく、また粘着剤や点接着のような補助的な取付け手段を用いないのが好ましい。
【0009】
添付の図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、ここで、複数の図面における類似の部材には類似の番号を付与している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のフックファスナー繊維質複合材料は、ネット構造またはストランド要素の形態とすることが可能な、1種または複数のバッキング要素の上に設けられたフック要素を用いて形成される。たとえば個別または連結されたストランドまたは1種または複数のネット構造の形態にある、それらのフック要素含有バッキング要素を、次いで繊維ウェブの中に埋め込む。それらのフック要素は、結合されてネット構造を形成し、そのネットの形態の中で互いに角度を持って配列させた、ストランド要素の上にあるのが好ましい。それらのストランドは、個別であっても、ストランド要素に部分的に結合されていても、あるいは堅固に結合されてネットの形態をとっていてもよいが、一般に第一の外側表面および第二の外側表面、ならびに二つの側面を有している。それらのストランドは、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に複数のフック要素を有している。フック含有ストランドは、繊維ウェブ、たとえば、不織ウェブの中に、好ましくはストランドの周りにその不織ウェブの繊維を水流交絡させることによって埋め込まれるが、ここで、接着剤または点接着(たとえば、加熱接着、超音波接着など)のような補助的な取付け手段を用いないのが好ましい。
【0011】
不織ウェブは、フック含有バッキング要素の周りに交絡させるのに充分なフリーの繊維を有するように製造しておくのが好ましい。不織布はさらに、あるいは付け加えて、交絡させるより前に処理して繊維をばらけさせて(unbond fiber)おくこともできる。たとえば、溝付きニップまたは突出部を用いて不織布をたとえば機械的に延伸および加工(処理)して、交絡させる前に、繊維をばらけさせて、フック含有ストランドに交絡させるのに必要な易動性を繊維に与えておくことができる。好適な不織ウェブの例としては、一般的には、エアレイドウェブ、カード化ウェブ、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブおよびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。それらのウェブは弾性があっても非弾性であってよい。不織ウェブの坪量は、10〜500g/m2、好ましくは20〜200g/m2、最も好ましくは30〜100g/m2である。
【0012】
不織ウェブの繊維は、交絡工程に供する際には、ばらけさせておく必要はない。しかしながら、交絡工程において、充分な量のフリーな繊維または繊維の部分が存在していて(すなわち、繊維またはその一部が充分に易動性を有していて)、所望の程度の交絡を与え、単一または複数のフック含有バッキング要素を不織ウェブの中に埋め込むことが必要である。そのような繊維の易動性は、水流交絡の際のジェットによるか、または、不織ウェブの構造によるか、または機械的またはその他の方法でウェブを乱してフリーまたは易動性の繊維を作り出すかの方法により、得ることができる。
【0013】
その水流交絡法は一般に、ジェット装置からの流体の流れを用いて、少なくとも不織ウェブ(単一または複数)とフック含有バッキング要素(一つまたは複数)のラミネートを、開口支持体の上に保持しながら処理することを含む。その支持体は、ワイヤーを形成するメッシュスクリーンでもよいし、あるいは開口プレートであってもよい。さらに、その支持体がパターンを有していて、不織布材料にそのパターンを与えてもよいし、あるいは、水流交絡した不織布のフックファスナーウェブが模様無しであってもよい。水流交絡のための装置はどのような装置であってもよいが、たとえば、米国特許第3,485,706号明細書に記載されているようなものでよい。そのような装置においては、液体(たとえば水)をたとえば少なくとも約200psi(ゲージ)の圧力で供給して、細かく実質的には柱状の液体の流れを形成させて、支持されたラミネートの表面にそれをジェット噴射させることによって、繊維の交絡が達成される。その支持されたラミネートは、その流れによって横断されて、その不織ウェブの繊維がランダムに交絡され、フック含有バッキング要素と絡み合わされる。そのラミネートを、液体の供給圧力約50〜3000psi(ゲージ)のその水流交絡装置の中に、一面または両面で何回も通過させることができる。柱状の液体流れを作るためのオリフィスの直径は当業者には公知で、たとえば125ミクロン(0.005インチ)であり、1列または複数列で、それぞれの列にはいくつのオリフィスを配してもよい。各種の水流交絡方法が前述の米国特許第3,485,706号明細書に記載されており、そのような技術に関してはこの特許は参照することができる。その他の交絡方法としてはニードルパンチ法による機械的な交絡法も挙げられる。場合によっては、交絡操作の間に他の機能性層をラミネートの中に組み込むこともできる。そのようなその他の層は、多孔性のものまたは他の方法で交絡可能なものであってよく、たとえば編物、織物、その他の官能性ネット構造またはストランドまたは繊維質ウェブなどが挙げられる。この、場合によっては交絡可能な層を用いることによって、強さ、弾性、審美性、目立ちやすさ、柔らかさ、剛性またはその他所望の性質を加えることもできる。
【0014】
ラミネートを交絡させた複合材料ウェブを形成させた後で、場合によっては、しかし好ましくは、接着ステーション(図1には示さず)において処理して、その強さをさらに向上させることができる。そのような接着ステーションは米国特許第4,612,226号明細書に記載されている。任意のその他の二次接着処理としては、加熱接着、超音波接着、接着剤による接着、それらの接着処理の組合せなどが挙げられる。そのような二次接着処理は強さを増すが、一方では、得られる製品の硬度を上げ(すなわち、柔らかさの低下した製品を与え)、嵩高性を低下させるので、そのようなことは好ましいことではない。好ましい実施態様においては、全部または実質的に全部を二次接着するようなことは避けるか、または複合材料の表面積の、30パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のレベルで二次接着させる。
【0015】
複合材料を交絡させた後で、乾燥缶(または当業者公知のその他の乾燥手段、たとえば空気流通乾燥機など)により乾燥させ、巻取り機に巻き取る。
【0016】
そうして形成される本発明のファスナー複合材料には、不織ウェブの網の目に絡ませたりその中に埋め込まれ、それによって不織ウェブの繊維が、フック要素バッキング要素の両側の外側表面の上に存在し、好ましくは、バッキング要素を含むフック要素の両側の外側表面の上の繊維が互いに交絡するようにした、フック含有バッキング要素が含まれる。たとえば、所定のストランドの両方の面の上に所定の単一の繊維が見出され、所定のストランドの一つの面または両方の面の上で他の繊維と交絡させることが可能である。埋め込まれたフック含有バッキング要素を含む繊維は、別々な層として形成されているのではなく、単一の統合されたウェブ構造複合材料としてあるのが好ましい。そのことによって、バッキング要素またはストランドの不織繊維に対する接着剤または加熱接着のような二次接着処理をする必要がない、一体的なフック要素/不織複合材料が得られる。
【0017】
それらのフック含有バッキング要素および不織布は、複合材料ウェブの長手方向に同じ長さにするのが好ましく、またいくつかの実施態様においては、全部の複合材料構造と同じ長さとするのが好ましい。このことによって、好ましくは少なくとも長手方向または横断方向に、寸法的に安定な複合材料が得られる。このフックバッキング要素に、統一のとれたネットの形態のストランドが含まれている場合には、その複合材料は一般に(上述のように)少なくとも二つの方向に寸法安定性を有している。一体的な複合材料の中にバッキング要素またはフックストランドを含むフック要素と組み合わせた不織布からは、フック要素と交絡させた不織ウェブとが同じ長さであれば、いずれの場所においても、それ自体で係合できるような、自己係合性ファスナーを作ることができる。
【0018】
形成されたフックファスナー繊維質複合材料は、極端に可撓性で通気性があるのが好ましいが、その場合、その複合材料の可撓性は実質的には、たとえば400ガーレー剛性単位未満、好ましくは200ガーレー剛性単位未満のガーレー剛性を有する、フック要素含有バッキング要素の可撓性である。接着剤または加熱による積層を必要としないために、それらのフック要素が積層プロセスの際に破壊されることは無く、それによって、連続的または断続的のいずれでもよいか、フック含有バッキング要素の所定の長手方向または横断方向に、実質的に均一かつ連続的にフック要素を分散させることが可能であり、その広がりは直線状であっても非直線状であってもよい。それらのフックは、フック含有バッキングを含む所定の方向に、複合材料の長さ全体に均質に分散されているのが好ましく、複合材料の長手および横断の両方の(または複数の)方向に、たとえば、ストランドが二つ以上の方向に存在するのが最も好ましい。
【0019】
接着剤による接着または加熱接着が無いために、フック含有バッキング要素またはストランドの一方または両方の側に延びた繊維を有する、嵩高くて弾力性のある複合材料を形成させることが可能となり、そして、バッキング要素またはストランドの両方の面を覆って、嵩高くて弾力性のある自己係合性複合材料を得ることが可能となれば好ましい。
【0020】
一つの実施態様においては、フック含有バッキング要素が、少なくとも一つの面の上にフック要素を有する、長手方向または横断方向、あるいは別な方向に延びた、個別のまたは緩やかに結合された直線状または非直線状のストランド要素であってもよい。長手方向に延びた個別のストランドは次いで、水流交絡プロセスに供給することができる。少なくともこの実施態様を用いることによって、弾性のある織ウェブまたは不織ウェブを使用することによる、伸縮性フックファスナー不織複合材料を形成させることが可能となる。取り付けた弾性ウェブが存在するために、交絡させた複合材料を次いでストランドの間で延伸させることが可能となる。ストランドが連結されているが、その連結がゆるいので延伸可能であるか、またはそのストランドが非直線状であるために延伸可能であるような場合には、弾性を発生させることも可能となる。いくつかのその他のタイプのバッキング要素、たとえばネット構造は、一方向または複数の方向に延伸または伸長させることが可能であって、それらのこともまた、弾性複合材料を作ることを可能とする。伸長性バッキング要素を含んでいたり、さらには伸長性非弾性ウェブまたは不織布を有し複合材料の中に組み込んだりした複合材料においても、弾性を作り出すことが可能である。バッキング要素および弾性複合材料上に作られ取り付けられた各種不織布の伸長する方向に対して角度を持って伸長するような弾性を有するウェブなどの上の弾性ストランドによっても、弾性を作り出すことが可能である。伸長性不織布の中に埋め込まれた弾性フック含有ストランド要素を使用することによって、弾性を作り出すことも可能である。
【0021】
弾性不織ウェブは、伸長性不織ウェブと組み合わせた個々のウェブであってよく、ここで前記伸長性バッキング要素は、全体としてまたは部分的に埋め込まれているが、ここで前記弾性ウェブは、フック含有バッキング要素に隣接するか、または1対または複数の対のフック含有バッキング要素の間に位置することが可能で、そのフック含有バッキング要素は、全部埋め込まれているか、またはさらなる不織ウェブの中に交絡されている。好適な不織布または織布弾性ウェブの例としては、スパンボンド弾性ポリウレタンおよびメルトブローンウェブ、弾性ブロックコポリマーメルトブローンウェブ、弾性ネット構造、多孔性弾性ウェブなどを挙げることができる。弾性ストランドを使用してもよい。
【0022】
個々ばらばらなフック含有ストランドは、通常のフックフィルムから長手方向のスリッティング、フィブリル化またはその他の分割方法によって、形成させることが可能である。フィルムのスプリッティングまたはスリッティングに役立たせるために、フィルムの長手方向に分子的に配向させたバッキングを有するフックフィルムが好ましい。フックフィルムは、たとえば水ジェット、回転ブレード、レーザーなどを用いて、図12(a)〜12(c)に見られるような分割をすることができる。図12(b)のフックは、図2、3および4(a)と同様に第一の面85と第二の面84とを有する押出し成形したフィルムバッキング83の上のフック形状のリブ82から形成されるが、ただし、バッキングではなく、フック形状のリブが切り出されている。リブの切断部分87が、フック要素89を形成している。バッキングは、リブ82の方向に延伸され、次いで、線88に沿って分離されて、図12(c)に見られるような離散されたフック含有ストランドを形成している。
【0023】
本発明において有用なフック含有ネット構造を形成させるための第一の方法は、米国特許第4,001,366号明細書に開示されていて、それには、バッキングと、フックの基本形状を有するリブ構造とを押出し加工させることによって、フックを形成することが記載されている(米国特許第4,894,060号明細書および米国特許第4,056,593号明細書に記載されている方法に類似)。網状ウェブまたはメッシュ構造は、その押出し加工したリブおよびベースを、間隔を開けてスリッティング(スキップスリッティング)し、次いでそのスキップスリット構造を引き広げてメッシュまたはネット構造とすることによって形成される。そのスリットリブがフック要素を形成する。
【0024】
米国特許出願第10/376,979号明細書(3Mケース番号第58313US002号)には、ポリマーフック含有ネット構造を製造する別な方法が開示されているが、それは、フックファスナーを製造するための公知の方法、たとえば、米国特許第3,266,113号明細書;同第3,557,413号明細書;同第4,001,366号明細書;同第4,056,593号明細書;同第4,189,809号明細書;同第4,894,060号明細書;またはそれに代わる同第6,209,177号明細書に記載されているような方法を新規に適合させたものである。この特殊形状押出し法には一般に、ダイプレートを通過させて熱可塑性樹脂を押し出すことを含むが、そのダイプレートは、少なくとも一つのベースフィルム層と、前記ベース層の第一の表面の上に突出した、間隔をおいて配置されたリッジまたはリブの少なくとも第一の組が形成されるような形状となっている。そのダイによって形成される間隔をおいて配置されたリッジまたはリブを使用して、網状のメッシュまたはネット構造のストランドの第一の組を形成させる。横断方向のストランドの第二の組は、前記リッジまたはリブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔を開けて前記ベース層を横断方向に切断することによって形成され、ばらばらな切断部分を形成する。次いで、そのリッジを長手方向(リッジの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の間隔をあけたストランドの第二の組を形成する。フック要素の基本特殊形状を有する少なくとも1組のリブまたはリッジを具備し、それらのリブを横断方向にスリットさせ、そしてそれらのリブを切断方向を横断するように配列させることによって、ばらばらになったフック要素を形成させる。それらのフックを含有するリブまたはリッジは、リブまたはリッジの第一の組の一部または全部とすることもできるし、あるいは、ベース層の第二の面の上のリブまたはリッジの第二の組とすることもできる。
【0025】
上述のフィルム押出し法では、フック要素含有ストランドが作られるが、ここで、それらのフック要素は、リブまたはリッジを切断し、一般的にはバッキングまたはベース層を延伸することによって作られる。その基本フック断面は、特殊形状フィルム押出ダイによるフックリブの上に形成される。そのダイは、フィルムバッキングとリブ構造を同時に押出成形する。次いで好ましくは、そのフック形状のリブを横断方向に切断し、それに続けて、切断されたフック形状のリブの少なくとも長手方向に、その押出しフィルムを延伸させることにより、個々のフック要素を形成させる。バッキングの非切断部分またはバッキング上の非切断リブが延ばされて、そのためにより薄く、またはより小さくなる。しかしながら、切断されたバッキングおよび/またはフックリブの部分は、切断線の間では、実質的に変化することなく残る。そのために、フック形状のリブの切断された個々の部分が、延ばされた方向において他とは分離されて、ばらばらなフック要素を形成する。別な方法として、これと同様のタイプの押出し法を用いて、フックリブ構造の部分にぎざぎざを付けて、ばらばらなフック要素を形成させることもできる。この特殊形状押出し法を用いる場合、基本フック断面または特殊形状は、そのダイの形状のみによって限定される。
【0026】
これらの切断したフック形状のリブからは、リブを横断方向に部分的に切断することによって個々のフック要素を形成させることが可能であるが、そのような部分的に切断した部分が、上述のような所望のフック要素の基本形状を有しているのが好ましい。リブの全てにおいて、予め選択した平面には、非切断部分を有している。そのフィルムをフック形状のリブの方向に延伸させると、そのフック形状のリブの非切断部分は、ばらばらなフック要素をその上に有するストランドを形成する。次いで、フック形状のリブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔をおいて位置しているベースフィルム層を横断方向に切断することによって、横断方向のストランドの第二の組を形成させることが可能であり、それにより、ばらばらな切断部分が形成される。次いで、そのリブを長手方向(リブの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の、間隔をあけて位置しているストランドの第二の組を形成する。リブの非切断部分が延ばされて、切断されたバッキングによって形成されたストランドに対してある角度で、ストランドを形成する。その延伸はさらに、フック形状のリブの未切断部分を延伸させて、その強度と可撓性を向上させる。
【0027】
図4(a)〜4(d)のような網状のメッシュまたはネット構造を形成させるための上述の方法を、図1に模式的に示す。一般的にこの方法ではまず、押出機51からダイ52を通過させて熱可塑性樹脂のストリップ50(たとえば図2のストリップ1)を押し出すが、そのダイはストリップ50を形成させるようなたとえば放電加工による開口部を有し、そのストリップには、ベース3を含み、そのベース層3の少なくとも一つの表面5から突出した、空間をあけて配置されたリブ2(予め定めたフック形状の断面形状を有する)が延びている。図2および3に見られるように、フック形状のリブ2は、図4および6に見られるようなフック要素と類似の構造を有している。所望により、リッジまたはリブ18の第二の組をベース層3の第二の表面4の上に設けることが可能であり、その第二の組のリブまたはリッジは、図6に見られるような所望のフック要素21および72も含めて、各種予め定めた形状をとらせることができる。ストリップ50を、冷却液体(たとえば、水)を充満させた急冷タンク56の中で、ローラー55のまわりを通過させて引き出し、その後、カッター58を用いて、その長さ方向に沿ってスペース間隔7を置きながら、少なくともそのベース層3を横断方向にスリットまたは切断して、ベース層3の分離部分6を形成させる。この際には、ベース層の少なくとも一つの表面上に存在するすべてのリブを切断することが必要である。切断線7の間の距離は、図4に見られるような、形成されるストランド部分20で希望する幅11にほぼ相当する。切断7はいかなる角度をとらせることもできるが、一般的には、リブ2および/または18の長さ方向から90度〜30度とする。場合によっては、そのストリップを切断の前に延伸させて、ベース層3、またはリブ2および/または18を形成するポリマーに分子配向をさらに与え、リッジまたはリブ2および/または18の大きさ、またはベース層の厚み12を低下させ、さらには、ベース層3をスリッティングすることにより形成されるストランド20の大きさを低下させることもできる。カッター58には、たとえば往復動もしくは回転ブレード、レーザー、または水ジェットのような、通常使用されるいかなる手段を用いてもよいが、リブ2の長さ方向に対して約60〜90度の角度で配したブレードを使用して切断するのが好ましい。
【0028】
ベース層3、およびリッジまたはリブ2またはリブ18を切断した後、好ましくは、異なった表面速度で駆動されている、第一の対のニップローラー60および61の間と、第二の対のニップローラー62および63の間で、延伸比が少なくとも1.5、好ましくは延伸比が少なくとも約3.0になるように、ストリップ1を延伸させる。これによって、リブ18から配向させたストランド8の第一の組が形成される。場合によっては、ストリップ1を横断方向に延伸させて、ストランド20をその長さ方向に配向させることも可能である。押出、(少なくともベース層の)切断および延伸というこのような基本的な方法が、本発明のすべての実施態様に一般的に適用される。ローラー61を加熱して、延伸の前にベース3を加熱するのが好ましく、また、ローラー62を冷却して、延伸させたベース3を安定化させるのが好ましい。延伸させることによって、ベース層3の切断部分6の間に空間13が発生し、次いでそのベース層の切断部分がストランド20の第二の組となって、ネット構造14が完成する。次いで単一または複数の不織ウェブを、たとえばロール67から交絡ステーション68の中に供給すると、フックネット構造がその繊維ウェブの中に埋め込まれる。繊維ウェブは、ネット構造の一方の面、または好ましくは両方の面に適用することができる。
【0029】
図4(a)を参照すると、一般に参照番号14で表される、本発明により製造することが可能な、代表的なポリマーメッシュフックファスナー部分が示されている。そのメッシュフックネット構造には、通常は平行な上側および下側主表面23および22を有するストランド20、およびストランド20の少なくとも上側表面23から突出した、間隔をあけて位置している複数のフック要素21が含まれる。そのストランド20は、平坦な表面であってもよいし、あるいは引き裂き抵抗性または補強のために望ましい表面形状をしていてもよい。ストランド20は、切断され、リブ18が伸びてストランド8となることによって、互いに分断されている。図4(b)は図4(a)の実施態様の変形で、ここではフック部材がもっと離れていて、それぞれのストランド要素8には直接隣接していない。それらのフック要素は、ストランド要素8からずれた位置に作ることも可能であり、図4(d)に見られるように、ストランド20の上で、ストランド8の間に位置させることも可能である。図4(c)は図4(b)に似た、さらなる変形例である。図4(b)および4(c)に示されているように、ネット構造またはメッシュのある部分においてフック要素が存在しないことにより、そのフックの存在しない領域を用いてループ表面のような他のフックと係合させやすくさせたり、あるいは、フック要素の存在しない領域を用いてたとえば加熱接着または接着剤によって、他の基材に接着させたりすることができる。図4(d)の実施態様を使用して、横断方向にだけ延在するばらばらのフックストランドを有するフックファスナー繊維質複合材料を形成させることも可能である。横断方向にストランド20を安定化しているストランド8を有する図4(d)の材料を用い、それを繊維ウェブと組み合わせることで、次いで、ストランド8を含む部分を切り取って、最終的なフックファスナー繊維質複合材料に、ストランド20のみを残すことも可能である。これも、ある種の用途においては有用であろう。
【0030】
図5に示すのは最終的なフックファスナー不織布複合材料であって、ここでたとえば図4(a)に示したようなフックネット構造が、フックネット構造の両方の面の上に置かれた不織ウェブの中に埋め込まれている。フックネット構造および不織布層を、加熱接着や接着剤によって互いにさらに接着させることはない。
【0031】
それからネット構造を製造させることが可能な好適なポリマー材料としては、ポリオレフィン、たとえば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステルたとえばポリエチレンテレフタレートなどを含めた熱可塑性樹脂、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンド物が挙げられる。樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーまたはそれらのブレンド物であるのが好ましい。
【0032】
図6に、フックファスナー繊維質不織布複合材料中の押出成形したフックネット構造を示しているが、そのネット構造では、ネット構造の両側の面の上にフックファスナー要素を有している。図6に示したような両面フックネット構造では、その前駆体フィルムが、ベース層の両側の表面から突出した、長い間隔をあけたフック形状のリブを有するように成形され、ここで、そのリブのいずれの組も、形成する予定のフック部分または部材の断面形状を有する少なくとも数本のリブを有している。その一つの面の上のフック形状のリブは、その長さ方向で間隔をあけた位置で、横断方向に部分的にスリットされている。ベース層のもう一つの面の上のリブとベース層はすべて、たとえば図4および5の実施態様に見られるように、完全に切断される。図4および5の実施態様のように、部分的に切断されたフック形状のリブを、長手方向に延ばしたり広げたりした場合には、それらが、フック要素72と、配列されたストランド78(リブの非切断部分からの)とを形成する。長手方向の延伸と同時に、切断されたベース層およびもう一つのリブの組が、横断方向のストランド70とそのストランド70の上のフック要素71を形成している。
【0033】
たとえば図5および6に示したようなフックファスナー繊維質不織布複合材料は、通気性が高く、また、少なくともストランド18、20、70または78の方向には寸法安定性がある。寸法安定性とは、そのネット構造が、張力をかけない場合と、ストランド(たとえば、8、20、70および78)を直線状に伸ばす方向に中程度の張力をかけた場合とで、実質的に同じ寸法を有している、ということを意味している。さらに、それらのファスナーは、互いに角度を持って交差するような直線状のストランドが存在する場合には、二つ以上の方向に寸法的に安定とすることもできる。しかしながら、交差するような直線状のストランドがあると、直線状のストランドの両方の組に対して角度を有する方向に延伸させた場合に、そのネット構造そしてそのまま複合材料が延伸され、場合によってはその寸法的に安定な形態に弾性的に戻る傾向がある。両方の方向に直線状のストランドを、その機械的強度を上げ、可撓性と寸法安定性を上げながらもその坪量を低下させるように配列させることができる。
【0034】
特に好ましい応用においては、本発明のフックファスナー繊維質複合材料は、それ自体で自己嵌め合い性があり、そのため、極端に低コスト高機能性の結束材料とすることができるが、そのような用途としては、たとえば結束ストラップ、野菜包装、医療用包材、スポーツ用包材など、通気性と自己係合性が重要とされる用途を挙げることができる。このフックファスナー繊維質複合材料は、具体的には、たとえばヘッドバンド、おむつ、失禁用パンティ、女性衛生物品などの使い捨て衣料用途における使用を挙げることができ、そのような用途では、使用者に馴染みやすい係合性を有し、通気性があるのが望ましい。それらおよびその他の用途において、このフックファスナー複合材料はさらに、通常の技術、たとえば接着積層法、加熱または加圧溶融超音波接着法、あるいはそれらの接着方法の組合せなどによって、繊維ウェブ(たとえば、不織繊維質のニットまたはステッチボンド繊維質材料)、フィルム、または三次元構造のような他の構造物に接着させることもできる。このフック繊維質複合材料の一つに好適な用途が、図7に示したようなおむつ90であって、広い面積を有するおむつのファスナータブ91が、本発明のフックファスナー繊維質複合材料でできている。そのフックファスナー繊維質複合材料タブは、適切な接着方法、たとえば加熱、加圧、接着剤または超音波溶融、または各種接着方法の組合せにより、おむつの端部に取り付けることができる。本発明のフックファスナー繊維質複合材料はさらに、おむつの後側の上に連続のベルトファスナーとして自体で係合させたり、あるいは、たとえば、おむつの外側に適当な繊維質材料またはループを設けたりすることによって、おむつの前側部分94に係合させることもできる。別な実施態様のおむつ95を図8に示す。この場合には、大面積のファスナーが、着用者の足の部分にフィットするような形状にしてある。図9においては、さらなる実施態様のおむつ97には、本発明のフックファスナー繊維質複合材料からできているサイドシーム部材98を有し、それが、やはり本発明のフックファスナー繊維質複合材料でできているかまたは適当な嵌め合い性ループ構造を有する、もう一つのサイドシーム部材99と係合できるようになっている。
【0035】
図10は、包材31であって、本発明のフックファスナー繊維質複合材料31の自己係合性包材として作られている。その包材は、スポーツ用包材または医療用包材、その他適切な用途に使用できる。
【0036】
図11には、フックファスナー繊維質複合材料のまた別な実施態様が示されていて、ここでは追加の機能性要素45が、フック要素含有バッキング要素40に隣接した複合材料に加えられている。示されているフック要素含有バッキング要素は、図4(a)に示されたような、フックファスナー要素41と長手方向に伸長されたストランド48を有するメッシュタイプの構造をしている。そのフック要素含有バッキング要素が、バッキング要素40の両方の面の上で、二つの不織ウェブ47と42の中に埋め込まれている。バッキング要素に隣接して、追加の多孔性または開放性機能性要素45があり、それがさらに不織ウェブ47または42の一方または両方に直接接着されている(間接的な取付けも可能である)。この追加の機能性要素は、バッキング要素40の隣接部49に直接位置させることができる。この追加の機能性要素は、不織ウェブを用いて交絡させることもできるし、またさらなるネット構造、ストランド、織布または不織布材料などであってもよい。この追加の機能性要素はまた、加熱接着、接着剤による接着など、通常の接着方法によって取り付けることも可能である。図示されているように、この追加の機能性要素が弾性材料であって、フック複合材料が弾性を有するようにすることができる。その他の機能性要素としては、接着層、フィルター材料、補強用材料、反射材料などを挙げることができる。
【実施例】
【0037】
実施例1
メッシュフックネット構造を、図1に示したのと同様の装置を用いて製造した。6.35cm単軸スクリュー押出機(L/Dが24:1)を用いて、ポリプロピレン/ポリエチレン耐衝撃性コポリマー(SRC7−644、1.5MFI、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)製)を押出加工したが、バレル温度プロファイルは175℃−230℃−230℃で、ダイ温度は約230℃を用いた。その押出し物は、放電加工による開口部を有するダイを通して垂直下方へ押出して、図2に示したのと同様の特殊形状押出しウェブを製造した。上側リブのクロスウェブ間隔は、1cmあたり7.3本のリブであった。ダイを用いて成形した後、その押出し物を6.1メートル/分の速度で水タンクの中へ送って急冷したが、その水の温度は約10℃に維持した。次いでそのウェブを進めて切断ステーションを通したが、そこでは、上側リブとベース層(ただし、下側リブは含まない)を、横断方向に、ウェブの横断方向から見て23度の角度で切断した。そのカットの間隔は305ミクロンであった。上側リブとベース層とを切断してから、第一のニップロール対と第二のニップロール対との間で、そのウェブを延伸比約3対1で長手方向に延伸させて、個々のフック要素をさらに分離させて約8.5フック/cmとし、図4に示したようなフックメッシュネット構造を作った。ベース層の厚みは219ミクロンであった。第一のニップロール対の上側ロールを143℃に加熱して、延伸させる前のウェブを軟化させた。第二のニップロール対は、冷却して約10℃とした。
【0038】
ウェブの長手、ダウンウェブ方向に、幅1.3cmのサンプルを切り出して、このフックネット構造の引張強さを測定した。その試験サンプルの中には、11〜12ストランドが存在していた。インストロン(INS(登録商標)TRON)引張試験機を使用して、破断引張強さを測定した。5本のサンプル測定を繰り返して、平均した。そのウェブの破断引張強さは4.91kg/cm、0.55kg/ストランドであった。
【0039】
次いでそのフックネット構造を、2枚の不織ウェブを用いて水流交絡させて、2枚の30g/m2の非接着カード化ウェブの間にそのフックネット構造を挟み込んだが、それぞれのウェブは、70%のウェルマン(Wellman)T310の1.5dポリエステル繊維、25%のライオセル(Lyocell)の1.5dレーヨン繊維、および5%のコサ(Kosa)T254の2dポリエステル複合繊維ステープルファイバーからなっていた。6マニホルド/ジェット(ウェブの上に3本、下に3本)からなる通常の水流交絡システムを使用した。基本的な操作手順は、たとえば米国特許第5,389,202号明細書(発行1995年2月14日、エバーハート(Everhart)ら)に記載されている。それぞれのマニホルドのオリフィスの大きさは直径120ミクロンであった。オリフィスは、マニホルドの1センチメートルあたり約16個のオリフィス間隔で1列に配置した。マニホルドの水圧は、連続的に上げて127kg/cm2としたが、それによって高エネルギーの微細柱状ジェットが得られた。水流交絡表面は、テネシー州ポートランド(Portland,Tenn)のアルバニー・インターナショナル(Albany International)製の、単層100ステンレス鋼の綾織りワイヤーバッキングであった。そのネット構造と2枚のカード化ウェブをマニホルド下に約10メートル/分のライン速度で通過させ、そこで水の加圧ジェットによって洗浄と固結を行った。得られた複合材料ウェブを、通常の実験室用ハンドシートドライヤーで乾燥させた。その複合材料ウェブは布状の手触りと外観を有していて、極めて柔軟でなじみやすいものであった。
【0040】
実施例2
実施例1に記載のものと類似の水流交絡させた複合材料ウェブを製造したが、ただし、その2枚不織布非接着カード化ウェブは、95%のコサ(Kosa)T224の3dポリエステル繊維と5%のコサ(Kosa)T254の2dポリエステル二成分繊維とのブレンド物からなっていた。それらのカード化ウェブの坪量は、30グラム/m2であった。その複合材料ウェブは布状の手触りと外観を有していて、極めて柔軟でなじみやすいものであった。
【0041】
実施例3
弾性を有する水流交絡させた複合材料ウェブを、実施例1におけるウェブと同様にして製造したが、ただし、追加としてエラストマー性不織ウェブを使用し、フックネット構造に代えて、フィブリル化フック材料を使用した。
【0042】
フックウェブ(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)から、KN−3425として入手可能)を、以下の手順を用いてフィブリル化した。幅10cmのフックウェブを、米国特許第5,058,472号明細書の図1に示されているのと類似の、ロータリー切断装置に供給した。その装置には、ロールの周辺に連続切断ブレードを有する、上下かみ合い型の鋼製ロータリー切断ロールから構成されていた。ブレードの間にはスペーサーを用いて、横方向に1cmあたり6ブレードになるようにした。ハンドクランクを用いてその装置を手動で運転して、切断装置のニップの間にフックウェブを通したが、その際のニップ圧力は約70kg/cm2として、ダウンウェブ方向にウェブの中にスリットを入れた。導入したウェブがフック領域では厚く、非フック領域では薄いために、ダウンウェブ方向に、連続的ではなく断続的な切断が行われた。次いで切断されたウェブにさらに切れ目を入れて、幅2.5cmのストリップを得た。
【0043】
次いで、四つの構成成分からなる水流交絡複合材料(図11)を、実施例1に記載した手順および装置を用いて製造した。その複合材料に弾性を付与するために、ポリウレタン(PUR)スパンボンド不織ウェブ(50g/m2、UHF−50、カネボウ(Kanebo)製)をフィブリル化フックウェブと水流交絡させ、2枚のカード化ポリエステルウェブ(33g/m2、140−070、ノースカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville,NC)のBBA・ノンウーブンス(BBA Nonwovens)製)の間に挟み込んだ。
【0044】
実施例4
図3に示したのと同様のフックウェブ(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)からKN−3425として入手可能)を、以下に手順を用いてフィブリル化した。そのフックウェブを、実施例1に記載の水流交絡システムの中に、2.5m/分の速度で、フックの側の面を下向けにして、供給した。ウェブの上に設けた四つのジェットを用いて、204Kg/cm2の圧力で、裏側からフックウェブを切断して、ほぼ離散されたストランドとしたが、それらストランドのそれぞれには1列のフックが含まれていた。次いで、ポリエステル不織ウェブ(34g/m2、140−070、BBA・ノンウーブンス(BBA Nonwovens)製)をそのフィブリル化フックウェブのフック側に積層させたが、それには、ウェブの下に位置させた3本のジェットを水圧61Kg/cm2で使用した。次いでその複合材料をロールに巻き上げて乾燥させた。次いでその複合材料を、手動で横方向に約2:1に延伸させ、ウェブのフックの無い側の上に追加の不織ウェブ(140−070)を載せて、2.5m/分の速度で水流交絡装置に供給した。その複合材料を、ウェブ上側に4本のジェット、下側に3本のジェットを用い、すべて水圧102Kg/cm2で操作することにより、互いに水流交絡させた。
【0045】
実施例5
以下の材料を用いて水流交絡させた複合材料を製造した。フックウェブ(KN−3425)をダウンウェブ方向に分断して、幅0.8mmのばらばらにしたストランドとし、共通のコアのまわりに巻いた。不織ウェブ(140−070)/分断フックウェブ(KN−3425)/スパンボンドPUR(UHF−50)/不織ウェブ(140−070)からなる4層の複合材料を、上述の水流交絡装置の中に、10m/分で供給した。分断されたフックウェブをその装置の中に、約10cm離れた2.5cmのストリップとして供給した。その複合材料を、ウェブ上側に4本のジェット、下側に3本のジェットを用い、すべて水圧153Kg/cm2で操作することにより、互いに水流交絡させた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図4に示したようなフックネット構造および図5に示したようなファスナーウェブを製造するための方法の概略図である。
【図2】図4(a)のフックネット構造を製造するために使用する前駆体フィルムの斜視図である。
【図3】本発明によるネット構造を形成させるための、第一の実施態様の切断された前駆体フィルムの斜視図である。
【図4a】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図4b】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図4c】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図4d】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図5】本発明による、繊維ウェブの中に埋め込まれた、図4(a)におけるような第一の実施態様のフックネット構造の、上側および下側からの顕微鏡写真である。
【図6】本発明による繊維ウェブの中に埋め込まれた第二の実施態様の両面フックネット構造の模式図である。
【図7】本発明の繊維質フックファスナーウェブを含む使い捨て吸収用物品の斜視図である。
【図8】本発明の繊維質フックファスナーウェブを含む使い捨て吸収用物品の第二の実施態様の斜視図である。
【図9】本発明の繊維質フックファスナーウェブを含む使い捨て吸収用物品の第三の実施態様の斜視図である。
【図10】本発明の繊維質フックファスナーウェブから形成された包材の斜視図である。
【図11】本発明による弾性フックファスナーウェブの側面図である。
【図12a】本発明の繊維質フックファスナーを製造する際に使用される、フック含有ストランドを形成させる各種の段階の斜視図である。
【図12b】本発明の繊維質フックファスナーを製造する際に使用される、フック含有ストランドを形成させる各種の段階の斜視図である。
【図12c】本発明の繊維質フックファスナーを製造する際に使用される、フック含有ストランドを形成させる各種の段階の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フックアンドループファスナーとして使用するための、繊維ウェブの中に組み込んだフックファスナーを含むメッシュ、ネット構造またはストランド要素に関する。
【背景技術】
【0002】
フックタイプのメカニカルファスナーは、典型的には、比較的厚く、硬質のバッキング材料から形成されたバッキングを含む。最近の技術動向では、フックファスナーには可撓性のバッキングが望ましいとされ、可撓性のバッキングの上に複数のフックまたは離散させたフックパッチを設けることが提案されている。米国特許出願公開第2001/0016245号明細書には、複数の離散させたポリマー領域を有し、それぞれのポリマー領域から突出した複数のステムを有するウェブ材料、一般的には不織ウェブが開示されている。一般的には、不織ウェブを構成する繊維を交絡させるか、カプセル化することによって、ポリマー材料の離散量をウェブに堆積および溶融させて、同時または順次にステムまたはフックの形状とする。同様の方法は、国際公開第02/096233号パンフレットにも開示されている。
【0003】
フック材料の個別な領域またはパッチを有する、可撓性で一般的には通気性のウェブには、欠陥がある。ウェブの上にフック材料を堆積させる方法は一般に、複雑で、製造の際に精度を必要とする。そのようにして形成された、フック材料を有するウェブ材料はさらに、一般的には不均質であって、連続ウェブそのものの製造の際、および次いでそれをフック部品として最終物品に利用する際に、ロールの安定性および寸法安定性の面で問題がある。さらに、フックファスナー材料がばらばらな領域に配置されているようなウェブでは、フック材料それぞればらばらなパッチに伴う、硬いエッジが原因で、皮膚が刺激される可能性が生じる。その上、フックパッチが不織ウェブの片側にあるような場合には、布状の手触りがウェブ材料ラミネートの片側だけに限定される。
【0004】
米国特許出願公開第2003/0009144号明細書には、可撓性の材料の中に埋め込まれたファスナー材料が開示されていて、(たとえば、おむつの)着用者または介護者に布状の表面を与え、ファスナーの粗いエッジが露出する可能性を抑えている。そのようなことを達成する方法はやはり極端に複雑であって、相当に高い精度を必要とし、製造および二次加工をする際にも、ロール安定性および寸法安定性に関して同様の難点がある。
【0005】
米国特許第5,392,498号明細書には、基材の上に堆積させた、形状フリーなプロング(フック)の列が開示されている。その基材は、フィルム、織布、紙、または不織布であってよい、と記されている。それらのプロングは、スクリーン印刷タイプの方法で形成させることができるが、その方法は一般に粘着剤タイプのポリマー(ポリエステル)を使用することに限定され、しかもそれらのフックは、接触面積に限度があるために、基材から容易に剥がれてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの物品は、プロセスの経済性のために高速度で製造される。したがって、メカニカルファスナーを使用するそれら物品の製造者にとっては、均質なマシン操作性を有するフックファスナー材料のロールを使用して、メカニカルファスナーを高速度で取り付けることが可能となるのが望ましい。可撓性、柔らかさおよび通気性のメリットも有する、現在提案されているフックタイプのメカニカルファスナーでは、このことは困難である。さらに、可撓性、柔らかさおよび/または通気性のメリットを有しながらも、確実かつむらなく、低製造コストのメカニカルファスナーが得られるような改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、経済性が高く、高速製造プロセスにおいて使用するための、容易さ、単純さおよび機械的安定性を示し、望ましい機能性と審美性を与えるような、新規なメカニカルファスナー機能を有する布状のラミネートを得ることを目的としている。
【0008】
本発明は、繊維ウェブの中に埋め込まれたフック含有バッキング要素またはネット構造の上にフック要素を含む、フックメカニカルファスナー/繊維質複合材料に関する。そのフック要素は、バッキング要素の上にあるのが好ましく、そのバッキング要素は、結合または一体化されていて、ネットの形態の中で互いに角度を持って配列させたストランドであってよい。それらのバッキング要素は一般に、第一の外側表面と第二の外側表面とを有している。それらのバッキング要素は、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に、複数のフック要素を有している。フック含有バッキング要素は、バッキング要素のまわりに繊維を水流交絡させることにより繊維ウェブの中に埋め込まれているのが好ましく、また粘着剤や点接着のような補助的な取付け手段を用いないのが好ましい。
【0009】
添付の図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、ここで、複数の図面における類似の部材には類似の番号を付与している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のフックファスナー繊維質複合材料は、ネット構造またはストランド要素の形態とすることが可能な、1種または複数のバッキング要素の上に設けられたフック要素を用いて形成される。たとえば個別または連結されたストランドまたは1種または複数のネット構造の形態にある、それらのフック要素含有バッキング要素を、次いで繊維ウェブの中に埋め込む。それらのフック要素は、結合されてネット構造を形成し、そのネットの形態の中で互いに角度を持って配列させた、ストランド要素の上にあるのが好ましい。それらのストランドは、個別であっても、ストランド要素に部分的に結合されていても、あるいは堅固に結合されてネットの形態をとっていてもよいが、一般に第一の外側表面および第二の外側表面、ならびに二つの側面を有している。それらのストランドは、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に複数のフック要素を有している。フック含有ストランドは、繊維ウェブ、たとえば、不織ウェブの中に、好ましくはストランドの周りにその不織ウェブの繊維を水流交絡させることによって埋め込まれるが、ここで、接着剤または点接着(たとえば、加熱接着、超音波接着など)のような補助的な取付け手段を用いないのが好ましい。
【0011】
不織ウェブは、フック含有バッキング要素の周りに交絡させるのに充分なフリーの繊維を有するように製造しておくのが好ましい。不織布はさらに、あるいは付け加えて、交絡させるより前に処理して繊維をばらけさせて(unbond fiber)おくこともできる。たとえば、溝付きニップまたは突出部を用いて不織布をたとえば機械的に延伸および加工(処理)して、交絡させる前に、繊維をばらけさせて、フック含有ストランドに交絡させるのに必要な易動性を繊維に与えておくことができる。好適な不織ウェブの例としては、一般的には、エアレイドウェブ、カード化ウェブ、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブおよびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。それらのウェブは弾性があっても非弾性であってよい。不織ウェブの坪量は、10〜500g/m2、好ましくは20〜200g/m2、最も好ましくは30〜100g/m2である。
【0012】
不織ウェブの繊維は、交絡工程に供する際には、ばらけさせておく必要はない。しかしながら、交絡工程において、充分な量のフリーな繊維または繊維の部分が存在していて(すなわち、繊維またはその一部が充分に易動性を有していて)、所望の程度の交絡を与え、単一または複数のフック含有バッキング要素を不織ウェブの中に埋め込むことが必要である。そのような繊維の易動性は、水流交絡の際のジェットによるか、または、不織ウェブの構造によるか、または機械的またはその他の方法でウェブを乱してフリーまたは易動性の繊維を作り出すかの方法により、得ることができる。
【0013】
その水流交絡法は一般に、ジェット装置からの流体の流れを用いて、少なくとも不織ウェブ(単一または複数)とフック含有バッキング要素(一つまたは複数)のラミネートを、開口支持体の上に保持しながら処理することを含む。その支持体は、ワイヤーを形成するメッシュスクリーンでもよいし、あるいは開口プレートであってもよい。さらに、その支持体がパターンを有していて、不織布材料にそのパターンを与えてもよいし、あるいは、水流交絡した不織布のフックファスナーウェブが模様無しであってもよい。水流交絡のための装置はどのような装置であってもよいが、たとえば、米国特許第3,485,706号明細書に記載されているようなものでよい。そのような装置においては、液体(たとえば水)をたとえば少なくとも約200psi(ゲージ)の圧力で供給して、細かく実質的には柱状の液体の流れを形成させて、支持されたラミネートの表面にそれをジェット噴射させることによって、繊維の交絡が達成される。その支持されたラミネートは、その流れによって横断されて、その不織ウェブの繊維がランダムに交絡され、フック含有バッキング要素と絡み合わされる。そのラミネートを、液体の供給圧力約50〜3000psi(ゲージ)のその水流交絡装置の中に、一面または両面で何回も通過させることができる。柱状の液体流れを作るためのオリフィスの直径は当業者には公知で、たとえば125ミクロン(0.005インチ)であり、1列または複数列で、それぞれの列にはいくつのオリフィスを配してもよい。各種の水流交絡方法が前述の米国特許第3,485,706号明細書に記載されており、そのような技術に関してはこの特許は参照することができる。その他の交絡方法としてはニードルパンチ法による機械的な交絡法も挙げられる。場合によっては、交絡操作の間に他の機能性層をラミネートの中に組み込むこともできる。そのようなその他の層は、多孔性のものまたは他の方法で交絡可能なものであってよく、たとえば編物、織物、その他の官能性ネット構造またはストランドまたは繊維質ウェブなどが挙げられる。この、場合によっては交絡可能な層を用いることによって、強さ、弾性、審美性、目立ちやすさ、柔らかさ、剛性またはその他所望の性質を加えることもできる。
【0014】
ラミネートを交絡させた複合材料ウェブを形成させた後で、場合によっては、しかし好ましくは、接着ステーション(図1には示さず)において処理して、その強さをさらに向上させることができる。そのような接着ステーションは米国特許第4,612,226号明細書に記載されている。任意のその他の二次接着処理としては、加熱接着、超音波接着、接着剤による接着、それらの接着処理の組合せなどが挙げられる。そのような二次接着処理は強さを増すが、一方では、得られる製品の硬度を上げ(すなわち、柔らかさの低下した製品を与え)、嵩高性を低下させるので、そのようなことは好ましいことではない。好ましい実施態様においては、全部または実質的に全部を二次接着するようなことは避けるか、または複合材料の表面積の、30パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のレベルで二次接着させる。
【0015】
複合材料を交絡させた後で、乾燥缶(または当業者公知のその他の乾燥手段、たとえば空気流通乾燥機など)により乾燥させ、巻取り機に巻き取る。
【0016】
そうして形成される本発明のファスナー複合材料には、不織ウェブの網の目に絡ませたりその中に埋め込まれ、それによって不織ウェブの繊維が、フック要素バッキング要素の両側の外側表面の上に存在し、好ましくは、バッキング要素を含むフック要素の両側の外側表面の上の繊維が互いに交絡するようにした、フック含有バッキング要素が含まれる。たとえば、所定のストランドの両方の面の上に所定の単一の繊維が見出され、所定のストランドの一つの面または両方の面の上で他の繊維と交絡させることが可能である。埋め込まれたフック含有バッキング要素を含む繊維は、別々な層として形成されているのではなく、単一の統合されたウェブ構造複合材料としてあるのが好ましい。そのことによって、バッキング要素またはストランドの不織繊維に対する接着剤または加熱接着のような二次接着処理をする必要がない、一体的なフック要素/不織複合材料が得られる。
【0017】
それらのフック含有バッキング要素および不織布は、複合材料ウェブの長手方向に同じ長さにするのが好ましく、またいくつかの実施態様においては、全部の複合材料構造と同じ長さとするのが好ましい。このことによって、好ましくは少なくとも長手方向または横断方向に、寸法的に安定な複合材料が得られる。このフックバッキング要素に、統一のとれたネットの形態のストランドが含まれている場合には、その複合材料は一般に(上述のように)少なくとも二つの方向に寸法安定性を有している。一体的な複合材料の中にバッキング要素またはフックストランドを含むフック要素と組み合わせた不織布からは、フック要素と交絡させた不織ウェブとが同じ長さであれば、いずれの場所においても、それ自体で係合できるような、自己係合性ファスナーを作ることができる。
【0018】
形成されたフックファスナー繊維質複合材料は、極端に可撓性で通気性があるのが好ましいが、その場合、その複合材料の可撓性は実質的には、たとえば400ガーレー剛性単位未満、好ましくは200ガーレー剛性単位未満のガーレー剛性を有する、フック要素含有バッキング要素の可撓性である。接着剤または加熱による積層を必要としないために、それらのフック要素が積層プロセスの際に破壊されることは無く、それによって、連続的または断続的のいずれでもよいか、フック含有バッキング要素の所定の長手方向または横断方向に、実質的に均一かつ連続的にフック要素を分散させることが可能であり、その広がりは直線状であっても非直線状であってもよい。それらのフックは、フック含有バッキングを含む所定の方向に、複合材料の長さ全体に均質に分散されているのが好ましく、複合材料の長手および横断の両方の(または複数の)方向に、たとえば、ストランドが二つ以上の方向に存在するのが最も好ましい。
【0019】
接着剤による接着または加熱接着が無いために、フック含有バッキング要素またはストランドの一方または両方の側に延びた繊維を有する、嵩高くて弾力性のある複合材料を形成させることが可能となり、そして、バッキング要素またはストランドの両方の面を覆って、嵩高くて弾力性のある自己係合性複合材料を得ることが可能となれば好ましい。
【0020】
一つの実施態様においては、フック含有バッキング要素が、少なくとも一つの面の上にフック要素を有する、長手方向または横断方向、あるいは別な方向に延びた、個別のまたは緩やかに結合された直線状または非直線状のストランド要素であってもよい。長手方向に延びた個別のストランドは次いで、水流交絡プロセスに供給することができる。少なくともこの実施態様を用いることによって、弾性のある織ウェブまたは不織ウェブを使用することによる、伸縮性フックファスナー不織複合材料を形成させることが可能となる。取り付けた弾性ウェブが存在するために、交絡させた複合材料を次いでストランドの間で延伸させることが可能となる。ストランドが連結されているが、その連結がゆるいので延伸可能であるか、またはそのストランドが非直線状であるために延伸可能であるような場合には、弾性を発生させることも可能となる。いくつかのその他のタイプのバッキング要素、たとえばネット構造は、一方向または複数の方向に延伸または伸長させることが可能であって、それらのこともまた、弾性複合材料を作ることを可能とする。伸長性バッキング要素を含んでいたり、さらには伸長性非弾性ウェブまたは不織布を有し複合材料の中に組み込んだりした複合材料においても、弾性を作り出すことが可能である。バッキング要素および弾性複合材料上に作られ取り付けられた各種不織布の伸長する方向に対して角度を持って伸長するような弾性を有するウェブなどの上の弾性ストランドによっても、弾性を作り出すことが可能である。伸長性不織布の中に埋め込まれた弾性フック含有ストランド要素を使用することによって、弾性を作り出すことも可能である。
【0021】
弾性不織ウェブは、伸長性不織ウェブと組み合わせた個々のウェブであってよく、ここで前記伸長性バッキング要素は、全体としてまたは部分的に埋め込まれているが、ここで前記弾性ウェブは、フック含有バッキング要素に隣接するか、または1対または複数の対のフック含有バッキング要素の間に位置することが可能で、そのフック含有バッキング要素は、全部埋め込まれているか、またはさらなる不織ウェブの中に交絡されている。好適な不織布または織布弾性ウェブの例としては、スパンボンド弾性ポリウレタンおよびメルトブローンウェブ、弾性ブロックコポリマーメルトブローンウェブ、弾性ネット構造、多孔性弾性ウェブなどを挙げることができる。弾性ストランドを使用してもよい。
【0022】
個々ばらばらなフック含有ストランドは、通常のフックフィルムから長手方向のスリッティング、フィブリル化またはその他の分割方法によって、形成させることが可能である。フィルムのスプリッティングまたはスリッティングに役立たせるために、フィルムの長手方向に分子的に配向させたバッキングを有するフックフィルムが好ましい。フックフィルムは、たとえば水ジェット、回転ブレード、レーザーなどを用いて、図12(a)〜12(c)に見られるような分割をすることができる。図12(b)のフックは、図2、3および4(a)と同様に第一の面85と第二の面84とを有する押出し成形したフィルムバッキング83の上のフック形状のリブ82から形成されるが、ただし、バッキングではなく、フック形状のリブが切り出されている。リブの切断部分87が、フック要素89を形成している。バッキングは、リブ82の方向に延伸され、次いで、線88に沿って分離されて、図12(c)に見られるような離散されたフック含有ストランドを形成している。
【0023】
本発明において有用なフック含有ネット構造を形成させるための第一の方法は、米国特許第4,001,366号明細書に開示されていて、それには、バッキングと、フックの基本形状を有するリブ構造とを押出し加工させることによって、フックを形成することが記載されている(米国特許第4,894,060号明細書および米国特許第4,056,593号明細書に記載されている方法に類似)。網状ウェブまたはメッシュ構造は、その押出し加工したリブおよびベースを、間隔を開けてスリッティング(スキップスリッティング)し、次いでそのスキップスリット構造を引き広げてメッシュまたはネット構造とすることによって形成される。そのスリットリブがフック要素を形成する。
【0024】
米国特許出願第10/376,979号明細書(3Mケース番号第58313US002号)には、ポリマーフック含有ネット構造を製造する別な方法が開示されているが、それは、フックファスナーを製造するための公知の方法、たとえば、米国特許第3,266,113号明細書;同第3,557,413号明細書;同第4,001,366号明細書;同第4,056,593号明細書;同第4,189,809号明細書;同第4,894,060号明細書;またはそれに代わる同第6,209,177号明細書に記載されているような方法を新規に適合させたものである。この特殊形状押出し法には一般に、ダイプレートを通過させて熱可塑性樹脂を押し出すことを含むが、そのダイプレートは、少なくとも一つのベースフィルム層と、前記ベース層の第一の表面の上に突出した、間隔をおいて配置されたリッジまたはリブの少なくとも第一の組が形成されるような形状となっている。そのダイによって形成される間隔をおいて配置されたリッジまたはリブを使用して、網状のメッシュまたはネット構造のストランドの第一の組を形成させる。横断方向のストランドの第二の組は、前記リッジまたはリブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔を開けて前記ベース層を横断方向に切断することによって形成され、ばらばらな切断部分を形成する。次いで、そのリッジを長手方向(リッジの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の間隔をあけたストランドの第二の組を形成する。フック要素の基本特殊形状を有する少なくとも1組のリブまたはリッジを具備し、それらのリブを横断方向にスリットさせ、そしてそれらのリブを切断方向を横断するように配列させることによって、ばらばらになったフック要素を形成させる。それらのフックを含有するリブまたはリッジは、リブまたはリッジの第一の組の一部または全部とすることもできるし、あるいは、ベース層の第二の面の上のリブまたはリッジの第二の組とすることもできる。
【0025】
上述のフィルム押出し法では、フック要素含有ストランドが作られるが、ここで、それらのフック要素は、リブまたはリッジを切断し、一般的にはバッキングまたはベース層を延伸することによって作られる。その基本フック断面は、特殊形状フィルム押出ダイによるフックリブの上に形成される。そのダイは、フィルムバッキングとリブ構造を同時に押出成形する。次いで好ましくは、そのフック形状のリブを横断方向に切断し、それに続けて、切断されたフック形状のリブの少なくとも長手方向に、その押出しフィルムを延伸させることにより、個々のフック要素を形成させる。バッキングの非切断部分またはバッキング上の非切断リブが延ばされて、そのためにより薄く、またはより小さくなる。しかしながら、切断されたバッキングおよび/またはフックリブの部分は、切断線の間では、実質的に変化することなく残る。そのために、フック形状のリブの切断された個々の部分が、延ばされた方向において他とは分離されて、ばらばらなフック要素を形成する。別な方法として、これと同様のタイプの押出し法を用いて、フックリブ構造の部分にぎざぎざを付けて、ばらばらなフック要素を形成させることもできる。この特殊形状押出し法を用いる場合、基本フック断面または特殊形状は、そのダイの形状のみによって限定される。
【0026】
これらの切断したフック形状のリブからは、リブを横断方向に部分的に切断することによって個々のフック要素を形成させることが可能であるが、そのような部分的に切断した部分が、上述のような所望のフック要素の基本形状を有しているのが好ましい。リブの全てにおいて、予め選択した平面には、非切断部分を有している。そのフィルムをフック形状のリブの方向に延伸させると、そのフック形状のリブの非切断部分は、ばらばらなフック要素をその上に有するストランドを形成する。次いで、フック形状のリブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔をおいて位置しているベースフィルム層を横断方向に切断することによって、横断方向のストランドの第二の組を形成させることが可能であり、それにより、ばらばらな切断部分が形成される。次いで、そのリブを長手方向(リブの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の、間隔をあけて位置しているストランドの第二の組を形成する。リブの非切断部分が延ばされて、切断されたバッキングによって形成されたストランドに対してある角度で、ストランドを形成する。その延伸はさらに、フック形状のリブの未切断部分を延伸させて、その強度と可撓性を向上させる。
【0027】
図4(a)〜4(d)のような網状のメッシュまたはネット構造を形成させるための上述の方法を、図1に模式的に示す。一般的にこの方法ではまず、押出機51からダイ52を通過させて熱可塑性樹脂のストリップ50(たとえば図2のストリップ1)を押し出すが、そのダイはストリップ50を形成させるようなたとえば放電加工による開口部を有し、そのストリップには、ベース3を含み、そのベース層3の少なくとも一つの表面5から突出した、空間をあけて配置されたリブ2(予め定めたフック形状の断面形状を有する)が延びている。図2および3に見られるように、フック形状のリブ2は、図4および6に見られるようなフック要素と類似の構造を有している。所望により、リッジまたはリブ18の第二の組をベース層3の第二の表面4の上に設けることが可能であり、その第二の組のリブまたはリッジは、図6に見られるような所望のフック要素21および72も含めて、各種予め定めた形状をとらせることができる。ストリップ50を、冷却液体(たとえば、水)を充満させた急冷タンク56の中で、ローラー55のまわりを通過させて引き出し、その後、カッター58を用いて、その長さ方向に沿ってスペース間隔7を置きながら、少なくともそのベース層3を横断方向にスリットまたは切断して、ベース層3の分離部分6を形成させる。この際には、ベース層の少なくとも一つの表面上に存在するすべてのリブを切断することが必要である。切断線7の間の距離は、図4に見られるような、形成されるストランド部分20で希望する幅11にほぼ相当する。切断7はいかなる角度をとらせることもできるが、一般的には、リブ2および/または18の長さ方向から90度〜30度とする。場合によっては、そのストリップを切断の前に延伸させて、ベース層3、またはリブ2および/または18を形成するポリマーに分子配向をさらに与え、リッジまたはリブ2および/または18の大きさ、またはベース層の厚み12を低下させ、さらには、ベース層3をスリッティングすることにより形成されるストランド20の大きさを低下させることもできる。カッター58には、たとえば往復動もしくは回転ブレード、レーザー、または水ジェットのような、通常使用されるいかなる手段を用いてもよいが、リブ2の長さ方向に対して約60〜90度の角度で配したブレードを使用して切断するのが好ましい。
【0028】
ベース層3、およびリッジまたはリブ2またはリブ18を切断した後、好ましくは、異なった表面速度で駆動されている、第一の対のニップローラー60および61の間と、第二の対のニップローラー62および63の間で、延伸比が少なくとも1.5、好ましくは延伸比が少なくとも約3.0になるように、ストリップ1を延伸させる。これによって、リブ18から配向させたストランド8の第一の組が形成される。場合によっては、ストリップ1を横断方向に延伸させて、ストランド20をその長さ方向に配向させることも可能である。押出、(少なくともベース層の)切断および延伸というこのような基本的な方法が、本発明のすべての実施態様に一般的に適用される。ローラー61を加熱して、延伸の前にベース3を加熱するのが好ましく、また、ローラー62を冷却して、延伸させたベース3を安定化させるのが好ましい。延伸させることによって、ベース層3の切断部分6の間に空間13が発生し、次いでそのベース層の切断部分がストランド20の第二の組となって、ネット構造14が完成する。次いで単一または複数の不織ウェブを、たとえばロール67から交絡ステーション68の中に供給すると、フックネット構造がその繊維ウェブの中に埋め込まれる。繊維ウェブは、ネット構造の一方の面、または好ましくは両方の面に適用することができる。
【0029】
図4(a)を参照すると、一般に参照番号14で表される、本発明により製造することが可能な、代表的なポリマーメッシュフックファスナー部分が示されている。そのメッシュフックネット構造には、通常は平行な上側および下側主表面23および22を有するストランド20、およびストランド20の少なくとも上側表面23から突出した、間隔をあけて位置している複数のフック要素21が含まれる。そのストランド20は、平坦な表面であってもよいし、あるいは引き裂き抵抗性または補強のために望ましい表面形状をしていてもよい。ストランド20は、切断され、リブ18が伸びてストランド8となることによって、互いに分断されている。図4(b)は図4(a)の実施態様の変形で、ここではフック部材がもっと離れていて、それぞれのストランド要素8には直接隣接していない。それらのフック要素は、ストランド要素8からずれた位置に作ることも可能であり、図4(d)に見られるように、ストランド20の上で、ストランド8の間に位置させることも可能である。図4(c)は図4(b)に似た、さらなる変形例である。図4(b)および4(c)に示されているように、ネット構造またはメッシュのある部分においてフック要素が存在しないことにより、そのフックの存在しない領域を用いてループ表面のような他のフックと係合させやすくさせたり、あるいは、フック要素の存在しない領域を用いてたとえば加熱接着または接着剤によって、他の基材に接着させたりすることができる。図4(d)の実施態様を使用して、横断方向にだけ延在するばらばらのフックストランドを有するフックファスナー繊維質複合材料を形成させることも可能である。横断方向にストランド20を安定化しているストランド8を有する図4(d)の材料を用い、それを繊維ウェブと組み合わせることで、次いで、ストランド8を含む部分を切り取って、最終的なフックファスナー繊維質複合材料に、ストランド20のみを残すことも可能である。これも、ある種の用途においては有用であろう。
【0030】
図5に示すのは最終的なフックファスナー不織布複合材料であって、ここでたとえば図4(a)に示したようなフックネット構造が、フックネット構造の両方の面の上に置かれた不織ウェブの中に埋め込まれている。フックネット構造および不織布層を、加熱接着や接着剤によって互いにさらに接着させることはない。
【0031】
それからネット構造を製造させることが可能な好適なポリマー材料としては、ポリオレフィン、たとえば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステルたとえばポリエチレンテレフタレートなどを含めた熱可塑性樹脂、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンド物が挙げられる。樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーまたはそれらのブレンド物であるのが好ましい。
【0032】
図6に、フックファスナー繊維質不織布複合材料中の押出成形したフックネット構造を示しているが、そのネット構造では、ネット構造の両側の面の上にフックファスナー要素を有している。図6に示したような両面フックネット構造では、その前駆体フィルムが、ベース層の両側の表面から突出した、長い間隔をあけたフック形状のリブを有するように成形され、ここで、そのリブのいずれの組も、形成する予定のフック部分または部材の断面形状を有する少なくとも数本のリブを有している。その一つの面の上のフック形状のリブは、その長さ方向で間隔をあけた位置で、横断方向に部分的にスリットされている。ベース層のもう一つの面の上のリブとベース層はすべて、たとえば図4および5の実施態様に見られるように、完全に切断される。図4および5の実施態様のように、部分的に切断されたフック形状のリブを、長手方向に延ばしたり広げたりした場合には、それらが、フック要素72と、配列されたストランド78(リブの非切断部分からの)とを形成する。長手方向の延伸と同時に、切断されたベース層およびもう一つのリブの組が、横断方向のストランド70とそのストランド70の上のフック要素71を形成している。
【0033】
たとえば図5および6に示したようなフックファスナー繊維質不織布複合材料は、通気性が高く、また、少なくともストランド18、20、70または78の方向には寸法安定性がある。寸法安定性とは、そのネット構造が、張力をかけない場合と、ストランド(たとえば、8、20、70および78)を直線状に伸ばす方向に中程度の張力をかけた場合とで、実質的に同じ寸法を有している、ということを意味している。さらに、それらのファスナーは、互いに角度を持って交差するような直線状のストランドが存在する場合には、二つ以上の方向に寸法的に安定とすることもできる。しかしながら、交差するような直線状のストランドがあると、直線状のストランドの両方の組に対して角度を有する方向に延伸させた場合に、そのネット構造そしてそのまま複合材料が延伸され、場合によってはその寸法的に安定な形態に弾性的に戻る傾向がある。両方の方向に直線状のストランドを、その機械的強度を上げ、可撓性と寸法安定性を上げながらもその坪量を低下させるように配列させることができる。
【0034】
特に好ましい応用においては、本発明のフックファスナー繊維質複合材料は、それ自体で自己嵌め合い性があり、そのため、極端に低コスト高機能性の結束材料とすることができるが、そのような用途としては、たとえば結束ストラップ、野菜包装、医療用包材、スポーツ用包材など、通気性と自己係合性が重要とされる用途を挙げることができる。このフックファスナー繊維質複合材料は、具体的には、たとえばヘッドバンド、おむつ、失禁用パンティ、女性衛生物品などの使い捨て衣料用途における使用を挙げることができ、そのような用途では、使用者に馴染みやすい係合性を有し、通気性があるのが望ましい。それらおよびその他の用途において、このフックファスナー複合材料はさらに、通常の技術、たとえば接着積層法、加熱または加圧溶融超音波接着法、あるいはそれらの接着方法の組合せなどによって、繊維ウェブ(たとえば、不織繊維質のニットまたはステッチボンド繊維質材料)、フィルム、または三次元構造のような他の構造物に接着させることもできる。このフック繊維質複合材料の一つに好適な用途が、図7に示したようなおむつ90であって、広い面積を有するおむつのファスナータブ91が、本発明のフックファスナー繊維質複合材料でできている。そのフックファスナー繊維質複合材料タブは、適切な接着方法、たとえば加熱、加圧、接着剤または超音波溶融、または各種接着方法の組合せにより、おむつの端部に取り付けることができる。本発明のフックファスナー繊維質複合材料はさらに、おむつの後側の上に連続のベルトファスナーとして自体で係合させたり、あるいは、たとえば、おむつの外側に適当な繊維質材料またはループを設けたりすることによって、おむつの前側部分94に係合させることもできる。別な実施態様のおむつ95を図8に示す。この場合には、大面積のファスナーが、着用者の足の部分にフィットするような形状にしてある。図9においては、さらなる実施態様のおむつ97には、本発明のフックファスナー繊維質複合材料からできているサイドシーム部材98を有し、それが、やはり本発明のフックファスナー繊維質複合材料でできているかまたは適当な嵌め合い性ループ構造を有する、もう一つのサイドシーム部材99と係合できるようになっている。
【0035】
図10は、包材31であって、本発明のフックファスナー繊維質複合材料31の自己係合性包材として作られている。その包材は、スポーツ用包材または医療用包材、その他適切な用途に使用できる。
【0036】
図11には、フックファスナー繊維質複合材料のまた別な実施態様が示されていて、ここでは追加の機能性要素45が、フック要素含有バッキング要素40に隣接した複合材料に加えられている。示されているフック要素含有バッキング要素は、図4(a)に示されたような、フックファスナー要素41と長手方向に伸長されたストランド48を有するメッシュタイプの構造をしている。そのフック要素含有バッキング要素が、バッキング要素40の両方の面の上で、二つの不織ウェブ47と42の中に埋め込まれている。バッキング要素に隣接して、追加の多孔性または開放性機能性要素45があり、それがさらに不織ウェブ47または42の一方または両方に直接接着されている(間接的な取付けも可能である)。この追加の機能性要素は、バッキング要素40の隣接部49に直接位置させることができる。この追加の機能性要素は、不織ウェブを用いて交絡させることもできるし、またさらなるネット構造、ストランド、織布または不織布材料などであってもよい。この追加の機能性要素はまた、加熱接着、接着剤による接着など、通常の接着方法によって取り付けることも可能である。図示されているように、この追加の機能性要素が弾性材料であって、フック複合材料が弾性を有するようにすることができる。その他の機能性要素としては、接着層、フィルター材料、補強用材料、反射材料などを挙げることができる。
【実施例】
【0037】
実施例1
メッシュフックネット構造を、図1に示したのと同様の装置を用いて製造した。6.35cm単軸スクリュー押出機(L/Dが24:1)を用いて、ポリプロピレン/ポリエチレン耐衝撃性コポリマー(SRC7−644、1.5MFI、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)製)を押出加工したが、バレル温度プロファイルは175℃−230℃−230℃で、ダイ温度は約230℃を用いた。その押出し物は、放電加工による開口部を有するダイを通して垂直下方へ押出して、図2に示したのと同様の特殊形状押出しウェブを製造した。上側リブのクロスウェブ間隔は、1cmあたり7.3本のリブであった。ダイを用いて成形した後、その押出し物を6.1メートル/分の速度で水タンクの中へ送って急冷したが、その水の温度は約10℃に維持した。次いでそのウェブを進めて切断ステーションを通したが、そこでは、上側リブとベース層(ただし、下側リブは含まない)を、横断方向に、ウェブの横断方向から見て23度の角度で切断した。そのカットの間隔は305ミクロンであった。上側リブとベース層とを切断してから、第一のニップロール対と第二のニップロール対との間で、そのウェブを延伸比約3対1で長手方向に延伸させて、個々のフック要素をさらに分離させて約8.5フック/cmとし、図4に示したようなフックメッシュネット構造を作った。ベース層の厚みは219ミクロンであった。第一のニップロール対の上側ロールを143℃に加熱して、延伸させる前のウェブを軟化させた。第二のニップロール対は、冷却して約10℃とした。
【0038】
ウェブの長手、ダウンウェブ方向に、幅1.3cmのサンプルを切り出して、このフックネット構造の引張強さを測定した。その試験サンプルの中には、11〜12ストランドが存在していた。インストロン(INS(登録商標)TRON)引張試験機を使用して、破断引張強さを測定した。5本のサンプル測定を繰り返して、平均した。そのウェブの破断引張強さは4.91kg/cm、0.55kg/ストランドであった。
【0039】
次いでそのフックネット構造を、2枚の不織ウェブを用いて水流交絡させて、2枚の30g/m2の非接着カード化ウェブの間にそのフックネット構造を挟み込んだが、それぞれのウェブは、70%のウェルマン(Wellman)T310の1.5dポリエステル繊維、25%のライオセル(Lyocell)の1.5dレーヨン繊維、および5%のコサ(Kosa)T254の2dポリエステル複合繊維ステープルファイバーからなっていた。6マニホルド/ジェット(ウェブの上に3本、下に3本)からなる通常の水流交絡システムを使用した。基本的な操作手順は、たとえば米国特許第5,389,202号明細書(発行1995年2月14日、エバーハート(Everhart)ら)に記載されている。それぞれのマニホルドのオリフィスの大きさは直径120ミクロンであった。オリフィスは、マニホルドの1センチメートルあたり約16個のオリフィス間隔で1列に配置した。マニホルドの水圧は、連続的に上げて127kg/cm2としたが、それによって高エネルギーの微細柱状ジェットが得られた。水流交絡表面は、テネシー州ポートランド(Portland,Tenn)のアルバニー・インターナショナル(Albany International)製の、単層100ステンレス鋼の綾織りワイヤーバッキングであった。そのネット構造と2枚のカード化ウェブをマニホルド下に約10メートル/分のライン速度で通過させ、そこで水の加圧ジェットによって洗浄と固結を行った。得られた複合材料ウェブを、通常の実験室用ハンドシートドライヤーで乾燥させた。その複合材料ウェブは布状の手触りと外観を有していて、極めて柔軟でなじみやすいものであった。
【0040】
実施例2
実施例1に記載のものと類似の水流交絡させた複合材料ウェブを製造したが、ただし、その2枚不織布非接着カード化ウェブは、95%のコサ(Kosa)T224の3dポリエステル繊維と5%のコサ(Kosa)T254の2dポリエステル二成分繊維とのブレンド物からなっていた。それらのカード化ウェブの坪量は、30グラム/m2であった。その複合材料ウェブは布状の手触りと外観を有していて、極めて柔軟でなじみやすいものであった。
【0041】
実施例3
弾性を有する水流交絡させた複合材料ウェブを、実施例1におけるウェブと同様にして製造したが、ただし、追加としてエラストマー性不織ウェブを使用し、フックネット構造に代えて、フィブリル化フック材料を使用した。
【0042】
フックウェブ(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)から、KN−3425として入手可能)を、以下の手順を用いてフィブリル化した。幅10cmのフックウェブを、米国特許第5,058,472号明細書の図1に示されているのと類似の、ロータリー切断装置に供給した。その装置には、ロールの周辺に連続切断ブレードを有する、上下かみ合い型の鋼製ロータリー切断ロールから構成されていた。ブレードの間にはスペーサーを用いて、横方向に1cmあたり6ブレードになるようにした。ハンドクランクを用いてその装置を手動で運転して、切断装置のニップの間にフックウェブを通したが、その際のニップ圧力は約70kg/cm2として、ダウンウェブ方向にウェブの中にスリットを入れた。導入したウェブがフック領域では厚く、非フック領域では薄いために、ダウンウェブ方向に、連続的ではなく断続的な切断が行われた。次いで切断されたウェブにさらに切れ目を入れて、幅2.5cmのストリップを得た。
【0043】
次いで、四つの構成成分からなる水流交絡複合材料(図11)を、実施例1に記載した手順および装置を用いて製造した。その複合材料に弾性を付与するために、ポリウレタン(PUR)スパンボンド不織ウェブ(50g/m2、UHF−50、カネボウ(Kanebo)製)をフィブリル化フックウェブと水流交絡させ、2枚のカード化ポリエステルウェブ(33g/m2、140−070、ノースカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville,NC)のBBA・ノンウーブンス(BBA Nonwovens)製)の間に挟み込んだ。
【0044】
実施例4
図3に示したのと同様のフックウェブ(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M・カンパニー(3M Company)からKN−3425として入手可能)を、以下に手順を用いてフィブリル化した。そのフックウェブを、実施例1に記載の水流交絡システムの中に、2.5m/分の速度で、フックの側の面を下向けにして、供給した。ウェブの上に設けた四つのジェットを用いて、204Kg/cm2の圧力で、裏側からフックウェブを切断して、ほぼ離散されたストランドとしたが、それらストランドのそれぞれには1列のフックが含まれていた。次いで、ポリエステル不織ウェブ(34g/m2、140−070、BBA・ノンウーブンス(BBA Nonwovens)製)をそのフィブリル化フックウェブのフック側に積層させたが、それには、ウェブの下に位置させた3本のジェットを水圧61Kg/cm2で使用した。次いでその複合材料をロールに巻き上げて乾燥させた。次いでその複合材料を、手動で横方向に約2:1に延伸させ、ウェブのフックの無い側の上に追加の不織ウェブ(140−070)を載せて、2.5m/分の速度で水流交絡装置に供給した。その複合材料を、ウェブ上側に4本のジェット、下側に3本のジェットを用い、すべて水圧102Kg/cm2で操作することにより、互いに水流交絡させた。
【0045】
実施例5
以下の材料を用いて水流交絡させた複合材料を製造した。フックウェブ(KN−3425)をダウンウェブ方向に分断して、幅0.8mmのばらばらにしたストランドとし、共通のコアのまわりに巻いた。不織ウェブ(140−070)/分断フックウェブ(KN−3425)/スパンボンドPUR(UHF−50)/不織ウェブ(140−070)からなる4層の複合材料を、上述の水流交絡装置の中に、10m/分で供給した。分断されたフックウェブをその装置の中に、約10cm離れた2.5cmのストリップとして供給した。その複合材料を、ウェブ上側に4本のジェット、下側に3本のジェットを用い、すべて水圧153Kg/cm2で操作することにより、互いに水流交絡させた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図4に示したようなフックネット構造および図5に示したようなファスナーウェブを製造するための方法の概略図である。
【図2】図4(a)のフックネット構造を製造するために使用する前駆体フィルムの斜視図である。
【図3】本発明によるネット構造を形成させるための、第一の実施態様の切断された前駆体フィルムの斜視図である。
【図4a】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図4b】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図4c】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図4d】本発明による片面フックネット構造の各種の実施態様の斜視図である。
【図5】本発明による、繊維ウェブの中に埋め込まれた、図4(a)におけるような第一の実施態様のフックネット構造の、上側および下側からの顕微鏡写真である。
【図6】本発明による繊維ウェブの中に埋め込まれた第二の実施態様の両面フックネット構造の模式図である。
【図7】本発明の繊維質フックファスナーウェブを含む使い捨て吸収用物品の斜視図である。
【図8】本発明の繊維質フックファスナーウェブを含む使い捨て吸収用物品の第二の実施態様の斜視図である。
【図9】本発明の繊維質フックファスナーウェブを含む使い捨て吸収用物品の第三の実施態様の斜視図である。
【図10】本発明の繊維質フックファスナーウェブから形成された包材の斜視図である。
【図11】本発明による弾性フックファスナーウェブの側面図である。
【図12a】本発明の繊維質フックファスナーを製造する際に使用される、フック含有ストランドを形成させる各種の段階の斜視図である。
【図12b】本発明の繊維質フックファスナーを製造する際に使用される、フック含有ストランドを形成させる各種の段階の斜視図である。
【図12c】本発明の繊維質フックファスナーを製造する際に使用される、フック含有ストランドを形成させる各種の段階の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の外側表面および第二の外側表面を有するフック要素含有バッキング要素と、少なくとも一つの外側表面から突出したフック要素とを含む、フックファスナー複合材料であって、前記フック含有バッキング要素が繊維ウェブの中に埋め込まれて前記ウェブの繊維がバッキング要素の両方の外側表面上に存在するようになっている、フックファスナー複合材料。
【請求項2】
前記フック含有バッキング要素が、フック要素を含むストランド要素を少なくとも含む、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項3】
前記フック含有バッキング要素が、ばらばらなフック含有ストランドを含む、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項4】
前記ストランド要素が、少なくとも一つの方向に直線的に延在する、請求項2に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項5】
前記繊維ウェブが不織繊維質ウェブである、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項6】
前記不織繊維質ウェブが、非接着カード化不織ウェブである、請求項5に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項7】
前記複合材料が弾性複合材料である、請求項5に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項8】
前記複合材料が、バッキング要素に隣接して位置する弾性要素を有する、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項9】
前記弾性要素が多孔性弾性体である、請求項8に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項10】
前記弾性要素が、繊維ウェブを用いて交絡された繊維ウェブである、請求項9に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項11】
ストランドの第二の組がストランドの第一の組に対して横断方向に延在し、前記ストランドの二つの組がその交差点で結合されており、前記ストランドの第二の組が、相互に平行であり、そして、第一の面および第二の面ならびに二つの実質的に平行な側面を有し、実質的に同じ長さである、請求項2に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項12】
前記フック要素が、前記ストランドの第二の組の方向に延在する、請求項11に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項13】
前記フック要素が、二つ以上の方向に延在し、マッシュルームの形状を形成している、請求項11に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項14】
第一の方向に延在する複数のストランドを含むフック繊維質複合材料から形成された閉め込み要素を含む物品であって、前記ストランドが第一の外側表面と第二の外側表面と二つの側面ならびに、少なくとも一方の外側表面から突出するフック要素を含み、ここで、前記ストランドが繊維ウェブの中に埋め込まれて前記ウェブの繊維が前記ストランドの両側の外側表面の上に存在するようになっている、物品。
【請求項15】
第一の方向に延在する複数のストランドを含むフック複合材料を含む包材であって、前記ストランドが第一の外側表面と第二の外側表面と二つの側面ならびに、少なくとも一方の外側表面から突出するフック要素を含み、ここで、前記ストランドが繊維ウェブの中に埋め込まれて前記ウェブの繊維が前記ストランドの両側の外側表面の上に存在するようになっている、包材。
【請求項16】
前記包材が自己係合性である、請求項15に記載の包材。
【請求項1】
第一の外側表面および第二の外側表面を有するフック要素含有バッキング要素と、少なくとも一つの外側表面から突出したフック要素とを含む、フックファスナー複合材料であって、前記フック含有バッキング要素が繊維ウェブの中に埋め込まれて前記ウェブの繊維がバッキング要素の両方の外側表面上に存在するようになっている、フックファスナー複合材料。
【請求項2】
前記フック含有バッキング要素が、フック要素を含むストランド要素を少なくとも含む、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項3】
前記フック含有バッキング要素が、ばらばらなフック含有ストランドを含む、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項4】
前記ストランド要素が、少なくとも一つの方向に直線的に延在する、請求項2に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項5】
前記繊維ウェブが不織繊維質ウェブである、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項6】
前記不織繊維質ウェブが、非接着カード化不織ウェブである、請求項5に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項7】
前記複合材料が弾性複合材料である、請求項5に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項8】
前記複合材料が、バッキング要素に隣接して位置する弾性要素を有する、請求項1に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項9】
前記弾性要素が多孔性弾性体である、請求項8に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項10】
前記弾性要素が、繊維ウェブを用いて交絡された繊維ウェブである、請求項9に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項11】
ストランドの第二の組がストランドの第一の組に対して横断方向に延在し、前記ストランドの二つの組がその交差点で結合されており、前記ストランドの第二の組が、相互に平行であり、そして、第一の面および第二の面ならびに二つの実質的に平行な側面を有し、実質的に同じ長さである、請求項2に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項12】
前記フック要素が、前記ストランドの第二の組の方向に延在する、請求項11に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項13】
前記フック要素が、二つ以上の方向に延在し、マッシュルームの形状を形成している、請求項11に記載のフックファスナー複合材料。
【請求項14】
第一の方向に延在する複数のストランドを含むフック繊維質複合材料から形成された閉め込み要素を含む物品であって、前記ストランドが第一の外側表面と第二の外側表面と二つの側面ならびに、少なくとも一方の外側表面から突出するフック要素を含み、ここで、前記ストランドが繊維ウェブの中に埋め込まれて前記ウェブの繊維が前記ストランドの両側の外側表面の上に存在するようになっている、物品。
【請求項15】
第一の方向に延在する複数のストランドを含むフック複合材料を含む包材であって、前記ストランドが第一の外側表面と第二の外側表面と二つの側面ならびに、少なくとも一方の外側表面から突出するフック要素を含み、ここで、前記ストランドが繊維ウェブの中に埋め込まれて前記ウェブの繊維が前記ストランドの両側の外側表面の上に存在するようになっている、包材。
【請求項16】
前記包材が自己係合性である、請求項15に記載の包材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【公表番号】特表2007−508107(P2007−508107A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535495(P2006−535495)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029707
【国際公開番号】WO2005/037005
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029707
【国際公開番号】WO2005/037005
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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