説明

フック装置

【課題】ケースに収容したフックを開く操作と、開いたフックをケースに収容する操作を軽減するフック装置を提供する。
【解決手段】フック装置において、第1リンク60は第1状態からの解除を契機として第1ばね84により第1方向に回転して、係合するフック40を開方向に回転させ、第1リンク60が回転規制手段により第1方向の回転を停止させられるとフック40が第2状態となる。フック40が第2状態から開方向に印加されて第3状態に回転すると、第2リンク70は、係合するフック40の回転に応じて回転するとともに、フック40と第1リンク60との係合を解除して第1リンク60を第1方向とは逆の第2方向に回転させ、フック40が第3状態をとる場合に張出部は第1リンク60に再び係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転により開閉するフックを備えるフック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内にはフックが設けられ、鞄や衣服などを掛けるために使用される。フックが使われない場合に突き出していると煩わしいため、フックを収納可能なフック装置が用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、フック部材と、フック部材を収納するケースと、フック部材をケースに回転可能に支持する支軸と、フック部材を開き方向へ回転するように付勢するコイルばねと、フック部材を収納状態に保持し、かつ収納状態にあるフック部材がさらに押し込まれると、その保持状態を解除するハートカム機構とを有するフック装置が開示される。このフック装置ではハートカム機構における保持状態が解除されると、フック部材をコイルばねにより開き方向に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−28130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、ハートカム機構の保持状態が解除されると自動的にフック部材が回転して開くものの、フック部材が開いた後はフック部材を手動で戻す必要があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケースに収容したフックを開く操作と、開いたフックをケースに収容する操作を軽減するフック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のフック装置は、ケースと、ケースに回動可能に軸支され、ケースに収容されて閉じられた第1状態と、第1状態から開いて停止した第2状態と、第2状態よりさらに開いて停止した第3状態とを少なくともとるフックと、ケースに回動可能に軸支される第1リンクと、ケースに回動可能に軸支され、フックおよび第1リンクに係合可能な第2リンクと、フックを開方向に回転させるために第1リンクを付勢する第1ばねと、フックを閉方向に回転するよう付勢する第2ばねと、第1リンクに向かって張り出した張出部と、を備える。このフック装置において張出部は、フックが第1状態をとる場合に、第1リンクと係合して第1リンクの回転を規制し、第1状態からフックが閉方向に所定位置まで押し込まれた場合に、第1リンクとの係合を解除する。第1リンクはその解除を契機として第1ばねにより第1方向に回転して、係合するフックを開方向に回転させ、第1リンクが回転規制手段により第1方向の回転を停止させられるとフックが第2状態となる。フックが第2状態から開方向に印加されて第3状態に回転すると、第2リンクは、係合するフックの回転に応じて回転するとともに、フックと第1リンクとの係合を解除して第1リンクを第1方向とは逆の第2方向に回転させ、フックが第3状態をとる場合に張出部は第1リンクに再び係合する。
【0008】
この態様によると、フックを閉方向に回転するように押し込むと第1ばねによりフックを開方向に自動的に回転させることができ、そして回転規制手段によりフックを第2状態で停止することができる。また、フックを第2状態からさらに開方向に印加するとフックと第1リンクの係合が解除されるため、第3状態においてフックを第2ばねにより閉方向に回転可能な状態にできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フックをケースに収容可能なフック装置において、ケースに収容したフックを開く操作と、開いたフックをケースに収容する操作を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るフック装置を示す図である。
【図2】実施形態に係るフック装置の分解図である。
【図3】実施形態に係るフック装置の断面図である。
【図4】ケースの斜視図である。
【図5】フックを説明するための説明図である。
【図6】第1リンクを説明するための説明図である。
【図7】第2リンクを説明するための説明図である。
【図8】ピンの斜視図である。
【図9】図9(a)は、第1ばねの斜視図であり、図9(b)は、第2ばねの斜視図である。
【図10】フックの動作を説明するための説明図である。
【図11】第1状態における回転規制手段について説明するための説明図である。
【図12】第1リンクの回転に応じて相対移動する張出部の移動軌跡を示す図である。
【図13】図13(a)は、図10(a)におけるフック、第1リンクおよび第2リンクの関係を示し、図13(b)は、図10(b)におけるフック、第1リンクおよび第2リンクの関係を示す図である。
【図14】図14(a)は、図10(c)におけるフック、第1リンクおよび第2リンクの関係を示し、図14(b)は、図10(d)におけるフック、第1リンクおよび第2リンクの関係を示す図である。
【図15】変形例の把手を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態に係るフック装置10を示す図である。図1(a)はフック装置10の正面図であり、図1(b)はフック40が閉じた状態のフック装置10の斜視図であり、図1(c)はフック40が開いた状態のフック装置10の斜視図である。なお、以下の図ではフック装置10の内部構造が見えるようにケース20の一部を切り欠いて示している。
【0012】
フック装置10は、たとえば車室の内壁にケース20を埋め込むように取り付けられ、図1(a)に示すフック装置10の正面が露出するように取り付けられる。フック装置10は、図1(b)に示すフック40を押すと、図1(c)に示すようにフック40が自動的に回転して開き、鉤状のフック40に物を掛けることができる。
【0013】
図1(b)に示すフック40がケース20に収容された状態がフック40が閉じた状態であり、図1(c)に示すようにフック40がケース20から突き出た状態がフック40が開いた状態である。また、図1(b)に示すフック40がケース20に収容された状態から、図1(c)に示すケース20から突き出る状態への回転が、フック40の開方向への回転である。その逆の図1(c)に示すケース20から突き出た状態から図1(b)に示すケース20に収容される状態への回転が、フック40の閉方向への回転である。
【0014】
図2は、実施形態に係るフック装置10の分解図である。また、図3は、実施形態に係るフック装置10の断面図を示す。図3(a)は図1(a)に示すフック装置10の線分A−Aの断面を示し、図3(b)は図1(a)に示すフック装置10の線分B−Bの断面を示す。ここで各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。フック装置10は、ケース20、フック40、第1リンク60、第2リンク70、ピン80、第1ばね84および第2ばね90を備える。これらの各部品について以下の図面を用いて具体的に説明し、各部品の説明したあとに図2および図3に戻って各部品の関係について説明する。
【0015】
図4は、ケース20の斜視図を示す。図4(a)および図4(b)は、正面側からみたケース20であり、図4(c)は裏面側からみたケース20である。ケース20は、ホルダ10の他の部材を収容するように形成され、車室の内壁等に取り付けられる。
【0016】
ケース20は、開口部24が形成されたケース本体部22と、ケース本体部22の側部に形成されたフック軸孔26と、ケース本体部22の側部に形成された第1リンク軸孔28と、ケース本体部22の側部に形成された第2リンク軸孔30と、ケース本体部22の底面32と、フック軸孔26の底面32に設けられた第1ばね端係止部34と、フック40が開いた際に内部を覆うカバー部36と、フック40の開方向の回転を規制するストッパ部38を有する。
【0017】
図5は、フック40を説明するための説明図である。図5(a)はフック40の操作面をみた斜視図であり、図5(b)はフック40の軸周りに着目した斜視図であり、図5(c)は、フック40の掛止面を示す図である。
【0018】
フック40は、フック軸部42と、フック軸部42に回動可能に連結される操作板部44と、操作板部44の先端から突出するように形成された掛止部46と、フック軸部42と同軸に設けられ、第2ばね90を収容するための第2ばね収容部48と、フック軸部42から径方向に延出する延出部52と、延出部52に設けられ、フック軸部42と異なる軸位置において軸方向に突出する突起部50と、を有する。
【0019】
フック軸部42は、ケース20のフック軸孔26に回動可能に支持される。操作板部44の操作面に窪み部44aが形成され、使用者が窪み部44aを押圧する目標にできる。フック40は、操作板部44の掛止面側に第2ばね90の一端を係止する第2ばね端係止部54を有する。フック40の後端部56は、全開状態においてケース20のストッパ部38に当接する。
【0020】
図6は、第1リンク60を説明するための説明図である。図6(a)および図6(b)は第1リンク60の斜視図であり、図6(c)は第1リンク60の側面図である。第1リンク60は、両端がケース20の第1リンク軸孔28に回動可能に支持される第1軸部62と、第1軸部62に設けられ、第1軸部62から径方向に延出するアーム64と、第1軸部62の周方向に形成されたハートカム機構66と、第1軸部62にアーチ状に設けられた挿脱掛部68と、を有する。
【0021】
ハートカム機構66は、ハート形状のハート段部66aと、その周囲に複数の段部を有する。複数の段部を形成する段差面は、ハート段部66aの谷部に位置する保持部66bと、保持部66bに連続して形成された第1誘導部66cと、保持部66bより一段下に形成され、ハート段部66aの下端に連続する第2誘導部66dと、ハート段部66aの下端から第2誘導部66dとは逆側で保持部66bへとつながる第3誘導部66eとを有する。
【0022】
また、保持部66bおよび第1誘導部66cから第3誘導部66eのそれぞれの座面となる段部の高さ、すなわち周面である段部の軸心からの距離が異なるように形成される。具体的には保持部66bの座面に位置する第1段部67aは、第1誘導部66cの座面に位置する第2段部67bより低く、第2誘導部66dの座面に位置する第3段部67cより高い。第3誘導部66eの座面に位置する第4段部67dは第3段部67cより高い。
【0023】
図7は、第2リンク70を説明するための説明図である。図7(a)は第2リンク70の第2軸部72側の斜視図であり、図7(b)は図7(a)に示す第2リンク70の裏側の斜視図であり、図7(c)は第2リンク70の上面図である。
【0024】
第2リンク70は、ケース20の第2リンク軸孔30に回動可能に支持される第2軸部72と、第1リンク60の挿脱掛部68に挿脱可能な挿脱部74と、フック40の突起部50に係合可能なフック係合部76と、を有する。
【0025】
第2リンク70は全体が屈曲した形状を有し、第2軸部72から挿脱部74とフック係合部76が直交するように伸びる。また、第2リンク70はV字状に形成され、一端に挿脱部74が設けられ、他端にフック係合部76が設けられる。挿脱部74とフック係合部76は、軸方向において離間して配される。
【0026】
図8は、ピン80の斜視図である。図8(a)はピン80の表側からみた斜視図であり、図8(b)はピン80の裏側からみた斜視図である。ピン80はケース20に取り付けられ、第1リンク60のハートカム機構66に向かって張り出す張出部82を有する。張出部82は、ピン80の先端に形成され、ハートカム機構66に係合するように形成される。なお、図8ではピン80はケース20と別体であるが、その態様に限られずケース20と一体に形成されてよい。
【0027】
図9(a)は、第1ばね84の斜視図であり、図9(b)は、第2ばね90の斜視図である。第1ばね84は、コイルばねであり、フック40を開方向に回転させるために第1リンク60を付勢する。第1ばね84は、第1軸部62と同軸に配置され、一端86がケース20に当接し、他端88が第1リンク60を第1方向に付勢する。第1ばね84は第1リンク60を第1方向に回転させることで、フック40を開方向に回転させるよう作用する。
【0028】
第2ばね90は、コイルばねであり、フック40の第2ばね収容部48に配され、フック40を閉方向に回転するよう付勢する。第2ばね90は、フック40と同軸に配置され、一端92がケース20に当接し、他端94がフック40に当接して閉方向に付勢する。
【0029】
ここで図2および図3に戻って、これらの部材の関係を説明する。フック40、第1リンク60および第2リンク70の回転軸は平行に配される。フック40は回動可能に軸支されており、その回転は突起部50によって第1リンク60のアーム64および第2リンク70のフック係合部76に伝達される。アーム64は、フック40と係合して第1軸部62の第1方向の回転によってフック40を開方向に回転可能である。
【0030】
第1リンク60の挿脱掛部68には、第2リンク70の挿脱部74が係合し、第2リンク70の回転が第1リンク60に伝達される。図3(a)に示すようにピン80はケース20の底面32に対して傾斜して設けられ、第1リンク60に向かって張り出す。
【0031】
図10は、フック40の動作を説明するための図である。図10(a)において、フック40は、ケース20に収容して閉じられた第1状態である。フック装置10を不使用の場合は、フック40を閉じておく。
【0032】
図10(b)は、使用者がフック40の窪み部44aを押して、フック40が第1状態から閉方向に所定位置まで押し込まれた状態を示す。すると、ハートカム機構66における回転規制が解除される。
【0033】
図10(c)は、第1状態からフック40が開いて停止した第2状態を示す。第2状態は、フック40が最大限開いた状態ではないものの、7〜8割程度開いているため、使用者はフック40に被掛止物を掛けることができる。
【0034】
図10(d)は、第2状態からフック40がさらに開いた第3状態を示す。第2状態において被掛止物を掛けると、被掛止物の重さが印加されてフック40がさらに開いて第3状態で停止する。フック40は、ケース20のストッパ部38に当接して停止する。
【0035】
この第3状態において、フック40の突起部50と、第1リンク60のアーム64との係合は外れている。第1リンク60にフック40を開方向に回転させる第1ばね84が設けられているため、突起部50とアーム64の係合が外れると、第1ばね84はフック40に作用しない。したがって、第3状態においてフック40に掛けていた被掛止物を除くと、すなわちフック40が自由状態になると、フック40が第2ばね90により閉方向に回転して第1状態に戻る。このように、使用者がフック40を1回押すだけでフック40を開いて使用することができ、さらにフック40の使用後は第3状態から自動的にフック40が閉じるため、使用者のフック40の開閉操作を軽減することができる。以下、具体的に動作中および各状態の各部材について説明する。
【0036】
図11は、第1状態における回転規制手段について説明するための説明図である。図11(a)に示すようにピン80はケース本体部22に取り付けられ、底面32に対して傾斜するように配される。
【0037】
図11(b)はフック40が第1状態にあり、この図に示すようにハートカム機構66はピン80の張出部82に係合している。また第1リンク60は第1ばね84により第1方向85に付勢される。アーム64が第1方向85に回転すると、アーム64に係合する突起部50をともに回転させて、フック40を回転させようと働く。しかしながら第1リンク60は、ピン80の張出部82とハートカム機構66の保持部66bとの係合により回転が規制される。これによりフック40が閉じた第1状態で保持できる。
【0038】
図12は、第1リンク60の回転に応じて相対移動する張出部82の移動軌跡を示す図である。図10(a)に示す第1状態において張出部82は、保持部66bに係合した第1位置102をとる。
【0039】
次に図10(b)に示す操作板部44を閉方向に押し込んだ状態では、張出部82と保持部66bとの係合は解除され、張出部82は、第2誘導部66dに係合した第2位置104をとる。第2位置104において張出部82は、第1位置102における第1段部67aより一段低い第3段部67cに移動したため、第2位置104から第1位置102に戻らない構成となっている。
【0040】
次に図10(c)に示す第2状態となると、張出部82は、ハート段部66aの下端に位置する第3位置106に移動する。第2状態においては張出部82はハートカム機構66から外れた状態であってよい。
【0041】
次に図10(d)に示す第3状態となると、張出部82は第3位置106から第3誘導部66eに沿って第4位置108に移動し、第1誘導部66cに係合する。このとき張出部82は第4段部67dより一段低い第2段部67bに移動するため、第4位置108に移動した後は第3位置106に戻らないように構成される。
【0042】
次に第3状態から第1状態に戻ると、張出部82は第2段部67bに沿ってスライドして、保持部66bに係合する。以上のように張出部82は、ハート段部66aの周囲を相対移動する。
【0043】
図13(a)は、図10(a)におけるフック40、第1リンク60および第2リンク70の関係を示し、図13(b)は、図10(b)におけるフック40、第1リンク60および第2リンク70の関係を示す。
【0044】
図13(a)に示すフック40が第1状態をとる場合に、第1リンク60のアーム64はフック40の突起部50と接触して係合状態にある。このとき第1リンク60は、第1ばね84により第1方向85に付勢される。ここで、フック40に取り付けられた第2ばね90は、フック40を閉方向に回転させるよう付勢するが、第2ばね90より第1ばね84の方が付勢力が強いため、フック40の閉方向への回転は抑えられる。一方、第1ばね84は、第2ばね90に抗して第1方向85に回転するよう第1リンク60を付勢するが、第1リンク60の回転は張出部82と保持部66bとの係合により規制される。
【0045】
図13(b)に示す第1状態からフック40が閉方向に所定位置まで押し込まれた場合に、張出部82は第1リンク60との係合を解除する。すなわち張出部82は、図12に示す第2位置104をとり、保持部66bとの係合から外れる。第1リンク60はその係合の解除を契機として第1ばね84により第1方向85に回転して、係合するフック40を開方向に回転させる。そして、第1リンク60が回転規制手段により第1方向85の回転を停止させられるとフック40が第2状態となる。
【0046】
図14(a)は、図10(c)におけるフック40、第1リンク60および第2リンク70の関係を示し、図14(b)は、図10(d)におけるフック40、第1リンク60および第2リンク70の関係を示す。
【0047】
図14(a)に示すようにケース20の底面32が回転規制手段として機能し、第2リンク70および第1リンク60の回転を停止し、第2状態となる。なお、ケース20の底面32には、第2リンク70の挿脱部74が当接し、挿脱部74を介して挿脱掛部68の第1方向の回転が停止される。なお第1リンク60の挿脱掛部68が底面32に直接当接して回転が規制され、第2状態となってもよい。底面32以外の回転規制手段を用いて第1リンク60の回転を停止し、第2状態としてもよい。これにより、フック40が使用可能となる状態まで、自動的に開かせることができる。
【0048】
図14(b)に示すようにフック40が第2状態から開方向に強制的に印加されて回転すると、第2リンク70は、係合するフック40の回転に応じて回転するとともに、フック40と第1リンク60との係合を解除して第1リンク60を第1方向とは逆の第2方向に回転させる。フック40はケース20の枠に当接して回転が規制され第3状態となる。そして、フック40が第3状態をとる場合には、張出部82は図12に示す第4位置108で第1リンク60に再び係合する。
【0049】
フック40が第3状態から自由状態になると、第2ばね90によりフック40が閉方向に回転するとともに、第1リンクは60第1ばね84により第1方向に回転して、張出部82は図12に示す第4位置108から第1位置102へ相対移動して第1リンク60との係合により第1リンク60の回転を再び規制し、フック40が第1状態となる。これにより、フック40を使用した後、被掛止物をフック40から取り外せばフック40が自動的に閉じて使用前の状態に戻るため、フック40を閉じる操作を省くことができる。
【0050】
図15は、変形例にかかるフック140を示す。フック140には中央に開口142が形成されている。その他の構成は同様である。これによりフック140にロープなどを掛けて用いることができる。
【0051】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0052】
10 フック装置、 20 ケース、 22 ケース本体部、 24 開口部、 26 フック軸孔、 28 第1リンク軸孔、 30 第2リンク軸孔、 32 底面、 34 第1ばね端係止部、 36 カバー部、 40 フック、 42 フック軸部、 44 操作板部、 46 掛止部、 48 第2ばね収容部、 50 突起部、 52 延出部、 54 第2ばね端係止部、 60 第1リンク、 62 第1軸部、 64 アーム、 66 ハートカム機構、 66b 保持部、 66a ハート段部、 66c 第1誘導部、 66d 第2誘導部、 66e 第3誘導部、 67a 第1段部、 67b 第2段部、 67c 第3段部、 67d 第4段部、 68 挿脱掛部、 70 第2リンク、 72 第2軸部、 74 挿脱部、 76 フック係合部、 80 ピン、 82 張出部、 84 第1ばね、 90 第2ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに回動可能に軸支され、前記ケースに収容されて閉じられた第1状態と、前記第1状態から開いて停止した第2状態と、前記第2状態よりさらに開いて停止した第3状態とを少なくともとるフックと、
前記ケースに回動可能に軸支される第1リンクと、
前記ケースに回動可能に軸支され、前記フックおよび前記第1リンクに係合可能な第2リンクと、
前記フックを開方向に回転させるために前記第1リンクを付勢する第1ばねと、
前記フックを閉方向に回転するよう付勢する第2ばねと、
前記第1リンクに向かって張り出した張出部と、を備え、
前記張出部は、前記フックが前記第1状態をとる場合に、前記第1リンクと係合して前記第1リンクの回転を規制し、前記第1状態から前記フックが閉方向に所定位置まで押し込まれた場合に、前記第1リンクとの係合を解除し、
前記第1リンクはその解除を契機として前記第1ばねにより第1方向に回転して、係合する前記フックを開方向に回転させ、前記第1リンクが回転規制手段により前記第1方向の回転を停止させられると前記フックが前記第2状態となり、
前記フックが前記第2状態から開方向に印加されて前記第3状態に回転すると、前記第2リンクは、係合する前記フックの回転に応じて回転するとともに、前記フックと前記第1リンクとの係合を解除して前記第1リンクを前記第1方向とは逆の第2方向に回転させ、前記フックが前記第3状態をとる場合に、前記張出部は前記第1リンクに再び係合することを特徴とするフック装置。
【請求項2】
前記張出部は、前記フックが前記第1状態をとる場合に第1位置で前記第1リンクと係合し、前記フックが前記第3状態をとる場合に前記第1位置と異なる第2位置で前記第1リンクに係合することを特徴とする請求項1に記載のフック装置。
【請求項3】
前記フックが前記第3状態から自由状態となると、前記第2ばねにより前記フックが閉方向に回転するとともに、前記張出部は前記第2位置から前記第1位置へ移動して前記第1リンクとの係合により前記第1リンクの回転を規制し、前記フックが前記第1状態となることを特徴とする請求項2に記載のフック装置。
【請求項4】
前記張出部は、前記第1位置で前記第1リンクのハートカム機構に係合することを特徴とする請求項3に記載のフック装置。
【請求項5】
前記第1状態において、前記第1ばねの付勢力は、前記第2ばねより大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフック装置。
【請求項6】
前記第1リンクは、前記第3状態から前記第1状態になると、前記第1ばねにより前記第1方向に回転して前記フックに再び係合することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−50199(P2013−50199A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189812(P2011−189812)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【出願人】(000251060)林テレンプ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】