説明

フッ素化されたオレフィンの合成のための方法

フッ素化されたオレフィン、特に好ましい態様においては、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどの、不飽和非末端炭素上にFを有する四フッ素化オレフィンの合成のための方法を開示する。一の態様にしたがった本発明の好ましい方法は、一般的には、(a)式(I)X(I)の化合物を式(II)CXCX=CX(II)の化合物と反応させて、式(III)CFCHXCH(III)の化合物を含む反応生成物を生成し、(b)前記式(III)の化合物を式(IV)CFCZ=CH(IV)の化合物へと転化するのに有効な反応条件に前記式(III)の化合物を曝露することを含む(式中、式(I)のX及びXが両方とも水素ではないことを条件として、X、X、及びXは、水素、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素からなる群から、各々、独立して選択され、そしてZは、Cl、I、Br、又はFである)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化されたオレフィン、特に、四フッ素化プロペンの調製のための方法に関する。具体的な態様において、本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、CFCF=CH(HFO−1234yf)の調製のための方法に関する。
【0002】
本出願は、参照により本明細書中に援用する、2007年10月15日付けの米国仮出願第60/068,509号の優先権の利益を請求する。
【背景技術】
【0003】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)、特に、テトラフルオロプロペン(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)を含む)などのハイドロフルオロアルケン(すなわち、ハイドロフルオロオレフィン(HFO))は、有効な冷媒、消火剤、熱移動媒体、起泡剤、発泡剤、気体誘電体、滅菌剤担体、重合媒体、粒子除去流体、バフ研磨剤のための担体流体、置換乾燥剤(displacement drying agents)、及び動力サイクル作動流体であることが開示されている。どちらも地球のオゾン層を破壊する可能性のあるクロロフルオロカーボン(CFC)及びハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)と異なり、HFCは、塩素を含有しないので、オゾン層に対して何ら脅威をもたらさない、しかし、HFCと比較して、HFOは、一般的により低い地球温暖化係数(GWP)を有するため、一般的に更により生態学的にやさしい。
【0004】
ハイドロフルオロアルカンを調製するための方法がいくつか知られている。例えば、米国特許第4,900,874号(特許文献1)には、水素ガスをフッ素化されたアルコールと接触させることによりフッ素含有オレフィンを製造する方法が記載されている。米国特許第2,931,840号(特許文献2)には、塩化メチル及びテトラフルオロエチレン又はクロロジフルオロメタンの熱分解によりフッ素含有オレフィンを製造する方法が記載されている。トリフルオロアセチルアセトン及び五フッ化硫黄からのHFO−1234yfの調製が記載されている。Banks, et al., Journal of Fluorine Chemistry, Vol. 82, Iss. 2, p. 171-174 (1997)(非特許文献1)を参照されたい。また、米国特許第5,162,594号(特許文献3)には、テトラフルオロエチレンを別のフッ素化されたエチレンと液相において反応させて、ポリフルオロオレフィン生成物を生成する方法が開示されている。米国特許第6,548,719号(特許文献4)には、相転移触媒の存在下で、式CFC(R)C(R)(式中、R置換基は、少なくともひとつの水素とひとつのハロゲンが隣接する炭素原子上に存在することを条件として、当該特許に定義されるとおりである)の化合物を少なくともひとつのアルカリ金属水酸化物により脱ハロゲン化水素化することにより、広い範囲のフルオロオレフィンを生成することが一般的に記載されている。
【0005】
1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの調製は、米国特許第5,986,151号(特許文献5)及び米国特許第6,124,510号(特許文献6)に開示されている。これらの特許は、気相においてCFCHCFHを触媒により脱フッ化水素化して、CFCH=CHFを与えることを含む方法を開示している。しかし、これらの方法は各々、費用と材料の入手可能性をはじめとする理由のために望ましくない1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)を出発反応体として単離するという必要条件により限定されるという不都合を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,900,874号
【特許文献2】米国特許第2,931,840号
【特許文献3】米国特許第5,162,594号
【特許文献4】米国特許第6,548,719号
【特許文献5】米国特許第5,986,151号
【特許文献6】米国特許第6,124,510号
【非特許文献1】Banks, et al., Journal of Fluorine Chemistry, Vol. 82, Iss. 2, p. 171-174 (1997)
【発明の概要】
【0007】
本出願人らは、フッ素化されたオレフィン、特に好ましい態様においては、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどの、不飽和非末端炭素上にFを有する四フッ素化オレフィンの合成のための方法を発見した。
【0008】
一の態様にしたがった本発明の好ましい方法は、一般的には、
(a)式(I)
(I)
の化合物を式(II)
CXCX=CX (II)
の化合物と反応させて、式(III)
CFCHXCH (III)
の化合物を含む反応生成物を生成し、そして、
(b)前記式(III)の化合物を式(IV)
CFCZ=CH (IV)
の化合物へと転化するのに有効な反応条件に前記式(III)の化合物を曝露することを含み、
式中、式(I)のX及びXが両方とも水素ではないことを条件として、X、X、及びXは、水素、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素からなる群から、各々、独立して選択され、そしてZは、Cl、I、Br、又はFである。
【0009】
1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)の形成を対象とする具体的に好ましい態様において、本方法は、
(a)式(IA)の化合物
(IA)
の化合物を式(IIA)
CHCX=CX (IIA)
の化合物と反応させて、式(IIIA)
CFCHFCHCl (IIIA)
の化合物を含む反応生成物を生成し、そして、
(b)前記式(IIIA)の化合物を式(IVA)
CFCF=CH (IVA)
の化合物へと転化するのに有効な反応条件に前記式(IIIA)の化合物を曝露することを含み、
式中、Xは、水素、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素からなる群から選択され、そして各Xは、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素からなる群から各々独立して選択される。
【0010】
一定の非常に好ましい態様において、式(I)の化合物はHFを含み、式(II)の化合物はCCl=CClCHCl(HFCO−1230)を含み、そして式(III)の化合物はCFCHFCHF(HFC−245eb)を含む。
【0011】
したがって、本発明は、一の態様において、CFCF=CHの生成を伴う方法を対象とし、これらの方法は、容易に入手可能で比較的費用のかからない出発材料からスケールアップしやすい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、好ましい態様において、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、CFCF=CH(HFO=1234yf)の生成のための方法を対象とする。
式(IA)の化合物(好ましくはHF)をはじめとする式(I)の化合物を、式(IIA)の化合物(好ましくはHFCO−1230)をはじめとする式(II)の化合物と反応させる工程は、本明細書中に含まれる教示にしたがった非常に多くの具体的な処理条件と工程にしたがい、すべてのそのような変法は本発明の広い範囲の範囲内にある。例えば、反応工程(b)は、触媒作用によるか否かにかかわらず、液相又は気相の付加反応を含むことができるが、触媒作用による液相反応が一般的には好ましい。
【0013】
式(I)の化合物がHFを含み、式(II)の化合物が式(IIA)の化合物、より好ましくはHFCO−1230を含む態様について、反応工程は、触媒、好ましくは第5周期の第10〜15族から選択される金属のハロゲン化物の存在下、好ましくは約0℃〜約250℃、更により好ましくは約150℃〜約250℃の温度で、反応体を曝露することを含むことが好ましい。非常に好ましい触媒は、一又はそれより多いアンチモンのハロゲン化物、好ましくはSbClを含み、好ましくはこれらを主要な割合で含む。
【0014】
反応工程(a)について数多くのかつ多様な他の反応条件を使用できることを企図している。例えば、反応圧力は広く変動することができるが、好ましい態様において、反応は、圧力下、好ましくは 少なくとも約500psigの圧力、より好ましくは約500〜約1000psigの圧力、更により好ましくは約700〜約1000psigの圧力で起こる。更に、特にバッチの反応条件について、反応時間は、約5時間〜約24時間、より好ましくは約5時間〜約15時間であると企図している。
【0015】
好ましくは、反応工程(a)は、式(III)の化合物、より好ましくは式(IIIA)の化合物、更により好ましくはHFCO−1230を含む反応生成物を生成する。好ましい態様において、反応における式(II)の化合物の転化率は、約70%〜約100%である、式(III)の化合物、より好ましくは式(IIIA)の化合物、更により好ましくはHFC−245ebへの反応の選択率は、約40%〜約70%である。一定の好ましい態様において、反応生成物は、好ましいHFC−245ebに加えて、CFCHFCHCl(HCFC−244)、CFCHClCHCl(HCFC−243)、CFCHClCHF(HCFC−244)、CFCCl=CH(HFCO−1233)、CFCFClCH(HCFC−244)、及びtar.も含有する。
【0016】
場合により、しかし好ましくは、反応工程(a)からの反応生成物を、好ましくは蒸留を含む、一又はそれより多い分離工程に供して、曝露工程(b)への供給材料として使用するための比較的高い濃度の式(III)の化合物、更により好ましくは式 (MIA)の化合物を有する生成物を生成する。一定の好ましい態様において、式(III)の化合物の濃度(担体流体又は他の不活性成分を除く)は、重量基準で少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%である。
【0017】
反応工程(a)の後、反応生成物又は少なくともその一部を、分別(fractionation)の有無にかかわらず、少なくとも一種の式(IV)の化合物、より好ましくは式(IVA)の化合物、更により好ましくは2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応生成物を生成するのに有効な反応条件に供することが好ましい。好ましい態様において、曝露工程は、気相及び/又は液相において、式(III)の化合物を脱ハロゲン化水素化することを含む。本明細書中に含まれる教示にしたがって数多くの脱ハロゲン化水素化工程を良好な効果とともに利用することができると企図しているが、一定の態様においては、脱ハロゲン化水素化工程は、式(III)の化合物を、液相においてクラウンエーテルの存在下又は不存在下で水酸化カリウム溶液と、又は、気相において触媒と、当該化合物を2,3,3,3−テトラフルオロプロペンへと転化するのに十分な時間、比較的高温で接触させることを含むことが好ましい。
【0018】
好ましい液相脱ハロゲン化水素化を伴う態様について、式(III)の化合物を、約10%〜約35%、好ましくは約20%〜約25%の濃度のKOH水溶液中で、約25℃〜約90℃、より好ましくは約45℃〜約80℃の温度で反応させることが一般的には好ましい。
【0019】
液相脱ハロゲン化水素化について数多くの種々の他の反応条件を使用してもよいと企図している。例えば、反応圧力は広く変動してもよいが、好ましい態様において、反応は、圧力下、好ましくは少なくとも約100psigの圧力下、より好ましくは約150psig〜約200psigの圧力、更により好ましくは約150〜約180psigの圧力で少なくとも部分的に起こる。更に、特にバッチ反応条件について、反応時間は、約5時間〜約24時間、より好ましくは約15時間〜約25時間であると企図している。
【0020】
好ましい気相脱ハロゲン化水素化反応は、式(III)の化合物を含有する流れを、触媒、好ましくは金属を基材とする触媒床、より好ましくは炭素上のPd又はNiを含有することが好ましい、約200℃〜約500℃の温度、更により好ましくは約250℃〜約500℃の温度に維持された、反応器中に導入することを含む。
【0021】
一定の態様においては、本発明の譲受人に譲渡されかつ参照により本明細書中援用される米国特許第6,548,719号の教示にしたがって行われる曝露工程を利用することが可能であり得る。また、一定の態様においては、同様に参照により本明細書中に援用される米国特許第5,986,151号に記載させるような手順にしたがって、適切な触媒による高温での気相脱ハロゲン化水素化を行うことができる。
【0022】
曝露工程は、好ましくは、テトラフルオロプロペン、特に2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含む反応生成物流れを生成する。好ましい態様において、脱ハロゲン化水素化反応における式(III)の化合物の転化率は、約70%〜約100%であり、式(IV)、特にHFO−1234yfについて反応の選択率は、約70〜約95%、より好ましくは約80〜約95%である。
【0023】
場合により、しかし好ましくは、曝露工程(b)からの反応生成物を、好ましくは蒸留を含む一又はそれより多い分離工程に供して、比較的高い濃度の式(IV)の化合物、より好ましくは式(IV)の化合物、更により好ましくはHFO−1234yfを有する生成物を生成する。一定の好ましい態様において、式(IV)の化合物の濃度(担体流体又は他の不活性成分を除く)は、重量基準で少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%である。
【実施例】
【0024】
実施例1−CCl=CClCHClのHFとの液相接触反応によるCFCHFCHF(245eb)の合成
350グラムのHF及び50グラムのCCl=CClCHClを1リットルのテフロン(登録商標)ライニングされたモネルオートクレーブ中に充填した。反応混合物を100℃で撹拌し、温度が100℃に到達したら、75グラムのSbClを反応混合物中に添加した。混合物を625psigの圧力下で12時間撹拌する。反応後に、反応器を室温まで冷やしてから、300mlの水を45分の時間をかけてゆっくりとオートクレーブ中に添加した。撹拌しながら水を完全に添加した後、反応器を室温まで冷やしてから、オーバーヘッドガスを別の収集シリンダーに移した。約100%のCCl=CClCHCl転化率レベルで、CFCHFCHFの収率は53%であった。他の重要な副生物は、CFCHFCHCl、CFCHClCHF、CFCHClCHCl、CFCCl=CH、CFCFClCH、及び未同定の異性体であった。所望な生成物であるCFCHFCHFを99%の純度で蒸留により単離した。
【0025】
実施例2−CCl=CClCHClのHFとの液相接触反応によるCFCHFCHF(245eb)の合成
350グラムのHF、50グラムのCCl=CClCHCl、及び75グラムのSbClを1リットルのテフロン(登録商標)ライニングされたモネルオートクレーブ中に充填した。反応混合物を743psigの圧力下で、12時間、125℃で撹拌した。反応後に、反応器を室温まで冷やしてから、300mlの水を45分の時間をかけてゆっくりとオートクレーブ中に添加した。撹拌しながら水を完全に添加した後、反応器を室温まで冷やしてから、オーバーヘッドガスを別の収集シリンダーに移した。約100%のCCl=CClCHCl転化率レベルで、CFCHFCHFの収率は57%であった。他の重要な副生物は、CFCHFCHCl、CFCHClCHCl、CFCHClCHF、CFCCl=CH、CFCFClCH、及びタールであった。所望な生成物であるCFCHFCHFを99%の純度で蒸留により単離した。
【0026】
実施例3−CCl=CClCHClのHFとの液相接触反応によるCFCHFCHF(245eb)の合成
350グラムのHF、50グラムのCCl=CClCHCl、及び75グラムのSbClを1リットルのオートクレーブ中に充填した。反応混合物を910psigの圧力下で、8時間、150℃で撹拌した。反応後に、反応器を室温まで冷やしてから、300mlの水を45分の時間をかけてゆっくりとオートクレーブ中に添加した。撹拌しながら水を完全に添加した後、反応器を室温まで冷やしてから、オーバーヘッドガスを別の収集シリンダーに移した。約100%のCCl=CClCHCl転化率レベルで、CFCHFCHFの収率は59%であった。他の重要な副生物は、殆ど、ポリマーとタールであった。
【0027】
実施例4−CFCHFCHFの気相反応によるCFCF=CH(HFO−1234yf)の合成
1.32kg(9.85モル)のCFCHFCHF(99%純粋)を、18−クラウンエーテルの存在下又は不存在下で、25%KHO溶液2.5リットル(10.1モル)と50℃で撹拌する。理論に括るものではないが、反応は以下に示すように進行すると考えられる:
CFCHFCHF+KOH→CFCF=CH+KF+H
洗浄し洩れ試験をした2ガロンのオートクレーブを排気してから、上述のような2.5リットルのKOH水溶液を充填した。KOH溶液をチラーにより0℃まで冷やした。を用いてオートクレーブを再び排気してから、1.32kgのCFCFHCFHを充填した。密封した反応器を撹拌しながら徐々に55℃まで加熱し、次いで、温度を55℃に設定して加熱した。約45分の反応時間後に、温度は発熱反応により70℃まで上がった(圧力は165psigであった)。0℃の冷却用液体を適用して、温度を57℃まで下げた。次いで、反応を55℃で20時間継続した。反応混合物を30℃まで冷やし、気体生成物をドライアイス−アセトン温度のシリンダー中に移した。GC純度98.6%の1.1kgのCFCF=CHが収集された。
【0028】
実施例5−CFCHFCHF、CFCHFCHCl、及びCFCHClCHFの気相反応によるCFCF=CH(HFO−1234yf)の合成
気相脱ハロゲン化水素化反応において、50sccmのCFCHFCHFを、20sccmのHFの存在下でモネル反応器の内部に保持したCr、又はNi−メッシュ、又は活性炭、又はPd/C、又はNi/Cから構成される100ccの触媒床上に250〜400℃にて通過させて、CFCF=CHを合成し、最終的にドライアイストラップ中にトラップした。異なる触媒を用いた結果を表1に示す。
【0029】
典型的な反応において、1/2インチの内径をもつ22インチの長さのモネル反応器に100ccの触媒を充填した。反応の間、20sccmのNの流れを常に保持した。次いで、反応器温度を徐々に所望の反応温度まで上昇させた。HFC−245ebをガスフローコントローラーを通してプレヒーターに通過させた。プレヒーターの温度は300℃に保持した。プレヒーターから出る気体流れを所望の温度で指定した時間をかけて触媒床に通過させた。オンラインGC及びGCMSを使用して、反応器出口ラインから規則的な時間間隔で採取した試料を分析した。最後に、反応器出口流れを室温の20%KOHスクラバー中に流して、反応の間にその場で形成された酸であるHFを排除した。次いで、スクラバー溶液から出る出口ガス混合物をドライアイストラップ中において濃縮して生成物を集めた。次いで、所望の生成物であるCFCF=CH(1234yf)を蒸留により混合物から単離した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−ハロ−3,3,3−フルオロプロペンの合成のための方法であって、
(a)式(I)
(I)
の化合物を式(II)
CXCX=CX (II)
の化合物と反応させて、式(III)
CFCHXCH (III)
の化合物を含む反応生成物を生成し、そして、
(b)前記式(III)の化合物を式(IV)
CFCZ=CH (IV)
の化合物へと転化するのに有効な反応条件に前記式(III)の化合物を曝露することを含み、
式中、式(I)のX及びXが両方とも水素ではないことを条件として、X、X、及びXは、水素、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素からなる群から、各々、独立して選択され、そしてZは、Cl、I、Br、又はFである、前記方法。
【請求項2】
式(I)がHFを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(II)が式(IIA)
CHCX=CX (IIA)
の化合物を含み、前記反応工程(a)が、式(IIIB)
CFCHFCH (IIIB)
の化合物を含む反応生成物を生成し、
式中、ZはCl又はFである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記(II)の化合物がCHClCCl=CClである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
式(IIIB)の化合物がCFCHFCHClである、請求項3記載の方法。
【請求項6】
式(IIIB)の化合物がCFCHFCHFである、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記式(IV)の化合物がCFCF=CHである、請求項1、5、及び6記載の方法。
【請求項8】
前記反応工程(a)が、触媒の存在下、約0℃〜約250℃の温度、約500〜約1000psigの圧力で、前記HFを前記式(IIA)の化合物と反応させることを含む触媒作用による液相反応である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記曝露工程(b)が、式(III)の化合物を水酸化カリウム溶液と接触させること、場合によりクラウンエーテルと接触させることを伴う液相反応である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記曝露工程(b)が、式(III)の化合物を、金属を基材とする触媒と接触させることを伴う気相反応である、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2011−500695(P2011−500695A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530051(P2010−530051)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/079759
【国際公開番号】WO2009/052064
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】