説明

フッ素化両性界面活性剤

界面活性剤としておよび消火用調合物中で使用するために適した、
【化1】


という構造式(I)の化合物において、
aは、2個の炭素原子に各々結合された1〜6個のカテナリー酸素原子によって中断されている線状または分岐F(CF2n(CH2CF2)m−、または線状または分岐F(CF2oであり、
mは1〜4、nが2〜6、oが2〜7であり、
AはOまたは(CH2k−COOであり、
1は水素またはメチルであり、
2およびR3は各々独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
p、qおよびkは各々独立して、1〜10の整数である、
化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのフッ化ビニリデンまたは酸素部分を含む両性フッ素化スルホン酸塩化合物に関する。フッ素化スルホン酸塩は両性界面活性剤として有用であり、消火の利用分野に特に適している。
【背景技術】
【0002】
フッ素化スルホン酸塩は、さまざまな利用分野において界面活性剤として有用である。市販のフッ素化界面活性剤は通常、ペルフルオロアルキル末端鎖を含む。Hondaらは、「Molecular Aggregation Structure and Surface Properties of Poly(fluoroalkylacrylate) Thin Films」、Macromolecules(2005)、38(13)、5699−5705中で、ペルフルオロアルキル鎖を平行な配向に維持するには、少なくとも8個の炭素のペルフルオロアルキル鎖が必要であることを開示している。連続する過フッ素化炭素を7個以下しか含まないこのようなペルフルオロアルキル鎖については、再配向が発生し、それが所望の表面特性を示す能力を低減させるかあるいは排除する。こうして、所与の濃度でより高いフッ素含有量を有するより長いペルフルオロアルキル鎖が、通常、より優れた性能を提供する。しかしながら、より長いペルフルオロアルキル鎖から誘導されたフッ素化材料は、より高価である。したがって、同じかまたはそれ以上の性能を提供すると共にフッ素含有量を削減することが望ましい。
【0003】
米国特許第6,201,122号明細書は、フルオロ脂肪族ラジカル基が3〜20個の炭素を含みかつ好ましくはCnF2n+1である(なおnは4〜10である)フルオロ脂肪族ラジカル含有スルホンアミドアニオン化合物を開示している。化合物は、液体系中においてアニオン界面活性剤として有用である。しかしながら、アニオン界面活性剤は、消火の利用分野および油田の利用分野において一般に使用される調合物から沈殿するものとして公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より低コストで同等かまたは改善された表面性能を達成するために、部分的にフッ素化されたまたはより短かい完全にフッ素化された末端基を含む、あるいは他の原子または部分で中断されたペルフルオロアルキル鎖を含む界面活性剤を得ることが所望される。同様に、最終用途の調合物から沈殿しない界面活性剤を得ることも所望される。本発明はそのような界面活性剤を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
【0006】
【化1】

【0007】
という式(I)の化合物であって、
aは、2個の炭素原子に各々結合された1〜6個のカテナリー酸素原子によって中断されている線状または分岐F(CF2n(CH2CF2m−、または線状または分岐F(CF2oであり、
mは1〜4、nが2〜6、oが2〜7であり、
AはOまたは(CH2k−COOであり、
1は水素またはメチルであり、
2およびR3は各々独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
p、qおよびkは各々独立して、1〜10の整数である、
化合物を含む。
【0008】
本発明はさらに、以上で定義した式(I)の化合物を各々含む消火剤、発泡剤および消火泡濃縮物を含む。
【0009】
本発明は、消火方法において、以上で定義した式(I)の化合物を含む組成物と火を接触させるステップを含む方法をさらに含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、商標は大文字で示されている。
【0011】
本発明は、水性媒質の表面張力を削減し、界面活性剤としておよび消火用組成物において有用である化合物を含んでいる。化合物は、低濃度で水性媒質の表面張力を低下させるのに有効であり、両性特性を有する。
【0012】
本発明は、
【0013】
【化2】

【0014】
という式(I)の化合物であって、
aは、2個の炭素原子に各々結合された1〜6個のカテナリー酸素原子によって中断されている線状または分岐F(CF2n(CH2CF2m−、または線状または分岐F(CF2oであり、
mは1〜4、nが2〜6、oが2〜7であり、
AはOまたは(CH2k−COOであり、
1は水素またはメチルであり、
2およびR3は各々独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
p、qおよびkは各々独立して、1〜10の整数である、
化合物を含む。
【0015】
式(I)の好ましい化合物は、RaがF(CF2n(CH2CF2m−であり、ここでnが2〜6であり、mが1〜2であり、より好ましくはnが6である化合物である。同様に好ましいのは、RaがF(CF2sO(CF2)t−であり、ここでsとtは、(s+t)が2〜7であることを条件として、各々1〜6であり、より好ましくは(s+t)が5〜7である式(I)の化合物である。
【0016】
式(I)の化合物は、
【0017】
【化3】

【0018】
という式(II)の中間体アミンから調製され、ここでRa、p、q、R1、R2およびR3は式(I)において上で定義されているものと同じである。式(II)の化合物は、アルファエチレン酸、脂肪族ラクトンまたはベータ−ハロ−カルボン酸と反応させられて、式(Ia)の化合物を生成する。例えば、式(II)中の中間体アミンは、約24時間約78℃の温度でクロロ酢酸ナトリウムと反応させられて、Aが(CH2k−C(O)Oである式(I)の化合物を生成する。あるいは、式(II)中の中間体アミンは酸化されて、AがOである式(I)の化合物を生成する。例えば、式(II)の中間体アミンは、約56時間約50℃の温度で過酸化水素と反応させられ、その後過酸化水素の2回目の添加が行なわれ、反応はさらに12時間約50℃に保持されて、AがOである式(I)の化合物を生成する。
【0019】
式(II)の中間体アミンは、アミン、好ましくはジアミノプロピルアミンを
a−(CH2p−SO2Cl (III)
という式(III)のフッ素化塩化スルホニルと反応させることによって合成され、ここで式中Raおよびpは式(I)において定義される通りである。例えば、式(III)の中間体塩化スルホニルは、約70℃の温度で約8〜12時間(一晩)ジアミノプロピルアミンと反応させられて、式(II)のアミンを生成する。
【0020】
式(III)のフッ素化塩化スルホニルは、
a−(CH2p−SCN (IV)
という式(IV)のフッ素化チオシアン酸塩(なお式中Raおよびpは式(I)に定義されている通りである)を塩素および酢酸と約45℃〜50℃で反応させることによって形成される。例えば、式(IV)の中間体チオイソシアン酸塩は、オートクレーブ内で約45〜50℃で10時間にわたり酢酸中で塩素と反応させられる。生成物は約70℃で撹拌しながら加熱され、熱水(70℃)が添加される。有機層は分離されて式(III)を提供する。
【0021】
式(IV)のフッ素化チオシアン酸塩は、
a−(CH2p−I (V)
という式(V)のヨウ化エチレンを水中90℃で塩化トリオクチルメチルアンモニウムの存在下でチオシアン酸カリウムと反応させることによって調製される。相分離の後、生成物は真空下での蒸留により精製される。
【0022】
式(V)のヨウ化エチレンは、
a−I (VI)
という式(VI)のフッ素化ヨウ化物(なお式中Raは式(I)において上で定義された通りである)を米国特許第3,979,469号明細書(Ciba−Geigy,1976)中に記載された手順によってエチレンと反応させることにより調製される。例えば、115gのRa−Iを、0.5gのCuCl、1.5gのAl23および1gのエタノールアミンと共にオートクレーブ処理する。−70℃まで冷却し、排気し、窒素を散布した後、加圧下で20gのエチレンを通過させる。その後オートクレーブを6時間150℃および25kp/cm2で6時間保ち、その後脱ガスして生成物を得る。
【0023】
F(CF2n(CH2CF2mIという式を有する式(VI)のフッ素化ヨウ化物は、フッ化ビニリデン(VDF)を線状または分岐ヨウ化ペルフルオロアルキルと短鎖重合させることにより生成される。例えば、Balagueら、「Synthesis of fluorinated telomers、Part1、Telomerization of vinylidene fluoride with perfluoroalkyl iodides」、J.Fluorine Chem.(1995)、70(2)、215−23を参照のこと。例えば、窒素ガスによりフラッシングした後にオートクレーブ内で、等モル比のテレゲン/VDFを用いて175℃〜230℃の温度で約15時間熱により反応を実施することができる。式(I)の化合物(なおここでRaはF(CF2n(CH2CF2m−である)を製造するのに必要とされるヨウ化物の好ましい例としてはF(CF26(CH2CF2)IおよびF(CF26(CH2CF22Iが含まれる。
【0024】
sおよびtが各々独立して1〜4であり(s+t)が2〜7であるF(CF2sO(CF2tIという式をもつ式(VI)のフッ素化ヨウ化物は、米国特許第5,481,028号明細書中に記載されている手順により製造できるヨウ化ペルフルオロアルキルエーテルから調製可能である。好ましいのは、ペルフルオロ−n−プロピルビニルエーテル(0.3M)を振とう管内で50℃で18時間BF3(0.15M)と反応させて生成物を生成し、これを次に単離および蒸留手順に付す実施例8中のプロセスである。式(I)の化合物(なお式中、RaはF(CF2sO(CF2t−である)を製造するのに必要とされるヨウ化物の好ましい例は、F(CF23O(CF22I、F(CF22O(CF24I、F(CF24O(CF22IおよびF(CF23O(CF24Iである。
【0025】
本発明の1つの好ましい実施形態において、界面活性剤は、
【0026】
【化4】

【0027】
という式を有する(I)の化合物であり、式中m、n、p、k、R1、R2、およびR3は、式(I)において上で定義されている通りである。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態において、界面活性剤は、
【0029】
【化5】

【0030】
という式を有する(I)の化合物であり、式中s、t、p、q、k、R1、R2およびR3は式(I)において上で定義された通りである。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態において、界面活性剤は、
【0032】
【化6】

【0033】
という式を有する(I)の化合物であり、式中m、n、p、k、R1、R2およびR3は式(I)において上で定義された通りである。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施形態において、界面活性剤は、
【0035】
【化7】

【0036】
という式を有する(I)の化合物であり、式中s、t、p、q、R1、R2およびR3は式(I)において上で定義された通りである。
【0037】
式(I)の化合物は優れた表面活性特性を有し、低濃度で水溶液の表面張力を有意に低減させる。用途には、塗膜形成、発泡、湿潤化、平滑化、分散および乳化剤としてが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の化合物は、消火剤における有用な活性成分である。
【0038】
式(I)の化合物は、界面活性剤として有用であり、低濃度で水性媒質に添加された場合に表面張力を低下させることができる。これらの化合物は、約0.5重量%未満、好ましくは約0.2重量%未満、そしてより好ましくは0.1重量%未満の媒質中界面活性剤濃度で、水性媒質の表面張力を1メートルあたり約25ミリニュートン未満、好ましくは1メートルあたり約20ミリニュートン未満の値まで低下させることができる。これらの界面活性剤は、界面活性剤の両親媒性により決定される、界面上の選択的吸着により低濃度で表面張力を低下させるその効率によって特徴づけされる。
【0039】
本発明はさらに、上述の通りの本発明の式(I)の化合物を含む消火剤を含んでいる。この消火剤は、典型的に、さらに水と溶媒を含む。好ましい溶媒はアルコール類またはグリコール類、例えばエタノールまたは1,2−プロピレングリコールである。消火剤は同様に、炭化水素界面活性剤をも含み得る。適切な炭化水素界面活性剤は、市販されている。例としては、Seppic、Paris La Defense、Franceより入手可能なSIMULSOL SL8;Zschimmer & Schwartz、Lahnstein、Germanyより入手可能なSULFETAL 4069;Roche、Basil、Switzerlandより入手可能なTRITON X100;およびZschimmer & Schwartz、Lahnstein、Germanyより入手可能なAMPHOTENSID GB2009がある。
【0040】
消火剤は、液体または泡の形態をしている。消火泡濃縮物は、可燃性液体火災、特に炭化水素および/または極性液体によりひき起こされた火災を消火する上で有用な組成物である。消火泡は、燃料の表面全体に水膜を生成し、引火源を火炎から分離して消火する。消火後、泡は同様に、引火性蒸気の放出を抑制して、引火性蒸気の逆火または再発火の危険性を低減させる。典型的には、使用時点で、泡濃縮物は、水、通常は都市用水または海水で、一般的に水中約6重量%の作用物質(agent)濃度で希釈される。消火に用いられる他の適切な濃度としては、1重量%および3重量%の溶液が含まれる。一般に、作用物質は水と共に撹拌され、適用に先立ち消火泡溶液が形成される。一つの撹拌様式は、消火剤と水溶液を消防ホースノズル内に通すことであり、このノズルにおいて機械的撹拌が空気の取込みを伴って行なわれ、こうして可燃性液体火災を消火するために使用される消火泡が発生する。泡溶液は、E.I du Pont de Nemours and Company、Wilmington、DEから市販されているFORAFAC 1268などの消火を助ける他の添加剤を含んでいてよい。
【0041】
本発明はさらに、消火方法において、上述の式(I)の化合物を含む組成物と火を接触させるステップを含む方法を含む。式(I)の化合物は典型的に、水、1つ以上の溶媒またはその混合物中の約1重量%〜約6重量%の濃度での式(I)の希釈物として火に適用される。化合物は、液体または泡として適用可能である。化合物は同様に、火との接触に先立ち上述の1つ以上の界面活性剤と混合され得る。式(I)の化合物は、従来の機械式消火器、従来のノズル付きホースまたは他の公知の手段を使用して、火と接触させられる。典型的には、化合物は、鎮火するまで連続的に適用される。
【0042】
本発明はいくつかの利点を提供する。式(I)の化合物は両性であり、優れた界面活性剤特性を有する。それは、本明細書中の実施例1〜10により実証される通り、溶液から沈殿することなく典型的消火用調合物中で安定している。式(I)の化合物は、液体または泡の形態で、消火剤として有用である。それは迅速に消火するのに有用であり、火災の再発火の抑制を補助する。式(I)の化合物は、フッ素化炭素が6個以下の短い末端ペルフルオロアルキル鎖を含み、こうして、同じかまたはより優れた界面活性剤特性および消火特性を提供しながら、より長いペルフルオロアルキル鎖を含む先行技術の化合物よりも安価である。
【0043】
試験方法および材料
本明細書中の実施例においては、以下の試験方法および材料(中間体)が使用された。中間体の組成および実施例を確認するために、プロトンおよび19F NMRならびにエレクトロスプレー質量分光を使用した。
【0044】
試験方法
試験方法1−表面張力測定
実施例の表面張力は、機器に付属の使用説明書にしたがって、Kruess Tensiometer,K11 Version2.501を介して測定された。Wilhelmy Plate法が使用された。公知の周囲の垂直プレートをはかりに取付け、湿潤化に起因する力を測定した。各希釈度について10個の複製を試験し、以下の機械設定値を使用した:Plate Method SFT、間隔1.0秒、湿潤化長さ40.2mm、読取り限界10、標準偏差2 dynbes/cm min、および9.80665m/s2Gr.Acc。より低い表面張力はより優れた性能を表わしていた。
【0045】
分析すべき最高の濃度のフルオロ界面活性剤例のための原液を調製した。溶液の濃度は、活性成分の百分率、重量百分率またはフッ素百分率によるものであった。この原液は、脱イオン水中で調製された。完全な混合を確実に行うために、原液を一晩撹拌した(およそ12時間)。Mii=Mff(なお式中、Miは原液の濃度であり、Mfは最終溶液の濃度であり、Vfは試料の最終体積であり、Viは最終試料を調合するために必要とされる原液の体積である)という等式にしたがって原液を希釈することにより、分析のための追加の濃度のフルオロ界面活性剤の例を作製した。濃度希釈試料を撤底的に振とうし、次に30分間、かく乱の無い状態に放置した。これらの試料を次に混合し、小型容器に注ぎ込んだ。上述の通り機器に付属の使用説明書にしたがって、Kruess Tensiometer,K11 Version2.501を用いて、表面張力を測定した。より低い表面張力は、より優れた性能を表わしていた。
【0046】
試験方法2−シクロヘキサン中のペトリ皿展延
シクロヘキサン(70mL)をペトリ皿(黒色塗装)に添加した。2つの調合物を調製するために、以下の発明の実施例(100μL)を使用した。調合物1は、50mLの水道水中の、0.1098gの式(I)のフッ素化界面活性剤、100%の活性成分に基づいて0.2927gのSULFETAL4069炭化水素界面活性剤(Zschimmer & Schwarz、Lahnstein、Germany)およびDOWANOL(Dow Chemical、Midland、MI)で構成されていた。調合物2は、50mLの水道水中の、0.1154gの式(I)のフッ素化界面活性剤、100%の活性成分に基づいて0.3077gのAMPHOTENSID GB2009炭化水素界面活性剤(Zschimmer & Schwarz、Lahnstein、Germany)および0.5385gのDOWANOL(Dow Chemical、Midland、MI)で構成されていた。各調合物をマイクロピペットを用いて溶液として皿の中心に添加し時計回り方向に旋回させ外向きに力を作用させた。溶液の最初の液滴の被着から完全な被覆が観察されるまでの時間を記録した。1分後にストップウォッチを停止させ、完全な被覆が達成されなかった場合、被覆百分率を書き留めた。被覆百分率が高くなればなるほど、性能は優れていた。同じ被覆百分率では、時間が短くなればなるほど、性能は優れていた。
【0047】
試験方法3−消火および再発火時間試験
以下の手順にしたがって、消火時間を測定した。引火性溶媒、つまりヘプタンまたはイソプロパノール(150mL)を、内径115mmの円形金属コンテナ内に注ぎ込んだ。試験対象の組成物を水道水中で6重量パーセントまで希釈することで、水溶液を調製した。この水溶液は、消火のために使用された発泡性溶液であった。モーターとパドル付き金属ロッドで構成された回転式撹拌器を用いて、0〜2800rpmの調整可能な速度で水溶液を生成された泡となるまで撹拌した。底面にある入口オリフィスと上面にある出口オリフィスを備えた円筒形コンテナの底面に、パドルを設置した。計量ポンプが入口オリフィスを介して円筒形コンテナの底面に水溶液を移送し、回転パドルと接触した時点で泡が生成された。泡は、形成されるにつれて、出口オリフィスを介して放出された。ポンプの処理量およびロッドの回転速度は、毎分約40gに等しい定常泡処理量で泡が連続的に生産されるような形で調整された。泡処理量が安定化した時点で、引火性溶媒を発火させた。引火性溶媒を90秒間燃焼させた後、周囲上にある単一の点を介して金属容器内に泡を注ぎ込んだ。引火性溶媒が完全に消火された時点で、消火時間を記録した。最高の性能を有する水溶液は、消火時間が可能なかぎり短い水溶液であった。
【0048】
以下の手順にしたがって、再発火時間試験を測定した。試験すべき組成物を、水道水で6重量%まで希釈したが、一部の場合においてこれには、E.I.du Pont de Nemours、and Company、(Wilmington、DE)から市販されているフッ素化界面活性剤FORAFAC1268が含まれていた。試験は、消火時間が120秒未満であった組成物についてのみ実施された。再発火時間試験のためには、初期消火時間試験において消火した後、溶媒全体にわたり泡を注いだ。泡を120秒間注いだ。泡の注ぎ込みが完了してから60秒後に、直径55mm高さ40mmの直径を有し引火性溶媒、つまりヘプタンまたはイソプロパノールが20mmの高さまで充填された金属コンテナである再発火容器の中味を発火させた。その後、再発火容器を、前記コンテナ内に存在する溶媒の表面を泡で覆った状態に維持したまま、消火試験において記述した金属コンテナの中央に置いた。当初表面を覆っていた泡の25%が破壊された時点で、再発火時間を記録した。再発火時間が長くなればなるほど、火炎の回復を防止する泡の能力は優れている。
【0049】
材料
中間体1
窒素下で圧力容器にC37OCF2CF2I(100g、0.24mol)および過酸化ベンゾイル(3g)を投入した。一連の3つの真空/窒素ガスシーケンスを次に−50℃で実施し、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。容器を24時間110℃で加熱した。オートクレーブを0℃まで冷却し、脱ガス後に開放した。その後、瓶内に生成物を収集した。生成物を蒸留し、その結果80gのC37OCF2CF2CH2CH2Iを80%収量で得た。沸点は、25mmHg(3333Pa)で56〜60℃であった。
【0050】
水中50gのC37OCF2CF2CH2CH2I(50g、0.11mol)と塩化トリオクチルメチルアンモニウム(0.2222g)の混合物に対してカリウムチオシネート(thiocynate)(21.34g、0.22mol)を添加した。反応を90℃で一晩加熱した。相分離の後、生成物C37OCF2CF2CH2CH2SCNを無色の液体(32g、78%)として蒸留した。
【0051】
塩素ガス(132g、1.86mol)と水(47g、2.6mol)をオートクレーブ内で45〜50℃で10時間にわたり、C37OCF2CF2CH2CH2SCN(231g、0.62mol)と酢酸(130g、2.17mol)の混合物中に補給した。45℃で3時間にわたりさらに10gの塩素を添加し、この温度で1時間加熱した。生成物を撹拌棒付きのフラスコ内で70℃で加熱し、149mLの熱水(70℃)を加えた。有機層を分離し、その後トルエン(125g)を添加した。トルエン中の生成物を70℃で3.5%の塩水溶液(149mL)で2回洗浄した。2回目の洗浄の後、ディーン・スタークストラップをセットして水を除去した。最終生成物は、トルエン中70重量%のC37OCF2CF2CH2CH2SO2Cl(228g、90%)であった。
【0052】
45℃で、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)の混合物に対しC37OCF2CF2CH2CH2SO2Cl(100g、0.242mol、トルエン中66.8%)を滴下にて添加した。添加後、反応を一晩75℃で加熱した。反応質量を濾過し、60℃のトルエンでウェットケークを洗浄した。トルエンを除去した後、濃縮有機生成物を95℃の脱イオン水200mLで洗浄した。生成物中間体1、C37OCF2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(101g、87.2%)を、減圧下で水を除去した後、コハク色の固体として得た。
【0053】
中間体2
49CH2CF2I(217g、0.87mol)およびd−(+)−リモーネン(1g)を投入したオートクレーブに対してエチレン(25g、0.53mol)を導入し、その後、反応器を12時間240℃で加熱した。19〜24mmHgで81〜91℃の真空蒸留を介して生成物C49CH2CF2CH2CH2Iを62%の収量で得た。水中50gのC49CH2CF2CH2CH2I(50g、0.11mol)と塩化トリオクチルメチルアンモニウム(0.2222g)の混合物に対してカリウムチオシネート(thiocynate)(21.34g、0.22mol)を添加した。反応を90℃で一晩加熱した。相分離の後、生成物C49CH2CF2CH2CH2SCNを無色の液体(38g、95%)として蒸留した。
【0054】
塩素ガス(118g、1.66mol)と水(40g、2.22mol)をオートクレーブ内で45〜50℃で10時間にわたり、C49CH2CF2CH2CH2SCN(205g、0.56mol)と酢酸(109g、1.82mol)の混合物中に補給した。生成物を撹拌棒付きのフラスコ内で70℃で加熱し、熱水(70℃)を加えた。有機層を分離し、その後トルエン(216.25g)を添加した。トルエン中の生成物を70℃で3.5%の塩水溶液で2回洗浄した。2回目の洗浄の後、ディーン・スタークストラップをセットして水を除去した。最終生成物は、トルエン中70重量%のC49CH2CF2CH2CH2SO2Cl(228g、39%)であった。
【0055】
45℃でジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)の混合物に対しC49CH2CF2CH2CH2SO2Cl(100g、0.23mol、トルエン中70.3%)を滴下にて添加した。添加後、反応を一晩75℃まで加熱した。反応質量を濾過し、60℃のトルエンでウェットケークを洗浄した。トルエンを除去した後、濃縮有機生成物を95℃の脱イオン水200mLで洗浄した。生成物中間体2、C49CH2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(106g、96.8%)を、減圧下で水を除去した後、茶色の固体として得た。
【0056】
中間体3
Hastalloy C振とう管反応器にC49(CH2CF22I(327g、0.69mol)を投入し、一連の3回の真空/N2ガスシーケンスを行なった。エチレン(35g、2.57mol)を導入し、容器を3時間240℃まで加熱し、250psigの圧力を維持した。2回の組合せランの真空蒸留により、16〜20mmHgで111〜120℃の沸点を有する生成物C49(CH2CF22CH2CH2Iを572g(83%)得た。
【0057】
フラスコに、窒素下でC49(CH2CF22CH2CH2I(500g、0.996mol)、チオシアン酸カリウム(194g、1.99mol)および塩化トリオクチルメチルアンモニウム(ALIQUAT336)(4.02g、0.00995mol)を投入した。脱イオン水(500g、27.8mol)を添加し、反応混合物を18時間90℃まで加熱した。ガラス分液漏斗内で有機層を分離し、高温(70℃)の脱イオン水で洗浄した。生成物を高真空システム上で蒸留し、結果として407g(94.3%)のC49(CH2CF22CH2CH2SCN.;bp129〜133℃/1.0mmHgを得た。
【0058】
オートクレーブに窒素下でC49(CH2CF22CH2CH2SCN(269g、0.62mol)と酢酸(130g、2.17mol)を投入し、45〜50℃まで加熱した。推定速度で10時間塩素ガス(132g、1.86mol)を補給し、脱イオン水(47g、2.60mol)を8時間推定速度で補給した。補給後、反応を45〜50℃で1時間撹拌放置した。2回目の塩素ガス添加分(25g、0.352mol)を、45〜50℃で2.5時間にわたり補給し、1時間撹拌放置した。粗製生成物を70℃で加熱し、脱イオン水(149g、8.28mol)で洗浄した。有機層をガラス分液漏斗内で分離し、トルエン(125g、1.36mol)に添加し、その後、塩化ナトリウムの3.5%溶液(149g)で2回洗浄した。ディーンスタークトラップを用いて余剰の溶媒を除去し、生成物のトルエン中の活性成分を70.2%にセットし、結果として359g(85.6%)のC49(CH2CF22CH2CH2SO2Clを得た。
【0059】
ジメチルアミノプロピルアミン(41g、0.401mol)およびトルエン(62.6g、0.679mol)を、還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入した。混合物を45℃まで加熱し、その後C49(CH2CF22CH2CH2SO2Cl(100g、0.211mol)を滴下にて添加し、結果として発熱がもたらされた。反応混合物を24時間75℃まで加熱し、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、ウェットケークを加熱(60℃)したトルエン(89.5g、0.971mol)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、有機生成物を加熱(95℃)した脱イオン水(200g、11.1mol)で洗浄し、ガラス分液漏斗内で分離し、塩化ナトリウムの4%溶液(200g)で再度洗浄した。減圧下で、残留溶媒を全て蒸発させて、100g(87.7%)の中間体3、C49(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32;mp52〜58℃を得た。
【0060】
中間体4
Hastalloy C rocker bomb反応器にC613CH2CF2I(760g、1.49mol)を投入した。その後、一連の3回の真空/N2ガスシーケンスを実施し、エチレンの初期投入分(5g、0.179mol)を導入した。容器を240℃まで加熱し、エチレン(72g、2.57mol)を導入して、自己圧力を維持した。反応混合物を12時間240℃に保持した。こうして、mp(融点)65〜68℃の生成物、C613CH2CF2CH2CH2Iを789.1g(98.5%)得た。
【0061】
フラスコに、窒素下でC613CH2CF2CH2CH2I(500g、0.929mol)、チオシアン酸カリウム(180.6g、1.86mol)および塩化トリオクチルメチルアンモニウム(ALIQUAT336)(3.75g、0.00929mol)を投入した。脱イオン水(500g、27.8mol)を添加し、反応混合物を18時間90℃まで加熱した。ガラス分液漏斗内で有機層を分離し、高温(70℃)の脱イオン水で洗浄した。生成物を高真空システム上で蒸留し、結果として386g(88.6%)のC613CH2CF2CH2CH2SCN;bp104〜106℃/0.75〜0.50mmHg、mp35〜39℃を得た。
【0062】
オートクレーブに窒素下でC613CH2CF2CH2CH2SCN(291g、0.62mol)と酢酸(130g、2.17mol)の混合物を投入し、45〜50℃まで加熱した。推定速度で10時間塩素ガス(132g、1.86mol)を補給し、脱イオン水(47g、2.60mol)を8時間推定速度で補給した。補給後、反応を45〜50℃で1時間撹拌放置した。2回目の塩素ガス添加分(25g、0.352mol)を、45〜50℃で110分間にわたり補給し、1時間撹拌放置した。粗製生成物を70℃で加熱し、脱イオン水(149g、8.28mol)で洗浄した。有機層をガラス分液漏斗内で分離し、トルエン(125g、1.36mol)に添加し、その後2回、塩化ナトリウムの3.5%溶液(149g)で2回洗浄した。ディーンスタークトラップを用いて余剰の溶媒を除去し、生成物のトルエン中の活性成分を68.0%にセットし、結果として421g(90.4%)のC613CH2CF2CH2CH2SO2Clを得た。
【0063】
ジメチルアミノプロピルアミン(76.1g、0.754mol)およびトルエン(116.3g、1.262mol)を、還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入した。混合物を35℃まで加熱し、その後C613CH2CF2CH2CH2SO2Cl(200g、0.392mol)を滴下にて添加し、結果として発熱がもたらされた。反応混合物を24時間75℃まで加熱し、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、ウェットケークを加熱した(60℃)トルエン(166.1g、1.803mol)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、有機生成物を加熱した(95℃)脱イオン水(400g、22.2mol)で洗浄し、ガラス分液漏斗内で分離し、塩化ナトリウムの4%溶液(400g)で再度洗浄した。減圧下で、残留溶媒を全て蒸発させて、217g(96.2%)の中間体4、C613CH2CF2CH2CH2SON(H)−CH2CH2CH2N(CH32;mp82〜85℃を得た。
【0064】
中間体5
Hastalloy C rocker bomb反応器にC613(CH2CF22I(580g、1.01mol)を投入した。その後、一連の3回の真空/N2ガスシーケンスを実施し、エチレンの初期投入分(5g、0.179mol)を導入した。容器を240℃まで加熱し、エチレン(46g、1.64mol)を導入して、自己圧力を維持した。反応混合物を240℃で12時間保持した。その結果として、mp(融点)68〜72℃のC613(CH2CF22CH2CH2Iを591.7g(97.3%)得た。
【0065】
フラスコに、窒素下でC613(CH2CF22CH2CH2I(500g、0.831mol)、チオシアン酸カリウム(161.3g、1.66mol)および塩化トリオクチルメチルアンモニウム(ALIQUAT336)(3.36g、0.00831mol)を投入した。脱イオン水(500g、27.8mol)を添加し、反応混合物を18時間90℃まで加熱した。ガラス分液漏斗内で有機層を分離し、高温(70℃)の脱イオン水で洗浄した。生成物を高真空システム上で蒸留し、結果として381.6g(86.1%)のC613(CH2CF22CH2CH2SCN;bp115〜130℃/0.75〜0.30mmHg、mp43〜47℃を得た。
【0066】
オートクレーブに窒素下でC613(CH2CF22CH2CH2−SCN(331g、0.62mol)と酢酸(130g、2.17mol)の混合物を投入し、45〜50℃まで加熱した。推定速度で10時間塩素ガス(132g、1.86mol)を補給し、脱イオン水(47g、2.60mol)を8時間推定速度で補給した。補給後、反応を45〜50℃で1時間撹拌放置した。2回目の塩素ガス添加分(25g、0.352mol)を、45〜50℃で110分間にわたり補給し、1時間撹拌放置した。粗製生成物を70℃で加熱し、脱イオン水(149g、8.28mol)で洗浄した。有機層をガラス分液漏斗内で分離し、トルエン(125g、1.36mol)に添加し、その後2回、塩化ナトリウムの3.5%溶液(149g)で2回洗浄した。ディーンスタークトラップを用いて余剰の溶媒を除去し、生成物のトルエン中の活性成分を75.5%にセットし、結果として419g(88.9%)のC613(CH2CF22CH2CH2SO2Clを得た。
【0067】
ジメチルアミノプロピルアミン(67.6g、0.661mol)およびトルエン(103.3g、1.121mol)を、還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入した。混合物を35℃まで加熱し、その後C613(CH2CF22CH2CH2SO2Cl(200g、0.348mol)を滴下にて添加し、結果として発熱がもたらされた。反応混合物を24時間75℃まで加熱し、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、ウェットケークを加熱した(60℃)トルエン(147.5g、1.601mol)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、有機生成物を加熱した(95℃)脱イオン水(400g、22.2mol)で洗浄し、ガラス分液漏斗内で分離し、塩化ナトリウムの4%溶液(400g)で再度洗浄した。減圧下で、残留溶媒を全て蒸発させて、212g(95.2%)の中間体5、C613(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32;mp72〜76 ℃を得た。
【実施例】
【0068】
実施例1
中間体1、C37OCF2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(7g、0.0146mol)を、エタノール(5.4g)、脱イオン水(0.193g、0.0107mol)、クロロ酢酸ナトリウム(1.74g、0.0149mol)およびセライト(2.75g)の混合物に添加した。反応を一晩還流させ、濾過した。エタノールと水を用いて、活性成分が27%になるまで、濾液C37OCF2CF2CH2CH2SO2−N(H)CH2CH2CH2N(CH32+CH2C(O)O-を希釈した。試験方法1および2を用いて、生成物を試験した。結果は、表1および2に列挙されている。
【0069】
実施例2
中間体1、C37OCF2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(20g、0.0418mol)およびエタノール(16.7g、0.320mol)の混合物を還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入し、50℃まで加熱した。過酸化水素(1.75g、0.514mol)を滴下にて添加し、56時間50℃に保持した。過酸化水素の2回目の添加量(1.75g、0.514mol)を反応に添加し、さらに12時間50℃に保持した酸化マンガン(IV)(0.004g、0.0000460mol)を漸進的に添加し、さらに16時間50℃に保持した。その後反応混合物を、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、余剰の溶媒を蒸発させた。これにより、11.8g(51.0%)のC37OCF2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2+(CH32-が生成され、これをエタノール(8.9g、0.193mol)と脱イオン水(8.9g、0.494mol)で希釈して活性成分が40%の濃縮溶液を得た。生成物を、試験方法1および2を用いて試験した。結果は表1および2に列挙されている。
【0070】
実施例3
中間体2、C49CH2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(7g、0.0147mol)を、エタノール(5.4g)、脱イオン水(0.193g、0.0107mol)、クロロ酢酸ナトリウム(1.74g、0.0149mol)およびセライト(2.75g)の混合物に添加した。反応を一晩還流させ、濾過した。エタノールと水を用いて、活性成分が27%になるまで、濾液C49CH2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32+CH2C(O)O-を希釈した。試験方法1および2を用いて、生成物を試験した。結果は、表1および2に列挙されている。
【0071】
実施例4
還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに、中間体3、C49(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(20g、0.0370mol)、エタノール(13.6g、0.296mol)、脱イオン水(0.5g、0.0270mol)およびクロロ酢酸ナトリウム(4.4g、0.0377mol)を投入した。反応混合物を24時間、78℃まで加熱し、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、ウェットケークを加熱した(75℃)エタノール(150g、3.26mol)で洗浄した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させて、9g(40.7%)の生成物、C49(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)CH2CH2CH2N(CH32+CH2C(O)O-を得た。最終生成物をエタノール(11.7g、0.254mol)と脱イオン水(12.7g、0.704mol)で希釈して活性成分が27%の濃縮溶液を得た。試験方法1および2を用いて生成物を試験した。結果は表1および2に列挙されている。
【0072】
実施例5
還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに、中間体4、C613CH2CF2CH2CH2SON(H)−CH2CH2CH2N(CH32(50g、0.0868mol)、エタノール(31.9g、0.694mol)、脱イオン水(1.1g、0.0634mol)およびクロロ酢酸ナトリウム(10.3g、0.0885mol)を投入した。反応混合物を24時間、78℃まで加熱し、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、ウェットケークを加熱した(75℃)エタノール(150g、3.26mol)で洗浄した。溶媒を蒸発させて、56g(99.0%)のC613CH2CF2CH2CH2SON(H)−CH2CH2CH2N(CH32+CH2C(O)O-を得た。試験方法1、2および3を用いて生成物を試験した。結果は表1、2および3に列挙されている。
【0073】
実施例6
還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに、中間体5、C613(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(60g、0.0937mol)、エタノール(34.5g、0.750mol)、脱イオン水(1.2g、0.0684mol)およびクロロ酢酸ナトリウム(11.1g、0.0956mol)を投入した。反応混合物を24時間、78℃まで加熱し、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、ウェットケークを加熱(75℃)したエタノール(150g、3.26mol)で洗浄した。溶媒を蒸発させて、62g(94.8%)のC613(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32+CH2C(O)O-を得た。試験方法1、2および3を用いて生成物を試験した。結果は表1、2および3に列挙されている。
【0074】
実施例7
中間体2、C49CH2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(20g、0.0420mol)およびエタノール(16.7g、0.363mol)の混合物を還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入し、50℃まで加熱した。過酸化水素(4.4g、0.129mol)を滴下にて添加し、17時間50℃に保持した。酸化マンガン(IV)(0.0102g、0.000118mol)を漸進的に添加し、さらに16時間50℃に保持した。その後反応混合物を、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、余剰の溶媒を減圧下で蒸発させた。これにより、14.3g(69.0%)のC49CH2CF2CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2+(CH32-が生成され、これを次にエタノール(10.7g、0.233mol)と脱イオン水(10.7g、0.594mol)で希釈して活性成分が40%の濃縮溶液を得た。生成物を、試験方法1および2を用いて試験した。結果は表1および2に列挙されている。
【0075】
実施例8
中間体3、C49(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(20g、0.0370mol)およびエタノール(14.7g、0.320mol)の混合物を還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入し、50℃まで加熱した。過酸化水素(3.9g、0.114mol)を滴下にて添加し、24時間50℃に保持した。酸化マンガン(IV)(0.009g、0.000104mol)を漸進的に添加し、さらに16時間50℃に保持した。その後反応混合物を、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、余剰の溶媒を蒸発させた。これにより、15.2g(74.1%)のC49(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2+(CH32-が生成され、これをエタノール(11.4g、0.248mol)と脱イオン水(11.4g、0.633mol)で希釈して活性成分が40%の濃縮溶液を得た。生成物を、試験方法1および2を用いて試験した。結果は表1および2に列挙されている。
【0076】
実施例9
中間体4、C613CH2CF2CH2CH2CH2SON(H)−CH2CH2CH2N(CH32(50g、0.0868mol)およびエタノール(34.5g、0.751mol)の混合物を還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入し、50℃まで加熱した。過酸化水素(9.1g、0.267mol)を滴下にて添加し、24時間50℃に保持した。酸化マンガン(IV)(0.0211g、0.000243mol)を漸進的に添加し、さらに3時間50℃に保持した。その後反応混合物を、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、余剰の溶媒を蒸発させた。これにより、31.7g(61.6%)のC613CH2CF2CH2CH2SON(H)−CH2CH2CH2N+(CH32-が生成された。生成物を、試験方法1および2を用いて試験した。結果は表1および2に列挙されている。
【0077】
実施例10
中間体5、C613(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32(60g、0.0937mol)およびエタノール(37.3g、0.811mol)の混合物を還流凝縮器、窒素入口、付加漏斗、磁気撹拌器および温度プローブが備わった三つ口丸底フラスコに投入し、50℃まで加熱した。過酸化水素(9.8g、0.289mol)を滴下にて添加し、24時間50℃に保持した。酸化マンガン(IV)(0.023g、0.000262mol)を漸進的に添加し、さらに3時間50℃に保持した。その後反応混合物を、わずかな真空を用いてフリットガラスフィルターを通して濾過し、余剰の溶媒を蒸発させた。これにより、58g(94.3%)のC613(CH2CF22CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2+(CH32-が生成された。生成物を、試験方法1および2を用いて試験した。結果は表1および2に列挙されている。
【0078】
比較例A
中間体1の手順を反復したが、ここではフッ素化ヨウ化物として式F(CF2nCH2CH2Iのヨウ化ペルフルオロアルキルエチル(式中nは6〜8の範囲内であった)を使用した。典型的混合物は以下の通りであった:n=4が0.68%、n=6が67.8%、n=8が19.5%、n=10が7.2%、n=12が2.4%、n=14が0.79%、n=16が0.23%、n=18が0.07%そしてn=20が0.02%。結果として得た生成物F(CF2nCH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32を、試験方法1、2および3にしたがって試験した。結果は表1、2および3にある。
【0079】
比較例B
中間体1の手順を反復したが、ここでは、式F(CF26CH2CH2Iのヨウ化ペルフルオロアルキルエチルを使用した。結果として得た生成物中間体を次に、実施例1の手順を用いて反応させた。結果として得た生成物F(CF26CH2CH2SO2N(H)−CH2CH2CH2N(CH32+CH2C(O)O-を、試験方法3にしたがって試験した。結果は表3中にある。
【0080】
【表1】

【0081】
脱イオン水の標準表面張力は72dyne/cmである。上述の界面活性剤を規定の割合で添加した場合、各々の水溶液の表面張力は著しく低下した。7個以下の完全にフッ素化された炭素を含む本発明の実施例1〜10の全てが、炭素4〜20個のペルフルオロアルキルの混合物を含む比較例Aに匹敵するかまたはそれ以上の性能を示した。
【0082】
【表2】

【0083】
この試験において、消火の利用分野のためには1分未満で100%の展延が所望される。表2中のデータから、本発明の実施例1〜8および10が、比較例Aに比べて少ないフッ素しか含まないにも関わらず、比較例Aと同等かまたはそれ以上の性能を示したことがわかる。
【0084】
【表3】

【0085】
全体として、本発明の実施例5および6の組成物は、引火性溶媒としてヘプタンを用いた消火試験において比較例AおよびBに比べてより速い(優れた)性能を示した。実施例5と6の再発火時間は共に、比較例Bよりも低速(優秀)であり、実施例6は、比較例Aより低速であった。引火性溶媒としてイソプロパノールを用い、添加剤(FORAFAC1268)を用いた実施例5は、消火試験において比較例AおよびBの両方よりも高速(優秀)であった。実施例5は同様に、イソプロパノール溶媒を用いて、再発火試験で比較例AおよびBよりも低速(優秀)であった。
【0086】
実施例5および6は各々、末端ペルフルオロアルキル鎖中に6個の炭素を含み、丁重に(respectfully)計7個および8個の完全にフッ素化された炭素を含んでおり、一方比較例Aは4〜20個の炭素を含むペルフルオロアルキルの混合物を含んでいた。したがって、比較例Aは、実施例5および6よりもはるかに多くのフッ素を含んでいたが、それでも実施例5および6は匹敵するかまたはより優れた性能を示した。比較例Bは、連続末端ペルフルオロアルキル鎖中に6個の炭素を含み、一方実施例5および6は中断するCH2CF2部分を含んでいた。データは、このような中断されたペルフルオロアルキルを含む化合物が連続するペルフルオロアルキルと同じか、それ以上の性能を示すことができるということを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物。
【化1】

(式中、
aは、2個の炭素原子に各々結合された1〜6個のカテナリー酸素原子によって中断されている線状または分岐F(CF2n(CH2CF2m−、または線状または分岐F(CF2oであり、
mは1〜4、nが2〜6、oが2〜7であり、
AはOまたは(CH2k−COOであり、
1は水素またはメチルであり、
2およびR3は各々独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
p、qおよびkは各々独立して、1〜10の整数である。)
【請求項2】
aがF(CF2n(CH2CF2m−であり、ここでnが2〜6であり、mが1〜2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
aがF(CF2sO(CF2t−であり、ここでsおよびtは、(s+t)が2〜7であることを条件として、各々1〜6である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
水中約0.1重量%の濃度で約25mN/m以下の表面張力を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
水中約0.5重量%の濃度で約20mN/m以下の表面張力を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
泡の形態の、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
消火剤の形態の、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
水または溶媒または1つ以上の界面活性剤をさらに含む、請求項7に記載の消化剤。
【請求項9】
泡の形態の、請求項7または8に記載の消化剤。
【請求項10】
消火方法であって、請求項1に記載の化合物を含む組成物と前記火を接触させるステップを含む方法。

【公表番号】特表2013−508276(P2013−508276A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534231(P2012−534231)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/051733
【国際公開番号】WO2011/046793
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】