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フッ素含有アリールエーテル系ポリマーシート
説明

フッ素含有アリールエーテル系ポリマーシート

【課題】電気的特性、耐熱性、光学特性等に優れるとともに、傷やシワ等の発生がなく、電子材料分野や光学材料分野等において好適に用いることができる高品質のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートを提供する。
【解決手段】フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートであって、該シートの少なくとも一方の面に表面保護フィルムを重ねてなるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートに関する。より詳しくは、光学フィルム、低誘電性フィルム等の用途に好適に用いることができるフィルム又は基板状のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素含有アリールエーテル系ポリマーは、電気的特性、耐熱性、及び、光学特性等に優れた化合物であることから、液晶表示素子等の表示素子の基板、高周波配線基板、多層配線基板等の基板や、液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置用の光学フィルム等の材料として幅広く用いられている。
これらの基板やフィルムの用途に用いる場合、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーはシート状に成形して用いられることになる。フッ素含有アリールエーテル系ポリマーをシートの形態で用いる場合には、シート状に成形した後、重ねたり、ロールに巻き取る等して保存、移送等がされることになる。しかしフッ素含有アリールエーテル系ポリマーのシートは、重ねる工程、ロールに巻き取る工程等において傷が付きやすく、特にロールに巻き取る場合には、傷に加えてすべり性が悪くシワの発生がしやすく、高品質で均一なロール状のシートを得ることが難しいという課題を有していた。このような用途の中でも、光学フィルム用途においては、特に高品質のフィルムが要求され、表面に傷が付いて品質が低下したフィルム等は表面状態が光学特性に大きく影響することから、この課題を解決できるようにすることが求められている。
【0003】
従来のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーに関し、特定構造の含フッ素アリールエーテルケトン重合体および/または特定構造のポリシアノアリルエーテルを含む表示素子用プラスチック基板(例えば、特許文献1参照。)や、特定構造の含フッ素アリールエーテルケトン重合体および/または特定構造のポリシアノアリルエーテルを含む誘導体膜を有する高周波用配線基板が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、特定構造のフッ素含有アリールエーテルケトン重合体および/またはポリシアノアリールエーテルを含む基材および/または機能付与層を有する多層配線基板が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、基板表面に対する品質向上については何ら記載されていない。
【0004】
またフッ素含有アリールエーテル系ポリマーのフィルムとしての使用に関し、負複屈折値を有するポリアリールエーテルケトンを含む光学フィルムが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。更に、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを、基材上に塗工して得られる光学フィルムであって、特定の物性値を満たすものが開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、ポリマーからフィルムを製造する際に、製造されたフィルムの品質の低下を防ぐ手段については記載されていない。したがって、製造されたフィルムへの傷付きやシワの発生を抑制して、高品質が要求される光学フィルム等の用途にも好適に用いることができるフィルムとする工夫の余地があった。
【特許文献1】特開2002−62823(第1−2頁)
【特許文献2】特開2002−63814(第1−2頁)
【特許文献3】特開2002−64253(第1−2頁)
【特許文献4】特開2003−306558(第1−2頁)
【特許文献5】特開2003−344658(第1−2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、電気的特性、耐熱性、光学特性等に優れるとともに、傷やシワ等の発生がなく、電子材料分野や光学材料分野等において好適に用いることができる高品質のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、各種基板やフィルムの材料として用いられるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートについて種々検討したところ、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーがフッ素を含有することで結晶性が低くなりやすいことに起因して耐熱性を有する透明なシートが得られる一方で、凝集力が低く、シートが軟らかく傷つきやすいものとなるという特性を有することを見いだした。そしてこのシートの少なくとも一方の面に表面保護フィルムを重ねることにより、シート表面への傷の付着を防止するとともに、すべり性を向上させて平滑なシートとすることができ、これによりロールに巻き取る工程において傷の付着やシワの発生を抑制して光学フィルムや低誘電フィルム等として好適に用いることができる高品質の均一なロールを得ることが可能となることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0007】
すなわち本発明は、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートであって、該シートの少なくとも一方の面に表面保護フィルムを重ねてなるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートは、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートの少なくとも一方の面に表面保護フィルムを重ねてなるものであるが、両方の面に表面保護フィルムを重ねてなるものであってもよい。両方の面に表面保護フィルムを重ねる場合、それぞれの表面保護フィルムは、同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
また上記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートとは、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含む組成物から形成されるシートのことであり、該組成物がフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。
【0009】
本発明におけるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートの厚みは用途に応じて適宜選択されることになるが、1μm以上であり、また1000μm以下であることが好ましい。厚みが1μm以下であると、フィルムの強度が表面保護フィルムを剥がす時に充分でない恐れがあり、厚みが1000μm以上であるとシート自体の成形性に課題がある。より好ましくは、10μm以上であり、また200μm以下である。
なお、本発明におけるシートとは、平面的な広がりをもつ形態を意味し、シートの厚みが厚い場合には、板状形態となり、薄い場合には、フィルムとなる。
【0010】
上記表面保護フィルムとしては、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートと接触した場合にシートの表面に傷を付けない程度の軟らかさであって、すべり性が高いものであればよいが、ポリエチレンからなるフィルムであることが好ましい。ポリエチレンからなるフィルムとは、ポリエチレンを含む組成物から形成されるフィルムのことであり、組成物がポリエチレンを含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。ポリエチレンからなるフィルムを表面保護フィルムとしてフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートに重ねることにより、充分な傷付き防止機能及びシート表面のすべり性改善機能を有するフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートとすることができる。
【0011】
上記表面保護フィルムのフィルム厚としては、10μm以上であることが好ましく、100μm以下であることが好ましい。フィルム厚が100μm以上であるとフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートをロール状に巻き取った場合に厚みが大きくなりすぎ、10μm以下になると表面保護フィルム自体が切れる恐れがある。より好ましくは、20μm以上であり、70μm以下である。
【0012】
本発明のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートの製造方法としては、通常では、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートを製造した後、表面保護フィルムを貼り合わせる等の方法が用いられることになる。
上記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートは、後述するようにフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶媒に溶かした溶液を基材に塗布して塗膜を乾燥させる方法等により製造されることになるが、本発明のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートにおいては、表面保護フィルムをフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートに重ねる際のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートの残留溶媒量は、5%以下であることが好ましい。残留溶媒量が5%より多いと、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートの使用時に表面保護フィルムをフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートからはがしにくくなるおそれがある。表面保護フィルムをフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートに重ねる方法としては、表面保護フィルムをフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシート上に圧着する方法等を用いることができる。
【0013】
本発明におけるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーは、フッ素原子を含有し、繰り返し単位の主鎖がアリールエーテル構造を必須とする繰り返し単位を含むものである限り、重合体中にその他の構造を有していてもよい。また、異なるフッ素含有アリールエーテル構造を有する2種類以上の繰り返し単位を有していてもよく、その場合、繰り返し単位はブロック状、ランダム状のいずれの形態で重合していてもよい。繰り返し単位中におけるフッ素原子の数や、フッ素原子が結合している部位には制限はないが、アリールエーテル構造中の芳香環にフッ素原子が置換した構造であることが好ましい。より好ましくは、アリールエーテル構造中に全ての水素原子がフッ素原子に置換された芳香環を有していることである。
【0014】
上記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーの数平均分子量(Mn)としては、要求される特性、用途等に合わせて適宜設定すればよいが、5000以上であることが好ましく、また500000以下であることが好ましい。より好ましくは、10000以上、200000以下である。数平均分子量は、GPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)を用いて、標準サンプルにポリスチレン、展開溶媒にTHFを用いて測定することができる。
【0015】
本発明におけるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーは、芳香環及びエーテル結合を有する重合体であって、フッ素原子を必須とするものであればよく、その結合順序やフッ素原子の結合している位置には特に制限はないが、芳香環、エーテル結合により構成される繰り返し単位を必須として、該繰り返し単位における芳香環の少なくとも一つにフッ素原子を有する重合体が好ましい。
これらのなかで、下記式(1);
【0016】
【化1】

【0017】
(式中のZは、2価の有機基又は直接結合を示す。mは、同一又は異なって、芳香環に付加しているフッ素原子の数を表し、1〜4の整数である。式中のRは、2価の有機基である。)及び/又は、下記式(2);
【0018】
【化2】

【0019】
(式中のRは、2価の有機基である。またRは、同一又は異なって、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。)で表される構造の繰り返し単位を有するポリマーであることがより好ましい。
これらの繰り返し単位は、同一であっても異なっていてもよく、異なる繰り返し単位により構成される場合には、ブロック状、ランダム状等のいずれの形態であってもよい。
これらの繰り返し単位を必須とするフッ素含有アリールエーテル系ポリマーから形成されるシートは、高い耐熱性等の各種特性に優れたものとなる。フッ素含有アリールエーテル系ポリマーがフッ素含有アリールエーテルケトン構造を含む繰り返し単位、フッ素含有アリールエーテルニトリル構造を含む繰り返し単位の両方を有するものである場合、両者の構成比率は特に制限されない。
【0020】
上記一般式(1)で表されるものについて以下に説明する。
上記一般式(1)中、Rで示す2価の有機基としては、下記に示す(3−1)〜(3−19)等がある。
【0021】
【化3】

【0022】
上記(3−1)〜(3−19)中、Y、Y、Y及びYにおける置換基として、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシル基が好適である。より好ましくは、炭素原子数1〜30であって、置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシル基である。
これらの中でもRとしては、下記(4−1)〜(4〜20)がより好ましい。
【0023】
【化4】

【0024】
上記一般式(1)中、Zとしては、2価の有機基又はベンゼン環が直接結合していることを表すが、2価の有機基としては、炭素原子数1〜50の有機基、例えば、下記(5−1)〜(5〜13)で表される基である。
【0025】
【化5】

【0026】
上記(5−1)〜(5〜13)中、Xは、例えば、上記(3−1)〜(3−19)である。
本発明におけるフッ素含有ポリアリールエーテル系ポリマーとしては、上述したものの中でも、フッ素含有ポリアリールエーテルケトン構造の繰り返し単位を有するものであることが好ましい。より好ましくは、下記一般式(6)で表される構造の繰り返し単位を有するものである。
【0027】
【化6】

【0028】
次に上記一般式(2)に表されるものについて以下に説明する。
上記一般式(2)中、Rで示す2価の有機基としては、上記(3−1)〜(3−19)等があり、(3−1)〜(3−19)中、Y、Y、Y及びYにおける置換基として、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシル基が好適である。より好ましくは、炭素原子数1〜30であって、置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシル基である。これらの中でもRとしては、上記(4−1)〜(4〜20)がより好ましい。
【0029】
上記一般式(2)中、Rは、同一又は異なって、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基等が好適である。
上記アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、フルフリルオキシ基、アリルオキシ基等が好適である。
上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が好適である。
【0030】
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル及びフェニルエステル等)由来の基、ナフトキシ基、o−、m−又はp−メチルフェノキシ基、o−、m−又はp−フェニルフェノキシ基、フェニルエチニルフェノキシ基、、クレソチン酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールアミノ基としては、アニリノ基、o−、m−又はp−トルイジノ基、1,2−又は1,3−キシリジノ基、o−、m−又はp−メトキシアニリノ基、アントラニル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、フェニルメタンチオ基、o−、m−又はp−トリルチオ基、チオサリチル酸及びそのエステル類由来の基等が好適である。
上記Rとしては、これらのうち、置換基を有してもよいアルコキシル基、アリールオキシ基、アリールアミノ基、アリールチオ基が好ましい。ただし、Rには、2重結合若しくは3重結合が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0031】
上記Rにおける置換基としては、上述のような炭素原子数1〜12のアルキル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;シアノ基、ニトロ基、カルボキシエステル基等が好適ある。また、これら置換基の水素がハロゲン化されていてもよいし、されていなくてもよい。これらの中でも、好ましくは、ハロゲン原子、水素がハロゲン化されていてもよいし、されていなくてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びカルボキシエステル基である。
【0032】
本発明におけるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートを製造する方法としては、例えば、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶媒に溶かした溶液を基材に塗布し、塗膜を乾燥させることにより製造する方法等を用いることができる。フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶かす溶媒としては、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶かすことができるものである限り特に制限されず、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール等のフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒や二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等を用いることができる。これらの溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
本発明におけるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶かす溶媒としては、上記溶媒の中でも、ケトン系溶媒やエステル系溶媒等の極性溶媒とトルエン等の疎水性溶媒とを混合したものを用いることが好ましい。親水性の高い極性溶媒は、ポリマーの溶解度が高いため、極性溶媒を用いるとポリマー溶液の濃度調整がしやすくなるが、吸湿性があるためフッ素含有アリールエーテル系ポリマーの塗膜が吸湿し空隙のある塗膜になりやすい。極性溶媒と疎水性溶媒とを混合して用いることにより、このような塗膜の吸湿を防ぐことが可能となる。より好ましくは、疎水性溶媒として、極性溶媒よりも沸点が高いものを用いることである。極性溶媒と疎水性溶媒とを混合して用いる場合、両者の混合比率は、求められるポリマー溶液の濃度等により適宜選択されることになる。
【0034】
上記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶媒に溶かした溶液中におけるフッ素含有アリールエーテル系ポリマーの濃度としては、1質量%以上であることが好ましく、また、50質量%以下であることが好ましい。50質量%以上であると、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーが溶媒に充分に溶解せず、1質量%以下であると、充分な厚みをもつシートを作成できないおそれがある。より好ましくは、5質量%以上であり、また40質量%以下である。
【0035】
上記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶媒に溶かした溶液を塗布する基材としては、特に制限されず、ガラス基材、プラスチックフィルム等のプラスチック基材、ステンレスベルトやステンレスドラム、銅箔等の金属基材等を用いることができる。これらの中でも、プラスチックフィルム等のプラスチック基材、ステンレスベルトやステンレスドラム等の金属基材を用いることが好ましい。
【0036】
上記プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンチン−1)等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等から形成されるフィルム等を用いることができる。
【0037】
上記プラスチックフィルムの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートや、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド等のように100℃以上の耐熱性を有するプラスチックフィルムを基材として用いることが好ましい。耐熱性の低いプラスチックフィルムを用いると、塗膜の乾燥時の加熱により変形等を起こすおそれがある。また、ポリエチレンテレフタレート等を基材として用いる場合には、易接着処理を行っていない未処理のものを用いることが好ましい。易接着処理の内容次第ではあるが、易接着処理されたフィルムを用いると、剥離基材に対してフッ素含有アリールエーテル系ポリマーが密着性を発現し、上手く剥離できない場合がある。
【0038】
上記基材となるプラスチックフィルムの厚みは、30μm以上であることが好ましい。厚みが30μm以下であると、プラスチックフィルムの製造時にフィルムが切れるおそれがある。より好ましくは、50μm以上であり、更に好ましくは、80μm以上である。
【0039】
上記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを溶媒に溶かした溶液を基材上に塗布する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、タイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
【0040】
上記基材上に塗布したフッ素含有アリールエーテル系ポリマーの塗膜を乾燥させてシートを得る方法としては、基材上の塗膜を予備乾燥させた後、塗膜を基材から剥離し、その後に更に加熱乾燥(アフターヒート)させてシートを得る方法が好ましい。予備乾燥においては、塗膜からすべての溶媒が揮発しないよう、ある程度の溶媒が残留した状態まで乾燥させることになる。基材に塗膜が付着した状態で溶媒をすべて揮発させると、塗膜に反り等が生じたり、乾燥時に基材から剥がれたりするおそれがある。予備乾燥後における残留溶媒量としては、3〜20%が好ましい。残留溶媒量が3%より少ないと、塗膜が基材から一気に剥離しやすく、剥離してできるシートに反りが生じやすくなるおそれがある。残留溶媒量が20%より多いと、基材からの剥離が困難となり、また塗膜剥離後の加熱乾燥(アフターヒート)時にシートが延伸するように伸び、厚みが均一でなくなるおそれがある。より好ましくは、予備乾燥後における残留溶媒量が5〜15%であることである。
【0041】
上記塗膜の予備乾燥、及び、剥離後のシートのアフターヒート時のシートの乾燥時の加熱温度は、シートの厚みや使用する溶媒の種類等により適宜設定されることになるが、予備乾燥時の加熱温度としては、30℃以上が好ましく、また150℃以下が好ましい。より好ましくは、50℃以上であり、また、120℃以下である。アフターヒート時の加熱温度としては、80℃以上が好ましく、また200℃以下が好ましい。より好ましくは、120℃以上である。また予備乾燥時の加熱時間としては、1分以上が好ましい。より好ましくは3分以上である。また、アフターヒートの方法としては、加熱乾燥する方法ならばどのような条件でもよいが、フィルム中の残存溶媒量が1%以下になるようにするための条件の下で行うことが好ましい。アフターヒートの方法としては、1回のアフターヒートで溶媒を除去してもよいし、アフターヒートを多段にわけて2回、3回行ってもよい。また、多段でアフターヒートを行う場合、乾燥温度も同じでもよいし夫々異なってもよい。アフターヒート時の加熱時間としては、5分以上が好ましい。より好ましくは10分以上である。
【0042】
本発明における上記一般式(1)で表される繰り返し単位を必須とするフッ素含有アリールエーテルケトン重合体は、特開2001−64226号公報や、特開2002−12662号公報に記載の方法等により製造することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、上述の構成よりなり、電気的特性、耐熱性、及び、光学特性等に優れるとともに、表面保護フィルムによって保護されることにより、電子材料分野や光学材料分野等の品質要求の厳しい分野においても好適に用いることができる高品質のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は、「質量%」を意味するものとする。
【0045】
実施例1〜4及び比較例1〜4
フッ素含有アリールエーテル系ポリマーとして、フッ素含有ポリアリールエーテルケトンA(F・PEK−A)をメチルエチルケトン(MEK)/トルエン=1/1の混合溶媒に溶解して25%溶液を調製した。この溶液を厚さ100μmの未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアプリケーターを用いて塗布して塗膜を作製し、60℃で10分間予備乾燥した。この塗膜を1日放置後、塗膜をPETフィルムから剥離して120℃で30分、180℃で1時間簡乾燥し、乾燥膜厚65μmのフィルムを得た。
得られたフッ素含有アリールエーテル系ポリマーのフィルムに、トレテック7531(東レ合成フィルム 50μm)をローラーを用いて貼りあわせ、10枚重ねた。
フィルムを10枚重ねた状態で、1kgの荷重をかけて1日放置したあと、表面保護フィルムを剥がして、フッ素含有アリールエーテル系ポリマーのフィルムの傷付きを目視及びヘイズメーターにて評価した。結果を表1の実施例1に示す。同様の操作をPETフィルムの代わりに厚さ0.8mmの800番研磨鋼板(SUS板)板を用いて行った。結果を実施例2に示す。
フッ素含有ポリアリールエーテルケトンB(F・PEK−B)及びフッ素含有ポリアリールエーテルニトリルB(F・PEN−B)についても同様にしてPETフィルムを用いて作製したフィルムの傷付きを目視評価及びヘイズメーターにて評価した。また、比較のため、上記のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーを用いて作製したフィルムを表面保護フィルムを用いずに10枚重ねたものについても同様にフィルムの傷付きを目視評価及びヘイズメーターにて評価した。F・PEK−A、F・PEK−B及びF・PEN−Bは、以下に示す構造を有する重合体である。
【0046】
【化7】

【0047】
目視評価及びヘイズメーターによる評価は以下のように行った。
【0048】
<目視評価>
目視により以下の評価基準に基づいて行った。
○:傷なし ×:傷あり
<ヘイズメーターによる評価>
以下の測定装置及び測定条件により測定した。
ヘイズメーターND1001DP型(日本電色工業製)を用いて、重ねあわせ試験後の65μmのフィルム(表面保護フィルムを剥がした状態)を測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
表1の結果から、保護フィルムを有しないものは、フィルムの重ね合わせにより傷が発生したのに対して、保護フィルムを貼り合わせたフィルムは、重ね合わせによっても傷が発生せず、フィルムの品質の低下を防ぐことができることが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素含有アリールエーテル系ポリマーを含むシートであって、該シートの少なくとも一方の面に表面保護フィルムを重ねてなる
ことを特徴とするフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシート。
【請求項2】
前記フッ素含有アリールエーテル系ポリマーは、下記一般式(1);
【化1】

(式中のZは、2価の有機基又は直接結合を示す。mは、同一又は異なって、芳香環に付加しているフッ素原子の数を表し、1〜4の整数である。式中のRは、2価の有機基である。)及び/又は、下記式(2);
【化2】

(式中のRは、2価の有機基である。またRは、同一又は異なって、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。)で表される構造の繰り返し単位を有するポリマーである
ことを特徴とする請求項1記載のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシート。
【請求項3】
前記表面保護フィルムは、ポリエチレンからなるフィルムであることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ素含有アリールエーテル系ポリマーシート。

【公開番号】特開2006−264084(P2006−264084A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85025(P2005−85025)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】