説明

フッ素重合体生成物の一軸延伸法

第1方向にグリーンフッ素重合体を延伸して、延伸したフッ素重合体生成物を作成する第1工程と、第1工程において延伸フッ素重合体生成物を第1方向と同じ方向にさらに延伸する工程を含むフッ素重合体生成物の一軸延伸法に関連する。本発明の成果として、同じ方向に連続して延伸する工程を用いることにより、超高延伸と多様の多孔質/フィブリル構造が得られることが見出される。各延伸工程の延伸率の選択、総延伸量、及びこれらの延伸工程の間における生成物の予備加熱及び切断等について様々な考慮がなされている。本発明は、種々のフッ素重合体を使用することができるが、特に、PTFEの使用が好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年12月30日に出願した米国仮出願第60/533,096号の優先権を主張し、全ての内容は本願明細書に援用される。
【0002】
本発明は、フッ素重合体生成物の延伸法に関し、特に、ポリテトラフルオロエチレン生成物の延伸法に関する。
【背景技術】
【0003】
フッ素重合体生成物の成形方法は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)生成物の押出成形等の公知技術である。一般的に、PTFEは、潤滑剤と共に処理され、ビレットに成形された後ラム押出成形される。押出成形によって、「グリーン」PTFE生成物が形成される。周知のように潤滑剤を揮発してもよく、そして、「グリーン」PTFE生成物をフィブリル状態に延伸(延伸PTFE、又はePTFEと呼ばれる)し、その後、焼結温度より高い温度に加熱して、材料に融合させて安定した状態にしてもよい。図1は、一般的にフィブリル化した微細構造の一軸延伸したPTFEを示す顕微鏡写真である。図1の水平面において上から下方向に一様に伸びている細長い形の暗い部分がノードである。フィブリルは、図1の平面内で左から右に伸び、ノードと相互接続している細い髪の毛のような構造である。一般的な一軸延伸したPTFEであるように、フィブリル状構造は延伸方向に沿って一様に配列される。
【0004】
従来技術においては、複数の工程でPTFEを延伸する技術が開発されてきたが、それらは異なる軸に沿って延伸する技術であった。例えば、PTFEを縦方向に延伸し、次に、垂直横方向に延伸して、2軸延伸PTFEを成形することが知られてきた。1995年12月19日にBacinoに交付した米国特許第5,476,589号明細書では、以下の順を含む方法が開示されている。
1.PTFEテープの横方向に延伸
2.PTFEテープの縦方向に2回延伸
3.PTFEテープの横方向に再び延伸
4.最終生成物の焼結
【0005】
さらに、1998年5月12日にBanas他に交付した米国特許第5,749,880号明細書においては、縦方向にPTFEチューブを延伸し、ステントをチューブ内に入れ、チューブを焼結し、そして、その組立体を半径方向に延伸することによって、チューブ内のノードの変形をもたらすことが開示されている。しかしながら、従来の複数工程に及ぶ延伸技術においては、一軸超高延伸のフッ素重合体、特に、一軸超高延伸PTFEを得るように対応していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1方向にグリーンフッ素重合体を延伸して、延伸したフッ素重合体生成物を作成する第1工程と、第1工程において延伸フッ素重合体生成物を第1方向と同じ方向にさらに延伸する工程を含むフッ素重合体生成物の一軸延伸法に関連する。本発明の成果として、同じ方向に連続して延伸する工程を用いることにより、超高延伸と様々な多孔質/フィブリル構造が得られることが見出される。各延伸工程の延伸率の選択、総延伸量、及びこれらの延伸工程の間における生成物の予備加熱及び切断等について様々な考慮がなされている。また、本発明は、種々のフッ素重合体を使用することができるが、特に、PTFEの使用が好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
「グリーン」生成物とは、未延伸の生成物、又は基本的に未延伸の生成物のことである。「グリーン」生成物は、例えば、生成物において張力を発生させる押出成形から取り出す際に、意図されないごく僅かの延伸を含む可能性があるが、いかなる点においても、「グリーン」生成物に対して、意図的な延伸は行われない。
【0008】
以下の詳細な説明及び添付される図によって、本発明を充分に理解することができる。
【0009】
本発明は、グリーン状態のフッ素重合体生成物の一軸延伸法に関し、フッ素重合体の一軸延伸する連続工程を含む。図2は、本発明に関連するプロセス工程を示すフローチャートであり、選択的な工程も含む。
【0010】
本明細書においては、例示目的でPTFEを参照して説明されるが、本発明に関する工程は、他のフッ素重合体を使用することができることが理解される。
【0011】
図2のボックスAは初期成形プロセスを示す。グリーンPTFEを生成するいかなる方法を利用してもよい。工程10〜16において、グリーンPTFEを生成する一般的なプロセスを例示して説明するが、これに限定されない。公知技術として、PTFE原料樹脂を潤滑剤と混合して押出成形を行い(工程10)、PTFE混合物をビレットに予備成形し(工程12)、そのビレットを、チューブ又はシートのような好ましい形にラム押出成形してもよい(工程14)。そして、潤滑剤を揮発して除去し、「ドライ」グリーンPTFEを得てもよい(工程16)。
【0012】
この時点において、ボックスBによって示される第1延伸工程で使用されるグリーンPTFEが生成される。具体的には、工程18で示すように、グリーンPTFEに対して1回目の一軸延伸(第1延伸)が行われる。延伸方向は、PTFEが形成され、押出成形された方向と同じであることが好ましい。必須ではないが、工程20で示されるように、1回目の延伸の前にグリーンPTFEを加熱することがさらに好ましい。加熱は、延伸工程18中など、他のプロセス工程中に行われてもよい。公知技術、好ましくは公知の延伸オーブンを使って延伸を行ってもよい。
【0013】
第1延伸したPTFE生成物は、ボックスCで示される第2延伸工程が行われる。具体的には、工程22で説明されるように、工程18で行われた第1延伸と同じ方向に2回目の一軸延伸(第2延伸)が行われる。必須ではないが、この場合もやはり、第2延伸の前に予備加熱を行うことが好ましい(工程24)。延伸工程22において第1延伸したPTFE生成物を継続して加熱してもよいし、又は、延伸中のみ加熱してもよい。工程18及び/又は工程20における加熱によって、第1延伸したPTFE生成物の温度が工程22及び/又は工程24における望ましい温度よりも高くなる場合は、充分な冷却期間を設け、工程22及び/又は工程24において効果的な予備加熱を行なうことが好ましい。工程22及び/又は工程24、ボックスB内の任意の工程における温度より高い温度へ加熱するように、ボックスBの工程とボックスCの工程との間隔は任意とすることができる。
【0014】
機器の制約、又は延伸量を制限する他の制約がある場合、工程26に示すようにPTFE生成物を延伸工程において切断してもよい。例えば、第1延伸及び切断後、工程18で得られた第1延伸したPTFEを切断した部分を工程22において延伸してもよい。
【0015】
本明細書には示してはいないが、一軸延伸工程を追加することも可能である。全ての一軸延伸が完了すると、生成物は焼結され(工程28)、延伸機器(例えば、延伸オーブン)から取り出される(工程30)。プロセスにおいて工程を追加してもよいことは、当業者に認識される。例えば、加工中のPTFEを、延伸工程18及び/又は延伸工程22の前、中、又は後に内部的に加圧し、半径方向の延伸を促進してもよい。また、PTFE生成物を延伸(工程18及び/又は工程22)中に回転させてもよい。さらに、プロセスの様々な工程においてPTFE生成物を加熱してもよく、プロセスの全工程において(同一温度であっても、異なる温度であっても)連続して加熱してもよい。しかも、必要に応じて、成形後にPTFE生成物に対して様々な加工を施してもよい。(工程32)。例えば、PTFE生成物はチューブとして、そして切断してシートとして成形してもよい。その後、シートを一軸延伸、又は多軸延伸してもよい。成形後工程の前又は後に焼結(工程28)してもよい。
【0016】
上述のプロセスによって、使用する固有のプロセスパラメータに応じて様々なフィブリル状PTFE構造体を得ることができる。図3〜8において、本発明によって得られる6種類の延伸したPTFEの構造は、様々なノードやフィブリルの形状及び密度に応じて示される(一組の同じ番号の図は、同じ構造を示し、「a」は100倍の拡大図で、「b」は500倍の拡大図である)。図3は、比較的小さいノードと、長いノード間距離(IND)(ノード間隔)と、枝分かれしたフィブリルを有する構造を示す。図4の構造は、図3の構造と同様ではあるが、より小さいノードを有する。図5は、小さいノードと大きいINDを有する構造を示すが、フィブリルは軸方向に整列しており、枝分かれしていない。図6は、軸方向に整列したフィブリルと大きいINDを有する構造を示すが、ノードのサイズは大きい。図7と図8は、比較的小さいINDと、小さいノードと、軸方向に整列したフィブリルを有する最も高密度な構造を示す。図8の構造は、若干長いフィブリル長(即ち若干大きいIND)によって、多孔率が大きい図7の構造より高密度である。以下で説明されるように、本発明のプロセスにおける種々のパラメータを変更して、小さいノード、大きいノード、IND、フィブリルの枝分かれ等の所望の構造特性を得ることができるのは、当業者には理解される。
【0017】
以下の表は、本発明のプロセスにおいて使用し、得られる構造の物理的特性に作用するパラメータ一覧である。
【表1】

【0018】
表1は、本発明のプロセスに作用するように変更可能なパラメータを網羅するリストを示していないことは理解される。例えば、PTFE原料樹脂の組成(例えば、樹脂グレード、製造業者)は、得られるPTFE構造体に作用する場合がある。
【実施例】
【0019】
本発明のプロセスを使用して様々な試験を行った。以下に説明する実施例1〜6において、本発明に関し、以下のパラメータを有する押出成形チューブを使用した。
グリーンチューブ壁厚:240μm
グリーンチューブ内径:6.32mm
グリーンチューブ壁厚の標準偏差:9.3μm
PTFE樹脂:ICI CD−123
ラム押出機:マンドリル 0.248mm、圧延率(reduction)137
潤滑剤:Isopar G
揮発プロセス:摂氏51.7度(華氏125度)で120分間乾燥したグリーンチューブ
延伸オーブン:MMIIオーブン
【0020】
種々の延伸率、延伸速度、予備加熱温度、及び予備加熱間隔において実施例1〜6を行なった。表2及び表3は得られた構造属性を示す。
【0021】
<実施例1>
PTFEグリーンチューブに対して延伸工程を2回行ない、総延伸率が6,300%となるように、第1延伸工程の延伸率は300%、第2延伸工程の延伸率は1,500%とした。第1延伸工程において、摂氏304度(華氏580度)で4分間予備加熱を行い、35cm/秒の速度で延伸を行なった。一方、第2延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で4分間予備加熱を行い、1cm/秒の速度で延伸を行なった。図3は、得られた構造の外側表面から撮った顕微鏡写真である。得られた構造は、80〜100μmのINDと約40μmのノード長を有する。
【0022】
<実施例2>
PTFEグリーンチューブに対して延伸工程を2回行ない、総延伸率が5,084%となるように、第1延伸工程の延伸率は620%、第2延伸工程の延伸率は620%とした。第1延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で20分間予備加熱を行い、35cm/秒の速度で延伸を行なった。一方、第2延伸工程において、摂氏304度(華氏580度)で4分間予備加熱を行い、1cm/秒の速度で延伸を行なった。図4は、得られた構造の外側表面から撮った顕微鏡写真である。得られた構造は、80〜100μmのINDと40μmより小さいノード長を有する。
【0023】
<実施例3>
PTFEグリーンチューブに対して延伸工程を2回行ない、総延伸率が6,300%となるように、第1延伸工程の延伸率は300%、第2延伸工程の延伸率は1,500%とした。第1延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で4分間予備加熱を含み、35cm/秒の速度で延伸を行なった。一方、第2延伸工程において、摂氏304度(華氏580度)で20分間予備加熱を行い、1cm/秒の速度で行なった。図5は、得られた構造の外側表面から撮った顕微鏡写真である。得られた構造は、約230μmのINDと約7.9μmのノード長を有する。
【0024】
<実施例4>
PTFEグリーンチューブに対して延伸工程を2回行ない、総延伸率が5,084%となるように、第1延伸工程の延伸率は620%、第2延伸工程の延伸率は620%とした。第1延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で4分間予備加熱を含み、1cm/秒の速度で延伸を行なった。一方、第2延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で4分間予備加熱を行い、1cm/秒の速度で行なった。図6は、得られた構造の外側表面から撮った顕微鏡写真である。得られた構造は、約60μmのINDと約80μmのノード長を有する。
【0025】
<実施例5>
PTFEグリーンチューブに対して延伸工程を2回行ない、総延伸率が6,300%となるように、第1延伸工程の延伸率は300%、第2延伸工程の延伸率は1,500%とした。第1延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で20分間予備加熱を行い、35cm/秒の速度で延伸を行なった。一方、第2延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で4分間予備加熱を行い、35cm/秒の速度で延伸を行なった。図7は、得られた構造の外側表面から撮った顕微鏡写真である。得られた構造は、約40μmのINDと約10μmのノード長を有する。
【0026】
<実施例6>
PTFEグリーンチューブに対して延伸工程を2回行ない、総延伸率が6,300%となるように、第1延伸工程の延伸率は300%、第2延伸工程の延伸率は1,500%とした。第1延伸工程において、摂氏176度(華氏350度)で4分間予備加熱を行い、1cm/秒の速度で行なった。一方、第2延伸工程において、摂氏304度(華氏580度)で4分間予備加熱を行い、35cm/秒の速度で延伸を行なった。図8は、得られた構造の外側表面から撮った顕微鏡写真である。得られた構造は、約15μmのINDと約3.9のμmのノード長を有する。
【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
試験結果において、一般的に特定のプロセスパラメータの変化が最終生成物の様々な特性と関連性があることが観察された。第2延伸の延伸速度が、延伸した最終PTFE生成物の物理的特性に関連する最大効果を及ぼすことが見出された。特に、最終生成物の半径方向の強度及び硬度と第2延伸の延伸速度は正の相関関係である。つまり、本発明のプロセスにおいて、第2延伸の高い延伸速度が適用されると、PTFE生成物の半径方向の硬度と軸方向の硬度は大きくなる。例えば、実施例1において、第2延伸の延伸速度が1cm/秒であるとき、半径方向の平均負荷は最大で65.90g、及び軸方向の平均硬度は0.86kg/mmであった。一方、実施例5において、第2延伸の延伸速度が35cm/秒であるとき、半径方向の平均負荷は最大で83.71g、そして軸方向の平均硬度は1.19kg/mmであった。さらに、最終生成物のINDは第2延伸の延伸速度の増加に反して減少する(即ち、負の相関関係がある)。例えば、実施例1では、INDは80〜100μmで第2延伸の延伸速度は1cm/秒であるが、実施例5では、INDは40μm以下で、第2延伸速度は35cm/秒である。以下の表は、生成物の特性、及びそれらの特性と正又は負の相関関係があると特定されたプロセスパラメータを示す。
【表4】

【0030】
同様に、特定の様々なプロセスパラメータは、最終延伸生成物の物理特性に対して相互作用効果を与えることが見出された。例えば、第1予備加熱又は第2予備加熱を行なった第1延伸工程と第2延伸工程における延伸率の差が増加すると、壁厚が増加するという正の相関関係がある。このような相互作用パラメータを表5に示す。
【表5】

【0031】
特定の範囲が好ましいが、様々なプロセスパラメータを使用することはすでに認識されている。総延伸率においては、種々の延伸工程から総延伸率及び最終延伸率が1,000%〜10,000%のPTFE生成物を得る(即ち、得られたPTFE構造体が、最初のグリーン状態から1,000%〜10,000%に延伸する)ことが望まれる。実施例1、3、5、及び6に示されるように、延伸率が300%の第1延伸工程(工程18)と、延伸率が1,500%の第2延伸工程(工程22)において、6,300%の総延伸を達成することが見出された。また、実施例2及び実施例4に示されるように、延伸率が620%の第1延伸工程(工程18)と、延伸率が620%の第2延伸工程(工程22)において、5,084%の総延伸を達成する。各延伸工程では、生成物を1%〜800%の延伸率で延伸する。様々な延伸工程を経た結果の総延伸率は、各工程における延伸率よりも著しく大きいことが有益である。様々な延伸の組み合わせを使うことができることは、当業者には充分理解される。
【0032】
前記で示したように、本発明を実行するに際し、延伸の延伸速度は重要な要素である。延伸工程(工程18又は工程22)の延伸速度は、約50cm/秒以下の範囲であることが望ましい。延伸工程(工程18及び22)の延伸速度は、異なっていてもよく、第1延伸工程(工程18)の延伸速度は、第2延伸工程(工程22)の延伸速度よりも大きいことがさらに好ましく、より均質的な延伸を行うことができる。例えば、第1延伸工程(工程18)の延伸速度を約35cm/秒とし、第2延伸工程(工程22)の延伸速度を約1cm/秒とすることができるが、これに限定されない。また、延伸の延伸速度を第1延伸工程においてに一定の状態にする必要はなく、第1延伸工程中に(例えば、速くから遅く、又は遅くから速く)変化させてもよい。
【0033】
加熱に関しては、3つの主要な要素が関係している。即ち、加熱のタイミング、持続時間、及び温度である。前記で述べたように、加熱は、本発明のプロセス中の様々なタイミングで行われてもよいが、延伸前に予備加熱を行うことが最も好ましい。加熱は、任意の継続時間行ってもよいが、各予備加熱工程(工程20及び工程24)において、後続する延伸工程の前に、約4〜20分間行なうことが好ましい。加熱時間を決める最大の要素は、所望の温度を得るのに必要とする時間ということである。加熱処理を長く行うほど、PTFE生成物に均一に作用する所望の温度に達する。また、温度において、予備加熱温度を材料の焼結温度(例:PTFEに関しては摂氏348度(華氏660度))より低く保つことが好ましく、第1予備加熱工程(工程20)の予備加熱温度を第2予備加熱工程(工程24)より高くすることがさらに好ましい。例えば、PTFEにおいて、第1予備加熱工程は摂氏約304度(華氏約580度)で行ってもよく、第2予備加熱工程(工程24)は摂氏約176度(華氏約350度)の温度で行ってもよい。一般的に、摂氏176〜304度(華氏350〜580度)の範囲の温度を適用することによって焼結を避けることになるが、予備加熱を任意の温度で行ってもよい。所望のノードとフィブリル構造を得るために多少の焼結が求められ、より高い温度を適用することができる。予備加熱工程(工程20及び工程24)以外の加熱に関しては、前記と同じ基準が適用される。
【0034】
本発明は、いくつかの実施例によって好適な実施形態に関連して説明されているが、本願請求項に定義されるように本発明の精神と範囲から逸脱せずに、様々な変更を行えることが当業者には理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一般的な一軸延伸PTFE構造体の顕微鏡写真である。
【図2】本発明に関するプロセスのフローチャートを示す。
【図3−8】本発明に従って形成した種々の延伸PTFE構造体の顕微鏡写真である。「a」は、100倍の拡大図であり、「b」は、「a」と同じ構造の500倍の拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
10 樹脂混合
12 予備成形
14 押出成形
16 揮発
18 第1延伸
20 予備加熱
22 第2延伸
24 予備加熱
26 切断及び再装荷
28 焼結
30 取り外し
32 二次成形(スリット加工など)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向にグリーンフッ素重合体生成物を延伸して第1延伸したフッ素重合体生成物を生成する工程と、
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を前記第1方向に延伸する工程と、を含むフッ素重合体生成物の一軸延伸法。
【請求項2】
前記グリーンフッ素重合体生成物を延伸する工程が第1延伸速度で行われ、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を延伸する工程が第2延伸速度で行われ、該第1延伸速度が該第2延伸速度と異なる請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1延伸速度が前記第2延伸速度より大きい請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1延伸速度が約35cm/秒である請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第2延伸速度が約1cm/秒である請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記グリーンフッ素重合体生成物を延伸する工程が、前記グリーンフッ素重合体生成物を300%延伸する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を延伸する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を1500%延伸する工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記グリーンフッ素重合体生成物を延伸する工程が、前記グリーンフッ素重合体生成物を620%延伸する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第1フッ素重合体生成物を延伸する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を620%延伸する工程を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記グリーンフッ素重合体生成物の総延伸率が1,000%〜10,000%である請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程が、グリーンフッ素重合体生成物を延伸する工程の前に実行される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記グリーンフッ素重合体生成物を摂氏約304度(華氏約580度)で加熱する工程を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記グリーンフッ素重合体生成物を約4〜20分の範囲の所定時間加熱する工程を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記グリーンフッ素重合体生成物を延伸工程の間に行われる請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記グリーンフッ素重合体生成物の焼結温度より低い温度で前記グリーンフッ素重合体生成物を加熱する工程を含む請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を延伸する工程の前に行われる請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を摂氏約176度(華氏約350度)で加熱する工程を含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を約4〜20分の範囲の所定時間加熱する工程を含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物を延伸する工程の間に行われる請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程が、前記第1延伸したフッ素重合体生成物の焼結温度より低い温度で前記第1延伸したフッ素重合体生成物を加熱する工程を含む請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記フッ素重合体生成物がポリテトラフルオロエチレンである請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記グリーンフッ素重合体がチューブ形状である請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記グリーンフッ素重合体がシート形状である請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記第1延伸したフッ素重合体を延伸する工程の前に、前記第1延伸したフッ素重合体が少なくとも2つに切断される請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記グリーンフッ素重合体が焼結されない請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記第1延伸したフッ素重合体が焼結されない請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記グリーンフッ素重合体を延伸する工程が第1延伸速度で行われ、前記第1延伸速度が約50cm/秒以下である請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記第1延伸したフッ素重合体を延伸する工程が前記第2の延伸速度で行われ、前記第2延伸速度が約50cm/秒以下である請求項1記載の方法。
【請求項31】
フッ素重合体の押出成形物の1つ又は複数の特性を制御する方法であって、
第1方向にグリーンフッ素重合体生成物を延伸して第1延伸したフッ素重合体生成物を生成する工程と、
前記第1延伸したフッ素重合体生成物を前記第1方向に延伸する工程と、を含み、
前記特性が、ノード間距離、多孔率、ノード長、ノード幅、フィブリルの枝分かれ、フィブリルの軸方向への整列、壁厚、半径方向強度、縦強度、硬度、及び、これらの組合せからなる群から選択される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2007−516880(P2007−516880A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547588(P2006−547588)
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/044020
【国際公開番号】WO2005/065918
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505394909)ボストン サイエンティフィック リミテッド (3)
【Fターム(参考)】