フューエルリッドロック装置
【課題】ウォームホイール等の出力ギヤの剛性の低下を招くことがなく、出力ギヤの回動を規制するストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止し得るフューエルリッドロック装置を提供する。
【解決手段】フューエルリッドロック装置1は、ボデー11(第1ボデー)とカバー12(第2ボデー)とを嵌合して形成されたハウジング2内に電動モータ(駆動用モータ)、ウォーム14、ウォームホイール15(出力ギヤ)、ロックシャフト(移動部材)、及びストッパ部材18が収容されてなる。ウォームホイール15のボデー11側には、第1ストッパ壁、第2ストッパ壁、及び弧状のリブ(突出部)よりなるストッパ抜止部156が形成されている。ストッパ部材18と第1ストッパ壁及び第2ストッパ壁とが当接してウォームホイール15の回動が規制される際に、ウォームホイール15の回転軸方向においてストッパ抜止部156がストッパ部材18と当接することによって、ストッパ部材18の保持部113からの抜け出しが規制される。
【解決手段】フューエルリッドロック装置1は、ボデー11(第1ボデー)とカバー12(第2ボデー)とを嵌合して形成されたハウジング2内に電動モータ(駆動用モータ)、ウォーム14、ウォームホイール15(出力ギヤ)、ロックシャフト(移動部材)、及びストッパ部材18が収容されてなる。ウォームホイール15のボデー11側には、第1ストッパ壁、第2ストッパ壁、及び弧状のリブ(突出部)よりなるストッパ抜止部156が形成されている。ストッパ部材18と第1ストッパ壁及び第2ストッパ壁とが当接してウォームホイール15の回動が規制される際に、ウォームホイール15の回転軸方向においてストッパ抜止部156がストッパ部材18と当接することによって、ストッパ部材18の保持部113からの抜け出しが規制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッド体を閉止状態に保持するフューエルリッドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給油口を含んだフューエルリッドボックスを開閉するリッド体を閉止した状態で保持するためのフューエルリッドロック装置に関する従来技術があった(例えば、特許文献1)。このフューエルリッドロック装置は、車両ボデーに取り付けられ、スプリングにより常にシャフト部材を付勢して、ハウジングから突出したシャフト部材の先端をリッド体と係合させている(ロック位置)。給油時には電動モータにより駆動されたウォームホイールによってシャフト部材を引き戻し、リッド体との係合を解除している(アンロック位置)。
【0003】
この従来技術によるフューエルリッドロック装置においては、ハウジングの底面部から円柱形状の保持部が突出しており、この保持部に合成ゴム等の弾性体よりなる円筒形状のストッパ部材が外嵌されている。このストッパ部材にウォームホイールの下面に設けられたストッパ壁が当接することによって、ウォームホイールの回動が停止され、延いては、シャフト部材の移動が規制されている。
この従来技術において使用されているストッパ部材は、単に保持部に圧入状態で外嵌されているのみである。このため、ウォームホイールに設けられたストッパ壁がストッパ部材に当接することによりストッパ部材に撓みが繰り返し発生して、ストッパ部材が保持部の上方に浮き上がり、やがては保持部から抜け落ちてしまうおそれがあった。特に、ウォームホイールがはすば歯車によって駆動されている場合には、ストッパ壁がストッパ部材に当接する度にストッパ部材に引き抜き力が作用して、ストッパ部材が保持部から脱落しやすくなる。
【0004】
このようなストッパ部材の保持部からの抜け出しを防止するために、発明者らは、特許文献2に記載のフューエルリッドロック装置を開示している(図12参照)。このフューエルリッドロック装置80は、ボデー81とカバー82とを嵌合させて形成されるハウジング800と、ハウジング800内に収容された電動モータによって駆動されるウォーム84と、ハウジング800内に枢支されウォーム84の作動により一方向及び他方向に回転可能なウォームホイール85と、ハウジング800内に軸方向に移動可能に支持され、リッド体と係脱するロックシャフト86とを備えている。
【0005】
また、ボデー81の底面部81aから保持部81bが突出しており、この保持部81bにストッパ部材88が嵌合されている。また、カバー82の内面82aから円柱形状のストッパ抜止部82bが突出しており、このストッパ抜止部82bがウォームホイール85に形成された弧状のスリット85aを貫通して、ストッパ部材88の端面と当接することによって、ストッパ部材88の保持部81bからの抜け出しが規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−302680号公報
【特許文献2】特開2010−106438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したフューエルリッドロック装置80のウォームホイール85には、ストッパ抜止部82bを挿通させるための弧状のスリット85aが形成されている。このため、ウォームホイール85の剛性が低下するという課題があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ウォームホイール等の出力ギヤの剛性の低下を招くことがなく、出力ギヤの回動を規制するストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止し得るフューエルリッドロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係るフューエルリッドロック装置の構成上の特徴は、第1ボデーと第2ボデーとを嵌合させて形成されるハウジングと、前記ハウジング内に収容された駆動用モータと、前記ハウジング内に枢支され前記駆動用モータの作動により一方向及び他方向に回転可能な出力ギヤと、前記ハウジング内に移動可能に支持され、前記出力ギヤの前記一方向への回動により一側に移動して車両ボデーに設けられたリッド体を開放不能とすると共に、該出力ギヤの前記他方向への回動により他側に移動して該リッド体を開放可能とする移動部材と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか一方に保持されたストッパ部材と、前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか他方に形成され、前記ストッパ部材と当接することにより該出力ギヤの回動を規制するストッパ壁と、前記第1ボデー又は前記出力ギヤのうちの前記ストッパ壁が形成された側に該ストッパ壁と近接して形成され、前記ストッパ部材と該ストッパ壁とが当接する際に、該出力ギヤの回転軸方向において該ストッパ部材と当接することによって、該ストッパ部材の該出力ギヤの回転軸方向への抜け出しを規制するストッパ抜止部と、を備えることである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載のフューエルリッドロック装置において、前記ストッパ部材は、前記第1ボデーに保持されており、前記ストッパ壁は、前記出力ギヤに形成されていると共に、該出力ギヤの回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁と第2ストッパ壁とよりなり、前記ストッパ抜止部は、前記出力ギヤに形成されていると共に、前記第1ストッパ壁から前記第2ストッパ壁に至る弧状の突出部を有し、前記ストッパ部材と該第1ストッパ壁及び該第2ストッパ壁とが当接する際に、該ストッパ部材と当接可能であることである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2に記載のフューエルリッドロック装置において、前記出力ギヤの回転軸として前記第1ボデーに形成され、先端に係止爪が形成された軸部材と、前記第2ボデーに形成され、スナップフィット構造によって前記軸部材の前記係止爪を係止して前記第1ボデーに対して該第2ボデーを係止する係止孔と、前記第2ボデーに形成され、前記出力ギヤの回転軸方向において該出力ギヤと当接することによって、該出力ギヤの前記軸部材からの抜け出しを規制する出力ギヤ抜止部と、を備えることである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3に記載のフューエルリッドロック装置において、前記出力ギヤ抜止部は、少なくとも該出力ギヤの回転軸近傍及び外周面近傍の2箇所で該出力ギヤと当接することである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項3又は4に記載のフューエルリッドロック装置において、前記軸部材が形成された前記第1ボデーと、前記係止孔が形成された前記第2ボデーとのいずれか一方の部材色が明色とされていると共に、いずれか他方の部材色が暗色とされていることである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、第1ボデー又は出力ギヤのいずれか一方にストッパ部材が保持されていると共に、第1ボデー又は出力ギヤのいずれか他方にストッパ抜止部が形成されている。そして、ストッパ部材とストッパ壁とが当接して出力ギヤの回動が規制される際に、出力ギヤの回転軸方向においてストッパ抜止部がストッパ部材と当接することによって、ストッパ部材の出力ギヤの回転軸方向への抜け出しが規制される。すなわち、ストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に浮き上がろうとすると、ストッパ部材と当接したストッパ抜止部がこれを阻止しようとする。よって、出力ギヤに剛性の低下を招くような穴加工等を施すことなく、ストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、第1ボデーにストッパ部材が保持されていると共に、出力ギヤにストッパ壁とストッパ抜止部とが形成されている。そして、ストッパ壁は、出力ギヤの回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁と第2ストッパ壁とよりなり、ストッパ抜止部は、第1ストッパ壁から第2ストッパ壁に至る弧状の突出部を有している。このように、弧状の突出部を有するストッパ抜止部で出力ギヤが補強されることによって、出力ギヤの剛性を向上させつつ、ストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、出力ギヤの回転軸として第1ボデーに形成された軸部材と、第2ボデーに形成された係止孔とが、スナップフィット構造によって係止される。これにより、簡易な構造で第1ボデーに対して第2ボデーを確実に係止することができる。また、請求項3に係る発明によれば、第2ボデーに形成された出力ギヤ抜止部が、出力ギヤの回転軸方向において出力ギヤと当接することによって、出力ギヤの軸部材からの抜け出しが規制される。これにより、第1ボデーに対する出力ギヤの位置がずれることがなく、ストッパ抜止部がストッパ部材に確実に当接するため、ストッパ部材の出力ギヤの回転軸方向への抜け出しが確実に規制される。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、出力ギヤ抜止部は、少なくとも出力ギヤの回転軸近傍及び外周面近傍の2箇所で出力ギヤと当接する。このように、出力ギヤ抜止部が出力ギヤの極力離れた2箇所で当接することによって、当接点間距離(支点間距離)が大きい分、出力ギヤの回動時のぶれが生じにくい。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、軸部材が形成された第1ボデーと、係止孔が形成された第2ボデーとのいずれか一方の部材色が明色とされていると共に、いずれか他方の部材色が暗色とされている。これにより、軸部材の係止爪が係止孔に係止されている状況が部材色の明暗によって認識しやすくなる。よって、第1ボデーに対して第2ボデーを確実に係止することができる。例えば、明色としては、白、薄いピンク、黄、暗色としては、黒、濃い緑、濃い茶を用いることができる。また、係止状況の確認は組立作業者が目視により行うことができるほか、色の明暗を判別するセンサーで画像判別して係止状況を確認することもできる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、ウォームホイール等の出力ギヤの剛性の低下を招くことがなく、出力ギヤの回動を規制するストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止し得るフューエルリッドロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によるフューエルリッドロック装置の斜視図である。
【図2】図1に示したフューエルリッドロック装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示したフューエルリッドロック装置がアンロック位置にある状態を、カバーを取り外して内部を見た場合の正面図である。
【図4】図1に示したフューエルリッドロック装置がロック位置にある状態を、カバーを取り外して内部を見た場合の正面図である。
【図5】図1に示したフューエルリッドロック装置のロックシャフトとリッド体との係合状態を示した部分図である。
【図6】図1に示したフューエルリッドロック装置のA−A断面図である。
【図7】図1に示したフューエルリッドロック装置のウォームホイールをボデー側から見た斜視図である。
【図8】図1に示したフューエルリッドロック装置のカバーを内側から見た斜視図である。
【図9】図1に示したフューエルリッドロック装置のA−A断面図を、部材色の明暗を用いて説明する断面図である。
【図10】図1に示したフューエルリッドロック装置を、部材色の明暗を用いて説明する部分正面図である。
【図11】図1に示したフューエルリッドロック装置の係止片と係止突部との係合状態を、部材色の明暗を用いて説明する部分側面図である。
【図12】従来のフューエルリッドロック装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1乃至図11に基づき、本発明の一実施形態1によるフューエルリッドロック装置1について説明する。尚、特に断らなければ、図3における紙面上の右方をフューエルリッドロック装置1の前方とし、左方を後方として説明する。また、図3における紙面上の上方及び下方をフューエルリッドロック装置1の上方及び下方として説明する。フューエルリッドロック装置1は、車両ボデー3に設けられ、内部に給油口(図示せず)が収容されたフューエルリッドボックス31を開閉するリッド体32と係合して、リッド体32を開放不能とするものである(図5示)。
【0022】
図1及び2に示すように、本実施形態によるフューエルリッドロック装置1は、ボデー11(本発明の第1ボデーに該当する)とカバー12(本発明の第2ボデーに該当する)とによりアクチュエータハウジング2(本発明のハウジングに該当し、以下ハウジングと言う)が形成され、ハウジング2内に電動モータ13(本発明の駆動用モータに該当する)、ウォーム14、ウォームホイール15(本発明の出力ギヤに該当する)、ロックシャフト16(本発明の移動部材に該当する)、及びストッパ部材18が収容されて形成されている。
【0023】
ボデー11及びカバー12はともに合成樹脂材料にて形成され、上述した内部構成品が収容された後、互いに嵌合されたうえで、ボデー11の外周に形成された門形の係止片111をカバー12の外周に形成された係止突部121に係止させて一体化される。
【0024】
図6に示すように、ボデー11の底面部112には、ウォームホイール15に向けて突
出する一対の保持部113が形成されており、一対の保持部113の間にはストッパ部材18が装着されている。図2乃至図4に示すように、保持部113は、外形が概ねT形を呈しており、各保持部113は、T形のウェブの先端同士を対向させ且つ所定の間隔を隔てて配置されている。図2及び6に示すように、ボデー11の底面部112には、カバー12に向けてウォームホイール15の回転軸となる軸部材115が立設している。軸部材115の先端には3本の係止爪115aが形成されている。
【0025】
図2及び6に示すように、ボデー11の底面部112には、ウォームホイール15の枢支孔152近傍を支持する円環状の第1受部116が軸部材115の周りに形成されている。また、ウォームホイール15の外周面151近傍を支持する弧状のリブである第1受部117が形成されている。
【0026】
図8に示すように、カバー12には、カバー12の内面122から外面に向かって軸部材115が挿通する係止孔123が形成されている。スナップフィット構造によって係止孔123の口縁部に軸部材115の係止爪115aが係止されることによって、ボデー11に対してカバー12が係止される。図6に示すように、カバー12の外面には係止孔123を取り囲むようにボス124が立設しており、ボス124によって、係止爪115aが周辺部品に接触するのを防止している。
【0027】
図6及び8に示すように、カバー12の内面122には、ウォームホイール15の回転軸方向においてウォームホイール15と当接することによって、ウォームホイール15が軸部材115から抜け出すことを規制する第1出力ギヤ抜止部125と第2出力ギヤ抜止部126とが形成されている。第1出力ギヤ抜止部125は、係止孔123の周りに円環状に形成されている。また、第2出力ギヤ抜止部126は、ウォームホイール15の外周面151近傍に当接する位置に弧状のリブとして形成されている。
【0028】
電動モータ13の出力軸131はウォーム14に圧入され、ウォーム14は電動モータ13により一方向及び他方向に回転可能とされている。ウォーム14は金属あるいは合成樹脂材料にて形成され、外周面141上には歯部(図示せず)が形成されている。ウォーム14に電動モータ13の出力軸131が圧入(電動モータ13とウォーム14とが一体に)された後、電動モータ13及びウォーム14は、ボデー11の底面部112上にそれぞれ配設される。電動モータ13には、電力供給用の一対のモータ端子132が接続されており、ボデー11のコネクタ部114に挿入されたコネクタ(図示せず)からモータ端子132に電力が供給される。
【0029】
ウォームホイール15は、合成樹脂材料にて外周面151が円弧状の略扇形に形成されており、表裏を枢支孔152が貫通している。ウォームホイール15は、枢支孔152がボデー11の底面部112から突出した軸部材115に嵌合されることにより、ボデー11に対して軸部材115回りに一方向及び他方向に回転可能に取り付けられる。ウォームホイール15の外周面151には、歯部(図示せず)が形成されており、上述したウォーム14の歯部と噛合している。
【0030】
ウォームホイール15は、図2において下方に突出した係合柱153を有し、係合柱153の近傍には、図3及び7に示すように、ボデー11の底面部112に向けて突出した平坦な第1ストッパ壁154が形成されている。一方、枢支孔152の近傍には、第1ストッパ壁154と同方向へと突出した第2ストッパ壁155が形成されている。図3及び4に示すように、ウォームホイール15の回動に伴い、ストッパ部材18と第1ストッパ壁154及び第2ストッパ壁155とが当接することによって、ウォームホイール15の回動が規制される。
【0031】
ウォームホイール15の回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁154と第2ストッパ壁155との間には、第1ストッパ壁154から第2ストッパ壁155に至る弧状の一律高さのリブ(本発明の突出部に該当する)よりなるストッパ抜止部156が形成されている。図3、4及び6に示すように、ストッパ抜止部156は、ウォームホイール15の回動中、常にストッパ部材18の端面と当接又は極近接している。
【0032】
ロックシャフト16は合成樹脂材料にて長尺状に一体成形されており、前端には、リッド体32と係合するロック部161が形成されている。ロック部161は円柱状に形成され、先端部にはテーパ部161aが設けられている(図5示)。ロックシャフト16は、ボデー11のシャフト保持部118内に軸方向に移動可能に挿入されている。
【0033】
ロックシャフト16の中間部には、連動孔163がロックシャフト16の厚み方向に貫通して形成されている。連動孔163には、上述したウォームホイール15に形成された係合柱153が挿入されている。
【0034】
上述した構成によりロックシャフト16は、ウォームホイール15と係合しながらハウジング2内に軸方向(図3において前後方向)に移動可能に収容されている。また、ロックシャフト16の後端には、接続部162が形成されており、接続部162には、緊急用プルコード17の一端部171が取り付けられている。フューエルリッドロック装置1に不具合が発生し、電動モータ13によるロックシャフト16のアンロック位置への戻し作動ができなくなった場合、操作者は緊急用プルコード17のハンドル部172を手動で引っ張ることによって、自らの力でロックシャフト16を牽引することができる。
【0035】
ストッパ部材18は、EPあるいはEPDMといった耐熱性、耐候性に優れた弾性部材である合成ゴム材料にて形成されており、外形が概ねH形を呈している。図2乃至図4に示すように、ストッパ部材18のH形のウェブの両側を、各保持部113のT形のウェブの先端同士の間に挟み込むように、一対の保持部113の間にストッパ部材18が弾発的に取り付けられている。ストッパ部材18のH形の各フランジは凸曲面を外に向けた半月状を呈しており、ストッパ部材18のH形の一方のフランジの凸曲面にウォームホイール15に形成された第1ストッパ壁154が当接し、他方のフランジの凸曲面に第2ストッパ壁155が当接する。
【0036】
フューエルリッドロック装置1を形成する各構成部品をボデー11内に収容した後、ボデー11に対してカバー12を嵌合する。このとき、ボデー11の門形の係止片111をカバー12の係止突部121に係止させ、また、ボデー11の軸部材115の係止爪115aをカバー12の係止孔123に係止させて、ボデー11に対してカバー12が一体化される(前述)。これにより、電動モータ13、ウォーム14、ウォームホイール15、ロックシャフト16、及びストッパ部材18を、ボデー11とカバー12とによりがたつき無く保持することができる。
【0037】
本実施形態においては、図9乃至図11に示すように、ボデー11の部材色を暗色である黒、カバー12及びウォームホイール15の部材色を明色である白としている。これにより、図10及び11に示すように、軸部材115の係止爪115aが係止孔123に係止されている状況、及び係止片111が係止突部121に係止されている状況が部材色の明暗によって認識しやすくなっている。この係止状況の確認は組立作業者が目視により行うことができるほか、色の明暗を判別するセンサーで画像判別して係止状況を確認することもできる。
【0038】
なお、本実施形態においては、図11に示すように、ボデー11の係止片111の係止面111aは、一般的な直線状とされているが、カバー12の係止突部121の被係止面121aは、一般的な角形状とは異なり、角形状が面取りされた丸形状(半円弧状)とされている。これにより、係止片111の係止面111aに対して係止突部121の被係止面121aが線接触で係止される。
【0039】
被係止面121aが一般的な角形状とされている場合には、係止面111aと被係止面121aとが面接触となるため、面同士の擦れにより異音が発生することがあった。また、係止片111及び係止突部121の成形精度の僅かな不良やバリの残存によって、被係止面121aの角部が係止片111のコ字状の内面に引っ掛かり半嵌合状態となる虞もあった。特に、フューエルリッドロック装置1のように、ボデー11及びカバー12の寸法が小さくてたわみにくい場合には、ボデー11とカバー12とが半嵌合状態となりやすかった。
【0040】
これに対して、本実施形態のように、被係止面121aを丸形状とすることによって、係止面111aと被係止面121aとの接触面積が小さくなる分、面同士の擦れにより異音が発生しにくくなる。また、被係止面121aに角部がないため、被係止面121aが係止片111のコ字状の内面に引っ掛かることなく、ボデー11とカバー12とを確実に嵌合させることができる。
【0041】
図3乃至図5に示すように、フューエルリッドロック装置1は、リテーナ33を介してフューエルリッドボックス31の支持壁311に搭載される。リテーナ33はフューエルリッドロック装置1の構成外の部材であり、支持壁311に貫通するように取り付けられている。フューエルリッドボックス31内(図3乃至図5において支持壁311の前方)に突き出たリテーナ33の大径部331と支持壁311との間には、シールプレート34が介装されており、フューエルリッドボックス31の内外を液密的に遮断している。
図1に示すように、ボデー11のシャフト保持部118の前端部に形成されたシール溝118aには、合成ゴム材料により形成された防水リング19が装着されている。図3に示すように、フューエルリッドロック装置1のシャフト保持部118は、リテーナ33内に挿入されることにより支持壁311に固定され、シャフト保持部118とリテーナ33との間に介在する防水リング19により、双方の間がシールされている。
【0042】
図1に示すように、フューエルリッドロック装置1のシャフト保持部118からは、操作レバー119が後方に延びており、操作レバー119の途中部位には係合部119aが突出している。シャフト保持部118を、リテーナ33に対し図3において前方に挿入していくと、係合部119aがリテーナ33の内周面と当接することにより、操作レバー119が図3において上方へと撓められる。さらに、シャフト保持部118を挿入すると、操作レバー119が復元して、係合部119aがリテーナ33の凹部332(図3示)と係合することにより、シャフト保持部118の抜け止めが行われる。
【0043】
シャフト保持部118をリテーナ33に装着した状態において、ロックシャフト16がハウジング2に対し軸方向に移動しても、係合部119aと凹部332との係合により、フューエルリッドロック装置1が車両ボデー3から抜けることが防止される。また、緊急用プルコード17により、ロックシャフト16がリッド体32との係合が解除される位置に向けて牽引された場合にも、フューエルリッドロック装置1が車両ボデー3から脱落することを完全に防止することができる。
【0044】
一方、フューエルリッドロック装置1を車両ボデー3から取り外す場合、操作者が操作レバー119を図3において上方へと付勢する。このようにして、係合部119aと凹部332との係合を解除しながら、シャフト保持部118を、リテーナ33から図3における後方に引き抜くことにより容易に取り外すことができる。
【0045】
図3に示すように、ロックシャフト16がリッド体32と非係合状態(アンロック位置)にあるフューエルリッドロック装置1において、電動モータ13を所定の作動条件で作動させる。これにより、ウォーム14を介してウォームホイール15が、軸部材115を中心に、ボデー11に対して図3における反時計回りに回動する。
【0046】
これにより、ウォームホイール15の係合柱153と連動孔164において係合したロックシャフト16が、ボデー11に対し軸方向(図3において前方)に移動し、図4に示すように、ロック部161がボデー11のシャフト保持部118外に突出する(ロック位置)。このとき、ロック部161はフューエルリッドボックス31内に突出し、リッド体32と係合して開放不能な状態に保持する(図5示)。なお、図5は、フューエルリッドロック装置1の前端部について、図4における上方より見た状態を示している。
【0047】
ウォーム14により回転されたウォームホイール15は、第1ストッパ壁154がストッパ部材18のH形の一方(下方)のフランジの凸曲面に当接することにより回動が停止される。このとき、ストッパ抜止部156は、ストッパ部材18の端面と当接又は極近接しているため、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がることはない。電動モータ13と接続された図示しないコントローラは、ウォームホイール15の回動停止により発生した電動モータ13の負荷電流を検出し、電動モータ13への電力の供給を停止する。
【0048】
また、図4に示すように、ロックシャフト16がロック位置にあるフューエルリッドロック装置1において、電動モータ13を所定の作動条件で作動させて、ウォームホイール15をボデー11に対して上述した場合と逆向きに(図4において時計回りに)回動させる。これにより、ロックシャフト16をボデー11に対し軸方向(図4において後方)に移動させ、図3に示すように、ロック部161をボデー11のシャフト保持部118内に格納する(アンロック位置)。後退したロック部161は、リッド体32との係合が外れてリッド体32を開放可能な状態にする。
【0049】
ウォーム14により逆回転されたウォームホイール15は、第2ストッパ壁155がストッパ部材18のH形の他方(上方)のフランジの凸曲面に当接することにより回動が停止される。このとき、ストッパ抜止部156は、ストッパ部材18の端面と当接又は極近接しているため、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がることはない。図示しないコントローラは、ウォームホイール15の回動停止により発生した電動モータ13の負荷電流を検出し、電動モータ13への電力の供給を停止する。
本実施形態によれば、ボデー11にストッパ部材18が保持されていると共に、ウォームホイール15にストッパ抜止部156が形成されている。そして、ストッパ部材18と第1ストッパ壁154及び第2ストッパ壁155とが当接してウォームホイール15の回動が規制される際に、ウォームホイール15の回転軸方向においてストッパ抜止部156がストッパ部材18と当接することによって、ストッパ部材18の保持部113からの抜け出し(ストッパ部材18のウォームホイール15の回転軸方向への抜け出し)が規制される。
【0050】
すなわち、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がろうとすると、ストッパ部材18と当接したストッパ抜止部156がこれを阻止しようとする。よって、ウォームホイール15に剛性の低下を招くような穴加工等を施すことなく、ストッパ部材18が保持部113から抜け出すことを防止することができる。
【0051】
ここで、ストッパ抜止部156は、第1ストッパ壁154から第2ストッパ壁155に至る弧状のリブよりなる。このように、弧状のリブよりなるストッパ抜止部156でウォームホイール15が補強されることによって、ウォームホイール15の剛性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態によれば、ウォームホイール15の回転軸としてボデー11に形成された軸部材115と、カバー12に形成された係止孔123とが、スナップフィット構造によって係止される。これにより、簡易な構造でボデー11に対してカバー12を確実に係止することができる。
【0053】
本実施形態によれば、カバー12の内面122に形成された第1出力ギヤ抜止部125及び第2出力ギヤ抜止部126が、ウォームホイール15の回転軸方向においてウォームホイール15と当接することによって、ウォームホイール15の軸部材115からの抜け出しが規制される。これにより、ボデー11に対するウォームホイール15の位置がずれることがなく、ストッパ抜止部156がストッパ部材18に確実に当接するため、ストッパ部材18の保持部113からの抜け出しが確実に規制される。
【0054】
ここで、第1出力ギヤ抜止部125は、ウォームホイール15の枢支孔152近傍と当接又は極近接しており、第2出力ギヤ抜止部126は、ウォームホイール15の外周面151近傍と当接又は極近接している。このように、第1出力ギヤ抜止部125及び第2出力ギヤ抜止部126がウォームホイール15の極力離れた2箇所で当接又は極近接することによって、当接点間距離(支点間距離)が大きい分、ウォームホイール15の回動時のぶれが生じにくい。
【0055】
本実施形態によれば、ボデー11の部材色を暗色である黒、カバー12及びウォームホイール15の部材色を明色である白としている。これにより、軸部材115の係止爪115aが係止孔123に係止されている状況、及び係止片111が係止突部121に係止されている状況が部材色の明暗によって認識しやすくなっている。よって、ボデー11とカバー12とを確実に嵌合することができる。
【0056】
本発明のフューエルリッドロック装置1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができることは言うまでもない。
【0057】
例えば、本実施形態においては、ストッパ抜止部156を突出高さが一律の弧状のリブとして、ウォームホイール15の回動中、常にストッパ抜止部156がストッパ部材18の端面と当接又は極近接する構成としている。しかし、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がろうとするのは、ストッパ部材18と第1ストッパ壁154及び第2ストッパ壁155とが当接するときのみである。よって、ストッパ抜止部の突出高さをウォームホイール15の回動方向の両端のみで高くして、ウォームホイール15の回動中においてはストッパ抜止部がストッパ部材18に当接又は極近接しない構成とすることもできる。
【0058】
すなわち、ストッパ抜止部156の弧状の中間部の突出高さを両端部の突出高さよりも低くして、ストッパ抜止部をウォームホイール15の回動方向に突出高さが変化する弧状のリブとして形成することができる。また、ストッパ抜止部156の弧状の中間部の突出高さをゼロとして、ストッパ抜止部を第1ストッパ壁154に隣接した位置と第2ストッパ壁155に隣接した位置との2箇所に分けて形成することもできる。
【0059】
また、本実施形態においては、ストッパ抜止部156を断面矩形状に突出したリブとしているが、ストッパ抜止部を断面半円状に突出した突出部とすることもできる。
【0060】
また、本実施形態においては、ボデー11にストッパ部材18が保持されていると共に、ウォームホイール15に、第1ストッパ壁154、第2ストッパ壁155、及びストッパ抜止部156が形成されている。しかし、これとは逆に、ウォームホイール15にストッパ部材18を保持すると共に、ボデー11に第1ストッパ壁、第2ストッパ壁、及びストッパ抜止部を形成することもできる。
【0061】
また、本実施形態においては、ボデー11の部材色を暗色である黒、カバー12及びウォームホイール15の部材色を明色である白としている。しかし、ボデー11の部材色を明色、カバー12及びウォームホイール15の部材色を暗色とすることもできる。ここで、明色及び暗色は、容易に色の違いが認識できる程度に異なる明度とすることが好ましく、明色としては、白以外に、薄いピンク、黄などを用いることができ、暗色としては、黒以外に、濃い緑、濃い茶などを用いることができる。
【0062】
また、本実施形態においては、フューエルリッドロック装置1を、フューエルリッドボックス31の支持壁311とは別体のリテーナ33を介してフューエルリッドボックス31の支持壁311に搭載している。ここで、リテーナ33と支持壁311とを接着、溶着等により接合一体化しておいてもよい。また、リテーナと支持壁とを樹脂等により一体成形してもよい。リテーナと支持壁とを一体成形する場合には、シールプレート34が廃止され、防水リング19のみによってフューエルリッドボックス31の内外が液密的に遮断される。
【符号の説明】
【0063】
1 … フューエルリッドロック装置 2 … ハウジング
3 … 車両ボデー 11 … ボデー(第1ボデー)
12 … カバー(第2ボデー) 13 … 電動モータ(駆動用モータ)
15 … ウォームホイール(出力ギヤ) 16 … ロックシャフト(移動部材)
18 … ストッパ部材 32 … リッド体
115… 軸部材 115a… 係止爪
123… 係止孔 125… 第1出力ギヤ抜止部
126… 第2出力ギヤ抜止部 151… 外周面
154… 第1ストッパ壁 155… 第2ストッパ壁
156… ストッパ抜止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッド体を閉止状態に保持するフューエルリッドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給油口を含んだフューエルリッドボックスを開閉するリッド体を閉止した状態で保持するためのフューエルリッドロック装置に関する従来技術があった(例えば、特許文献1)。このフューエルリッドロック装置は、車両ボデーに取り付けられ、スプリングにより常にシャフト部材を付勢して、ハウジングから突出したシャフト部材の先端をリッド体と係合させている(ロック位置)。給油時には電動モータにより駆動されたウォームホイールによってシャフト部材を引き戻し、リッド体との係合を解除している(アンロック位置)。
【0003】
この従来技術によるフューエルリッドロック装置においては、ハウジングの底面部から円柱形状の保持部が突出しており、この保持部に合成ゴム等の弾性体よりなる円筒形状のストッパ部材が外嵌されている。このストッパ部材にウォームホイールの下面に設けられたストッパ壁が当接することによって、ウォームホイールの回動が停止され、延いては、シャフト部材の移動が規制されている。
この従来技術において使用されているストッパ部材は、単に保持部に圧入状態で外嵌されているのみである。このため、ウォームホイールに設けられたストッパ壁がストッパ部材に当接することによりストッパ部材に撓みが繰り返し発生して、ストッパ部材が保持部の上方に浮き上がり、やがては保持部から抜け落ちてしまうおそれがあった。特に、ウォームホイールがはすば歯車によって駆動されている場合には、ストッパ壁がストッパ部材に当接する度にストッパ部材に引き抜き力が作用して、ストッパ部材が保持部から脱落しやすくなる。
【0004】
このようなストッパ部材の保持部からの抜け出しを防止するために、発明者らは、特許文献2に記載のフューエルリッドロック装置を開示している(図12参照)。このフューエルリッドロック装置80は、ボデー81とカバー82とを嵌合させて形成されるハウジング800と、ハウジング800内に収容された電動モータによって駆動されるウォーム84と、ハウジング800内に枢支されウォーム84の作動により一方向及び他方向に回転可能なウォームホイール85と、ハウジング800内に軸方向に移動可能に支持され、リッド体と係脱するロックシャフト86とを備えている。
【0005】
また、ボデー81の底面部81aから保持部81bが突出しており、この保持部81bにストッパ部材88が嵌合されている。また、カバー82の内面82aから円柱形状のストッパ抜止部82bが突出しており、このストッパ抜止部82bがウォームホイール85に形成された弧状のスリット85aを貫通して、ストッパ部材88の端面と当接することによって、ストッパ部材88の保持部81bからの抜け出しが規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−302680号公報
【特許文献2】特開2010−106438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したフューエルリッドロック装置80のウォームホイール85には、ストッパ抜止部82bを挿通させるための弧状のスリット85aが形成されている。このため、ウォームホイール85の剛性が低下するという課題があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ウォームホイール等の出力ギヤの剛性の低下を招くことがなく、出力ギヤの回動を規制するストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止し得るフューエルリッドロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係るフューエルリッドロック装置の構成上の特徴は、第1ボデーと第2ボデーとを嵌合させて形成されるハウジングと、前記ハウジング内に収容された駆動用モータと、前記ハウジング内に枢支され前記駆動用モータの作動により一方向及び他方向に回転可能な出力ギヤと、前記ハウジング内に移動可能に支持され、前記出力ギヤの前記一方向への回動により一側に移動して車両ボデーに設けられたリッド体を開放不能とすると共に、該出力ギヤの前記他方向への回動により他側に移動して該リッド体を開放可能とする移動部材と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか一方に保持されたストッパ部材と、前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか他方に形成され、前記ストッパ部材と当接することにより該出力ギヤの回動を規制するストッパ壁と、前記第1ボデー又は前記出力ギヤのうちの前記ストッパ壁が形成された側に該ストッパ壁と近接して形成され、前記ストッパ部材と該ストッパ壁とが当接する際に、該出力ギヤの回転軸方向において該ストッパ部材と当接することによって、該ストッパ部材の該出力ギヤの回転軸方向への抜け出しを規制するストッパ抜止部と、を備えることである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載のフューエルリッドロック装置において、前記ストッパ部材は、前記第1ボデーに保持されており、前記ストッパ壁は、前記出力ギヤに形成されていると共に、該出力ギヤの回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁と第2ストッパ壁とよりなり、前記ストッパ抜止部は、前記出力ギヤに形成されていると共に、前記第1ストッパ壁から前記第2ストッパ壁に至る弧状の突出部を有し、前記ストッパ部材と該第1ストッパ壁及び該第2ストッパ壁とが当接する際に、該ストッパ部材と当接可能であることである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2に記載のフューエルリッドロック装置において、前記出力ギヤの回転軸として前記第1ボデーに形成され、先端に係止爪が形成された軸部材と、前記第2ボデーに形成され、スナップフィット構造によって前記軸部材の前記係止爪を係止して前記第1ボデーに対して該第2ボデーを係止する係止孔と、前記第2ボデーに形成され、前記出力ギヤの回転軸方向において該出力ギヤと当接することによって、該出力ギヤの前記軸部材からの抜け出しを規制する出力ギヤ抜止部と、を備えることである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3に記載のフューエルリッドロック装置において、前記出力ギヤ抜止部は、少なくとも該出力ギヤの回転軸近傍及び外周面近傍の2箇所で該出力ギヤと当接することである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項3又は4に記載のフューエルリッドロック装置において、前記軸部材が形成された前記第1ボデーと、前記係止孔が形成された前記第2ボデーとのいずれか一方の部材色が明色とされていると共に、いずれか他方の部材色が暗色とされていることである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、第1ボデー又は出力ギヤのいずれか一方にストッパ部材が保持されていると共に、第1ボデー又は出力ギヤのいずれか他方にストッパ抜止部が形成されている。そして、ストッパ部材とストッパ壁とが当接して出力ギヤの回動が規制される際に、出力ギヤの回転軸方向においてストッパ抜止部がストッパ部材と当接することによって、ストッパ部材の出力ギヤの回転軸方向への抜け出しが規制される。すなわち、ストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に浮き上がろうとすると、ストッパ部材と当接したストッパ抜止部がこれを阻止しようとする。よって、出力ギヤに剛性の低下を招くような穴加工等を施すことなく、ストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、第1ボデーにストッパ部材が保持されていると共に、出力ギヤにストッパ壁とストッパ抜止部とが形成されている。そして、ストッパ壁は、出力ギヤの回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁と第2ストッパ壁とよりなり、ストッパ抜止部は、第1ストッパ壁から第2ストッパ壁に至る弧状の突出部を有している。このように、弧状の突出部を有するストッパ抜止部で出力ギヤが補強されることによって、出力ギヤの剛性を向上させつつ、ストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、出力ギヤの回転軸として第1ボデーに形成された軸部材と、第2ボデーに形成された係止孔とが、スナップフィット構造によって係止される。これにより、簡易な構造で第1ボデーに対して第2ボデーを確実に係止することができる。また、請求項3に係る発明によれば、第2ボデーに形成された出力ギヤ抜止部が、出力ギヤの回転軸方向において出力ギヤと当接することによって、出力ギヤの軸部材からの抜け出しが規制される。これにより、第1ボデーに対する出力ギヤの位置がずれることがなく、ストッパ抜止部がストッパ部材に確実に当接するため、ストッパ部材の出力ギヤの回転軸方向への抜け出しが確実に規制される。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、出力ギヤ抜止部は、少なくとも出力ギヤの回転軸近傍及び外周面近傍の2箇所で出力ギヤと当接する。このように、出力ギヤ抜止部が出力ギヤの極力離れた2箇所で当接することによって、当接点間距離(支点間距離)が大きい分、出力ギヤの回動時のぶれが生じにくい。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、軸部材が形成された第1ボデーと、係止孔が形成された第2ボデーとのいずれか一方の部材色が明色とされていると共に、いずれか他方の部材色が暗色とされている。これにより、軸部材の係止爪が係止孔に係止されている状況が部材色の明暗によって認識しやすくなる。よって、第1ボデーに対して第2ボデーを確実に係止することができる。例えば、明色としては、白、薄いピンク、黄、暗色としては、黒、濃い緑、濃い茶を用いることができる。また、係止状況の確認は組立作業者が目視により行うことができるほか、色の明暗を判別するセンサーで画像判別して係止状況を確認することもできる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、ウォームホイール等の出力ギヤの剛性の低下を招くことがなく、出力ギヤの回動を規制するストッパ部材が出力ギヤの回転軸方向に抜け出すことを防止し得るフューエルリッドロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によるフューエルリッドロック装置の斜視図である。
【図2】図1に示したフューエルリッドロック装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示したフューエルリッドロック装置がアンロック位置にある状態を、カバーを取り外して内部を見た場合の正面図である。
【図4】図1に示したフューエルリッドロック装置がロック位置にある状態を、カバーを取り外して内部を見た場合の正面図である。
【図5】図1に示したフューエルリッドロック装置のロックシャフトとリッド体との係合状態を示した部分図である。
【図6】図1に示したフューエルリッドロック装置のA−A断面図である。
【図7】図1に示したフューエルリッドロック装置のウォームホイールをボデー側から見た斜視図である。
【図8】図1に示したフューエルリッドロック装置のカバーを内側から見た斜視図である。
【図9】図1に示したフューエルリッドロック装置のA−A断面図を、部材色の明暗を用いて説明する断面図である。
【図10】図1に示したフューエルリッドロック装置を、部材色の明暗を用いて説明する部分正面図である。
【図11】図1に示したフューエルリッドロック装置の係止片と係止突部との係合状態を、部材色の明暗を用いて説明する部分側面図である。
【図12】従来のフューエルリッドロック装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1乃至図11に基づき、本発明の一実施形態1によるフューエルリッドロック装置1について説明する。尚、特に断らなければ、図3における紙面上の右方をフューエルリッドロック装置1の前方とし、左方を後方として説明する。また、図3における紙面上の上方及び下方をフューエルリッドロック装置1の上方及び下方として説明する。フューエルリッドロック装置1は、車両ボデー3に設けられ、内部に給油口(図示せず)が収容されたフューエルリッドボックス31を開閉するリッド体32と係合して、リッド体32を開放不能とするものである(図5示)。
【0022】
図1及び2に示すように、本実施形態によるフューエルリッドロック装置1は、ボデー11(本発明の第1ボデーに該当する)とカバー12(本発明の第2ボデーに該当する)とによりアクチュエータハウジング2(本発明のハウジングに該当し、以下ハウジングと言う)が形成され、ハウジング2内に電動モータ13(本発明の駆動用モータに該当する)、ウォーム14、ウォームホイール15(本発明の出力ギヤに該当する)、ロックシャフト16(本発明の移動部材に該当する)、及びストッパ部材18が収容されて形成されている。
【0023】
ボデー11及びカバー12はともに合成樹脂材料にて形成され、上述した内部構成品が収容された後、互いに嵌合されたうえで、ボデー11の外周に形成された門形の係止片111をカバー12の外周に形成された係止突部121に係止させて一体化される。
【0024】
図6に示すように、ボデー11の底面部112には、ウォームホイール15に向けて突
出する一対の保持部113が形成されており、一対の保持部113の間にはストッパ部材18が装着されている。図2乃至図4に示すように、保持部113は、外形が概ねT形を呈しており、各保持部113は、T形のウェブの先端同士を対向させ且つ所定の間隔を隔てて配置されている。図2及び6に示すように、ボデー11の底面部112には、カバー12に向けてウォームホイール15の回転軸となる軸部材115が立設している。軸部材115の先端には3本の係止爪115aが形成されている。
【0025】
図2及び6に示すように、ボデー11の底面部112には、ウォームホイール15の枢支孔152近傍を支持する円環状の第1受部116が軸部材115の周りに形成されている。また、ウォームホイール15の外周面151近傍を支持する弧状のリブである第1受部117が形成されている。
【0026】
図8に示すように、カバー12には、カバー12の内面122から外面に向かって軸部材115が挿通する係止孔123が形成されている。スナップフィット構造によって係止孔123の口縁部に軸部材115の係止爪115aが係止されることによって、ボデー11に対してカバー12が係止される。図6に示すように、カバー12の外面には係止孔123を取り囲むようにボス124が立設しており、ボス124によって、係止爪115aが周辺部品に接触するのを防止している。
【0027】
図6及び8に示すように、カバー12の内面122には、ウォームホイール15の回転軸方向においてウォームホイール15と当接することによって、ウォームホイール15が軸部材115から抜け出すことを規制する第1出力ギヤ抜止部125と第2出力ギヤ抜止部126とが形成されている。第1出力ギヤ抜止部125は、係止孔123の周りに円環状に形成されている。また、第2出力ギヤ抜止部126は、ウォームホイール15の外周面151近傍に当接する位置に弧状のリブとして形成されている。
【0028】
電動モータ13の出力軸131はウォーム14に圧入され、ウォーム14は電動モータ13により一方向及び他方向に回転可能とされている。ウォーム14は金属あるいは合成樹脂材料にて形成され、外周面141上には歯部(図示せず)が形成されている。ウォーム14に電動モータ13の出力軸131が圧入(電動モータ13とウォーム14とが一体に)された後、電動モータ13及びウォーム14は、ボデー11の底面部112上にそれぞれ配設される。電動モータ13には、電力供給用の一対のモータ端子132が接続されており、ボデー11のコネクタ部114に挿入されたコネクタ(図示せず)からモータ端子132に電力が供給される。
【0029】
ウォームホイール15は、合成樹脂材料にて外周面151が円弧状の略扇形に形成されており、表裏を枢支孔152が貫通している。ウォームホイール15は、枢支孔152がボデー11の底面部112から突出した軸部材115に嵌合されることにより、ボデー11に対して軸部材115回りに一方向及び他方向に回転可能に取り付けられる。ウォームホイール15の外周面151には、歯部(図示せず)が形成されており、上述したウォーム14の歯部と噛合している。
【0030】
ウォームホイール15は、図2において下方に突出した係合柱153を有し、係合柱153の近傍には、図3及び7に示すように、ボデー11の底面部112に向けて突出した平坦な第1ストッパ壁154が形成されている。一方、枢支孔152の近傍には、第1ストッパ壁154と同方向へと突出した第2ストッパ壁155が形成されている。図3及び4に示すように、ウォームホイール15の回動に伴い、ストッパ部材18と第1ストッパ壁154及び第2ストッパ壁155とが当接することによって、ウォームホイール15の回動が規制される。
【0031】
ウォームホイール15の回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁154と第2ストッパ壁155との間には、第1ストッパ壁154から第2ストッパ壁155に至る弧状の一律高さのリブ(本発明の突出部に該当する)よりなるストッパ抜止部156が形成されている。図3、4及び6に示すように、ストッパ抜止部156は、ウォームホイール15の回動中、常にストッパ部材18の端面と当接又は極近接している。
【0032】
ロックシャフト16は合成樹脂材料にて長尺状に一体成形されており、前端には、リッド体32と係合するロック部161が形成されている。ロック部161は円柱状に形成され、先端部にはテーパ部161aが設けられている(図5示)。ロックシャフト16は、ボデー11のシャフト保持部118内に軸方向に移動可能に挿入されている。
【0033】
ロックシャフト16の中間部には、連動孔163がロックシャフト16の厚み方向に貫通して形成されている。連動孔163には、上述したウォームホイール15に形成された係合柱153が挿入されている。
【0034】
上述した構成によりロックシャフト16は、ウォームホイール15と係合しながらハウジング2内に軸方向(図3において前後方向)に移動可能に収容されている。また、ロックシャフト16の後端には、接続部162が形成されており、接続部162には、緊急用プルコード17の一端部171が取り付けられている。フューエルリッドロック装置1に不具合が発生し、電動モータ13によるロックシャフト16のアンロック位置への戻し作動ができなくなった場合、操作者は緊急用プルコード17のハンドル部172を手動で引っ張ることによって、自らの力でロックシャフト16を牽引することができる。
【0035】
ストッパ部材18は、EPあるいはEPDMといった耐熱性、耐候性に優れた弾性部材である合成ゴム材料にて形成されており、外形が概ねH形を呈している。図2乃至図4に示すように、ストッパ部材18のH形のウェブの両側を、各保持部113のT形のウェブの先端同士の間に挟み込むように、一対の保持部113の間にストッパ部材18が弾発的に取り付けられている。ストッパ部材18のH形の各フランジは凸曲面を外に向けた半月状を呈しており、ストッパ部材18のH形の一方のフランジの凸曲面にウォームホイール15に形成された第1ストッパ壁154が当接し、他方のフランジの凸曲面に第2ストッパ壁155が当接する。
【0036】
フューエルリッドロック装置1を形成する各構成部品をボデー11内に収容した後、ボデー11に対してカバー12を嵌合する。このとき、ボデー11の門形の係止片111をカバー12の係止突部121に係止させ、また、ボデー11の軸部材115の係止爪115aをカバー12の係止孔123に係止させて、ボデー11に対してカバー12が一体化される(前述)。これにより、電動モータ13、ウォーム14、ウォームホイール15、ロックシャフト16、及びストッパ部材18を、ボデー11とカバー12とによりがたつき無く保持することができる。
【0037】
本実施形態においては、図9乃至図11に示すように、ボデー11の部材色を暗色である黒、カバー12及びウォームホイール15の部材色を明色である白としている。これにより、図10及び11に示すように、軸部材115の係止爪115aが係止孔123に係止されている状況、及び係止片111が係止突部121に係止されている状況が部材色の明暗によって認識しやすくなっている。この係止状況の確認は組立作業者が目視により行うことができるほか、色の明暗を判別するセンサーで画像判別して係止状況を確認することもできる。
【0038】
なお、本実施形態においては、図11に示すように、ボデー11の係止片111の係止面111aは、一般的な直線状とされているが、カバー12の係止突部121の被係止面121aは、一般的な角形状とは異なり、角形状が面取りされた丸形状(半円弧状)とされている。これにより、係止片111の係止面111aに対して係止突部121の被係止面121aが線接触で係止される。
【0039】
被係止面121aが一般的な角形状とされている場合には、係止面111aと被係止面121aとが面接触となるため、面同士の擦れにより異音が発生することがあった。また、係止片111及び係止突部121の成形精度の僅かな不良やバリの残存によって、被係止面121aの角部が係止片111のコ字状の内面に引っ掛かり半嵌合状態となる虞もあった。特に、フューエルリッドロック装置1のように、ボデー11及びカバー12の寸法が小さくてたわみにくい場合には、ボデー11とカバー12とが半嵌合状態となりやすかった。
【0040】
これに対して、本実施形態のように、被係止面121aを丸形状とすることによって、係止面111aと被係止面121aとの接触面積が小さくなる分、面同士の擦れにより異音が発生しにくくなる。また、被係止面121aに角部がないため、被係止面121aが係止片111のコ字状の内面に引っ掛かることなく、ボデー11とカバー12とを確実に嵌合させることができる。
【0041】
図3乃至図5に示すように、フューエルリッドロック装置1は、リテーナ33を介してフューエルリッドボックス31の支持壁311に搭載される。リテーナ33はフューエルリッドロック装置1の構成外の部材であり、支持壁311に貫通するように取り付けられている。フューエルリッドボックス31内(図3乃至図5において支持壁311の前方)に突き出たリテーナ33の大径部331と支持壁311との間には、シールプレート34が介装されており、フューエルリッドボックス31の内外を液密的に遮断している。
図1に示すように、ボデー11のシャフト保持部118の前端部に形成されたシール溝118aには、合成ゴム材料により形成された防水リング19が装着されている。図3に示すように、フューエルリッドロック装置1のシャフト保持部118は、リテーナ33内に挿入されることにより支持壁311に固定され、シャフト保持部118とリテーナ33との間に介在する防水リング19により、双方の間がシールされている。
【0042】
図1に示すように、フューエルリッドロック装置1のシャフト保持部118からは、操作レバー119が後方に延びており、操作レバー119の途中部位には係合部119aが突出している。シャフト保持部118を、リテーナ33に対し図3において前方に挿入していくと、係合部119aがリテーナ33の内周面と当接することにより、操作レバー119が図3において上方へと撓められる。さらに、シャフト保持部118を挿入すると、操作レバー119が復元して、係合部119aがリテーナ33の凹部332(図3示)と係合することにより、シャフト保持部118の抜け止めが行われる。
【0043】
シャフト保持部118をリテーナ33に装着した状態において、ロックシャフト16がハウジング2に対し軸方向に移動しても、係合部119aと凹部332との係合により、フューエルリッドロック装置1が車両ボデー3から抜けることが防止される。また、緊急用プルコード17により、ロックシャフト16がリッド体32との係合が解除される位置に向けて牽引された場合にも、フューエルリッドロック装置1が車両ボデー3から脱落することを完全に防止することができる。
【0044】
一方、フューエルリッドロック装置1を車両ボデー3から取り外す場合、操作者が操作レバー119を図3において上方へと付勢する。このようにして、係合部119aと凹部332との係合を解除しながら、シャフト保持部118を、リテーナ33から図3における後方に引き抜くことにより容易に取り外すことができる。
【0045】
図3に示すように、ロックシャフト16がリッド体32と非係合状態(アンロック位置)にあるフューエルリッドロック装置1において、電動モータ13を所定の作動条件で作動させる。これにより、ウォーム14を介してウォームホイール15が、軸部材115を中心に、ボデー11に対して図3における反時計回りに回動する。
【0046】
これにより、ウォームホイール15の係合柱153と連動孔164において係合したロックシャフト16が、ボデー11に対し軸方向(図3において前方)に移動し、図4に示すように、ロック部161がボデー11のシャフト保持部118外に突出する(ロック位置)。このとき、ロック部161はフューエルリッドボックス31内に突出し、リッド体32と係合して開放不能な状態に保持する(図5示)。なお、図5は、フューエルリッドロック装置1の前端部について、図4における上方より見た状態を示している。
【0047】
ウォーム14により回転されたウォームホイール15は、第1ストッパ壁154がストッパ部材18のH形の一方(下方)のフランジの凸曲面に当接することにより回動が停止される。このとき、ストッパ抜止部156は、ストッパ部材18の端面と当接又は極近接しているため、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がることはない。電動モータ13と接続された図示しないコントローラは、ウォームホイール15の回動停止により発生した電動モータ13の負荷電流を検出し、電動モータ13への電力の供給を停止する。
【0048】
また、図4に示すように、ロックシャフト16がロック位置にあるフューエルリッドロック装置1において、電動モータ13を所定の作動条件で作動させて、ウォームホイール15をボデー11に対して上述した場合と逆向きに(図4において時計回りに)回動させる。これにより、ロックシャフト16をボデー11に対し軸方向(図4において後方)に移動させ、図3に示すように、ロック部161をボデー11のシャフト保持部118内に格納する(アンロック位置)。後退したロック部161は、リッド体32との係合が外れてリッド体32を開放可能な状態にする。
【0049】
ウォーム14により逆回転されたウォームホイール15は、第2ストッパ壁155がストッパ部材18のH形の他方(上方)のフランジの凸曲面に当接することにより回動が停止される。このとき、ストッパ抜止部156は、ストッパ部材18の端面と当接又は極近接しているため、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がることはない。図示しないコントローラは、ウォームホイール15の回動停止により発生した電動モータ13の負荷電流を検出し、電動モータ13への電力の供給を停止する。
本実施形態によれば、ボデー11にストッパ部材18が保持されていると共に、ウォームホイール15にストッパ抜止部156が形成されている。そして、ストッパ部材18と第1ストッパ壁154及び第2ストッパ壁155とが当接してウォームホイール15の回動が規制される際に、ウォームホイール15の回転軸方向においてストッパ抜止部156がストッパ部材18と当接することによって、ストッパ部材18の保持部113からの抜け出し(ストッパ部材18のウォームホイール15の回転軸方向への抜け出し)が規制される。
【0050】
すなわち、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がろうとすると、ストッパ部材18と当接したストッパ抜止部156がこれを阻止しようとする。よって、ウォームホイール15に剛性の低下を招くような穴加工等を施すことなく、ストッパ部材18が保持部113から抜け出すことを防止することができる。
【0051】
ここで、ストッパ抜止部156は、第1ストッパ壁154から第2ストッパ壁155に至る弧状のリブよりなる。このように、弧状のリブよりなるストッパ抜止部156でウォームホイール15が補強されることによって、ウォームホイール15の剛性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態によれば、ウォームホイール15の回転軸としてボデー11に形成された軸部材115と、カバー12に形成された係止孔123とが、スナップフィット構造によって係止される。これにより、簡易な構造でボデー11に対してカバー12を確実に係止することができる。
【0053】
本実施形態によれば、カバー12の内面122に形成された第1出力ギヤ抜止部125及び第2出力ギヤ抜止部126が、ウォームホイール15の回転軸方向においてウォームホイール15と当接することによって、ウォームホイール15の軸部材115からの抜け出しが規制される。これにより、ボデー11に対するウォームホイール15の位置がずれることがなく、ストッパ抜止部156がストッパ部材18に確実に当接するため、ストッパ部材18の保持部113からの抜け出しが確実に規制される。
【0054】
ここで、第1出力ギヤ抜止部125は、ウォームホイール15の枢支孔152近傍と当接又は極近接しており、第2出力ギヤ抜止部126は、ウォームホイール15の外周面151近傍と当接又は極近接している。このように、第1出力ギヤ抜止部125及び第2出力ギヤ抜止部126がウォームホイール15の極力離れた2箇所で当接又は極近接することによって、当接点間距離(支点間距離)が大きい分、ウォームホイール15の回動時のぶれが生じにくい。
【0055】
本実施形態によれば、ボデー11の部材色を暗色である黒、カバー12及びウォームホイール15の部材色を明色である白としている。これにより、軸部材115の係止爪115aが係止孔123に係止されている状況、及び係止片111が係止突部121に係止されている状況が部材色の明暗によって認識しやすくなっている。よって、ボデー11とカバー12とを確実に嵌合することができる。
【0056】
本発明のフューエルリッドロック装置1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができることは言うまでもない。
【0057】
例えば、本実施形態においては、ストッパ抜止部156を突出高さが一律の弧状のリブとして、ウォームホイール15の回動中、常にストッパ抜止部156がストッパ部材18の端面と当接又は極近接する構成としている。しかし、ストッパ部材18が保持部113から浮き上がろうとするのは、ストッパ部材18と第1ストッパ壁154及び第2ストッパ壁155とが当接するときのみである。よって、ストッパ抜止部の突出高さをウォームホイール15の回動方向の両端のみで高くして、ウォームホイール15の回動中においてはストッパ抜止部がストッパ部材18に当接又は極近接しない構成とすることもできる。
【0058】
すなわち、ストッパ抜止部156の弧状の中間部の突出高さを両端部の突出高さよりも低くして、ストッパ抜止部をウォームホイール15の回動方向に突出高さが変化する弧状のリブとして形成することができる。また、ストッパ抜止部156の弧状の中間部の突出高さをゼロとして、ストッパ抜止部を第1ストッパ壁154に隣接した位置と第2ストッパ壁155に隣接した位置との2箇所に分けて形成することもできる。
【0059】
また、本実施形態においては、ストッパ抜止部156を断面矩形状に突出したリブとしているが、ストッパ抜止部を断面半円状に突出した突出部とすることもできる。
【0060】
また、本実施形態においては、ボデー11にストッパ部材18が保持されていると共に、ウォームホイール15に、第1ストッパ壁154、第2ストッパ壁155、及びストッパ抜止部156が形成されている。しかし、これとは逆に、ウォームホイール15にストッパ部材18を保持すると共に、ボデー11に第1ストッパ壁、第2ストッパ壁、及びストッパ抜止部を形成することもできる。
【0061】
また、本実施形態においては、ボデー11の部材色を暗色である黒、カバー12及びウォームホイール15の部材色を明色である白としている。しかし、ボデー11の部材色を明色、カバー12及びウォームホイール15の部材色を暗色とすることもできる。ここで、明色及び暗色は、容易に色の違いが認識できる程度に異なる明度とすることが好ましく、明色としては、白以外に、薄いピンク、黄などを用いることができ、暗色としては、黒以外に、濃い緑、濃い茶などを用いることができる。
【0062】
また、本実施形態においては、フューエルリッドロック装置1を、フューエルリッドボックス31の支持壁311とは別体のリテーナ33を介してフューエルリッドボックス31の支持壁311に搭載している。ここで、リテーナ33と支持壁311とを接着、溶着等により接合一体化しておいてもよい。また、リテーナと支持壁とを樹脂等により一体成形してもよい。リテーナと支持壁とを一体成形する場合には、シールプレート34が廃止され、防水リング19のみによってフューエルリッドボックス31の内外が液密的に遮断される。
【符号の説明】
【0063】
1 … フューエルリッドロック装置 2 … ハウジング
3 … 車両ボデー 11 … ボデー(第1ボデー)
12 … カバー(第2ボデー) 13 … 電動モータ(駆動用モータ)
15 … ウォームホイール(出力ギヤ) 16 … ロックシャフト(移動部材)
18 … ストッパ部材 32 … リッド体
115… 軸部材 115a… 係止爪
123… 係止孔 125… 第1出力ギヤ抜止部
126… 第2出力ギヤ抜止部 151… 外周面
154… 第1ストッパ壁 155… 第2ストッパ壁
156… ストッパ抜止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ボデーと第2ボデーとを嵌合させて形成されるハウジングと、
前記ハウジング内に収容された駆動用モータと、
前記ハウジング内に枢支され前記駆動用モータの作動により一方向及び他方向に回転可能な出力ギヤと、
前記ハウジング内に移動可能に支持され、前記出力ギヤの前記一方向への回動により一側に移動して車両ボデーに設けられたリッド体を開放不能とすると共に、該出力ギヤの前記他方向への回動により他側に移動して該リッド体を開放可能とする移動部材と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか一方に保持されたストッパ部材と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか他方に形成され、前記ストッパ部材と当接することにより該出力ギヤの回動を規制するストッパ壁と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのうちの前記ストッパ壁が形成された側に該ストッパ壁と近接して形成され、前記ストッパ部材と該ストッパ壁とが当接する際に、該出力ギヤの回転軸方向において該ストッパ部材と当接することによって、該ストッパ部材の該出力ギヤの回転軸方向への抜け出しを規制するストッパ抜止部と、
を備えるフューエルリッドロック装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記第1ボデーに保持されており、
前記ストッパ壁は、前記出力ギヤに形成されていると共に、該出力ギヤの回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁と第2ストッパ壁とよりなり、
前記ストッパ抜止部は、前記出力ギヤに形成されていると共に、前記第1ストッパ壁から前記第2ストッパ壁に至る弧状の突出部を有し、前記ストッパ部材と該第1ストッパ壁及び該第2ストッパ壁とが当接する際に、該ストッパ部材と当接可能である請求項1に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項3】
前記出力ギヤの回転軸として前記第1ボデーに形成され、先端に係止爪が形成された軸部材と、
前記第2ボデーに形成され、スナップフィット構造によって前記軸部材の前記係止爪を係止して前記第1ボデーに対して該第2ボデーを係止する係止孔と、
前記第2ボデーに形成され、前記出力ギヤの回転軸方向において該出力ギヤと当接することによって、該出力ギヤの前記軸部材からの抜け出しを規制する出力ギヤ抜止部と、
を備える請求項1又は2に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項4】
前記出力ギヤ抜止部は、少なくとも該出力ギヤの回転軸近傍及び外周面近傍の2箇所で該出力ギヤと当接する請求項3に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項5】
前記軸部材が形成された前記第1ボデーと、前記係止孔が形成された前記第2ボデーとのいずれか一方の部材色が明色とされていると共に、いずれか他方の部材色が暗色とされている請求項3又は4に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項1】
第1ボデーと第2ボデーとを嵌合させて形成されるハウジングと、
前記ハウジング内に収容された駆動用モータと、
前記ハウジング内に枢支され前記駆動用モータの作動により一方向及び他方向に回転可能な出力ギヤと、
前記ハウジング内に移動可能に支持され、前記出力ギヤの前記一方向への回動により一側に移動して車両ボデーに設けられたリッド体を開放不能とすると共に、該出力ギヤの前記他方向への回動により他側に移動して該リッド体を開放可能とする移動部材と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか一方に保持されたストッパ部材と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのいずれか他方に形成され、前記ストッパ部材と当接することにより該出力ギヤの回動を規制するストッパ壁と、
前記第1ボデー又は前記出力ギヤのうちの前記ストッパ壁が形成された側に該ストッパ壁と近接して形成され、前記ストッパ部材と該ストッパ壁とが当接する際に、該出力ギヤの回転軸方向において該ストッパ部材と当接することによって、該ストッパ部材の該出力ギヤの回転軸方向への抜け出しを規制するストッパ抜止部と、
を備えるフューエルリッドロック装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記第1ボデーに保持されており、
前記ストッパ壁は、前記出力ギヤに形成されていると共に、該出力ギヤの回動方向に間隔を隔てて配置された第1ストッパ壁と第2ストッパ壁とよりなり、
前記ストッパ抜止部は、前記出力ギヤに形成されていると共に、前記第1ストッパ壁から前記第2ストッパ壁に至る弧状の突出部を有し、前記ストッパ部材と該第1ストッパ壁及び該第2ストッパ壁とが当接する際に、該ストッパ部材と当接可能である請求項1に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項3】
前記出力ギヤの回転軸として前記第1ボデーに形成され、先端に係止爪が形成された軸部材と、
前記第2ボデーに形成され、スナップフィット構造によって前記軸部材の前記係止爪を係止して前記第1ボデーに対して該第2ボデーを係止する係止孔と、
前記第2ボデーに形成され、前記出力ギヤの回転軸方向において該出力ギヤと当接することによって、該出力ギヤの前記軸部材からの抜け出しを規制する出力ギヤ抜止部と、
を備える請求項1又は2に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項4】
前記出力ギヤ抜止部は、少なくとも該出力ギヤの回転軸近傍及び外周面近傍の2箇所で該出力ギヤと当接する請求項3に記載のフューエルリッドロック装置。
【請求項5】
前記軸部材が形成された前記第1ボデーと、前記係止孔が形成された前記第2ボデーとのいずれか一方の部材色が明色とされていると共に、いずれか他方の部材色が暗色とされている請求項3又は4に記載のフューエルリッドロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−197651(P2012−197651A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63983(P2011−63983)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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