フライヤー装置
【課題】 掻揚げ部材の回動動作により油が投入口から飛散する事態を、簡単な操作により確実に防止することでき、更には、装置の小型化を図ることが可能なフライヤー装置を提供する。
【解決手段】食品材料を投入する投入口3aと、投入口3aを開閉する開閉部材3fと、油を貯留する油槽2と、投入口3aから投入された食品材料を受け入れる開口7aを有するとともに油槽2内から油槽2外に亘って回動可能に軸支され、当該回動動作により、開口7aを投入口3aに向けた受け入れ姿勢にて食品材料を受け入れた後、油槽2に浸漬する姿勢にて食品材料を揚げ、揚げ上がった食品材料を油槽2から掻揚げる掻揚げ部材7とを備えるフライヤー装置において、開閉部材3fの閉動作に連動して開閉部材3fを閉状態にてロックし、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢で停止する動作に連動して当該ロックを解除するロック機構Rを備える。
【解決手段】食品材料を投入する投入口3aと、投入口3aを開閉する開閉部材3fと、油を貯留する油槽2と、投入口3aから投入された食品材料を受け入れる開口7aを有するとともに油槽2内から油槽2外に亘って回動可能に軸支され、当該回動動作により、開口7aを投入口3aに向けた受け入れ姿勢にて食品材料を受け入れた後、油槽2に浸漬する姿勢にて食品材料を揚げ、揚げ上がった食品材料を油槽2から掻揚げる掻揚げ部材7とを備えるフライヤー装置において、開閉部材3fの閉動作に連動して開閉部材3fを閉状態にてロックし、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢で停止する動作に連動して当該ロックを解除するロック機構Rを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品材料を油で加熱調理するためのフライヤー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンビニエンスストア等の小売店では、食品材料を電子レンジで加熱調理して提供することが行われているが、近年では、レジの近傍でフライドポテトやフライドチキン、又、コロッケやソーセージ類等を展示即売することも行われるようになっている。フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する装置としては、コンビニエンスストアのレジ近辺のスペースが限られていることから小型のフライヤー装置が使用されている。
【0003】
このような小型のフライヤー装置としては、例えば特許文献1や2に示すように、筐体内に、油が貯留される油槽と、食品材料を開口から受け入れて油槽内の油に浸漬させるとともに油槽から食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材を備えたものを、本願出願人が既に開示している。フライヤー装置には食品材料を投入する投入部が設けられており、食品材料はこの投入部の投入口から投入され、投入口に連続する内部空間を通過して排出され、掻揚げ部材の開口から受け入れられる。掻揚げ部材は、回動動作により姿勢を変化させるものであり、開口を上方に向けて投入部に合わせる縦姿勢にて食品材料を受け入れ、開口が横に位置する横姿勢に変化して食品材料を油槽に浸漬させ、再度縦姿勢となることにより加熱調理された食品材料を掻き揚げる。
【0004】
かかるフライヤー装置においては、掻揚げ部材の回動動作により油跳ねが発生し、跳ねた油が投入部から外部に飛散する可能性がある。油槽内の油は高温であり、これが飛散すると、周辺が汚れたり商品が損傷するだけでなく、怪我や火災を招く恐れがあり、非常に危険である。投入部には投入口を開閉する蓋部が設けられており、これを閉じることにより投入口からの油の飛散は防止できるが、誤操作等により掻揚げ部材の回動動作中に投入口の蓋部が開かれる可能性は否定できない。
【0005】
このため、上記従来技術では、投入部の下方に仕切り板を配し、この仕切り板に投入部と連続する所定形状の穴を形成し、この穴にスライド式のカバーを設けて投入部の排出側を開閉自在とし、投入口の蓋部と仕切り板のカバーとの二段構成としている。食品材料を揚げるには、投入部の蓋部を開けてカバーを閉じた状態として食品材料を投入し、投入部の内部空間に食品材料を一時貯留させた状態とする。そして、投入口の蓋部を閉めた後にカバーを開け、投入部の内部空間に貯留されていた食品材料を落下させて掻揚げ部材内に移動させる。その後、再度、カバーを閉めて掻揚げ部材を回動動作させる。これにより、投入口からの油の飛散を確実に防止している。
【特許文献1】特開2006−212087
【特許文献2】特開2006−212089
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、かかるフライヤー装置は、主にコンビニエンスストア等の小売店で使用され、限られた人員にて商品を迅速に提供する必要があることから、操作を少しでも簡単化することが求められる。しかしながら、上記従来技術では、投入口からの油の飛散を確実に防止するためには、上記のように決められた手順にて投入部の投入口の蓋部と仕切り板の穴のカバーの両方を段階的に操作する必要があり、非常に煩雑であった。このため、操作者に作業負担が生じるとともに、操作に要する時間ロスにより商品の迅速な提供が阻害される事態が生じていた。
【0007】
また、小売店等では設置スペースが限られていることから、装置をいかに小型化するかも重要な課題の一つである。しかしながら、上記従来技術では投入部の内部空間に食品材料を一時貯留する構成となっているため、この内部空間としてある程度の広さが必要となり、装置の小型化にとって大きな障害となっていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、掻揚げ部材の回動動作により油が投入口から飛散する事態を、簡単な操作により確実に防止することでき、更には、装置の小型化を図ることが可能なフライヤー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載のフライヤー装置は、食品材料を投入する投入口と、当該投入口を開閉する開閉部材と、油を貯留する油槽と、前記投入口から投入された食品材料を受け入れる開口を有するとともに前記油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、当該回動動作により、当該開口を前記投入口に向けた受け入れ姿勢にて食品材料を受け入れた後、前記油槽に浸漬する姿勢にて食品材料を揚げ、揚げ上がった食品材料を前記油槽から掻揚げる掻揚げ部材とを備えるフライヤー装置において、前記開閉部材の閉動作に連動して当該開閉部材を閉状態にてロックし、前記掻揚げ部材が受け入れ姿勢で停止する動作に連動して当該ロックを解除するロック機構を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、食品材料を投入する際には、掻揚げ部材を開口が投入口に向いた受け入れ姿勢とし、投入口の開閉部材を開いて食品材料を投入し、開閉部材を閉じると、その閉動作に連動して開閉部材が閉状態にてロックされる。その後、掻揚げ部材を回動動作させて、油槽に食品材料を浸漬させて揚げ、揚げ上がった食品材料を油槽から掻揚げるが、開閉部材は閉状態にてロックされているため、掻揚げ部材の回動動作中に誤って投入口が開けられる危険はない。食品材料を投入する際には、掻揚げ部材を開口が投入口に向いた受け入れ姿勢にて停止させると、それに連動してロックが解除され、開閉部材の開操作が可能となる。
【0011】
前記ロック機構は、前記開閉部材の開閉状態を検知する第一のセンサーと、前記掻揚げ部材の位置を検知する第二のセンサーと、前記第一のセンサーが前記開閉部材の開状態から閉状態への変化を検知すると、初期状態から突出状態へと変化して前記開閉部材に設けられた係合部に係合し、前記第二のセンサーが掻揚げ部材の受け入れ姿勢での停止を検知すると、初期状態に戻って係合が解除される突出部材とを備えることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、開閉部材を閉じると、前記第一のセンサーが開閉部材の開状態から閉状態への変化を検知し、突出部材が初期状態から突出状態に変化して開閉部材の係合部に係合する。これにより、開閉部材は閉動作に連動してロックされ、その後の掻揚げ部材の回動動作中において、開閉部材の開操作が不可能となる。食品材料を投入するために、掻揚げ部材を受け入れ姿勢にして停止させると、第二のセンサーがそれを検知して突出部材が初期状態に戻り、ロックが解除される。これにより、開閉部材は開操作が可能となり、食品材料を投入することができる。
【0013】
前記掻揚げ部材は、前記受け入れ姿勢のときに、前記投入口に近接する位置に配されていることが好ましい。
【0014】
従来は食品材料を一旦貯留するために投入部の内部空間や仕切り板が必要であったが、本発明はこれらが不要となるため、掻揚げ部材を投入口に接近する位置に配することができる。この発明によれば、掻揚げ部材は開口を投入口に向けた姿勢のときに、投入口に近接する位置に配されているため、投入口から掻揚げ部材までの省スペース化が図られ、装置の小型化が実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、投入口から食品材料を投入して開閉部材を閉じると、その閉操作に連動して開閉部材が閉状態にてロックされる。その後、掻揚げ部材を回動動作させるが、開閉部材はロックされているため、回動動作中に開けられる危険がない。投入口から食品材料を投入する際は、掻揚げ部材を受け入れ姿勢にて停止させると、その操作に連動して開閉部材のロックが解除される。したがって、食品材料を調理する際の必須の操作に伴って開閉部材のロックが適宜制御され、簡単な操作にて投入口からの油の飛散を確実に防止することができる。これにより、操作の負担が軽減され、商品提供の迅速化が図られる。
【0016】
上記ロック機構として、開閉部材の開閉状態を検知する第一のセンサーと、掻揚げ部材の位置を検知する第二のセンサーと、各センサーの検出結果に連動して挙動する突出部材を備える構成とすれば、簡単な構成にて上記ロック機構を実現することができる。
【0017】
また、本発明は、従来のような投入口下方に食品材料を一旦貯留する内部空間や仕切り板が不要となるため、掻揚げ部材を投入口に接近する位置に配することができる。したがって、掻揚げ部材は開口を投入口に向けた姿勢のときに、投入口に近接する位置に配することで、投入口から掻揚げ部材までの省スペース化が図られ、装置の小型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面にもとづいて説明する。
【0019】
本発明に係る実施の形態は、図1ないし図3に示すように、コンビニエンスストア等の小売店のレジ近傍に配置されて、フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する小型のフライヤー装置1であり、内部に油を貯留する油槽2と、油で加熱調理された食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材7と、蒸気をクリーンにする浄化手段11等を備え、これらが筐体14内に収納されている。筐体14には、操作する正面側1sにおいて、食品材料が投入される投入部3が設けられ、その投入部3の投入口3aを開閉する開閉部材3fが取り付けられている。浄化手段11の各フィルタF(F1〜F6)を交換するためのフィルタ交換口4faがその蓋部材4fとともに設けられている。また、フライヤー装置1の正面側1s下方には、加熱調理された食品材料を取り出すための取り出し口がその蓋部材5fとともに設けられている。また、正面側1sの下方は、片側開きの開き扉10が形成され、この開き扉10から内部の油槽2や排出プレート12を外部に取り出すことが可能になっている。なお、フライヤー装置1の開き扉10の上方位置には、操作パネルssが配され、操作パネルssのボタン操作で自動的にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する。
【0020】
フライヤー装置1の底部1bには、油槽2や排出プレート12等が配置される。加熱調理するコロッケ等の食品材料は、その蓋部材3fを開けると、その直下に掻き揚げ部材7の開口7aが近づくように構成されている(図7)。
【0021】
この油槽2は、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに、掻揚げ部材7の開口7aに対応する位置に設けられて開口7aに蓋をする蓋部材13を有する。図4は、油槽2内に取り付けられた状態の蓋部材13を説明するための斜視図であり、図5はその断面図であり、図6は、蓋部材13の斜視図である。蓋部材13は、金属板や鋼鉄板等により形成されており、被覆部13bと当接部13cと固定部13dとを備える。
【0022】
蓋部材13の被覆部13bは、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに開口7aを被覆して塞ぐ部分であり、掻揚げ部材7の回動動作を阻害しないように開口7aとの間には若干の間隙を有する。掻揚げ部材7の開口7aに対応する面は掻揚げ部材7の開口を覆うことが可能な形状であり、開口7a側の面は矩形曲面形状、後述する掻揚げ部材7の回動方向の断面においては凹状の円弧形状を呈する。被覆部13bには、複数の通過孔13aが形成されている。通過孔13aは、掻揚げ部材7内に入れられる食品材料が通過しない程度の大きさであり、被覆部13bに密に設けられている。なお、上側の領域の通過孔13aは小さく、下側の領域の通過孔13aは大きく設けることが好ましい。各通過孔13aは油の流動促進の観点からより大きく形成するのが好ましいが、油槽2内の油の上側には小型の食品材料が浮き上がるため、上側では通過孔13aを小さく形成することにより、浮いてきた食品材料や油カス(天カス)が掻揚げ部材7から流出するのを防止できる。被覆部13bの下端と油槽2内壁との間には間隙g1が形成されている。
【0023】
当接部13cは、油槽2内壁において掻揚げ部材7の開口7aと対向する内壁面2aに当接する部分である。これにより、被覆部13b側から荷重が加えられても、被覆部13bが逆側から支持されて蓋部材13の位置ズレが防止されている。本実施の形態では、二つの金属板を用いており、各金属板が被覆部13bの内壁面2a側の面に間隔を設けて配され、一端は上側の領域が被覆部13bと連結されており、他端は油槽2の内壁面2aに当接した状態となる。被覆部13bの下側の領域においては非連結であり間隙g2が形成されているが、間隙g2は十分に狭いものであり、仮に食品材料から大きな荷重が加わったとしても、被覆部13bの撓みにより当接部13cと接触して支持されるようになっている。また、当接部13cの下側には切り欠きが設けられており、油槽2内壁との間に間隙g3が形成されている。なお、当接部13cにも通過孔13aを形成し、より油の流動性を高めることが好ましい。
【0024】
固定部13dは、蓋部材13を油槽2内に着脱自在に固定する機能を有し、油槽2の外周縁に嵌合するように断面コ字状に屈曲した形状を呈する。この固定部13dを油槽2の外周縁に掛け下げるように嵌め込むことで、蓋部材13を油槽2に着脱自在に取り付け可能となっている。
【0025】
この蓋部材13は、油槽2内を仕切るように配置される。このため、油槽2内には、被覆部13bと当接部13cとに囲まれたスペースS1と、掻揚げ部材7が配置されるスペースS2とに分けられるが、両スペースS1,S2は通過孔13a、及び、間隙g1,g2,g3によって連通しており、これによりスペースS1とスペースS2との間で油の流動が可能となっている。なお、油槽2内の油は電気ヒータ2hにより加熱されるが、電気ヒータ2hは、この二つのスペースS1、S2内の油の温度が異なることなく、均一な温度となるように配されていることが好ましい。本実施の形態では、油槽2内底面の全体に亘ってジグザグに配されている。
【0026】
排出プレート12は、断面凹状を呈する鋼鉄製の部材であり、上方が開口されており、この開口から掻揚げ部材7が回動して排出プレート側に回動すると、斜め下方に設けられるようになり、食品材料を断面凹状の排出プレート12の中央の平坦部12aに排出する。この排出プレート12としては、上記平坦部12aに油取りシートを配したり、外周にパンチングメタルや網目状の部材に多数の孔を形成したものを使用することが可能である。
【0027】
掻揚げ部材7は、一側面が食品材料を受け入れるために開口した容器型に形成され(以下この開口を開口7aとする)、この掻揚げ部材7ごと食品材料を油槽2に浸漬させるとともに油槽2から取り出すもので、パンチングメタルや網目状の部材に多数の孔が形成されている。掻揚げ部材7は、底部とその外周の側壁部とからなる長方形状であり、上方側の一側面が開口7aとして形成されている。この開口7aを形成する側壁部の端部は、油槽2の蓋部材13と合致するように、回動方向に沿う辺(左右の辺)が円弧形状を呈し、回動方向に直行する辺(上下の辺)は左右の円弧形状の辺を結ぶ直線形状を呈している。油槽2の円弧状の蓋部材13と合致する。なお、円弧状に形成されている理由は、掻揚げ部材7の回動動作に対応させて、蓋部材13と開口7aとの間に形成される隙間を狭くするとともに、油槽2の底に揚げカスが溜まらないように上方に掻き揚げるためである。このためには、パンチングメタルよりも網目状のもので容器型の掻揚げ部材を形成するほうが好ましく、揚げカスの排出が容易で衛生的に保つこともできる。
【0028】
掻揚げ部材7の底部側には、軸7jとの連結部としてくの字状に形成された基端部7eが設けられ、この基端部7eにモータM1の駆動力が伝達される軸7jが取り付けられている。この軸7jをモータM1が駆動させることにより容器型の掻揚げ部材7は回動する。すなわち、掻揚げ部材7は、油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、この軸7jが油槽2の上縁部、すなわち、油槽2の正面壁の上方の支持部材2cに回転可能に取り付けられている。本実施の形態の掻揚げ部材7は、図3の油槽2内に位置する位置(符号7A)から油槽外の排出プレート12上の位置(符号7D)までに亘って回動するもので、その回動角度は、油槽2内に位置する位置(符号7A)を基準にして約200度程度回動する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されている。これは、開き扉10を開き油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除するため、つまり油槽2を外部に取り出す方向に切り欠かれた連結部材7kから上記軸7jを抜くことを可能にする工夫である。
【0029】
このような掻揚げ部材7は、油槽2内では長方形状の掻揚げ部材7を寝かせるように横長の状態に配置される(図3の符号7A)。この状態にて、開口7aが蓋部材13の閉塞部13bと合致し、開口に蓋がされる。このように、掻揚げ部材7はその容器形状のまま油槽2に浸漬されるので、食品材料が油面上に浮き上がるような事態を防止することができ、そのため、食品材料の全体、すべての面が加熱調理され、又、中身までも十分に加熱されることとなる。
【0030】
油槽2内から油槽2外に亘って回動する際においは、余分な油を切るための位置(図3の符号7Bの位置)では縦長の状態になりその回動動作が一時停止する。この位置7Bでは一旦停止するが、余分な油が除去されると、掻揚げ部材7は、排出プレート12上で一側面の開口7aがやや下を向く位置まで回動する。一方、油槽2に入れる前に投入部3aから食品材料を受けるときは、掻揚げ部材7は、やや斜めの位置にて開口7aを投入口3aに向けた受け入れ姿勢となり(図3の符号7C)、その姿勢で停止して食品材料を受け取る。
【0031】
掻揚げ部材7は、開口7aを投入口3aに向けた受け入れ姿勢(図3の符号7Aの姿勢)のときに、投入口3aに近接する位置に配されている。従来は食品材料を一旦貯留するために投入部の内部空間や仕切り板が必要であったが、後述するロック機構Rによりこれらが不要となるため、掻揚げ部材7を投入口3aに接近する位置に配することができる。これにより、投入口3aから掻揚げ部材7までの省スペース化が図られ、フライヤー装置1の小型化が実現されている。
【0032】
かかるフライヤー装置1には、投入口3の開閉部材3fの閉動作に連動して開閉部材3fを閉状態にてロックし、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢(図3の符号7C)で停止する動作に連動してロックを解除するロック機構Rが設けられている。図7は、ロック機構Rを説明する説明図であり、図8はロック機構の動作を説明する説明図である。ロック機構Rは、第一のセンサーr1と、第二のセンサーr2と、突出部材r3と、係合部r4とを備える。
【0033】
第一のセンサーr1は、筐体14に形成される投入口3a付近に設けられ、開閉部材3fの閉動作を検知する機能を備える。圧力を検知するものでも、電気的・磁気的に検知するものでも、その他、閉動作が検知できればどのようなものでも良いが、本実施の形態では、開閉部材3fの開閉状態を検知することで開状態から閉状態への変化を検知するセンサーである。詳細には、開閉部材3fが金属製であることから、金属や磁性体が近づくことによる電界や磁界の変化を検知して出力信号をONとOFFに切り換える近接スイッチを使用している。
【0034】
第二のセンサーr2は、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢(図3の符号7C、図7の状態)にて停止すると、その状態を検知する機能を有する。本実施の形態では、掻揚げ部材7が金属製であることから、第一のセンサーr1と同様の近接スイッチを使用している。掻揚げ部材7が受け入れ姿勢となったときに近接する位置、すなわち投入口3aの付近に配し、掻揚げ部材7が近接することによる電解や磁界の変化を検知して出力信号をONとOFFに切り換える。なお、本実施の形態では、掻揚げ部材7は、食品材料を排出する際にも受け入れ姿勢となる位置(図3の符号7C)を通過するため、それとの差別化を図るために、検出される近接時間をカウントし、近接時間が閾値を超えた場合は、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢にて停止したものと判断して、出力信号を切り換える設定となっている。
【0035】
突出部材r3は、第一のセンサーr1が開閉部材3fの開状態から閉状態への変化を検知すると、初期状態(図8(a))から突出状態(図8(b))へ変化して、開閉部材3fに設けられた係合部r3に係合し、又、第二のセンサーr2が掻揚げ部材7の受け入れ姿勢での停止を検知すると、突出状態(図8(b))から初期状態(図8(a))へ変化して係合が解除される。本実施の形態では、突出部材r3は筐体14内の投入口3aの付近に設けられ、第一のセンサーr1及び第二のセンサーr2と電気的に接続されて、各センサーr1,r2からの出力信号に連動して伸縮動作するアクチュエータを用いている。伸張状態においては筐体14に設けられた孔から一部突出して、開閉部材3fの係合部r4と係合する。係合部r4は、開口部材3fの筐体14内部側に設けられ、開閉部材3fが閉状態のときに突出部材r3が挿入される挿入孔が形成されており、突出部材r3がこの挿入孔に挿入することで、開口部材3fが閉状態にてロックされる。
【0036】
したがって、本実施の形態のフライヤー装置1により実際にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する場合には、まず、掻揚げ部材7を回動動作させて開口7aを投入口3aに向けた姿勢とする(図3にて符号7Cの姿勢)。この状態においては、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢で停止しているため、開閉部材3fのロックが解除される。詳細には、第二のセンサーr2が掻揚げ部材7の受け入れ姿勢での停止を検出し、その出力信号を受けて突出部材r3が引っ込み(縮小して)係合部r4から外れた状態となる(図8(a))。これにより、操作者は、開閉部材3fを開いて食品材料を投入することが可能となる。ロックは掻揚げ部材7を受け入れ姿勢とすることにより解除されるが、これは食品材料を投入する際に必須の操作であるので、ロックを解除するための特別な操作は不要である。
【0037】
操作者は、食品材料の投入が終了すると開閉部材3fを閉じる。開閉部材3fの閉動作に連動してロック機構R3により開閉部材3fが閉状態にてロックされる。詳細には、第一のセンサーr1が、開閉部材3fの開状態から閉状態への変化を検知し、その出力信号を受けて突出部材r3が伸張して係合部r4に係合した状態となる(図8(b))。操作者は、この状態にて掻揚げ部材7をモータM1により駆動して回動動作させて、油槽2への浸漬(図3の符号7A)から、油切り(図3の符号7B)、排出(図3の符号7D)を行うが、開閉部材3fはロック機構Rにより閉状態にてロックされているため、誤操作等により開閉部材3fが開けられる危険はない。開閉部材3fは閉じると同時にロックされるため、特別な操作も不要である。
【0038】
以下、掻揚げ部材7の回動動作について説明する。操作者は、この状態にて掻揚げ部材7をモータM1により駆動させ、軸7jを中心に回転して油槽2に浸漬させる。油槽2には掻揚げ部材7の開口7aと対応する蓋部材13が形成されていることから、一側面7aが開口した容器型の掻揚げ部材7を容器ごと油の中に浸漬させた状態において、一側面7aの開口から食品材料が飛び出すような事態が防止される。さらに、蓋部材13には複数の通過孔13a,,,が設けられていることから、この通過孔13a,,,を油が通過して流動する。したがって、蓋部材13によって食品材料の飛び出しを防止しつつも、熱対流等による油の流動が阻害されることがなく、揚げムラを防止することができる。蓋部材13には、油槽2内のスペースS1,S2の間を連通させる間隙g1,g2,g3が設けられており、油は間隙g1,g2,g3も通過可能であるため、更に油の流動が促進されて高い効果が得られる。たとえ、掻揚げ部材7内の食品材料が閉塞部13bに押し寄せたとしても、閉塞部13bは当接部13cにて逆側から支持されているため蓋部材13が位置ズレすることがなく、食品材料の飛び出しを確実に防止しすることができる。
【0039】
油に浸漬された食品材料は、所定時間経過後、つまり油によって加熱調理された後は、これを取り出すためにモータM1の駆動により軸7jが回転して、横長状態から縦長状態に移動する(図3の符号7B)。これにより掻揚げ部材7の内部の食品材料はその位置を徐々に変化させて表面に付着している油が除去される。すなわち、加熱調理された食品材料は、横長状態の符号7Aの位置からその姿勢を徐々に変化させて、縦長状態に変化するので(図3の符号7B)、内部の食品材料はその動きに合わせて移動して、余分に付着する油を除去する。したがって、従来のように掻揚げ部材7に振動を加えなくとも、食品材料の表面に付着した余分な油を除去することとなる。除去された油は掻揚げ部材7の底部側から油槽2に落下する。
【0040】
表面の油が除去された食品材料は、容器型の掻揚げ部材7のまま投入部7aの位置(図3の符号7C)を通過して排出プレート12の位置まで回動動作すると(図3の符号7Dの位置:図9(b)と図10参照)、掻揚げ部材7の開口7aが斜め下方に向けられ排出プレート12に排出される。この回動動作中に、掻揚げ部材7は一時受け入れ姿勢(図3の符合7C)となるが、ここでは通過するのみで停止することはないため、第二のセンサーr2にて検出されることはない。排出された食品材料は、取り出し口の蓋部材5fを開けて取り出す。すなわち、加熱調理された食品材料を箸等の挟持具で挟んで紙コップ等の容器に投入して、客に提供することとなる。
【0041】
再度、食品材料を調理するときは、掻揚げ部材7を受け入れ姿勢(図3の符号7C)として停止させる。すると、第二のセンサーr2がその状態を検出して、ロック機構Rがロック状態(図8(b))からロック解除状態となる(図8(a))。これにより、開閉部材3fの開操作が可能となり、食品材料を投入することができる。掻揚げ部材7を受け入れ姿勢とする操作は、食品材料の投入に必須の操作であり、ロックを解除するための特別な操作は不要である。以上のように、本発明によれば、食品材料を調理する過程での必須の操作にて投入口の開閉部材を適宜ロック/解除することができ、掻揚げ部材の回動動作による投入口からの油の飛散を簡単な操作にて確実に防止することができる。
【0042】
なお、油槽2内の清掃や修理等を行うときは、まず掻揚げ部材7の軸7jと連結部材7kとの連結を解除して油槽2から掻揚げ部材7を取り外し、次に蓋部材13を取り外す。これにより、清掃や修理等を容易に行うことができる。
【0043】
また、油で加熱調理する際に生じる油煙は、仕切り板1cに取り付けられた誘導管Uからダクト(油分除去管)H,ダクト(冷却装置)C,ダクト22等を経てフィルタF1〜F6を有する浄化手段11に導かれ、清浄化されて排出口Qaから排出される(図2と図3)。
【0044】
油槽2の油を交換するときには、図11に示すように、上記開き扉10を開けて、排出プレート12を取り出した後、油槽2の取っ手2tに手をかけて一対の凸部1pに沿うようにスライドして外に取り出し、油を交換する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されていることから、油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除することが可能であり、他方、連結させることも容易である。
【0045】
なお、本実施の形態では、上記ロック機構Rを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、開閉部材3fの閉動作に連動してロックした後、規定時間となるとロックを解除する機構にしても良い。ロックを解除するタイマーを設け、操作パネルss等により規定時間を適宜設定可能としても良いが、食品材料ごとにフライヤー装置の動作を制御する動作プログラムを内蔵させておき、操作パネルssのボタン操作により食品材料を選択することで、動作プログラムに従って温度調整や回動動作とともにロックの解除が自動でなされるようにしても良い。
【0046】
また、上記実施の形態では、掻揚げ部材は開口が回動の外周側(油槽内において側方)に設けられるものを例に説明したが、油槽に浸漬した状態において上方に設けられるものでも良く、これに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるフライヤー装置を示す全体斜視図である。
【図2】上記第1の実施の形態の内部構造を示す斜視図である。
【図3】上記第1の実施の形態の内部構造を示す断面図である。
【図4】上記第1の実施の形態の油槽に蓋部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】上記第1の実施の形態の油槽に蓋部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】上記第1の実施の形態の蓋部材の斜視図である。
【図7】上記第1の実施の形態のロック機構を説明する説明図である。
【図8】上記第1の実施の形態のロック機構の動作を説明する説明図であり、(a)は開閉部材のロックを解除した状態、(b)はロックした状態を示す図である。
【図9】上記第1の実施の形態の掻揚げ部材の動作を説明する斜視図である。
【図10】上記第1の実施の形態の掻揚げ部材が排出プレート上に回動した状態を示す断面図である。
【図11】上記第1の実施の形態の開き窓を開けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 フライヤー装置、
2 油槽、
3 投入部、3a 投入口、3f 投入口の開閉部材、
7 掻き揚げ部材、
7A,7B,7C,7D 掻揚げ部材が停止する位置、
7k 連結部材、7j 軸、
10 開き窓、
11 浄化手段、
12 排出プレート
13 蓋部材
13a 通過孔、13b 閉塞部、13c 当接部、13d 固定部、
F フィルタ、
R ロック機構、
r1 第一のセンサー、r2 第二のセンサー、r3突出部材、r4 係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品材料を油で加熱調理するためのフライヤー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンビニエンスストア等の小売店では、食品材料を電子レンジで加熱調理して提供することが行われているが、近年では、レジの近傍でフライドポテトやフライドチキン、又、コロッケやソーセージ類等を展示即売することも行われるようになっている。フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する装置としては、コンビニエンスストアのレジ近辺のスペースが限られていることから小型のフライヤー装置が使用されている。
【0003】
このような小型のフライヤー装置としては、例えば特許文献1や2に示すように、筐体内に、油が貯留される油槽と、食品材料を開口から受け入れて油槽内の油に浸漬させるとともに油槽から食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材を備えたものを、本願出願人が既に開示している。フライヤー装置には食品材料を投入する投入部が設けられており、食品材料はこの投入部の投入口から投入され、投入口に連続する内部空間を通過して排出され、掻揚げ部材の開口から受け入れられる。掻揚げ部材は、回動動作により姿勢を変化させるものであり、開口を上方に向けて投入部に合わせる縦姿勢にて食品材料を受け入れ、開口が横に位置する横姿勢に変化して食品材料を油槽に浸漬させ、再度縦姿勢となることにより加熱調理された食品材料を掻き揚げる。
【0004】
かかるフライヤー装置においては、掻揚げ部材の回動動作により油跳ねが発生し、跳ねた油が投入部から外部に飛散する可能性がある。油槽内の油は高温であり、これが飛散すると、周辺が汚れたり商品が損傷するだけでなく、怪我や火災を招く恐れがあり、非常に危険である。投入部には投入口を開閉する蓋部が設けられており、これを閉じることにより投入口からの油の飛散は防止できるが、誤操作等により掻揚げ部材の回動動作中に投入口の蓋部が開かれる可能性は否定できない。
【0005】
このため、上記従来技術では、投入部の下方に仕切り板を配し、この仕切り板に投入部と連続する所定形状の穴を形成し、この穴にスライド式のカバーを設けて投入部の排出側を開閉自在とし、投入口の蓋部と仕切り板のカバーとの二段構成としている。食品材料を揚げるには、投入部の蓋部を開けてカバーを閉じた状態として食品材料を投入し、投入部の内部空間に食品材料を一時貯留させた状態とする。そして、投入口の蓋部を閉めた後にカバーを開け、投入部の内部空間に貯留されていた食品材料を落下させて掻揚げ部材内に移動させる。その後、再度、カバーを閉めて掻揚げ部材を回動動作させる。これにより、投入口からの油の飛散を確実に防止している。
【特許文献1】特開2006−212087
【特許文献2】特開2006−212089
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、かかるフライヤー装置は、主にコンビニエンスストア等の小売店で使用され、限られた人員にて商品を迅速に提供する必要があることから、操作を少しでも簡単化することが求められる。しかしながら、上記従来技術では、投入口からの油の飛散を確実に防止するためには、上記のように決められた手順にて投入部の投入口の蓋部と仕切り板の穴のカバーの両方を段階的に操作する必要があり、非常に煩雑であった。このため、操作者に作業負担が生じるとともに、操作に要する時間ロスにより商品の迅速な提供が阻害される事態が生じていた。
【0007】
また、小売店等では設置スペースが限られていることから、装置をいかに小型化するかも重要な課題の一つである。しかしながら、上記従来技術では投入部の内部空間に食品材料を一時貯留する構成となっているため、この内部空間としてある程度の広さが必要となり、装置の小型化にとって大きな障害となっていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、掻揚げ部材の回動動作により油が投入口から飛散する事態を、簡単な操作により確実に防止することでき、更には、装置の小型化を図ることが可能なフライヤー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載のフライヤー装置は、食品材料を投入する投入口と、当該投入口を開閉する開閉部材と、油を貯留する油槽と、前記投入口から投入された食品材料を受け入れる開口を有するとともに前記油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、当該回動動作により、当該開口を前記投入口に向けた受け入れ姿勢にて食品材料を受け入れた後、前記油槽に浸漬する姿勢にて食品材料を揚げ、揚げ上がった食品材料を前記油槽から掻揚げる掻揚げ部材とを備えるフライヤー装置において、前記開閉部材の閉動作に連動して当該開閉部材を閉状態にてロックし、前記掻揚げ部材が受け入れ姿勢で停止する動作に連動して当該ロックを解除するロック機構を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、食品材料を投入する際には、掻揚げ部材を開口が投入口に向いた受け入れ姿勢とし、投入口の開閉部材を開いて食品材料を投入し、開閉部材を閉じると、その閉動作に連動して開閉部材が閉状態にてロックされる。その後、掻揚げ部材を回動動作させて、油槽に食品材料を浸漬させて揚げ、揚げ上がった食品材料を油槽から掻揚げるが、開閉部材は閉状態にてロックされているため、掻揚げ部材の回動動作中に誤って投入口が開けられる危険はない。食品材料を投入する際には、掻揚げ部材を開口が投入口に向いた受け入れ姿勢にて停止させると、それに連動してロックが解除され、開閉部材の開操作が可能となる。
【0011】
前記ロック機構は、前記開閉部材の開閉状態を検知する第一のセンサーと、前記掻揚げ部材の位置を検知する第二のセンサーと、前記第一のセンサーが前記開閉部材の開状態から閉状態への変化を検知すると、初期状態から突出状態へと変化して前記開閉部材に設けられた係合部に係合し、前記第二のセンサーが掻揚げ部材の受け入れ姿勢での停止を検知すると、初期状態に戻って係合が解除される突出部材とを備えることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、開閉部材を閉じると、前記第一のセンサーが開閉部材の開状態から閉状態への変化を検知し、突出部材が初期状態から突出状態に変化して開閉部材の係合部に係合する。これにより、開閉部材は閉動作に連動してロックされ、その後の掻揚げ部材の回動動作中において、開閉部材の開操作が不可能となる。食品材料を投入するために、掻揚げ部材を受け入れ姿勢にして停止させると、第二のセンサーがそれを検知して突出部材が初期状態に戻り、ロックが解除される。これにより、開閉部材は開操作が可能となり、食品材料を投入することができる。
【0013】
前記掻揚げ部材は、前記受け入れ姿勢のときに、前記投入口に近接する位置に配されていることが好ましい。
【0014】
従来は食品材料を一旦貯留するために投入部の内部空間や仕切り板が必要であったが、本発明はこれらが不要となるため、掻揚げ部材を投入口に接近する位置に配することができる。この発明によれば、掻揚げ部材は開口を投入口に向けた姿勢のときに、投入口に近接する位置に配されているため、投入口から掻揚げ部材までの省スペース化が図られ、装置の小型化が実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、投入口から食品材料を投入して開閉部材を閉じると、その閉操作に連動して開閉部材が閉状態にてロックされる。その後、掻揚げ部材を回動動作させるが、開閉部材はロックされているため、回動動作中に開けられる危険がない。投入口から食品材料を投入する際は、掻揚げ部材を受け入れ姿勢にて停止させると、その操作に連動して開閉部材のロックが解除される。したがって、食品材料を調理する際の必須の操作に伴って開閉部材のロックが適宜制御され、簡単な操作にて投入口からの油の飛散を確実に防止することができる。これにより、操作の負担が軽減され、商品提供の迅速化が図られる。
【0016】
上記ロック機構として、開閉部材の開閉状態を検知する第一のセンサーと、掻揚げ部材の位置を検知する第二のセンサーと、各センサーの検出結果に連動して挙動する突出部材を備える構成とすれば、簡単な構成にて上記ロック機構を実現することができる。
【0017】
また、本発明は、従来のような投入口下方に食品材料を一旦貯留する内部空間や仕切り板が不要となるため、掻揚げ部材を投入口に接近する位置に配することができる。したがって、掻揚げ部材は開口を投入口に向けた姿勢のときに、投入口に近接する位置に配することで、投入口から掻揚げ部材までの省スペース化が図られ、装置の小型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面にもとづいて説明する。
【0019】
本発明に係る実施の形態は、図1ないし図3に示すように、コンビニエンスストア等の小売店のレジ近傍に配置されて、フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する小型のフライヤー装置1であり、内部に油を貯留する油槽2と、油で加熱調理された食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材7と、蒸気をクリーンにする浄化手段11等を備え、これらが筐体14内に収納されている。筐体14には、操作する正面側1sにおいて、食品材料が投入される投入部3が設けられ、その投入部3の投入口3aを開閉する開閉部材3fが取り付けられている。浄化手段11の各フィルタF(F1〜F6)を交換するためのフィルタ交換口4faがその蓋部材4fとともに設けられている。また、フライヤー装置1の正面側1s下方には、加熱調理された食品材料を取り出すための取り出し口がその蓋部材5fとともに設けられている。また、正面側1sの下方は、片側開きの開き扉10が形成され、この開き扉10から内部の油槽2や排出プレート12を外部に取り出すことが可能になっている。なお、フライヤー装置1の開き扉10の上方位置には、操作パネルssが配され、操作パネルssのボタン操作で自動的にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する。
【0020】
フライヤー装置1の底部1bには、油槽2や排出プレート12等が配置される。加熱調理するコロッケ等の食品材料は、その蓋部材3fを開けると、その直下に掻き揚げ部材7の開口7aが近づくように構成されている(図7)。
【0021】
この油槽2は、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに、掻揚げ部材7の開口7aに対応する位置に設けられて開口7aに蓋をする蓋部材13を有する。図4は、油槽2内に取り付けられた状態の蓋部材13を説明するための斜視図であり、図5はその断面図であり、図6は、蓋部材13の斜視図である。蓋部材13は、金属板や鋼鉄板等により形成されており、被覆部13bと当接部13cと固定部13dとを備える。
【0022】
蓋部材13の被覆部13bは、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに開口7aを被覆して塞ぐ部分であり、掻揚げ部材7の回動動作を阻害しないように開口7aとの間には若干の間隙を有する。掻揚げ部材7の開口7aに対応する面は掻揚げ部材7の開口を覆うことが可能な形状であり、開口7a側の面は矩形曲面形状、後述する掻揚げ部材7の回動方向の断面においては凹状の円弧形状を呈する。被覆部13bには、複数の通過孔13aが形成されている。通過孔13aは、掻揚げ部材7内に入れられる食品材料が通過しない程度の大きさであり、被覆部13bに密に設けられている。なお、上側の領域の通過孔13aは小さく、下側の領域の通過孔13aは大きく設けることが好ましい。各通過孔13aは油の流動促進の観点からより大きく形成するのが好ましいが、油槽2内の油の上側には小型の食品材料が浮き上がるため、上側では通過孔13aを小さく形成することにより、浮いてきた食品材料や油カス(天カス)が掻揚げ部材7から流出するのを防止できる。被覆部13bの下端と油槽2内壁との間には間隙g1が形成されている。
【0023】
当接部13cは、油槽2内壁において掻揚げ部材7の開口7aと対向する内壁面2aに当接する部分である。これにより、被覆部13b側から荷重が加えられても、被覆部13bが逆側から支持されて蓋部材13の位置ズレが防止されている。本実施の形態では、二つの金属板を用いており、各金属板が被覆部13bの内壁面2a側の面に間隔を設けて配され、一端は上側の領域が被覆部13bと連結されており、他端は油槽2の内壁面2aに当接した状態となる。被覆部13bの下側の領域においては非連結であり間隙g2が形成されているが、間隙g2は十分に狭いものであり、仮に食品材料から大きな荷重が加わったとしても、被覆部13bの撓みにより当接部13cと接触して支持されるようになっている。また、当接部13cの下側には切り欠きが設けられており、油槽2内壁との間に間隙g3が形成されている。なお、当接部13cにも通過孔13aを形成し、より油の流動性を高めることが好ましい。
【0024】
固定部13dは、蓋部材13を油槽2内に着脱自在に固定する機能を有し、油槽2の外周縁に嵌合するように断面コ字状に屈曲した形状を呈する。この固定部13dを油槽2の外周縁に掛け下げるように嵌め込むことで、蓋部材13を油槽2に着脱自在に取り付け可能となっている。
【0025】
この蓋部材13は、油槽2内を仕切るように配置される。このため、油槽2内には、被覆部13bと当接部13cとに囲まれたスペースS1と、掻揚げ部材7が配置されるスペースS2とに分けられるが、両スペースS1,S2は通過孔13a、及び、間隙g1,g2,g3によって連通しており、これによりスペースS1とスペースS2との間で油の流動が可能となっている。なお、油槽2内の油は電気ヒータ2hにより加熱されるが、電気ヒータ2hは、この二つのスペースS1、S2内の油の温度が異なることなく、均一な温度となるように配されていることが好ましい。本実施の形態では、油槽2内底面の全体に亘ってジグザグに配されている。
【0026】
排出プレート12は、断面凹状を呈する鋼鉄製の部材であり、上方が開口されており、この開口から掻揚げ部材7が回動して排出プレート側に回動すると、斜め下方に設けられるようになり、食品材料を断面凹状の排出プレート12の中央の平坦部12aに排出する。この排出プレート12としては、上記平坦部12aに油取りシートを配したり、外周にパンチングメタルや網目状の部材に多数の孔を形成したものを使用することが可能である。
【0027】
掻揚げ部材7は、一側面が食品材料を受け入れるために開口した容器型に形成され(以下この開口を開口7aとする)、この掻揚げ部材7ごと食品材料を油槽2に浸漬させるとともに油槽2から取り出すもので、パンチングメタルや網目状の部材に多数の孔が形成されている。掻揚げ部材7は、底部とその外周の側壁部とからなる長方形状であり、上方側の一側面が開口7aとして形成されている。この開口7aを形成する側壁部の端部は、油槽2の蓋部材13と合致するように、回動方向に沿う辺(左右の辺)が円弧形状を呈し、回動方向に直行する辺(上下の辺)は左右の円弧形状の辺を結ぶ直線形状を呈している。油槽2の円弧状の蓋部材13と合致する。なお、円弧状に形成されている理由は、掻揚げ部材7の回動動作に対応させて、蓋部材13と開口7aとの間に形成される隙間を狭くするとともに、油槽2の底に揚げカスが溜まらないように上方に掻き揚げるためである。このためには、パンチングメタルよりも網目状のもので容器型の掻揚げ部材を形成するほうが好ましく、揚げカスの排出が容易で衛生的に保つこともできる。
【0028】
掻揚げ部材7の底部側には、軸7jとの連結部としてくの字状に形成された基端部7eが設けられ、この基端部7eにモータM1の駆動力が伝達される軸7jが取り付けられている。この軸7jをモータM1が駆動させることにより容器型の掻揚げ部材7は回動する。すなわち、掻揚げ部材7は、油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、この軸7jが油槽2の上縁部、すなわち、油槽2の正面壁の上方の支持部材2cに回転可能に取り付けられている。本実施の形態の掻揚げ部材7は、図3の油槽2内に位置する位置(符号7A)から油槽外の排出プレート12上の位置(符号7D)までに亘って回動するもので、その回動角度は、油槽2内に位置する位置(符号7A)を基準にして約200度程度回動する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されている。これは、開き扉10を開き油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除するため、つまり油槽2を外部に取り出す方向に切り欠かれた連結部材7kから上記軸7jを抜くことを可能にする工夫である。
【0029】
このような掻揚げ部材7は、油槽2内では長方形状の掻揚げ部材7を寝かせるように横長の状態に配置される(図3の符号7A)。この状態にて、開口7aが蓋部材13の閉塞部13bと合致し、開口に蓋がされる。このように、掻揚げ部材7はその容器形状のまま油槽2に浸漬されるので、食品材料が油面上に浮き上がるような事態を防止することができ、そのため、食品材料の全体、すべての面が加熱調理され、又、中身までも十分に加熱されることとなる。
【0030】
油槽2内から油槽2外に亘って回動する際においは、余分な油を切るための位置(図3の符号7Bの位置)では縦長の状態になりその回動動作が一時停止する。この位置7Bでは一旦停止するが、余分な油が除去されると、掻揚げ部材7は、排出プレート12上で一側面の開口7aがやや下を向く位置まで回動する。一方、油槽2に入れる前に投入部3aから食品材料を受けるときは、掻揚げ部材7は、やや斜めの位置にて開口7aを投入口3aに向けた受け入れ姿勢となり(図3の符号7C)、その姿勢で停止して食品材料を受け取る。
【0031】
掻揚げ部材7は、開口7aを投入口3aに向けた受け入れ姿勢(図3の符号7Aの姿勢)のときに、投入口3aに近接する位置に配されている。従来は食品材料を一旦貯留するために投入部の内部空間や仕切り板が必要であったが、後述するロック機構Rによりこれらが不要となるため、掻揚げ部材7を投入口3aに接近する位置に配することができる。これにより、投入口3aから掻揚げ部材7までの省スペース化が図られ、フライヤー装置1の小型化が実現されている。
【0032】
かかるフライヤー装置1には、投入口3の開閉部材3fの閉動作に連動して開閉部材3fを閉状態にてロックし、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢(図3の符号7C)で停止する動作に連動してロックを解除するロック機構Rが設けられている。図7は、ロック機構Rを説明する説明図であり、図8はロック機構の動作を説明する説明図である。ロック機構Rは、第一のセンサーr1と、第二のセンサーr2と、突出部材r3と、係合部r4とを備える。
【0033】
第一のセンサーr1は、筐体14に形成される投入口3a付近に設けられ、開閉部材3fの閉動作を検知する機能を備える。圧力を検知するものでも、電気的・磁気的に検知するものでも、その他、閉動作が検知できればどのようなものでも良いが、本実施の形態では、開閉部材3fの開閉状態を検知することで開状態から閉状態への変化を検知するセンサーである。詳細には、開閉部材3fが金属製であることから、金属や磁性体が近づくことによる電界や磁界の変化を検知して出力信号をONとOFFに切り換える近接スイッチを使用している。
【0034】
第二のセンサーr2は、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢(図3の符号7C、図7の状態)にて停止すると、その状態を検知する機能を有する。本実施の形態では、掻揚げ部材7が金属製であることから、第一のセンサーr1と同様の近接スイッチを使用している。掻揚げ部材7が受け入れ姿勢となったときに近接する位置、すなわち投入口3aの付近に配し、掻揚げ部材7が近接することによる電解や磁界の変化を検知して出力信号をONとOFFに切り換える。なお、本実施の形態では、掻揚げ部材7は、食品材料を排出する際にも受け入れ姿勢となる位置(図3の符号7C)を通過するため、それとの差別化を図るために、検出される近接時間をカウントし、近接時間が閾値を超えた場合は、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢にて停止したものと判断して、出力信号を切り換える設定となっている。
【0035】
突出部材r3は、第一のセンサーr1が開閉部材3fの開状態から閉状態への変化を検知すると、初期状態(図8(a))から突出状態(図8(b))へ変化して、開閉部材3fに設けられた係合部r3に係合し、又、第二のセンサーr2が掻揚げ部材7の受け入れ姿勢での停止を検知すると、突出状態(図8(b))から初期状態(図8(a))へ変化して係合が解除される。本実施の形態では、突出部材r3は筐体14内の投入口3aの付近に設けられ、第一のセンサーr1及び第二のセンサーr2と電気的に接続されて、各センサーr1,r2からの出力信号に連動して伸縮動作するアクチュエータを用いている。伸張状態においては筐体14に設けられた孔から一部突出して、開閉部材3fの係合部r4と係合する。係合部r4は、開口部材3fの筐体14内部側に設けられ、開閉部材3fが閉状態のときに突出部材r3が挿入される挿入孔が形成されており、突出部材r3がこの挿入孔に挿入することで、開口部材3fが閉状態にてロックされる。
【0036】
したがって、本実施の形態のフライヤー装置1により実際にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する場合には、まず、掻揚げ部材7を回動動作させて開口7aを投入口3aに向けた姿勢とする(図3にて符号7Cの姿勢)。この状態においては、掻揚げ部材7が受け入れ姿勢で停止しているため、開閉部材3fのロックが解除される。詳細には、第二のセンサーr2が掻揚げ部材7の受け入れ姿勢での停止を検出し、その出力信号を受けて突出部材r3が引っ込み(縮小して)係合部r4から外れた状態となる(図8(a))。これにより、操作者は、開閉部材3fを開いて食品材料を投入することが可能となる。ロックは掻揚げ部材7を受け入れ姿勢とすることにより解除されるが、これは食品材料を投入する際に必須の操作であるので、ロックを解除するための特別な操作は不要である。
【0037】
操作者は、食品材料の投入が終了すると開閉部材3fを閉じる。開閉部材3fの閉動作に連動してロック機構R3により開閉部材3fが閉状態にてロックされる。詳細には、第一のセンサーr1が、開閉部材3fの開状態から閉状態への変化を検知し、その出力信号を受けて突出部材r3が伸張して係合部r4に係合した状態となる(図8(b))。操作者は、この状態にて掻揚げ部材7をモータM1により駆動して回動動作させて、油槽2への浸漬(図3の符号7A)から、油切り(図3の符号7B)、排出(図3の符号7D)を行うが、開閉部材3fはロック機構Rにより閉状態にてロックされているため、誤操作等により開閉部材3fが開けられる危険はない。開閉部材3fは閉じると同時にロックされるため、特別な操作も不要である。
【0038】
以下、掻揚げ部材7の回動動作について説明する。操作者は、この状態にて掻揚げ部材7をモータM1により駆動させ、軸7jを中心に回転して油槽2に浸漬させる。油槽2には掻揚げ部材7の開口7aと対応する蓋部材13が形成されていることから、一側面7aが開口した容器型の掻揚げ部材7を容器ごと油の中に浸漬させた状態において、一側面7aの開口から食品材料が飛び出すような事態が防止される。さらに、蓋部材13には複数の通過孔13a,,,が設けられていることから、この通過孔13a,,,を油が通過して流動する。したがって、蓋部材13によって食品材料の飛び出しを防止しつつも、熱対流等による油の流動が阻害されることがなく、揚げムラを防止することができる。蓋部材13には、油槽2内のスペースS1,S2の間を連通させる間隙g1,g2,g3が設けられており、油は間隙g1,g2,g3も通過可能であるため、更に油の流動が促進されて高い効果が得られる。たとえ、掻揚げ部材7内の食品材料が閉塞部13bに押し寄せたとしても、閉塞部13bは当接部13cにて逆側から支持されているため蓋部材13が位置ズレすることがなく、食品材料の飛び出しを確実に防止しすることができる。
【0039】
油に浸漬された食品材料は、所定時間経過後、つまり油によって加熱調理された後は、これを取り出すためにモータM1の駆動により軸7jが回転して、横長状態から縦長状態に移動する(図3の符号7B)。これにより掻揚げ部材7の内部の食品材料はその位置を徐々に変化させて表面に付着している油が除去される。すなわち、加熱調理された食品材料は、横長状態の符号7Aの位置からその姿勢を徐々に変化させて、縦長状態に変化するので(図3の符号7B)、内部の食品材料はその動きに合わせて移動して、余分に付着する油を除去する。したがって、従来のように掻揚げ部材7に振動を加えなくとも、食品材料の表面に付着した余分な油を除去することとなる。除去された油は掻揚げ部材7の底部側から油槽2に落下する。
【0040】
表面の油が除去された食品材料は、容器型の掻揚げ部材7のまま投入部7aの位置(図3の符号7C)を通過して排出プレート12の位置まで回動動作すると(図3の符号7Dの位置:図9(b)と図10参照)、掻揚げ部材7の開口7aが斜め下方に向けられ排出プレート12に排出される。この回動動作中に、掻揚げ部材7は一時受け入れ姿勢(図3の符合7C)となるが、ここでは通過するのみで停止することはないため、第二のセンサーr2にて検出されることはない。排出された食品材料は、取り出し口の蓋部材5fを開けて取り出す。すなわち、加熱調理された食品材料を箸等の挟持具で挟んで紙コップ等の容器に投入して、客に提供することとなる。
【0041】
再度、食品材料を調理するときは、掻揚げ部材7を受け入れ姿勢(図3の符号7C)として停止させる。すると、第二のセンサーr2がその状態を検出して、ロック機構Rがロック状態(図8(b))からロック解除状態となる(図8(a))。これにより、開閉部材3fの開操作が可能となり、食品材料を投入することができる。掻揚げ部材7を受け入れ姿勢とする操作は、食品材料の投入に必須の操作であり、ロックを解除するための特別な操作は不要である。以上のように、本発明によれば、食品材料を調理する過程での必須の操作にて投入口の開閉部材を適宜ロック/解除することができ、掻揚げ部材の回動動作による投入口からの油の飛散を簡単な操作にて確実に防止することができる。
【0042】
なお、油槽2内の清掃や修理等を行うときは、まず掻揚げ部材7の軸7jと連結部材7kとの連結を解除して油槽2から掻揚げ部材7を取り外し、次に蓋部材13を取り外す。これにより、清掃や修理等を容易に行うことができる。
【0043】
また、油で加熱調理する際に生じる油煙は、仕切り板1cに取り付けられた誘導管Uからダクト(油分除去管)H,ダクト(冷却装置)C,ダクト22等を経てフィルタF1〜F6を有する浄化手段11に導かれ、清浄化されて排出口Qaから排出される(図2と図3)。
【0044】
油槽2の油を交換するときには、図11に示すように、上記開き扉10を開けて、排出プレート12を取り出した後、油槽2の取っ手2tに手をかけて一対の凸部1pに沿うようにスライドして外に取り出し、油を交換する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されていることから、油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除することが可能であり、他方、連結させることも容易である。
【0045】
なお、本実施の形態では、上記ロック機構Rを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、開閉部材3fの閉動作に連動してロックした後、規定時間となるとロックを解除する機構にしても良い。ロックを解除するタイマーを設け、操作パネルss等により規定時間を適宜設定可能としても良いが、食品材料ごとにフライヤー装置の動作を制御する動作プログラムを内蔵させておき、操作パネルssのボタン操作により食品材料を選択することで、動作プログラムに従って温度調整や回動動作とともにロックの解除が自動でなされるようにしても良い。
【0046】
また、上記実施の形態では、掻揚げ部材は開口が回動の外周側(油槽内において側方)に設けられるものを例に説明したが、油槽に浸漬した状態において上方に設けられるものでも良く、これに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるフライヤー装置を示す全体斜視図である。
【図2】上記第1の実施の形態の内部構造を示す斜視図である。
【図3】上記第1の実施の形態の内部構造を示す断面図である。
【図4】上記第1の実施の形態の油槽に蓋部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】上記第1の実施の形態の油槽に蓋部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】上記第1の実施の形態の蓋部材の斜視図である。
【図7】上記第1の実施の形態のロック機構を説明する説明図である。
【図8】上記第1の実施の形態のロック機構の動作を説明する説明図であり、(a)は開閉部材のロックを解除した状態、(b)はロックした状態を示す図である。
【図9】上記第1の実施の形態の掻揚げ部材の動作を説明する斜視図である。
【図10】上記第1の実施の形態の掻揚げ部材が排出プレート上に回動した状態を示す断面図である。
【図11】上記第1の実施の形態の開き窓を開けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 フライヤー装置、
2 油槽、
3 投入部、3a 投入口、3f 投入口の開閉部材、
7 掻き揚げ部材、
7A,7B,7C,7D 掻揚げ部材が停止する位置、
7k 連結部材、7j 軸、
10 開き窓、
11 浄化手段、
12 排出プレート
13 蓋部材
13a 通過孔、13b 閉塞部、13c 当接部、13d 固定部、
F フィルタ、
R ロック機構、
r1 第一のセンサー、r2 第二のセンサー、r3突出部材、r4 係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品材料を投入する投入口と、当該投入口を開閉する開閉部材と、油を貯留する油槽と、
前記投入口から投入された食品材料を受け入れる開口を有するとともに前記油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、当該回動動作により、当該開口を前記投入口に向けた受け入れ姿勢にて食品材料を受け入れた後、前記油槽に浸漬する姿勢にて食品材料を揚げ、揚げ上がった食品材料を前記油槽から掻揚げる掻揚げ部材とを備えるフライヤー装置において、
前記開閉部材の閉動作に連動して当該開閉部材を閉状態にてロックし、前記掻揚げ部材が受け入れ姿勢で停止する動作に連動して当該ロックを解除するロック機構を備えることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記開閉部材の開閉状態を検知する第一のセンサーと、
前記掻揚げ部材の位置を検知する第二のセンサーと、
前記第一のセンサーが前記開閉部材の開状態から閉状態への変化を検知すると、初期状態から突出状態へと変化して前記開閉部材に設けられた係合部に係合し、前記第二のセンサーが掻揚げ部材の受け入れ姿勢での停止を検知すると、初期状態に戻って係合が解除される突出部材とを備えることを特徴とする請求項1記載のフライヤー装置。
【請求項3】
前記掻揚げ部材は、前記受け入れ姿勢のときに、前記投入口に近接する位置に配されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフライヤー装置。
【請求項1】
食品材料を投入する投入口と、当該投入口を開閉する開閉部材と、油を貯留する油槽と、
前記投入口から投入された食品材料を受け入れる開口を有するとともに前記油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、当該回動動作により、当該開口を前記投入口に向けた受け入れ姿勢にて食品材料を受け入れた後、前記油槽に浸漬する姿勢にて食品材料を揚げ、揚げ上がった食品材料を前記油槽から掻揚げる掻揚げ部材とを備えるフライヤー装置において、
前記開閉部材の閉動作に連動して当該開閉部材を閉状態にてロックし、前記掻揚げ部材が受け入れ姿勢で停止する動作に連動して当該ロックを解除するロック機構を備えることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記開閉部材の開閉状態を検知する第一のセンサーと、
前記掻揚げ部材の位置を検知する第二のセンサーと、
前記第一のセンサーが前記開閉部材の開状態から閉状態への変化を検知すると、初期状態から突出状態へと変化して前記開閉部材に設けられた係合部に係合し、前記第二のセンサーが掻揚げ部材の受け入れ姿勢での停止を検知すると、初期状態に戻って係合が解除される突出部材とを備えることを特徴とする請求項1記載のフライヤー装置。
【請求項3】
前記掻揚げ部材は、前記受け入れ姿勢のときに、前記投入口に近接する位置に配されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフライヤー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−268596(P2009−268596A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119903(P2008−119903)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(598044866)株式会社村谷機械製作所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(598044866)株式会社村谷機械製作所 (6)
【Fターム(参考)】
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