説明

フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、およびその製造方法

【課題】簡便且つ効率良く精製し得るフラクトースデヒドロゲナーゼを提供する。また、当該フラクトースデヒドロゲナーゼの代表的な利用例として、当該タンパク質を用いたフラクトースの測定方法、フラクトースやイヌリンの測定キット、フラクトース測定バイオセンサーおよびバイオ電池を提供する。
【解決手段】単一のサブユニットから成り、可溶性である、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一のサブユニットから成り、可溶性タンパク質として生産される、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、および該タンパク質の製造方法、ならびに該タンパク質の利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラクトースは、果実中の糖分であり、食品中の甘味成分として広く使用されているため、食品分析において主要な分析対象となっている糖である。このフラクトースの定量法として、フラクトース に特異的に作用する酵素であるグルコノバクター属由来細菌のフラクトースデヒドロゲナーゼを用いる方法が見出された(特許文献1)。その後、フラクトースデヒドロゲナーゼはイヌリン測定試薬用としても実用化されている(特許文献2〜4)。イヌリン測定により、腎機能の指標である糸球体濾過値を得ることができる。また、本酵素は、所謂バイオ電池の用途にも活用されている(非特許文献1)。酵素をバイオ電池、バイオセンサー等のバイオデバイスに応用する際に、電極と直接電子の授受を行う直接電子移動型の酵素は、電極への電子移動にメディエーター物質を必要としないなど様々な利点を有しているが、現在利用できる酵素の種類は限られている。フラクトースデヒドロゲナーゼは、直接電子移動型酵素の数少ない報告例のひとつとして貴重な存在である。
フラクトースデヒドロゲナーゼは複数のサブユニットからなる膜酵素であり、酵素番号(EC1.1.99.11)に分類される。膜酵素とは、膜結合酵素とも呼ばれ、生体膜に種々の強さで結び付けられている酵素の総称である。膜酵素の膜への結合の強さは、イオン強度のわずかな変化で遊離するものから、膜の中にも埋もれているものまで様々である。この様な膜酵素は通常の酵素とは異なり、その製造方法において可溶化工程が必要となる。可溶化工程とは、生物細胞の細胞膜に埋もれた状態にある膜酵素を膜から切り出して分画する工程である。通常この工程は生物細胞を物理的な手法で破砕したのち、種々の界面活性剤を添加することによって行なわれ、その後高速遠心分離より、可溶化した膜酵素を膜残渣から分画する(非特許文献2、3)。
フラクトースデヒドロゲナーゼの精製に関わる根本的な課題として、可溶性酵素と異なり可溶化工程が必要であること、可溶化した膜酵素を効率良く且つ安定に膜残渣から分画することが一般に困難であること、複数のサブユニットからなるため取扱いが難しいことが挙げられる。可溶化された膜酵素は通常の濾過操作、低速の遠心分離では膜残渣と分離できず、分離するためには20万G程度の高速遠心分離操作が必要となり、数キログラムの生物細胞を材料とした場合、界面活性剤処理後の試料を高速遠心分離する様な大規模な高速遠心分離機は非常に高価であり、また運転時の危険性も非常に高くなる(特許文献1)。更に、複数の特許文献、非特許文献に、フラクトースデヒドロゲナーゼの活性発現には少なくとも2つのサブユニットの存在が必要となる、と記載されている(特許文献5,非特許文献4、5)。また、特許文献6では、フラクトースデヒドロゲナーゼの活性発現には、フラクトースと直接反応しD−フラクトース をケト−D−フラクトース に酸化する脱水素酵素と、この脱水素酵素から電子を受け取り適当な電子受容体に受け取った電子を供与する2つのタンパク質が活性発現に必要であり、これらの必須2成分を分離することなく菌体から精製する必要があるため、収量が20%程度と低い、と記載されている。
従って、フラクトースデヒドロゲナーゼの実用性を高めるために、より簡便且つ効率良く精製できる酵素が望まれていた。
【特許文献1】特許2508808号
【特許文献2】特開2002−95498号
【特許文献3】特開2002−119298号
【特許文献4】特開2002−142798号
【特許文献5】特公昭60−33472号
【特許文献6】特開平7−313154号
【非特許文献1】Chem.Lett.,36,218−219(2007)
【非特許文献2】生化学実験講座5−酵素研究法(上)(東京化学同人)217−231
【非特許文献3】生物化学実験法17−生体膜成分の構造と機能(学会出版センター)49−113)
【非特許文献4】J.Bacteriol.,145,814−823(1981)
【非特許文献5】Methods in Enzymol.,89,154−159(1982))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記諸問題を解決するため、簡便且つ効率良く精製し得るフラクトースデヒドロゲナーゼを造成し、これを提供することである。また、当該フラクトースデヒドロゲナーゼの代表的な利用例として、当該タンパク質を用いたフラクトースの測定方法、フラクトースやイヌリンの測定キット、フラクトース測定バイオセンサーおよびバイオ電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、単一のサブユニットから成り、可溶性タンパク質として生産することが可能なフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を見出すことに成功した。更に本発明者らは、当該タンパク質を遺伝子組換え技術により可溶性タンパク質として精製することに成功し、実用的な酵素を提供する手段を確立した。
【0005】
すなわち本発明は、以下発明を包含する。
[項1]
単一のサブユニットから成り、可溶性である、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
[項2]
以下の理化学的性質を有する、項1に記載のタンパク質。
(a)作用:D−フラクトースを酸化してケト−D−フラクトースを生成する。
(b)基質特異性:D−フラクトースを良好な基質として作用する。
(c)分子量:約60000(SDS−PAGE)
[項3]
以下の(1)〜(3)のいずれかにより示される、項1または2に記載のタンパク質。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(2)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質
(3)配列番号1に示すアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するタンパク質
[項4]
グルコノバクター(Gluconobacter)属細菌由来である、項1〜3のいずれかに記載のタンパク質。
[項5]
項1〜4のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[項6]
以下の(1)〜(2)のいずれかにより示される、項5に記載のポリヌクレオチド。
(1)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(2)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列から成るポリヌクレオチド
[項7]
項5または6に記載のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[項8]
項5〜7のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドミドを含むベクター。
[項9]
項8に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
[項10]
項9に記載の形質転換体を培養する工程を含む、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質の製造方法。
[項11]
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質をフラクトースに作用させる工程を含む、フラクトースの測定方法。
[項12]
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質を備えることを特徴とする、フラクトース測定キット。
[項13]
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質を備えることを特徴とする、フラクトース測定センサー。
【0006】
なお、本発明のタンパク質は、フラクトースデヒドロゲナーゼを構成するサブユニットのひとつとして見出されたものである。このように、複数のサブユニットからなる膜タンパク質である本酵素が、その構成サブユニットのひとつのみで酵素活性を有する可溶性タンパク質として単離し得るということは、当業者にとって想定外であった。すなわち、単一のサブユニットから成り可溶性タンパク質として生産することが可能なフラクトースデヒドロゲナーゼを得ることは、技術的に困難であった。本発明は、本発明者らの鋭意努力によって上記技術的困難を克服することによって完成された。したがって、本発明は当業者が予想し得ない顕著且つ有利な効果を有するといえる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、単一サブユニットからなる可溶性のフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質が提供され、フラクトースデヒドロゲナーゼを簡便且つ効率良く精製することが可能となる。また、可溶性のフラクトースデヒドロゲナーゼを、フラクトースの測定方法、フラクトースやイヌリンの測定キット、フラクトース測定バイオセンサーおよびバイオ電池に提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態について詳細に説明すれば以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書中に記載された非特許文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【0009】
<1.本発明にかかるタンパク質>
本発明にかかるタンパク質は、以下の(I)、(II)、(III)を特徴とするタンパク質である。
(I)単一のサブユニットから成り、可溶性である、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(II)上記(I)のタンパク質において、以下の理化学的性質を有するフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(a)作用:D−フラクトースを酸化してケト−D−フラクトースを生成する。
(b)基質特異性:D−フラクトースを良好な基質として作用する。
(c)分子量:約60000(SDS−PAGE)
(III)上記(I)、(II)のタンパク質において、以下の(1)〜(3)のいずれかにより示されるタンパク質。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(2)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質
(3)配列番号1に示すアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するタンパク質
【0010】
上記単一のサブユニットとは、他のタンパク質と会合して多量体タンパク質やオリゴマータンパク質を形成する単一のタンパク質分子のことを指す。自然界に存在する多くのタンパク質や酵素は多量体であり、多量体タンパク質の各サブユニットは、お互いに全く同一であったり、相同的であったり、全く異なる個々が全く異なる仕事を担ったりする。単一のサブユニットは1本のポリペプチド鎖から成り、1本のポリペプチド鎖は1つの遺伝子によってコードされている。つまり、単一のサブユニットには必ずそのタンパク質をコードする1つの遺伝子が存在する。
【0011】
上記可溶性タンパク質とは、具体的には水溶液として得られるタンパク質のことを指す。ただし、膜タンパク質などのように元々水系に不溶で、可溶化剤等の処理により可溶性となるタンパク質とは区別される。
【0012】
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列は、本発明にかかるタンパク質のアミノ酸配列であり、具体的にはグルコノバクター属細菌グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)由来タンパク質のアミノ酸配列である。本発明者らは、Gluconobacter frateurii由来フラクトースデヒドロゲナーゼの遺伝子クローニングを行い、塩基配列を決定した。配列番号1のアミノ酸配列は、本フラクトースデヒドロゲナーゼのサブユニットのうち最大のもの(以降サブユニットIと記載する)のアミノ酸配列である。
【0013】
また本発明には、上記で説示した本発明にかかるタンパク質のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、且つフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をも包含するが、1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加される部位は、欠失、置換および/または付加後のタンパク質がフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有していれば、該アミノ酸配列中のどの部位であってもよい。ここで「1または数個のアミノ酸残基」とは、具体的には10個以内の範囲のアミノ酸残基数をいう。
【0014】
また本発明には、上記で説示した本発明にかかるタンパク質のアミノ酸配列において、高い相同性を有し、且つフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をも包含する。具体的には、配列番号1に示すアミノ酸配列と80%以上の相同性、好ましくは90%以上の相同性、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するタンパク質が挙げられる。なお、本願において「相同性」は、ClustalW法(非特許文献6)により算出した値である。
【非特許文献6】Nucleic Acids Res., 22, 4673−4680(1994)
【0015】
本発明におけるフラクトースデヒドロゲナーゼ活性は、後述する実施例の「活性測定法」の項において説明した方法によって測定される。なお、本発明の説明において「フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有する」とは、好ましくはフラクトースを基質として0.01U/mg−protein以上を意味し、さらに好ましくは0.1U/mg−protein以上を意味する。
【0016】
上記本発明にかかるタンパク質は、例えば遺伝子組み換え技術を用いて生産されてもよいし、アミノ酸合成機などを用いて化学合成されてもよい。遺伝子組み換え技術において、好適に用いられる各種組換えタンパク質発現系は、例えば、大腸菌発現系、昆虫細胞発現系、哺乳類細胞発現系、および無細胞発現系を用いてもよく、これらに限定されない。本発明のタンパク質等の製造方法については後述する。
【0017】
また本発明にかかるタンパク質等は、例えば、分子間および/または分子内架橋(例えば、ジスルフィド結合など)が施されたもの、化学修飾(例えば、糖鎖、リン酸もしくはその他の官能基など)されたもの、標識(例えば、ヒスチジンタグなど)が付与されたもの、または融合タンパク質(例えば、ストレプトアビジン、シトクロム、およびGFPなど)を付与されたものなどが含まれるが、特にこれらに限定されない。さらに、本発明にかかるタンパク質等は、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性が実質的に維持される限り、数種のタンパク質の断片を組み合わせて構成したキメラタンパク質も含み得る。
【0018】
本発明にかかるタンパク質と、血清タンパク質や有機酸、デキストランをはじめとする賦形剤等とからフラクトースデヒドロゲナーゼ剤を構成してもよい。上記フラクトースデヒドロゲナーゼ剤には、酵素剤の構成物品として公知の物品が含まれていてもよい。
【0019】
本発明に用いる細菌細胞とは、通常フラクトースデヒドロゲナーゼを取得する細菌細胞であれば、いかなる細菌細胞であっても好適に実施できるが、特に好適なものとしては、グルコノバクター属細菌、例えばGluconobacter frateurii、グルコノバクター・セリヌス(Gluconobacter cerinus),グルコノバクター・インダストリウス(Gluconobacter industrius),アセトバクター属、例えば、アセトバクター・キシリヌス(Acetobacter xylinus)等がある。
【0020】
<2.本発明にかかるポリヌクレオチド等>
本発明にかかるポリヌクレオチドは、本発明にかかるタンパク質をコードすることを特徴としている。
【0021】
ここで、ポリヌクレオチドは、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、またはRNA(例えば、mRNA)の形態で存在し得る。DNAまたはRNAは二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
【0022】
また、本発明にかかるポリヌクレオチドは化学的に合成してもよく、コードするタンパク質の発現が向上するように、コドンユーセージ(Codon usage)を変更してもよい。
【0023】
本発明にかかるポリヌクレオチドを改変する方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法が用いられる。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、および/または付加することで組換えタンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドを作製してよい。ポリヌクレオチドの塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Site−Directed Mutagenesis Kit;Clonetech製,QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の使用、またはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。
【0024】
本発明にかかるポリヌクレオチドは、上記本発明にかかるタンパク質をコードしていればその塩基配列は特に限定されるものではない。よって本発明にかかるタンパク質のアミノ酸配列に応じた塩基配列からなる全てのポリヌクレオチドが本発明に含まれる。
【0025】
本発明にかかるポリヌクレオチドの一実施形態としては、例えば配列番号2に示される塩基配列を有するヌクレオチド、または配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列から成るポリヌクレオチドが挙げられる。
【0026】
本発明の一実施形態では、本発明にかかるポリヌクレオチドは化学的に合成された塩基で置換されてもよい。また、本発明にかかるポリヌクレオチドが置換される部位は特に限定されず、置換後の塩基配列から発現するタンパク質が好適な性質を有していればよい。
【0027】
本発明にかかるポリヌクレオチドは、本発明にかかるタンパク質をコードするポリヌクレオチドのみからなるものであってもよいが、その他の塩基配列が付加されていてもいてもよい。付加される塩基配列としては、限定されないが、標識(例えば、ヒスチジンタグ、Mycタグ、およびFLAGタグなど)、融合タンパク質(例えば、GSTおよびMBPなど)、プロモーター配列(例えば、酵母由来プロモーター配列、ファージ由来プロモーター配列、および大腸菌由来プロモーター配列など)、およびシグナル配列(例えば、小胞体移行シグナル配列、および分泌配列など)をコードする塩基配列などが挙げられる。これらの塩基配列が付加される部位は特に限定されるものではなく、翻訳されるタンパク質のN末端であっても、C末端でもあってもよい。
【0028】
また本発明にかかるポリヌクレオチドには、上記本発明にかかるタンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号2に示される塩基配列を有するポリヌクレオチド)、またはこれに相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドも含まれる。
【0029】
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドのTm値から15℃、好ましくは10℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件をいう。具体例としては、一般的なハイブリダイゼーション用緩衝液中で、68℃、20時間の条件でハイブリダイズする条件をいう。
【0030】
本発明にかかるポリヌクレオチドの塩基配列は、非特許文献7に記載されたジデオキシ法により決定され得る。
【非特許文献7】Science, 214: 1205 (1981)
【0031】
一方、本発明にかかるベクターは、上記本発明にかかるポリヌクレオチドを含むものである。上記本発明にかかるポリヌクレオチドを含むものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。本発明にかかるベクターを構成するベースとなるベクターとしては、宿主細胞において好適なベクターが適宜選択され得る。本発明にかかるベクターとしてプラスミドベクターを用いる場合、例えば、pBluescript(登録商標)、pUC18などが使用できる。この場合、ベクターが導入される宿主微生物としては、例えば、酵母、大腸菌(エシェリヒア・コリーW3110(Escherichia coli)、エシェリヒア・コリーC600、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5α)、昆虫細胞、哺乳類細胞などに利用可能である。
【0032】
上記宿主微生物に本発明にかかるベクターを導入する方法としては特に限定されるものではないが、例えば宿主微生物がエシェリヒア属に属する微生物にベクターを導入する場合は、カルシウムイオンの存在下で組換えDNAを導入する方法や、エレクトロポレーション法を用いる方法が適用され得る。その他、市販のコンピテントセル(例えば、コンピテントハイJM109、コンピテントハイDH5α;東洋紡績製)を用いて遺伝子導入が行われても良い。
【0033】
本発明にかかるベクターを構築するには、本発明にかかるポリヌクレオチドを分離および精製した後、制限酵素処理などを用いて切断した該ポリヌクレオチドの断片と、ベースとなるベクターを制限酵素で切断して得た直鎖ポリヌクレオチドを結合閉鎖させて構築することができる。結合閉鎖する際にはDNAリガーゼなどがベクターおよび該ポリヌクレオチドの性質に応じて使用され得る。本発明のベクターを複製可能な宿主に導入した後、ベクターのマーカーおよび酵素活性の発現を指標としてスクリーニングして、本発明のポリヌクレオチドを含有する形質転換体を得ることができる。よって、本発明にかかるベクターには薬剤耐性遺伝子などのマーカー遺伝子が含まれていることが好ましい。
【0034】
なお本発明は、上記本発明にかかるベクターで形質転換された形質転換体を包含する。本発明にかかるベクターによって形質転換される宿主細胞は、特に限定されないが、酵母、大腸菌、昆虫細胞、および哺乳類細胞などが挙げられる。
【0035】
<3.本発明にかかるタンパク質の製造方法>
本発明にかかるタンパク質の製造方法は、上記本発明にかかる形質転換体を培養する工程(「培養工程」という)を含むことを特徴としている。本発明にかかるタンパク質の製造方法には、上記培養工程の他、形質転換体を用いたタンパク質生産において含まれ得るその他の工程が含まれていてもよい。その他の工程としては、例えば、培養工程後に本発明にかかる形質転換体が生産したタンパク質を回収する工程や、当該タンパク質を精製する工程が挙げられる。
【0036】
(3−1)培養工程
上記培養工程では、本発明にかかる形質転換体が栄養培地で培養されることにより、多量の組換えタンパク質を安定して生産し得る。形質転換体の培養形態は、宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよく、多くの場合は液体培養で行う。工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。
培養工程で用いられる栄養培地の栄養源としては、培養に通常用いられるものが広く使用されてよい。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、ラクトース、糖蜜、およびピルビン酸などが使用される。また、窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、および大豆粕アルカリ抽出物などが使用される。これらに加えて、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて培地に添加されてよい。
本発明にかかる形質転換体の培養温度は、当該形質転換体が本発明にかかるタンパク質を生産可能な範囲内であれば適宜変更し得るが、例えば、エシェリヒア・コリーを宿主として利用する場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養時間は、本発明にかかるタンパク質が最高収量に達する適当な時期に培養を完了すればよく、通常は6〜48時間程度である。培地のpHは本発明にかかる形質転換体が好適に発育し、且つ本発明にかかるタンパク質を生産可能な範囲内で適宜変更し得るが、好ましくはpH6.0〜9.0程度の範囲である。
【0037】
(3−2)回収工程
本発明にかかる形質転換体がタンパク質を細胞外に分泌する場合、その培養物には本発明のタンパク質が含まれている。よって培養物を本発明にかかるタンパク質としてそのまま利用することが可能である。この時、例えばろ過や遠心分離などにより、培養液と本発明にかかる形質転換体とを分離してもよい。
また本発明にかかるタンパク質が形質転換体内に存在する場合、形質転換体を培養して得られた培養物からろ過または遠心分離などの手段を用いて形質転換体を採取し、該形質転換体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊後、目的のタンパク質を回収すればよい。また、必要に応じて、キレート剤(例えば、EDTAなど)および界面活性剤(例えば、トリトンX−100など)を添加して、分離採取してもよい。
【0038】
(3−3)精製工程
精製工程は、上記回収工程によって得られたタンパク質を精製する工程である。精製工程の具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えば、本発明にかかるタンパク質を含む溶液を、減圧濃縮、膜濃縮、塩析処理(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムなどを用いる)、または親水性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトンなど)による分別沈殿法に供すればよい。上記操作によって、目的である本発明にかかるタンパク質を沈殿させ、精製することができる。
また、前記精製工程では、加熱処理、等電点処理、ゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはこれらの組み合わせを用いて精製工程を行ってもよい。
上記手法を用いて得られた目的のタンパク質を含む精製酵素は、電気泳動(SDS−PAGE)的に単一のバンドを示す程度に純化されていることが好ましい。
上記の精製酵素は、例えば凍結乾燥、真空乾燥、およびスプレードライなどにより粉末化して流通させることが可能である。また、精製酵素を使用する際は、その用途によって適宜緩衝液に溶解した状態で使用することができる。緩衝液としては、例えば、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、およびGOOD緩衝液などが目的のタンパク質の性質、および/または実験条件もしくは環境に応じて好適に選択されてよい。さらに、アミノ酸(例えば、グルタミン酸、グルタミン、またはリジンなど)、および血清アルブミンなどを精製酵素に添加することにより安定化することができる。
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種種の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
<4.本発明にかかるフラクトースの測定方法>
本発明にかかるフラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質は、フラクトースの測定方法に用いることが可能である。
本発明のフラクトースの測定方法は、少なくともフラクトースに本発明にかかるタンパク質を作用させることを特徴としている。
その際に、例えば適切な電子供与体を介在させることにより、生成する5−ケト−D−フルクトースまたは還元型電子受容体の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素の減少を測定することにより、フラクトースを測定することができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
また上記フラクトースの測定方法は、イヌリンの測定に適用され得る。
本発明にかかるイヌリンの測定方法の一実施形態は、(1)試料とイヌリナーゼとを反応させて、試料中のイヌリンを分解し、フラクトースを生成せしめる工程と、(2)前記(1)の工程によって得られたフラクトースに本発明にかかるタンパク質を作用させる工程とを含む。
その際に、例えば適切な電子供与体を介在させることにより、生成する5−ケト−D−フルクトースまたは還元型電子受容体の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素の減少を測定することにより、イヌリンを測定することができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
<5.本発明にかかるフラクトース測定キットおよびフラクトースセンサー>
(5−1)フラクトース測定キット
本発明にかかるフラクトース測定キット(以下「本発明のキット」という)は、少なくとも上記本発明にかかるタンパク質を含むことを特徴としている。本発明のキットに含まれる、本発明にかかるタンパク質の形態は特に限定されるものではないが、例えば、水溶液、懸濁液または凍結乾燥粉末など形態が採用され得る。上記凍結乾燥粉末は常法に従って作製され得る。
【0042】
(5−2)フラクトースセンサー
本発明にかかるフラクトースセンサー(以下「本発明のセンサー」)は、フラクトースを検出するために用いられるセンサーであり、少なくとも本発明にかかるタンパク質を備えている。本発明のセンサーは、本発明の測定方法の実施に用いられる。よって、本発明のセンサーは、本発明の測定方法の実施に用いられる物品により構成されていてもよい。
【0043】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種種の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。下記に、実施例において使用した活性測定試薬及び測定条件を示した。なお、実施例において使用した試薬は特記しない限り、ナカライテスク社より購入したものを用いた。
<試薬>
試薬A:100mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0;73mM KCl を含む)
試薬B:1M フルクトース溶液(試薬Aで溶解)
試薬C:6.6mM 2,6-ジクロロインドフェノール(和光純薬)溶液(試薬Aで溶解)
試薬D:6mM 1−メトキシフェナジンメトサルフェート(和光純薬)溶液(試薬Aで溶解)
<測定条件>
まず試薬A、試薬B、試薬C、試薬D、試薬Eを250:1:1.7:3.3の割合で混合して試薬混液を調製する。上記反応混液2.65mlをキュベット(d=1cm)に取り、30℃で約3分間予備加温する。次に粗酵素液0.15mlを加え、試薬Aを対照に30℃に制御された分光光度計で540nmの吸光度変化を15分間記録し、その吸光度変化を求める。
盲検は酵素溶液の代わりに試薬Aを0.15mlを加え上記と同様に操作を行って、1分間当たりの吸光度変化を求める。
【0045】
<実施例1.フラクトースデヒドロゲナーゼ遺伝子のクローニング>
グルコノバクター・フラテウリの染色体DNAを次の方法で分離した。該菌体を3mlのLB培地(0.5%酵母エキス、1.0%トリプトン、0.1%NaCl)で13時間培養し、続いて、そのうちの100μlを接種し、3mLのMB培地(2.5%マンニトール、0.5%酵母エキス、0.3%ポリペプトン)で100時間、30℃で振盪培養した。その後、市販のDNA抽出キット(AquaPure Genomic DNA Isolation キット;Bio−Rad社製)を用いてゲノムDNAを分離した。
市販のフルクトースデヒドロゲナーゼ(東洋紡製)に対してSDS−PAGE(10%アクリルアミド)を行い、ウェスタンブロッティングを行った。それによって得られたフルクトースデヒドロゲナーゼのサブユニットタンパク質断片からサブユニット1のN末端アミノ酸配列情報を得た(表1、配列番号3)。
【0046】
【表1】

【0047】
上記操作にて得られたゲノムDNAを鋳型DNAとし、サブユニット1のN末端アミノ酸配列情報を基に設計したプライマーと縮重プライマー(表2、配列番号4〜17)を用いて、KOD−Dashポリメラーゼ(東洋紡製)を用いたTAIL−PCRを行った。
【0048】
【表2】

【0049】
PCR産物はアガロース電気泳動で精製し、市販のキット(pGEM−T EASY Vector;Promega社製)を用いてプラスミドベクターとライゲーション反応を行い、組換えプラスミドpGEM−fdhLを作製した。なお、ライゲーション反応の詳細な方法については、キット添付のプロトコールに準拠した。
連結したプラスミドDNAはエシェリヒア・コリーJM109のコンピテントセルを用いて形質転換し、β―ガラクトシダーゼ活性検出用寒天培地(0.5%酵母エキス、0.5%トリプシン、0.1%NaCl、100μg/mlアンピシリン(和光純薬)、0.5mMイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(シグマ)、0.5mg/ml 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(和光純薬)、1.5%寒天)に塗布した。β―ガラクトシダーゼ活性を有するコロニーからゲノムDNAを分離し、フルクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニット遺伝子の塩基配列情報(配列表の配列番号2)を得た。
【0050】
<実施例2.フラクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニット遺伝子の可溶性タンパク質としての発現、酵素アッセイ>
実施例1で得られたフルクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニット1の遺伝子配列情報を基にBamHI及びXhoI切断部位を付加したプライマー(表3、配列番号18、19)を設計した。実施例1で得られたゲノムDNAを鋳型DNAとし、KOD−plusポリメラーゼ(東洋紡製)を用いて、98℃で変性(5秒)、60℃でアニーリング(5秒)、68℃で伸長反応(1分42秒)を30サイクル繰り返す増幅条件でPCR反応を行った。
【0051】
【表3】

【0052】
PCR産物はアガロース電気泳動で精製し、Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社製)を用いてポリA付加を行った。
pET―26b(+)(Novagen社製)を挿入DNAの制限酵素BamHI(タカラバイオ社製)とXhoI(タカラバイオ社製)にて切り出した。
市販のライゲーションキット(Rapid DNA Ligation Kit;Roche社製)を用いてライゲーション反応を行い、pET―26b(+)−fdhLを作成した。
連結したプラスミドDNAはエシェリヒア・コリーRosetta(DE3)(Novagen社製)のコンピテントセルを用いて形質転換し、該形質転換体をカナマイシン(20μl/ml;シグマ製)とクロラムフェニコール(30μl/ml;シグマ製)を含んだLB寒天培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、1.5%寒天)に塗布した。37℃で一晩培養して得られたコロニーを3mlのLB液体培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl)に接種し、37℃で一晩振とう培養した。更にその培養液0.1mlを100mlのLB液体培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl)に接種し、37℃で8時間振とう培養した。その後、リボフラビン(0.25μg/ml;シグマ)及びイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(0.04mM;シグマ)を添加し、20℃で一晩発現誘導した。遠心分離によって培養液から菌体を回収し、10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中で超音波破砕した後、超遠心分離によって可溶性画分と不溶性画分に分離し、粗酵素液を得た。
可溶性画分にサブユニット1と見られるタンパク質の発現がSDS−PAGEによって確認された(図1)。
【0053】
<実施例3.フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有する可溶性タンパク質の精製、酵素アッセイ>
実施例2で得られた可溶性画分の酵素アッセイを行い、フラクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニット遺伝子の可溶性タンパク質がフルクトースデヒドロゲナーゼ活性を有することを確認した(図2)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によって、フラクトースやイヌリンの測定、バイオデバイスへの使用などに有用な、可溶性フラクトースデヒドロゲナーゼを新たに創出し、これを提供することが可能となる。したがって、フラクトースデヒドロゲナーゼの分析分野への更なる普及、及びバイオセンサーやバイオ電池の産業利用に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】フラクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニットI遺伝子の可溶性タンパク質としての発現を示す。SDS−PAGEにより、サブユニットIの発現が確認される。
【図2】フラクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニットI可溶性タンパク質の酵素アッセイ結果を示す。フラクトースデヒドロゲナーゼ・サブユニットI可溶性タンパク質がフルクトースデヒドロゲナーゼ活性を有することが確認される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のサブユニットから成り、可溶性である、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
【請求項2】
以下の理化学的性質を有する、請求項1に記載のタンパク質。
(a)作用:D−フラクトースを酸化してケト−D−フラクトースを生成する。
(b)基質特異性:D−フラクトースを良好な基質として作用する。
(c)分子量:約60000(SDS−PAGE)
【請求項3】
以下の(1)〜(3)のいずれかにより示される、請求項1または2に記載のタンパク質。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(2)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質において1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質
(3)配列番号1に示すアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するタンパク質
【請求項4】
グルコノバクター(Gluconobacter)属細菌由来である、請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】
以下の(1)〜(2)のいずれかにより示される、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
(1)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(2)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列から成るポリヌクレオチド
【請求項7】
請求項5または6に記載のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドミドを含むベクター。
【請求項9】
請求項8に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
【請求項10】
請求項9に記載の形質転換体を培養する工程を含む、フラクトースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質をフラクトースに作用させる工程を含む、フラクトースの測定方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質を備えることを特徴とする、フラクトース測定キット。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれかに記載のタンパク質を備えることを特徴とする、フラクトース測定センサー。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−148368(P2010−148368A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327125(P2008−327125)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年11月20日 BMB2008(第31回日本分子生物学会年会 第81回日本生化学会大会 合同大会)発行の「BMB2008(第31回日本分子生物学会年会 第81回日本生化学会大会 合同大会) 講演要旨集」に発表
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】