説明

フラットケーブル用の絶縁被覆材とその製造方法およびフラットケーブルの製造方法

【課題】ロール形態でのブロッキングを防止し、被覆加工での作業性が高いフラットケーブル用の絶縁被覆材と、このような絶縁被覆材を安定して製造できる製造方法と、絶縁被覆が確実で高品質なフラットケーブルの製造方法を提供する。
【解決手段】フラットケーブル用の絶縁被覆材を、剥離層と、この剥離層の両面に剥離可能に配設された接着樹脂層と、接着樹脂層の各々の外側面上に配設された耐熱樹脂層を備えた構造とし、このようなラットケーブル用の絶縁被覆材は、剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造膜を多層押出しし、この3層構造膜の両面に耐熱樹脂フィルムを同時熱接着することにより製造し、この絶縁被覆材を、剥離層と接着樹脂層との界面から剥離して耐熱樹脂層と接着樹脂層の2層構造である2枚の絶縁被覆材に分離し、その後、この2枚の絶縁被覆材を、平行に離間された状態で連続供給される複数の導体線の両面から供給して被覆することによりフラットケーブルを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブルに係り、特にフラットケーブル用の絶縁被覆材と、この絶縁被覆材の製造方法、さらにフラットケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平行に離間された状態の複数の導体線を両面から絶縁被覆材で被覆したフラットケーブルは、種々の電子機器、電気製品等の電気配線、あるいは屋内、屋外の種々の電気配線に使用されている。
このようなフラットケーブルに使用する絶縁被覆材は、例えば、接着性樹脂に難燃剤や絶縁剤等を添加した塗工液を絶縁性の基材フィルム上に塗工して接着剤層を形成することにより製造されていた(特許文献1)。
また、難燃剤や絶縁剤等を添加した接着性樹脂をTダイから絶縁性の基材フィルム上に押出して接着樹脂層を形成することにより絶縁被覆材が製造されていた(特許文献2)。
【0003】
さらに、インフレーション法により、接着剤層の両面にセパレーター樹脂層が形成された3層構造のフィルムを作製し、この3層構造のフィルムをロール状に巻き取った後、フィルムから片面のセパレーター樹脂層を剥離して接着剤層を露出させて絶縁基材に張り合わせ、その後、残りのセパレーター樹脂層を剥離して絶縁被覆材を得る方法がある(特許文献3)。
【特許文献1】特開平5−17727号公報
【特許文献2】特開平7−272582号公報
【特許文献3】特開2001−310365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1の製造方法では、基材フィルム上に25〜50μm程度の厚みで塗工された接着性樹脂の乾燥が不十分であると、ロール状に巻き取られた後にブロッキングを生じ、一方、乾燥を十分に行うためには塗工速度を遅く(乾燥ゾーンの通過時間を長く)する必要があり、生産性が低下するという問題があった。
また、特許文献2の製造方法では、Tダイから絶縁性の基材フィルム上に押出される溶融樹脂に難燃剤や絶縁剤等が添加されているため、樹脂溶融物の流動性が低下し、20〜50μm程度の薄膜状態で押出すことが難しく、基材フィルム上に形成された接着層に穴明き、フィッシュアイ、筋状のムラ、あるいは周期的な厚みムラ等の欠点が生じるという問題があった。
【0005】
これに対して、インフレーション法で接着剤層の両面にセパレーター樹脂層が形成された3層構造のフィルムを作製する特許文献3の方法では、難燃剤や絶縁剤等が添加された溶融樹脂であっても、その両面を無添加の流動性の良いセパレーター樹脂層で被覆して押出して長筒体状に膨張することにより、上記の欠点のない薄膜化が可能であり、上記の特許文献2のような問題は解消される。しかし、最終形態の絶縁被覆材は、ロール状態で熱、圧力がかかるとブロッキングが生じるという問題があった。
また、従来のいずれの絶縁被覆材も、複数の導体線の両面を被覆する加工の際に、片面ずつ絶縁被覆材を準備することとなり、表裏に組み合わせる絶縁被覆材に間違い(例えば、グレード、厚み、印刷絵柄等の間違い)を生じ易く、フラットケーブルの製造効率向上に支障を来たす一因となっていた。また、間違いを生じない場合でも、表裏の絶縁被覆材の製造ロットを確実に同じに揃えることが現実的には困難である。そのため、表裏各々の絶縁被覆材の加熱収縮率が相違する場合があり、フラットケーブルにカールを生じることを確実に防ぐことが困難であった。
【0006】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、ロール形態でのブロッキングを防止し、被覆加工での作業性が高いフラットケーブル用の絶縁被覆材と、このような絶縁被覆材を安定して製造できる製造方法と、絶縁被覆が確実で高品質なフラットケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材は、剥離層と、該剥離層の両面に剥離可能に配設された接着樹脂層と、該接着樹脂層の各々の外側面上に位置する耐熱樹脂層とを備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記接着樹脂層は、難燃剤を30〜80重量%の範囲で含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記接着樹脂層は、厚みが20〜40μmの範囲であるような構成とした。
【0008】
本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法は、剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造膜を多層押出しにより形成し、該3層構造フィルムの両面に耐熱樹脂フィルムを同時熱接着するような構成とした。
また、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法は、剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造膜からなる筒体をインフレーション法により形成して膨張させ、その後、該筒体を長手方向に沿ってスリットして、剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造フィルムを2枚形成し、次いで、各3層構造フィルムの両面に耐熱樹脂フィルムをドライラミネートするような構成とした。
【0009】
また、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法は、剥離層の両面に接着樹脂層を有し、該接着樹脂層の各々の外側に耐熱樹脂層を有する5層構造膜を多層押出しにより形成し冷却するような構成とした。
本発明のフラットケーブルの製造方法は、上述のいずれかのフラットケーブル用の絶縁被覆材を、剥離層と接着樹脂層との界面から剥離することにより、耐熱樹脂層と接着樹脂層の2層構造である2枚の絶縁被覆材に分離し、分離した2枚の絶縁被覆材を、平行に離間された状態で連続供給される複数の導体線の両面から供給して被覆するような構成とした。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材は、1組の2層構造の絶縁被覆材が剥離層の両面に配され、最表面には耐熱樹脂層を備えた多層構造からなり、ブロッキングやフィッシュアイ等の表面欠点を生じ易い接着樹脂層は多層構造内に内包されているので、ロール状態で熱、圧力がかかってもブロッキングを生じることがなく、かつ、表面欠点を生じることもなく、安定した搬送、保管が可能であるとともに、フラットケーブル製造時の被覆加工において安定供給が可能であり、さらに、従来のフラットケーブル製造時の被覆加工の際に片面ずつ絶縁被覆材を準備することに起因する表裏各々の絶縁被覆材の間違い(例えば、グレード、厚み、印刷絵柄等の間違い)を防止することができる。尚且つ、表裏各々の絶縁被覆材の製造ロット(したがって、使用する材料、加工条件等のバラツキも)を同一のものに揃えることが確実にでき、フラットケーブルのカール発生も防止することができる。
【0011】
また、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法は、接着樹脂層に難燃剤や難燃助剤等の添加剤を大量に混入した場合であっても、接着樹脂層の薄肉化が可能であり、穴明きや周期的な厚みムラ等の欠点のない均一で薄い(例えば、20〜40μm)接着樹脂層の形成が可能であり、また、製造工程中にて接着樹脂層が露出した状態でロール状にされることがないので、ブロッキングを生じることなく高い生産性で安定した製造が可能である。
【0012】
さらに、本発明のフラットケーブルの製造方法は、剥離層を介して1組の絶縁被覆材を備えた本発明の絶縁被覆材を使用するので、片面ずつ絶縁被覆材を準備することによる絶縁被覆材の間違い(例えば、グレード、厚み、印刷絵柄等の間違い)を防止することができ、また、被覆加工における絶縁被覆材の安定供給が可能であり、さらに、表裏各々の絶縁被覆材の製造ロット(したがって、使用する材料、加工条件等のバラツキも)を同一のものに揃えることが確実にでき、カールの生じ難い高品質のフラットケーブルを安定して製造することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[フラットケーブル用の絶縁被覆材]
図1は、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の一実施形態を示す断面図である。図1において、フラットケーブル用の絶縁被覆材1は、剥離層2と、この剥離層2の両面に剥離可能に配設された接着樹脂層4,5と、各接着樹脂層4,5の外側に配設された耐熱樹脂層7,8とを備えている。
【0014】
剥離層2は、接着樹脂層4と耐熱樹脂層7からなる2層構造の絶縁被覆材1Aと、接着樹脂層5と耐熱樹脂層8からなる2層構造の絶縁被覆材1Bからなる1組の絶縁被覆材1A,1Bを両面に剥離可能に保持するための層である。この剥離層2は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂を、剥離層2と接する接着樹脂層4,5との剥離性を考慮して、1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用して形成したものとすることができる。また、剥離層2は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等の中心層の両側に変性ポリオレフィン樹脂からなる接着層を介して、接着樹脂層4,5に対して高い剥離性を有するポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂層を設けた積層構造であってもよい。
【0015】
剥離層2の厚みは、例えば、10〜100μm、好ましくは30〜80μmの範囲で設定することができる。剥離層2の厚みが10μm未満であると、機械的強度が不十分であり、後述するフラットケーブルの製造時において剥離層2の破断を生じやすく好ましくない。また、厚みが100μmを超えると、絶縁被覆材1全体の剛性が高くなりロール状巻取りが困難となり好ましくない。
【0016】
本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1を構成する接着樹脂層4,5は、例えば、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル−ポリウレタン、ポリウレタン、変性ポリオレフィン等の接着性樹脂を1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用して形成したものとすることができる。また、接着樹脂層4,5は、剥離層2側に、金属との接着性に優れるポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等の接着性樹脂を用いた層を配し、耐熱樹脂層7,8側に、後述する添加剤の分散加工性に優れる変性ポリオレフィン系樹脂等の接着性樹脂を用いた層を配した積層構造であってもよい。
【0017】
また、接着樹脂層4,5は、難燃剤、難燃助剤等の添加剤を30〜80重量%、好ましくは40〜60重量%の範囲で含有してもよい。上記の難燃剤、難燃助剤としては、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロロペンタシクロデカン、無水ヘット酸、クロルエンド酸等の塩素系、テトラブロモエタン、テトラブロモブタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビスフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、キサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系等の含ハロゲン有機化合物または無機化合物、赤リン、トリアリルフォスフェート、アルキルアリルフォスフェート、アルキルフォスフェート、ジメチルメチルフォスフェート、フォスフォリネート、ハロゲン化フォスフォネートエステル、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブトキシエチルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(2−クロロプロピル)フォスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)フォスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)フォスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)フォスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)2,3−ジクロロプロピルフォスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルフォスフェート、ポリフォスホネート、ポリフォスフェート、芳香族ポリフォスフェート、ジブロモネオペンチルグリコール等のリン酸エステルまたはリン化合物、フォスフォネート型ポリオール、フォスフェート型ポリオール、含ハロゲンポリオール等のポリオール化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブデン酸アンチモン、モリブデン酸化物、酸化モリブデン、リン−窒素化合物、カルシウム−アルミ−シリケート、ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、銅粉末、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム等の金属粉または無機化合物、その他、シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン化合物等の窒素含有化合物等を使用することができる。
等を挙げることができる。
【0018】
このような接着樹脂層4,5の厚みは、例えば、20〜100μm、好ましくは25〜40μmの範囲で設定することができる。接着樹脂層4,5の厚みが20μm未満であると、複数の導体線の被覆加工の際の絶縁被覆が不十分となる場合があり、また、100μmを超えると、薄く柔軟なフラットケーブルの製造が困難となり好ましくない。
【0019】
本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1を構成する耐熱樹脂層7,8は、複数の導体線の被覆加工の際に熱溶融しない樹脂からなるものであり、可撓性を有し、機械的強度、寸法安定性等に優れ、かつ耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、絶縁性等に富む樹脂のフィルムないしシートを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン12(商品名)、ナイロン66(商品名)等のポリアミド系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリテトラフロオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素含有樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエステルエーテル、全芳香族ポリアミド、ポリカーボネート等の、いわゆるエンジニアリングプラスチック、その他の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。これらの樹脂のフィルムは、未延伸、あるいは1軸方向または2軸方向に延伸したフィルム等のいずれであってもよい。また、耐熱樹脂層7,8は、接着樹脂層4,5側にポリエステル、ポリアミド等の樹脂層を配し、表面側にポリカーボネート、ポリイミド、フッ素樹脂等の樹脂層を配した積層構造であってもよい。
【0020】
このような耐熱樹脂層7,8の厚みは、例えば、6〜100μm、好ましくは12〜50μmの範囲で設定することができる。耐熱樹脂層7,8の厚みが6μm未満であると、十分な耐熱性が得られないとともに、機械的強度が不十分となる。また、100μmを超えると、被覆加工の際の加熱圧着条件が厳しくなり、また、薄く柔軟なフラットケーブルの製造が困難となり好ましくない。
本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1の厚みは、例えば、26〜200μmの範囲で設定することができ、幅は製造するフラットケーブルの幅に応じて適宜設定することができる。
【0021】
本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、耐熱樹脂層7,8の一方、あるいは両方に所望の印刷を施したものであってもよい。
このような本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1は、剥離層2を介して1組の絶縁被覆材1A,1Bが形成され、最表面に耐熱樹脂層7,8を備えているので、ロール状態で熱、圧力がかかってもブロッキングを生じることがない。このため、ロール状態による安定した搬送、保管が可能であるとともに、フラットケーブル製造時の被覆加工において1組の絶縁被覆材1A,1Bの安定供給が可能である。また、従来のフラットケーブル製造時の被覆加工の際に片面ずつ絶縁被覆材を準備するときに生じていた絶縁被覆材の間違い(例えば、グレード、厚み、印刷絵柄等の間違い)を確実に防止することができる。また、フラットケーブルの表裏各々の絶縁被覆材の製造ロットも同じものに揃うため、表裏の絶縁被覆材の加熱収縮率の差によるカールも確実に防止することができる。
【0022】
[フラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法]
次に、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法について説明する。
図2は、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法の一実施形態を説明するための図である。本発明の製造方法は、多層押出しダイ11から、剥離層2の両面に接着樹脂層4,5を有する3層構造膜6を多層押出しにより形成し、この3層構造膜6の両面に、耐熱樹脂層7,8を構成する耐熱樹脂フィルム17,18を供給して、熱圧着ローラ12,12間で同時熱接着することにより、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1を製造する。
【0023】
本発明では、多層押出しダイ11から3層構造膜6を押出すので、この3層構造膜6を構成する各接着樹脂層4,5の厚みを20〜50μm程度の薄いものに設定しても、3層構造膜6の厚みは50〜200μm程度と厚いものとなる。また、剥離層2として、溶融時の成膜性が良い樹脂を選択することで、穴明きや周期的な厚みムラ等の欠点が生じることなく薄肉の接着樹脂層4,5を形成することができる。
使用する多層押出しダイ11は、剥離層2が単層構造、積層構造のいずれであるか、また、接着樹脂層4,5が単層構造、積層構造のいずれであるかによって、例えば、3層〜7層の押しダイを適宜選択することができる。
剥離層2に使用する材料、接着樹脂層4,5に使用する材料は、上述のフラットケーブル用の絶縁被覆材1で挙げた材料を使用することができる。
【0024】
また、多層押出しの溶融温度は、使用する剥離層用材料、接着樹脂層材料の融点、軟化点を考慮して適宜設定することができる。また、押出し速度は、例えば、5〜80m/分の範囲で適宜設定することができる。
さらに、耐熱樹脂フィルム17,18は、上述のフラットケーブル用の絶縁被覆材1で挙げた耐熱樹脂層用の材料により形成されたフィルムを使用することができる。尚、このような耐熱樹脂フィルム17,18の接着樹脂層4,5との接着面に、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、アンカーコート剤塗工、易接着コート剤塗工等の処理を施してもよい。
【0025】
図3は、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。本発明の製造方法は、インフレーションダイ21から、剥離層2の両面に接着樹脂層4,5を有する3層構造膜を押出して筒体6′を形成し、この筒体6′内に気体を吹き込んで膨張させて、3層構造膜を所望の厚みとする。次いで、この筒体6′をスリッター22で長手方向に沿ってスリットして、剥離層2の両面に接着樹脂層4,5を剥離可能に有する3層構造フィルム6を分離形成する。こうして得られた3層構造フィルム6の両面に、インラインで接着剤塗工部19にて接着剤を塗工し、乾燥ゾーン20で乾燥後、耐熱樹脂層7,8を構成する耐熱樹脂フィルム17,18を供給し、圧着ローラ23,23間でドライラミネートすることにより、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1を製造する。尚、耐熱樹脂フィルム17,18側に接着剤を塗工して乾燥後、圧着ローラ23,23間で3層構造フィルム6とドライラミネートしてもよい。
【0026】
本発明では、インフレーションダイ21から3層構造膜の筒体6′を押出し膨張させるので、接着樹脂層4,5が難燃剤等を含有するものであっても、穴明きや周期的な厚みムラ等が生じることなく、接着樹脂層4,5の厚みを20〜50μm程度の薄いものとすることができる。
インフレーションダイ21は、公知のリングダイから適宜選択して使用することができる。また、剥離層2が単層構造、積層構造のいずれであるか、また、接着樹脂層4,5が単層構造、積層構造のいずれであるかによって、インフレーションダイ21に接続するホッパーの数を設定することができる。
剥離層2に使用する材料、接着樹脂層4,5に使用する材料は、上述のフラットケーブル用の絶縁被覆材1で挙げた材料を使用することができる。
【0027】
また、インフレーションダイ21からの押出し条件は、使用する剥離層用材料、接着樹脂層材料の融点、軟化点を考慮して適宜設定することができる。また、押出し速度は、例えば、10〜100m/分の範囲で適宜設定することができる。
さらに、耐熱樹脂フィルム17,18は、上述のフラットケーブル用の絶縁被覆材1で挙げた耐熱樹脂層用の材料により形成されたフィルムを使用することができる。この耐熱樹脂フィルム17,18と接着樹脂層4,5とのドライラミネートに使用する接着剤としては、公知のドライラミネーション用の接着剤を使用することができ、例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリエステル−ポリウレタン系の2液硬化型接着剤等を挙げることができる。
尚、耐熱樹脂フィルム17,18の接着樹脂層4,5との接着面に、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、アンカーコート剤塗工、易接着コート剤塗工等の処理を施してもよい。
【0028】
図4は、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。本発明の製造方法は、多層押出しダイ31から、剥離層2の両面に接着樹脂層4,5を有し、この接着樹脂層4,5の外側に耐熱樹脂層7,8を有する5層構造膜1′を多層押出しし、この5層構造膜1′を冷却ローラ32,32間で圧着して所望の厚みとすることにより、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1を製造する。
本発明では、多層押出しダイ31から5層構造膜1′を押出し、圧着するので、接着樹脂層4,5が難燃剤等を含有するものであっても、穴明きや周期的な厚みムラ等の欠点が生じることなく、接着樹脂層4,5の厚みを20〜50μm程度の薄いものとすることができる。
【0029】
使用する多層押出しダイ31は、剥離層2の層構造、接着樹脂層4,5の層構造、耐熱樹脂層7,8の積構造に応じて適宜選択することができる。
また、剥離層2に使用する材料、接着樹脂層4,5に使用する材料、および、耐熱樹脂層7,8に使用する材料は、上述のフラットケーブル用の絶縁被覆材1で挙げた材料を使用することができる。
また、多層押出しの溶融温度は、使用する剥離層用材料、接着樹脂層材料、耐熱樹脂層用材料の融点、軟化点を考慮して適宜設定することができる。また、押出し速度は、例えば、5〜80m/分の範囲で適宜設定することができる。
【0030】
上述のような本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法は、接着樹脂層4,5に難燃剤や難燃助剤等の添加剤を大量に混入した場合であっても、薄肉化が可能であり、穴明きや周期的な厚みムラ等の欠点のない均一で薄い(例えば、20〜40μm)接着樹脂層4,5の形成が可能である。また、製造工程中にて接着樹脂層4,5が露出した状態(他の部材と接触した状態)でロール状にされることがないので、ブロッキングを生じることなく安定した製造が可能である。
【0031】
[フラットケーブルの製造方法]
次に、本発明のフラットケーブルの製造方法について説明する。
図5は、本発明のフラットケーブルの製造方法の一実施形態を説明するための装置概略図である。本発明の製造方法は、複数の導体線巻き体43,43,…から複数の導体線42を所望の間隔で平行に離間された状態で被覆装置45に連続供給する。
【0032】
一方、本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材1を、剥離層2と接着樹脂層4,5との界面から剥離する。これにより、接着樹脂層4と耐熱樹脂層7からなる2層構造の絶縁被覆材1Aと、接着樹脂層5と耐熱樹脂層8からなる2層構造の絶縁被覆材1Bとが分離され、不要な剥離層2は巻き取って除去される。上記のように絶縁被覆材1から分離された2枚の絶縁被覆材1A,1Bは、接着樹脂層4と接着樹脂層5とが対向するようにして被覆装置45に連続供給する。
被覆装置45では、平行に離間された状態で連続供給される導体線42が、両面から供給される1組の絶縁被覆材1A,1Bにより被覆され、絶縁被覆材1A,1Bの接着樹脂層4と接着樹脂層5が導体線42を挟持するように融着される。これによりフラットケーブル41が得られる。
【0033】
図6は、本発明で製造されるフラットケーブル41の一例を示す平面図であり、図7は、図6に示されるフラットケーブル41のA−A線での縦断面図である。図示例では、フラットケーブル41は、10本の導体線42が平行に離間された状態で1組の絶縁被覆材1A,1Bで表裏を被覆されている。尚、本発明で製造するフラットケーブルの導体線の数は図示例に制限されるものではない。
【0034】
このような本発明のフラットケーブルの製造方法は、剥離層2を介して1組の絶縁被覆材1A,1Bを備える本発明の絶縁被覆材1を使用するので、従来の製造方法で生じていたような、片面ずつ絶縁被覆材を準備することによる絶縁被覆材の間違い(例えば、グレード、厚み、印刷絵柄等の間違い)を防止することができるとともに、表裏の絶縁被覆材の製造ロットも同一となるため、表裏の絶縁被覆材の加熱収縮率の差によるカールも確実に防止することができる。また、本発明の絶縁被覆材1はブロッキングを生じないので、被覆加工時の2層構造の絶縁被覆材1A,1Bの安定供給が可能であり、高品質のフラットケーブルを安定して製造することできる。
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
次に、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
剥離層用ペレットとして、低密度ポリエチレン(三井化学(株)製 ミラソン11P)を準備した。
また、下記組成の接着樹脂層用樹脂組成物を2軸混練機を用いて混練して、接着樹脂層用ペレットを作製した。
(接着樹脂層用樹脂組成物)
・ポリエステル樹脂 … 100重量部
(日本合成化学工業(株)製 Z1697)
・臭素系難燃剤(エチレンビスペンタブロモジフェニル)… 60重量部
・三酸化アンチモン … 30重量部
・二酸化チタン(粒径0.2μm) … 10重量部
【0036】
また、耐熱樹脂層を構成する耐熱樹脂フィルムとして、厚み25μm、幅800mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ(株)製 エンブレットS)を準備した。
次いで、上記の剥離層用ペレットと接着樹脂層用ペレットを用いて、下記の押出し条件で3層押出しダイから、接着樹脂層で剥離層を挟持した3層構造膜を押出し、同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを3層構造膜の両側から供給(供給速度40m/分)して、1対の圧着ローラで接着した。
(3層押出し条件)
・装置 : 住友重機械工業(株)製 樹脂溶融押出機
(3種5層のダイスを使用)
・押出し速度 : 40m/分
・Tダイ温度 : 250℃
【0037】
これにより、剥離層の両側に接着樹脂層を備え、この外側に耐熱樹脂層を備えた5層構造の本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材を得た。
この絶縁被覆材の剥離層の厚みは60μm、各接着樹脂層の厚みは35μm、各耐熱樹脂層の厚みは25μmであった。また、接着樹脂層はムラ、穴あきのない均一なものであった。
上記の絶縁被覆材を直径3インチのコアに300m巻き付け、このロール状態で放置(60℃、14日間)した後、ブロッキングの有無を観察した結果、ブロッキングは生じていなかった。
【0038】
[実施例2]
剥離層用ペレットとして、低密度ポリエチレン(三井化学(株)製 ミラソン11P)を準備した。
また、接着樹脂層用ペレット1として、ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製 GM990)を準備し、また、下記組成の接着樹脂層用樹脂組成物を2軸混練機を用いて混練して、接着樹脂層用ペレット2を作製した。
(接着樹脂層用樹脂組成物)
・ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製 GM990) … 100重量部
・臭素系難燃剤(エチレンビスペンタブロモジフェニル)… 60重量部
・三酸化アンチモン … 30重量部
・二酸化チタン(粒径0.2μm) … 10重量部
【0039】
また、耐熱樹脂層を構成する耐熱樹脂フィルムとして、厚み25μm、幅700mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ(株)製 エンブレットS)を準備した。
次いで、上記の剥離層用ペレットと接着樹脂層用ペレット1および接着樹脂層用ペレット2を用いて、下記の押出し条件でインフレーションダイから、接着樹脂層用ペレット1で形成した接着樹脂層で剥離層を挟持し、更にその外側を接着樹脂層用ペレット2で形成した接着樹脂層で挟持した5層構造膜を円筒状に共押出しし、内部に空気を吹き込んで膨張させ、長手方向に延伸した。その後、円筒体を長手方向にスリットして、2層の接着樹脂層で剥離層を挟持した5層構造フィルムを作製した。さらに、インラインで、この5層構造フィルムの両側にポリエチレンテレフタレートフィルムをドライラミネートした。尚、ポリエチレンテレフタレートフィルムのラミネート面には、予め2液硬化型ウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製 タケラックA−515(主剤(ポリオール))/タケネートA−50(硬化剤(イソシアネート系)))をグラビアリバースコート方式で塗布(塗布量4.0g/m2)した。
(インフレーション条件)
・リングダイス温度 : 250℃
・押出し速度 : 50m/分
【0040】
これにより、剥離層の両側に2層の接着樹脂層を備え、この外側に耐熱樹脂層を備えた7層構造の本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材を得た。
この絶縁被覆材の剥離層の厚みは60μm、各接着樹脂層の厚みは35μm、各耐熱樹脂層の厚みは25μmであった。また、接着樹脂層はムラ、穴あきのない均一なものであった。
上記の絶縁被覆材を直径3インチのコアに300m巻き付け、このロール状態で放置(60℃、14日間)した後、ブロッキングの有無を観察した結果、ブロッキングは生じていなかった。
【0041】
[実施例3]
剥離層用ペレットとして、低密度ポリエチレン(三井化学(株)製 ミラソン11P)を準備した。
また、下記組成の接着樹脂層用樹脂組成物を2軸混練機を用いて混練して、接着樹脂層用ペレットを作製した。
(接着樹脂層用樹脂組成物)
・ポリエステル樹脂 … 100重量部
(日本合成化学工業(株)製 Z1697)
・臭素系難燃剤(エチレンビスペンタブロモジフェニル)… 60重量部
・三酸化アンチモン … 30重量部
・二酸化チタン(粒径0.2μm) … 10重量部
【0042】
さらに、耐熱樹脂層用ペレットとして、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ポリプラスチックス(株)製 ジュラネックス700FP)を準備した。
次いで、上記の剥離層用ペレット、接着樹脂層用ペレット、および耐熱樹脂層用ペレットを用いて、下記の押出し条件で5層押出しダイから、接着樹脂層で剥離層を挟持し、さらにこれを耐熱樹脂層で挟持した5層構造膜を押出し、1対の冷却ローラで圧着した。
(5層押出し条件)
・剥離層押出し温度 : 250℃
・接着樹脂層押出し温度 : 250℃
・耐熱樹脂層押出し温度 : 280℃
・押出し速度 : 40m/分
【0043】
これにより、剥離層の両側に接着樹脂層を備え、この外側に耐熱樹脂層を備えた5層構造の本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材を得た。
この絶縁被覆材の剥離層の厚みは60μm、各接着樹脂層の厚みは35μm、各耐熱樹脂層の厚みは25μmであった。また、接着樹脂層はムラ、穴あきのない均一なものであった。
上記の絶縁被覆材を直径3インチのコアに300m巻き付け、このロール状態で放置(60℃、14日間)した後、ブロッキングの有無を観察した結果、ブロッキングは生じていなかった。
【0044】
[比較例]
実施例1と同様にして、接着樹脂層用ペレットを作製した。また、耐熱樹脂層を構成する耐熱樹脂フィルムとして、実施例1と同様のポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
次いで、上記の接着樹脂層用ペレットを用いて、下記の押出し条件でTダイからポリエチレンテレフタレートフィルム(供給速度40m/分)上に接着樹脂を押出し、1対の圧着ローラで圧着して接着樹脂層を形成した。
(押出し条件)
・接着樹脂層押出し温度 : 250℃
・押出し速度 : 40m/分
【0045】
これにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に接着樹脂層を備えたフラットケーブル用の絶縁被覆材を得た。
しかし、絶縁被覆材の接着樹脂層の厚みは10〜100μmであり、厚みムラがあることが確認された。また、実施例1と同条件で巻き付け、ロール状態での保存を行ったところ、ブロッキングを生じ、部分的に接着樹脂層表面と耐熱樹脂層とが接着し、巻き戻しが困難であった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
平行に離間された状態の複数の導体線を両面から絶縁被覆材で被覆したフラットケーブルの製造において適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法の一実施形態を説明するための図である。
【図3】本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法の一実施形態を説明するための図である。
【図4】本発明のフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
【図5】本発明のフラットケーブルの製造方法の一実施形態を説明するための装置概略図である。
【図6】本発明で製造されるフラットケーブルの一例を示す平面図である。
【図7】図6に示されるフラットケーブルのA−A線での縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…フラットケーブル用の絶縁被覆材
1A,1B…2層構造の絶縁被覆材
1′…5層構造膜
2…剥離層
4,5…接着樹脂層
6,6′…3層構造膜
7,8…耐熱樹脂層
11…多層押出しダイ
17,18…耐熱樹脂フィルム
21…インフレーションダイ
31…多層押出しダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離層と、該剥離層の両面に剥離可能に配設された接着樹脂層と、該接着樹脂層の各々の外側面上に位置する耐熱樹脂層とを備えることを特徴とするフラットケーブル用の絶縁被覆材。
【請求項2】
前記接着樹脂層は、難燃剤を30〜80重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル用の絶縁被覆材。
【請求項3】
前記接着樹脂層は、厚みが20〜40μmの範囲であることを特徴する請求項1または請求項2に記載のフラットケーブル用の絶縁被覆材。
【請求項4】
剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造膜を多層押出しにより形成し、該3層構造フィルムの両面に耐熱樹脂フィルムを同時熱接着することを特徴とするフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法。
【請求項5】
剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造膜からなる筒体をインフレーション法により形成して膨張させ、その後、該筒体を長手方向に沿ってスリットして、剥離層の両面に接着樹脂層を有する3層構造フィルムを2枚形成し、次いで、各3層構造フィルムの両面に耐熱樹脂フィルムをドライラミネートすることを特徴とするフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法。
【請求項6】
剥離層の両面に接着樹脂層を有し、該接着樹脂層の各々の外側に耐熱樹脂層を有する5層構造膜を多層押出しにより形成し冷却することを特徴とするフラットケーブル用の絶縁被覆材の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフラットケーブル用の絶縁被覆材を、剥離層と接着樹脂層との界面から剥離することにより、耐熱樹脂層と接着樹脂層の2層構造である2枚の絶縁被覆材に分離し、分離した2枚の絶縁被覆材を、平行に離間された状態で連続供給される複数の導体線の両面から供給して被覆することを特徴とするフラットケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−164583(P2006−164583A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350722(P2004−350722)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】