説明

フラットスピーカーのための加振機、フラットスピーカーおよび輸送機関

本発明は、特に宇宙機の分野に用いられるフラットスピーカー用の発振器に関する。本発明の発振器は、発振部キャリアと、発振器とスピーカーの音響変換器とを結合する結合リングと、を有する。発振部キャリアと結合リングとは、取り外し可能な、クイックリリース封止機構によって接続される。クイックリリース封止機構は、振動に対して接続を維持する第1封止部と、第1封止部から独立し、かつ発振部キャリアと結合リングとの間の接続を確保する第2封止部とを有する。本発明は、さらに、発振器を有するフラットスピーカー、およびフラットスピーカーを有する輸送機関に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空機および宇宙機におけるフラットスピーカーのための加振機に関する。本発明はさらに、加振機を有するフラットスピーカーおよびフラットスピーカーを有する輸送船に関する。
【0002】
本発明および本発明の課題は、いかなるタイプのスピーカーに適用されうるが、本明細書では、本発明および本発明の課題を、フラットスピーカー、特にフラットスピーカーのパネルを振動させる加振機を参照しながら説明する。しかし本発明は、これらに限定されない。また、本明細書では、本発明を旅客機の分野で用い例を説明するが、本発明は他の分野においても使用されうる。
【背景技術】
【0003】
スピーカーは、電気信号を空気伝播音信号に変換する電気機械部品である。このようなスピーカーは、極めて多様な形状で幅広く用いられている。現在の旅客機の客室におけるスピーカーシステムでは、例えばシート列上の供給ダクトに組み込まれた従来の動電型スピーカーが、口頭アナウンスの再生のために用いられる。これらのスピーカーは、中周波から高周波の範囲の主音の再生のための最低限のサイズのスピーカーダイヤフラムに起因して、強い指向性を有し、その結果 、客室における口頭アナウンスが不均一に音響分布する。
【0004】
これらの問題は、従来の電動型スピーカーの代わりにフラットスピーカーと呼ばれるスピーカーを用いることによって解決されうる。このようなフラットスピーカー(通常は、フラットダイヤフラムスピーカーとも呼ばれる)は、加振機または変換器とも称される振動発生器を有する。加振機は、パネル状の音響変換器に結合され、音響変換器を振動させ、そしてその結果、音響波を発生させる。本明細書における「パネル」とは、実質的に平坦で、表面が滑らかな部材を意味するが、必ずしも平面的ではない部材を意味することもある。航空機のフラットスピーカーに用いられるパネルは、例えば、航空機の客室の内部カバーの一部から形成され、そしてフラットスピーカーの音響変換器として機能する。
【0005】
図1および図1Aは、公知のフラットスピーカーの加振機の基本構造を示す図である(例えばWO98/34320参照)。加振機1は、平面視したときに円状形状を有し(図1A)、弾性システム2、コイル3および磁石システム4を有する。コイル3は、堅固にフラットスピーカーのパネル5に接続されている。コイル3によってパネル5に屈曲波が誘発される。弾性システム2は、円状コイル3対して外側に配置される。磁石システム4は、固定手段6によって弾性システム2上に吊り下げされている。そのため磁石システム4は、コイル3およびパネル5に対して可動的に支持されている。
【0006】
加振機1の寸法(すなわち、コイル2の径)は、通常用いられるパネルの寸法に応じて決定される。加振機1の構成要素2、4および6が、その後コイル2の周りに配置されるので、 断面における加振機1全体の径は、コイル3の径よりも著しく大きくなる。加振機1は、このためパネル5上で比較的大きな表面積を占める。
【0007】
原則的に、加振機1のパネル5への取り付けは、様々な方法で実現されうる。
一つの方法では、加振機のコイルキャリアとパネルとは接着剤で直接接着されたり、またはねじで固定される。ねじを回す操作は、振動を防止するために組立てにおいて手間がかかる。加振機をパネルに直接接着する方法は、組み立てにおいて比較的容易ではある。しかしこの方法では、例えば、機能不調の場合などに、接着後に加振機の位置を移動させることは困難でコストがかかる。
【0008】
このため、2つ目のバリエーションでは、パネル5と加振機1との間に結合リング7(図1参照)と呼ばれる部材を用いる。組立ての際、まず結合リング7がパネル5に接着剤で接着される。その後、加振機1が結合リング7に固定される。
【0009】
上述した、大きな径を有し、平面視したときに大きな表面積を占める加振機1は、例えば、パネルの表面が滑らかではあるが、パネルが必ずしも平坦ではなく、実質的に湾曲している場合、組立てが困難になる。このため、パネルが湾曲する場合、可能な限り小さい加振機を用いる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの背景に基づき、本発明の目的は、特にフラットスピーカーのための極めてコンパクトな加振機を提供することである。加振機は、特に迅速かつ正確な組み立ておよびフラットスピーカー全体を破壊することない分解を可能にすることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上述した目的の少なくとも一つは、請求項1および14の特徴を有する加振機および/または請求項17の特徴を有するフラットスピーカーおよび/または請求項22の特徴を有する航空機によって達成される。
【0012】
したがって以下の発明が提供される:
特に航空機および宇宙機に用いられる、フラットスピーカー用の加振機であって、振動部キャリアと、加振機をスピーカーの音響変換器に結合する結合リングとを有し、前記振動部キャリアと前記結合リングとは、クイックフィット封止機構によって、取り外し可能に接続され、前記クイックフィット封止機構は、振動中に堅固な接続を維持するための第1封止部と、前記振動部キャリアと前記結合リングとの間の接続を堅固にし、かつ前記第1封止部から独立した第2封止部とを有する、加振機。
【0013】
特に航空機および宇宙機に用いられる、フラットスピーカー用の加振機であって、コイルを収容するコイルキャリアと、前記コイルキャリアに接続された振動部キャリアと、前記加振機を前記フラットスピーカーの音響変換器に結合する結合リングと、を有し、前記振動部キャリアは、内側に位置する弾性システムを有し、前記弾性システムは、前記弾性システムが前記コイルキャリアの構造内に完全に収容されるように、前記コイルキャリアに対して、反転され、前記加振機は、前記結合リングに、封止機構によって取り外し可能に接続されることを特徴とする加振機。
【0014】
音響波を発生させ、伝導する音響変換器と、前記音響変換器に接続された前記請求項のいずれか一項に記載の加振機と、を有し、特に航空機または宇宙機に用いられるフラットスピーカーであって、前記加振機は、音響変換器を振動させ、音響波を伝導する、フラットスピーカー。
【0015】
乗員のための少なくとも一つの乗員室と、前記乗員室に音響放射するための、少なくとも一つの前記請求項のいずれか一項に記載されたフラットスピーカーと、を有し、前記フラットスピーカーの前記パネルは、前記乗員室の一部を構成することを特徴とする、特に航空機または宇宙機である輸送機関。
【0016】
本発明の第1の基本的概念は、反転構造と呼ばれる加振機の構造を提供することである。この加振機の反転構造では、弾性システムが、実質的に, 内側に位置する。この「内側反転構造」は、コイルキャリアと磁石システム(環状ギャップ)との間で実現される。従来の解決手段では、弾性システムと磁石システムとは、固定手段の(加振機の中心に対して)外側に配置されていた。本解決手段では、パネルにおける結合リングの外側固定手段は、内側に移動されている。これにより、同じ機能を有するが、径の小さい加振機が製造・提供され、コンパクトな外観を有する加振機が提供される。特に、加振機の外周部(弾性システムによって、および磁石システムおよびコイルシステムを弾性システムに固定することで決定される部分)が、著しく小型化される(コイルシステムの表面に対して上方から観察したとき)。
【0017】
このような、反転構造を有する加振機によれば、コイルの内径を大きくしつつも、外部寸法(外径)を小さくすることができるというメリットが提供される。このような、コンパクトな構造は、加振機の大きさに対する機能の効率性を実質的に向上させることができる。 従来の解決手段と比較して加振機の径を小さくしたことで、このような本発明の加振機の、湾曲したパネル(例えば凸状または凹状に歪曲したフラットスピーカーのパネル)への固定適正度が向上する。
【0018】
また、この種のコンパクトな加振機を、低重量化することも可能である。
本発明では、加振機はさらに、弾性部材によって接続された内リングおよび外リングを有する振動部キャリアを有する。振動部キャリアの内リングは所定の場所に固定され、コイルキャリアに接続された振動部キャリアの外リングは、音を発生させるために、フラットダイヤフラムに、結合リングによって結合されている。結合リングは、取り外し可能な状態で、振動部キャリアに接続されている。このため、振動部キャリアおよび結合リングには、互いに対向する相補接続部が設けられている。相補接続部は、所定の回転運動によって、互いに噛合し、その結果封止機構を構成する。この構造は、加振機の迅速かつ極めて正確な組立てを可能にする。
【0019】
本発明の他の概念は、クイックフィット封止機構を有する加振機を提供することである。そのようなクイックフィット封止機構は、一般的に接続される二つの部品の迅速かつ簡便な組み立てを可能にするという長所を有する。しかしながら、クイックフィット封止機構の短所は、その結果、接続される二つの部品が、互いに堅固に接続されず、例えば、振動や、手動による軽い移動によって、意図せず互いに離れてしまうことである。しかしながら、この短所は、例えば旅客機などの多くの利用分野において許容されるものではない。特に、航空機や宇宙機の利用分野における加振機の組み立てにおいて、この所定の要件を満たすために、本発明は、加振機の結合リングと弾性システムとの間に改善された封止機構を提供する。本発明の封止機構は、加振機における弾性システムと結合リングとの、取り外し可能な接続を可能にする。結合リングはその後、パネルに固定されうる。本発明の封止機構は、一方で、迅速な組み立ておよび分解が可能で、他方で加振機において結合リングと弾性システムとの遊びのない接続を形成できるように構成される。これにより、特に航空機において求められる、極めて厳しい振動に対する耐性(最高で20Gまで要求される)をより効果的に満たすことができる。
【0020】
本発明では、加振機の結合リングおよび弾性システムは、この目的のために2つの互いに独立した固定機構を有する。第1の固定機構は、実質的にスナップ式封止機構である。加振機の弾性システムの結合リングへのねじ込みは、まず適切に調節された緩勾配な斜面によって達成されうる。そして、ユーザに、弾性システムと結合リングとの噛合を指し示す急勾配な斜面が提供される。しかしながら、第1固定機構は、結合リングと弾性システムとが、可能な限り分離しないように堅固な固定を形成するためのものではない。第1固定機構は、この場合、固定を維持するため、すなわち、2つの部材の相対的位置を維持するためのものである。また第1固定機構は、加振機を結合リング上に回して締め付ける際、ユーザに最終位置まで達したことを示す役割も有する。
【0021】
結合リングと弾性システムとの間の堅固な接続は、第2固定機構によって達成される。 第2固定機構では、弾性システムおよび結合リングの両方が、封止機構として、互いに噛合し、結合斜面が組み込まれた部材を有する。加振機(弾性システム)を、結合リング上で回す際、互いに対向する結合斜面が、小さな勾配で互いに押し当てられる。結合斜面を互いにさらに強く押し当てることで、摩擦力によって結合される部材(結合リングおよび弾性システム)の堅固な接続が形成される。その結果、結合の安定性は、回して締め付ける動作の際に加える力によって調整されうる。しかしながら、結合斜面は、接続を固定したり、維持したりする機能はない。結合斜面は、知られているようにエンドストップを有さないからである。上述したように接続の固定や維持は、第1固定機構によって達成される。
【0022】
このため、本発明によれば、接続の固定および維持の機能を担う部材(エンドストップ)と、接続の安定性を調整する部材とが(空間的に)分離している。
これにより、2つの固定機構のそれぞれの利点が組み合わされる。すなわち、弾性システムを結合リングに迅速に接続することが可能になり、堅固で確実な接続が保障される。
【0023】
この構造によって、本発明の固定機構は、結合リングと弾性システムとの間の接続が、例えば振動などによって、解除されてしまうことを効果的に防止することができる。 この組み合わされた封止機構は、さらに、封止および再開放を何度も繰り返すことを可能にする。これにより、組み立ておよび分解の際に、欠陥を有する加振機を取り換えることができるという、追加的な利点が提供される。
【0024】
本発明の好ましい構造および形態は、その他の従属請求項および図面に表された実施の形態から導かれる。
本発明の好ましい実施の形態では、加振機がコイルを収容するコイルキャリアを有し、振動部キャリアは、コイルキャリアに接続され、かつ弾性システムを有し、弾性システムは、コイルキャリアに対して、内側に位置する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態では、クイックフィット封止機構は、互いに噛合した振動部キャリアおよび結合リングの接続部である。
本発明の好ましい実施の形態では、第1封止部は、振動部キャリアまたは接合リングに固定フィンガーを有し、固定フィンガーは、結合リングまたは振動部キャリアの噛合凹部に噛合し、封止操作の際に保持力を確保する。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態では、噛合凹部は、固定斜面によって形成され、固定斜面は、噛合凹部側に位置する急勾配の斜面と噛合凹部の反対側に位置する緩勾配の斜面とを有し、固定フィンガーは、封止操作中まず、緩勾配の斜面に沿って移動し、次に急勾配な斜面に沿って移動する。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態では、結合リングおよび振動システムは、結合リングと弾性システムとの間の遊びの無い接続を堅固にするために、互いに対向する第2封止部として相補収容部を有する。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態では、相補収容部は、結合リングおよび弾性システムの外周から突出したピンである。
本発明の好ましい実施の形態では、少なくとも第1の相補収容部は、内部溝を有し、封止操作中、内部溝の後ろに、第2の相補収容部が、差込封止によって噛合する。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態では、相補収容部はそれぞれ、接続中互いに対向する結合表面を有し、結合リングと弾性システムとは、結合表面の摩擦接続によって堅固に接続する。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態では、互いに対向する接続表面を有する、相補収容部は、僅かにくさび型に成形されている。
本発明の好ましい実施の形態では、相補収容部の斜面は、接続面に対して、3〜8°、好ましくは3〜6°の傾斜角度を有する。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態では、相補収容部は、不規則な間隔で振動部キャリアおよび/または結合リングの外周に配置され、および/または、それぞれ異なる寸法を有する。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態では、振動部キャリアおよび結合リングは、互いに対向する端面のうち、一方の端面に設けられた凹部と、他方の端面に設けられ、弾性を有し、かつ同様の形状およびサイズを有する対応形状と、から形成される噛合部を有する。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態では、加振機が、環状のギャップを有する環状ギャップ磁石システムをさらに有し、弾性システムは、完全に環状ギャップ内に配置される。
本発明の好ましい実施の形態では、振動部キャリアは、内リングと、外リングとを有し、内リングと、外リングとは、弾性システムの弾性部材によって接続され、コイルキャリアは、外リングに不可逆的に固定される。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態では、音響変換器は、サンドイッチ状の構造を有し、少なくとも上部カバー層と、下部カバー層と、を有し、好ましくは上部カバー層と下部カバー層との間にハニカムコア材料を有する。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態では、音響変換器は、少なくとも一つの面(y−z)に曲面であり、加振機は、曲面(y−z)に固定される。
本発明の好ましい実施の形態では、加振機(特に加振機の結合リング)は、音響変換器に、接着剤で不可逆的に固定される。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態では、パネルは、実質的に長方形であり、加振機は、パネルの中央領域に配置される。
本発明の好ましい実施の形態では、乗員室の一部は、好ましくは乗員室の壁面または天井の内部カバー、サプライダクトおよび/またはシートの一部である。
【0037】
以下、本発明を模式図に示された実施の形態を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】パネル上に設置された従来の加振機の断面。
【図1A】図1にしめされた弾性システムの上面図。
【図2】非常に簡略化した本発明のフラットスピーカーの上面図。
【図2A】図2のフラットスピーカーの断面図。
【図3】第1の実施の形態の本発明の加振機の分解斜視図。
【図3A】図3に示された本発明の加振機の弾性システムの端面の斜視図。
【図3B】図3に示された本発明の加振機の結合リングの内面の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面では、特に説明する場合を除き、同一の符番は、同一のまたは同じ機能を有する構成要素を意味する。
図2は、本発明の一の実施の形態の薄型ラウドスピーカー1の斜視図である。
【0040】
図2に示された、非常に簡略化されたフラットスピーカー10は、パネル20と、パネル20の実質的に中心に配置され、パネル20と接続した加振機30とを有する。パネル20は、実質的に長方形であることが好ましい。
【0041】
フラットスピーカーのダイヤフラムを構成するパネル20(フラットスピーカーの音響変換器)は、図2Aに示されるように、実質的にx−y面に平面状に延在し、小さな曲率で、y−z面に湾曲している。図示されたフラットスピーカー10では、例えば、x軸は航空機の先端に向かった航空機の縦軸であり、y軸は、航空機の右から左へ延びた航空機の横軸であり、z軸が航空機の垂直軸である。パネル20は、サンドイッチ体を有する。サンドイッチ体は、例えば、上部カバー層および下部カバー層ならびに上部カバー層と下部カバー層とに挟まれたハニカム構造体(図1、1Aには不図示)を有する。ハニカム構造体のハニカム構造は、パネルのx−y方向に対して実質的に垂直方向に延在する。上部カバー層および下部カバー層は、ガラス繊維複合体から形成されることが好ましく、ハニカム構造体は、紙または紙様材料から形成されることが好ましい。下部カバー層は、フラットスピーカー10において、キャビンの内部空間に、すなわち乗客の方向に向いている。上部カバー層は、加振機30に直接接続していることが好ましい。
【0042】
パネル20は、航空機のサプライダクトの保持部材(不図示)によって固定されていることが好ましい。
航空機構造体に用いられる、フラットスピーカーのためのパネル20の表面積は、約100cm〜2000cmであり、約600cmであることが好ましい。パネル20の厚さDは、約3〜10mmであり、約6mmであることが好ましい。パネル20の重さは約100g/m〜2000g/mであり、約600g/mであることが好ましい。ハニカム構造体の個々のハニカム構造のセル幅は、2〜4mmであり、約3.2mmであることが好ましい。
【0043】
磁石と振動コイルとを有する通常の加振機30が図2に示される。図2は、明確化の目的により、加振機30を概略的にのみ示す。加振機30は、パネル20の任意の場所に配置されてもよいが、例えば重量の均等配分ためにパネル20の中央領域30の、出来るだけ中心部に配置されることが好ましい。
【0044】
動電型スピーカー10では、ダイヤフラム20は、振動発生器30(または加振機もしくは変換器)を用いて、電流と定磁場との間の相互作用によって駆動される。このような動電型スピーカー10は、ローレンツ力を動力源として用いる。動電型スピーカー10は、振動コイルと呼ばれ、電流が流されるセントラルコイルを有する。振動コイルは、永久磁石による定磁場内に配置される。例えば、フェライト、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどが永久磁石の材料として用いられる。スピーカーがフラットスピーカーである場合、コイルは、フラットスピーカーのフラットパネルに固定された振動コイルキャリア上に位置する。コイルおよびダイヤフラムは、磁場内を、電界強度分布に対して垂直に、前後に移動できることが好ましい。コイルに交流電流が流されると、ローレンズ力によってダイヤフラムに力が加えられ、ダイヤフラムが振動する。この結果、ダイヤフラムに、音響波を発生させる屈曲波が生じる。
【0045】
図3は、本発明の第1の詳細な実施の形態の加振機の分解斜視図である。図3Aは、加振機30の弾性システムの構造を示す。本発明の加振機30は、反転構造を有する。すなわち、弾性システムは、完全に加振機の磁石システム内に配置される。
【0046】
図3では、加振機は符番30で示される。加振機30は、コイルキャリア11、弾性システム13、結合リング12および環状の磁石システム14を有する。加振機30の構成要素11、12、13、14は、加振機30が一般的に実質的にフラットで円筒状の構造を有するので、円状であることが好ましい。加振機30は、さらに電気接続デバイス18を有する。電気接続デバイス18を通して、加振機30に電流が供給される。
【0047】
コイルキャリア11は、コイルを収容する。コイルはコイルキャリア11のハウジング内に配置されるが、図1に明示されていない。本実施の形態ではコイルは、プランジャーコイルである。プランジャーコイルは、定磁場内に弾性を有するよう吊り下げられ、電流が流れた際にローレンズ力によって屈折する(磁気)コイルである。 したがって、プランジャーコイルは、電流が流れたとき、ワイヤーおよび磁場を横切るような(すなわち、コイルの長軸に沿った)力を生じさせる。この力は電流と比例する。力は、パネル20に 屈曲波を生じさせるために用いられる。作動の際、コイル自身は電磁気反力すなわち、駆動電圧とは逆の電圧を誘導する。電流の流れの方向を逆にすることで、力の方向も変化する。したがって、このようなプランジャーコイルを有する磁石システムは、 とりわけ交流電圧を機械的振動に変換するために適している。このような機能は、スピーカーのための加振機30に求められる。
【0048】
そして、組み込まれた状態のコイルハウジング11は、弾性システム13のハウジングに、例えば接着剤などによって堅固に接続される。その結果いかなる場合であっても所定位置に固定される。弾性システム13は、加振機30の振動部キャリアを構成する。弾性システム13は、内リング41bと外リング41aとを有する(図3A参照)。内リング41bと外リング41aとは、部分的に、かつ弾性を有するように、弾性部材42によって互いに接続されている。外側に設けられた外リング41aは、コイルハウジングのコイル固定手段17として機能する。弾性システム13は、弾性システム13を結合リング12に固定するために、コイル固定手段17に対して内側に位置する複数の弾性部材42をさらに有する。振動部材キャリア13の内リング41bは、剛性を有する。一方、振動部材キャリア13の外リング41aは、コイルキャリア11に接続され、そして、音響波を生じさせるために、平らなダイヤフラム20に結合リング13によって結合されている。
【0049】
弾性システム13は、さらに中央凹部43を有する。コイル固定手段17の円状のリングを基準として、弾性システム13は、反転構造の内側に配置された弾性部材42を備え、磁石システム14に、収容部15によって接続されうる。磁石システム14は、中心穴15を有する。これにより、弾性システム13の内リング41bは、磁石システム14に堅固(厳正に)に接続されうる。 コイル11に電流を供給する電気接続デバイス18は、磁石システム14の中心穴15を通ることが好ましい。
【0050】
コイル11が固定された弾性システム13は、組立の際、結合リング12に押しつけられ、そして、例えば、回転クイックフィット封止機構によって、結合リング12に取り外し可能に接続される。この目的のため、振動部キャリア13および結合リング12には、互いに対向した、相補接続部が設けられている。相補接続部は、回転運動によって互いに噛合し、そしてその結果、封止機構を構成する。この構成は、迅速かつ正確な加振機の組み立てに寄与する。対応する接続機構は、以下に詳細に説明する。
【0051】
結合リング12は、組み立ての際、スピーカー10のパネル20(図3および図3Aでは不図示)に、限定されないが好ましくは不可逆的接続によって固定される。このような不可逆的な接続の例には、接着剤による接続が含まれる。
【0052】
結合リング12および弾性システム13は、クイックフィット封止機構を可能にする固定機構の組合せを有する。本発明の固定メカニズムは、2つの必須の構成要素を有する。第1に、少なくとも一つの固定フィンガー21が、結合リングに設けられている。第2に、結合リング12および弾性システム13は、遊びのない堅固体な接続のために相補収容部23、24を有する。図3Bは、弾性システム13に対向する面側からの、結合リング12の詳細な構造を示す図である。図3Bは、相補収容部23、24および固定フィンガー21の構造および機能を示す。
【0053】
本実施の形態では、相補収容部23、24は、結合リング12および弾性システム13の外周から突出したピンである。弾性部材13のピン24は、放射状に突出している。一方、結合リング12のピン23は、軸方向かつ、弾性システム13方向に突出し、内部溝25を有する。この内部溝25は、弾性システム13のピン24が内部溝25の後ろ側で噛合し、封止機構を構成するように形成される。この封止機構の原理は、差込封止と類似する。つまり、一つのリング(すなわち弾性システム13の構成要素24)が他のリングの収容部(すなわち結合リング12の構成要素23)の後方に押され、2つのリングの移動によって軸方向の封止が形成される。
【0054】
軸方向の封止に加えて、堅固な接続を形成するために、2つの相補収容部23、24は、結合表面23a、24aを有する。結合表面23a、24aは、2つの構成要素12および13が回転されたときに、2つの相補収容部23、24同士を接続する機能を有する。結合表面23a、24aは、接合された状態で、互いに対向するように配置される。これにより、結合リング12および弾性システム13が、結合表面23a、24aの摩擦接続によって堅固に接続される。
【0055】
互いに対向する結合表面を有する相補収容部23、24は、僅かにくさび型に形成されている。このため相補収容部23、24は、結合表面23a、24aが互いに接触し押し合ったときに、斜面のくさび作用によって、強い接続が得られるように、極めて小さい斜面を有する。相補収容部23、24は、その結合表面23aおよび24aが、接続面に対して3〜8°、好ましくは3〜6°の傾斜角度を有する斜面を有することが好ましい。これにより、結合リング12と弾性システム13との間に遊びのない接続、すなわち維持された固定接続が形成される。相補収容部23、24のこのような結合斜面23a、24aは、同時に、結合リング12が、弾性システム13に対して過剰に回転することを防止する機能を有する。これにより、追加的なエンドストップが不要となる。
【0056】
回転方向を明確にするため、相補収容部23、24は、結合リング12および弾性システム13の外周に、不均一に分布し、および/または異なる寸法を有することが好ましい。
【0057】
弾性システム13または結合リング12の封止された円状リング相補収容部23、24の配置によって、垂直接続を有する封止システムが固定されると、高い安定性が達成される。この結果、本発明の加振機10の全体の構成の中で、弾性システム13の弾性部材42を加振機10の最も壊れやすい部材にできるというさらなるメリットが得られる。これにより、本発明の加振機10に機械的な過剰負荷が加わった場合に、弾性部材42が、破壊位置として機能する。結合リング12は、通常パネル20に不可逆的に結合されているため、弾性システム13(特に弾性部材42)だけが、この場合、機械的な過剰負荷によって、損傷される。しかしながら、弾性システム13は、可逆的封止システムによって、結合リング12から再び回して外されることができる。これにより、加振機10に機械的な過剰負荷が生じたとしても、比較的高価なパネル20を取り換える必要はない。加振機10に機械的な過剰負荷が生じた場合、結合リング12に固定さえた加振機10(結合リング12を除く)、特に、弾性システム12のみが取り換えられればよい。
【0058】
結合リング12に対して弾性システム13を保持し、固定する少なくとも一つの固定フィンガー21が結合リングに設けられている。少なくとも一つの固定フィンガー21は、少なくとも部分的に結合リング12の径方向に移動できるように構成されている(図3の矢印参照)。固定フィンガー21は、プレ張力で、弾性システム13の円状の外リング4に押し当てられる。固定フィンガー21と、固定フィンガー21に対向する固定斜面22は、一方の側面22a(図3Aにおける構成部材22の右側の側面)に緩勾配を有し、そして反対側の側面22b(図3Aにおける構成部材22の左側の側面)に急勾配(斜面に対して約90°)を有するように構成されることが好ましい。このため、固定斜面22は、第1に弾性システム13と結合リング12との封止操作が、比較的小さい力の印加によって実現されるように形成される。本実施の形態では、固定フィンガー21は、第1に緩勾配な斜面22aに沿って延在するからである。 弾性システム13が回転され、そして結合リング12に封止されることが関与する操作中は、力の加わり方が変化し、その結果、上述した斜面によって、トルクも変化する。最終位置(噛合位置)に達する直前、固定フィンガー21が構成部材22の急な斜面22bに噛合するので、必要な封止トルクが突然、減少する。そして、ユーザが、実行すべきトルクによる封止操作について、音声による指摘を受ける。しかしながら開放操作では、それよりもかなり強い力を印加する必要になる。開放操作では、固定フィンガー21がまず、急勾配な斜面22bに沿って移動することが求められるからである。
【0059】
構成要素22の2つの固定斜面22a、22bには角がないことから加振機のクイックフィット封止機構の摩擦しない開放および再封止ならびに簡便かつ効果的な組み立ておよび分解が確保される。
【0060】
複数の噛合凹部26が弾性システム13の外リング41aに円周方向に設けられている。 この場合、外リング41aに設けられた噛合凹部26は、結合リングに対向する表面29に形成された、円状の凹部であることが好ましい。結合リング12は、弾性システム13に向いた内面27に、さらに、複数の噛合部26aを有する。噛合部26aは、結合リング12の内面27から、実質的に半球状に突出し、その寸法および形状は、噛合凹部26に対応する。弾性システム13の外リング41aが噛合凹部26と共に、噛合部26aに対してずらされると、さらなる噛合および固定がそれにより形成される。この噛合部26aは、内部方向に弾性を有することが好ましい。したがって噛合部26aは、柔軟性を有することが好ましい。
【0061】
結合リング12の相補収容部23の溝25に停止部28がさらに設けられている。停止部28は、 結合リング12上での弾性システム13が回転する際に、対応する相補収容部を停止させる機能を有する。
これまで、上述した好ましい実施の形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に参照されず、様々な変更点、修正点が加えられてもよい。
【0062】
本発明では、結合リングは、弾性システムから取り外し可能な構成を有するものの、加振機の構成要素とみなされる。
加振機の結合リングは、フラットスピーカーのパネルにいかなる方式(例えば、ねじ、接着剤、スナップ式など)で固定されうる。
【0063】
上述した本発明の反転構造およびクイックフィット封止機構の利点以外の加振機の操作および原理は、当業者に公知の形態と対応する。このため反転構造およびクイックフィット封止機構の利点以外の加振機の操作および原理は、本明細書では詳細に説明しない。
【0064】
本明細書では、本発明をフラットスピーカーの加振機を参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されず、必ずしもフラットでない、いかなるスピーカーにも好適に用いられうる。さらに、フラットスピーカーは湾曲した状態に形成される必要はなく、完全に平坦に形成されてもよい。
【0065】
また、本発明は航空機(特に航空機の内部カバー)である輸送機関に限定されない。フラットスピーカーの技術は、その代わりに例えば、バス、船などのいかなる輸送機関に好適に用いられうる。この場合、フラットスピーカーの技術が用いられるのは、それらの輸送機関の内部カバーに限定されない。
【0066】
また、本発明の部材の数は、上述した部材の数に限定されない。例えば、固定フィンガーの数は1以上であってもよい。寸法および厚さに関する情報も単なる例示にすぎない。
【符号の説明】
【0067】
1…加振機、2…弾性システム、3…コイル、4…磁石システム、5…パネル、6…磁石システムの弾性システムへの固定手段、7…結合リング、10…フラットスピーカー、11…(イマージョン)コイルのためのコイルキャリア、12…結合リング、13…弾性システム、14…磁石システム、環状磁石システム、15…中心穴、17…コイル固定手段、18…電気接続デバイス、20…パネル、21…固定フィンガー、22…固定斜面、22a…勾配な斜面、22b…急勾配な斜面、23、24…弾性システムまたは結合リングの相補収容部、23a、24a…相補収容部の結合表面、25…結合リングの相補収容部の内部溝、26、26a…噛合部、27…結合リングの内部、28…停止部、29…弾性システムの外リングの端面、30…加振機、40…パネルの中央領域、41a…弾性システムの外リング、41b…弾性システムの内リング、42…外リングと内リングとの間の弾性部材、43…中央凹部、D…厚さ、X、Y、Z…航空機の方位に対する方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に航空機および宇宙機に用いられる、フラットスピーカー(10)用の加振機(30)であって、
振動部キャリア(13)と、加振機(30)をスピーカー(10)の音響変換器(20)に結合する結合リング(12)とを有し、
前記振動部キャリア(13)と前記結合リング(12)とは、クイックフィット封止機構(21〜25)によって、取り外し可能に接続され、前記クイックフィット封止機構(21〜25)は、振動中に堅固な接続を維持するための第1封止部(21、22)と、前記振動部キャリア(13)と前記結合リング(12)との間の接続を堅固にし、かつ前記第1封止部から独立した第2封止部(23、24)とを有する、加振機(30)。
【請求項2】
コイルを収容するコイルキャリア(11)をさらに有し、
前記振動部キャリア(13)は、前記コイルキャリア(11)に接続され、かつ弾性システム(13)を有し、前記弾性システムは、前記コイルキャリア(11)に対して、内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の加振機。
【請求項3】
前記クイックフィット封止機構(21〜25)は、互いに噛合した振動部キャリア(13)および結合リング(12)の接続部であることを特徴とする請求項1または2に記載の加振機。
【請求項4】
前記第1封止部(21、22)は、前記振動部キャリア(13)または前記結合リングに固定フィンガー(21)を有し、前記固定フィンガー(21)は、前記結合リング(12)または前記振動部キャリア(13)の噛合凹部に噛合し、封止操作の際に保持力を確保することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項5】
前記噛合凹部は、固定斜面(22)によって形成され、前記固定斜面(22)は、前記噛合凹部側に位置する急勾配の斜面(22b)と、前記噛合凹部の反対側に位置する緩勾配の斜面(22a)と、を有し、前記固定フィンガー(21)は、封止操作中まず、前記緩勾配の斜面(22a)に沿って移動し、次に前記急勾配な斜面(22b)に沿って移動することを特徴とする 請求項4に記載の加振機。
【請求項6】
前記結合リング(12)および前記振動システム(13)は、前記結合リング(12)と、前記弾性システム(13)との間の遊びの無い接続を堅固にするために、互いに対向する第2封止部(23、24)として相補収容部(23、24)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項7】
前記相補収容部(23、24)は、前記結合リング(12)および前記弾性システム(13)の外周から突出したピンであることを特徴とする請求項6に記載の加振機。
【請求項8】
少なくとも第1の前記相補収容部(23)は、内部溝(25)を有し、封止操作中、前記内部溝(25)の後ろに、第2の前記相補収容部(24)が、差込封止によって噛合することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の加振機。
【請求項9】
前記相補収容部(23、24)はそれぞれ、接続中互いに対向する結合表面(23a、24a)を有し、前記結合リング(12)と前記弾性システム(13)とは、前記結合表面(23a、24a)の摩擦接続によって堅固に接続することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項10】
互いに対向する前記結合表面(23a、24a)を有する、前記相補収容部(23、24)は、僅かにくさび型に成形されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項11】
前記相補収容部(23、24)の斜面は、接続面に対して、3〜8°、好ましくは3〜6°の傾斜角度を有することを特徴とする請求項10に記載の加振機。
【請求項12】
前記相補収容部(23、24)は、不規則な間隔で前記振動部キャリア(13)および/または結合リング(12)の外周に配置され、および/または、それぞれ異なる寸法を有することを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項13】
前記振動部キャリア(13)および前記結合リング(12)は、互いに対向する端面(27、29)のうち、一方の前記端面(29)に設けられた凹部(26)と、他方の前記端面(26a)に設けられ、弾性を有し、かつ同様の形状およびサイズを有する対応形状(26a)と、から形成される噛合部(26、26a)を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項14】
特に航空機および宇宙機に用いられるフラットスピーカー(10)用の加振機(30)であって、
コイルを収容するコイルキャリア(11)と、
前記コイルキャリア(11)に接続された振動部キャリア(13)と、
前記加振機(30)を前記フラットスピーカーの音響変換器(20)に結合する結合リング(12)と、を有し、
前記振動部キャリア(13)は、内側に位置する弾性システム(13)を有し、前記弾性システム(13)は、前記弾性システム(13)が前記コイルキャリア(11)の構造内に完全に収容されるように、前記コイルキャリア(11)に対して、反転され、
前記加振機(30)は、前記結合リング(12)に、封止機構(21〜25)によって取り外し可能に接続されることを特徴とする加振機。
【請求項15】
環状のギャップを有する環状ギャップ磁石システム(14)をさらに有し、前記弾性システム(13)は、完全に前記環状ギャップ内に配置されることを特徴とする請求項14に記載の加振機。
【請求項16】
前記振動部キャリア(13)は、内リング(41b)と、外リング(41a)とを有し、前記内リング(41b)と、前記外リング(41a)とは、前記弾性システム(13)の弾性部材(42)によって接続され、前記コイルキャリア(11)は、前記外リング(41a)に不可逆的に固定されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項17】
音響波を発生させ、伝導する音響変換器(20)と、前記音響変換器(20)に接続された請求項1〜16のいずれか一項に記載の加振機(30)と、を有し、特に航空機または宇宙機に用いられるフラットスピーカー(10)であって、前記加振機(30)は、音響変換器(20)を振動させ、音響波を伝導する、フラットスピーカー(10)。
【請求項18】
前記音響変換器(20)は、サンドイッチ状の構造を有し、少なくとも上部カバー層と、下部カバー層と、を有し、好ましくは前記上部カバー層と下部カバー層との間にハニカムコア材料を有することを特徴とする請求項17に記載のフラットスピーカー。
【請求項19】
前記音響変換器(20)は、少なくとも一つの面(y−z)に曲面であり、前記加振機(30)は、前記曲面(y−z)に固定されることを特徴とする請求項17または18に記載のフラットスピーカー。
【請求項20】
前記加振機(30)、特に前記加振機(30)の結合リング(12)は、前記音響変換器(20)に、接着剤で不可逆的に固定されることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載のフラットスピーカー。
【請求項21】
前記パネル(20)は、実質的に長方形であり、前記加振機(30)は、前記パネル(20)の中央領域に配置されることを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載のフラットスピーカー。
【請求項22】
乗員のための少なくとも一つの乗員室と、
前記乗員室に音響放射するための、少なくとも一つの請求項17〜21のいずれか一項に記載されたフラットスピーカー(10)と、を有し、前記フラットスピーカー(10)の前記パネル(20)は、前記乗員室の一部を構成することを特徴とする、特に航空機または宇宙機である輸送機関。
【請求項23】
前記乗員室の一部は、好ましくは乗員室の壁面または天井の内部カバー、サプライダクトおよび/またはシートの一部であることを特徴とする請求項22に記載の輸送機関。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−509583(P2011−509583A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541036(P2010−541036)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050064
【国際公開番号】WO2009/086925
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(509203120)エアバス オペラツィオンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (67)
【Fターム(参考)】