説明

フラットディスプレイデバイスの梱包方法及びかかる方法に用いる梱包

フラットディスプレイ製品を梱包する方法を、説明する。本方法は、少なくとも1つのかかる製品、たとえばLCDデバイスを、第1及び第2の薄壁の容器部分間に位置づけるステップを有し、且つこれら容器部分を互いに接続して、それにより製品を包囲する略閉鎖された容器を形成する。薄壁の容器部分は、好ましくはプラスチックから成形され、締結手段及び製品情報は、一体成形されることができる。更に、容器部分は、好ましくは少なくとも部分的に透明材料から製造され、製品を梱包状態においても見ることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状ディスプレイデバイス、すなわちLCDデバイス又はプラズマデバイスのようなフラットディスプレイデバイスの梱包方法に係る。本発明はまた、請求項9及び10に定義されるような梱包、及び請求項11に定義されるようなかかる梱包の使用にも係る。
【背景技術】
【0002】
典型的には、LCD製品は、段ボール箱に梱包され且つ2つの緩衝部分、たとえば発泡ポリスチレンの間に挟まれる。これらの緩衝部分は、収納、移送、及び更なる出荷時の衝突から壊れ物を保護する。段ボール箱は、緩衝部分をあわせて保持する役割を果たし、且つ鋭利な物品等に対して緩衝部分を保護する。更に、段ボール箱は、梱包の剛性及び積み重ね易さを高める。箱は、テープ、のり又はステープラを用いて封止でき、製品情報とともに印刷されるか又はそうでなければ製品情報とともに提供されてもよい。
【0003】
知られている梱包方法は、多くの欠点を有する。第1に、知られている梱包方法は、かなり多くの梱包材料を利用し、相当量の廃棄材料をもたらす。第2に、緩衝部分は、ややかさばり、且つ結果として収納及び移送中の貴重な空間を多く占める。更に、知られている梱包方法は、大きな労働力を要する。何故なら、製品は、まず2つの緩衝部分間に閉囲される必要があり、次に包装されて外箱に入れられて最後に封止されるからである。さらに、一旦梱包されると、LCD製品は、容易に検査できないので、移送中及び出荷中に生じる欠陥は、通常、非常に遅い段階で検出される。すなわち製品の梱包が、小売業者又は消費者によって解かれるときである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フラットディスプレイデバイスの梱包方法を提供することを目的とする。本方法は、少なくとも、知られている梱包方法の多数の欠点を回避する一方で、知られている梱包方法の有利な点は、維持する。
【0005】
本発明は特に、より少ない製造ステップで達成でき且つより費用効率の高い梱包方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は更に、フラットディスプレイデバイスをコンパクトに梱包できる梱包方法を提供することにより、従来の梱包方法と比べて利用する梱包材料の量を低減することを、目的とする。
【0007】
本発明は、環境に良い梱包方法を提供することを、別の目的とする。
【0008】
本発明は、梱包製品における欠陥が早期段階で検出でき、好ましくは欠陥が起こり次第直ぐに検出できる梱包方法を提供することを、また別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これら及び他の目的は、請求項1に定義されるように、本発明による梱包方法で少なくとも部分的に達成される。
【0010】
良好な剛性及び積み重ね易さ並びに衝撃等に対する十分な保護を特徴とする梱包は、通常は、外箱及び緩衝材の組み合わせによって設けられる。しかしながら、フラットディスプレイデバイス、すなわちLCD製品のようなパネル状ディスプレイデバイスを、2つの薄壁の箱状容器部分間に閉囲することによって、且つ略閉鎖された容器を形成するようこれら薄壁の容器部分を互いに移動し且つあわせて接続することによって、かかる梱包を得られることが、判明した。加えて、梱包部分の個数が低減されることで、輸送及び組立を単純化でき、コストの削減になる。更に、薄壁構成の容器部分が要する梱包材料の量は、知られている梱包方法の梱包材料の量よりもかなり少ない。このことは、使用後の廃棄材料を少なくするだけではなく、よりコンパクトな梱包、及び移送される大きさ及び重さの少なさ、最終的には移送及び出荷コストの低減につながる。
【0011】
本明細書において、用語「ディスプレイデバイス」は、少なくとも1つのディスプレイスクリーンを主構成部品として有する全てのフラットディスプレイ製品を含むと解釈される。かかる製品は、ディスプレイスクリーンの機能を支持するため、追加として電子機器、入れ物等のような他の補助構成部品を含んでもよい。これらの製品は、テレビジョンセット、モニタ、又はラップトップのような他の装置の構成部品の形態において市販されてもよい。用語「薄壁」は、壁の他の寸法に関して比較的薄い厚さを有する壁を指すと理解される。壁厚は、たとえば0.1mmの数倍から数mmまで、異なっていてもよく、梱包されるディスプレイデバイスの外形寸法に依存する。
【0012】
好ましい実施形態において、本発明による梱包方法は、請求項2の特徴によって定義される。梱包の少なくとも一部分に透明又は半透明の梱包材料を用いることによって、製品は、その梱包された状態において可視であり続け、欠陥の検出を、早期の段階、すなわち消費者へ配送する前に梱包を解くことなく可能にする。それゆえ、品質を監視且つ保証することができ、且つ修復コスト及び早まって損傷を受けた製品の不必要な輸送について費用を節約することが、可能である。更に、少なくとも部分的に透明であるという事実は、梱包を、消費者への製品の呈示に適したディスプレイ梱包にする。結果として、売り場に到着後、製品は、梱包を解くことも再度梱包する必要もないので、より多くの作業及び材料が節約できる。
【0013】
更に詳細には、本発明による方法は、薄壁の容器部分を製造するため、再生利用可能な材料を用いることができる。再生利用可能な材料を用いることで、本発明の梱包方法を、更に環境に良くさせる。
【0014】
更なる好ましい実施形態において、本発明による方法は、請求項4の特徴によって定義される。一方では、内部へ突出する支持手段が、薄壁の容器部分の剛性を高めることができ、且つもう一方では、支持手段として作用して、ディスプレイデバイスを、容器壁から離間し且つ外的衝撃に対して保護する。外的衝撃に対する保護は、かかる衝撃を減衰させるか又は完全に吸収することによってなされる。
【0015】
薄壁の容器部分は、請求項5の特徴によって定義されるように、好ましくは合成材料から製造される。合成材料又はプラスチックは、比較的軽量且つ安価であり且つ多くの種類及び色が幅広く手に入る一方で、再利用でき且つガス及び/又は液体に不浸透性になされる。更にプラスチックは、製造が容易であり、とりわけダイカスト又は射出成形を用いて製造され、設計の大幅な自由を提供する。加えて、かかる製造技法において、上述した支持技法及び/又は製品情報を、容器部分に一体成形できる。かかる情報は、浮き彫りに成形されても又はインモールドラベリングによってもよく、別個での印刷又はラベル付けステップの必要性を不要にし、それによって更に最適化された梱包方法に寄与する。
【0016】
きわめて好ましい実施形態において、本発明による方法は、請求項7の特徴によって定義される。梱包の衝撃吸収性質は、薄壁の容器部分又は少なくとも薄壁の容器部分の一部分を、天然ゴム又は合成ゴムのような高い減衰係数を有する材料で製造することによって更に改善できる。かかる減衰材料は、好ましくは少なくともディスプレイデバイスと直接接触している容器部分、たとえば支持手段等に用いられる。
【0017】
第1及び第2容器部分は、たとえばテープ、のり、又は(熱)封止技法のような手段によって互いに接続されてもよい。しかしながら、請求項8の特徴によって定義されている好ましい実施形態において、薄壁の容器部分は、締結手段とともに設けられ、好ましくは締結手段とともに一体化して製造される。締結手段は、知られているものであってもよい。これらの一体化された締結手段は、容器部分が締結手段を噛み合い係合させることによって簡単に互いに接続できるので、梱包の組立を更に促進できる。このことは、特別な機器、能力、又は上述したのり、テープ又はステープラ等のような追加の締結材料の支給なしで実行できる。これらの特別な機器、能力及び追加の締結材料を用いることは、実際には、輸送を複雑にさせ且つ製品を汚すか又は損傷させる危険を導入する傾向がある。
【0018】
本発明はまた、フラットディスプレイデバイスの梱包にも係り、梱包は、2つの薄壁のプラスチックの箱状容器部分を含み、2つの容器部分は、あわせて略閉鎖された容器を形成して少なくとも1つのかかるデバイスを閉囲する。本発明は更に、かかる梱包の使用に関連し、梱包は、移送、収納及び/又はフラットディスプレイ製品を表示するためであり、且つ結果としてかかる製品を備えた梱包にも係る。
【0019】
本発明による梱包方法、梱包及び梱包の使用の更なる好都合な実施形態は、従属請求項に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、単一の図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
図示される実施形態における梱包1は、薄壁の第1容器部分2を含む。第1容器部分2は、下部4から形成され、周囲壁5によって包囲され且つ開放された上側部6を有する。梱包1はまた、薄壁の第2容器部分3を含む。第2容器部分3は、上部8から形成され、周囲壁7によって包囲され且つ開放された下側部9を有する。容器部分2、3の両方は、このように箱形状であり且つ1つの開放された側部を有する。容器部分2、3は、たとえば合成材料又はプラスチックから射出成形できる。図示された実施形態において、第2容器部分3は、製品情報12とともに提供される。製品情報12は、浮き彫りに一体成形されても又はインモールドラベリングによってもよい。容器部分2、3の少なくとも1つは、好ましくは透明プラスチックで製造されるので、一旦容器部分2、3内に閉囲されても、パネル状ディスプレイデバイス10(以降、製品10とも呼ぶ)が、可視であり且つ外側から検査ができる。平坦な製品10は、LCDデバイス、薄膜ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のような、ディスプレイセルを有する如何なるディスプレイデバイスであることができる。
【0022】
第1容器部分2の開放された上部6及び第2容器部分3の開放された下部9は、合致した形状大きさを有するので、容器部分3は、閉鎖された容器又はハウジングを形成するように第1容器部分2の上部にマウントされることができ、そこで第1容器部分2及び第2容器部分3の複数の周囲縁部が、互いに接触するか又は僅かに重なり合う。容器部分2、3を上記の閉鎖状態に保持するため、これら容器部分2、3は、夫々の周囲縁部近くに締結手段を設けることができる。かかる締結手段は、たとえば、知られている弾性クリックフィンガ又は知られている合わせ溝及び隆起を含んでもよく、容器部分2、3に一体成形されることができる。描写されている実施形態は、複数のタップ17a及び合致するタップ穴17bを、締結手段として設ける。タップ17aは、内部へ延在し且つ傾斜した滑り面を有する。当然、テープ、のり、ステープラ、又は封止技法のような他の又は追加の締結手段を用いてもよい。
【0023】
図示された実施形態において、第1容器部分2及び第2容器部分3が有する外形は、梱包される製品10の輪郭と略一致する。その結果、梱包された製品は、梱包されなかった製品10よりも僅かに多い空間を占めるだけである。代替的には、梱包をより積み重ね可能で且つ/又はより強固にさせるため、容器部分2、3は、如何なる他の形状を有してもよく、たとえば、長方形の外形であってもよい。
【0024】
複数の容器壁4、5、7、8の内側は、ひだのような内部へ延在する突出部(protrusion)15を、設けることができる。突出部15は、第1容器部分2の壁5では、点線で概略的に示されている。これら突出部15は、容器部分2、3とともに一体的に形成でき、且つ容器部分2、3の薄壁4、5、7、8を補強するよう設計でき、それによって梱包1の剛性を高める。加えて、これら突出部15の幾つか又は全ては、製品10の支持手段としての役割を果たすことができ、且つ製品10を、特定の所定位置で係合することができ、それにより製品10を、容器の内壁から十分に離間させて梱包1に固定する。支持手段は、好ましくは、外的衝撃を吸収するか又は少なくとも減衰させるよう設計され、且つ製品10を好ましくない振動に晒すことから防ぐ。衝撃吸収を高めるため、突出部15は、天然ゴム又は合成ゴムのような高い減衰特性を有する材料から作成されてもよい。加えて又は代替的に、突出部15の形状大きさは、所望の強力な剛性の特徴を備えるよう適合されてもよく、上記剛性は、振動の周波数及び振幅に影響を与え、振動は、外的衝撃に反応して製品10へ伝達されている。更に、突出部15は、一連の製品10を収容する区画を形成するよう構成されてもよい。
【0025】
上述した梱包1は、以下のように用いることができる。製品10の下部が、第1容器部分2に挿入され、一方で突出部15は、製品10を案内し且つ製品10の正しい位置決めを確実にできる。続いて、反対側である製品10の上端が、第2容器部分3で覆われる。第2容器部分3は、一体化された締結手段を用いて第1容器部分4へ接続され、それによって製品10の閉鎖されたハウジングが確立される。梱包1は、これで移送の準備が整う。容器部分2、3の少なくとも1つが、透過性であるおかげで、製品10は、移送工程の間中、監視されることができる。欠陥が検出された場合、梱包1を、他の梱包から選び出すことができるので、不必要な移送コストが、排除され、且つ欠陥製品は、消費者のもとへ届かない。製品10は、一旦配布先又は売り場に到着すると、梱包を解く必要なくディスプレイ棚上に梱包1に入った状態で表示できる。
【0026】
上述した梱包は、本発明による梱包の一例を代表しているに過ぎないことを留意されたい。多くの変形が、本発明の範囲内で実行可能である。たとえば、第1及び第2容器部分は、ヒンジ及び/又は射出成形をあわせて用いて接続してもよい。容器部分はまた、異なった材料、たとえば積層厚紙から作成されてもよく、好ましくは1つ又は複数の窓を備える。梱包が、より引き立つ外観を与えるよう異なった色で作成されてもよいことが、明らかである。これらの及び他の類似の変形は、請求項によって概略を述べたように本発明の範囲内として理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による梱包の一実施形態の分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル状ディスプレイデバイスを梱包する方法であって、
少なくとも1つのかかるデバイスを第1及び第2の薄壁の箱状容器部分間に位置付けるステップと、
前記の少なくとも1つのデバイスを包囲する略閉鎖された容器を形成するよう前記の容器部分を互いに接続するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
少なくとも1つの前記容器部分の少なくとも一部分は、梱包される前記のデバイスを外側から見るため透明又は半透明材料で製造される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の薄壁の容器部分は再生利用可能な材料で製造される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記の薄壁の容器部分は、前記ディスプレイデバイスを前記容器に支持し且つ固定するため内部へ突出する支持手段とともに製造される、
先行する請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記の薄壁の容器部分は、たとえば合成材料又はプラスチックから、ダイカスト又は射出成形を用いて製造される、
先行する請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
製品関連情報が前記の薄壁の容器部分又は各々の薄壁の容器部分に一体成形される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記の薄壁の容器部分の少なくとも一部分は、良好な衝撃吸収特性、すなわち高い減衰係数を有する材料から製造される、
先行する請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記の第1及び第2の薄壁の容器部分は締結手段を介して互いに接続され、前記締結手段は前記容器部分の夫々に一体的に形成される、
先行する請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
フラットディスプレイデバイス用梱包であって、
少なくとも2つのプラスチック製の薄壁の箱状容器部分を有し、
前記の容器部分は合わせて略閉鎖された容器を形成して前記フラットディスプレイデバイスを包囲する、ところのフラットディスプレイデバイス用梱包。
【請求項10】
少なくとも1つのフラットディスプレイデバイスとともに設けられる、
請求項9記載の梱包。
【請求項11】
少なくとも1つのフラットディスプレイデバイスを梱包する薄壁のプラスチック容器の使用であって、前記の容器において前記ディスプレイデバイスは格納され、移送され、且つ/又は表示されることができる、ところの薄壁のプラスチック容器の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−537100(P2007−537100A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512696(P2007−512696)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051543
【国際公開番号】WO2005/110888
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】