説明

フラット収納部材及び文書管理方法

【課題】 非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体の情報を正確に読み取ることができるように、その情報記録媒体取り付けることができる設置部を有するフラット収納部材、及びそれを用いた文書管理方法を提供する。
【解決手段】 非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けていることを特徴とするフラット収納部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理などに用いられるフラット収納部材用の情報記録媒体取り付け治具、フラット収納部材及び文書管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文章や図などの情報は紙に記載して文書として保存、管理することが広く行われている。
この保存、管理する方法として、文書をファイルやボックスファイルなどに収納し、ファイルの背板や、ボックスファイルの背板に文書の内容を記したラベルを付し、書棚などに保存し、管理する方法などが行われている。また、近年、別の管理方法として、ICチップ入りペーパをファイルの中に入れて、ICリーダライタでICチップ部に記録された文書の情報を読み取る方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、ファイルの背板の幅が狭い場合や、2枚の四辺形のシートの少なくとも一辺を連結して、2枚のシートの間に文書を挟んで収納するフォルダーのように背板がない場合は、文書の内容を記載したり、ラベルを貼付することが困難であった。また、フラットファイルやフォルダーなどの薄いファイルを多数隣接して収納した場合、隣接するファイル内にICチップ入りペーパを入れても、隣接するファイル内のICチップ同士の間隔が短く、近接して重なり、周波数のズレが生じるため、ICリーダライタでの読取が正確にできないことがあった。さらに、ファイルのシートにICタグを貼付しても、同様に、ICリーダライタでの読取が正確にできないことがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−229199公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、背板の幅が狭いフラットファイルや、背板のないフォルダーなどのフラット収納部材に、非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体の情報を正確に読み取ることができるように取り付け可能な、情報記録媒体の取り付け治具、その情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための設置部を設けているフラット収納部材、及びそれを用いた文書管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、フラット収納部材を構成するシートに、非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体を取り付けることができる立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けることにより、上記課題が解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、複数の面を有する情報記録媒体の取り付け治具であって、少なくともフラット収納部材に取り付けるための第1の面と、情報記録媒体を搭載する第2の面とを有し、第1の面と第2の面は互いに平行とならないように構成されていることを特徴とする情報記録媒体の取り付け治具を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けていることを特徴とするフラット収納部材を提供するものである。
また、本発明は、上記フラット収納部材において、フラット収納部材が高分子樹脂を主成分とするプラスチックから構成されているフラット収納部材を提供するものである。
また、本発明は、上記フラット収納部材において、フラット収納部材が繊維を主成分とする紙から構成されているフラット収納部材を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記フラット収納部材の設置部に情報記録媒体を取り付
けたことを特徴とするフラット収納部材を提供するものである。
また、本発明は、上記フラット収納部材において、情報記録媒体がバーコードを用いたものであるフラット収納部材を提供するものである。
また、本発明は、上記フラット収納部材において、情報記録媒体がRFIDを用いたものであるフラット収納部材を提供するものである。
また、本発明は、上記フラット収納部材を用いたことを特徴とする文書管理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフラット収納部材は、立体的に飛び出た構造を形成し得る情報記録媒体の設置部を設けているので、その設置部に取り付けられた情報記録媒体に記録された情報をリーダライタにより正確に読み取ることができ、この情報記録媒体が取り付けられた設置部を有するフラット収納部材を用いて、文書管理を正確にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、フラット収納部材とは、少量の文書などを収納できる薄い収納部材のことを言い、フラット収納部材としては、2枚の四辺形のシートの少なくとも一辺を連結して、2枚のシートの間に文書などを挟んで収納することができる収納部材が挙げられる。2枚の四辺形のシートの連結は、一辺だけもよいが、二辺であってもよいし、三辺であってもよい。また、2枚の四辺形のシートは、1枚の四辺形のシートを折り曲げたものであってもよい。この場合、折り曲げ部が連結部となる。
また、四辺形のシートは、少なくとも2枚が必要であるが、3枚以上であってもよい。
【0012】
また、フラット収納部材は、背板があってもよいが、本発明においては、背板のないフラット収納部材や、情報記録媒体を取り付ける幅がない背板を有するフラット収納部材が本発明の効果をより発揮することができるので、好ましい。
フラット収納部材の具体例としては、紙製フォルダー、クリヤフォルダーなどの各種フォルダー、フラットファイルなどが挙げられる。
【0013】
フラット収納部材を構成するシートとしては、高分子樹脂を主成分とするプラスチックのシートや、繊維を主成分とする紙から構成されているシートが挙げられる。フラット収納部材を構成するプラスチックシートとしては、種々のプラスチックシートが使用でき、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各種合成樹脂のシートが挙げられ、特に、ある程度の強度や、透明性があり安価であることから、ポリエチレン樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シートが好ましい。プラスチックシートは、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。
【0014】
フラット収納部材を構成する紙としては、種々の紙が挙げられ、木材パルプ、ガラス繊維、合成繊維などから選ばれる1種又は2種以上からなる上質紙、グラシン紙、コート紙、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの合成樹脂をラミネートしたラミネート紙、不織布などが挙げられる。
フラット収納部材を構成するシートの厚みは、特に制限ないが、シートがプラスチック製などである場合は、通常25〜2000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましく、100〜300μmが特に好ましい。また、シートが紙製である場合、通常坪量が100〜1000g/mが好ましく、200〜600g/mがより好ましい。
【0015】
フラット収納部材を構成するシートが、プラスチック製で25μm未満又は紙製で100g/m未満である場合、シートのコシが弱いために2枚のシート間で十分に文書を保持することができなかったり、情報記録媒体を取り付けることができる設置部を保持することができないことがある。フラット収納部材を構成するシートが、プラスチック製で2000μmを超える又は紙製で1000g/mを超える場合、シートのコシが強過ぎて加工適性が劣りシートの折り曲げが不十分となり、文書の保持が充分でなく文書がバラバラになることがある。
【0016】
本発明のフラット収納部材においては、非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を有する。ここで、立体的に飛び出た構造とは、フラット収納部材を構成するシートの平面から垂直方向に突出している構造をいう。
立体的に飛び出た構造は、平面を有する構造であってよいし、曲面を有する構造であってもよく、具体的には、例えば、板、円筒、三角筒、四角筒などの多角筒体、筒体の内部を筒体と同一又は異種の材質の物質で充填した円柱、多角柱などの柱体などの種々の形状体が挙げられる。
【0017】
この設置部の材質は、特に制限なく、プラスチック、紙、金属など種々の材質が挙げられるが、フラット収納部材の材質と同様な材質が好ましく挙げられる。
この設置部は、フラット収納部材を構成するシートに設けられることが好ましく、また、フラット収納部材を構成するシートの周辺部に設けられることがより好ましい。また、設置部は、フラット収納部材のシートの外側に飛び出るように設けられてもよいし、シートの内側に飛び出るように設けられてもよいが、シートの外側に飛び出るように設けることが好ましい。
【0018】
この設置部は、フラット収納部材のシートと一体的に設けられたものであってもよいし、フラット収納部材とは別個独立に分離している、設置部を有する情報記録媒体取り付け治具を、フラット収納部材のシートに固定して設けられたものであってもよい。フラット収納部材のシートへの設置部の固定は、接着剤や粘着剤や熱融着等の熱シールなどで行ってもよいし、クリップやホッチキスなどの固定用治具で行ってもよい。
設置部を有する情報記録媒体取り付け治具としては、複数の面を有する情報記録媒体の取り付け治具であって、少なくともフラット収納部材に取り付けるための第1の面と、情報記録媒体を搭載する第2の面とを有し、第1の面と第2の面は互いに平行とならないように構成されている情報記録媒体の取り付け治具が挙げられる。
【0019】
上記設置部には、情報記録媒体が取り付けられるが、予め情報記録媒体を取り付けてあってもよいし、フラット収納部材を用いて文書管理する際に取り付けてもよい。
非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体としては、ICタグ、バーコードラベルなどが挙げられる。バーコードとしては、一次元バーコード、二次元バーコードなどのいずれのものでも構わない。
情報記録媒体の上記設置部への取り付けは、接着剤や粘着剤による取り付けが好ましい。
情報記録媒体を設置部に取り付けて、文書管理を行う場合は、その設置部は、非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造にする。
【0020】
上記設置部における情報記録媒体を取り付ける部位は、フラット収納部材を構成するシートの平面と平行でない面が好ましい。そうすることにより情報記録媒体がICタグの場合は、ICタグの平面が相互に平行に重なることがなく、読み取りを確実に行うことができる。また、情報記録媒体がバーコードラベルの場合には、フラット収納部材の周辺部(外部)に向いている面に取り付けることが好ましい。このようにすることによりフラット収納部材を複数枚重ねて保管する場合にも外部より容易に読み取ることができる。
本発明においては、情報記録媒体を取り付けられたフラット収納部材に、文書を入れて、情報記録媒体にその文書の内容を記録し、必要なときにリーダライタなどにより情報記録媒体の情報を読み取ることにより、文書管理を行うことができる。
【0021】
次に、本発明のフラット収納部材の具体例を、図に基づいて説明する。
図1には、情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けたクリヤフォルダーの一例が示されている。
図1の左図は、クリヤフォルダーの斜視平面図であり、図1の右図は、左図の矢印方向に切断した場合のクリヤフォルダーの側面断面図である。
【0022】
このクリヤフォルダーは、1枚の透明なポリプロピレン樹脂シートを2つ折に折り曲げることにより、連結しているシート1とシート2が重ね合わされている構造になっており、また、シート1とシート2は、一方の側辺(図1の左図では左辺)で熱シール部7により連結されており、結局、一方の側辺及び底辺の2辺で連結されている。
【0023】
シート1の上辺の端部には、シート1の外側に向けて設置部3が設けられている。この設置部3は、四角筒の形状をしており、シート1の端部から一体的に延接されている四辺形の部分を図示されている3本の折り目線4と図示されていない折り目線の4つの折り目線を図1のように折り曲げ、その先端部をシート1に熱シール部5で接着されることにより形成されている。設置部3は、殆んど押し潰された状態であり、2枚のシートが積層された状態に近い。このように設置部3の断面が偶数辺の正多角形を構成する場合は、設置部3を折りたたむことができるので、未使用時にはクリヤフォルダーを複数枚積み重ねても、嵩張らないので好ましい。また、設置部3の上辺は、シート2の上辺とほぼ同じ高さになっているが、このようにすると設置部3がシート2の外周を超えて飛び出ることがないので、流通過程で取り扱い易い。
【0024】
なお、図1では、設置部3は、シート1と一体的に設けられているが、シート1とは切り離して作成した設置部を、シート1に取り付けてもよい。
また、設置部3は、シート1の上辺に取り付けられているが、シート1のその他の部分に取り付けてよいし、又はシート2に取り付けてよい。なお、設置部は、シート1又はシート2の周辺部に取り付けることが好ましい。
【0025】
図1には、シート1の下辺部に、障害部6を形成し得る切り込みを設けてもよい。この障害部は、立体構造を有する設置部3のみを設けたクリヤフォルダーを、書棚、キャビネット、箱などに複数陳列又は収納した場合、設置部3のある上辺部分では嵩張るが、底辺部分では嵩張らないので、クリヤフォルダーがまっすぐ収納できなくなることがあり、これを防ぐ働きをする。障害部6を形成するための部材は、図1では、シート1の底部の一部が外周の短い破線部分でカットされており、長い破線部分の折り曲げ線が設けられている。なお、障害部6は、シート1と一体的に設けられているが、シート1とは切り離して作成した障害部6を、シート1に取り付けてもよい。
【0026】
図2には、図1で示されているクリヤフォルダーの押し潰されている設置部3が、起されて、断面が四角形の四角筒のような立体的な構造になっている状態が示されている。なお、設置部3の形状は、図示されている四角筒ではなく、前記したように円筒、三角筒、四角筒などの多角筒体や、円柱、多角柱などの柱体などの他の種々の形状でもよい。
この設置部3の上面には、ICタグなどの情報記録媒体8が取り付けられており、クリヤフォルダーの上部からICリーダライタなどの読み取り機で、容易に読み取ることができる。この設置部3の上面の大きさは、ICタグなどの情報記録媒体8が取り付けられる大きさであれば、特に制限ないが、できるだけ小さいことが嵩張らないので好ましい。なお、情報記録媒体8の取り付け位置は、設置部3の上面が好ましいが、読み取り機で読み取ることができる位置であれば、その他の位置であってもよい。
【0027】
この設置部3の高さは、取り付ける情報記録媒体8の大きさに依存し、特に制限はない。設置部3の高さは、複数のフラット収納部材を陳列して文書管理する場合は、できるだけ低いことが好ましい。
また、図2において、障害部6は、図示されている3本の折り目線を図1のように折り、その先端にある横長部分の端部をシート1に熱シールにより接着させて、立体的な構造にされている。
設置部3の高さと、障害部6の高さは、ほぼ同一であることが好ましい。
【0028】
図2では、図示していないが、設置部3と障害部6の筒の中には、立体的構造形状を保つために、変形防止具を挿入することが好ましい。この変形防止具としては、図3の左列に示されている四角筒、円筒、半円筒、H型柱、十字型柱などであってもよいし、図3の右列に示されている四角柱、円柱、半円柱、菱形柱、三角柱などであってもよいし、その他、三角筒、五角筒などの多角筒や、五角柱、六角柱などの多角柱、板、棒などでもよい。この変形防止具は、種々の材質で構成されたものが使用でき、例えば、プラスチックや紙、発泡プラスチックなどの発泡体などが挙げられる。なお、柱体の場合は、軽量な発泡プラスチックなどの発泡体が好ましい。また、ICタグを所定の立体構造に形成し、これ自身を変形防止具としてもよい。
【0029】
図4には、情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けた紙製フォルダーの一例が示されている。
この紙製フォルダーは、1枚の紙製シートを2つ折に折り曲げることにより、連結しているシート1とシート2が重ね合わされている構造になっている。
シート1の上辺の端部には、立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部3が設けられている。この設置部3を立体的に飛び出た構造にするには、シート1の一部をカットし、折り曲げることにより行われる。
【0030】
具体的には、この設置部3は、切り込み線9でカットされるか、容易にカットされ得る状態(ミシン目等)になっており、また、容易に折り曲げ可能な折り曲げ線4が3本設けられている。切り込み線9でカットされた設置部3を3本の折り曲げ線4でシート1の外側に向けて同一方向に折り曲げると、三角筒の形状を形成し得る。
折り曲げられた設置部3のシート1への固定は、接着剤や粘着剤で行ってもよいし、クリップやホッチキスなどの固定用治具で行ってもよい。
なお、設置部3の三角筒の斜面を構成する部分の右側端部は、切り込み線10でカットし、切り込み線10より右側部分を削除すると、三角筒の底面とシート1をクリップやホッチキスなどの固定用治具で固定し易いので好ましい。
【0031】
また、シート1の右辺の中央部には、別のタイプの立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部3が設けられている。
この設置部3は、上下の2本の切り込み線9でカットされ、折り曲げ線4で折り曲げることにより、板状の紙片が立体的な構造を形成し得る。
図5には、図4で示された設置部を立体的な構造にした状態が示されている。すなわち、シート1の上辺端部に設けられた設置部3は、3本の折り曲げ線4でシート1の外側に向けて同一方向に折り曲げて、三角筒の構造をしている。
【0032】
三角筒の斜面の上面には、ICタグなどの情報記録媒体8が取り付けられており、紙製フォルダーの上部からICリーダライタなどの読み取り機で、容易に読み取ることができる。この設置部3の三角筒の斜面の大きさは、ICタグなどの情報記録媒体8が取り付けられる大きさであれば、特に制限ないが、できるだけ小さいことが好ましい。
シート1の表面に対する三角筒の斜面の角度は、ICリーダライタなどの読み取り機で読み取ることができるものであれば、特に制限ないが、通常5°以上が好ましく、10°以上がより好ましく、20°以上がさらに好ましく、30°以上が特に好ましい。
【0033】
図6は、フォルダーとは別個に作成した、本発明の設置部を有するフラット収納部材用の情報記録媒体取り付け治具の一例の斜視図を示したものである。
この設置部3は、紙製の三角筒の斜面と紙製の底面11とからなる構造をしており、三角筒の一方の斜面には、ICタグなどの情報記録媒体8が取り付けられている。なお、ICタグなどの情報記録媒体8の取り付けは、設置部3をフォルダーに取り付けた後に行ってもよい。
この設置部3は、図4及び5に示される設置部3と同様な構造をしているものである。
なお、この設置部3は、情報記録媒体8が取り付けられていない三角筒の斜面が欠如した構造であってもよい。この場合、底面と斜面の角度を固定し得る材質で構成することが好ましく、例えば、硬質のプラスチックなどが挙げられる。
【0034】
図7には、図6に示される設置部3を紙製フォルダーのシート1の上辺端部に取り付けた例が示されている。設置部3の底面11を紙製フォルダーのシート1の上辺端部に重ね合わせ、その端部にホッチキス針12で固定されている。このように、底面の端部が三角筒の幅を超えて延接されていると、ホッチキスにより固定し易いので好ましい。なお、設置部3の底面11を紙製フォルダーのシート1の上辺端部に固定する方法としては、ホッチキス以外に、クリップであってもよいし、接着剤や粘着剤で固定してもよい。
【0035】
本発明の文書管理方法としては、本発明のフラット収納部材に取り付けた情報記録媒体に各種情報を記録し、その情報を読み取り機で読み取り、パソコン等のデータ管理装置にその情報をデータとして転送して文書を管理する方法が挙げられる。情報記録媒体に記録する各種情報としては、例えば発生する文書を大分類、中分類、小分類等の各分類に付する名称や、各分類の文書の保管場所、文書の発行年月日などを挙げることができる。具体的には、大分類として関係部署名、建物の階数など、中分類として社外文書名、部屋番号など、小分類として特定会社資料名、棚番号などの情報を挙げることができる。
【0036】
これらの情報をバーコードやICタグ等に記録させて、非接触の読み取り機で情報を読み取り、文書の保管場所等の管理を行うことができる。非接触で情報を読み取ることができるので、一つ一つのフラット収納部材を目視にて確認する必要もなく、文書情報を入手することができ、手間を省くことができる。
また、読み取り機で入手した情報をデータとしてパソコン等に転送することができるので、電子情報としてデータ管理を容易に行うことができる。
フラット収納部材のシート面に対して垂直方向に飛び出した設置部にICタグが取り付けられているので、ICタグが相互に干渉しなくなり、複数のICタグを同時に確実に管理することができる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
【0038】
(実施例1)
図1に示すように、サイズ22cm×31cmの厚さ200μmのポリプロピレン樹脂製クリヤフォルダーの一方のシートの上辺端部に、四角筒の設置部3(大きさ:20mm×20mm×60mm)を設けた。また、図1に示すように、シートの下辺端部に、四角筒の障害部6(大きさ:20mm×20mm×50mm)を設けた。次いで、図1には図示していないが、これらの四角筒の中に、円筒状のポリプロピレン樹脂製変形防止具(断面直径19mm×長さ60mm)を挿入した。なお、障害部6では、変形防止具の長さが長いので、障害部6の両端より変形防止具がはみ出ており、シートの表面に安定して固定できた。次に、図2に示すように、設置部3の上面にICタグ8(リンテック(株)製、商品名「Britem TS−L102CC」)を貼付した。
【0039】
このようなクリヤフォルダーを5枚用意し、各クリヤフォルダー内に、厚さ1mmの書類を入れて、紙製のボックスファイル(コクヨ(株)製、商品名「A4−LFBN−M」)の中にICタグが上面になるように、並べた。設置部3と障害部6の高さが同じなので、各クリヤフォルダーは、真っ直ぐに立った状態でボックスファイル内に並べることができた。この状態で、ICタグの表面が対向する方向からRFタグハンディリーダライタ(株式会社ウェルキャット製、商品名「RHT−100−02」)を用いて、ICタグの情報の読み取りを行った。この試験を10回繰り返したところ、50回(5部×10回)全てで読取可能であった。
【0040】
(実施例2)
図4に示すように、サイズ22cm×31cmの坪量353g/mの紙製フォルダーの一方のシートの上辺端部に、断面が一辺の長さが20mmの正三角形である三角筒の設置部3(長さ:60mm)を設けた。次いで、RFエンコーダ搭載型プリンター(リンテック(株)製、商品名「DC−P301」)でバーコードを印字した実施例1で用いたICタグを図5に示すように、設置部3の上面にICタグ8を貼付した。このような紙製フォルダーを5枚用意し、各紙製フォルダー内に、厚さ1mmの書類を入れて、紙製のボックスファイル(コクヨ(株)製、商品名「A4−LFBN−M」)の中にバーコード表示のICタグが上面になるように、並べた。この状態で、バーコードを印字した表面が対向する方向からバーコードリーダ付きRFタグハンディリーダライタ(株式会社ウェルキャット製、商品名「RHT−100−02」)を用いて、バーコードの情報の読み取りを行った。この試験を10回繰り返したところ、50回(5部×10回)全てで読取可能であった。
【0041】
(比較例1)
実施例1において、設置部3を設けないで、設置部3と同一の場所のシート1の位置に、ICタグ8を貼付して、ICタグ付きクリヤフォルダーを作製し、実施例1と同様にして、RFタグハンディリーダライタによる読取試験を行った。その結果、50回の読取試験のうち、読取可能であったものは無かった。
【0042】
(実施例3)
実施例1及び実施例2のICタグ付きフォルダーを用いて、文書管理を行った。ICタグには、大分類として関係部署名、建物の階数など、中分類として社外文書名、部屋番号など、小分類として特定会社資料名、棚番号などの情報を記録し、非接触の読み取り機で情報を読み取り、読み取り機で入手した情報をデータとしてパソコンに転送し、電子情報としてデータ管理を行った。読み取り機での情報の読み取りが、正確に行えるので、パソコンで必要な文書を検索し、保管されている文書を簡単に探すことができ、文書管理が容易に行えた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のフラット収納部材は、種々の文書の文書管理に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けたクリヤフォルダーの一例を示したものである。 図1の左図は、クリヤフォルダーの斜視平面図であり、図1の右図は、左図の矢印方向に切断した場合のクリヤフォルダーの側面断面図である。
【図2】図2は、図1で示されているクリヤフォルダーの押し潰されている設置部及び障害部が、起されて、断面が四角形の四角筒のような立体的な構造になっている状態を示したものである。
【図3】図3は、変形防止具の具体例の斜視図である。
【図4】図4は、情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けた紙製フォルダーの一例の斜視図である。
【図5】図5は、図4で示された設置部を立体的な構造にした状態を示した斜視図である。
【図6】図6は、フォルダーとは別個に作成した、本発明の設置部を有するフラット収納部材用の情報記録媒体取り付け治具の一例の斜視図である。
【図7】図7は、図6に示される設置部を紙製フォルダーのシートの上辺端部に取り付けた例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 シート
2 シート
3 設置部
4 折り目線
5 熱シール部
6 障害部
7 熱シール部
8 情報記録媒体
9 切り込み線
10 切り込み線
11 底面
12 ホッチキス針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面を有する情報記録媒体の取り付け治具であって、少なくともフラット収納部材に取り付けるための第1の面と、情報記録媒体を搭載する第2の面とを有し、第1の面と第2の面は互いに平行とならないように構成されていることを特徴とする情報記録媒体の取り付け治具。
【請求項2】
非接触でデータの授受を行うことができる情報記録媒体を読み取り可能な位置に取り付けるための立体的に飛び出た構造を形成し得る設置部を設けていることを特徴とするフラット収納部材。
【請求項3】
フラット収納部材が高分子樹脂を主成分とするプラスチックから構成されている請求項2に記載のフラット収納部材。
【請求項4】
フラット収納部材が繊維を主成分とする紙から構成されている請求項2に記載のフラット収納部材。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のフラット収納部材の設置部に情報記録媒体を取り付けたことを特徴とするフラット収納部材。
【請求項6】
情報記録媒体がバーコードを用いたものである請求項5に記載のフラット収納部材。
【請求項7】
情報記録媒体がRFIDを用いたものである請求項5に記載のフラット収納部材。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載のフラット収納部材を用いたことを特徴とする文書管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−282312(P2008−282312A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127913(P2007−127913)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】