説明

フラーレンおよびその誘導体を含む有機光起電装置

本発明は、p型材料としてポリチオフェンおよびレジオレギュラーポリチオフェンなどの共役ポリマーを含み、かつn型材料として少なくとも1つのフラーレン誘導体を含む活性層を含む、光電池を提供する。フラーレン誘導体は、C60、C70、またはC84であってもよい。フラーレンはまた、インデン基によって官能性をもたせてもよい。本発明により、効率の向上を達成することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2006年6月13日に出願されたLairdらの米国仮出願第60/812,961号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
有機光起電(OPV)装置にとってよりよい材料およびプロセスを提供する必要性が存在する。これは、一部において、現行の高い燃料価格および不安定な燃料供給によって駆り立てられる。OPV装置は、旧来のシリコンデバイスを超える向上を提供することができる。これについては、例えばPerlin, John 「The Silicon Solar Cell Turns 50」NREL 2004(非特許文献1)を参照されたい。また、Dennler et al., 「Flexible Conjugated Polymer-Based Plastic Solar Cells:From Basics to Applications」 Proceedings of the IEEE, vol. 93, no. 8, August 2005(非特許文献2)も参照されたい。地球の気象の変化も動機となる要因である。例えばポリチオフェンを含む導電性ポリマー、または共役ポリマーをC60フラーレンと組み合わせてOPV装置における有用な活性材料を提供できることは公知であるが、装置効率および他の重要なPVパラメータを向上させる必要も依然としてある。特に、レジオレギュラーポリチオフェンは、太陽電池用途における新規な形態に適用できるそれらのナノスケール形態に起因して、特に重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Perlin, John 「The Silicon Solar Cell Turns 50」NREL 2004
【非特許文献2】Dennler et al., 「Flexible Conjugated Polymer-Based Plastic Solar Cells:From Basics to Applications」 Proceedings of the IEEE, vol. 93, no. 8, August 2005
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書において、とりわけ、組成物、装置、形成方法、および、使用方法が提供される。
【0005】
例えば、本明細書において、(i)少なくとも1つのp型材料と(ii)少なくとも1つのn型材料とを含む混合物を含む組成物が提供され、該n型材料は、下記式によって表されるフラーレン誘導体、およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物を含む:
F-(R)n
式中、nは少なくとも1であり、
Fは、6員環および5員環を含む表面を有するフラーレンを含み、かつ
Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含み、該第1の環はフラーレンに直接結合している。
【0006】
他の態様は、(i)少なくとも1つのp型材料と(ii)少なくとも1つのn型材料とを含む混合物を含む組成物を提供し、該n型材料は、少なくとも1つの[6,6]フラーレン結合部位を含む少なくとも1つのフラーレン誘導体を含み、[6,6]結合部位の両方の炭素原子は、R基に共有結合している。
【0007】
他の態様は、(i)少なくとも1つのp型材料と(ii)少なくとも1つのn型材料とを含む混合物を含む組成物を提供し、該n型材料は、[4+2]付加環化によって少なくとも1つの誘導体部分に共有結合している少なくとも1つのフラーレンを含むフラーレン誘導体を含む。
【0008】
他の態様は、少なくとも1つのアノード、少なくとも1つのカソード、および少なくとも1つの活性層を含む、光起電装置を提供し、該活性層は、(i)少なくとも1つのp型材料と(ii)少なくとも1つのn型材料とを含む混合物を含む組成物を含み、該n型材料は、下記式によって表されるフラーレン誘導体、およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物を含む:
F-(R)n
式中、nは少なくとも1であり、
Fは、6員環および5員環を含む表面を有するフラーレンを含み、かつ
Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含み、該第1の環はフラーレンに直接結合している。
【0009】
他の態様は、(i)少なくとも1つのp型材料を提供する工程、(ii)少なくとも1つのn型材料を提供する工程、および(iii)少なくとも1つの溶媒を更に含む混合物を形成するように、p型材料とn型材料とを組み合わせる工程を含む、混合物を含む組成物を形成する方法を含み、該n型材料は、下記式によって表されるフラーレン誘導体、およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物を含む:
F-(R)n
式中、nは少なくとも1であり、
Fは、6員環および5員環を含む表面を有するフラーレンを含み、かつ
Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含み、該第1の環はフラーレンに直接結合している。
【0010】
利点としては、実質的に良好な光起電効率、特定用途に合わせることができる様々な活性層システムとの汎用性、装置寿命の向上、ならびに材料および装置のプロセス可能性の向上が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】典型的な導電性ポリマー光電池(太陽電池)を示す。
【図2】C70PCBM対C60PCBMに関する性能向上を示す。
【図3】ジクロロベンゼン中で調製されるC60PCBM:P3HT対C70PCBM:P3HTにおけるAFM画像を提供する。円は、C60PCBMシステムにおける相分離を示す。これらの領域はC70PCBM活性層中に存在しない。
【図4】制御装置と比べたインデン誘導体を含む装置における光起電データを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
序文および定義
「置換されていてもよい」基とは、更なる官能基によって置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい官能基を指す。1つの基が更なる基によって置換されていない場合、それは基名、例えばアルキルまたはアリールと称され得る。1つの基が更なる官能基で置換されている場合、それは、より総称的に、置換アルキルまたは置換アリールと称され得る。
【0013】
「炭素環式」とは、例えばベンゼンまたはシクロヘキサンを含む環を形成する炭素原子の環状配列を指す。炭素環はシクロアルキル基およびアリール基の両方を含む。用語「シクロアルキル」とは、単一または複数の縮合環状の環を有する3〜20個の炭素原子の環状アルキル基を指し、付着点が芳香族炭素原子にない場合には、縮合環が芳香族であってもよく、または芳香族でなくてもよい。「アリール」とは、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6〜20個の炭素原子の芳香族炭素環式基を指し、付着点が芳香族炭素原子にある場合には、縮合環が芳香族であってもよく、または芳香族でなくてもよい。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが含まれる。
【0014】
「複素環式」とは、単一の環または複数の縮合環、1〜20個の炭素原子、および環内の窒素、酸素、硫黄、--S(O)--および--S(O)2--から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する飽和された、飽和されていない、または芳香族複素環式の基を指す。そのような芳香族複素環式基は、単一の環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有してもよく、付着点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介している場合には、縮合環が芳香族であってもなくてもよくおよび/またはヘテロ原子を含んでも含まなくてもよい。複素環式基は、例えば、ピリジン、またはチオフェン、またはフラン、またはテトラヒドロフラン、ピロール、テトラヒドロピロール、ピランなどであってもよい。複素環式という用語はヘテロアリール基を含む。この場合、「ヘテロアリール」とは、1〜20個の炭素原子および環内の酸素、窒素、硫黄、--S(O)--および--S(O)2--からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子の芳香族基を指す。ヘテロアリールとしては、ピリジル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフリルが含まれる。
【0015】
「アルキル」とは、1〜20個の炭素原子、または1〜15個の炭素原子、または1〜10個、または1〜5個、または1〜3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基および分枝鎖アルキルを指す。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、エチルヘキシル、ドデシル、イソペンチルなどの基によって例示される。
【0016】
「置換アルキル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式基、および置換複素環式基からなる群より選択される1〜3個、および好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキル基を指す。
【0017】
用語「置換炭素環」、「置換アリール」、「置換シクロアルキル」、「置換複素環式基」、および「置換ヘテロアリール」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式基、および置換複素環式基からなる群より選択される1〜5個の置換基、または任意で1〜3個の置換基、または任意で1〜2個の置換基を有する炭素環式基、アリール基、シクロアルキル基、複素環式基、またはヘテロアリール基を指す。
【0018】
「アルコキシ」とは、一例としてメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、iso-プロピルオキシ、n-ブチルオキシ、t-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ、1-エチルヘキシル-1-イルオキシ、ドデシルオキシ、イソペンチルオキシなどを含む「アルキル-O-」基を指す。
【0019】
「置換アルコキシ」とは、「置換アルキル-O-」基を指す。
【0020】
「アルケニル」とは、好ましくは2〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜2個のアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を指す。そのような基は、ビニル、アリル、but-3-en-l-ylなどによって例示される。
【0021】
「置換アルケニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式基、および置換複素環式基(ただし、任意のヒドロキシル置換基はビニル(不飽和)炭素原子に付着しない)からなる群より選択される1〜3個の置換基、および好ましくは1〜2個の置換基を有するアルケニル基を指す。
【0022】
「アリールオキシ」とは、一例としてフェノキシ、ナフトキシなどを含むアリール-O-基を指す。
【0023】
「アルコキシ」とは、一例としてメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどを含む「アルキル-O-」基を指す。
【0024】
「置換アルコキシ」とは、「置換アルキル-O-」基を指す。
【0025】
「アシル」とは、H-C(O)-基、アルキル-C(O)-基、置換アルキル-C(O)-基、アルケニル-C(O)-基、置換アルケニル-C(O)-基、アルキニル-C(O)-基、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-基、置換シクロアルキル-C(O)-基、アリール-C(O)-基、置換アリール-C(O)-基、ヘテロアリール-C(O)-基、置換ヘテロアリール-C(O)基、複素環-C(O)-基、および置換複素環-C(O)-基を指す。ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書において規定されているものである。
【0026】
「アシルアミノ」とは-C(O)NRR基を指す。ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環からなる群より選択され、各Rは、窒素原子と共に複素環または置換複素環を形成するよう結合している。ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書において規定されているものである。
【0027】
「アシルオキシ」とは、アルキル-C(O)O-基、置換アルキル-C(O)O-基、アルケニル-C(O)O-基、置換アルケニル-C(O)O-基、アルキニル-C(O)O-基、置換アルキニル-C(O)O-基、アリール-C(O)O-基、置換アリール-C(O)O-基、シクロアルキル-C(O)O-基、置換シクロアルキル-C(O)O-基、ヘテロアリール-C(O)O-基、置換ヘテロアリール-C(O)O-基、複素環-C(O)O-基、および置換複素環-C(O)O-基を指す。ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書において規定されているものである。
【0028】
「アルキニル」とは、好ましくは2〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜3個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜2個のアルキニル不飽和部位を有するアルキニル基を指す。
【0029】
「置換アルキニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式基、および置換複素環式基からなる群より選択される1〜3個の置換基、好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキニル基を指す。
【0030】
「アミノ」とは-NH2基を指す。
【0031】
「置換アミノ」とは-NR'R''基を指す。ここで、R'およびR''は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環からなる群より選択され、R'およびR''がいずれも水素でない場合、R'およびR''は、それらに対する窒素結合と共に複素環式基または置換複素環式基を形成するよう結合している。R'が水素でかつR''がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書において、時として、アルキルアミノと称される。R'およびR''がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書において、時として、ジアルキルアミノと称される。
【0032】
「アミノアシル」とは、-NRC(O)アルキル基、-NRC(O)置換アルキル基、-NRC(O)シクロアルキル基、-NRC(O)置換シクロアルキル基、-NRC(O)アルケニル基、-NRC(O)置換アルケニル基、-NRC(O)アルキニル基、-NRC(O)置換アルキニル基、-NRC(O)アリール基、-NRC(O)置換アリール基、-NRC(O)ヘテロアリール基、-NRC(O)置換ヘテロアリール基、-NRC(O)複素環式基、および-NRC(O)置換複素環式基を指す。ここで、Rは水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書において規定されているものである。
【0033】
「カルボキシル」とは、-COOHまたはその塩を指す。
【0034】
「カルボキシルエステル」とは、-C(O)O-アルキル基、-C(O)O-置換アルキル基、-C(O)Oアリール基、および-C(O)O-置換アリール基を指す。ここで、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールは本明細書において規定されているものである。
【0035】
「シクロアルコキシ」とは-O-シクロアルキル基を指す。
【0036】
「置換シクロアルコキシ」とは、-O-置換シクロアルキル基を指す。
【0037】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0038】
「ヘテロアリールオキシ」とは-O-ヘテロアリール基を指し、「置換ヘテロアリールオキシ」とは-O-置換ヘテロアリール基を指す。
【0039】
「ヘテロシクリルオキシ」とは-O-複素環式基を指し、「置換ヘテロシクリルオキシ」とは-O-置換複素環式基を指す。
【0040】
「チオール」とは-SH基を指す。
【0041】
「チオアルキル」または「アルキルチオエーテル」または「チオアルコキシ」とは-S-アルキル基を指す。
【0042】
「置換チオアルキル」または「置換アルキルチオエーテル」または「置換チオアルコキシ」とは-S-置換アルキル基を指す。
【0043】
「チオシクロアルキル」とは-S-シクロアルキル基を指し、「置換チオシクロアルキル」とは-S-置換シクロアルキル基を指す。
【0044】
「チオアリール」とは-S-アリール基を指し、「置換チオアリール」とは-S-置換アリール基を指す。
【0045】
「チオヘテロアリール」とは-S-ヘテロアリール基を指し、「置換チオヘテロアリール」とは-S-置換ヘテロアリール基を指す。
【0046】
「チオ複素環」とは-S-複素環式基を指し、「置換チオ複素環」とは-S-置換複素環式基を指す。
【0047】
「塩」は、当技術分野において周知の様々な有機および無機対イオンに由来し、一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み、分子が基本的な官能性を含む場合には、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸または無機酸の塩を含む。
【0048】
「溶媒和化合物」とは、溶媒分子との配位による複合体を固体状態または液体状態で形成する化合物の形態を指す。水和物は、配位が水を用いて行われる溶媒和化合物の特定の形態である。
【0049】
「共役ポリマー」とは、少なくとも幾つかの共役不飽和を骨格に含むポリマーを指す。
【0050】
「1つのポリチオフェン(a polythiophene)」または「ポリチオフェン」とは、ポリチオフェン、その誘導体、ならびにそれらのコポリマーおよびターポリマーを含む、チオフェンを骨格に含むポリマーを指す。
【0051】
「レジオレギュラーポリチオフェン」とは、例えば少なくとも80%、または、少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%を含む高レベルのレジオレギュラリティーを有するポリチオフェンを指す。
【0052】
先に定義した全ての置換基において、置換基自体に対する更なる置換基(例えば、それ自体が置換アリール基と置換される置換基として置換アリール基を有する、置換アリールなど)によって規定することにより生じるポリマーを本明細書に含めるとは意図しないことは言うまでもない。そのような場合、そのような置換基の最大数は3である。すなわち、前記定義のそれぞれは、例えば置換アリール基が-置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定されるという制限によって制約される。
【0053】
同様に、前記定義が許容されない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されるメチルまたはエテン不飽和またはアセチレン不飽和に対するヒドロキシル基α)を含めるとは意図しないことは言うまでもない。そのような許容されない置換パターンは当業者に周知である。
【0054】
本明細書において、他の用語は、文脈が別途明示していない限り、以下のように規定される。
【0055】
本明細書において挙げられる全ての引用例は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0056】
太陽電池は、例えば、図面を含めて参照により本明細書に組み入れられるHoppe and Sariciftci, J. Mater. Res., Vol. 19, No. 7, July 2004, 1924-1945に記載されている。
【0057】
図1は、従来の太陽電池の幾つかの構成要素を示す。これについては、例えば、Dennler et al.,「Flexible Conjugated Polymer-Based Plastic Solar Cells:From Basics to Applications,」Proceedings of the IEEE, vol. 93, no. 8, August 2005, 1429-1439を図4および5を含み参照されたい。逆型太陽電池を含む太陽電池の様々な構造を使用することができる。重要な要素としては、活性層、アノード、カソード、および更に大きい構造体を支持するための基板が含まれる。また、正孔注入層を使用でき、1つまたは複数の調整層を使用できる。活性層は、P/Nバルクヘテロ接合を含むP/N複合体を含むことができる。
【0058】
以下の引用例は、光起電材料および装置について記載している:
実施例および図面を含めて参照により本明細書に組み入れられるWilliamsらの米国特許公報第2006/0076050号、「Heteroatomic Regioregular poly(3-Substitutedthiophenes) for Photovoltaic Cells」(Plextronics)。
実施例および図面を含めて参照により本明細書に組み入れられる米国特許公報第2006/0237695号(Plextronics)、「Copolymers of Soluble poly(thiophenes) with Improved Electronic Performance」。
Louwetらの米国特許第7,147,936号。
【0059】
更に、実施例および図面を含めて参照により本明細書に組み入れられる米国特許公報第2006/0175582号、「Hole Injection/Transport Layer Compositions and Devices」 (Plextronics)は、正孔注入層技術について記載している。
【0060】
活性層以外の装置要素
アノードおよびカソードを含む電極は、光起電装置における技術分野において公知である。これについては、例えば先に挙げたHoppeらの論文を参照されたい。公知の電極材料を使用できる。透明導電酸化物を使用することができる。透明度は特定の用途に適合させることができる。例えば、アノードは、基板上に支持されるITOを含むインジウムスズ酸化物であってもよい。基板は硬質または軟質であってもよい。
【0061】
必要に応じて、正孔注入層および正孔トランスポート層を使用することができる。HIL層は、例えば当技術分野において公知のようなPEDOT:PSSであってもよい。これについては、例えば先に挙げたHoppeらの論文を参照されたい。
【0062】
活性層p型材料
活性層は少なくとも1つのp型材料を含むことができ、また、フラーレン誘導体n型材料を様々なp型材料と組み合わせて使用することができる。本発明の幾つかの態様の利点は、フラーレンを誘導体化するために使用される置換基を、計算されたLUMOレベルまたは計算された電子親和力に基づいて選択できるという点である。これらの態様における目的は、活性層内でのフォトキャリア生成を依然として維持しつつ、n型のLUMOレベルとp型のHOMOレベルとの間の差を最大にできるようにすることである。
【0063】
p型材料は高分子材料を含む有機材料であってもよいが、他のタイプのp型材料が当技術分野において公知である。例えば、p型材料は、一連の共役二重結合を有するポリマー骨格を含む共役ポリマーまたは導電性ポリマーを含むことができる。それは、ホモポリマーまたはブロック共重合体またはランダム共重合体を含むコポリマーまたはターポリマーであってもよい。例としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレン、ビニレン、およびそれらの誘導体、コポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。p型材料は、有機溶媒中または水中で可溶性または分散性の共役ポリマーを含むことができる。共役ポリマーは、例えば、T. A. Skotheim, Handbook of Conducting Polymers, 3rd Ed. (two vol), 2007;Meijer et al., Materials Science and Engineering, 32 (2001), 1-40;およびKim, Pure Appl. Chem., 74, 11, 2031-2044, 2002に記載されている。p型活性材料は、共通のポリマー骨格を有するがポリマーの特性を合わせるために誘導体化された側基が異なる、同様のポリマーの多数の族を含むことができる。例えば、ポリチオフェンは、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシルなどを含むアルキル側基で誘導体化され得る。
【0064】
1つの態様は、例えば、共役および非共役ポリマーセグメントの組み合わせ、または第1のタイプの共役セグメントおよび第2のタイプの共役セグメントの組み合わせを含むコポリマーおよびブロック共重合体を含む。例えば、これらは、AB系またはABA系またはBAB系によって表すことができる。この場合、例えば、Aなどの1つのブロックは共役ブロックであり、Bなどの他のブロックは非共役ブロックまたは絶縁ブロックである。あるいは、各ブロックAおよびBを共役させることができる。非共役または絶縁ブロックは、例えば、有機ポリマーブロック、無機ポリマーブロック、または例えば付加ポリマーブロックを含むハイブリッド有機-無機ポリマーブロックまたは例えば熱可塑性タイプのポリマー、ポリオレフィン、ポリシラン、ポリエステル、PETなどを含む縮合ポリマーブロックであってもよい。ブロック共重合体は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2006年12月14日に公開されたMcCulloughらの米国特許公報第2006/0278867号およびMcCulloughらの米国特許第6,602,974号に記載されている。
【0065】
特に、ポリチオフェンおよびその誘導体は当技術分野において公知である。これらは、ブロック共重合体を含むコポリマーまたはホモポリマーであってもよい。これらは可溶性または分散性であってもよい。これらはレジオレギュラーであってもよい。特に、置換されていてもよいアルコキシ置換ポリチオフェンおよび置換されていてもよいアルキル置換ポリチオフェンを使用できる。特に、例えば、McCulloughらの米国特許第6,602,974号および第6,166,172号ならびにMcCullough, R. D.;Tristram-Nagle, S.;Williams, S. P.;Lowe, R. D.;Jayaraman, M. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 4910に記載されるような、ホモポリマーおよびブロック共重合体を含むレジオレギュラーポリチオフェンを使用することができる。また、Plextronics (ペンシルベニア州のピッツバーグ)市販製品を参照されたい。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)を含む可溶性アルキル置換およびアルコキシ置換ポリマーおよびコポリマーを使用できる。他の例は、Kochemらの米国特許第5,294,372号および第5,401,537号において見出すことができる。米国特許第6,454,880号および第5,331,183号は活性層について更に記載している。
【0066】
処理を容易にするために積層体において可溶性材料またはウェル分散材料を使用することができる。
【0067】
p型材料およびポリチオフェンの更なる例は、式を含む全体が参照により本明細書に組み入れられる、例えば置換シクロペンタジチオフェン部分であるモノマーを有するポリマーについて記載するWO2007/011739(Gaudianaら)において見出すことができる。
【0068】
活性層n型材料
活性層は、少なくとも1つのフラーレン構造を含むn型材料を含むことができる。フラーレンは当技術分野において公知である。フラーレンは、球状カーボン化合物として記述することができる。例えば、フラーレン表面は、当技術分野において公知のように[6,6]結合および[6,5]結合を示すことができる。フラーレンは、6員環および5員環を含む表面を有し得る。フラーレンは例えばC60、C70、またはC84であってもよく、かつ誘導体基を介して更なる炭素原子を付加することができる。これについては、例えば、フラーレン命名法および合成、誘導体化、還元反応(第2章)、求核付加(第3章)、付加環化(第4章)、水素化(第5章)、ラジカル付加(第6章)、遷移金属錯体形成(第7章)、酸化および求電子試薬との反応(第8章)、ハロゲン化(第9章)、位置化学(第10章)、クラスタ改質(第11章)、ヘテロフラーレン(第12章)、および高フラーレン(第13章)に関する教示を含む、参照により本明細書に組み入れられるHirsch, A.;Brettreich, M., Fullerenes:Chemistry and Reactions, Wiley-VCH Verlag, Weinheim, 2005を参照されたい。本明細書において記載される方法は、フラーレン誘導体および付加物を合成するために使用できる。
【0069】
特に、活性層は少なくとも1つのn型材料を含むことができ、その場合、n型材料は、少なくとも1つの誘導体化されたフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む。誘導体化合物は例えば付加物であってもよい。本明細書において、用語「誘導体化されたフラーレン」、「フラーレン誘導体」は、交互に用いられ得、また例えば、1〜84個、または1〜70個、または1〜60個、1〜20個、1〜18個、1〜10個、または1〜6個、または1〜5個、または1〜3個の置換基を含むフラーレンであってもよく、各置換基は、例えば、球状炭素化合物中の1つまたは2つの炭素に共有結合している。誘導体化されたフラーレンは、[4+2]付加環化によって少なくとも1つの誘導体部分Rに共有結合しているフラーレンを含むことができる。
【0070】
n型材料のための構造は、下記式およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物によって表すことができる:
F-(R)n
式中、nは少なくとも1であり、
Fは、6員環および5員環を含む表面を有する球状フラーレンであり、かつ
Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含み、該第1の環はフラーレンに直接結合している。
【0071】
式(I)は、C60がn個のR基に結合している態様を表し、結合は総称的に表される。

【0072】
第1の環は置換されていてもよい。第1の環は置換されていなくてもよい。第1の環は不飽和環であってもよい。第1の環は飽和環であってもよい。第1の環は炭素環であってもよい。第1の環は複素環であってもよい。
【0073】
第1の環は、置換されていてもよい4員環、5員環、または6員環であってもよい。この環は、特に、置換されていてもよい5員環であってもよい。
【0074】
R基は、第1の環に結合しているかまたは融合している第2の環を更に含むことができる。第2の環は置換されていてもよい。第2の環は、例えば、第1の環に融合しているアリール基であってもよい。
【0075】
第1の環はフラーレンに直接結合している。例えば、R基は、[4+2]付加環化によってフラーレンに共有結合していてもよい。R基は、1つまたは2つの共有結合によってフラーレンに共有結合していてもよい。共有結合としては2つの共有結合が含まれ、2つの共有結合としては2つの炭素間結合が含まれる。R基は、R基内の1つの原子に対する共有結合によって、フラーレン表面に結合していてもよい。あるいは、R基は、R基内の2つの原子に対する共有結合によって、フラーレン表面に結合していてもよい。フラーレンに結合するR基内の2つの原子は互いに隣り合っていてもよく、あるいは、R基内の1〜3個の他の原子によって互いに離間していてもよい。R基は、フラーレン[6,6]位置で2つの炭素間結合によってフラーレンに共有結合していてもよい。
【0076】
フラーレンは炭素のみを含み得る。フラーレンは、Rの他にフラーレンに結合している少なくとも1つの誘導基を含むことができる。
【0077】
例えば、フラーレンは、電子求引基または電子供与基と誘導体化することができる。電子求引基および電子供与基は当技術分野において公知であり、SmithによるAdvanced Organic Chemistry, 5th Ed(2001年3月)において見出すことができる。
【0078】
電子求引基は、フラーレンケージに直接付着することができ、あるいはPCBM構造に類似するメタノブリッジを介して付着することができる。
【0079】
電気供与基は、フラーレンケージに直接付着することができ、あるいはPCBM構造に類似するメタノブリッジを介して付着することができる。
【0080】
フラーレンは、可視範囲でのそれらの吸収を高めるため、C60-PCBMに対して誘導体化することができる。可視範囲で高められた吸収は、誘導体化されたフラーレンを含む光起電装置の光電流を増大させるかまたは向上させることができる。
【0081】
1つの態様において、Fは、C60、C70、およびC84、ならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0082】
1つの態様において、Rは、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択される。
【0083】
1つの態様において、Rは、置換されていてもよいインデン、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいキノリニル、置換されていてもよいシクロヘキシル、および置換されていてもよいシクロペンチルから選択される。
【0084】
1つの態様において、Rは、インデン、ナフチル、フェニル、ピリジニル、キノリニル、シクロヘキシル、およびシクロペンチルから選択される。
【0085】
値nは整数であってもよい。1つの態様において、nは、1〜84、または1〜70、または1〜60、または1〜30、または1〜10であってもよい。1つの態様では、nが1〜6である。1つの態様では、nが1〜3である。
【0086】
1つの態様において、nは1である。1つの態様では、nが2である。1つの態様では、nが3である。
【0087】
1つの態様において、第1の環は、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオ複素環、置換チオ複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、もしくは置換ヘテロシクリルオキシ、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。
【0088】
1つの態様では、nが1であり、Rがインデンである。1つの態様では、nが2であり、Rがインデンである。1つの態様では、nが3であり、Rがインデンである。1つの態様では、nが4であり、Rがインデンである。1つの態様では、nが5であり、Rがインデンである。1つの態様では、nが6であり、Rがインデンである。
【0089】
1つの態様において、Rは、[4+2]環付加物とも呼ばれる[4+2]付加環化によってフラーレンに共有結合し得る。[4+2]付加環化反応およびディールス・アルダー反応を含む反応は、一般に当技術分野において公知である。ジエノフィル二重結合は、ジエンと反応して6員環を生成することができる。これについては、例えば、炭素間多重結合の付加について述べている章を含むAdvanced Organic Chemistry, Reactions, Mechanisms, and Structure, 2nd Ed., J. March, 1977を参照されたい(例えば第15章)。また、Belik et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1993, 32, 1, 78-80(フラーレンおよび誘導体部分を含むC68化合物を形成するためのC60とC8 o-キノジメタン化合物との反応を示す)およびPuplovskis et al., Tetrahedron Leteers, 38, 2, 285-288, 1997, 285-288(フラーレンおよび誘導体部分を含むC69化合物を形成するためのC60とC9インデンとの反応を示す)も参照されたい。付加環化反応は、[6,5]二重結合ではなく[6,6]フラーレン二重結合での反応をもたらすことができる。付加環化反応は、Hirsch, Brettreich text, Fullerenes, Chemistry and Reactions, 2005の第4章、101〜183頁に詳しく記載されている。
【0090】
フラーレン誘導体の1つの例がインデン誘導体である。また、インデン自体を誘導体化することができる。フラーレンは、例えば、参照により本明細書に組み入れられるBelik et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1993, 32, No. 1, pages 78-80に記載される方法によって誘導体化することができる。この論文は、o-キノジメタンなどのラジカルを加えることができる電子不足の超アルケンC60の付加について記載している。それは、異なる官能基を含むインサイチューで調製することができ、最も反応性の低いジエノフィルを用いても[4+2]付加環化を形成することができる非常に良く反応するジエンを形成する。
【0091】
フラーレンは、ビス付加物を形成するために少なくとも2つの誘導体部分Rを含んでもよく、あるいは、トリス付加物を形成するために少なくとも3つの誘導体部分Rを含んでもよい。これらの置換基は、[4+2]付加環化によってフラーレンに対して付加することができる。例えば、Belikらは、スキーム1の式3において、2つの誘導体部分を含むフラーレン化合物を示している。また、2つのフラーレンは、Belikらのスキーム2に示されるように、1つの誘導体部分によって共有結合し得る。
【0092】
様々な態様は理論によって制限されないが、誘導体化がフラーレンケージの共役を乱す場合があると考えられる。共役の乱れは、誘導体化されたフラーレンの電子親和力およびイオン化ポテンシャルをもたらす。
【0093】
1つの態様において、活性層は、少なくとも1つのポリチオフェンおよび、電子求引基を含む少なくとも1つのフラーレン誘導体を含むことができる。
【0094】
装置製造
特許請求の本発明を使用する装置は、例えば基板上でアノード材料としてITOを使用して形成することができる。他のアノード材料としては、例えば、Auなどの金属、カーボンナノチューブ、単壁または多壁導電性酸化物、および他の透明導電性酸化物を含むことができる。アノードの抵抗率は、例えば15Ω/sq以下、25以下、50以下、または、100以下、または200以下、または250以下に維持することができる。基板は、例えば、ガラス、プラスチック(PTFE、ポリシロキサン、熱可塑性物質、PET、PENなど)、金属(Al、Au、Ag)、金属箔、金属酸化物(TiOx、ZnOx)およびSiなどの半導体であってもよい。デバイス層堆積前に、当技術分野において公知の技術を使用して、基板上のITOを洗浄することができる。例えば、スピンキャスティング、インクジェット、ドクターブレーディング、スプレーキャスティング、ディップコーティング、蒸着、または任意の他の公知の堆積方法を使用して、任意で正孔注入層(HIL)を加えることができる。HILは、例えば、PEDOT、PEDOT/PSSまたはTBD、またはNPB、またはPlexcore HIL (Plextronics、ペンシルベニア州のピッツバーグ)であってもよい。
【0095】
HIL層の厚さは、例えば、約10nm〜約300nm厚、または30nm〜60nm、60nm〜100nm、または100nm〜200nmであってもよい。その後、膜を任意で乾燥させ/任意で不活性雰囲気中で1分〜1時間にわたって110〜200℃でアニールすることができる。
【0096】
活性層は、n型材料およびp型材料の混合物から形成することができる。n型およびp型材料は、重量に基づいて例えば約0.1〜4.0(p型):約1(n型)の比率で、または約1.1〜約3.0(p型):約1(n型)の比率で、あるいは約1.1〜約1.5(p型):約1(n型)の比率で混合することができる。各タイプの材料の量または2つのタイプの構成要素間の比率は、特定の用途において変えることができる。
【0097】
n型およびp型材料は、一溶媒中または溶媒混合物中で例えば約0.01〜約0.1%体積固体で混合することができる。特許請求の本発明にとって有用な溶媒としては、例えば、ハロゲン化ベンゼン、アルキルベンゼン、ハロゲン化メタン、および、チオフェン誘導体などを含むことができる。より具体的には、溶媒は、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キシレン、トルエン、クロロホルム、3-メチルチオフェン、3-プロピルチオフェン、3-ヘキシルチオフェン、および、それらの混合物であってもよい。少なくとも2つの溶媒を使用できる。
【0098】
参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2007年5月2日に出願されたSheinaらの「Solvent System for Conjugated Polymers」と題される同時係属中の米国特許出願第 号に記載されるような特に有用な溶媒系を使用できる。
【0099】
その後、活性層は、スピンキャスティング、インクジェット、ドクターブレーディング、スプレーキャスティング、ディップコーティング、蒸着、または任意の他の公知の堆積方法によって、HIL膜上に堆積させることができる。その後、膜は、任意で不活性雰囲気中で約10分〜1時間にわたって例えば約40〜約250℃、または約150〜180℃でアニールさせる。
【0100】
次に、一般に例えば1つまたは複数の金属の熱蒸着を使用して、カソード層を装置に対して加えることができる。例えば、シャドーマスクを介して1〜15nm Ca層を活性層上に熱蒸着し、その後、10〜300nm Al層を堆積させる。
【0101】
幾つかの態様では、活性層とカソードとの間、および/またはHTLと活性層との間に任意で中間層を含めてもよい。この中間層は、例えば、0.5nm〜約100nm、または約1〜3nm厚であってもよい。中間層は、電子調整材料、正孔閉塞材料、または抽出材料、例えばLiF、BCP、バソクプロイン(bathocuprine)、フラーレンまたはフラーレン誘導体、例えばC60および、本明細書において説明した他のフラーレンおよびフラーレン誘導体を含むことができる。
【0102】
その後、装置は、硬化性接着剤でシールされたガラスカバースリップを使用して、または他のエポキシもしくはプラスチックコーティングで封入することができる。ゲッター/デシカントを有するキャビティガラスが使用されてもよい。
【0103】
更に、活性層は、例えば界面活性剤、分散剤、および脱酸素剤および脱水剤を含む更なる成分を含むことができる。
【0104】
活性層は、複数の層を含んでもよく、または多層となっていてもよい。
【0105】
活性層組成物は、膜の形態にある混合物を含むことができる。
【0106】
活性層形態
活性層は、p-n複合体であってもよく、例えば、バルクヘテロ接合を含むヘテロ接合を形成することができる。これについては、例えば、Dennler et al.,「Flexible Conjugated Polymer-Based Plastic Solar Cells: From Basics to Applications,」 Proceedings of the IEEE, vol. 93, no. 8, August 2005, 1429-1439におけるバルクヘテロ接合のナノスケール相分離の説明を参照されたい。条件および材料は、良好な膜形成、低い粗さ(例えば1nm RMS)を提供するように選択することができ、また別個の観察可能な相分離特性を得ることができる。本発明は、AFMによって測定される約5〜50nmのスケールで相分離領域を有し得る。表面粗さおよび相挙動を測定するためにAFM解析を使用できる。一般に、相分離領域は望ましくなく、ドナーおよびアクセプターの両方が活性層中に均一かつ連続的に分布されるようにする。
【0107】
装置性能
公知の太陽電池は、当技術分野において公知の方法によって、例えばJsc(mA/cm2)およびVoc(V)および曲線因子(fill factor)(FF)および電力変換効率(%、PCE)を含めて測定することができる。これについては、前述したHoppeの論文および本明細書に挙げた引用例を参照されたい。
【0108】
例えば、効率は、1sun(AM1.5G、100mW/cm2)で、少なくとも約2%、または少なくとも約3%、または少なくとも約3.5%、または少なくとも約4%、または少なくとも約4.5%、または少なくとも約5.0%、または少なくとも約5.5%、または少なくとも約6.0%、または少なくとも約7.0%、または少なくとも約8.0%、または少なくとも約9.0%、または少なくとも約10.0%となり得る。効率範囲は、例えば、約2%〜約15%、または約2%〜約10%、または約2%〜約7%となり得る。これらの効率はNRELによって検証できる。
【0109】
曲線因子は、例えば、少なくとも約0.60、または少なくとも約0.63、または少なくとも約0.67、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、または少なくとも約0.8、少なくとも約0.85となり得る。
【0110】
Voc(V)は、例えば、少なくとも約0.56、または少なくとも約0.63、または少なくとも約0.82、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、少なくとも約1.2、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5となり得る。
【0111】
Jsc(mA/cm2)は、例えば、少なくとも約8.92、または少なくとも約9.20、または少なくとも約9.48、または少なくとも約10、または少なくとも約11、または少なくとも約12、または少なくとも約13、または少なくとも約14、または少なくとも約15となり得る。
【0112】
装置は、P3HT-PCBMの活性層を含む実質的に類似する装置と比べて、少なくとも5%、または少なくとも15%の効率の増大を示すことができる。
【0113】
図2は、効率が制御装置における2%ではなく3%まで上昇する向上した性能を示す(少なくとも20%向上)。効率の向上は、C60PCBM系の膜のそれと比べたC70PCBMにおける吸収スペクトルの高い波長へのかなりの広がりおよび結果として得られるp型材料との混合と一致する。更なる比較データは、より良好な膜形態を示す図3に提供される。
【0114】
オリエルソーラーシミュレータ(Oriel Solar Simulator)は、例えばFF、Jsc、Voc、および効率を含むPV特性を決定するために使用できる。該シミュレータは、例えばKG5-Si基準セルを伴う較正を含めて、当技術分野において公知の方法によって較正され得る。
【0115】
文献
以下の引用例は、本明細書において記載される様々な態様を実施するために必要に応じて使用することもでき、参照により本明細書に組み入れられる。
【0116】
引用参考文献



【0117】
参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2006年6月13日に出願されたLairdらの米国仮出願第60/812,961号に記載されるように16個の更なる態様が提供される。
【0118】
態様
1. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、電子求引基を含む少なくとも1つのフラーレン誘導体とを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
2. フラーレン誘導体がC60フラーレンである、態様1記載の装置。
3. フラーレン誘導体がC70フラーレンである、態様1記載の装置。
4. フラーレン誘導体がC84フラーレンである、態様1記載の装置。
5. フラーレン誘導体がC60C16、C60(C9H8)、C60Br24、C60Cl(CH2ClChC12)である、態様1記載の装置。
6. ポリチオフェンがレジオレギュラーポリチオフェンである、態様1記載の装置。
7. ポリチオフェンがコポリマーである、態様1記載の装置。
8. HIL層またはHTL層を更に含む、態様1記載の装置。
9. ポリチオフェンが可溶性のレジオレギュラーポリチオフェンである、態様1記載の装置。
10. 電子求引基が可視スペクトルで吸収を生み出す、態様1記載の装置。
11. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、C70フラーレンまたはC84フラーレンである少なくとも1つのフラーレン誘導体とを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
12. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、C70フラーレンである少なくとも1つのフラーレン誘導体とを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
13. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、C84フラーレンである少なくとも1つのフラーレン誘導体とを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
14. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、誘導体化されていないC70フラーレンとを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
15. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、誘導体化されていないC84フラーレンとを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
16. 第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置され、少なくとも1つのポリチオフェンと、o-キノジメタン誘導基を含む少なくとも1つのフラーレン誘導体とを含む、少なくとも1つの活性層と
を含む、光起電装置。
【0119】
実施例
非限定的な実施例を用いて、様々な主張された態様について更に説明する。
【0120】
実施例1:C60インデン付加物の合成
C60インデン付加物は、開始点として、引用例(Puplovskis, et al., 「New Route for [60]Fullerene Functionalization in [4+2] Cycloaddition Reaction Using Indene.」 Tetrahedron Lett. 1997, 38, 285-288)の記載を使用して合成した。C60を、約6mg mL-1の濃度のo-ジクロロベンゼン中で溶解した。インデンをC60に対して12倍モル過剰に加え、また結果として得られる混合物を一晩中還流した。溶媒の大部分を減圧下で蒸発させた。エタノールを加えた後に沈殿が生じた。結果として得られる固体を、乾燥させ、トルエン中で再び溶解し、その後、330nmで作動する可変波長検出器を備えるAgilent 1100シリーズ機器上に装着されたCosmosil Buckyprep分析カラム(250×4.6mm、Nacalai Tesque, Inc.)を使用した高圧液体クロマトグラフィによって分析した。溶出のために1ml min-1の流量のトルエンを使用した。約5.4分の溶出時間のピークおよび4分付近の一群のピークは、C60インデンモノ付加物およびビス付加物のそれぞれに起因するものであった。4分付近の非常に近い溶出時間を伴う幾つかのピークの存在は、幾つかの異性体の存在と一致する。C60PCBMなどの他のフラーレン誘導体を用いて、官能性をもたせていないC60の溶出時間よりも短い溶出時間(約8.1分)が既に観察されている。複数の付加は、溶出時間の更なる減少をもたらすことが分かった。フラッシュクロマトグラフィによる精製のため、ペンタブロモベンジル官能性をもたせたシリカ相を使用した。精製のために、純粋なトルエンおよびトルエン/シクロヘキサン混合物を使用した。収集された部分のHPLC分析は、C60インデンモノ付加物に関して純度98.5%を示し、また、異なるビス付加物の混合物に関して約95%の純度を示した。
【0121】
実施例2:C70インデンモノ付加物の合成
C60インデン付加物において展開された手続きに続いて、C70インデンモノ付加物を合成した。C70をo-ジクロロベンゼン中で溶解した。12倍モル過剰でのインデンの付加の後、8時間にわたって還流を維持した。減圧下での容積の減少およびエタノールの付加の後、固体を回収し、乾燥させ、トルエン中で再び溶解した。前述したのと同じ手続きを使用するHPLC分析は、おそらくC60付加物合成と比べて減少した反応時間に起因して、主にモノ付加物の存在を示した。フラッシュクロマトグラフィを使用する精製は、98.6%の純度のC70モノ付加物の分離をもたらした。対応するHPLCクロマトグラムが以下で与えられる。C70ケージ上の異なる付加部位を表す2つの主要な異性体が識別された。
【0122】
実施例3:ポリチオフェンの調製
Loewe, et al., Adv. Mater. 1999, 11, 250-253に記載されるように、2,5-ジブロモ-ドデシルチオフェンの代わりに2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェンを使用し、0.01eqの代わりにNi(dppp)Cl2の0.0028eqを使用して、Plexcore P3HTを調製した。クロロホルムを使用するGPCによって測定された分子量は69,000, 1.35PDIであった。
【0123】
実施例4:C60インデン付加物を使用した太陽電池装置の製造
(i)Thin Film Devices(カリフォルニア州のアナハイムにある)から購入したガラス基板上にパターン化されたインジウムスズ酸化物(ITO、アノード、60Ω/平方)と、(ii)HC Starkから購入したPEDOT/PSS(AI4083)を含むHILの薄層(30nm厚)と、(iii)メタノフラーレン[6,6]-フェニルC61-酪酸メチルエステル(PCBM)(マサチューセッツ州のウェストウッドにあるNano-Cから購入した)、C60インデンモノ付加物、またはC60インデンビス付加物(前記実施例に記載するように調製したフラーレン付加物)であるn型と混合した(実施例3に記載するように調製した)Plexcore P3HTを含む100nm活性層と、(iv)Ca/Al二層カソードとを含む、光起電装置を調製した。
【0124】
パターン化されたITOガラス基板は、洗浄剤、温水および有機溶媒(アセトンおよびアルコール)を用いて超音波浴内で洗浄し、デバイス層堆積の直前にオゾンプラズマで処理した。その後、30nmの厚さを得るために、パターン化されたITOガラス基板上でHIL溶液(Baytron AI 4083)をスピンコーティングした。窒素雰囲気中で膜を30分間にわたって150℃で乾燥させた。活性層を、o-ジクロロベンゼン中で1:2:1重量比のP3HT:n型混合物へと編成し(形成体が0.0024%体積固体に形成された)、その後HILに対するダメージを伴うことなく(AFMによって検証された)HIL膜上でスピンを行った。
【0125】
その後、膜は、グローブボックス内で30分間にわたって175℃でアニールさせた。次に、シャドーマスクを介して5nm Ca層を活性層上に熱蒸着し、その後、150nm Al層を堆積させた。その後、装置を、EPO-TEK OG112-4 UV硬化性接着剤でシールされるガラスカバースリップ(ブランケット)カプセル化によって封入した。封入された装置は、4分間にわたってUV放射線(80mW/cm2)下で硬化し、以下のように検査した。
【0126】
白色光露光(Air Mass 1.5 Global Filter)下での装置の光起電特性は、Keithley 2400ソースメータと100mW/cm2(AM1.5G)の出力強度を有するXeランプに基づくOriel 300W Solar Simulatorとを備えるシステムを使用して測定した。光度は、NREL認定Si-KG5シリコンフォトダイオードを使用して設定した。
【0127】
各装置毎に測定されたJsc、Vocおよび効率が、n型材料としてPCBMを使用して前述したように形成された制御装置と比較して、以下の表に示されている。図4には更にデータが示されている。
【0128】
(表)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つのp型材料と
(ii)下記式中、nが少なくとも1であり、
Fが、6員環および5員環を含む表面を有するフラーレンを含み、かつ
Rが、フラーレンに直接結合している置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含む、
F-(R)n
によって表されるフラーレン誘導体、およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物を含む、少なくとも1つのn型材料と
を含む混合物を含む、組成物。
【請求項2】
第1の環が置換される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第1の環が置換されない、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
第1の環が不飽和環である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
第1の環が飽和環である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
第1の環が炭素環である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
第1の環が複素環である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
第1の環が、置換されていてもよい4員環、5員環、または6員環である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
環が、置換されていてもよい5員環である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
Rが、第1の環に結合しているかまたは融合している第2の環を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
Rが、第1の環に融合している置換されていてもよい第2の環を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
Rが、第1の環に融合しているアリール基である置換されていてもよい第2の環を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
Rが、置換されていてもよいインデン、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいキノリニル、置換されていてもよいシクロヘキシル、または置換されていてもよいシクロペンチルである、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
Rが、インデン、ナフチル、フェニル、ピリジニル、キノリニル、シクロヘキシル、またはシクロペンチルである、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
Rが、置換されていてもよいインデンである、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
Rがインデンである、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
nが1〜6である、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
nが1〜3である、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
Rがインデンであり、かつnが1である、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
Rがインデンであり、かつnが2である、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
Rがインデンであり、かつnが3である、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
Rがインデンであり、かつnが1〜20である、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
Rがインデンであり、かつnが1〜10である、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
第1の環が、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオ複素環、置換チオ複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、もしくは置換ヘテロシクリルオキシ、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
Rが、[4+2]付加環化によってフラーレンに共有結合している、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
Rが、1つまたは2つの共有結合によってフラーレンに共有結合している、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
Rが、2つの結合によってフラーレンに共有結合している、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
Rが、2つの炭素間結合によってフラーレンに共有結合している、請求項1記載の組成物。
【請求項29】
Rが、フラーレン[6,6]位置で2つの炭素間結合によってフラーレンに共有結合している、請求項1記載の組成物。
【請求項30】
フラーレンが、C60、C70、もしくはC84フラーレン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項31】
フラーレンが炭素のみを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項32】
フラーレンが、Rの他にフラーレンに結合している少なくとも1つの誘導基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項33】
p型材料が共役ポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項34】
p型材料が、有機溶媒または水に可溶性または分散性の共役ポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項35】
p型材料がポリチオフェンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項36】
p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項37】
n型材料およびp型材料が、n型材料約1に対してp型材料約0.1〜4.0の重量比で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項38】
約10nm〜約300nmの膜厚を有する膜の形態にある組成物であって、p型材料がポリチオフェンを含み、かつR基が、置換されていてもよいインデンである、請求項1記載の組成物。
【請求項39】
p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含み、かつR基がインデンである、請求項1記載の組成物。
【請求項40】
少なくとも2つの溶媒を更に含む組成物であって、p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含み、かつR基がインデンである、請求項1記載の組成物。
【請求項41】
(i)少なくとも1つのp型材料と
(ii)少なくとも1つの[6,6]フラーレン結合部位を含む少なくとも1つのフラーレン誘導体を含むn型材料であり、該[6,6]結合部位の両方の炭素原子がR基に共有結合している、少なくとも1つのn型材料と
を含む混合物を含む、組成物。
【請求項42】
R基が、[6,6]フラーレン結合部位に直接結合している第1の環を含む、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
R基が、[6,6]フラーレン結合部位に直接結合している第1の環と、該第1の環に融合している第2の環とを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項44】
R基が、[6,6]フラーレン結合部位に直接結合している第1の5員炭素環と、該第1の環に融合している第2の6員炭素環とを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項45】
R基が、置換されていてもよいインデンを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項46】
R基がインデンを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項47】
p型材料が共役ポリマーを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項48】
p型材料がポリチオフェンを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項49】
p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項50】
p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含み、かつR基が、置換されていてもよいインデンである、請求項41記載の組成物。
【請求項51】
(i)少なくとも1つのp型材料と
(ii)[4+2]付加環化によって少なくとも1つの誘導体部分に共有結合している少なくとも1つのフラーレンを含むフラーレン誘導体を含む、少なくとも1つのn型材料と
を含む混合物を含む、組成物。
【請求項52】
誘導体部分が、フラーレンに直接結合している第1の環を含む、請求項51記載の組成物。
【請求項53】
誘導体部分が、フラーレンに直接結合している第1の環と、該第1の環に融合している第2の環とを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項54】
誘導体部分が、フラーレン結合部位に直接結合している第1の5員炭素環と、該第1の環に融合している第2の6員炭素環とを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項55】
誘導体部分が、置換されていてもよいインデンを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項56】
誘導体部分がインデンを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項57】
p型材料が共役ポリマーを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項58】
p型材料がポリチオフェンを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項59】
p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含む、請求項51記載の組成物。
【請求項60】
p型材料がレジオレギュラーポリチオフェンを含み、かつ誘導体部分が、置換されていてもよいインデンである、請求項51記載の組成物。
【請求項61】
活性層が、
(i)少なくとも1つのp型材料と
(ii)下記式中、nが少なくとも1であり、
Fが、6員環および5員環を含む表面を有するフラーレンを含み、かつ
Rが、フラーレンに直接結合している置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含む、
F-(R)n
によって表されるフラーレン誘導体、およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物を含む、少なくとも1つのn型材料と
を含む混合物を含む組成物を含む、
少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードと、少なくとも1つの活性層とを含む、光起電装置。
【請求項62】
P3HT-PCBMの活性層を含む実質的に類似の装置と比べて少なくとも5%の効率の増大を示す、請求項61記載の装置。
【請求項63】
P3HT-PCBMの活性層を含む実質的に類似の装置と比べて少なくとも15%の効率の増大を示す、請求項61記載の装置。
【請求項64】
少なくとも1つの正孔注入層を更に含む、請求項61記載の装置。
【請求項65】
ポリチオフェンを含む少なくとも1つの正孔注入層を更に含む、請求項61記載の装置。
【請求項66】
レジオレギュラーポリチオフェンを含む少なくとも1つの正孔注入層を更に含む、請求項61記載の装置。
【請求項67】
R基が、置換されていてもよいインデン基を含む、請求項61記載の装置。
【請求項68】
R基がインデン基を含む、請求項61記載の装置。
【請求項69】
R基が、置換されていてもよいインデン基を含み、かつp型材料が少なくとも1つのレジオレギュラーポリチオフェンを含む、請求項61記載の装置。
【請求項70】
レジオレギュラーポリチオフェンを含む正孔注入層を更に含む装置であって、R基が、置換されていてもよいインデン基を含み、かつp型材料が少なくとも1つのレジオレギュラーポリチオフェンを含む、請求項61記載の装置。
【請求項71】
(i)少なくとも1つのp型材料を提供する工程、
(ii)下記式中、nが少なくとも1であり、
Fが、6員環および5員環を含む表面を有するフラーレンを含み、かつ
Rが、フラーレンに直接結合している置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式または複素環式の少なくとも1つの第1の環を含む、
F-(R)n
によって表されるフラーレン誘導体、およびその溶媒和化合物、塩、ならびにそれらの混合物を含む少なくとも1つのn型材料を提供する工程、ならびに
(iii)少なくとも1つの溶媒を更に含む混合物を形成するように、p型材料とn型材料とを組み合わせる工程
を含む、混合物を含む組成物を形成する方法。
【請求項72】
混合物が少なくとも2つの溶媒を含む、請求項71記載の方法。
【請求項73】
溶媒を除去して混合物を膜へと形成する工程を更に含む、請求項71記載の方法。
【請求項74】
Rが、置換されていてもよいインデンを含む、請求項71記載の混合物。
【請求項75】
Rがインデンを含む、請求項71記載の混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−540099(P2009−540099A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515390(P2009−515390)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/010533
【国際公開番号】WO2008/018931
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(507094393)プレックストロニクス インコーポレーティッド (24)
【出願人】(508366499)ナノ−シー インコーポレーティッド (2)
【Fターム(参考)】