説明

フルオレン骨格を含有する化合物を用いた包接化合物

【課題】フルオレン骨格を含有する化合物を用いた新規な包接化合物(フルオレン含有包接化合物)及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の包接化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物をホスト化合物とする。ゲスト化合物は、芳香脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環族飽和アルコール又は少なくとも第三級炭化水素基を有するエーテルであってもよい。前記包接化合物は、前記ホスト化合物1モルに対し、前記ゲスト化合物を1〜2モル程度の割合で含んでいてもよい。前記包接化合物は、除放性材料、温度感応型材料、気体蓄積材料又は分離材料として用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン骨格を含有する新規な包接化合物およびその製造方法に関する。詳細には、本発明は、除放性材料などの各種用途に有用な新規包接化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
9,9−ビスアリールフルオレン骨格を含有するフルオレン含有化合物は、耐熱性や、様々な光学特性(例えば、透明性や屈折率など)に優れ、樹脂を構成する重合成分(樹脂原料)などとして、注目されている。例えば、このようなフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。また、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、ビスフェノールフルオレン、ビスアミノフェニルフルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンなどを重合成分とする樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂など)と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。
【0003】
また、特開2007−99741号公報(特許文献3)には、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物が開示されている。
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、環ZおよびZは縮合多環式炭化水素環、R1a、R1bおよびRは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0〜4の整数を示し、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数を示す。)
この文献には、前記化合物は、種々の優れた特性、例えば、高い耐熱性、高い透明性、高屈折率、低線膨張率などを有している(又は付与できる)ことが記載されている。また、このような化合物は、樹脂原料や樹脂硬化剤などとして好適に用いることができ、例えば、前記化合物を、熱硬化性樹脂[エポキシ樹脂(又はその硬化剤)や、アクリル系樹脂(多官能性(メタ)アクリレートなど)など]に適用すると、高耐熱性、高架橋性、高屈折率、高透明性、低線膨張率などの優れた特性を効率よく付与することができるとも記載されている。
【0006】
このように、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を含有するフルオレン含有化合物は、様々な用途に利用されているが、種々の優れた特性を活かし、新たな用途へのさらなる展開が期待されている。
【特許文献1】特開2002−284864号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0032])
【特許文献3】特開2007−99741号公報(請求項1、段落[0067])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、フルオレン骨格を含有する化合物を用いた新規な包接化合物(フルオレン含有包接化合物)であって、新たな用途への展開が期待できる新規な包接化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、除放性材料、温度感応型材料、気体蓄積材料、分離材料などの用途に適用可能な有用な新規な包接化合物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ホスト化合物として、特定のフルオレン骨格を含有するフルオレン含有化合物を用いると、種々のゲスト化合物と包接を形成すること、また得られる包接化合物は、種々の用途に有用であることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の包接化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物をホスト化合物とする。
【0011】
前記ホスト化合物は、下記式(1)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Z及びZは同一又は異なって芳香族炭化水素環を示す。R1a及びR1bは同一又は異なってアルキレン基を示し、R2a及びR2bは同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、R3a及びR3bは同一又は異なって炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。m及びnは同一又は異なって0又は1以上の整数であり、p及びqは同一又は異なって1以上の整数である。h1及びh2は同一又は異なって0〜4の整数であり、j1及びj2は同一又は異なって0〜4の整数である)
で表される化合物であってもよい。また、前記ホスト化合物は、前記式(1)において、m及びnが0であり、p及びqが1である化合物であってもよい。さらに、前記ホスト化合物は、少なくとも前記式(1)で表される化合物を重合成分とする樹脂[例えば、少なくとも前記式(1)で表されるジオール成分と、ジカルボン酸成分とを重合成分とする樹脂など]であってもよい。
【0014】
一方、ホスト化合物と包接化合物を形成するゲスト化合物は、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、ニトリル類又は炭化水素類(例えば、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類など)であってもよい。例えば、前記ゲスト化合物は、芳香脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環族飽和アルコール又は少なくとも第三級炭化水素基を有するエーテルであってもよい。本発明の包接化合物には、前記ホスト化合物が、前記式(1)において、Z及びZがベンゼン環であり、R2a及びR2bが炭化水素基であり、m及びnが0であり、p及びqが1であり、h1及びh2が0又は1である化合物であり、ゲスト化合物が、C7−15芳香脂肪族アルコール、C3−20脂肪族不飽和アルコール又は多環式C8−20脂環族飽和アルコールである包接化合物も含まれる。前記包接化合物は、前記ホスト化合物1モルに対し、前記ゲスト化合物を1〜2モル程度の割合で含んでいてもよい。前記包接化合物は、除放性材料、温度感応型材料、気体蓄積材料又は分離材料として用いてもよい。
【0015】
本発明には、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物であるホスト化合物とゲスト化合物とを混合して前記包接化合物を製造する方法も含まれる。前記製造方法において、溶媒の存在下、加熱下で前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物とを混合してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包接化合物は、ホスト化合物として、特定のフルオレン骨格を含有するフルオレン含有化合物を用いているため、前記ホスト化合物が、ゲスト化合物の種類に応じて様々な包接様式に対応するためか、種々のゲスト化合物と包接化合物を形成することができる。このような新規な包接化合物は、除放性材料、温度感応型材料、気体蓄積材料、分離材料などの種々の用途に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[包接化合物]
本発明の包接化合物(又は包接体)は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物であるホスト化合物と、ゲスト化合物とで形成されている。
【0018】
(ホスト化合物)
ホスト化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物である限り、特に制限されないが、通常、(i)前記式(1)で表される化合物、(ii)前記式(1)で表される化合物を重合成分とする樹脂である場合が多い。なお、前記ホスト化合物は、使用(又は反応)条件下(例えば、常温、常圧下)において、通常、固体又は液体(特に、固体)である場合が多い。
【0019】
((i)前記式(1)で表される化合物)
前記式(1)のZ及びZにおいて、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデンなどのC6−14芳香族炭化水素環などが例示できる。Z及びZは、ベンゼン環が好ましい。
【0020】
また、前記式(1)において、R1a及びR1bで表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基が例示できる。R1a及びR1bにおいてアルキレン基の種類はそれぞれ異なっていてもよい。また、アルキレン基R1a及びR1bの種類は係数m及びnの数によっても異なっていてもよい。好ましいアルキレン基は、C2−3アルキレン基(エチレン基、プロピレン基)であり、通常、エチレン基である場合が多い。
【0021】
2a及びR2bとしては、炭化水素基{例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−8アルキル基(特に、C1−6アルキル基)など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)など};アルコキシ基[例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−8アルコキシ基(特にC1−6アルコキシ基)など];シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など);アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基);アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
【0022】
置換基R2a及びR2bの置換数h1及びh2は、通常、0〜4(例えば、0〜2)程度の整数であってもよい。置換基R2a及びR2bの置換位置も特に制限されない。好ましい置換基R2a及びR2bは、C1−6アルキル基(特に、メチル基などのC1−4アルキル基)、C6−10アリール基(例えば、フェニル基などのC6−8アリール基)であり、好ましい置換数h1及びh2は0〜2(例えば、0又は1)程度の整数である。
【0023】
3a及びR3bとしては、前記例示の炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。
【0024】
置換基R3a及びR3bの置換数j1及びj2は、通常、0〜4、好ましくは0〜2(例えば、0又は1)程度の整数であってもよい。置換基R3a及びR3bの置換位置も特に制限されない。好ましい置換基R3a及びR3bは、C1−6アルキル基(特に、メチル基)であり、好ましい置換数j1及びj2は、0又は1(例えば、0)である。
【0025】
オキシアルキレン単位の繰り返し数m及びnは、0又は1以上の整数であり、通常、0〜10、好ましくは0〜7、さらに好ましくは0〜5、特に0〜3(例えば、0又は1)程度の整数であってもよい。また、p及びqは、1以上の整数であり、通常、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2(特に1)程度の整数であってもよい。
【0026】
代表的な(i)前記式(1)で表される化合物には、m及びnが0である化合物、すなわち、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類が含まれる。
【0027】
前記9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類には、前記式(1)において、Z及びZがベンゼン環であり、p及びqが1である9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類;Z及びZがナフタレン環であり、p及びqが1である9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類;Z及びZがベンゼン環であり、p及びqが2以上である9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類などが含まれる。
【0028】
具体的には、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類は、R2a及びR2bが炭化水素基であり、h1及びh2が0又は1である化合物が好適に使用される。9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(C1−6アルキルヒドロキシフェニル)フルオレンなど];9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(ジC1−6アルキルヒドロキシフェニル)フルオレンなど];9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(C5−10シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレンなど];9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(C6−10アリールヒドロキシフェニル)フルオレンなど]などが挙げられる。
【0029】
また、前記9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類には、前記例示の9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類のフェニル基がナフチル基である9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなど}などが含まれる。
【0030】
さらに、前記9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類には、前記9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類[9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類]に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)など];9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(C1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]などの9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類が含まれる。
【0031】
なお、前記9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類には、例えば、前記フルオレン類[すなわち、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類]において、m及びnが1以上である化合物(又は前記フルオレン類のアルキレンオキシド付加体)、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン,BPEF)などの9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールエタノールフルオレン,BCEF)などの9,9−ビス(アルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレンなども含まれる。
【0032】
これらの前記式(1)で表される化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。前記式(1)で表される化合物のうち、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(モノ又はジC1−6アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリールヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましく、特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−C1−4アルキルフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−C6−10アリールフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン]、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)などが好ましい。
【0033】
((ii)前記式(1)で表される化合物を重合成分とする樹脂)
前記ホスト化合物には、少なくとも前記式(1)で表される化合物(又は成分)を重合成分とする樹脂も含まれる。すなわち、前記樹脂は、少なくとも前記式(1)で表される化合物(又は成分)で構成されたポリオール成分(例えば、ジオール成分)を重合成分とする樹脂であればよい。
【0034】
詳細には、前記樹脂は、ポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂において、前記ポリオール成分の一部又は全部が、前記式(1)で表される化合物(複数のヒドロキシル基を有する化合物)(又はその誘導体)で構成された樹脂である。なお、このような樹脂の単量体成分(又は重合成分)として用いる場合、前記式(1)で表される化合物は、誘導体化して用いてもよい。
【0035】
このような樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)が挙げられる。
【0036】
ポリオール成分(例えば、ジオール成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトンなど)など]、熱硬化性樹脂[例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂(ヒドロキシル基を有する前記フルオレン化合物のポリグリシジルエーテルなど)、ビニルエステル系樹脂、フェノール樹脂、ポリオールポリ(メタ)アクリレート(ヒドロキシル基を有する前記フルオレン化合物のポリ(メタ)アクリレート、又は前記フルオレン化合物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体((メタ)アクリル酸ハライドなど)との反応物など)、ウレタン(メタ)アクリレート]など]などが挙げられる。このようなポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂では、ポリオール成分を、前記式(1)で表される化合物で構成することができる。このような樹脂において、ポリオール成分を構成する成分としての前記式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0037】
以下に代表的な樹脂として、前記式(1)で表される化合物を重合成分とするポリエステル樹脂について詳述する。ポリエステル樹脂は、少なくとも前記式(1)で表される化合物のうち、pおよびqがそれぞれ1である化合物(ジオール成分(a)ということがある)で構成されたジオール成分と、ジカルボン酸成分(例えば、後述するジカルボン酸成分など)とを重合成分とする樹脂(ポリエステル樹脂)であってもよい。前記ポリエステル樹脂において、ジオール成分は、ジオール成分(a)と、さらに下記式(2)
HO−R1c−OH (2)
(式中、R1cはアルキレン基を示す。)
で表されるジオール成分とで構成してもよい。前記式(2)において、R1cで表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルキレン基が例示でき、直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基(例えば、エチレン基、テトラメチレン基など)が好ましい。ジオール成分(a)と式(2)で表されるジオール成分との割合(モル比)は、前者/後者=100/0〜10/90程度の範囲から選択でき、通常、100/0〜50/50、好ましくは99/1〜55/45、さらに好ましくは98/2〜60/40程度であってもよい。
【0038】
一方、ジカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸成分であってもよいが、脂環族ジカルボン酸成分又は芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましい。
【0039】
脂環族ジカルボン酸成分としては、シクロアルカンジカルボン酸類(シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸)、多環式アルカンジカルボン酸類(ボルナンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸などのジ又はトリシクロC7−10アルカン−ジカルボン酸)などが例示できる。通常、脂環族ジカルボン酸成分は、C5−10シクロアルカン−ジカルボン酸(特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)である。
【0040】
芳香族ジカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などのC6−14アレーン−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4′−ジカルボン酸などのC12−14ビフェニル−ジカルボン酸などが例示できる。通常、芳香族ジカルボン酸成分は、C6−12アレーン−ジカルボン酸(特に、テレフタル酸)である。
【0041】
前記ジカルボン酸成分は、酸無水物、ジメチルエステルなどの低級C1−4アルキルエステル、ジカルボン酸に対応する酸ハライドなどのエステル形成可能な誘導体であってもよい。また、前記ジカルボン酸成分は、1又は複数の置換基、例えば、前記例示の炭化水素基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などを有していてもよく、ジカルボン酸の種類に応じて適宜選択できる。
【0042】
代表的には、(ii)前記ポリエステル樹脂には、例えば、前記式(1)において、R1a及びR1bがC2−3アルキレン基(特に、エチレン基)であり、m及びnが1であり、R2a及びR2bがアルキル基(例えば、メチル基などのC1−6アルキル基)又はアリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)であり、h1及びh2が0〜2であり、j1及びj2が0であり、pおよびqがそれぞれ1であるジオール成分(a)を少なくとも含むジオール成分と、C5−10シクロアルカン−ジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など)又はC6−14アレーン−ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸など)であるジカルボン酸成分とを重合成分とする樹脂(又は共重合体)などが含まれる。
【0043】
(ゲスト化合物)
ゲスト化合物は、前記ホスト化合物と包接可能である限り、特に制限されない。前記ゲスト化合物には、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジエチルケトンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(例えば、エチルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(例えば、メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、炭化水素類[例えば、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、ナフタレンなどの無置換芳香族炭化水素類、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの置換基(例えば、アルキル基など)を有する芳香族炭化水素類など)、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類など]などが含まれる。これらのゲスト化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。なお、前記ゲスト化合物は、使用(又は反応)条件下(例えば、常温、常圧下)において、通常、液体又は固体(特に液体)である場合が多い。
【0044】
これらのゲスト化合物のうち、親和性の観点から、通常、アルコール類、エーテル類を用いる場合が多い。具体的には、アルコール類は、一価アルコール類及び多価アルコール類に大別され、一価アルコール類としては、例えば、脂肪族アルコール類{例えば、アルカノール類[例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、sec−アミルアルコール、n−ヘキサノールなどの(第1乃至第3級)C1−20アルカノール(好ましくはC1−10アルカノール)など]、芳香脂肪族アルコール類(又はその水添物)[例えば、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコールなどのC7−15芳香脂肪族アルコールなど]などの脂肪族飽和アルコール;脂肪族不飽和アルコール[例えば、アルケノール類(又はアルケンオール)類(例えば、プロペノール(例えば、1−プロペン−3−オール(アリルアルコール)など)、ブテノール(例えば、2−ブテン−1−オール(クロチルアルコール)、1−ブテン−3−オール(メチルビニルアルコール)など)、ペンテノール(例えば、2−ペンテンー1−オール、3−ペンテンー2−オールなど)、ヘキセノール(例えば、trans−2−ヘキセン−1−オール、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)など)などのC3−20アルケノール類)などのC3−20脂肪族不飽和アルコール(例えば、C4−10脂肪族不飽和アルコールなど)など];脂環族アルコール類{例えば、シクロアルカノール類[例えば、シクロヘキサノールなどのC4−10シクロアルカノールなど];ポリシクロアルカノール類(又は多環式脂環族飽和アルコール類)[例えば、ビ乃至テトラシクロアルカノール(例えば、ボルネオール、1−アダマンタノール、2−アダマンタノールなど)などの多環式C8−20脂環族飽和アルコール(例えば、多環式C8−15脂環族飽和アルコールなど)など]などの脂環族飽和アルコール;脂環族不飽和アルコール[例えば、シクロアルケノール類(例えば、シクロペンテン−4−オール、シクロヘキセン−4−オール、シクロヘキセン−3−オールなどのC5−10シクロアルケノール類)、多環式脂環族不飽和アルコール類(例えば、5−ノルボルネン−2−オールなど)などのC5−10脂環族不飽和アルコールなど]などが挙げられる。また、一価アルコール類には、芳香族性ヒドロキシル基を有する化合物、例えば、芳香族アルコール類(又はフェノール類)[例えば、フェノール、クレゾール、ナフトールなど]なども含む。
【0045】
多価アルコール類としては、例えば、前記例示の1価アルコール類に対応する(又は1又は複数の水素原子が、さらにヒドロキシル基に置換された)アルコール類{例えば、脂肪族アルコール類[例えば、アルカンポリオール類(例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのアルカンジ乃至テトラオールなど)など];脂環族アルコール類[例えば、シクロアルカンポリオール類(例えば、シクロヘキサンジオール(1,4−シクロヘキサンジオールなど)などのシクロアルカンジオールなど)など];芳香族アルコール類[例えば、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなど]などが挙げられる。これらのアルコール類は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
【0046】
また、エーテル類は、鎖状エーテル類と環状エーテル類に大別され、鎖状エーテル類としては、例えば、エーテル基に結合している2つの炭化水素基のうち、少なくとも1つが第3級炭化水素基であるエーテル類[例えば、ジt−ブチルエーテル、ジフェニルエーテルなどの対称(又は単一)エーテル類、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、t−ブチルイソプロピルエーテル、アニソール、フェネトールなどの非対称(又は混成)エーテル類など];第2級炭化水素基と第2級炭化水素基とで構成されるエーテル類(例えば、ジイソプロピルエーテルなどの対称エーテル類、イソブチルイソプロピルエーテルなどの非対称エーテル類など);第2級炭化水素基と第1級炭化水素基とで構成されるエーテル類(例えば、イソプロピルメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、sec−ブチルエチルエーテルなど);第1級炭化水素基と第1級炭化水素基とで構成されるエーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテルなどの対称エーテル類、メチルエチルエーテルなどの非対称エーテル類など)などが挙げられる。また環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらのエーテル類は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
【0047】
なお、本発明では、前記ホスト化合物が、ゲスト化合物の種類に応じて包接様式を変えるためか、例えば、前記例示の脂肪族飽和アルコール(例えば、ベンジルアルコールなどのC7−15芳香脂肪族アルコールなど)、脂肪族不飽和アルコール[例えば、ヘキセノールなどのC3−20脂肪族不飽和アルコール(例えば、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)など)など]、脂環族飽和アルコール(例えば、1−アダマンタノールなどの多環式C8−20脂環族飽和アルコールなど)、少なくとも第3級炭化水素基を有するエーテル類[例えば、第3級C4−6アルキル−C1−4アルキルエーテル(例えば、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテルなど)などの少なくとも第3級炭化水素基を有する非対称エーテル類など]などであっても有効に包接化合物を形成できる。
【0048】
さらに、本発明では、常温、常圧下において、固体であるゲスト化合物であっても有効に包接化合物を形成できる。このようなゲスト化合物の融点は、例えば、30〜350℃(例えば、40〜350℃)、好ましくは50〜340℃(例えば、60〜340℃)、さらに好ましくは70〜330℃(例えば、80〜330℃)、特に100〜300℃(例えば、150〜300℃)程度であってもよい。このようなゲスト化合物には、例えば、n−ヘキサデシルアルコールなどのC14−20脂肪族飽和アルコール類、1−アダマンタノール、2−アダマンタノールなどの多環式C8−20脂環族飽和アルコール類などが含まれる。
【0049】
本発明の包接化合物において、ホスト化合物とゲスト化合物とが、1次元的に包接していてもよく、1又は複数種のホスト化合物が、網目状(又は格子状)などの2次元以上の構造を形成したホスト種とゲスト化合物とが、包接していてもよい。
【0050】
なお、本発明において、前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物とが包接化合物を形成しているか否かは、例えば、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)分析、X線解析、NMR(13C−NMR)分析などを利用して判断してもよい。前記TG−DTA分析では、測定サンプルを一定の割合で昇温した際の重量変化と、それに伴う吸熱・発熱反応を測定でき、重量変化と吸熱(又は発熱)反応とが同時に観測された時点で、ゲスト化合物が放出されたと判断してもよい。例えば、ホスト化合物が、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(9,9−ビスクレゾールフルオレン;BCF)であり、ゲスト化合物がエタノールである包接化合物のTG−DTAチャートを図1に、BCFのTG−DTAチャートを図2に示す。図1及び図2から明らかなように、約70℃で、重量の減少及び吸熱ピークが観測され、前記温度付近でエタノールが放出されていると判断してもよい。なお、エタノールは、分子間水素結合しており、その沸点は、約80℃であるが、BCFとエタノールとが包接化合物を形成し、エタノールの分子間水素結合が阻害(又は抑制)されることにより、沸点より低温度でエタノールが放出されていると見ることができる。
【0051】
また、前記包接化合物において、前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物との包接比も前記TG−DTA分析(例えば、測定される重量減少量データなど)などを利用して測定できる。具体的には、前記包接化合物において、前記ゲスト化合物は、前記ホスト化合物1モルに対し、0.5〜2.5モル当量、好ましくは0.8〜2.3モル当量、さらに好ましくは0.85〜2.2モル当量、特に、0.9〜2.1モル当量(例えば、0.95〜2.05モル当量)程度の割合で包接(又は付加)されていてもよい。すなわち、前記包接化合物の包接比は、0.5〜2.5、好ましくは0.8〜2.3、さらに好ましくは0.85〜2.2、特に、0.9〜2.1(例えば、0.95〜2.05)程度であってもよい。
【0052】
[包接化合物の製造方法]
本発明の包接化合物は、前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物とを混合して製造することができる。詳細には、前記包接化合物は、前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物とを混合することにより、結晶を析出させて(又は晶析により)製造することができる。前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物とを混合する方法は特に制限されず、撹拌手段(例えば、スターラー、撹拌棒などを用いる撹拌、振とうによる撹拌など)を利用して混合してもよく、慣用の混合機(例えば、慣用のタンブラー、ミキサーなど)を用いて混合してもよい。
【0053】
ゲスト化合物の使用量は、ホスト化合物1重量部に対し、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは0.25〜8重量部(例えば、0.3〜5重量部)、さらに好ましくは0.35〜3重量部程度であってもよい。
【0054】
なお、本発明では、前記包接化合物を晶析により製造でき、通常、液相で製造する場合が多い。すなわち、前記ホスト化合物と前記ゲスト化合物とは、溶媒の非存在下で混合してもよいが、通常、溶媒の存在下で混合する場合が多い。
【0055】
前記溶媒としては、前記ホスト化合物を溶解(又は分散)させるため、少なくとも前記ホスト化合物と親和性の高い溶媒が使用できる。前記溶媒は、例えば、疎水性溶媒、例えば、シクロプロパノール、シクロへキサノールなどのシクロC3−10アルカノール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル(鎖状エステル)類;炭化水素類(例えば、前記例示の炭化水素類など)、フェノール類などであってもよい。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて混合溶媒としてもよい。前記溶媒は、前記ホスト化合物及び/又はゲスト化合物の種類に応じて適宜選択できる。なお、前記ゲスト化合物が、使用(又は反応)条件下(例えば、常温、常圧下)において、液体である場合、多量使用(又は添加)することにより、前記ゲスト化合物を溶媒としても用いることができる。具体的には、本発明では、例えば、ゲスト化合物として大量のメチルエチルケトンを用いた場合、溶媒としてのメチルエチルケトンの存在下、前記ホスト化合物と、ゲスト化合物としてのメチルエチルケトンとの包接化合物を製造できる。すなわち、前記ゲスト化合物を、溶媒と兼用してもよい。
【0056】
具体的には、前記ゲスト化合物が、使用(又は反応)条件下において、固体である場合、前記ホスト化合物及びゲスト化合物を溶媒に混合し、溶解させてもよい。一方、前記ゲスト化合物が、使用(又は反応)条件(例えば、常温、常圧)下において、液体である場合、前記ホスト化合物を、ゲスト化合物及び溶媒に混合し、溶解させてもよく、単に、前記ホスト化合物を、ゲスト化合物に混合し、溶解させてもよい。
【0057】
前記溶媒の使用量は、前記ゲスト化合物1重量部に対し、例えば、0〜10重量部、好ましくは0.05〜7重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部程度であってもよい。また、前記ゲスト化合物と溶媒との合計の使用量は、前記ホスト化合物1重量部に対し、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜75重量部、さらに好ましくは1〜50重量部程度であってもよい。
【0058】
なお、前記ホスト化合物とゲスト化合物、必要に応じて溶媒とを混合し、溶解させる工程において、前記ホスト化合物及びゲスト化合物の溶解性(又は混和性)を高めるため、加熱して溶解させてもよい。加熱温度は、前記ゲスト化合物の沸点をT℃としたとき、(T−30)〜(T−2)℃、好ましくは(T−25)〜(T−3)℃、さらに好ましくは(T−20)〜(T−5)℃程度であってもよい。
【0059】
このように、前記ホスト化合物とゲスト化合物、必要に応じて溶媒とを混合し、溶解させた混合溶液を、適当な温度(例えば、−10℃〜30℃、好ましくは0〜30℃程度)まで放冷(又は冷却)することにより結晶を析出(又は晶析)させることができる。析出した結晶(又は粗包接化合物)は、ろ過などにより回収され、必要に応じて洗浄した後、乾燥(例えば、自然乾燥、減圧乾燥など)することにより、高純度の結晶(又は包接化合物)を製造することができる。
【0060】
なお、得られた高純度の結晶(又は包接化合物)は、目的に応じ、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により、さらに純度を高めてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明では、前記ホスト化合物が、ゲスト化合物の種類に応じて、包接様式を変化させるためか、広汎なゲスト化合物と包接化合物を形成できる。そのため、本発明の包接化合物は種々の用途に利用できる。
【0062】
例えば、前記包接化合物において、ゲスト化合物の放出温度は、前記ゲスト化合物の沸点と異なり、前記ゲスト化合物は、その沸点より高い温度で放出(又は気化)される場合が多いが、中には、沸点より低い温度で放出される場合がある(実施例5参照)。そのため、本発明の包接化合物は、ゲスト化合物の揮散(又は揮発)の程度を調整する除放性材料として用いることができる。特に、低沸点のゲスト化合物の揮散(又は揮発)を抑制する除放抑制材料、高沸点のゲスト化合物の揮散(又は揮発)を促進する除放促進材料として有用である。なお、前記の通り、ゲスト化合物の放出温度は、その沸点より高い場合が多い。そのため、常温(又は常圧)下において気体であるゲスト化合物であっても、雰囲気下の圧力(又は温度)を調整して液体(又は固体)に状態変化させた後、包接化合物を形成することにより、前記ゲスト化合物は、包接化合物として、安定に保持(又は蓄積)される。従って、前記包接化合物は、気体蓄積材料としても有用である。
【0063】
また、前記包接化合物では、表1から明らかなように、ゲスト化合物は、特定の温度で急激に放出されるため、温度感応型材料として用いることができる。具体的には、ある化学反応において、原料(又は触媒)となる化合物を、ゲスト化合物として用いて包接化合物を形成する。得られる包接化合物は、前記ゲスト化合物が放出される特定の温度下におくことにより、反応系に前記原料(又は触媒)が一気に放出されるため、反応開始材料(又は反応促進材料)として用いることができる。
【0064】
さらに、前記包接化合物は、分離材料としても有用である。すなわち、前記ホスト化合物が、包接化合物を形成可能であるか否かを利用すると、分離困難な化合物(例えば、沸点が同程度の化合物)であっても、容易に分離できる場合がある。また、通常、ハロゲン含有溶媒には、安定剤として、少量のアルコール類が含まれている。しかし、反応の種類によっては、前記アルコール類が反応を阻害するため、アルコール類を除去することが望まれる場合がある。本発明では、ホスト化合物を前記ハロゲン含有溶媒に適用することにより、前記ホスト化合物が、ハロゲン含有溶媒中に含まれるアルコール類と包接化合物を形成し、結晶として析出するため、ハロゲン含有溶媒中のアルコール類を有効に除去できる。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例及び参考例における各評価方法及び成分の略号は以下の通りである。
【0066】
[評価方法]
(TG−DTA分析及びゲスト化合物の放出温度)
TG−DTA分析及びゲスト化合物の放出温度は、示差熱熱重量同時測定装置「RIGAKU製、TG8120」を用いて行った。測定サンプル(10mg)を、窒素ガスを200mL/分の割合で通流している前記装置にセットし、温度を室温から500℃まで10℃/分の割合で昇温した。なお、ホスト化合物としてビスフェノールAを用いる比較例1では、温度は室温から400℃まで昇温した。
【0067】
(X線解析)
X線解析は、単結晶自動X線構造解析装置(RIGAKU製、X線源:CuKα、測定温度193K)を用いて行った。
【0068】
13C−NMR)
13C−NMRは、JEOL製、「JNM−GSX270 FT−NMR SYSTEM」を用い、溶媒としてCDClを用いて行った。
【0069】
[略号]
BCF:9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪瓦斯(株)製、ビスクレゾールフルオレン(融点218−219℃))。
【0070】
(実施例1)
1atm、25℃の条件下、ホスト化合物としてのBCF1.2g(3ミリモル)と、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)1g(10ミリモル)とを混合し、90℃に加熱して溶解した。室温で一晩放置し、結晶を析出させた。得られた結晶をろ過により単離し、室温で自然乾燥した後、TG−DTA分析を行い、包接化合物が形成されているか確認した。得られた結晶のTG−DTA分析の結果を図3に、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)のTG−DTA分析の結果を図4に示す。図2乃至図4において、図3では、約94℃で重量の減少及び吸熱ピークが観測され、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)が揮発している点、図4では、cis−3−ヘキセン−1−オール単独では約104℃で揮発している点からcis−3−ヘキセン−1−オールが包接されていることが確認できた。また、TG−DTA分析から見積もられる包接比は、1.06であった。
【0071】
(実施例2)
ホスト化合物としてのBCF1.9g(5ミリモル)と、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)1g(10ミリモル)と、溶媒としてのジクロロエタン(DCE)7mLを混合し、80℃に加熱して溶解する以外は実施例1と同様に結晶を析出させた。得られた結晶をろ過により単離し、室温で自然乾燥した後、TG−DTA分析を行い、包接化合物が形成されているか確認した。得られた結晶のTG−DTA分析の結果を図5に示す。図2及び図4との比較から明らかなように、図5では、約92℃で重量の減少及び吸熱ピークが観測され、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)が揮発している点、図4では、cis−3−ヘキセン−1−オール単独では約104℃で揮発している点からcis−3−ヘキセン−1−オールが包接されていることが確認できた。また、TG−DTA分析から見積もられる包接比は、1.07であった。
【0072】
(実施例3)
ホスト化合物としてのBCF0.37g(1ミリモル)と、1−アダマンタノール0.3g(2ミリモル)と、溶媒としてのジクロロエタン1mLを混合し、90℃に加熱して溶解する以外は実施例1と同様に結晶を析出させた。得られた結晶をろ過により単離し、室温で自然乾燥した後、TG−DTA分析を行い、包接化合物が形成されているか確認した。得られた結晶のTG−DTA分析の結果を図6に、1−アダマンタノールのTG−DTA分析の結果を図7に示す。図2、図6及び図7との比較から明らかなように、図6では、約133℃で重量の減少及び吸熱ピークが観測され、1−アダマンタノールが揮発している点、図7では、1−アダマンタノール単独では約90、182℃で揮発している点から1−アダマンタノールが包接されていることが確認できた。また、TG−DTA分析から見積もられる包接比は、1.14であった。
【0073】
(実施例4)
ホスト化合物としてのBCF4g(10ミリモル)と、酢酸イソアミル3g(23ミリモル)を混合し、90℃に加熱して溶解する以外は実施例1と同様に結晶を析出させた。得られた結晶をろ過により単離し、室温で自然乾燥した後、TG−DTA分析を行い、包接化合物が形成されているか確認した。得られた結晶のTG−DTA分析の結果を図8に、酢酸イソアミルのTG−DTA分析の結果を図9に示す。図2、図8及び図9との比較から明らかなように、図8では、約83、98℃で重量の減少及び吸熱ピークが観測され、酢酸イソアミルが揮発している点、図9では、酢酸イソアミル単独では約91℃で揮発している点から酢酸イソアミルが包接されていることが確認できた。また、TG−DTA分析から見積もられる包接比は、0.99であった。
【0074】
(実施例5及び比較例1)
1atm、25℃の条件下、ホスト化合物としてのBCF5g(12.5ミリモル)と、表1に示す種々のゲスト化合物5gとを混合し、加熱して完全に溶解させた。室温で一晩放置し、結晶を析出させた。得られた結晶をろ過により単離し、室温で24時間減圧乾燥した後、TG−DTA分析を行い、包接化合物が形成されているか確認したところ(TG−DTA分析チャートは図示せず)、重量の減少及び吸熱ピークが同時に観測され、表1に示す種々のゲスト化合物が包接されていることが確認できた。得られた包接化合物の包接比及びゲスト化合物の放出温度を求めた。結果を表1に示す。
【0075】
また、ゲスト化合物として、アセトン、イソプロパノール及びジイソプロピルエーテルを用いた例では、得られた包接化合物について、X線解析及び13C−NMR解析を行った。X線解析について、BCF−アセトン包接化合物、BCF−イソプロパノール包接化合物及びBCF−ジイソプロピルエーテル包接化合物についてのX線解析チャート図を各々図10、図11及び図12に示すとともに、X線解析から見積もられる格子定数、格子角を表2に示す。さらに、BCF−アセトン包接化合物、BCF−イソプロパノール包接化合物及びBCF−ジイソプロピルエーテル包接化合物の13C−NMR解析から得られたケミカルシフト値を表3に示す。なお、13C−NMR解析において、炭素の位数を以下に示す。
【0076】
【化3】

【0077】
なお、比較例1では、ホスト化合物としてビスフェノールA5gを用いる以外は、実施例5と同様に結晶を析出させ、得られた結晶について解析した。比較例1では、TG−DTA分析において、重量の減少が見られず、包接化合物を形成していなかった。
【0078】
【表1】

【0079】
表1から明らかなように、本発明のホスト化合物は、広汎なゲスト化合物と包接化合物を形成した。また、ゲスト化合物の放出温度は、その沸点と異なり、その沸点より高い温度で放出(又は気化)される場合が多かった。なお、ゲスト化合物が、メチルイソブチルケトン、エタノール、ブタノールである場合、ゲスト化合物同士の分子間力が包接により弱まるためか、沸点より低い温度で放出された。このような結果から、本発明の包接化合物は、除放性材料としての有用性が示唆された。
【0080】
【表2】

【0081】
表2及び図10〜12から明らかなように、BCFの包接様式は、ゲスト化合物の種類に応じて異なっていた。また、ゲスト化合物がアセトンであるとき、BCF同士が水素結合せず、BCFに含まれる2つのフェノール性ヒドロキシル基のうち、両方のフェノール性ヒドロキシル基がゲスト化合物と包接していた。一方、ゲスト化合物がイソプロパノール及びジイソプロピルエーテルであるとき、BCF同士の水素結合が見られ、BCFに含まれる2つのフェノール性ヒドロキシル基のうち、一方のフェノール性ヒドロキシル基がゲスト化合物と包接し、他方のフェノール性ヒドロキシル基は、別のBCFと包接(又はBCF同士が水素結合)していた。
【0082】
【表3】

【0083】
表3から明らかなように、BCFの各炭素の吸収位置(ケミカルシフト値)は、包接により変化した。例えば、フェノール性炭素(1’−位の炭素)では、約1ppm低磁場側にシフトした。
【0084】
(参考例1)
ホスト化合物としての9,9−ビス(4−メトキシフェニル)フルオレン(BANF)1gに種々のゲスト化合物(アセトン、イソプロピルパノール(IPA)及びジイソプロピルエーテル(DIPE))を5g加え、加熱して溶解した。室温で一晩放置し、結晶を析出させた。得られた結晶をろ過により単離し、室温で48時間減圧乾燥した後、得られた結晶について解析した。得られた結晶についてTG−DTA分析を行い、包接化合物が形成されているか確認した。得られた結晶のTG−DTA分析の結果を、ゲスト化合物が、アセトン、イソプロピルパノール及びジイソプロピルエーテルであるチャート図を、各々図13、図14及び図15に、BANFのTG−DTA分析の結果を図16に示す。参考例1では、TG−DTA分析において、重量の減少が見られず、包接化合物を形成していなかった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の9,9−ビスクレゾールフルオレン(BCF)−エタノール包接化合物のTG−DTAチャート図を示す。
【図2】図2は、BCFのTG−DTAチャート図を示す。
【図3】図3は、実施例1で得られたBCF−cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)包接化合物のTG−DTAチャート図を示す。
【図4】図4は、cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)のTG−DTAチャート図を示す。
【図5】図5は、実施例2で得られたBCF−cis−3−ヘキセン−1−オール(青葉アルコール)包接化合物のTG−DTAチャート図を示す。
【図6】図6は、実施例3で得られたBCF−1−アダマンタノール包接化合物のTG−DTAチャート図を示す。
【図7】図7は、1−アダマンタノールのTG−DTAチャート図を示す。
【図8】図8は、実施例4で得られたBCF−酢酸イソアミル包接化合物のTG−DTAチャート図を示す。
【図9】図9は、酢酸イソアミルのTG−DTAチャート図を示す。
【図10】図10は、実施例5で得られたBCF−アセトン包接化合物のX線解析図である。
【図11】図11は、実施例5で得られたBCF−イソプロパノール包接化合物のX線解析図である。
【図12】図12は、実施例5で得られたBCF−ジイソプロピルエーテル包接化合物のX線解析図である。
【図13】図13は、参考例1で得られた結晶(ゲスト化合物がアセトン)のTG−DTAチャート図を示す。
【図14】図14は、参考例1で得られた結晶(ゲスト化合物がイソプロパノール)のTG−DTAチャート図を示す。
【図15】図15は、参考例1で得られた結晶(ゲスト化合物がジイソプロピルエーテル)のTG−DTAチャート図を示す。
【図16】図16は、BANFのTG−DTAチャート図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物をホスト化合物とする包接化合物。
【請求項2】
ホスト化合物が、下記式(1)
【化1】

(式中、Z及びZは同一又は異なって芳香族炭化水素環を示す。R1a及びR1bは同一又は異なってアルキレン基を示し、R2a及びR2bは同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、R3a及びR3bは同一又は異なって炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示す。m及びnは同一又は異なって0又は1以上の整数であり、p及びqは同一又は異なって1以上の整数である。h1及びh2は同一又は異なって0〜4の整数であり、j1及びj2は同一又は異なって0〜4の整数である)
で表される化合物である請求項1記載の包接化合物。
【請求項3】
前記式(1)において、m及びnが0であり、p及びqが1である請求項2記載の包接化合物。
【請求項4】
ホスト化合物が、少なくとも前記式(1)で表される化合物を重合成分とする樹脂である請求項2又は3記載の包接化合物。
【請求項5】
ホスト化合物が、少なくとも前記式(1)で表されるジオール成分と、ジカルボン酸成分とを重合成分とする樹脂である請求項2〜4のいずれかに記載の包接化合物。
【請求項6】
ホスト化合物と包接化合物を形成するゲスト化合物が、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、ニトリル類又は炭化水素類である請求項1〜5のいずれかに記載の包接化合物。
【請求項7】
ゲスト化合物が、芳香脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環族飽和アルコール又は少なくとも第三級炭化水素基を有するエーテルである請求項6記載の包接化合物。
【請求項8】
ホスト化合物が、前記式(1)において、Z及びZがベンゼン環であり、R2a及びR2bが炭化水素基であり、m及びnが0であり、p及びqが1であり、h1及びh2が0又は1である化合物であり、ゲスト化合物が、C7−15芳香脂肪族アルコール、C3−20脂肪族不飽和アルコール又は多環式C8−20脂環族飽和アルコールである請求項1〜7のいずれかに記載の包接化合物。
【請求項9】
ホスト化合物1モルに対し、ゲスト化合物を1〜2モルの割合で含む請求項1〜8のいずれかに記載の包接化合物。
【請求項10】
除放性材料、温度感応型材料、気体蓄積材料又は分離材料として用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の包接化合物。
【請求項11】
9,9−ビスアリールフルオレン骨格を少なくとも含有するフルオレン含有化合物であるホスト化合物とゲスト化合物とを混合して請求項1〜10のいずれかに記載の包接化合物を製造する方法。
【請求項12】
溶媒の存在下、加熱下でホスト化合物とゲスト化合物とを混合する請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−234998(P2009−234998A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84058(P2008−84058)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】