説明

フルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートおよびカルバメートの調製方法

リチウムイオンバッテリーにおける添加剤もしくは溶剤として好適であるフルオロアルキルアルキルカーボネートおよびフルオロ置換カルバメートは、フルオロギ酸フルオロアルキル、ならびに、アルコールまたはアミンのそれぞれから調製される。メタノールが好ましいアルコールであり、ジメチルアミンおよびジエチルアミンが好ましいアミンである。フルオロメチルメチルカーボネートが、生成されるべき好ましい化合物である。フルオロギ酸フルオロアルキルは、アルデヒドおよびカルボニルフッ化物から調製することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
その全内容が参照により本明細書において援用されている、2009年7月16日に出願の欧州特許出願第09165665.2号明細書の利益を主張する本発明は、フルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネート(すなわち、フルオロアルキルアルキルカーボネートおよびフルオロアルキルフルオロアルキルカーボネート−括弧中の用語は任意のフッ素置換を示す)、特に、フルオロメチルメチルカーボネート、および、フルオロアルキルカルバメートの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロメチルメチルカーボネートは、リチウムイオンバッテリー用の公知の溶剤添加剤である。これは、(特許文献1)に記載されているとおりジメチルカーボネートと元素フッ素との反応により、または、電解フッ素化により((特許文献2)を参照のこと)調製することが可能である。二フッ化生成物(ジフルオロメチルメチルカーボネートおよびビス−フルオロメチルカーボネート)およびより高級のフッ素化生成物は収率を低減させてしまい、分離プロセスが必要となる。
【0003】
(特許文献3)に記載されている部分フッ素化カルバメートは、高い熱安定性、高い引火点、低い蒸気圧、高い沸点、および、他の有利な特性を有しており、これにより、リチウムイオンバッテリー用の溶剤として、または、リチウムイオンバッテリー用の溶剤添加剤として好適とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−010491号公報
【特許文献2】特開2006−001843号公報
【特許文献3】米国特許第6,159,640号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一フッ化フルオロアルキルアルキルカーボネートおよびモノフルオロアルキルフルオロアルキルカーボネート、すなわち、フルオロアルキルアルキルカーボネート、および、特にフルオロメチルメチルカーボネートの選択的な製造、ならびに、部分フッ素化カルバメートの選択的な製造を達成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による方法は、一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造、および、一般式(VI)RN−C(O)OCHRFのカルバメートの製造を提供し、
ここで、一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH(CH)=CH、C(CH=CH、CH=CHX(式中、XはCH、Cである)、または、Hを示し、および、R’は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;少なくとも1個のフッ素原子で置換されている2〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;フェニル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニルまたは1個以上の塩素もしくはフッ素原子で置換されているフェニル;またはベンジルを示す)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造方法は、
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(III)R’OHのアルコールとを反応させるステップ(式中、RおよびR’は上記の意味を有する)を含むか、または
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(III)R’OHのアルコール(式中、R’は上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、その後の塩素−フッ素交換を含み、
または、一般式(VI)RN−C(O)OCHRF(式中、RおよびRは、互いに独立して、同一であるかもしくは異なり、直鎖C1〜C3アルキル、分岐C3アルキルであり、ここで、任意選択により場合によっては、RおよびR基中の1個以上の水素原子はフッ素原子により置換されており、および、式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH(CH)=CH、C(CH=CH、または、CH=CHX(式中、XはCHまたはC基である)を示す)のカルバメートの製造方法が、式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(VII)RNHのアミン(式中、RおよびRは上記の意味を有する)とを反応させるステップを含むか、または
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(VII)RNHのアミン(式中、RおよびRは上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、その後の塩素−フッ素交換を含む。
【0007】
式(VII)のアミンの代わりに、シリル置換アミン、特に、式(IX)RNSiAlkのアミンを適用することが可能であり、式中、Alk基は、同一または異なっていると共に、メチル、エチルおよびプロピルからなる群から選択されるアルキルを示す。フルオロホルメート(fluoroformate)とアミンとの反応は、例えば、トリメチルアミンまたはトリエチルアミンのような第三級アミンの存在下といった酸掃去剤の存在下に実施することが可能である。
【0008】
好ましくは、本発明に記載の方法は、一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示し、および、R’は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;少なくとも1個のフッ素原子で置換されている2〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;フェニル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニルまたは1個以上の塩素もしくはフッ素原子で置換されているフェニル;または、ベンジルを示す)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造であって、
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(III)R’OHのアルコールとを反応させるステップ(式中、RおよびR’は上記の意味を有する)を含むか、または
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(III)R’OHのアルコール(式中、R’は上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、その後の塩素−フッ素交換を含む製造方法を提供する。
【0009】
本発明の特に好ましい実施形態は、一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造、および、一般式(VI)RN−C(O)OCHRFのカルバメートの製造を提供し、
ここで、一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH(CH)=CH、C(CH=CH、CH=CHX(式中、XはCH、Cである)、または、Hを示し、および、R’は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;少なくとも1個のフッ素原子で置換されている2〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;フェニル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニルまたは1個以上の塩素もしくはフッ素原子で置換されているフェニル;または、ベンジルを示す)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造方法は、
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(III)R’OHのアルコールとを反応させるステップ(式中、RおよびR’は上記の意味を有する)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「(フルオロ)アルキル」という用語は、構造CH(CH)=CH、C(CH=CH、CH=CHX(式中、Xは単結合、CH、または、Cである)の群を含むアルキル基を示し、および、少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。従って、本発明は、一フッ化置換フルオロアルキルアルキルカーボネートおよびフルオロアルキルフルオロアルキルカーボネートの製造を提供し、ここで、一個のフルオロアルキル基が一置換されており、および、他のフルオロアルキル基は1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい。フルオロアルキルフルオロアルキルカーボネートにおいて、フルオロアルキル基は同一であっても異なっていてもよく;フルオロアルキル基の少なくとも1個が一フッ化されている。
【0011】
アルコールの代わりに、または、アルコールに追加して、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、または、セシウムアルコラートの各々といった、各アルカリ金属アルコラートを適用することが可能である。Rが、C1〜C3アルキル、CH=CH−CH、CH(CH)=CH、C(CH=CH、またはHを示し、より好ましくは、C1〜C3アルキル、または、Hを示す炭酸塩を製造することが好ましい。RがHである炭酸塩を製造することが最も好ましい。この好ましい実施形態によれば、フルオロメチル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造方法が提供されており、前記方法は、フルオロギ酸フルオロメチルまたはクロロギ酸フルオロメチルとアルコールとを反応させるステップ、または、代替として、クロロギ酸クロロメトキシとアルコールとを反応させるステップ、および、その後の塩素フッ素交換の実施を含む。式FCH−O−C(O)Fを有するフルオロギ酸フルオロメチルを用いることが特に好ましい。
【0012】
ここに、本発明を、好ましい選択、すなわち、フルオロギ酸フルオロメチルおよびアルコールからのフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの調製を考慮して詳細に説明する;また、この実施形態においては、アルコールは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムアルコラートといったアルカリ金属アルコラートの各々によって部分的にまたは完全に置換されていることが可能である。アルコールは、C1〜C5アルコール;少なくとも1個のフッ素原子により置換されているC2〜C5アルコール;アリルアルコール;クロチルアルコール;プレニルアルコール;フェノール、もしくは、1個以上のC1〜C3アルキル基で置換されているフェノール;またはベンジルを示すことが好ましい。好ましくは、R’は、直鎖もしくは分岐鎖C1〜C5アルキル基であり、それ故、アルコールはC1〜C5アルカノールであり、より好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、i−ブタノール、2−メチルプロパノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、または、2,2,2−トリフルオロエタノールである。トリフルオロエタノールが適用される場合、例えば、フルオロメトキシ−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)カーボネートまたは(1−フルオロエチル)−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)カーボネートといった両方のアルコキシ基にフッ素置換基を有する炭酸塩を生成することが可能である。アルコールがメタノール、エタノール、アリルアルコール、n−プロパノールおよびi−プロパノールであることが特に好ましい。最も好ましいアルコールはメタノールである。
【0013】
所望の場合には、アルコールの混合物を所望のモル比で適用することが可能である。例えば、メタノールとエタノールとの混合物を1:1のモル比で適用することが可能である。この場合、メチルカーボネートおよびエチルカーボネートの混合物がそれぞれおよそ1:1のモル比で得られる。
【0014】
アルコーリシス反応は、例えばLiF、NaF、KFあるいはCsFといったHF掃去剤の存在下に、または、例えばアンモニア、もしくは、第1級、第2級あるいは第3級アミン(例えばトリエチルアミンまたはピリジン)の存在下といった塩基の存在下に実施することが可能である。塩基の不在下で実施されることが好ましい。
【0015】
アルコールとギ酸塩のモル比は、0.9:1以上であることが好ましい。この比は5:1以下であることが好ましい。アルコールとギ酸塩との比が0.95:1〜1.2:1の範囲内である場合にきわめて良好な結果が達成される。
【0016】
アルコーリシス反応中の反応温度は重要ではない。度々、この反応は発熱性であり、それ故、特にアルカリ金属アルコラートが適用される場合、反応混合物を冷却することも賢明であり得る。アルコーリシスの最中の温度は、−80℃以上、より好ましくは、−78℃以上であることが好ましい。より高い温度は、圧力、および、例えばアルコールの沸点といった出発材料の沸点に依存していることが可能である。度々、この温度は、85℃以下である。
【0017】
この反応は、例えばオートクレーブといった任意の好適な反応器で実施されることが可能である。
【0018】
この反応は、バッチ式または連続式で実施されることが可能である。
【0019】
得られる反応混合物は、例えば蒸留、析出および/または結晶化といった公知の方法によって分離されることが可能である。所望の場合には、反応混合物は、水に接触させられて水溶性成分が除去されることが可能である。フッ素化度の高い有機炭酸塩は、特定のタイプの反応により、形成されるとしても、きわめて微量な割合でのみ形成される。
【0020】
他の選択によれば、一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’(式中、RおよびR’は上記の意味を有する)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートは、
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(III)R’OHのアルコール(式中、R’は上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、その後の塩素−フッ素交換
を含む方法で調製される。
【0021】
それ故、第1のステップにおいては、式(V)ClCHR−OC(O)−OR’の中間体炭酸塩が生成される。この式(V)において、RおよびR’は上記の意味を有する。次いで、この中間体炭酸塩が、塩素原子についてフッ素原子で置換することが可能である反応体と反応される。この反応は、「Halex」反応として知られている。塩素−フッ素交換を実施するための好適な反応体は一般に公知である。アルカリまたはアルカリ土類金属フッ化物、アンモニウムフッ化物、式(IX)N(RF(式中、置換基Rは、同一であるかまたは異なり、および、HまたはC1〜C5基を示すが、ただし、置換基Rの少なくとも1個はC1〜C5アルキル基である)のアミンフッ化水素酸塩が、このような反応体として特に好適である。また、例えば、ピリジニウムフッ化水素酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、および、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンといった複素環系の一部が窒素原子であるアミンフッ化水素酸塩が好適である。フッ化物の代わりに、または、これらに追加して、例えばCsF・HFといったフッ化水素酸塩付加物をHalex反応に用いることが可能である。例えばAgFといった他のフッ化物も反応体として同様に好適である。Halex反応は、例えばニトリルの存在下といった、溶剤の存在下、または、不在下に実施可能である。度々、反応は、例えば50℃以上の温度といった高温で実施される。
【0022】
塩化物塩、および、おそらくはフッ素化反応体の過剰量のフッ化物塩、および、フッ素化カーボネート、および、おそらくは未反応出発材料を含む反応混合物の後処理は、公知の様式で実施される。例えば、固形分はろ過により除去され、および、液体相は任意の溶剤の除去の後に分割蒸留または析出に供される。
【0023】
本発明の方法によって生成されるフッ素化有機炭酸塩は、リチウムイオンバッテリー用の添加剤または溶剤として有用である。これらは、粘度の変性、引火性の低減、および、有益なフィルムの形成下で電極を変性すると見られるなどの利点を提供する。
【0024】
カルバメートの製造に好ましいアミンRNHは、R1およびR2が同一であるかまたは異なり、メチル、エチル、n−プロピルおよびi−プロピルに対応するものである。カルバメートの製造に関して、アミンとギ酸塩とのモル比は、0.9:1以上であることが好ましい。アミンが酸掃去剤としても作用する場合、この比は、1.8:1以上であることが好ましい。アミンとギ酸塩との比は5:1以下であることが好ましい。好ましくは、アミンとギ酸塩との比は、0.95:1〜1.2:1であり、または、アミンが塩基として作用する場合には、1.9:1〜2.4:1の範囲内である。反応温度は、0〜50℃の範囲内であることが好ましい。反応混合物の後処理は、公知の様式で実施される。固形分はろ出され、および、カルバメートは、得られた液体粗生成物から蒸留により単離されることが可能である。
【0025】
式(II)FCHROC(O)Fの化合物は、各クロロギ酸クロロアルキルから「Halex」タイプ反応(すなわち、例えばLiF、KF、CsF、NaF、NHFあるいはアミンフッ化水素酸塩、または、それぞれのHF付加物といったアルカリまたはアルカリ土類金属フッ化物のようなフッ素化反応体を例えば用いる、上記に既述されているとおりフッ素化剤による塩素原子に対するフッ素原子での置換)から調製されることが可能である。クロロギ酸クロロアルキル自体は、米国特許第5,712,407号明細書に記載されているとおり、ホスゲンとアルデヒドとの反応を介して入手可能である。式(II)FCHROC(O)Fの中間体化合物を、カルボニルフッ化物およびアルデヒドから生成することが好ましい。それ故、本発明の他の態様は、カルボニルフッ化物と、式RC(O)H(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示す)のアルデヒドとからの式(II)FCHROC(O)Fの中間体化合物の製造方法に関する。好ましくは、RはHを示し;ここで、アルデヒドはホルムアルデヒドである。ホルムアルデヒドは、例えば熱的にクラッキングされて、単量体ホルムアルデヒドを形成しなければならないパラホルムアルデヒドまたはトリオキサンの形態で適用されることが可能である。
【0026】
カルボニルフッ化物とアルデヒドとのモル比は0.9:1以上であることが好ましい。この比は、5:1以下であることが好ましい。
【0027】
好ましくは、カルボニルフッ化物とアルデヒドとのモル比は0.9:1〜5:1の範囲内である。より好ましくは、カルボニルフッ化物とアルデヒドとのモル比は0.9:1〜3:1の範囲内である。
【0028】
カルボニルフッ化物とアルデヒドとの反応は触媒されていることが好ましい。
【0029】
この反応は、例えばFによって触媒されることが可能である。例えば、反応は、そのまま添加されるか、または、少量の水の添加によってインサイチュで調製され得るHFによって触媒されることが可能である。
【0030】
好ましい触媒は、CsFなどの例えばアルカリ土類金属フッ化物もしくはアルカリ金属フッ化物といったフッ化物アニオンを含有するものであるか、または、カルボニルフッ化物およびプレ触媒から形成されたフッ化物イオンを含有する触媒である。好ましいプレ触媒は、ジアルキルホルムアミド、特にジメチルホルムアミドである。ホルムアミドおよびカルボニルフッ化物は、アルデヒドに対して求核性反応を開始する「裸の」フッ化物イオンを形成すると考えられている。次いで、フッ化物イオンおよびアルデヒド分子の形成された付加物の負に荷電された酸素がカルボニルフッ化物分子と反応して、フルオロギ酸フルオロメチル、または、一般に、フルオロギ酸フルオロアルキルを形成する。
【0031】
ピリジン(有利には特に4−ジメチルアミノピリジンといった4−ジアルキルアミノピリジン)もまた、好適なプレ触媒としてみなされる。
【0032】
反応は、例えばオートクレーブ中でバッチで実施されることが好ましい。あるいは、反応は連続的に実施されることが可能である。
【0033】
反応温度は様々であることが可能である。例えば、きわめて効果的な触媒が適用される場合、反応は、周囲温度で実施されてもよい。しかしながら、出発材料としてホルムアルデヒドが用いられる場合、パラホルムアルデヒドまたは1,3,5−トリオキサンのクラッキングによって単量体形態が提供されなければならないことに留意しなければならない。それ故、このような反応は度々低い温度で実施することが可能であるが、それにもかかわらず、クラッキングのために加熱をする必要性がある。
【0034】
出発材料としてホルムアルデヒドが用いられる場合、この反応は、100℃以上の温度で実施されることが好ましい。300℃以下温度で実施されることが好ましい。熱的にクラッキングされてはいけないアルデヒドが出発材料として用いられる場合、反応は、0℃以上、かつ、200℃以下の温度で実施されることが可能である。この反応をこのような高い温度で、および/または、所望の転換が生じるまで十分な時間をかけて実施することが好ましい。
【0035】
反応は、液体相中で、または、超臨界条件下で実施される。圧力は、カルボニルフッ化物の少なくとも一部が液体相中に存在するように選択される。この圧力は反応温度に依存し;反応温度が高いほど反応器中の圧力は高い。反応は、雰囲気圧(約1絶対バール)で実施されることが可能である。例えば、COFを、液体反応混合物または出発材料に浸漬したパイプを通して導入することが可能である。反応は、5バール(絶対)以上の圧力で実施されることが好ましい。反応は、50バール(絶対)以下の圧力で実施されることが好ましい。一例において行われているように反応温度が十分に高い場合、反応器の内容物は超臨界状態にある。反応容器は、所望の場合には、特に窒素といった不活性ガスで加圧されることが可能である。
【0036】
所望の場合には、フルオロギ酸フルオロアルキル、および、特にフルオロギ酸フルオロメチルは、例えば蒸留といった技術分野において公知である方法により反応混合物から単離されることが可能である。形成されたフルオロ置換ギ酸塩は、C(O)F官能基またはFCHO官能基を有する化合物が用いられる任意の目的に適用されることが可能である。例えば、これらは、フッ素化剤として、または、アミノ酸またはペプチドに保護基を導入するために用いられることが可能である。好ましい実施形態において、上記に説明されているとおり、ギ酸塩はアルコールと反応されて炭酸のフルオロメチルアルキルエステルを生成する。
【0037】
好ましい本発明の態様は、2つまたは3つのステップを含む、式(I)FCHROC(O)−OR’(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示し、および、R’は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;少なくとも1個のフッ素原子で置換されている2〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;フェニル;ベンジル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニルまたは1個以上の塩素もしくはフッ素原子で置換されているフェニルを示す)の化合物の製造方法に関する。この方法は、2つの選択に従って実施される。
【0038】
第1の選択は:
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルを、カルボニルフッ化物およびアルデヒドRC(O)H(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示す)から調製するステップ;および
式(II)のフルオロギ酸フルオロアルキルと式(III)R’OHのアルコール(式中、RおよびR’が上記の意味を有する)と反応させるステップ
を含む。
【0039】
アルコールの代わりに、または、アルコールに追加して、例えば、カリウムまたはナトリウムアルコラートの各々といったアルカリ金属アルコラートの各々を添加することが可能である。
【0040】
また、ここでは、基Rは、Hを示し、および、当該アルデヒドがホルムアルデヒドであることが好ましい。ホルムアルデヒドは、単量体ホルムアルデヒドを形成するために例えば熱的にクラッキングされなければならない、パラホルムアルデヒドまたは1,3,5−トリオキサンの形態で適用されることが可能である。
【0041】
本発明のこの2−ステッププロセスの好ましい実施形態は:
フルオロギ酸フルオロメチルを、単離を伴ってまたは伴わずに、カルボニルフッ化物およびホルムアルデヒド、1,3,5−トリオキサンまたはパラホルムアルデヒドから調製するステップ、ならびに、その後、
フルオロギ酸フルオロメチルと、式(III)R’OH(式中、R’は、1〜7個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;CH=CHX(式中、XはCHまたはCである);CH(CH)=CH、C(CH=CH;フェニル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニル、または、1個以上の塩素もしくはフッ素で置換されているフェニルを示すことが好ましい)のアルコールとを反応させるステップ
を含むフルオロメチルアルキルカーボネートの製造を提供する。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、アリルアルコール、n−ブタノールおよびn−ペンタノールからなる群から選択される。特に好ましくは、アルコールは、アリルアルコール、メタノールまたはエタノールであり、ならびに、もっとも好ましくはメタノールである。
【0042】
これらのステップの好ましい実施形態は、特に触媒の好ましい使用に関する上記に既述のものであって、第1のステップにおける特にジメチルホルムアミドといったホルムアミドの好ましいプレ触媒としての使用、第1および第2のステップにおける圧力および温度、第2のステップにおける塩基の任意の使用、それぞれの圧力、反応温度等を用いるものであり;それぞれの反応ステップについて上記に記載されている好ましい実施形態は本発明の2−ステッププロセスにも適用される。
【0043】
他の選択はHalex反応を含むプロセスを含む。
【0044】
この選択において、第1のステップにおいては、塩化カルボニル(ホスゲン)がRC(O)H(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示す)と反応される。次いで、形成された式(IV’)ClCHRC(O)Cl(式中、Rは上記の意味を有する)の中間体クロロギ酸クロロアルキルが、Halex反応に供されて式(I)のギ酸フルオロアルキルが形成され、これが、次いで、上記のとおりアルコールまたはアルコラートと反応されて式(I)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートが生成されるか;または、形成された式(VII)ClCHROC(O)Cl(式中、Rは上記の意味を有する)の中間体クロロギ酸クロロアルキルは、次いで、上記のとおりアルコールまたはアルコラートと反応されて式(V)のクロロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートが生成され、これが、次いで、上記のとおりHalex反応に供されて式(I)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートが生成される。
【0045】
好ましい本発明の他の態様は、式(VI)RN−C(O)−OCHFR(式中、Rは1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルを示し、ならびに、RおよびRは上記の意味を有する)の化合物の製造方法に関する。この方法は、2つの選択に従って実施される。
【0046】
第1の選択は:
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルを、カルボニルフッ化物およびアルデヒドRC(O)H(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示す)から調製するステップ;および
式(II)のフルオロギ酸フルオロアルキルと、式(VIII)RNH(式中、RおよびRは上記の意味を有する)のアミンとを反応させるステップ
を含む。
【0047】
本発明の他の実施形態は、式(V’)ClCHRC(O)OR”(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはHを示し、および、R”は、少なくとも1個のフッ素原子で置換されている1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルを示す)のクロロアルキルフルオロアルキルカーボネート中間体である。好ましくは、式(V’)の化合物において、Rは、CHまたはHを示し、および、R”は、2,2,2−トリフルオロエチルを示し、1−クロロエチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートは除かれる。
【0048】
これらの中間体は、1−クロロギ酸クロロアルキル、およびフッ素化アルコール、または、フッ素化アルコールのアルコラート(例えば、フッ素化アルコールのリチウム、ナトリウム、カリウムあるいはセシウムアルコラート)から調製されることが可能であり;トリフルオロエタノーレートはおそらく不安定である。これらの中間体は、既述のとおり、本発明のフルオロアルキルフルオロアルキルカーボネートを生成するための出発材料として用いられることが可能である。これらはまた、化学合成における中間体として用いられることが可能である。
【0049】
フルオロメチルアルキルカーボネートの調製に関する本発明の方法は、一フッ化生成物の選択的な生成を可能とし;より高級のフッ素化生成物は、形成されたとしても少量でのみ形成される。化合物は、そのままLiイオンバッテリーにおける溶剤として、または、例えば溶剤の粘度を低減させるための添加剤として用いられることが可能である。添加剤としての量は、例えば、0.5〜60重量%の範囲内である。
【0050】
式(I)の化合物の主な応用分野はリチウムイオンバッテリーにおける溶剤または添加剤としての使用であり、この技術分野において塩素は不純物として望ましくないため、塩素化化合物から開始しないことが好ましい。それ故、Halex反応を必要としない反応経路が好ましい。
【0051】
Rが、CH(CH)=CH、C(CH=CH、CH=CHX(式中、XはCH、Cであり、好ましくはCHである)の意味を有する化合物が共重合反応用のモノマーとして好適である。
【0052】
本明細書において参照により援用される任意の特許、特許出願、および、公報の開示が、用語を不明確とし得る程度に本出願の明細書と競合する場合には、本明細書の定めによる。
【0053】
ここで、本発明を実施例においてさらに説明するが、限定的な意図は伴わない。
【実施例】
【0054】
実施例1:フルオロギ酸フルオロメチルの調製
パラホルムアルデヒド(10.2g;340mmol)およびジメチルホルムアミド(1.5g;71mmol)を約500mlの内容積を有するオートクレーブに入れた。オートクレーブを閉じ、真空引きし、および、乾燥窒素で約5バール(絶対)に加圧し、および、再度真空引きした。次いで、カルボニルフッ化物(32g;485mmol)をオートクレーブに入れた。オートクレーブを約230℃に一晩加熱したところ;圧力は約35バール(絶対)に上昇した。次いで、オートクレーブを周囲温度に冷却したところ、圧力は約10バール(絶対)に下降した。オートクレーブの気体の成分を洗浄器を介してパージした。次いで、オートクレーブを窒素でそれぞれ約5バール(絶対)の圧力にまで2回加圧した。
【0055】
所望の場合には、形成したフルオロギ酸フルオロメチルは蒸留により単離することが可能である。
【0056】
実施例2:フルオロメチルメチルカーボネート(「F1DMC」)の調製
実施例1の反応残渣を含有する−10℃に冷却したオートクレーブに、メタノール(10mL;247mmol)を提供する。オートクレーブを閉じ、反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。反応混合物からサンプルをとり、ガスクロマトグラフィ(GC)およびガスクロマトグラフィ/質量分析(GC−MS)により分析した。反応混合物はF1DMCを約25%(GCにおける面積)で含有していた。さらに、メタノールおよびジメトキシメタンが同定された(後者は、おそらく、過剰なメタノールおよびホルムアルデヒドの反応生成物として得られた)。
【0057】
所望の場合には、反応混合物を水で洗浄して水溶性成分を除去することが可能である。例えばMgSOを用いて乾燥させた後、フルオロメチルメチルカーボネートを蒸留により純粋な形態で単離させることが可能である。
【0058】
実施例3:フルオロギ酸フルオロエチルの調製
アセトアルデヒド(12g;272mmol)およびジメチルホルムアミド(200mg;71mmol)を約40mlの内容積を有するオートクレーブに入れた。オートクレーブを閉じ、真空引きし、および、乾燥窒素で約5バール(絶対)に加圧し、および、再度真空引きした。次いで、カルボニルフッ化物(18g;272mmol)を30分間の時間にわたってオートクレーブに入れた。混合物を室温で30分攪拌し、その後、圧力は20バールから0バールに下降した。次いで、オートクレーブを窒素でそれぞれ約5バール(絶対)の圧力にまで2回加圧した。
【0059】
所望の場合には、形成したフルオロギ酸フルオロエチルは蒸留により単離することが可能である。
【0060】
実施例4:フルオロエチルメチルカーボネート(「F1EMC」)の調製
100mLのPFA−フラスコ中に、フルオロギ酸フルオロエチル(24.7g、225mmol)を−78℃に冷却した。メタノール(12mL、310mmol)を15分の時間をかけて添加した。混合物を−78℃で30分間攪拌した。室温に温めた後、反応をさらに16時間攪拌した。得られた混合物を水で洗浄し(3×10ml)、分子ふるい(0.4nm)を加え、および、室温で4時間攪拌した後、すべての固形分をろ過により除去し、および、得られた粗生成物を減圧下(100mbar)での蒸留により精製した。
【0061】
200mbarの圧力で沸点は50℃であった。
収率:19.1g(理論値の70%)。
【0062】
実施例5:フルオロエチルエチルカーボネート(「F1DEC」)の調製
100mLのPFA−フラスコ中に、フルオロギ酸フルオロエチル(27.0g、245mmol)を無水NaF(15g;357mmol)に添加した。混合物を−78℃に冷却した後、エタノール(12mL、310mmol)を15分間かけて添加した。混合物を−78℃で30分間攪拌した。室温に温めた後、反応をさらに16時間攪拌した。5g分子ふるい(0.4nm)の添加、および、室温での4時間の攪拌の後、すべての固形分をろ過により除去し、および、得られた粗生成物を減圧下(100mbar)での蒸留により精製した。
【0063】
実施例6:Halex反応を含むフルオロメチルメチルカーボネートの調製
滴下漏斗を備える100mL一首フラスコ中で、クロロギ酸クロロメチル(10.0g;78mmol)の30mLジエチルエーテル中の溶液を0℃に冷却した。15分間の時間をかけて、メタノール(4mL、100mmol)およびピリジン(7mL、86mmol)の混合物を攪拌した溶液にゆっくりと添加し、0℃で2時間保持した。得られた白色の沈殿物をろ過により除去し、得られた溶液を、フッ化カリウム(9g、145mmol)および18−クラウン−6(1.2g、5mmol)の混合物に添加した。混合物を18時間攪拌した後、フルオロメチルメチルカーボネートの形成をGCおよびMSにより立証することが可能であった。
【0064】
実施例7:EtN−C(O)OCHFの調製
100mLのPFA−フラスコ中に、ギ酸フルオロメチル(27.0g、245mmol)を入れる。ジエチルアミン(50.5mL;0.490mmol)を約0℃で滴下する。混合物を1時間攪拌する。固形分をろ出し、および、得られた液体を蒸留に供して、純粋なフルオロメチルN,N−ジエチルカルバメートを単離する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造方法、および、一般式(VI)RN−C(O)OCHRFのカルバメートの製造方法であって、
前記一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH=CHX(式中、XはCH、Cである);CH(CH)=CH、C(CH=CH、または、Hを示し、および、R’は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;少なくとも1個のフッ素原子で置換されている2〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;フェニル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニルまたは1個以上の塩素もしくはフッ素原子で置換されているフェニル;または、ベンジルを示す)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの前記製造方法が、
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(III)R’OHのアルコールとを反応させるステップ(式中、RおよびR’は上記の意味を有する)を含むか、または
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(III)R’OHのアルコール(式中、R’は上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、その後の塩素−フッ素交換を含み、
または、一般式(VI)RN−C(O)OCHRF(式中、RおよびRは、互いに独立して、同一であるかもしくは異なり、直鎖C1〜C3アルキル、分岐C3アルキルであり、ここで、任意選択により場合によっては、前記RおよびR基中の1個以上の水素原子はフッ素原子により置換されており、および、式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH(CH)=CH、C(CH=CH、または、CH=CHX(式中、XはCHまたはC基である)を示す)のカルバメートの前記製造方法が、式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(VII)RNHのアミン(式中、RおよびRは上記の意味を有する)とを反応させるステップを含むか、または
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(VII)RNHのアミン(式中、RおよびRは上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、その後の塩素−フッ素交換を含む製造方法。
【請求項2】
一般式(I)FCHR−OC(O)−OR’(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH(CH)=CH、C(CH=CH、CH=CHX(式中、XはCH、Cである)、または、Hを示し、R’は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;少なくとも1個のフッ素原子で置換されている1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル;ベンジル;フェニル;1個以上のC1〜C3アルキル基原子で置換されているフェニルまたは1個以上の塩素もしくはフッ素原子で置換されているフェニルを示す)のフルオロアルキルアルキルカーボネートの請求項1に記載の製造方法であって、
式(II)FCHROC(O)Fのフルオロギ酸フルオロアルキルもしくは式(II’)FCHROC(O)Clのクロロギ酸フルオロアルキルと、式(III)R’OHのアルコールとを反応させるステップ(式中、RおよびR’は上記の意味を有する)を含むか、または
式(IV)ClCHROC(O)Fのフルオロギ酸クロロアルキルもしくは式(IV’)ClCHROC(O)Clのクロロギ酸クロロアルキル(式中、Rは上記の意味を有する)と、式(III)R’OHのアルコール(式中、R’は上記の意味を有する)とを反応させるステップ、および、塩素−フッ素交換反応を含むその後のステップを含む製造方法。
【請求項3】
RがHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
R’がC1〜C5アルキルを示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R’が、メチル、エチル、または、n−プロピルもしくはイソプロピルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アルコールと、フルオロギ酸フルオロアルキルまたはクロロギ酸フルオロアルキルとのモル比が0.9:1〜5:1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
フルオロギ酸フルオロアルキルがアルコールと反応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記ギ酸フルオロアルキルが、カルボニルフッ化物および式RC(O)H(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、または、Hを示す)のアルデヒドから調製される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
フルオロギ酸フルオロメチルが、カルボニルフッ化物およびホルムアルデヒドから調製される、請求項3または8に記載の方法。
【請求項10】
前記反応がフッ化物(F)の存在下に実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記フッ化物がカルボニルフッ化物およびプレ触媒から形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プレ触媒がジメチルホルムアミドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
カルボニルフッ化物とアルデヒドとのモル比が0.9:1〜5:1の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
1−クロロエチル2,2,2−トリフルオロカーボネートを除く、式(V’)ClCHRC(O)OR”(式中、Rは、1〜5個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、CH(CH)=CH、C(CH=CH、CH=CHX(式中、XはCH、Cである)、または、Hを示し、および、R”は、少なくとも1個のフッ素原子で置換されている1〜7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルを示す)のクロロアルキルフルオロアルキルカーボネート化合物。
【請求項15】
Rが、HまたはCHを示すと共に、R”が2,2,2−トリフルオロエチルを示す、請求項14に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−532910(P2012−532910A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519980(P2012−519980)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059795
【国際公開番号】WO2011/006822
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】