説明

フルオロポリマーとエチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)−修飾されたポリアミド(PA)製チューブ

【課題】水素、酸素、二酸化炭素、二酸化硫黄、酸化窒素類等に対して低透過性であり、移送液体に対して非分解性で、柔軟で循環路に装備可能であり、成形性の良い多層のプラスチック材料チューブの提供。
【解決手段】フルオロポリマーの内層、エチレン−ビニルアルコールコポリマーの中間層及びポリアミドの外層を含むチューブ。態様として、フルオロポリマーがエチレン−テトラフルオロエチレン又はポリビニリデンフルオリドであり;ポリアミドがポリアミド12であり;ポリアミドを修飾して水素バリアーを形成し;前記中間層(3)を前記内層(1)に接着する接着層(2)を含み;前記中間層(3)を前記外層(5)に接着する接着層(4)を含み;又は前記接着層(2、4)が隣接層に接着するよう修飾されたポリアミド(PA)であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、水素移送用として適した多層チューブ、とりわけ、燃料電池に関連した、多層チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
水素移送用チューブは、金属で製造されたものが知られている。使用される金属は、一般にステンレススチール又はアルミニウム合金である。そのようなチューブは、比較的に重くて、自動車において使用するのに困難を伴い、又、そのようなチューブは、剛性があり、特に狭い空間における内装を比較的困難にしている。更に、そのようなチューブは、移送する液体により腐食されるリスクを負っている。
【0003】
このような欠点を軽減するために、そのようなチューブをエラストマーで製造する試みが行われてきた。残念ながら、エラストマー製チューブは、移送する液体に対する耐性が乏しいので、比較的短い耐用期間である。移送される液体に対する耐性性能が低いので、そのチューブが分解され、そして、その微粒子がその液体中に放出されることとなる。そのような微粒子は、燃料電池を損傷し、又少なくとも、その燃料電池の運転に悪影響を与えるリスクを招く。そのようなチューブは高価でもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のしだいで、公知のチューブより優れた性能を提供できるプラスチック材料チューブを開発することが有利であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、フルオロポリマー(fluoropolymer)からなる内層、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(ethylene vinyl alcohol copolymer:EVOH)からなる中間層及びポリアミド(polyamide:PA)からなる外層を含むチューブを提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記のようにして製造されたチューブは、水素のみならず酸素、二酸化炭素、二酸化硫黄、酸化窒素類等に対しても低透過性を示す。更に、このチューブは、移送する液体によって殆ど又は全く分解されないので、移送液体がクリーンなままである。このチューブは又、比較的柔軟であるので、それを循環路に装備するのが容易となる。そのチューブの製造は、多層押出しで製造することができ、又必要の場合、続いて熱成形できるので、比較的に容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
特定の形態において、前記フルオロポリマーは、エチレン−テトラフルオロエチレン(ethylene tetrafluoroethylene :ETFE)である。
【0008】
ETFEは、その材料が前記の如きガス類(水素、酸素、二酸化炭素、二酸化硫黄、酸化窒素類等)、特に水素に対して低透過性を示し、高温及び腐食に耐性であり、更に、良好な化学的不活性を有し、又吸水性を殆ど有さないので、特に有利である。
【0009】
より高価でない変形の態様としては、前記フルオロポリマーは、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)である。
【0010】
好ましくは、前記ポリアミドは、ポリアミド12(PA−12)である。
【0011】
この材料は、外部攻撃からチューブを保護するのに特にうまく適合させ得る機械的及び化学的特性を有する。
【0012】
又、好ましくは、前記ポリアミドは修飾されて、水素バリアーを形成する。
【0013】
そして、その外層のポリアミドは、水素に対して低透過性を示す。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の特定の、又非限定的な実施形態に関する以下の説明により理解されるであろう。
【実施例】
【0015】
図面を参照すると、本発明に基づくチューブは、内層(1)、接着層(2)、中間層(3)、接着層(4)、及び外層(5)を含む。
【0016】
前記内層(1)は、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)により製造される。変化の態様として、前記内層(1)は、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)から製造され得る。
【0017】
前記中間層(3)は、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)の層である。
【0018】
前記中間層(3)は、酸素に対するバリアー層である。その酸素バリアー機能は、液体から侵入しようとする酸素及び前記ダクトの外側から侵入しようとする酸素に対して作用して、前記内層(1)を腐食から保護する。
【0019】
有利なことには、前記中間層(3)の材料は、水素及び燃料に対して低透過性を示す。
【0020】
前記外層(5)は、修飾されたポリアミド(PA)、この実施例においてはポリアミド12(PA−12)の層である。この外層(5)は二つの機能を遂行する。つまり、この外層は外部攻撃から前記チューブを保護し、又水素に対するバリアーを構成する。この材料は、本来、保護機能を遂行するための優れた機械的及び化学的特性を示す。使用されるこのポリアミドは、更に公知の方法により修飾されて、水素に対して不透過性にされ、又これにより、水素バリアー層を構成し、又併せて水蒸気に対しても不透過性にされる。
【0021】
前記接着層(2)及び(4)は、EVOH、ETFE及びPA−12に関して良好な接着性を有する同じ材料で製造される。本実施例においては、前記接着層の材料は、修飾されたポリアミドを基礎としており、前述の3つの材料全てに接着することができる。この材料は、水素及び水分に対して良好な耐性を示す。
【0022】
当然ことながら、本発明は、上述の実施形態に限定されず、又変形態様も、本件の特許請求の範囲に規定された発明の範囲を超えない限りにおいて適用され得る。
【0023】
特に、本発明のチューブは、燃料移送用としても使用され得る。
【0024】
更に、本発明のチューブは、特に前記フルオロポリマーの内層(1)と前記EVOHの中間層(3)との間に、他の中間層を含むことができる。
【0025】
更に、もし前記外層(5)のポリアミドが、前記中間層(3)のEVOHに接着するように修飾される場合には、前記接着層(4)はあってもなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施態様であるパイプの断面図を示す。
【符号の説明】
【0027】
1 内層
2、4 接着層
3 中間層
5 外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマーからなる内層(1)、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)からなる中間層(3)及びポリアミド(PA)からなる外層(5)を含むチューブ。
【請求項2】
フルオロポリマーがエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)であることを特徴とする、請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
フルオロポリマーがポリビニリデンフルオリド(PVDF)であることを特徴とする、請求項1に記載のチューブ。
【請求項4】
ポリアミドがポリアミド12(PA−12)であることを特徴とする、請求項1に記載のチューブ。
【請求項5】
ポリアミドを修飾して水素バリアーを形成することを特徴とする、請求項1又は4に記載のチューブ。
【請求項6】
中間層(3)を内層(1)に接着する接着層(2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ。
【請求項7】
中間層(3)を外層(5)に接着する接着層(4)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ。
【請求項8】
接着層(2、4)が隣接層に接着するように修飾されたポリアミド(PA)に基づいていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のチューブ。

【図1】
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【公開番号】特開2006−168358(P2006−168358A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354744(P2005−354744)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(505332082)ノベル プラスティクス (5)
【Fターム(参考)】