説明

フルーツちらし寿司の製造方法及びフルーツちらし寿司のもとの製造方法並びにフルーツちらし寿司及びフルーツちらし寿司のもと

【課題】 この発明の課題の第一は世界でもまったく目新しく新規な味のちらし寿司やフルーツ寿司のもとを提供することにあり、また第二はドライフルーツの用途を広げることにある。
【解決手段】 米を炊き、これに寿司酢を混ぜ、具材としてのドライフルーツを混ぜ合わせるようにしてフルーツちらし寿司を得る。また米を炊き、具材としてのドライフルーツに寿司酢を混ぜ、これを前記炊いた米に混ぜ合わせるようにしてフルーツちらし寿司を得る。なお炊いた米を用いず、ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてレトルトパックして、またはドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてパックし冷凍して、フルーツちらし寿司のもとを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は具材としてドライフルーツを用いた、ドライフルーツの用途を広げる、新規なフルーツちらし寿司やフルーツちらし寿司のもととこれ等の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでのちらし寿司は、具材に椎茸やかんぴょうの甘煮や酢蓮根や穴子などと言った素材を用いるのが一般的であった。またレシピには大まかに2通りのものがあり、第一は酢と砂糖と塩とを混ぜて作った合わせ酢を、米飯に回し掛けて風を送りながら切るように混ぜておき、これに具材を混ぜ合わせる方法であり、第二は比較的に簡便な方法であり、予め前記合わせ酢を鍋の具材に混ぜておき、これを米飯に加えてざっくりと混ぜる方法である。なお上記以外の具材例としては鯛そぼろ、子鯛の笹漬け、蟹、菜の花、木の芽、人参なども良く用いられる。またこれ以外にも各地の特産品や各家庭で独自の具材が用いられることがある。また炊飯に際して昆布をだしに用いたり、酢飯に煎り胡麻を混ぜたり、具材の一部ではあるがトッピングに錦糸卵や生姜の甘酢漬けや海老やいくらやみつばなどを添えることがある。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら当発明者は飲食業の経験から上述したような具材を用いたちらし寿司は在り来りであって、新規でより現代的なちらし寿司の登場が待たれていることを肌で感じていた。また各家庭では子供たちに喜んで食べさせることが出来るようにするための目新しいレシピが必要になって来ている。この発明の第一の課題はこのような問題点を解決することである。
【0004】
一方ナシやリンゴなどのフルーツはその果肉を生で食したり、アルコール飲料やジャムの製造に用いたり、より日持ちがするものとしてのあるいはお菓子として利用したりするためのドライフルーツに加工されたりもしている。このドライフルーツは一般的にフルーツを天日で乾燥させたりフリーズドライ乾燥を行なったり砂糖に漬けて脱水するなどして保存性を持たせたものであり、調理のための焼いたり煮たりする加工を殊更行なってはいないものである。当発明者はドライフルーツの流通にも係わる立場から、このように保存性の良いドライフルーツの新規な用途を見出すことは出来ないものか、と常々考え続けて来た。従ってこの発明の第二の課題はこの問題の解決にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、米を炊き、これに寿司酢を混ぜ、具材としてのドライフルーツを混ぜ合わせるようにした、フルーツちらし寿司の製造方法とすることにより達成される。また米を炊き、具材としてのドライフルーツに寿司酢を混ぜ、これを前記炊いた米に混ぜ合わせるようにした、フルーツちらし寿司の製造方法とすることにより達成される。なお炊いた米と寿司酢と具材とをほぼ同時に混ぜ合わせる製造方法も可能でありこれも本発明の権利範囲である。なおこのようにして得られたフルーツちらし寿司の上にトッピングを施す工程を加えても良い。
【0006】
要するに具材としてドライフルーツを用いることで全く新しいフルーツちらし寿司を得ることが出来たのである。酢飯とドライフルーツとの組み合わせはこれまでにない全く新しいものである。ドライフルーツはそのまま用いても、或いは水で戻してから用いるようにしても良い。またドライフルーツの種類は自由であり、例えばナシ、メロン、ピーチ、リンゴ、バナナ、パイナップル、マンゴー、パパイヤ、キウイ、プラム、あんず、なつめ、いちじく、さくらんぼ、トマト、ベリー系、グレープ系、柑橘類及びそのピール、ミックスフルーツ、ナッツ類、ヒマワリの種やミックスシード等々を用いて良い。使用する種類は一つでも複数種の組み合わせでも良い。なお香り付けにハーブを用いることが出来る。例えばマルベリーとタイムなどと言うように良くマッチする組み合わせを用いることが望ましい。この発明によって米飯とドライフルーツとの相性が全く良好であることが初めて分かったし、酢の味覚と具材の主体であるドライフルーツの味覚とのコラボレーションはこれまでになく新鮮なものであることが明確に了解された。またドライフルーツは保存性に優れているため、取り扱いが楽なちらし寿司の具材であることを初めて見出すことが出来た。この発明のフルーツちらし寿司は、従来のちらし寿司とは全く異なっており、これよりさらに進化したものとなっている。
【0007】
なおこのようにして得られたフルーツちらし寿司を更に冷凍容器に詰めて冷凍させる、冷凍食品の製造方法と為すことが出来る。このようにして冷凍食品として販売することが可能になる。
【0008】
またこのようにして得られたフルーツちらし寿司を更に弁当の容器に詰めて、フルーツちらし寿司弁当の製造方法と為すことが出来る。このようにして弁当として販売することが可能となる。
【0009】
なお炊いた米を用いることなく、ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてレトルトパックする、フルーツちらし寿司のもとの製造方法とすることによっても上述した課題を解決することが出来る。また、炊いた米を用いることなく、ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてパックし冷凍する、フルーツちらし寿司のもとの製造方法とすることによっても上述の課題を解決することが出来る。このようなフルーツちらし寿司のもとを用いれば、家庭や料亭では炊いた米を用意し、これにフルーツちらし寿司のもとを混ぜ合わせるだけで、全く珍しくて美味しいフルーツちらし寿司を作ることが出来、大人にも子供にも喜ばれるものである。
【0010】
なおこのようなフルーツちらし寿司のもとに付いて、更に、フルーツちらし寿司を盛った後に飾り付けて目立たせたいとする、少なくとも一種類のトッピングをパックした袋を別添えして成るものとすることが出来る。一例ドライフルーツの、パイナップルの輪切りや大型のあんずや各種ベリーを混ぜたものなど任意のものをトッピングとすることが出来る。この他、味付け魚介類または味付け獣肉などをトッピングとすることも可能である。なお複数のトッピングを1つの袋にパックしたり、トッピング毎に1つの袋にパックして複数個の袋を別添えとすることなども可能である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、具材として特に選んでドライフルーツを用いていることにしたため、世界でもまったく目新しく新規な味のフルーツちらし寿司やフルーツちらし寿司のもとを提供することが出来た。また同時にドライフルーツの用途を広げることにも成功している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下この発明の3種の実施形態を図面を参照しつつ説明する。しかしながらこの発明はこれ等の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
第1実施形態
図1及び図2はこの発明の第1実施形態の食品及び製造方法を表わす。図1は冷凍食品としてのパックされたフルーツちらし寿司の模式図であり、円内は内部の拡大図であり、図2はこの製造工程を表わす流れ図である。米飯を炊き上げ、これに風を送りながら寿司酢を混ぜて酢飯を製造し、予め水で戻しておいた下記ドライフルーツの具材を酢飯に混ぜ合わせて、これをレトルトパックして冷凍することにより、フルーツちらし寿司の冷凍食品が得られる。なお具材にはドライフルーツのナシ11と干しブドウ12とをミックスしたものを使用した。
【0014】
当発明者はこれまで地元の名産であるナシのドライフルーツの用途拡大を考え続けて来たがこのフルーツちらし寿司はその一つの回答でもある。よりシンプルにはドライフルーツのナシのみを用いるが、味や見た目のバラエティー感を出すには更に多くの種類のドライフルーツを用いて良い。また各種シードを混ぜ合わせるようにしても良い。なおドライフルーツは戻すことなくそのまま使用することも可能であり、いったん戻すかそのままで用いるかはユーザーの好みやレシピにより適宜選択して良いものである。こうして製造されたフルーツちらし寿司の冷凍食品は電子レンジで解凍調理することや、レトルトパックとして適度に湯煎し、冷ましてから食するようにすることが可能である。食器に盛り付けて見ればまったく目新しく新規な味のものであることが了解され、食欲が沸いて来るものである。
【0015】
第2実施形態
図3及び図4はこの発明の第2実施形態の食品及び製造方法を表わす。図3は弁当容器4に詰めた所を真上から見たフルーツちらし寿司の模式図であり、図4はこの製造工程を表わす流れ図である。米飯を炊いて、戻したドライフルーツの具材に寿司酢を混ぜ合わせ、この酢味のドライフルーツを米飯に混ぜ合わせて、弁当容器4に詰め、更にその上にトッピングを施す製造方法によって、この実施形態のフルーツちらし寿司弁当を得る。トッピングは具材の一種でありここではドライフルーツのラズベリー3、輪切りをさらに半分にしたパイナップル30、アンズ31を配置した。
【0016】
なお弁当容器4に、酢味のドライフルーツを米飯に混ぜ合わせたものを詰めた上に、透明な殺菌シートを被せた上でトッピングを載せるなどの工夫を行なっても良い。この実施形態のフルーツちらし寿司弁当はこれまでにないまったく目新しく新規な味のものである。
【0017】
第3実施形態
図5及び図6はこの発明の第3実施形態の食品及び製造方法を表わす。図5はレトルトパックされたフルーツちらし寿司のもと5と、別添えレトルトパックのトッピング50との模式図であり、図6はこの製造工程を表わす流れ図である。この実施形態はフルーツちらし寿司のもとに係るため、米飯を使用していない。即ち、戻したドライフルーツに寿司酢を混ぜ合わせ、これをレトルトパックし、このものに別にトッピングをレトルトパックしたものを添付する。こうして2つのレトルトパックをセットにしたフルーツちらし寿司のもとが得られる。
【0018】
家庭や料亭ではただ炊いた飯を用意するだけで良く、これにレトルトパックのフルーツちらし寿司のもとを混ぜ合わせるだけで全く珍しくて美味しいフルーツちらし寿司を作ることが出来る。従来よりトッピングには比較的に高級な具材が用いられて来た。これを飾り付けることによって高級感を演出するためである。この実施形態でもこれに倣ってより高級感のあるドライフルーツをトッピングに用いたり、より華やかさを演出し得るようなドライフルーツを用いるようにすれば良い。この他味付け野菜や味付け魚介類や味付け獣肉などをトッピングとすることも全く自由である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明では酢飯とドライフルーツとを使用している。この素材を用いた応用例として、例えば図7及び図8に示すようなフルーツ巻き寿司を提供することが出来る。すなわち米飯を炊き、これに風を送りながら寿司酢を混ぜて酢飯を製造し、この酢飯の中心部に戻しておいたドライフルーツを入れて海苔で巻くと言う工程を経ると、ドライフルーツのフルーツ巻き寿司が得られる。
【0020】
これまでの巻き寿司の具と言えば、まぐろや胡瓜や納豆や干瓢と言ったものが使用され、既に在り来りの感があり、新規でより現代的な巻き寿司の登場が期待されていた。また上述したように、保存性の良いドライフルーツの新規な用途を見出すことを当発明者は常々考え続けて来た。このドライフルーツのフルーツ巻き寿司はこれ等の課題を一挙に解決することが出来るのであり、これは全く珍しくて美味しい食品であるが、これもまたこの発明の権利範囲内のものである。
【0021】
また酢飯ではなく普通の米飯を用いた応用例として、例えば図9及び図10に示すようなフルーツおにぎりを提供することが出来る。即ち米飯を炊き、このものの中心部に戻しておいたドライフルーツを入れておにぎり形状に成型し、この周りを海苔で巻くと言う工程を経ることで、ドライフルーツのフルーツおにぎりが得られる。上述したフルーツ巻き寿司と同様、ここでも海苔を使用している。これは今までにない新規で美味しい食品であるがこれもまたこの発明の権利範囲内のものである。
【0022】
従来のおにぎりの具には、魚肉や獣肉を主体としたもの、梅干しや昆布や鰹節などと言ったものが用いられて来た。おにぎりに付いても既に在り来りの感があり、新規でより現代的なおにぎりの提供が強く求められて来た。また上述したように当発明者は、保存性の良いドライフルーツの新規な用途を見出したいものと常々考え続けて来た。このドライフルーツのおにぎりの発明によりこれ等の課題は一挙に解決されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 第1実施形態のフルーツちらし寿司の冷凍食品の模式図である。
【図2】 同実施形態のフルーツちらし寿司の冷凍食品の製造工程を表す流れ図である。
【図3】 第2実施形態のフルーツちらし寿司弁当の模式図である。
【図4】 同実施形態のフルーツちらし寿司弁当の製造工程を表わす流れ図である。
【図5】 第3実施形態のレトルトパックされたフルーツちらし寿司のもとの模式図である。
【図6】 同実施形態のレトルトパックされたフルーツちらし寿司のもとの製造工程を表わす流れ図である。
【図7】 応用例としてのドライフルーツのフルーツ巻き寿司の模式図である。
【図8】 同実施形態のドライフルーツのフルーツ巻き寿司の製造工程を表わす流れ図である。
【図9】 応用例としてのドライフルーツのフルーツおにぎりの模式図である。
【図10】 同実施形態のドライフルーツのフルーツおにぎりの製造工程を表わす流れ図である。
【符号の説明】
【0024】
1 フルーツちらし寿司
10 酢飯
11 ドライフルーツのナシ
12 干しブドウ(ドライフルーツ)
2 レトルトパック
3 ラズベリー
30 パイナップル
31 アンズ
4 弁当容器
5 レトルトパックのフルーツちらし寿司のもと
50 レトルトパックのトッピング
6 フルーツ巻き寿司
60 酢飯
61 ドライフルーツ
62 海苔
7 フルーツおにぎり
70 米飯
71 ドライフルーツ
72 海苔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を炊き、これに寿司酢を混ぜ、具材としてのドライフルーツを混ぜ合わせることを特徴とする、フルーツちらし寿司の製造方法。
【請求項2】
米を炊き、具材としてのドライフルーツに寿司酢を混ぜ、これを前記炊いた米に混ぜ合わせることを特徴とする、フルーツちらし寿司の製造方法。
【請求項3】
更に冷凍容器に詰めて冷凍させる、請求項1または請求項2に記載のフルーツちらし寿司の製造方法。
【請求項4】
更に弁当容器に詰める、請求項1または請求項2に記載のフルーツちらし寿司の製造方法。
【請求項5】
ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてレトルトパックする、フルーツちらし寿司のもとの製造方法。
【請求項6】
ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてパックして冷凍する、フルーツちらし寿司のもとの製造方法。
【請求項7】
米を炊き、これに寿司酢を混ぜ、具材としてのドライフルーツを混ぜ合わせて成る、フルーツちらし寿司。
【請求項8】
米を炊き、具材としてのドライフルーツに寿司酢を混ぜ、これを前記炊いた米に混ぜ合わせて成る、フルーツちらし寿司。
【請求項9】
更に冷凍容器に詰めて冷凍して成る、請求項7または請求項8に記載のフルーツちらし寿司。
【請求項10】
更に弁当容器に詰めて成る、請求項7または請求項8に記載のフルーツちらし寿司。
【請求項11】
ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてレトルトパックして成る、フルーツちらし寿司のもと。
【請求項12】
ドライフルーツから成る具材に寿司酢を混ぜてパックし冷凍して成る、フルーツちらし寿司のもと。
【請求項13】
更に、フルーツちらし寿司を盛った後に飾り付けて目立たせたいとする、少なくとも一種類のトッピングをパックした袋を別添えして成る、請求項11または請求項12に記載のフルーツちらし寿司のもと。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−63446(P2010−63446A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261127(P2008−261127)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(594168115)
【Fターム(参考)】