説明

フレキシブルプリント配線板の製造方法

【課題】フレキシブルプリント配線板の外形加工の際にバリを生じにくくする。
【解決手段】ベースフィルムの表面に配線パターン22と配線パターン22を囲む外形加工線34の外側に位置する給電部32とこの給電部32から外形加工線34を跨いで延びてくびれ部61を介して配線パターン22の端子部37に接続する給電パターン21とを導電体で形成する。次に、給電部32を露出させる切欠部および端子部37を露出させる切欠部が形成されたカバーレイでベースフィルムを覆い、給電部32に給電して端子部37に電解めっきを施す。その後、外形加工線34に沿ってベースフィルムをカバーレイなどとともに切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、ベースフィルムの片方あるいは両方の面に、銅箔などの導電体の配線パターンが形成され、さらにその表面をカバーレイで覆ったものである。さらに、絶縁体のフィルムを挟んで複数の配線パターンが積層された多層のフレキシブルプリント配線板もある。フレキシブルプリント配線板は可撓性を有し、液晶ディスプレイ、携帯電話、ノートPCなどに用いられている。
【0003】
フレキシブルプリント配線板の配線パターンの一部には、外部のフレキシブル配線板や実装部品との接続のため、カバーレイで覆われない端子部が設けられる。端子部の表面には、機械的強度の確保などを目的として金などのメッキが施される。このような端子部へのメッキは、電解メッキで行われる。電解メッキの際には、配線パターン自身が被めっき部への給電パターンとなる。
【0004】
一般に、フレキシブルプリント配線板は長方形のベースフィルムの上に配線パターンを形成し、メッキ処理などを施した後に、最終製品の形状に切断される。電解メッキの際に、給電パターンは外形加工線よりも外側で外部電源に接続される。したがって、給電パターンは、すなわち配線パターンは、外形加工線を横切ることになる。
【0005】
フレキシブルプリント配線板は可撓性を有するため、外形加工線を横切る露出した配線パターンは、外形加工の際にベースフィルムなどが撓むことにより引きちぎられて、外縁部にバリが生じるおそれがある。そこで、特許文献1には、配線パターンに横切られる外形加工線をその周囲から内側にへこませておくことにより、バリが生じてもケースなどとの短絡を回避する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−317981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された方法では、フレキシブルプリント配線板のバリそのものをなくすことができない。このため、バリとケースとの間に所定の空隙が必要となり、フレキシブルプリント配線板あるいはそれを用いた機器の小型化の妨げとなる。
【0008】
そこで、本発明は、フレキシブルプリント配線板の外形加工の際にバリを生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明は、フレキシブルプリント配線板の製造方法において、ベースフィルムの表面に被めっき部を含む配線パターンとこの配線パターンを囲む外形加工線の外側に位置する給電部とこの給電部から前記外形加工線を跨いで延びてくびれ部を介して前記被めっき部に接続された給電パターンとを導電体で形成するパターン形成工程と、前記パターン形成工程の後に、前記給電部および前記被めっき部を露出させる切欠部が形成されたカバーレイで前記ベースフィルムを覆うカバー工程と、前記カバー工程の後に、前記給電部に給電して前記被めっき部に電解めっきを施すめっき工程と、前記めっき工程の後に、前記外形加工線に沿って前記ベースフィルムを切断する外形加工工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フレキシブルプリント配線板の外形加工の際にバリを生じにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態によって製造したフレキシブルプリント配線板の図2におけるI−I矢視断面図である。
【図2】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態によって製造したフレキシブルプリント配線板の図1におけるII−II矢視上面図である。
【図3】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態におけるフローチャートである。
【図4】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態において銅箔パターンが形成された素板の上面図である。
【図5】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態において銅箔パターンが形成された素板の下面図である。
【図6】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態においてカバーレイが接着された素板の上面図である。
【図7】本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態における外形加工の際の変形挙動を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法の一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この説明は単なる例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。
【0013】
図1は、本発明にかかるフレキシブルフレキシブル配線板の製造方法の一実施の形態によって製造したフレキシブルプリント配線板の図2におけるI−I矢視断面図である。図2は、本実施の形態によって製造したフレキシブルプリント配線板の図1におけるII−II矢視上面図である。
【0014】
本実施の形態のフレキシブルプリント配線板19は、ベースフィルム10と、このベースフィルムの両面を覆う第1のカバーレイ11および第2のカバーレイ12とを備えている。ベースフィルム10は、その表面に形成される配線パターン22の基材となる薄いフィルムであり、可撓性を持つ絶縁材料で形成される。また、第1のカバーレイ11および第2のカバーレイ12は、ベースフィルム10の表面に形成された配線パターン22を保護する薄い膜で、ソルダーマスクとしての機能を持ち、ベースフィルム10と同様に可撓性を持つ絶縁材料で形成される。
【0015】
ベースフィルム10、第1のカバーレイ11および第2のカバーレイ12は、いずれも半透明のポリイミドなどで30μm程度の厚さの膜状に形成されている。なお、ここではベースフィルム10は単層としたが、内部に1層以上の配線パターンが形成された複層のベースフィルムを用いてもよい。
【0016】
ベースフィルム10と第2のカバーレイ12との間には、配線パターン22が形成されている。配線パターン22の一部は、第2のカバーレイ12に覆われずに露出した端子17となっている。端子17は、たとえば銅などの導電体で形成された配線パターン22の表面に金などの導電体で電解めっき25が形成されたものである。
【0017】
また、ベースフィルム10と第1のカバーレイ11との間にも配線パターン22が形成されていてもよい。ベースフィルム10と第1のカバーレイ11との間に形成された配線パターン22は、ベースフィルム10と第2のカバーレイ12との間に形成された配線パターン22と、ベースフィルム10を貫通する接続ビア23を介して接続されている。同一の接続ビア23に接続されたベースフィルム10の両面の配線パターン22は、接続ビア23の内面を覆う接続導電体によって電気的に接続されている。
【0018】
第1のカバーレイ11は、ベースフィルム10、配線パターン22に接着剤13で接着されている。第2のカバーレイ12は、ベースフィルム10および配線パターン22に接着剤14で接着されている。端子17の一部の裏側には、補強材16が接着剤15で第1のカバーレイ11の表面に接着されていてもよい。
【0019】
図3は、本実施の形態におけるフローチャートである。
【0020】
本実施の形態では、まず、両面銅張板に穴あけ加工を施す(S1)。両面銅張板は、ベースフィルム10の両側の面に銅箔が張り付けられたものである。銅箔の厚さは、30μm程度である。この両面銅張板に、ベースフィルム10の両側の配線パターン22を接続する位置、および、配線パターン22と給電パターン21とを接続する位置に穴あけ加工を施して接続ビア23を形成する。
【0021】
次に、必要に応じて清浄処理などを施した後に、無電解めっきを施して、接続ビア23の内面に接続導電体を形成する(S2)。接続導電体は、無電解めっきの後さらに電解めっきを施して形成してもよい。
【0022】
その後、必要に応じて銅箔に表面処理を施し、銅箔表面にレジスト皮膜を形成する(S3)。配線パターン22に対応するフォトマスクを被せて露光することにより、レジスト皮膜にパターンを焼き付ける。さらにパターンを現像して、エッチングを行うことにより、所定の銅箔パターンがベースフィルム10の表面に形成される(S4)。その後、残存しているレジスト被膜を剥離する(S5)。
【0023】
図4は、本実施の形態において銅箔パターンが形成された素板の上面図である。図5は、本実施の形態において銅箔パターンが形成された素板の下面図である。
【0024】
図4および図5において、点線は外形加工線34を示す。外形加工線34とは、最終的に切り出されるフレキシブルプリント配線板19の外形を示す仮想的な線である。最終的なフレキシブルプリント配線板19に残る配線パターン22などは、すべて外形加工線34の内側、すなわち配線パターン22側に形成される。本実施の形態では、一枚の長方形のベースフィルム10から2つのフレキシブルプリント配線板19を製造する場合を示している。なお、一枚のベースフィルム10から1つのフレキシブルプリント配線板19を製造してもよいし、3つ以上のフレキシブルプリント配線板19を製造してもよい。
【0025】
エッチング済みの素板43の外形加工線34の内側には、端子部37、端子部37に接続された信号線35および端子部37に接続されたアース線36などからなる配線パターン22が形成されている。一部の信号線35の途中には、裏側の信号線35との接続のために接続ビア23が形成される接続ビア形成部38が設けられる。
【0026】
エッチング済みの素板43の外形加工線34の外側、すなわち配線パターン22に対して反対側にはほぼ全体にわたって銅箔32が残された状態となっている。電気的に独立した端子部37には、それぞれ給電パターン21がくびれ部61を介して接続されている。くびれ部61は、端子部37と給電パターン21との間で銅箔のパターンの幅が細くなった部分であり、外形加工線34の内側で、外形加工線34の近傍に形成されている。それぞれの給電パターン21は、外形加工線34の外側の銅箔32から外形加工線34を跨いで延びている。
【0027】
エッチング処理の終了後、エッチング済みの素板43に第1のカバーレイ11および第2のカバーレイ12を接着する(S7)。素板43に接着するカバーレイには、あらかじめ型抜き加工を施しておく(S6)。
【0028】
図6は、本実施の形態においてカバーレイが接着された素板の上面図である。
【0029】
第2のカバーレイ12には、端子部37を露出させる切欠部51および給電部32を露出させる切欠部52を工程S6で形成しておく。給電部32を露出させる切欠部52は、たとえばコーナー部に形成される。端子部37を露出させる切欠部51および給電部32を露出させる切欠部52は、連続した一つの領域として形成されていてもよい。第1のカバーレイ11および第2のカバーレイ12は、エッチング済みの素板43の両面に接着剤13,14で接着されて、カバーレイが接着された素板44が形成される。
【0030】
次に、カバーレイが接着された素板44の切欠部52に露出した銅箔32に給電することによって電解めっき処理を施す(S8)。これにより、端子部37の配線パターン22の表面に電解めっき25が形成される。
【0031】
その後、必要に応じて端子部37の裏面に補強材16を貼り付け(S9)、外形加工線34に沿って電解めっき済みの素板を切断する(S10)。これにより、フレキシブルプリント配線板19が得られる。
【0032】
図7は、本実施の形態における外形加工の際の変形挙動を示す断面図である。
【0033】
カバーレイが接着された素板44は、外形加工線34に沿った形状の金型71によって、素板44の板厚方向にせん断する方向に力が加えられる。たとえば、外形加工線34の内側には上向きの力72が加えられ、外形加工線34の外側には下向きの力73が加えられる。これにより、素板44から、2つのフレキシブルプリント配線板19が切り出される。
【0034】
この外形加工の際、外形加工線34を跨いで延びた給電パターン21および給電パターンと接続された端子部37は、金型71などによって引っ張られる。給電パターン21および給電パターンと接続された端子部37に生じた引っ張り応力はくびれ部61に集中して、くびれ部61には亀裂が生じる。この亀裂が進展して、給電パターン21と端子部37とは、くびれ部61で切断する。
【0035】
くびれ部61は、外形加工線34よりも内側に位置しているため、給電パターン21と端子部37との切断部は、外形加工線34よりも内側に位置することになる。このため、外形加工の際に切断された給電パターン21は、外形加工線34よりも外側の部分にバリ74として残るが、フレキシブルプリント配線板19の外縁部にバリとなって突出するおそれは小さい。このように、本実施の形態によれば、フレキシブルプリント配線板の外形加工の際にバリが生じにくい。
【0036】
くびれ部61の位置および形状は、外形加工によって亀裂が生じるようなものであればどのようなものでもよい。たとえば本実施の形態において、くびれ部61は給電パターン21および端子部37の幅方向の両側から中心に向かってへこんでいるが、幅方向の一方からへこんだくびれ部を設けてもよい。また、図6などにおいて、給電パターン21および端子部37は、ほぼ同じ幅で描いているが、どちらかの幅が大きくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…ベースフィルム、11…第1のカバーレイ、12…第2のカバーレイ、13…接着剤、14…接着剤、15…接着剤、16…補強材、17…端子、19…フレキシブルプリント配線板、21…給電パターン、22…配線パターン、23…接続ビア、24…接続導電体、25…電解めっき、32…銅箔、34…外形加工線、35…信号線、36…アース線、37…端子部、38…接続ビア形成部、43…素板、44…素板、51…切欠部、52…切欠部、61…くびれ部、71…金型、74…バリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの表面に被めっき部を含む配線パターンとこの配線パターンを囲む外形加工線の外側に位置する給電部とこの給電部から前記外形加工線を跨いで延びてくびれ部を介して前記被めっき部に接続された給電パターンとを導電体で形成するパターン形成工程と、
前記パターン形成工程の後に、前記給電部および前記被めっき部を露出させる切欠部が形成されたカバーレイで前記ベースフィルムを覆うカバー工程と、
前記カバー工程の後に、前記給電部に給電して前記被めっき部に電解めっきを施すめっき工程と、
前記めっき工程の後に、前記外形加工線に沿って前記ベースフィルムを切断する外形加工工程と、
を具備することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−192564(P2010−192564A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33678(P2009−33678)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000113322)東芝ホクト電子株式会社 (172)
【Fターム(参考)】